JP3630063B2 - 多面体の回転角度検出センサ及びそれを利用した地球儀並びに天球儀 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体の位置状態を検知するためのセンサに関連し、さらに、そのセンサを利用して物体の位置状態を音声出力させた機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
位置検出を行うためのセンサとして、抵抗変化を利用したポテンショメータや、光あるいは磁気を利用した光センサ、磁気センサ等が広く用いられている。しかしながら、これらのセンサは精密品のため高価である。これに対し、例えば、ある範囲ごとの位置検出や玩具等に用いられる位置検出センサはそれほど高精度な精密性は要求されず、従って、より簡易な構成で安価なセンサが利用できるはずである。
また、特定の面や位置を利用する玩具等においては、その表示に対応する音声出力が併用されれば多くの点で好都合かつ効果的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、簡易かつ安価な構成で位置検出を行うことが可能なセンサを得ること、及びそれを利用して音声出力を併用させたサイコロ並びにゲーム機を提供することである。本発明は、このために下記の構成を採用する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の多面体の回転角度検出センサは、中空の多面体と該多面体の内部に入れられた金属ボールとを備え、前記多面体の各面には前記ボールと嵌合可能な形状の孔が形成されており、該孔を挟んでその両端に金属端子が配置され、前記ボールと前記孔との嵌合により該孔両端の金属端子が導通するように構成されており、該導通を検知することで前記多面体の面位置を特定することができるようにしたものにおいて、前記多面体の各面を特定の基準面を基に予め設定した角度にそれぞれ対応させておき、前記多面体の面位置特定に基づいて該多面体の前記基準面からの回転角度を出力するものである。
また、上記センサに、予め定めた音声が記録されたレコーダと、前記多面体の回転角度の出力信号を受け取り該信号に対応した音声信号を出力するように前記レコーダを制御する制御装置と、前記レコーダからの音声信号を音声に変換して出力する音声出力装置と、を備えたものである。
本発明の地球儀は、中空の多面体と該多面体の内部に入れられた金属ボールとを備え、前記多面体の各面には前記ボールと嵌合可能な形状の孔が形成されており、該孔を挟んでその両端に金属端子が配置され、前記ボールと前記孔との嵌合により該孔両端の金属端子が導通するように構成されており、該導通を検知することで前記多面体の面位置を特定することができるようにしたものにおいて、前記多面体の各面を特定の基準面を基に予め設定した角度にそれぞれ対応させておき、前記多面体の面位置特定に基づいて前記多面体の前記基準面からの回転角度を出力する多面体の回転角度検出センサと、前記多面体の予め定めた所定位置の国名を示す音声が記録されたレコーダと、前記多面体の回転角度の出力信号を受け取り該信号に対応した音声信号を出力するように前記レコーダを制御する制御装置と、前記レコーダからの音声信号を音声に変換して出力する音声出力装置と、を備えたものである。
本発明の天球儀は、中空の多面体と該多面体の内部に入れられた金属ボールとを備え、前記多面体の各面には前記ボールと嵌合可能な形状の孔が形成されており、該孔を挟んでその両端に金属端子が配置されており、前記ボールと前記孔との嵌合により該孔両端の金属端子が導通するように構成されており、該導通を検知することで前記多面体の面位置を特定することができるようにしたものにおいて、前記多面体の各面を特定の基準面を基に予め設定した角度にそれぞれ対応させておき、前記多面体の面位置特定に基づいて前記多面体の前記基準面からの回転角度を出力する多面体の回転角度検出センサと、前記多面体の予め定めた所定位置の星座を示す音声が記録されたレコーダと、前記多面体の回転角度の出力信号を受け取り該信号に対応した音声信号を出力するように前記レコーダを制御する制御装置と、前記レコーダからの音声信号を音声に変換して出力する音声出力装置と、を備えたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る位置検出センサの外観図、図2はこの位置検出センサの動作を説明する内部構成図である。センサ10は各面に円孔12が形成された例えば塩化ビニル製の中空立方体11からなり、その内部には円孔12と嵌合可能な金属ボール13が入れられている。また、円孔12の内側には金属ボール13が嵌合し易いように球面状の窪みが形成され、一方、各面の外側には円孔12を挟んでその両端に金属端子14が設けられている。これら各面の金属端子14は、円孔12を挟んで、一端はアースに、他端は抵抗を介して+5Vに接続されている。この両端の金属端子は円孔12に金属ボールが嵌合したときにその金属ボールを介して電気的に導通するように配置されている(図2(a)(b)参照)。さらに、各面での両端金属端子14の導通の有無を出力検知する出力端子15a〜15fが各面毎に設けられている。
なお、図で、金属端子14は立方体11の外側面に配置したが、それは立方体11の内側面に配置してもかまわない。その場合には、必ずしも円孔12を貫通孔とする必要はない。
【0010】
上記のセンサ10によれば、六面のうち底面となる面の円孔12に金属ボール13が嵌合すると、その両端金属端子14が導通し電流が流れる。従って、センサを構成する六面に番号等をつけてそれぞれの面を特定しておくと、出力端子15a〜15fの出力から、六面のうちのどの面が現在底面に位置しているのかを特定することができる。
なお、センサ10各面の内面を円孔12に向かって僅かに下降傾斜させておくと、円孔12と金属ボール13との嵌合がより確実になる。
【0011】
以上のセンサによれば、それぞれの面位置の特定により、多面体の向きや角度を検出知ることが可能となる。従って、本位置検出センサは、回転角または傾斜角測定用の角度センサとしても利用することができる。
【0012】
例えば、実施の形態1で用いた立方体の位置検出センサ10の場合、ある特定の面をそのセンサの回転角の基準面とし、その基準面に隣り合う面をそれぞれ前後左右に90度回転した面として、また、基準面に対向する面を180度回転した面として設定しておく。そして、それらの各面が検出された時にそれに対応する角度あるいは方位を表示させるようにすれば、90度間隔で回転角や方位を知ることが可能となる。
なお、より多くの面を備えた多面体を利用してセンサを構成すれば、回転角度や傾斜角度の変化をより細かな間隔で検知することが可能となる。
【0013】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2に係る音声出力併用サイコロ(サイコロを振ったときに出た目(数)を音声でも出力するもの)の回路構成図である。実施の形態1で説明したセンサ10を用い、その出力端子15a〜15fの出力をプログラマブルIC(CPU)16に入力させる。一方、1から6の数字に対応する音声を記録したICレコーダ17を用意し、それをプログラマブルIC16の出力と接続する。ここで、プログラマブルIC16は、出力端子15a〜15fの各出力に対応して、1から6のそれぞれの数字に対応する音声信号をICレコーダ17に出力させるよう、「進む」、「戻る」、「再生」の指示を出力してICレコーダ17のトラック制御を行うものである。なお、プログラマブルIC16は、マイクロプロセッサ(MPU)で置き換えることができる。
さらに、ICレコーダ17からの音声信号をスピーカ19により音声出力させるのであるが、ICレコーダ17からの音声信号をそのままスピーカ19に取り込んだのでは、出力音が小さいため、信号増幅用のアンプ18を間に介するのが好ましい。
【0014】
このような回路を、外側がサイコロの態様に構成された立方体の内部に配置する。その際、センサ10の配置は例えば、次のようにすることができる。
センサ10を構成する立方体の各面には1から6の数を割り当てておく。そして、センサ10の各面(面1〜6)が、サイコロの目(数1〜6に相当)を有した各面に対して、対応する数が互いに裏側に来るようにして、サイコロ外面を構成する立方体とセンサ10を構成する立方体とを同じ角度で配置する。こうすると、センサ10の面1が導通検知されたとき、サイコロの上面の目は1、センサ10の面2が導通検知されたとき、サイコロの上面の目は2となる(3以下も同様)ので、対応が取りやすくなる。ただし、これらの対応関係は適宜、定めることができる。
【0015】
次に、このサイコロにおける音声発生の動作、即ち、プログラマブルIC16の制御動作を、図4のフローチャートに沿って説明する。なお、まず、次のことを前提条件とする。
(1)ICレコーダには、1から6までの音声データが1トラックづつ順に記録されている。
(2)ICレコーダは、1から5までの音声データの出力後、次のトラックにシフトし出力はせずに待機しているものとする。
(3)ICレコーダは、6の音声データの出力後、トラックをシフトせず同じトラックで待機している。
【0016】
まず、サイコロを振った結果の出目がセンサ10を利用して検出されると(S1)、その目が前回の目と同じかどうか判断する(S2)。その出目が前回と同じであれば、続いて、その出目が6か否か判断する(S3)。出目が1〜5であった場合、ICレコーダ17のトラックは前回より1トラック進んだ位置にあるので、そのトラックから1回戻った後(S4)、対応する音声を再生する(S5)。また、S3で出目が6と判断された場合、ICレコーダ17のトラックは6に対応するトラックのままとなっているので、そのままのトラックに対応する音声を再生する(S5)。
【0017】
S2においてサイコロの今回の出目が前回の出目と相違する場合は、今回と前回の出目の大小を比較し(S6)、今回の出目が前回のそれより大きい場合には、ICレコーダ17のトラックは前回より1トラック進んでいるので、その出目の差数からさらに1引いた数だけICレコーダ17のトラックを進め(S7)、そのトラックに対応する音声を再生する(S8)。例えば、今回の出目が6で前回の目が1の場合、トラックは6−1−1だけ、即ち4トラック分先に送られて再生させる。
一方、S6で、今回の出目が前回のそれより小さい場合には、続いて、その前回の出目が6か否か判断する(S9)。前回の出目が1〜5であった場合、ICレコーダ17のトラックは前回より1トラック進んでいるので、前回と今回の出目の差数に1加えた数だけICレコーダのトラックを戻し(S10)、そのトラックに対応する音声を再生する(S11)。例えば、今回の出目が3で前回の目が4の場合、トラックは4−3+1だけ、即ち2トラック分戻されて再生されるる。
また、S9で、前回の出目が6と判断された場合は、ICレコーダ17のトラックは6に相当する位置に留まっているので、今回と前回の出目の差数だけICレコーダのトラックを戻し(S12)、そのトラックに対応する音声を再生する(S11)。例えば、前回の出目が6で今回の出目が3の場合、トラックは6−3だけ、即ち3トラック分戻されて再生される。
【0018】
以上のフローチャートの流れを繰り返しながら、サイコロの出目が音声出力されるため、サイコロの出目が耳からも理解できることになる。
なお、ここでは、出目に対して音声を用いたが、それに限らず出目を区別できるよう予め設定した電子音等の他の音も利用できる。
【0019】
このサイコロに準ずる応用例として、球状に近い形状の多面体を用いて位置検出センサを構成し、このセンサと実施の形態で説明した音声回路とを利用して、音声出力を備えた地球儀(または天球儀)を作ることも可能である。
この地球儀(または天球儀)は、例えば、上記位置検出センサと、予め定めた所定位置の国名、地名、海洋名(または星座)等を示す音声が記録されたレコーダと、位置検出センサからの出力信号を受けとり、該信号に対応した音声信号を出力するようにレコーダを制御する制御装置と、レコーダからの音声信号を音声に変換して出力する音声出力装置とを内蔵したものであって、位置検出センサの各面を前記所定位置にそれぞれ対応させ、地球儀(または天球儀)の球体が予め定めた方位に回転されたとき、位置検出センサの面位置特定信号に基づいて前記所定位置に対応した国名(または星座)等を音声出力装置から出力させるようにするものである。
【0020】
実施の形態3.
ここでの位置検出センサは、一つの面上を移動する金属ボールの位置を検出するためのもので、実施の形態1で説明したセンサの変形版である。すなわち、この位置検出センサは、実施の形態1の多面体センサを展開して平面としたものと同等の構成であって、その面上で金属ボールを移動させ、その面上での金属ボールの位置を検出するものである。従って、孔及びそれを挟んで配置される金属端子、孔と金属ボールとの嵌合による孔両端金属端子の導通等の要件は、実施の形態1で説明したのと同じである。
【0021】
この位置検出センサでは、孔は必要な位置にだけ設けられれるものであり、従って、孔の個数は問わない。そして、面上での孔と金属ボールとの嵌合による孔両端金属端子の導通により、面上の特定位置における金属ボールの位置が検出されることになる。従って、このセンサは、盤上ゲーム機器などに利用することが可能である。
【0022】
実施の形態4.
次に、実施の形態3に示した位置検出センサを、野球ゲームや、あるポイントにボールを入れてその得点を競うピンボール等の盤上ボールゲーム機に適応した例を説明する。
そこでは、ゲーム盤面がセンサの平面に当たり、この盤面の必要個所に金属ボール検知用の金属端子付き孔をあけておく。この孔は、例えば野球ゲームであれば、「ファウル」や「ホームラン」などに対応する位置にそれぞれ設けられるものである。さらに、盤上ボールゲーム機の内部には、それぞれの孔に対応して、それらの名称、得点、効果音等を音で現すための音発生手段が内蔵されている。この音発生手段は、例えば、実施の形態2で説明したサイコロに使用した回路と同様に構成されることができ、金属ボールが孔に入ると、その孔が特定され、その孔に対応する名称、得点等に関する音声や効果音等が出力されるようにしたものである。この位置検出センサを利用した盤上ボールゲーム機は、その構成が比較的簡単であるという利点を有する。
【0023】
以上、本発明の位置検出センサ及びその応用例をいくつか説明してきたが、本発明の位置検出センサは、その他、次のような応用も可能である。
(1)安全スイッチへの応用
これは、例えば、ある孔の両端の金属端子と金属ボールからなる回路を各種装置の電源回路に直列に配置しておき、該装置が転倒した場合等に金属ボールが孔から離脱して孔両端の金属端子の導通が遮断されることを利用し、装置の電源を遮断させるものである。
(2)衝撃計、震度計への応用
これは、例えば、金属ボールの動作加速度を検出することで衝撃の程度を測定し、また、金属ボールの孔からの飛び出しを地震の震度に関連して予め設定して記憶しておき、その金属ボールの飛び出しをもとに地震の震度を測定する等の方法を通して可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明の位置検出センサによれば、ある範囲毎の位置検出を簡単や構成で実現できる。
また、この位置検出センサを利用した本発明のサイコロやゲーム機は、その出目音や効果音等を簡易かつ安価な構成で出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置検出センサの外観図。
【図2】図1の位置検出センサの動作を示す内部構成図。
【図3】本発明の実施の形態2に係る音声出力併用サイコロの回路構成図。
【図4】図3のサイコロにおける音声発生の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
10 位置検出センサ
11 位置検出センサを構成する中空立方体
12 円孔
13 金属ボール
14 金属端子
15a〜15f 出力端子
16 プログラマブルIC(CPU)
17 ICレコーダ
18 アンプ
19 スピーカ
Claims (4)
- 中空の多面体と該多面体の内部に入れられた金属ボールとを備え、前記多面体の各面には前記ボールと嵌合可能な形状の孔が形成されており、該孔を挟んでその両端に金属端子が配置され、前記ボールと前記孔との嵌合により該孔両端の金属端子が導通するように構成されており、該導通を検知することで前記多面体の面位置を特定することができるようにしたものにおいて、
前記多面体の各面を特定の基準面を基に予め設定した角度にそれぞれ対応させておき、前記多面体の面位置特定に基づいて該多面体の前記基準面からの回転角度を出力することを特徴とする多面体の回転角度検出センサ。 - 予め定めた音声が記録されたレコーダと、前記多面体の回転角度の出力信号を受け取り該信号に対応した音声信号を出力するように前記レコーダを制御する制御装置と、前記レコーダからの音声信号を音声に変換して出力する音声出力装置と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の多面体の回転角度検出センサ。
- 中空の多面体と該多面体の内部に入れられた金属ボールとを備え、前記多面体の各面には前記ボールと嵌合可能な形状の孔が形成されており、該孔を挟んでその両端に金属端子が配置され、前記ボールと前記孔との嵌合により該孔両端の金属端子が導通するように構成されており、該導通を検知することで前記多面体の面位置を特定することができるようにしたものにおいて、
前記多面体の各面を特定の基準面を基に予め設定した角度にそれぞれ対応させておき、前記多面体の面位置特定に基づいて前記多面体の前記基準面からの回転角度を出力する多面体の回転角度検出センサと、
前記多面体の予め定めた所定位置の国名を示す音声が記録されたレコーダと、前記多面体の回転角度の出力信号を受け取り該信号に対応した音声信号を出力するように前記レコーダを制御する制御装置と、前記レコーダからの音声信号を音声に変換して出力する音声出力装置と、を備えたことを特徴とする地球儀。 - 中空の多面体と該多面体の内部に入れられた金属ボールとを備え、前記多面体の各面には前記ボールと嵌合可能な形状の孔が形成されており、該孔を挟んでその両端に金属端子が配置されており、前記ボールと前記孔との嵌合により該孔両端の金属端子が導通するように構成されており、該導通を検知することで前記多面体の面位置を特定することができるようにしたものにおいて、
前記多面体の各面を特定の基準面を基に予め設定した角度にそれぞれ対応させておき、前記多面体の面位置特定に基づいて前記多面体の前記基準面からの回転角度を出力する多面体の回転角度検出センサと、
前記多面体の予め定めた所定位置の星座を示す音声が記録されたレコーダと、前記多面体の回転角度の出力信号を受け取り該信号に対応した音声信号を出力するように前記レコーダを制御する制御装置と、前記レコーダからの音声信号を音声に変換して出力する音声出力装置と、を備えたことを特徴とする天球儀。
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