JP3628316B2 - 咬合器への上顎石膏型装着用具,上顎石膏型および咬合器への上顎石膏型取付方法 - Google Patents

咬合器への上顎石膏型装着用具,上顎石膏型および咬合器への上顎石膏型取付方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は石膏型の採得技術および咬合器への上顎石膏型の取付技術に関する。詳しくは、補綴物を製作するのに使用する上顎石膏型の採得技術であり、咬合器に対して上顎石膏型を正しく取り付ける技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科医師が例えば虫歯治療を行う場合、歯を削って型(石膏型)を取った後、この型に基づいて作製し歯の治療に供するために口内に入れるもの(以下「補綴物」という。)として、例えばゴールドその他の金属からなり削った歯に被せるクラウン(冠)が挙げられる。その他補綴物としては、虫歯を削り取った後の歯に詰めるインレーや、歯が無くなった後に入れる義歯(入れ歯のことを言うが、取り外しの出来るものと出来ないものがある)等がある。
【0003】
ところで、補綴物を装着した患者の中には、補綴物が高かったり低かったりしてうまく噛めないという患者が少なくない。
【0004】
これは患者の石膏型を採る時の患者の姿勢を考慮せずに補綴物が作成されたことが一因として挙げられる。
【0005】
人が食事をとる場合の姿勢は、やや俯き加減であり、胴体と首との間の挟み角は俯角である。これに対し、補綴物の製作を行うために歯科医院にて石膏型を取る場合、患者は椅子に座り、背もたれで上を向く姿勢となり胴体と首との間の挟み角は仰角となる。
【0006】
よって食事を取る時と異なる姿勢で採得した石膏型に基づいて補綴物を製作しても、患者にとっての好適な補綴物とはなりにくいのである。
【0007】
身体(生体)は、時々に応じた形態を取りながらバランス(以下「身体バランス」という)を取っており、身体バランスは咬合にも影響する。このため、仰角状態で取った石膏型に基づいて製作した補綴物では、食事を取るときにうまく噛めないという感覚を患者は覚えるのである(しかしながら、実際のところはうまく噛めないという感覚も、身体バランスが崩れる方向に変化して徐々に慣れてしまうと、当該バランスの崩れた状態が、患者にとっての普通の状態になってしまい、違和感は薄れて行く。)。
【0008】
よって人が食事をとる時の状態にできるだけ近い状態で石膏型を取ることが望ましい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、人の歯は、上下顎骨及び顎関節の構造上、奥歯から噛み合わせが始まる。すなわち、第2大臼歯の咬合開始から第1小臼歯が噛み合わされるまでに時間差を生じるわけであるが、その時間差が患者個体の許容範囲内にあれば問題ないけれども、前記時間差が許容範囲よりも大きかったり、または左右の奥歯が同時に噛み合わされずに右側の奥歯が左側の奥歯よりも最初に接触したり、あるいは反対に左側の奥歯が右側の奥歯よりも最初に接触したりした場合や奥歯が最初に接触せずに前歯が最初に接触したりする場合には、顔面頭蓋骨の変位や変形をもたらす虞がある。
【0010】
これは次の理由による。
【0011】
すなわち最初に上の歯と下の歯とが接触する部分を一次接触といい、二番目に接触する部分を二時接触というが、咬合が左右の奥歯で同時になされないと、噛むたびに上顎骨は一次接触の後に二次接触を探して変形移動し、一次接触する部位に集中応力が生じるため一次接触する部位の負荷が大きくなる。よって顔面頭蓋骨に変異や変形をもたらし、延いては身体の歪みとなっていくのである。咬合の狂いが身体バランスに悪影響を与えるので、当該バランスの崩れが全身のゆがみを引き起こし、そのゆがみが患者にとっての許容範囲を超えると、頭痛とか腰痛とかいった種々の不定愁訴となって現れる。それ故近年、不定愁訴の改善策として咬合の改善がクローズアップされてきたのは周知のとおりである。
【0012】
しからば、咬合が正しくなれば、または補綴物で咬合せの修正ができるのであれば、全身のゆがみを修正できるはずである。
【0013】
ところが、これまでは、身体バランスの問題を考慮して補綴物制作の基礎となる石膏型の取り方についてその重要性が認識されているとは言い難かった。
【0014】
人の顔を観察すると左右で非対称であることがわかる。そして、本発明者は、長年の鋭意努力の結果、頭部の傾き・顔の向き・目の形や位置・耳の位置・下顎角部の角度・鼻の曲がり方などの顔の作りから、患者の咬合状態を判断できることを突き止めた。
【0015】
そして、身体バランスのとれた状態では、不定愁訴の発生率が少ないことも突き止めた。
【0016】
しからば、左右の奥歯で咬合が同時になされる状態で石膏型を採得し、当該採得した石膏型に基づいて補綴物を制作できれば、身体バランスのくずれを防止し、患者の全身のゆがみを修復でき、不定愁訴となることもないと考えた。
【0017】
そこで歯科医師が患者の身体バランスを容易に取れるようにするために、歯科医師のナビゲータ的役割を簡単に実行できる指標となるものが要求されるに至った。
また、補綴物を口内に入れても咬み合わせがうまくいかない原因として、咬合器への石膏型の装着の仕方が挙げられる。
【0018】
咬合器は、周知のごとく石膏で取った上下の歯型の石膏型を取り付けて、口腔内の状態を再現するための装置である。咬合器に取り付けられた上下の歯型の石膏型を観察することで、患者が顎を前へまたは左右に動かしたときに上下のどの歯で当たったり、また当たっていないかがわかる。なお上顎の歯形の石膏型を上顎石膏型といい、下顎の歯形の石膏型を下顎石膏型という。
【0019】
しかしてせっかく採った石膏型であってもこれを咬合器に正確に載置できなければ意味がない。ところが石膏型を咬合器に正確に取付けるには高度の熟練を要する。このため、患者の口腔内の状態を正確に再現するのは難しいといわれている。よって、補綴物が患者に適合しない場合も当然あり得る。
【0020】
上顎石膏型を咬合器に取り付けるにあたって、周知のごとくカンペル平面が利用されている。カンペル平面は、口内の咬合平面に平行な面とされており、咬合器への石膏型の設置にあたって利用される基準面である。ところが患者の左右の耳の高さが違っていると当該基準面であるカンペル平面を正確には得られない。
【0021】
また、上顎石膏型が咬合器に正確に固定されないと、上下顎石膏型が時計回り方向にあるいは反時計回り方向にずれてしまったり、3次平面的に上下左右方向にずれてしまったりして、当該状態が口腔内の状態と判断されてしまう虞がある。よって、正確な咬合を再現しにくいという問題があった。
【0022】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、左程の熟練を要せずとも、石膏型の採得が正しくできるとともに、咬合器への石膏型の正しい取付けをすることで、患者の口腔内の状態を正確に再現し、もって患者に好適に適合できる補綴物を製造することを技術的課題とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の技術的課題を解決するために以下のようにした。
【0028】
本発明は、咬合器への上顎石膏型装着用具であって、基台となる透明基板と、歯形の石膏型に表出する、口蓋骨水平板及び骨口蓋・歯槽骨の接合部である左右一対のハムラノッチ部に載置される、前記透明基板に一体形成された垂下板と、前記石膏型に表出する切歯乳頭部の最盛部に取着される移動自在な切歯乳頭支持ピンと、この切歯乳頭支持ピンの前記透明基板に対する位置決め固定を行う固定手段と、前記透明基板に形成され前記切歯乳頭支持ピンの位置表示を行う目盛りと、前記透明基板の表裏二面に形成され、前記垂下板の中心から平行にかつ前記切歯乳頭支持ピン側及びその反対側に向けて延びる一対の基線と、前記垂下板を貫通する貫通ピンとを有する。
【0029】
前記固定手段は、前記透明基板に対して移動する透明移動板と、この透明移動板を前記透明基板に対してスライドするスライド機構と、このスライド機構により移動した前記透明移動板を前記透明基板に対して固定する螺合手段とからなる。
【0030】
前記スライド機構は、前記透明基板に形成され前記基線に平行な貫通孔と、前記透明移動板に固定されるとともに、前記貫通孔にゆるみ嵌め状に貫通されるボルトと、このボルトと螺合するナットとからなる。
【0031】
また、本発明は、咬合器への上顎石膏型装着用具であって、咬合器において上顎石膏型の載置台となるテーブルと、このテーブルに置かれ、歯形の上顎石膏型に表出する、口蓋骨水平板及び骨口蓋・歯槽骨の接合部である左右一対のハムラノッチ部に当接支持するハムラノッチ保持板と、前記テーブルに対して自在にスライド可能であって、上顎石膏型に表出する切歯乳頭部の最盛部を支持する切歯乳頭保持ピンを有する透明スライド板と、前記テーブルに設けられ、前記切歯乳頭支持ピンの位置決めを行う指標である目盛りと、前記テーブルに設けられた中心線とを有する。
【0032】
前記ハムラノッチ保持板は、横断面で倒立T字状の部位を有する。
【0033】
前記ハムラノッチ保持板は、前記テーブルと面接触した状態でスライドするテーブル接触部分と、このテーブル接触部分から植立し、前記上顎石膏型に表出するハムラノッチ部に当接する当接部とからなる。
【0034】
また、本発明は、上顎石膏型であって、上顎歯形の石膏型に表出する、左右一対のハムラノッチ部に前記ハムラノッチ保持板を係止する係止溝を有する。
【0035】
さらに本発明は、上顎石膏型の取付方法であって、次に手順1〜15を含む。
(手順1)上顎石膏型に表出する切歯乳頭部の形態を上顎石膏型上でシャープペンシルにてなぞる(以下『印記する』という)。
(手順2)前記上顎石膏型に表出する左右のハムラノッチ部を印記する。
(手順3)前記上顎石膏型に表出する口蓋正中縫合を印記する。
(手順4)前記切歯乳頭部の最盛部に小孔を穿孔する。
(手順5)前記小穴に入れられる切歯乳頭支持ピンを有する透明移動板を、基台としての透明基板に対してフリー状態にし、前記切歯乳頭支持ピンを前記小孔に入れる。
(手順6)前記透明基板に垂下される垂下板の先端を鋭角にし、当該先端を前記左右のハムラノッチ部に合わせる。
(手順7)前記透明基板を左右にずらして前記垂下板に貫通垂下されている貫通ピンを前記口蓋正中縫合の真上で位置合わせした後、下方に延ばして前記口蓋正中縫合に当接して接点を求める。
(手順8)この状態で前記透明移動板を固着手段により前記透明基板に固定し、もって、上顎石膏型に表出する口蓋骨水平板及び骨口蓋・歯槽骨の接合部である左右一対のハムラノッチ部と、軟組織部で骨の下支えのない切歯乳頭部の最盛部と、左右一対のハムラノッチ部を結ぶ仮想線であるハムラノッチ結合線及び口蓋正中縫合の接点とからなる3種4点を結んでなるHIP平面を確定する。
(手順9)前記接点から前記仮想のハムラノッチ結合線に対して前記切歯乳頭部側に向けて垂直に延びる垂線に対する前記最盛部のずれ量及び前記仮想のハムラノッチ結合線から前記最盛部までの距離とを測定する。
(手順10)前記上顎石膏型の後面に貫通ピンの長手方向先端側に延びる仮想の延長線を印記する。
(手順11)手順9で得た、前記垂線に対する前記最盛部の左右のずれと、前記仮想のハムラノッチ結合線から前記最盛部までの距離とを、目盛り84を用いて咬合器に取り付けられたテーブル上で反映させるべく、前記上顎石膏型を前記テーブルに載置した場合に当該上顎石膏型に穿孔された前記小孔に入れられる前記切歯乳頭保持ピンを有する透明スライド板をテーブルの目盛り上で移動する。
(手順12)上顎石膏型をテーブルに移動し、前記小孔に透明スライド板の切歯乳頭保持ピンを入れる。
(手順13)上顎石膏型のハムラノッチ部に先端を鋭角にしたハムラノッチ保持板を当てる。
(手順14)上顎石膏型の後面に印記した前記仮想の延長線と、テーブルの表面に設けられ、前記目盛りの中心を通る中心線とを合わせる。
(手順15)上顎石膏型を咬合器上弓に固定する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下「実施形態」と呼称する)を図示例と共に説明する。
【0037】
本発明に係る石膏型採得用椅子1は、患者の歯形の石膏型を取る前に咬合と密接に関連するといわれている股関節での身体バランスの歪みを修正するためのものである。
【0038】
当該修正がされたか否かは、患者を椅子1に座らせ身体上部を正面に向かせて頭部の傾きを修正することで行う。
【0039】
頭部の傾きを修正すると、顔の作りが変わり、目や耳の高さが左右で違っていた場合でもそれらの位置が同じになる。また曲がっていた背筋が伸びたり、傾いていた体が地軸に対して垂直になったりする。そしてこのような姿勢になった場合を身体バランスの歪みが修正されたという。
【0040】
以下このような身体バランスの歪みを修正するための本発明に係る石膏型採得用椅子1を具体的に説明する。
【0041】
図1に示すように、石膏型採得用椅子1は、地面に水平な座部2を有する座台3と、この座台3の後縁中央から垂直に延びる背板5と、座台3に平行な足置台7と、この足置台7,背板5及び座台3の各中央を連通する通し線9とを有する。
【0042】
座台3は、4本の脚11と、これらの脚11の頂部に位置する矩形状の座板13とからなり、座板13に通し線9が引線されている。
【0043】
背板5は、座板13の中央から植立する板であり、その中央には長手方向に延びる前記通し線9が引線されている。
【0044】
足置台7には、座台3に対して図示しない周知の平行調節機構がついており、この平行調節機構の使用により、座台3に対して足置台7が平行になるように設定される。
【0045】
座台3,足置台7,背板5は、硬質性材料で形成されている。硬質性材料とは、例えば木やプラスチック等クッション性のない材料からなるものである。
【0046】
さらに前記座台3上には、図2に示すように、高さ調整用の座台17を置けるようになっている。
【0047】
高さ調整用の座台17は、高さ寸法が3cmであって、この調整用座台17にも通し線9を引線してある。なお引線とは引線される座台3,足置台7,背板5に直にインク等で引線してもよいのは勿論、それらにカラーテープを貼り付けた場合でも引線として取り扱う。要は足置台7,背板5及び前記座台3の各中央を連通する通し線9が存在すればこれを引線という。
【0048】
また、高さ調整用の座台17の両側面には、座台3に載せた場合のずれ防止用測片17aが形成されている。
【0049】
石膏型採得用椅子1に患者を着座させた状態で石膏型をとるために周知の印象採得を行う。印象とは、石膏型を採得するにあたって、患者の患部の上下に印象材と言われるよく混和したモデリングコンパウンドなどの軟化性材を押圧固化して形成した、口腔内患部の形態を正確に表した上下一対の雌型模型をいう。そして採得した印象に石膏を注入固化したものを石膏型といい、上顎の歯形の石膏型を上顎石膏型といい、下顎の歯形の石膏型を下顎石膏型という。そして、これら上下の石膏型が咬合器に載置されることで、口腔内の状態が再現できる。
【0050】
次に図3を参照して本発明に係る上顎石膏型装着用具である計測器18について説明する。
【0051】
計測器18は、上顎石膏型を咬合器に正確に装着するための装置である。
【0052】
ここで、本計測器独自の計測の基準点について説明する。
【0053】
図4に示すように上顎石膏型19に表出する、口蓋骨水平板及び骨口蓋・歯槽骨の接合部である左右一対のハムラノッチ部20r,20lと、軟組織部で骨の下支えのない切歯乳頭部21の最盛部21aと、前記左右一対のハムラノッチ部20r,20lを結ぶハムラノッチ結合線22と口蓋正中縫合23との接点24からなる3種4点を基準点とする。
【0054】
そして、これら4点を結んでなる平面をそれら4点の英語表記の頭文字をとってHIP平面といい、符号25で示す。また上顎石膏型19を示す各図において符号26で示すものは歯牙である。
【0055】
また、左右一対のハムラノッチ部20r,20lには、図5や図25に示すような係止溝103がスティキーワックスを盛り土状に盛って形成してある。当該盛土状部分をポストダムと称し、符号105で示す。係止溝103は横断面でV字状をしている。
【0056】
本明細書で記述するHIPのHは、ハムラノッチ:Hamular−notchのHであり、同じくIは、切歯乳頭部:Incisive papillaのIであり、同じくPは、口蓋正中縫合部:Palataain mediansutureのPであり、巷いわれるハムラノッチ:Hamular−notchのHと、切歯乳頭部:Incisive PapillaのIとPとからなる2種3点を基準点として結んでなるHIP平面とはあくまで異なることを強調したい。
【0057】
なお、本明細書でいうHIP平面とは、以降特に断らない限り、既述した本明細書独自に定義するところのHIP平面である。HIP平面は周知のカンペル平面と平行であり、カンペル平面と患者固有の咬合平面が平行になっていると好適な咬合が実現できる(ただしHIP平面とカンペル平面は、数学でいうところの平面であるけれども、患者固有の咬合状態は数学でいうところの平行な面ではない。これは、ある歯牙は長いけれども他の歯牙は短いといったことがあり、すべての歯牙の先端が同一平面上に面一で存在しないからである。そして、歯列の先端が同一平面上に面一でないが故に、噛むたびに上顎骨の歯牙は一次接触の後に二次接触を探して変形移動し、これが習慣化すると、噛む度に顔面頭蓋骨が歪み、延いては身体上の歪みとなって頭痛とか腰痛とかいった種々の不定愁訴となって現れる。天然歯列では殆どが平面という状態を成していないが、業界では、上顎の歯牙の咬合面を連ねたものを便宜上咬合平面といっている。)。
【0058】
このような考えから、HIP平面を計測し、HIP平面と患者固有の咬合平面とを比較し、当該比較した結果に基づいて、咬合が同一平面上でなされるように補綴物を作れば、補綴物を介して作られた新たな咬合平面が、カンペル平面と平行になり得るため、患者にとって理想の咬合平面を提供出来るという考えに基づいて創出されたのが本発明に係る計測器18である。
【0059】
また、図5から、ハムラノッチ結合線22と口蓋正中縫合23との接点24から切歯乳頭部21側に向けて延びる垂線43上に切歯乳頭部21はなく、切歯乳頭部21は垂線43に対して幾分左右にずれているのがわかる。
【0060】
本実施形体では図面5に正対して右に切歯乳頭部21がある。そして本計測器18は、そのずれと、ハムラノッチ結合線22から切歯乳頭部21までの距離を測定するものである。
【0061】
なお、当該測定は切歯乳頭部21のうち肉の盛り上がりが一番多い最盛部21aにおいて行う。最盛部21aは、軟組織からなる切歯乳頭部21のうち重力の影響を受けて一番下方に突出している部位である。
【0062】
このような計測器18の構成について、図3,図6,図7を参照しながら述べる。
【0063】
計測器18は、その構成部品が搭載される基台となる透明基板28と、上顎石膏型19のハムラノッチ部20r,20lに載置され前記透明基板28に一体形成された垂下板31と、上顎石膏型19に表出する切歯乳頭部21の最盛部21aに計測器18を固定できるようにするために透明基板28上で移動自在な切歯乳頭支持ピン37と、この切歯乳頭支持ピン37の前記透明基板28に対する位置決めとその位置での透明基板28の固定を行う位置決め固定手段39と、透明基板28に形成され切歯乳頭支持ピン37の位置表示を行う目盛り41と、透明基板28の上下の二面28u及び28dにそれぞれ形成され、前記垂下板31を横断するようにその中心から延在する上下一対の平行な中心基線43u及び43dと、垂下板31と中心基線43u及び43dとの交点に位置し垂下板31を上下に貫通移動する貫通ピン42とを有する。なお中心基線43u,43dを総称して中心基線43と称する場合がある。
【0064】
透明基板28は、透明プラスチック製の板材でできており、長四角形の上に等脚台形を載せたごとき変形六角形状をしている。そして、上面28uに位置する中心基線43uのうち、長四角領域45と等脚台形領域47との境界の前後に延びる刻印領域が、前記目盛り41である。目盛り41は、1ミリ幅の複数の升目からなり、縦20ミリ横6ミリ幅である。そして、これらの升目の中央を前記中心基線43uが上下に延びている。また、目盛り41には、ハムラノッチ結合線22から切歯乳頭部21までの平均的な寸法値が刻印されている。成人した日本人の平均的寸法は40mm〜60mmの範囲にあるので、目盛り41には数値40,50,60が刻印されている。
【0065】
また、中心基線43の一側部には、中心基線43から幾分離れた箇所に中心基線43に平行に延びる数ミリ幅のスリット51が形成されている。また、透明基板28の下面28dのうち長四角領域45には、垂下板31を透明基板28に取り付けるための凹溝55が形成されている。凹溝55中心基線43と直角に交叉する。
【0066】
垂下板31は、凹溝55に嵌合されてねじ止めされる。垂下板31は、厚さ数ミリの金属製板材の一側縁を両面から削ることで横断面形状でくさび状になるように鋭角で先細りな形状にされている。
【0067】
切歯乳頭支持ピン37は、上顎石膏型19の切歯乳頭部21の最盛部21aに取着されるように先細りにされたピン体であって、次に述べる位置決め固定手段39の構成部材である透明移動板57の一端側に取り付けられている。
また、切歯乳頭支持ピン37は、図8に示すように截頭円錐状の主部37aと主部37aの截頭部から突出し実際に切歯乳頭部21に当たる突起部37bと、主部37aの反截頭部側に延びる螺棒37cとからなる。
【0068】
透明移動板57の透明基板28に対する位置決めと固定を行う前記位置決め固定手段39は、透明移動板57をスリット51に沿って移動する透明移動板57と、透明移動板57を透明基板28に対してスライドするスライド機構58と、このスライド機構58により移動した透明移動板57を透明基板28に対して固定する螺合手段59とからなる。
【0069】
透明移動板57は、図9に示すように、競技用トラックを変形した如き形体であって、一方の周回部63側に向けて拡径している。そして、当該一方の周回部63は、等脚台形の上辺を円弧にしたごとき形状をしている。周回部63側には、切歯乳頭支持ピン37の螺棒37cが螺合される螺孔63aが形成されている。透明移動板57の他方の周回部64は、その中心に貫通孔67が形成され、当該貫通孔67を透明基板28の前記スリット51に重ね合わせた状態で前記螺合手段59による螺子止めをすることによって透明基板28に対する透明移動板57の位置決め固定がなされる。
【0070】
螺合手段59は、図6や図7に示すように、透明移動板57の貫通孔67に固定されたボルト60と、ボルト60に螺合する蝶ナット61とからなる。
【0071】
スライド機構58は、透明基板28のスリット51と、このスリット51にゆるみ嵌め状に貫通される前記ボルト60と、このボルト60と螺合する前記蝶ナット61とからなる。
【0072】
貫通ピン42は、その先端が垂下板31を貫通し上下に可動するようになっている。
【0073】
次に図10を参照して本発明に係る咬合器65の説明をする。
【0074】
咬合器65は、下顎運動の再現をする必要がないという理由から半調節性咬合器が好適である。このタイプとしては、顆路角調整・切歯路角調整可能でかつベネットシフト付きのハノー社製咬合器が好適である。
【0075】
咬合器65は、図10に示すように、図示しない下顎石膏型が取り付けられる咬合器下弓66と、この咬合器下弓66に立設された一対の支柱69,71と、これら支柱69,71によって両端を回動自在に支持されるとともにカンペル平面に平行に想定された、上顎石膏型19が取り付けられる咬合器上弓73とを有する。
【0076】
次に図9を参照して本発明に係り、咬合器65に上顎石膏型19を載置するのに用いる上顎石膏型装着用具77について述べる。
【0077】
上顎石膏型装着用具77は、咬合器65において上顎石膏型19の載置台となるテーブル79と、このテーブル79に置かれ、上顎石膏型19に表出する前記ハムラノッチ部20r,20lを支持するハムラノッチ保持板81と、前記テーブル79に対して自在にスライド可能であって、上顎石膏型19に表出する切歯乳頭部21の最盛部21aを支持する切歯乳頭保持ピン83を有する透明スライド板85とを有する。
【0078】
テーブル79は、図10に示すように、咬合器65の咬合器下弓66に取り付けられる台座である。また図10〜図13に示すように、テーブル79は、円テーブルの対向部分を削除して弦79a,79aが形成された、競技用トラックを寸詰まり胴太りにしかつ一方の周回部を直線状に切除したごとき形状をしている。
当該切除した部分を符号93で示す。切除部分93のうち、テーブル79の中心線88と交叉する部分には、中心線88と同軸上に照準器100を取り付けてある。照準器100は、上顎石膏型19の後面19aに印記する後述の正中線42aと、テーブル79の表面に設けられる中心線88とを合わせるものであり、周知のものである。そして、裏面には、図12や図13に示すようにほぼ円柱形状をした取付台87を有する。取付台87は、テーブル79と同一軸心上に位置する小円筒であって、その径は、テーブル79のほぼ五分の一の大きさである。取付台87の周面には、取付台87の軸方向に延びる断面弧状をした一対の対向溝89,89を有する。これらの対向溝89,89は、テーブル79を咬合器65の咬合器下弓66にて支持するテーブル支持台91にテーブル79を固定するのに使うねじ嵌合溝として機能する。
【0079】
またテーブル79の表面79bには、切歯乳頭保持ピン83の位置決めを行う指標である目盛り84と、前記テーブル79の表面に設けられ、前記目盛り84の中心を通る中心線88とが刻印されている。目盛り84は、既述した目盛り41と同一の升目からなる同一の目盛りである。加えて、図13に示すように、テーブル79の中心には、取付台87と同一軸心の螺孔94が設けられている。この螺孔94には図14に示すような取付螺子90が螺合する。
【0080】
取付螺子90はローレット加工の施された頭部90aと、テーブル79の螺孔94と螺合する螺子部90bとからなる。取付螺子90を用いることで、テーブル79の表面79b上では、頭部90aとテーブル79の螺孔94周りの部分とで、後述する透明スライド板85をスライド可能に支持する。
【0081】
テーブル支持台91は、図15,図16に示すように、中刳り状の円筒部95と、円筒部95の一端に設けられた張り出しフランジ97とを有し、フランジ97側を下面にして咬合器下弓66に螺着される。また、円筒部95の周壁には螺孔95a,95aが穿孔されている。
【0082】
螺孔95a,95aは、円筒部95を直交する状態で穿孔されている。また、円筒部95の中空95bにテーブル79の取付台87が嵌合されるようになっている。
【0083】
テーブル支持台91にテーブル79を支持するには、テーブル支持台91の円筒部95の中空95bにテーブル79の取付台87を嵌合した後、円筒部95の螺孔95aと、取付台87の対向溝89とが合致した状態で螺孔95aに図14の取付螺子90よりも幾分大きめの取付螺子90’を螺合する。この取付螺子は取付螺子90と同様ローレット加工の施された頭部と、螺子部とからなり、頭部を指で回すことで螺子部が回転し、螺孔95aと螺合する。その後当該取付螺子の先端は、取付台87の対向溝89に当接し、テーブル79をテーブル支持台91に固定する。
【0084】
ハムラノッチ保持板81は、図10,図11及び図17からわかるように、細長い主板81aと、L字形をした複数の副板81bとからなり、主板81aの両端部に副板81bをそれぞれスポット溶接によって背中合わせにして取り付けてある。また、主板81aの中央部は切欠き部81cを有し、もって主板81aの全体形状で扁平な門形状をしている。
【0085】
しかして、ハムラノッチ保持板81は、テーブル79と面接触した状態でスライドするテーブル接触部分81dと、上顎石膏型19に表出するハムラノッチ部20r,20lに当接する当接部81eとからなるといえる。
【0086】
透明スライド板85は、図10,図11及び図18からわかるように、競技用のトラック形状をしている。そして、ハムラノッチ保持板81の切欠き部81cの下に置かれる。また透明スライド板85は、中央に長孔85aが形成されている。この長孔85aに取付螺子90の螺子部90bを入れた状態で、テーブル79の螺孔94を締め付ける。このときの締め量は、取付螺子90の頭部90aとテーブル79の表面79bとの間の隙間が透明スライド板85の肉厚寸法よりもわずかに大きめとし、透明スライド板が可動できるものとする。このようにすることで、透明スライド板85は、長孔85aに制約された範囲内でテーブル79上を自在に移動できる。
【0087】
また、図18に示すように、長孔85aは、透明スライド板85の長手方向において偏心されている。この結果、透明スライド板85の両端のうち一方には切歯乳頭保持ピン83が取り付けられるほどの十分なスペースが確保でき、当該十分なスペース領域に切歯乳頭保持ピン83を螺合する螺孔85bが形成される。また、切歯乳頭保持ピン83は、図10,図11に示すように、上顎石膏型19の切歯乳頭部21に当たる突起部83aを有する。突起部83aは、切歯乳頭支持ピン37の突起部37bに相当する。
【0088】
このようなハムラノッチ保持板81は、これに上顎石膏型19を載せる場合には、上顎石膏型19の既述したポストダム105同士の間の溝103にハムラノッチ保持板81の当接部81eを挟み入れて上顎石膏型19がハムラノッチ保持板81からずれないようになっている。
【0089】
次にこのような構成からなる石膏型採得用椅子,咬合器への上顎石膏型装着用具,を用いて上顎石膏型を咬合器に取り付ける手順について述べる。
【0090】
まず石膏型採得用椅子を用いた印象採取をする場合の姿勢の取り方について述べる。
(1)クッションのない石膏型採得用椅子1に高さ調整用の座台17を載せた状態で患者を座らせる。患者の身体に応じて高さ調整用の座台17は一つではなく二つあるいはそれ以上載せる場合もある。このとき股関節による身体バランスを除きかつ座骨で支えられるようにして、まずその患者の現状を把握する。
(2)両足の内側を足置台7の通し線9に合わせる。
(3)患者に何度か手で腰を持ち上げてもらい座りやすい状態を探ってもらう。このとき患者に親指を内側に握って腿の上において、2〜3分この状態を保持してもらう。そして上体を座骨単独でなく尻で支えた状態での筋肉バランスをとる。
(4)身体バランスを修正する場合は高さ調整用の座台17を取り外し、相対的に膝を高くして腿の足置台7からの距離を狭める。このようにすることで、座骨単独での支えとなり、隠れていた歪みが現れるようになる。そこで、正面から患者を見て、そのつま先,膝,股間,鎖骨の中央部,眉間中央が通し線9に合わせて真っ直ぐになるようにする。また、背筋を伸ばし、顎を引かせ、顔をやや下向きにさせる。2〜3分この状態を保持し、何度か修正する。このとき患者の身体に歯科医は接触しないようにする。
(5)このようにすることで、患者の身体バランスの歪みを修正する。
(6)この状態で患者の印象を採取する。
【0091】
ここで注意すべきことは、石膏型採得用椅子1は、「身体バランスは、噛み合わせによって保持される」という考えに基づいて発明されたということである。すなわち曲がった姿勢は曲がった姿勢を保持する噛み合わせがあり、まっすぐな姿勢はまっすぐな姿勢を保持する姿勢があるという観点から発明されたのである。従って、石膏型採得用椅子1に座わらせ、つま先,膝,股間,鎖骨の中央部,眉間中央を通し線9上に合わせ、左右の鎖骨顔面を正面から見て平面にあわせ、頭部の傾きを整えればそれに応じて患者の体全体の筋肉バランスが変化し、それに応じて上下の歯の接触状態が変わるので、その状態で上下の歯が左右できちんと当たるように噛み合わせを修正すれば、当該状態で身体バランスは保持されるのである。
【0092】
よって、この状態で補綴物製作のための印象を採取すれば咬合が左右の奥歯で同時になされるため、頭痛とか腰痛とかいった種々の不定愁訴の防止につながるのである。すなわち通し線9は、歯科医師が患者の身体バランスを容易に取れるようにすることを目的とした歯科医師のナビゲータ的役割を実行するための指標といえる。
【0093】
次に石膏型採得用椅子1を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付ける手順について述べる。
(手順1)上顎石膏型19に表出する切歯乳頭部21の形態を上顎石膏型19上で0.1mmのシャープペンシルにて印記する(図19)。
(手順2)上顎石膏型19に表出する左右のハムラノッチ部20r,20lを印記する(図20参照)。
(手順3)上顎石膏型19に表出する口蓋正中縫合23を印記する(図21参照)。
(手順4)切歯乳頭部21の最盛部21aに切歯乳頭支持ピン37の突起部37bの入る小孔106を穿孔する(図22参照)。
(手順5)計測器18のボルト60と蝶ナット61との螺合を解き、切歯乳頭支持ピン37を有する透明移動板57をフリー状態にして、切歯乳頭支持ピン37の突起部37bを小孔106に入れる(図23,図25参照)。
(手順6)計測器18の垂下板31を左右のハムラノッチ部20r,20lに合わせる(図23,図25参照)。
(手順7)計測器18を左右にずらし、貫通ピン42の先端を口蓋正中縫合23に当接し接点24を求める(図23参照)。
(手順8)ボルト60と蝶ナット61とを螺合して締める。これにより、上顎石膏型19に表出する口蓋骨水平板及び骨口蓋・歯槽骨の接合部である左右一対のハムラノッチ部20r,20lと、軟組織部で骨の下支えのない切歯乳頭部21の最盛部21aと、左右一対のハムラノッチ部20r,20lを結ぶ仮想線であるハムラノッチ結合線22と口蓋正中縫合23との接点24からなる3種4点を結んでなるHIP平面25を確定する(図4参照)。
(手順9)接点24から前記ハムラノッチ結合線22に対して切歯乳頭部21側に向けて垂直に延びる垂線である中心基線43に対する前記最盛部21aのずれ量l及び前記仮想のハムラノッチ結合線22から前記最盛部21aまでの距離Lとを測定する(図5,図23参照)。
(手順10)上顎石膏型19の後面19aに貫通ピン42の先端側に延びる仮想の延長線42aを印記する。当該線をこの明細書では、便宜上、上顎石膏型における正中線という(図24参照)。
(手順11)手順9で得た、前記中心基線43に対する前記最盛部21aの左右のずれlと、前記仮想のハムラノッチ結合線22から前記最盛部21aまでの距離Lとを、目盛り84を用いて咬合器65に取り付けられたテーブル79上で反映させるべく、前記上顎石膏型19をテーブル79に載置した場合に当該上顎石膏型19に穿孔された前記小孔106に入れられる前記切歯乳頭保持ピン83を有する透明スライド板85をテーブル79の目盛り84上で平面移動して位置決めする(図26,図11参照)。
(手順12)上顎石膏型19をテーブル79に移動し、切歯乳頭部21の最盛部21aに設けた小孔106に透明スライド板85の切歯乳頭保持ピン83を入れる(図27,図28参照)。
(手順13)上顎石膏型19のハムラノッチ部20r,20lに前記垂下板(31)と同様、先端を鋭角にしたハムラノッチ保持板81を当てるべく上顎石膏型19の後部を咬合器65のテーブル79に合わせる(図27,図28参照)。
(手順14)照準器100を用いて上顎石膏型19の後面19aに印記した正中線42aとテーブル79の表面に設けられた中心線88とを合わせるべく、上顎石膏型19をハムラノッチ保持板81の当接部81eに沿ってテーブル79上で移動する。
(手順15)周知のやり方で上顎石膏型19を咬合器上弓73に固定する。
【0094】
しかして、本実施形体では、HIP平面25を計測するので、上顎模型が正確に安定して固定される。よって、上下の歯型が時計回り方向にあるいは反時計回り方向にずれてしまったり、または3次平面的に上下左右方向にずれてしまう虞がない。よって、正確な咬合を再現できる。そして、HIP平面25と患者固有の咬合平面とを比較し、当該比較した結果に基づいて、患者の咬合が同一平面上でなされるように補綴物を作ることが簡単にできる。よって、補綴物を介して作られた新たな咬合平面が、カンペル平面と平行になり得るため、患者にとって理想の咬合平面を提供出来る。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、左程の熟練を要せずとも、石膏型の採得が正しくできるとともに、咬合器への石膏型の正しい取付けをすることで、患者の口腔内の状態を正確に再現し、もって患者に好適に適合できる補綴物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る石膏型採得用椅子の斜視図である。
【図2】調整用座台を石膏型採得用椅子に載せた状態を示す図である。
【図3】本発明に係る上顎石膏型装着用具の一つである測定器の全体斜視図である。
【図4】上顎石膏型の平面図である。
【図5】ハムラノッチ結合線と口蓋正中縫合との接点から切歯乳頭部側に向けて延びる垂線上に切歯乳頭部がなく幾分右にずれていることを示すとともに手順4を説明するための図である。
【図6】図3の裏面側から見た斜視図である。
【図7】図3の側面図である。
【図8】切歯乳頭支持ピンの側面図である。
【図9】透明移動板の平面図である。
【図10】咬合器の全体斜視図である。
【図11】図10の矢印XI方向に見た平面図である。
【図12】テーブルの平面図である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】取付螺子の正面図である。
【図15】テーブル支持台の正面図である。
【図16】テーブル支持台の平面図である。
【図17】ハムラノッチ保持板の斜視図である。
【図18】透明スライド板の平面図である。
【図19】石膏型採得用椅子を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付ける手順1を説明するための図である。
【図20】石膏型採得用椅子を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付ける手順2を説明するための図である。
【図21】石膏型採得用椅子を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付けるための手順3を説明するための図である。
【図22】石膏型採得用椅子を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付けるための手順4を説明するための図である。
【図23】石膏型採得用椅子を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付けるための手順5,手順6,手順7,手順9を説明するための図である。
【図24】石膏型採得用椅子を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付けるための手順10を説明するための図である。
【図25】石膏型採得用椅子を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付けるための手順5,手順6を説明するための図である。
【図26】石膏型採得用椅子を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付けるための手順11を説明するための図である。
【図27】石膏型採得用椅子を利用して採取した印象に基づき採得した上下石膏型を咬合器に取り付けるための手順12,手順13を説明するための図である。
【図28】図27の要部拡大図である。
【符号の説明】
1 石膏型採得用椅子
2 座部
3 座台
5 背板
7 足置台
9 通し線
11 脚
13 座板
17 高さ調整用座台
17a ずれ防止用測片
18 計測器
19 上顎石膏型
19a 後面
20r ハムラーノッチ部
20l ハムラーノッチ部
21 切歯乳頭部
21a 最盛部
22 ハムラーノッチ結合線
23 口蓋正中縫合
24 接点
25 HIP平面
28 透明基板
28d 下面
28u 上面
31 垂下板
37 切歯乳頭支持ピン
37a 主部
37b 突起部
37c 螺棒
39 固定手段
41 目盛り
42 貫通ピン
42a 延長線(正中線)
43 中心基線の総称(垂線)
43d 中心基線
43u 中心基線
45 長四角領域
47 等脚台形領域
51 スリット
55 凹溝
57 透明移動板
58 スライド機構
59 螺合手段
60 ボルト
61 蝶ナット
63 周回部
63a 螺孔
64 周回部
65 咬合器
66 咬合器下弓
67 貫通孔
69 支柱
71 支柱
73 上側フレーム
77 上顎石膏型装着用具
79 テーブル
79a 弦
81 ハムラノッチ保持板
81a 主板
81b 副板
81c 切欠き部
81d テーブル接触部分
81e 当接部
83 切歯乳頭保持ピン
83a 突起部
84 目盛り
85 透明スライド板
85a 長孔
85b 螺孔
87 取付台
88 中心線
89 対向溝
90 取付螺子
90a 頭部
90b 螺子部
91 テーブル支持台
93 テーブルの切除部分
94 螺孔
95 円筒部
95a 螺孔
95b 中空
97 フランジ
100 照準器
103 係止溝
105 ポストダム
106 小孔
L 距離
l ずれ

Claims (8)

  1. 咬合器(65)への上顎石膏型装着用具(18)であって、基台となる透明基板(28)と、
    歯形の石膏型(19)に表出する、口蓋骨水平板及び骨口蓋・歯槽骨の接合部である左右一対のハムラノッチ部(20r,20l)に載置される、前記透明基板(28)に一体形成された垂下板(31)と、
    前記石膏型(19)に表出する切歯乳頭部(21)の最盛部(21a)に取着される移動自在な切歯乳頭支持ピン(37)と、
    この切歯乳頭支持ピン(37)の前記透明基板(28)に対する位置決め固定を行う固定手段(39)と、
    前記透明基板(28)に形成され前記切歯乳頭支持ピン(37)の位置表示を行う目盛り(41)と、
    前記透明基板(28)の表裏二面に形成され、前記垂下板(31)の中心から平行にかつ前記切歯乳頭支持ピン(37)側及びその反対側に向けて延びる一対の基線(43)と、
    前記垂下板(31)を貫通する貫通ピン(42)とを有する上顎石膏型装着用具(18)。
  2. 前記固定手段(39)は、前記透明基板(28)に対して移動する透明移動板(57)と、
    この透明移動板(57)を前記透明基板(28)に対してスライドするスライド機構(58)と、
    このスライド機構(58)により移動した前記透明移動板(57)を前記透明基板(28)に対して固定する螺合手段(59)とからなることを特徴とする請求項に記載の上
    顎石膏型装着用具。
  3. 前記スライド機構(58)は、前記透明基板(28)に形成され前記基線(43)に平行な貫通孔(51)と、
    前記透明移動板(57)に固定されるとともに、前記貫通孔(51)にゆるみ嵌め状に貫通されるボルト(60)と、
    このボルト(60)と螺合するナット(61)とからなることを特徴とする請求項に記載の上顎石膏型装着用具。
  4. 咬合器(65)への上顎石膏型装着用具(77)であって、
    咬合器(65)において上顎石膏型(19)の載置台となるテーブル(79)と、
    このテーブル(79)に置かれ、歯形の上顎石膏型(19)に表出する、口蓋骨水平板及び骨口蓋・歯槽骨の接合部である左右一対のハムラノッチ部(20r,20l)に当接支持するハムラノッチ保持板(81)と、
    前記テーブル(79)に対して自在にスライド可能であって、上顎石膏型(19)に表出する切歯乳頭部(21)の最盛部(21a)を支持する切歯乳頭保持ピン(83)を有する透明スライド板(85)と、
    前記テーブル(79)に設けられ、前記切歯乳頭支持ピン(37)の位置決めを行う指標である目盛り(84)と、
    前記テーブル(79)に設けられた中心線(88)とを有する上顎石膏型装着用具(77)。
  5. 前記ハムラノッチ保持板(81)は、横断面で倒立T字状部位を有することを特徴とする請求項に記載の上顎石膏型装着用具。
  6. 前記ハムラノッチ保持板(81)は、前記テーブル(79)と面接触した状態でスライドするテーブル接触部分(81d)と、
    このテーブル接触部分(81d)から植立し、前記上顎石膏型(19)に表出するハムラノッチ部(20r,20l)に当接する当接部(81e)とからなることを特徴とする請求項に記載の上顎石膏型装着用具(77)。
  7. 歯形の上顎石膏型(19)に表出する、左右一対のハムラノッチ部(20r,20l)にハムラノッチ保持板(81)を係止する係止溝(103)を有する上顎石膏型(19)。
  8. 次の手順1〜15を含む咬合器(65)への上顎石膏型取付方法。
    (手順1)上顎石膏型(19)に表出する切歯乳頭部21の形態を上顎石膏型(19)上で印記する。
    (手順2)前記上顎石膏型(19)に表出する左右のハムラノッチ部(20r,20l)を印記する。
    (手順3)前記上顎石膏型(19)に表出する口蓋正中縫合(23)を印記する。
    (手順4)前記切歯乳頭部(21)の最盛部(21a)に小孔(106)を穿孔する。
    (手順5)前記小穴(106)に入れられる切歯乳頭支持ピン(37)を有する透明移動板(57)を、基台としての透明基板(28)に対してフリー状態にし、前記切歯乳頭支持ピン(37)を前記小孔(106)に入れる。
    (手順6)前記透明基板(28)に垂下される垂下板(31)の先端を鋭角にし、当該先端を前記左右のハムラノッチ部(20r,20l)に合わせる。
    (手順7)前記透明基板(28)を左右にずらして前記垂下板(31)に貫通垂下されている貫通ピン(42)を前記口蓋正中縫合の真上で位置合わせした後、下方に延ばして前記口蓋正中縫合(23)に当接して接点(24)を求める。
    (手順8)この状態で前記透明移動板(57)を固着手段(60,61)により前記透明基板(28)に固定し、もって、上顎石膏型(19)に表出する口蓋骨水平板及び骨口蓋・歯槽骨の接合部である左右一対のハムラノッチ部(20r,20l)と、
    軟組織部で骨の下支えのない切歯乳頭部(21)の最盛部(21a)と、
    左右一対のハムラノッチ部(20r,20l)を結ぶ仮想線であるハムラノッチ結合線(22)及び口蓋正中縫合(23)の接点(24)とからなる3種4点を結んでなるHIP平面(25)を確定する。
    (手順9)前記接点(24)から前記仮想のハムラノッチ結合線(22)に対して前記切歯乳頭部(21)側に向けて垂直に延びる垂線(43)に対する前記最盛部(21a)のずれ量(l)及び前記仮想のハムラノッチ結合線(22)から前記最盛部(21a)までの距離(L)とを測定する。
    (手順10)前記上顎石膏型(19)の後面(19a)に貫通ピン(42)の長手方向先端側に延びる仮想の延長線(42a)を印記する。
    (手順11)手順9で得た、前記垂線(43)に対する前記最盛部(21a)の左右のずれ(l)と、
    前記仮想のハムラノッチ結合線(22)から前記最盛部(21a)までの距離(L)とを、目盛り84を用いて咬合器(65)に取り付けられたテーブル(79)上で反映させるべく、前記上顎石膏型(19)を前記テーブル(79)に載置した場合に当該上顎石膏型(19)に穿孔された前記小孔(106)に入れられる前記切歯乳頭保持ピン(83)を有する透明スライド板(85)をテーブル(79)の目盛り上で移動する。
    (手順12)上顎石膏型(19)をテーブル(79)に移動し、前記小孔(106)に透明スライド板(85)の切歯乳頭保持ピン(83)を入れる。
    (手順13)上顎石膏型(19)のハムラノッチ部(20r,20l)に先端を鋭角にしたハムラノッチ保持板(81)を当てる。
    (手順14)上顎石膏型(19)の後面(19a)に印記した前記仮想の延長線(42a)と、
    テーブル(79)の表面に設けられ、前記目盛り(84)の中心を通る中心線(88)とを合わせる。
    (手順15)上顎石膏型(19)を咬合器上弓(73)に固定する。
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