JP3630838B2 - 走査型トンネル顕微鏡及び磁化検出方法 - Google Patents

走査型トンネル顕微鏡及び磁化検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査型トンネル顕微鏡及び磁化検出方法に関し、より詳しくは、媒体表面の磁化状態を原子オーダの空間分解能で観察するのに適した走査型トンネル顕微鏡及び磁化検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、走査型トンネル顕微鏡を用いて磁気記録媒体の磁化状態を原子オーダで観察する方法が提案されている(特開平7−141601)。この方法では、磁性体からなる探針を磁性体試料の表面に近接させて所定の電圧を印加し、その間にトンネル電流を流す。試料の表面を探針で走査することによって試料表面の漏洩磁束を検出している。
【0003】
一方、いわゆるスピン偏極電子を利用したスピン偏極走査型トンネル顕微鏡が近年注目されている。垂直磁化された磁気媒体内では上向きのスピン数と下向きのスピン数とが異なったいわゆるスピン偏極した状態で磁化が発生することが知られ、また、水平磁化された磁気媒体内では、水平方向で互いに反対方向に向いたスピン数が異なっているスピン偏極した状態で磁化が発生することが知られている。
【0004】
垂直磁化された磁気媒体内の磁化を検出するには、特開平6−160501に記載されているように、探針の上又は下方向から円偏光を照射する。これにより、探針中には上及び下方向にスピン偏極した異なる数の電子が励起される。この様にしてスピン偏極した探針を磁気媒体に近づけて探針に所定の電圧を印加し、探針と磁気媒体の間にトンネル電流を流すと、そのトンネル電流にはスピンの偏りに対応した電流が含まれることになる。スピン偏極走査型トンネル顕微鏡は、このスピンの偏りによるトンネル電流を測定して磁気媒体の磁化情報を得るようにしたものである。探針側から流れるスピン偏極しているトンネル電流とスピン偏極していないときのトンネル電流との差分を求めることによりスピン偏極したトンネル電流のみを取り出す。
【0005】
また、水平磁化された磁気媒体内の磁化を検出するには、特開昭62−139240に記載されているように、探針の横方向から円偏光を照射する。これにより、探針中には水平方向で互いに反対方向にスピン偏極した異なる数の電子が励起される。そこで、上記と同じようにしてスピン偏極したトンネル電流のみを取り出す。
【0006】
従来例に係る垂直方向の磁化を測定するためのスピン偏極走査型トンネル顕微鏡の装置構成を図9に示す。
図9に示すように、半導体レーザ6はレーザ光を出射し、そのレーザ光はポッケルスセル5とλ/4板4を通ってピエゾ素子3に入射する。ポッケルスセル5はレーザ光の直交する偏波面をもつ直線偏光の位相を所定の周期で反転させ、λ/4板4は、ポッケルスセル5から出射したレーザ光の直線偏光にλ/4(π/2)の位相差をつけて円偏光にする。ポッケルスセル5により位相を反転させることで、円偏光の回転方向が反転する。
【0007】
ピエゾ素子3は内部を円偏光が通過できるように円筒形状をしており、一方の開口部から円偏光を入射させる。他方の開口面には薄いGaAs膜からなる支持膜2と探針1とが形成されている。探針1に円偏光が照射されると、探針1内部には、円偏光の回転方向及び進行方向に応じて上向きのスピン偏極電子と下向きのスピン偏極電子が一定の割合で生成される。円偏光の回転方向を反転させることによりこれらの生成割合が逆転する。
【0008】
ステージ7上の磁性体試料20と探針1の間にパルス電圧を印加すると、探針1内のスピン偏極電子は試料20にトンネルするが、そのスピン方向と試料20の磁化方向との一致・不一致に応じてその数量が変化する。即ち、スピン偏極電子のスピン方向の反転によりトンネル電流は大きく変化する。
コントローラ14及びコンピュータ15は、そのトンネル電流の変化分を円偏光の反転信号で同期検出し、通常の凹凸像からの差分を求めることにより試料20の磁化状態に依存したトンネル電流を分離する。即ち、トンネル電流を担うスピン偏極電子のスピン方向を予め特定しておくことにより、試料20の磁化の方向と大きさを特定することができる。ディスプレイ16はこれを画像信号として取り込み、表示画面に磁化像を表示する。
【0009】
粗動走査回路13はステージ7の概略の位置制御を行うとともに、微動走査回路10はピエゾ素子3の位置を精密制御する。なお、試料20としてPt−Co等の垂直磁気媒体を用いている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のスピン偏極走査型トンネル顕微鏡においては、垂直磁化、又は水平磁化のいずれか一方のみしか検出することができない。また、試料20の磁化の向きと探針1のスピンの向きとが完全に一致しない場合には、正確な磁化の向きと大きさを検出することができない。
【0011】
これでは、磁気検出手段として精度が低く、実用上問題がある。また、任意の磁化の向き及び大きさを特定することができれば、検出精度が飛躍的に向上し、また、将来、情報として磁化の向きが異なるものを用いることができるため、磁気記録媒体の高記録密度化を図ることが可能となる。
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、任意の向きに向いている磁化の向き及び大きさを原子オーダで正確に検出することができる走査型トンネル顕微鏡及び磁化検出方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、第1の発明である、右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて照射する光照射手段と、前記円偏光が出射する点又は入射する点からみた立体角の張る稜線上に沿って該円偏光を入射させる手段と、前記円偏光を受けてスピン偏極電子を生成する探針と、前記探針を磁化検出媒体に近づける手段と、前記探針から前記磁化検出媒体に供給されるスピン偏極電子によるトンネル電流を検出する手段と、前記トンネル電流の大きさから前記磁化検出媒体の磁化の垂直成分及び平面成分を検出して該磁化の向きと大きさを得る手段とを有することを特徴とする走査型トンネル顕微鏡によって解決され、
第2の発明である、探針と磁化検出媒体とを対向させ、右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて前記円偏光を前記探針に照射し、前記右回りの円偏光の照射により前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第1のトンネル電流を検出するとともに、左回りの円偏光の照射により前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第2のトンネル電流を検出し、さらに前記円偏光が出射する点又は入射する点からみた立体角の張る稜線上に沿って照射方向を複数回変えて前記第1及び第2のトンネル電流の検出を行い、前記複数組の第1及び第2のトンネル電流の大きさから前記磁化検出媒体の磁化の垂直成分及び平面成分を検出して該磁化の向きと大きさを得ることを特徴とする磁化検出方法によって解決され、
第3の発明である、右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて照射する第1の光照射手段と、前記第1の光照射手段の光照射方向と直交する方向から右回り又は左回りの円偏光を照射する第2の光照射手段と、前記第1及び第2の光照射手段の光照射方向と直交する方向から右回り又は左回りの円偏光を照射する第3の光照射手段と、前記第1、第2及び第3の光照射手段の照射を切り換える手段と、前記前記第1、第2及び第3の光照射手段から出射する円偏光を受けてスピン偏極電子を生成する探針と、前記探針を磁化検出媒体に近づける手段と、前記探針から前記磁化検出媒体に供給されるスピン偏極電子によるトンネル電流を検出する手段と、前記第1、第2及び第3の光照射手段から射出されたときの各3方向のトンネル電流の大きさから前記磁化検出媒体の磁化の3方向成分を検出し、該磁化の向きと大きさを得る手段とを有することを特徴とする走査型トンネル顕微鏡によって解決され、
第4の発明である、探針と磁化検出媒体を対向させ、第1の方向から右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて前記探針に照射し、前記右回り及び左回りの円偏光の照射毎に前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第1及び第2のトンネル電流を検出し、前記第1の方向に直交する第2の方向から右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて前記探針に照射し、前記右回り及び左回りの円偏光の照射毎に前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第3及び第4のトンネル電流を検出し、前記第1及び第2の方向に直交する第3の方向から右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて前記探針に照射し、前記右回り及び左回りの円偏光の照射毎に前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第5及び第6のトンネル電流を検出し、前記第1乃至第6のトンネル電流の大きさから前記磁化検出媒体の磁化の3方向成分を検出して該磁化の向きと大きさを得ることを特徴とする磁化検出方法によって解決される。
【0013】
本発明の走査型トンネル顕微鏡によれば、右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて照射する光照射手段と、円偏光が出射する点又は入射する点からみた立体角の張る稜線上に沿って円偏光を入射させる手段とを有している。
従って、軸(法線を含む)に対する円偏光の入射角度を一定に保ち、かつその軸(法線を含む)の回りに入射方向を変えて円偏光を探針に入射させることができる。また、一つの入射方向について右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて探針に照射することができる。
【0014】
このため、図6に示すように、円偏光の入射方向の向きに向いたスピン(S)を有するスピン偏極電子又は入射方向とは逆の向きに向いたスピン(S)を有するスピン偏極電子が探針に適宜生成され、かつそのスピン(S及びS)は軸の回りで方向を変えうる。
以下に、上記の走査型トンネル顕微鏡による磁化検出媒体の磁化の測定原理について図6〜図8を参照しながら説明する。即ち、図7に示すように、磁化(M)方向が斜め上向きであるとする。図8に示すように、特定の回転方向、例えば右回りの円偏光を照射した場合、スピンの垂直成分Szの向きのトンネル電流は磁化の垂直成分Mzに相当するため、全方位にわたって常に一定であるが、スピンの平面成分Sθ方向では、スピンが軸の回りで方向を変えることによりトンネル電流は変化する。即ち、Sθの向きが磁化の平面成分Mθの向きと一致したとき、θ方向のトンネル電流は最も大きくなり、SθがMθと直交するまで漸減し、SθがMθと直交したとき零となる。それ以降はSθがMθと再び直交するまで平面方向のトンネル電流は流れず、トンネル電流はMzに相当するもののみとなる。以降はSθがMθと直交してから一致するまで漸増していく。
【0015】
一方、逆の回転方向、例えば左回りの円偏光を照射した場合、スピンの平面成分Szの向きのトンネル電流は磁化の垂直成分Mzに相当するため、全方位にわたって常に零であるが、Sθ方向では、スピンが軸の回りで方向を変えることによりトンネル電流は変化する。即ち、Sθが磁化の平面成分Mθと直交してから漸増し、Sθの向きがMθの向きとは逆に向いたときSθの向きとMθの向きとが一致するためトンネル電流は最大となる。以降、SθがMθと再び直交するまで漸減していく。SθがMθと直交したとき零となる。それ以降は、SθがMθと次に直交するまでトンネル電流は流れない。
【0016】
以上のように、右回りの円偏光を照射し、照射方向を変えながらトンネル電流を観察していくと、トンネル電流が最も大きくなったとき、その値がMz+Mθに相当し、かつSθの向きとMθの向きが一致する。また、トンネル電流が最も小さくなったとき、その値がMzに相当する。一方、左回りの円偏光を照射し、照射方向を変えながらトンネル電流を観察していくと、トンネル電流が最も大きくなったとき、その値がMθに相当し、Sθの向きとMθの向きが一致する。
【0017】
従って、磁化の垂直成分Mzと平面成分Mθを検出することができ、これらを合成して磁化検出媒体の磁化の大きさを特定することができる。また、平面成分Mθの最大となるSθの向きを検出することにより、磁化の方向を特定することができる。
また、別の発明においては、右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて照射する第1、第2及び第3の光照射手段を有し、かつこれら3つの光照射手段は互いに直交する方向から探針に円偏光を照射することができる。
【0018】
以下に、この発明における磁化検出媒体の磁化の測定原理について図2,図4を参照しながら説明する。図4に示すように、磁化(M)方向は斜め上向きであるとする。
例えば、Z方向下向きに右回りの円偏光を照射する。これにより、探針21内に特定のスピンの向きを有するスピン偏極電子が生成し、その平均的なスピンの向きは例えば下向きとなる。探針21と試料40の間にトンネル電流を流すと、Z方向の磁化の向きとスピンの向きが反対なので、小さいトンネル電流しか流れない。
【0019】
続いて、左回りの円偏光を探針21に照射すると、探針21内には前の場合と逆転したスピンの向きを有するスピン偏極電子が生成し、その平均的なスピンの向きは上向きとなる。探針21と試料40の間にトンネル電流を流すと、Z方向の磁化の向きとスピンの向きが同じなので、大きいトンネル電流が流れる。
次に、右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えてy方向から円偏光を照射すると、一方向のスピンの方向に磁化のy成分(My)に比例したトンネル電流が検出される。続いて、右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えてx方向から円偏光を照射すると、一方向のスピンの方向に磁化のx成分(Mx)に比例したトンネル電流が検出される。
【0020】
以上のように、3つのトンネル電流から互いに直交する3方向の磁化成分Mx,My,Mzを特定することができるので、それらを合成して磁化検出媒体の磁化の大きさとを特定することができる。また、Mx,My,Mz成分から磁化の方向を特定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスピン偏極走査型トンネル顕微鏡の装置構成について示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、探針21にレーザ光を照射する手段は、互いに直交する3方向から探針21に円偏光したレーザ光を照射することができるように設置されている。即ち、水平方向に2方向、垂直方向に1方向である。垂直方向から照射されるレーザ光のみがピエゾ素子23を通して入射される。一方、水平方向に向いたレーザ光は直接探針21に照射される。
【0023】
半導体レーザ26a,26b,及び26cはそれぞれ波長830nmのレーザ光を出射し、各レーザ光はそれぞれポッケルスセル25a,25b,及び25cとλ/4板24a,24b,及び24cを介して探針21に入射する。ポッケルスセル25a〜25cは直交する偏波面(振動面)をもつ直線偏光の位相を2nsの周期で反転させるとともに、λ/4板24a〜24cはポッケルスセル25a〜25cから出射したレーザ光の互いに直交する直線偏光にλ/4(π/2)の位相差をつけて円偏光にする。ポッケルスセル25a〜25cにより偏波面を反転させることで、円偏光の回転方向が反転する。
【0024】
半導体レーザ26a〜26cにはそれぞれレーザ電源32a〜32cが接続され、レーザ光を発生させるための電圧及び電流が供給される。ポッケルスセル25a〜25cにはそれぞれポッケルスセル電源31a〜31cが接続され、レーザ光の互いに直交する直線偏光を反転させるための電圧及び電流が供給される。更に、各電源にはコントローラ34が接続されており、電圧及び電流の印加のタイミングを制御する。
【0025】
ピエゾ素子23は内部を円偏光が通過できるように円筒形状をしており、一方の開口部から円偏光を入射させる。もう一方の開口面には薄いGaAs膜からなる支持膜22が配置されており、その支持膜22の中央部にはGaAsからなる探針21が形成されている。探針21は、(100)面方位を有するGaAsウエハをエッチングすることにより作成されたものである。
【0026】
ピエゾ素子23の一方の開口部から入射した円偏光は、ピエゾ素子23の空洞内部を経て支持膜22を通り、探針21に照射される。円偏光の照射により価電子帯の電子が伝導帯へと励起され、探針21内部にスピン偏極電子が生成される。伝導帯におけるこれらスピン偏極電子の約3/4は照射光の進行方向と同じ方向のスピンをもち、残り1/4はそれと逆方向のスピンを持つ。そして、円偏光の位相の反転と同期して上記スピン偏極電子の生成割合は逆転する。
【0027】
ステージ27に載置された磁気媒体からなる試料(磁化検出媒体)40は探針21に対向して配置されている。探針21と試料40の間にパルス電圧を印加すると、探針21内のスピン偏極電子は試料40にトンネルするが、そのスピン方向と試料40の磁化方向との一致・不一致に応じてその数量が変化する。即ち、スピン偏極電子のスピン方向の反転によりトンネル電流は大きく変化する。
【0028】
このトンネル電流は支持膜22に接続されたプリアンプ28により増幅されてコントローラ34及びコンピュータ35に送られる。
コントローラ34及びコンピュータ35は、トンネル電流の変化分を円偏光の反転信号で同期検出し、通常の凹凸像からの差分を求めることにより試料40の磁化状態に依存したトンネル電流を分離する。そして、ディスプレイ36はこれを画像信号として取り込み、表示画面に磁化像を表示する。
【0029】
また、粗動走査回路33はステージ27の概略の位置制御を行うとともに、微動走査回路30はピエゾ素子23の位置を精密制御する。これにより、探針21と試料40との位置調整を0.1Åオーダで三次元的に行うことができる。
次に、図1乃至図4を参照しながら、上記のスピン偏極走査型トンネル顕微鏡を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る試料40内の原子レベルの磁化の向きと大きさを測定する方法について説明する。なお、試料40としてPt−Co等の垂直磁気媒体を用いる。
【0030】
まず、不図示の移動手段により垂直方向のレーザ光照射手段を試料40上の所定の箇所に移動させる。このとき、探針21の先端は試料40上面から適当な間隙をあけて保持される。続いて、ピエゾ素子23に電圧を印加し、探針21の先端と試料40表面との間隙を調整し、トンネル電流が検出可能な距離に設定する。
【0031】
次いで、水平方向からレーザ光が探針21に当たるように水平方向のレーザ光照射手段の位置を調整する。なお、この後、探針21により試料40上を走査するが、そのとき、3方向のレーザ光照射手段からのレーザ光が常に探針21に当たるように3方向のレーザ光照射手段を同時に移動させるものとする。
次に、垂直方向の半導体レーザ26aからレーザ光を発生させると、特定の回転方向、例えば右回りに円偏光したレーザ光が探針21に照射される。図3(a)に示すように、探針21には3対1の割合で下向きのスピン偏極電子と上向きのスピン偏極電子が生成される。続いて、探針21と試料40との間に電圧を印加するとトンネル電流が流れる。このとき、磁化(M)方向が斜め上向きの場合、スピンの向きが反対なので、小さいトンネル電流しか流れない。そのようなトンネル電流はスピン方向が特定されてコンピュータ35に取り込まれる。
【0032】
次いで、ポッケルスセル電源31aによりポッケルスセル25aに電圧を印加し、直交する直線偏光の位相を反転させる。これにより、先の場合とは逆の回転方向、例えば左回りに円偏光したレーザ光が得られ、探針21に照射される。図3(b)に示すように、探針21には先の場合とは逆に1対3の割合で下向きのスピン偏極電子と上向きのスピン偏極電子が生成される。探針21と試料40との間に電圧を印加するとトンネル電流が流れる。このとき、図4に示すように、磁化(M)方向が斜め上向きの場合、磁化のz成分(Mz)に比例したトンネル電流が検出される。そのようなトンネル電流はスピン方向が特定されてコンピュータ35に取り込まれる。
【0033】
次に、図2に示すように、水平方向のx方向からレーザ光を照射し、前記と同じようにして2つの異なるトンネル電流を検出する。このとき、図4に示すように、磁化のx成分(Mx)に比例したトンネル電流が検出される。
次いで、図2に示すように、水平方向のy方向からレーザ光を照射し、前記と同じようにして2つの異なるトンネル電流を検出する。このとき、図4に示すように、磁化のy成分(My)に比例したトンネル電流が検出される。
【0034】
コンピュータ35により、各トンネル電流に相当する磁化成分Mx,My,Mzを計算し、それらを合成すると、磁化の方向(α,β,γ)と大きさ(M)を正確に特定することができる。
次に、試料40上、探針21の位置をずらして、上記と同じようにしてトンネル電流を検出する。この場合、試料40表面の凹凸の影響を除くため、例えば、特開昭62−139240号公報に記載の方法を実施する。これにより、試料40の磁化状態のみの情報が得られる。
【0035】
この様にして次々に試料40の所定の領域を走査していくと、試料40内の磁区の分布が得られる。
なお、上記の3方向からレーザ光を照射することにより、当然のことに、x方向、y方向、又はz方向に向いている磁化や、xy平面、yz平面、又はzx平面内でいずれかの向きに向いている磁化もその向きと大きさを正確に特定することができる。
【0036】
以上のように、本発明の第1の実施の形態によれば、原子レベルの磁化の向きが一次元、二次元又は三次元的に何れの向きを向いていても、その磁化の向きや大きさを正確に特定することができる。
これにより、原子レベルの磁化状態の検出精度が飛躍的に向上し、また、情報として磁化の向きが異なるものを用いることができるため、磁気記録媒体の高記録密度化を図ることが可能となる。
【0037】
(2)第2の実施の形態
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るスピン偏極走査型トンネル顕微鏡の装置構成について示す斜視図である。
第2の実施の形態において、第1の実施の形態と異なるところは、図5に示すように、レーザ光の照射手段は垂直方向の一系統であり、試料40の照射面に対して反射平面に角度をもたせて、前記照射面に垂直な軸の回りを公転するミラー41を有することである。ミラー41の公転により一定の入射角を保ちながらレーザ光の照射方向を変えられるようになっている。また、そのミラー41の公転に同期し、ミラー41の反射平面に常に平行になるように入射平面を維持して公転するλ/4板24を有している。
【0038】
上記第2の実施の形態に係るスピン偏極走査型トンネル顕微鏡においては、ポッケルスセルを通過したレーザ光を固定ミラー42を介して公転するミラー41に入射させ、そのレーザ光を一定の角度をもって反射する。ミラー41が公転することにより、ミラー41からレーザ光が出射する点からみた立体角(Ω)の張る稜線上に沿って一定の入射角で、かつ複数の異なる入射方向からレーザ光が探針21に入射することになる。
【0039】
次に、図5乃至図7を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係るスピン偏極走査型トンネル顕微鏡を用いて、試料40内の原子レベルの磁化の向き(α,β,γ)と大きさ(M)を測定する方法について説明する。
まず、不図示の移動手段により垂直方向のレーザ光照射手段を試料40上の所定の箇所に移動させる。このとき、探針21の先端は試料40の表面から適当な間隙をあけて保持される。続いて、ピエゾ素子23に電圧を印加して、試料40上での探針21の位置を微調整し、探針21の先端と試料40の表面との間隙を調整する。これにより、所定の箇所でトンネル電流が検出可能となる。
【0040】
次いで、ミラー41とλ/4板24を同期して支持膜22の入射平面に垂直な軸を中心として公転させながら、レーザ光が探針21に当たるように垂直方向のレーザ光照射手段の位置を調整する。
次に、ミラー41とλ/4板24の公転を止めて、ポッケルスセル25aに電圧を印加してレーザ光の互いに直交する偏波面が特定の方向になるようにする。半導体レーザ26aからレーザ光を発生させると、斜め下向きに進行する、例えば右回りの円偏光が探針21に照射される。図3(a)に準じ、探針21には斜め下向きのスピン偏極電子と斜め上向きのスピン偏極電子が3対1の割合で生成される。図6に示すように、斜め下向きのスピン偏極電子の平均偏極はSとなり、垂直方向と平面方向にそれぞれSz成分及びSθ成分を有する。
【0041】
次いで、探針21と試料40の間に電圧を印加すると、Sz成分及びSθ成分に応じたトンネル電流が流れる。検出されるトンネル電流はSz及びSθ成分を合わせたものであり、コンピュータ35に取り込まれる。
次いで、ポッケルスセル電源31aによりポッケルスセル25aに電圧を印加し、直交する偏波面を互いに反転させる。これにより、先の場合とは逆の、例えば左回りの円偏光が得られ、探針21に照射される。図3(b)に準じ、探針21には先の場合とは逆に1対3の割合で斜め下向きのスピン偏極電子と斜め上向きのスピン偏極電子が生成される。図6に示すように、斜め上向きのスピン偏極電子の平均偏極はSとなり、垂直方向と平面方向にそれぞれSz成分及びSθ成分を有する。
【0042】
次いで、探針21と試料40の間に電圧を印加すると、Sz成分及びSθ成分応じたトンネル電流が流れる。検出されるトンネル電流はSz成分及びSθ成分を合わせたものであり、コンピュータ35に取り込まれる。
次に、ミラー41とλ/4板24を所定の角度だけ公転させた後、ミラー41のレーザ光の出射点から見た立体角の張る稜線上に沿って異なる照射方向から、かつ一定の入射角で円偏光を照射し、上記と同様にしてトンネル電流を測定する。
【0043】
この様にして取得されたトンネル電流はS成分(第1のトンネル電流)及びS成分(第2のトンネル電流)に分離されてコンピュータ35に取り込まれ、以下の原理により磁化の向き(α,β,γ)と大きさ(M)を計算する。
この場合、磁化(M)方向は、図7に示すように、斜め上向きであるとする。図8に示すように、右回りの円偏光を照射した場合、Szの向きのトンネル電流は磁化の垂直成分Mzに相当するため、全方位にわたって常に一定であるが、Sθ方向では、ミラー41の公転にしたがってトンネル電流は変化する。即ち、Sθの向きが磁化の平面成分Mθの向きと一致したとき、θ方向のトンネル電流は最も大きくなり、SθがMθと直交するまで漸減していく。SθがMθと直交したとき零となる。それ以降はSθがMθと再び直交するまで平面方向のトンネル電流は流れず、トンネル電流はMzに相当するもののみとなる。以降はSθがMθと直交してから一致するまで漸増していく。
【0044】
一方、左回りの円偏光を照射した場合、Szの向きのトンネル電流は磁化の垂直成分Mzに相当するため、全方位にわたって常に零であるが、Sθ方向では、ミラー41の公転にしたがってトンネル電流は変化する。即ち、Sθが磁化の平面成分Mθと直交してから漸増し、Sθの向きがMθの向きとは逆に向いたときSθの向きとMθの向きとが一致するためトンネル電流は最大となる。以降、SθがMθと再び直交するまで漸減していく。SθがMθと直交したとき零となる。それ以降は、SθがMθと次に直交するまでトンネル電流は流れない。
【0045】
以上のように、右回りの円偏光を照射してトンネル電流を観察していくと、トンネル電流が最も大きくなったとき、その値がMz+Mθに相当し、かつSθの向きとMθの向きが一致する。また、トンネル電流が最も小さくなったとき、その値がMzに相当する。一方、左回りの円偏光を照射してトンネル電流を観察していくと、トンネル電流が最も大きくなったとき、その値がMθに相当し、Sθの向きとMθの向きが一致しているときである。
【0046】
従って、トンネル電流が最も大きくなったときのミラー41の公転の角度を検出することにより、平面方向の磁化成分Mθの向きを特定することができる。また、トンネル電流の大きさを測定することにより、Mz及びMθの大きさを特定することができ、これらを合成することによって、図7に示すように、試料40内の原子レベルの磁化の向き(α,β,γ)と大きさ(M)を正確に測定することができる。
【0047】
次に、試料40上、探針21の位置をずらして、上記と同じようにトンネル電流を検出する。この場合、試料40表面の凹凸の影響を除くため、例えば、特開昭62−139240号公報に記載の方法を実施する。これにより、試料40の磁化状態のみの情報が得られる。
この様にして次々に試料40の所定の領域を走査していくと、試料40内の磁区の分布が得られる。
【0048】
なお、上記のようにしてレーザ光を照射することにより、x方向、y方向、又はz方向に向いている磁化や、xy平面、yz平面、又はzx平面内でいずれかの向きに向いている磁化もその向きと大きさを正確に特定することができる。
以上のように、本発明の第2の実施の形態によれば、原子レベルの磁化の向きが一次元、二次元及び三次元的に何れの向きに向いていても、その磁化の向きや大きさを正確に特定することができる。
【0049】
これにより、原子レベルの磁化状態の検出精度が飛躍的に向上し、また、情報として磁化の向きが異なるものを用いることができるため、磁気記録媒体の高記録密度化を図ることが可能となる。
なお、上記実施の形態では、ミラー41からレーザ光が出射する点からみた立体角の張る稜線上に沿って照射方向を複数回変えるようにしているが、円偏光が入射する支持膜22上の点からみた立体角の張る稜線上に沿って照射方向を複数回変えるようにしてもよい。
【0050】
また、支持膜22の入射平面に対して垂直な軸を中心とする立体角を用いているが、支持膜22の入射平面に対して傾いた軸を中心とする立体角を用いてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて照射する光照射手段と、円偏光が出射する点又は入射する点からみた立体角の張る稜線上に沿って円偏光を入射させる手段とを有している。
このため、円偏光の入射方向の向きに向いたスピンを有するスピン偏極電子又は入射方向とは逆の向きに向いたスピンを有するスピン偏極電子が探針に適宜生成され、かつそのスピンは立体角の張る稜線上に沿って方向を変えうる。
【0052】
従って、右回りの円偏光を照射し、照射方向を変えながらトンネル電流を観察していくと、トンネル電流が最も大きくなったとき、その値は磁化の垂直成分と平面成分の合計に相当し、かつスピンの平面成分の向きと磁化の平面成分の向きが一致する。また、トンネル電流が最も小さくなったとき、その値は磁化の垂直成分に相当する。一方、左回りの円偏光を照射し、照射方向を変えながらトンネル電流を観察していくと、トンネル電流が最も大きくなったとき、その値が磁化の平面成分に相当し、スピンの平面成分の向きと磁化の平面成分の向きが一致する。
【0053】
このため、磁化の垂直成分と平面成分を検出することができ、これらを合成して磁化検出媒体の磁化の大きさを特定することができる。また、磁化の平面成分が最大となるスピンの平面成分の向きを検出することにより、磁化の方向を特定することができる。
また、別の発明によれば、3つの光照射手段から探針に円偏光を照射し、かつ一つの照射方向毎に右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて照射することによって、3つのトンネル電流から互いに直交する3方向の磁化成分を特定することができるので、それらを合成して磁化検出媒体の磁化の大きさとを特定することができる。また、3方向の磁化成分から磁化の方向を特定することができる。
【0054】
以上により、原子レベルの磁化の向きが一次元、二次元及び三次元的に何れの向きに向いていても、その磁化の向きや大きさを正確に特定することができる。従って、原子レベルの磁化状態の検出精度が飛躍的に向上し、また、情報として磁化の向きが異なるものを用いることができるため、磁気記録媒体の高記録密度化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスピン偏極走査型トンネル顕微鏡の装置構成について示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る原子レベルの磁化状態を測定する方法について示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る原子レベルの磁化状態を測定する方法について示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係る原子レベルの磁化状態を測定する方法について示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施の形態に係るスピン偏極走査型トンネル顕微鏡の部分装置構成について示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態に係る原子レベルの磁化状態を測定する方法について示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態に係る原子レベルの磁化状態を測定する方法について示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態に係る原子レベルの磁化状態を測定する方法について示す特性図である。
【図9】図9は、従来例に係るスピン偏極走査型トンネル顕微鏡の装置構成について示す斜視図である。
【符号の説明】
21 探針、
22 支持膜、
23 ピエゾ素子、
24a〜24c λ/4板、
25a〜25c ポッケルスセル、
26a〜26c 半導体レーザ、
27 ステージ、
28 プリアンプ、
29 パルス発生器、
30 微動走査回路、
31a〜31c ポッケルスセル電源、
32a〜32c レーザ電源、
33 粗動走査回路、
34 コントローラ、
35 コンピュータ、
36 ディスプレイ、
40 試料(磁化検出媒体)、
41 ミラー、
42 固定ミラー。

Claims (4)

  1. 右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて照射する光照射手段と、
    前記円偏光が出射する点又は入射する点からみた立体角の張る稜線上に沿って該円偏光を入射させる手段と、
    前記円偏光を受けてスピン偏極電子を生成する探針と、
    前記探針を磁化検出媒体に近づける手段と、
    前記探針から前記磁化検出媒体に供給されるスピン偏極電子によるトンネル電流を検出する手段と、
    前記トンネル電流の大きさから前記磁化検出媒体の磁化の垂直成分及び平面成分を検出して該磁化の向きと大きさを得る手段とを有することを特徴とする走査型トンネル顕微鏡。
  2. 探針と磁化検出媒体とを対向させ、
    右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて前記円偏光を前記探針に照射し、前記右回りの円偏光の照射により前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第1のトンネル電流を検出するとともに、左回りの円偏光の照射により前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第2のトンネル電流を検出し、
    さらに前記円偏光が出射する点又は入射する点からみた立体角の張る稜線上に沿って照射方向を複数回変えて前記第1及び第2のトンネル電流の検出を行い、
    前記複数組の第1及び第2のトンネル電流の大きさから前記磁化検出媒体の磁化の垂直成分及び平面成分を検出して該磁化の向きと大きさを得ることを特徴とする磁化検出方法。
  3. 右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて照射する第1の光照射手段と、
    前記第1の光照射手段の光照射方向と直交する方向から右回り又は左回りの円偏光を照射する第2の光照射手段と、
    前記第1及び第2の光照射手段の光照射方向と直交する方向から右回り又は左回りの円偏光を照射する第3の光照射手段と、
    前記第1、第2及び第3の光照射手段の照射を切り換える手段と、
    前記前記第1、第2及び第3の光照射手段から出射する円偏光を受けてスピン偏極電子を生成する探針と、
    前記探針を磁化検出媒体に近づける手段と、
    前記探針から前記磁化検出媒体に供給されるスピン偏極電子によるトンネル電流を検出する手段と、
    前記前記第1、第2及び第3の光照射手段から射出されたときの各3方向のトンネル電流の大きさから前記磁化検出媒体の磁化の3方向成分を検出し、該磁化の向きと大きさを得る手段とを有することを特徴とする走査型トンネル顕微鏡。
  4. 探針と磁化検出媒体を対向させ、
    第1の方向から右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて前記探針に照射し、前記右回り及び左回りの円偏光の照射毎に前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第1及び第2のトンネル電流を検出し、
    前記第1の方向に直交する第2の方向から右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて前記探針に照射し、前記右回り及び左回りの円偏光の照射毎に前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第3及び第4のトンネル電流を検出し、
    前記第1及び第2の方向に直交する第3の方向から右回り又は左回りの円偏光を適宜切り換えて前記探針に照射し、前記右回り及び左回りの円偏光の照射毎に前記探針と前記磁化検出媒体の間に流れる第5及び第6のトンネル電流を検出し、
    前記第1乃至第6のトンネル電流の大きさから前記磁化検出媒体の磁化の3方向成分を検出して該磁化の向きと大きさを得ることを特徴とする磁化検出方法。
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