JP3629531B2 - 電極形成法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、大気中常温下において基板上に所定のパターンを有する電極を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、基板上に薄膜を形成する方法としては、真空蒸着法やスパッタ法のように特殊な雰囲気下に高エネルギーを物質に与えて飛散・付着させるもの、スピンコート法やキャスト法のように、物質を溶かした揮発性溶液を直接基板に滴下して乾燥・薄膜化させるもの、水面展開法やラングミュア・ブロジェット法のように物質を溶かした揮発性溶液を水面上に滴下して薄膜化した後に基板上に転写するもの等が知られている。
しかしながら、真空蒸着法やスパッタ法では、高い運動エネルギーや高い熱エネルギーを有する物質が基板上に飛来してくることに伴い、基板上に予め存在している層にダメージを与え易いという問題がある。また、スピンコート法やキャスト法では、溶媒の蒸発による体積収縮のために形成される膜の稠密性が低下するうえ、溶媒が下の層を侵食する可能性がある。さらに、水面展開法やラングミュア・ブロジェット法では、薄膜のパターン形成が困難であるという問題があった。
そのため、例えば、基板上に下部電極を形成し、その上に有機色素分子薄膜を形成し、さらにその上にパターン化された電極を形成して有機EL素子や有機太陽電池を作製しようとする場合には、有機色素分子薄膜表面にダメージを与えることが不可避であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、基板上に形成された有機分子薄膜や生体分子薄膜は、常温・常圧から外れた過酷な条件下では変質し易く、また、有機溶媒には溶け出し易いという性質を有するため、それらの薄膜上に重複したパターンを有する電極を形成するためには、予め形成された導電性薄膜を、常温・常圧下で基板上に転写するという方法を用いなければならない。
本発明は、従来の技術における上記した実状に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、大気中常温下において、有機溶媒に直接触れさせることなく、基板上に任意のパターン化された導電性有機物の良好な電極を、簡易にかつ安全に作製する電極形成法を提供することにある。
【0004】
【問題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、容器中の水面上に形成された導電性有機物の薄膜を用いて、簡易な方法で基板上に電極を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の電極形成法は、水面上に導電性有機物を有機溶媒に溶解させた溶液を滴下し、該溶液中の溶媒が蒸発した後、水面上に析出した導電性有機物を寄せ集めて稠密な導電性有機物の薄膜を形成し、該薄膜の上に、予め所定の電極パターン形状の開孔を設けた基板の表面を疎水性のマスクを介して配置することにより、基板上にパターン形状を有する導電性有機物の電極を設けたことを特徴とする。その際、使用するマスクとしては、その表面が疎水性のものであることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電極形成法について詳細に説明する。
本発明においては、まず、一定量の水を入れた容器等の内部の水面上に導電性有機物を有機溶媒に溶かした溶液を滴下すると、溶媒が蒸発した後には、水面上に導電性有機物が析出する。この段階では、溶媒蒸発による体積収縮が起こり水面上に析出した導電性有機物には多くの隙間が存在しているため、水面と平行な方向から何らかの圧力を加えて、その導電性有機物を寄せ集めて稠密な導電性有機物の薄膜を形成させる。これにより水面上に導電性薄膜を用意することができる。
次に、この水面上に用意された導電性薄膜の上に、予め所望とする電極パターン形状にくり抜いた開孔が設けられている疎水性のマスクを置くことにより、電極パターンに沿った形状で導電性有機物の薄膜部分が空気側に露出する。そのマスクの上に基板の表面を重ね合わせることによって、露出した導電性有機物の薄膜部分を容易に基板上に転写することができ、この操作により基板上にパターンを有する導電性薄膜が転写される。この基板を付着させる操作を数回繰り返すことにより、転写される膜厚を増加させることができ、形成された電極の導電率を適宜制御することが可能となる。
【0006】
本発明の電極形成法に用いる導電性有機物としては、有機溶媒に溶解し、水面上で成膜性を有する従来公知の導電性有機物であれば使用可能であり、例えば、テトラシアノキノジメタン類、テトラシアノアントラキノジメタン類、テトラシアノジフェノキノン類、チオフェン誘導体、アズレンキノン類、テトラチアフルバレン等のチアフルバレン類、フルバレノファン類、テトラチアテトラセン類、フラーレン類、ジベンゾシクロオクタン系のセレン系化合物等の有機化合物又はそれらの錯体、ポリアセチレン類、ポリチエニレン類、ポリピロリレン類、ポリパラフェニレンビニレン、ヘテロアリーレン系共重合体、ポリホスフィンボラン類、イソインドリレン類重合体等の有機重合体が挙げられる。これらの中でも、テトラチアフルバレン・テトラシアノキノジメタン錯体(TTF/TCNQ)、N−n−ブチルイソキノリニウム・テトラシアノキノジメタン錯体(Qu・TCNQ2)、N−n−ピリジニウム・テトラシアノキノジメタン錯体、テトラメチルテトラチアフルバレン・テトラシアノキノジメタン錯体等が好ましい。
【0007】
これらの導電性有機物を溶解させる有機溶媒としては、水と混和しない有機溶剤であり、かつ揮発性のものであれば使用可能であり、例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類等が挙げられ、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、アセトニトリル等が好ましく、これらを単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。
【0008】
本発明において、電極を設ける基板としては、表面が強親水性を有しない固体状の材質であれば使用可能であり、例えば、ガラス、シリコン等の無機材料でも、プラスチック、有機化合物等の有機材料でもよく、なかでも、疎水性表面を有するもの又は疎水性にするための表面処理を施されているものが好ましい。また、それらの形状は問わない。
【0009】
また、電極パターンの形成に用いるマスクは、水面上に形成された導電性有機物の薄膜の不要な部分を覆い、所望とするパターンの導電性有機物薄膜部のみを空気側に露出させる役割を果たすものである。このマスクとしては、表面が疎水性のものであれば使用可能であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル、ポリエチレン、テフロン等で代表されるプラスチックフィルム等の疎水性の薄膜が挙げられる。また、マスクは、予め基板上に形成したい電極パターンの形状に合わせた開孔を適宜設けて使用されるが、パターン形状に沿って導電性薄膜を露出できれば、必ずしも水面上に浮かべる必要はない。そのマスクの開孔の形状としては、電極として使用されるものであれば良く、例えば、正方形、長方形、円形、楕円形、十字形等が挙げられる。このマスクの膜厚としては、10〜100μm程度のものを用いることが好ましい。
【0010】
本発明の方法において、水面上に析出した導電性有機物を寄せ集めて稠密な導電性有機物の薄膜を形成させる手段としては、板状物、棒状物、型枠等の器具を用いる方法、水流を利用する等の他の方法も可能であり、水面上の物質を移動させることができる手段であれば如何なる方法も使用可能である。また、形成された導電性有機物薄膜上に疎水性マスクを介して基板を配置する手段としては、マスクが薄膜と基板との間に介在し得る配置であれば良く、水面上にマスクを置く方法、基板の表面に予めマスクを付着させて一体としたものを薄膜上に置く方法等の操作方法を採ることができる。
【0011】
図1は、本発明の電極形成法を実施するための一構成例を示す概略図である。図1において、1は水、2は水面を囲う枠、3は導電性有機物の薄膜、4はパターン形状にくり抜いた開孔を設けた疎水性マスク、5は疎水性表面の基板である。
また、図2は、本発明の電極形成法に用いられるマスクの形状の一例を示すものである。
【0012】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
約5℃の純水1の上に、テトラチアフルバレン・テトラシアノキノジメタン錯体(TTF/TCNQ)を溶解させたクロロホルムとアセトニトリルの混合溶液(体積比:1/1)を約1ml滴下し、約5分間放置すると、水面上にTTF・TCNQの集合体が析出した。次に、枠2を動かして囲まれた面積を減少させることにより析出物を寄せ集めると、稠密なTTF・TCNQ膜3が形成された。純水1上に稠密な膜3が形成された状態は、水面の表面張力の増加という現象で検出し、表面張力が10mN/mとなったところで枠2の移動を停止した。
次に、図2に示す電極パターン形状(幅3mm×長さ25mm)にくり抜いたPETフィルムをマスク4として用いた。これは20回程度の基板付着操作が可能なものである。このマスク4をTTF・TCNQ膜3上に被せて、パターンに沿った形状のTTF・TCNQ膜3を空気側に露出させた。
この状態でマスク4の上から基板5を合わせてパターンの一部に付着させると、パターンに沿った形状のTTF・TCNQ膜3が基板5に転写された。
さらに、マスク4の左上パターン部から隣のパターン部へと順番に位置合わせした上で、基板5を付着させる操作を繰り返し行うことで、転写されるTTF・TCNQ膜の厚さ、すなわち電気伝導度をパターン形状を崩すことなく増加させることができる。
上述した手順に従い、基板5を水面1上のTTF・TCNQ薄膜3に10回付着させたところ、マスクパターンに対応する電気抵抗率約10KΩ/sqのTTF・TCNQ薄膜が基板5上に形成された。
【0013】
実施例2
導電性有機物を溶解させた溶液として、N−n−ブチルイソキノリニウム・テトラシアノキノジメタン1:2錯体(Qu・TCNQ2)のトルエン、アセトニトリル混合溶液(体積比:1/1)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行ったところ、マスクパターンに対応する電気抵抗率約100KΩ/sqのQu・TCNQ2薄膜が基板上に形成された。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、大気中常温下において有機溶媒にさらすことなく簡便な方法で基板上に所望のパターンを有する電極を容易に形成することができるから、所望のパターン化された電極を必要とする電気材料、例えば、有機EL素子、有機太陽電池、液晶等の分野に用いられる電極の作製に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極形成法を実施するための一例を示す略断面図である。
【図2】本発明に用いるマスクの開孔の一形状例を示す。
【符号の説明】
1 水
2 枠
3 導電性有機物の薄膜
4 マスク
5 基板
Claims (2)
- 水面上に導電性有機物を有機溶媒に溶解させた溶液を滴下し、該溶液中の溶媒が蒸発した後、水面上に析出した導電性有機物を寄せ集めて稠密な導電性有機物の薄膜を形成させ、該薄膜の上に、予め所定の電極パターン形状の開孔を設けた基板の表面を疎水性のマスクを介して配置することにより、基板上にパターン化された導電性有機物の電極を形成することを特徴とする電極形成法。
- 前記基板の表面が、疎水性のものである請求項1に記載の電極形成法。
Priority Applications (1)
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JP2001009614A JP3629531B2 (ja) | 2001-01-18 | 2001-01-18 | 電極形成法 |
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2001
- 2001-01-18 JP JP2001009614A patent/JP3629531B2/ja not_active Expired - Lifetime
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