JP3626226B2 - 熱安定性核酸ポリメラーゼ - Google Patents

熱安定性核酸ポリメラーゼ Download PDF

Info

Publication number
JP3626226B2
JP3626226B2 JP09983794A JP9983794A JP3626226B2 JP 3626226 B2 JP3626226 B2 JP 3626226B2 JP 09983794 A JP09983794 A JP 09983794A JP 9983794 A JP9983794 A JP 9983794A JP 3626226 B2 JP3626226 B2 JP 3626226B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna polymerase
dna
polymerase
seq
thermostable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP09983794A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06343466A (ja
Inventor
エイチ.ゲルファンド デイビッド
エム.ワン アリス
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
F Hoffmann La Roche AG
Original Assignee
F Hoffmann La Roche AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by F Hoffmann La Roche AG filed Critical F Hoffmann La Roche AG
Publication of JPH06343466A publication Critical patent/JPH06343466A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3626226B2 publication Critical patent/JP3626226B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/12Transferases (2.) transferring phosphorus containing groups, e.g. kinases (2.7)
    • C12N9/1241Nucleotidyltransferases (2.7.7)
    • C12N9/1252DNA-directed DNA polymerase (2.7.7.7), i.e. DNA replicase

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高温性始原菌ピロジクチウム(Pyrodictium)の種からの熱安定性DNAポリメラーゼ並びに該酵素の単離および調製方法に関する。耐熱性DNAポリメラーゼは、多くの組換えDNA技術、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による核酸の増幅において有用である。
【0002】
E.コリ(E. coli)のような中温性微生物からのDNAポリメラーゼの単離に関しては広範囲に渡る研究が行われている。例えば、Bessman ら, 1957, J. Biol. Chem. 223:171−177、並びにButtinおよびKornberg, 1966, J. Biol. Chem. 241:5419−5427を参照のこと。
【0003】
核酸増幅方法の発明に伴って、高温性微生物からのDNAポリメラーゼに対する関心が高まった。最初に存在した量に比べて多い量に現存の核酸配列を増幅させるための耐熱性酵素(例えば米国特許第 4,165,188号に記載されたもの)の利用が、PCR法を記載している米国特許第 4,683,195号と同第 4,683,202号に報告された。それらの特許は参考として本明細書中に組み込まれる。
【0004】
PCR法は、標的核酸の変性、プライマーのハイブリダイゼーション、およびDNAポリメラーゼにより触媒される相補鎖の合成を含んで成る。各プライマーの伸長生成物が所望の核酸配列の生産のための鋳型となる。それらの特許明細書は、使用するポリメラーゼが耐熱性ポリメラーゼであれば、熱によってポリメラーゼ活性が破壊されないだろうから、各変性段階の後にポリメラーゼを添加する必要がないと開示している。
【0005】
テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus ;Taq )からの耐熱性DNAポリメラーゼは、Lawyerら, 1989, J. Biol. Chem. 264:6427−6437 並びに米国特許第 4,889,818号および同第 5,079,352号(これらは参考として本明細書中に組み込まれる)に記載されたように、クローニングされ、発現され、精製されている。T.アクアティカスから単離されたDNAポリメラーゼ活性の粗調製は他のものによっても記載されている(Chien ら, 1976, J. Bacteriol. 127:1550−1557 、およびKaledin ら, 1980, Biokhimiya 45:644−651)。
【0006】
米国特許第 4,889,818号、欧州特許出願公開第258,017 号およびPCT公報第WO89/06691号(これらの開示は参考として本明細書中に組み込まれる)はいずれも、テルムス・アクアティカスからの〜94 kDaの耐熱性DNAポリメラーゼの単離と組換え発現、並びにPCRにおけるそのポリメラーゼの利用を記載している。T.アクアティカスDNAポリメラーゼはPCRや他の組換えDNA技術で使用するのに特に好ましいけれども、多数の他の耐熱性DNAポリメラーゼも精製され、クローニングされ、発現されている(同時係属中の一般譲渡されたPCT公報第WO 91/09950, WO 92/03556, WO 92/06200 およびWO 92/06202 号を参照のこと;これらは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0007】
耐熱性DNAポリメラーゼは、例えばPCRによるDNA増幅の実施の際のように、短時間の間93〜95℃に加熱した時でも不可逆的に不活性化されない。対照的に、この高温ではE.コリDNA PolIは不活性化される。
始原高温性菌、例えばピロジクチウム(Pyrodictium )種およびメタノピルス(Methanopyrus)種は、約110 ℃までの温度で増殖し80℃以下では増殖することができない(Stetter ら, 1990, FEMS Microbiology Reviews 75:117−124を参照のこと;これは参考として本明細書中に組み込まれる)。それらの硫黄還元性完全嫌気性菌は海底環境から単離される。
【0008】
例えば、P.アビシィは、深さ2,000 メートルのグアヤマスメキシコ(Guaymas Mexico)から吹き出す深海の活動「発煙」火孔から320 ℃の火道水中で単離された(Pleyら, 1991, Systematic and Applied Microbiology 14:245)。ピロジクチウム種とは対照的に、90℃またはその付近の最適増殖温度と100 ℃またはその付近の最大増殖温度を有する他の高温性微生物は培養が難しくない。例えば、テルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)からDNAポリメラーゼをコードする遺伝子がクローニングされ配列決定されている(欧州特許出願公開第455,430 号)。
【0009】
これに対して、極端に高温性の微生物の培養は、それらが寒天固形培地上で増殖できないことにより難しくなっている。ピロジクチウム種の個々の細胞は非常にもろく、該生物は繊維状網目構造として増殖する。標準的な細菌醗酵技術は、細胞がもろく、且つ細胞が常用の醗酵装置のスチール部分に目詰まりを起こす網状構造として増殖する傾向があるため、ピロジクチウム種を培養するのは非常に困難である(Staley, J.T.ら編, Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology, 1989, Williams and Wilkins, Baltimore を参照のこと。これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0010】
それらの難点は、特徴付けとアミノ酸配列分析用に多量の精製された核酸ポリメラーゼ酵素を調製するための実験室培養を妨害する。当業者らは10〜10細胞/mlに到達する細胞密度にピロジクチウムを培養することができるかもしれない(例えば、Phippsら, 1991, EMBO J. 10(7):1711−1722 を参照のこと)。対照的に、E.コリは通常0.3 〜1.0 ×1011細胞/mlに増殖される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、それらの高温性DNAポリメラーゼ酵素を、例えばそれらのアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列を決定することにより、更に特徴づける必要がある。適当な宿主生物中で該遺伝子をクローニングしそして発現せしめることにより、生来の宿主の培養に関連する以前の難点を回避できる。加えて、増加された耐熱性を有する高温性DNAポリメラーゼを製造することは当業界において望ましい。そのようなDNAポリメラーゼは、PCR法を改良し、且つ他の組換え技術、例えばDNA配列決定、ニックトランスレーションおよび逆転写において耐熱性DNAポリメラーゼを使った時に得られる結果を改善することができる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ピロジクチウム種からのDNAポリメラーゼについてのDNAおよびアミノ酸配列情報、組換え発現ベクター並びに精製プロトコールを提供することにより、上記の要求を満たす。
【0013】
本発明は、核酸鋳型鎖に相補的な核酸鎖を形成するヌクレオシド三リン酸の結合を触媒する精製された耐熱性DNAポリメラーゼを提供する。この酵素はピロジクチウム種由来のDNAポリメラーゼである。好ましい態様では、該酵素はP.オクルタムまたはP.アビシィ由来である。この物質は、核酸配列を容易に操作および/または分析できるように、与えられた核酸配列から最初に存在する量に比べて多量に核酸配列が生産される温度循環増幅反応において利用することができる。
【0014】
P.オクルタムおよびP.アビシィのDNAポリメラーゼ酵素をコードする遺伝子も同定されクローニングされ、本発明の耐熱性酵素を調製する更に別の手段を提供する。加えて、P.オクルタムおよびP.アビシィ酵素をコードする遺伝子並びにP.オクルタムおよびP.アビシィDNAポリメラーゼ活性をコードするそれらの遺伝子の誘導体のDNA配列とアミノ酸配列も提供される。更に、P.オクルタムおよびP.アビシィDNAポリメラーゼ活性をコードし且つ3′→5′エキソヌクレアーゼ欠損形を発現する変形遺伝子もまた提供される。
【0015】
本発明は、1または複数の非イオン性高分子界面活性剤を含有する緩衝液中に上述の精製された耐熱性P.オクルタムおよび/またはP.アビシィ酵素を含んで成る安定な酵素組成物も包含する。
最後に、本発明は本発明の耐熱性ポリメラーゼの精製方法を提供する。
【0016】
かくして、本発明は、ピロジクチウムDNAポリメラーゼをコードするDNA配列および発現ベクターを提供する。本発明の理解を促すために、様々な用語を下記に定義する。
【0017】
「細胞」、「細胞系」および「細胞培養物」なる用語は互いに交換可能に用いることができ、そのような名称は全て子孫を含む。「形質転換体」または「形質転換された細胞」なる語は、一次形質転換細胞および継代数に関係なくその細胞から誘導された培養物を包含する。計画的または偶然の突然変異のため、全ての子孫のDNA含量が正確に同じでなくてもよい。もとの形質転換細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能性を有する変異型子孫は、形質転換体の定義の中に含まれる。
【0018】
「調節配列」なる用語は、特定の宿主生物中での操作可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を言う。原核生物に適当である調節配列としては、例えば、プロモーター、所望によりオペレーター配列、リボソーム結合部位、ことによると他の配列が挙げられる。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを使うことが知られている。
【0019】
「発現系」なる用語は、それらのDNA配列によって形質転換された宿主がコードされるタンパク質を産生することができるように、作用可能な結合において所望のコード配列と調節配列とを含有するDNA配列を言う。形質転換を成し遂げるために、発現系はベクター上に含まれてもよいが、関連DNAが宿主染色体中に組み込まれてもよい。
【0020】
「遺伝子」なる用語は、回収可能な生物活性ポリペプチドまたは前駆体の生産に必要な調節配列とコード配列とを含んで成るDNA配列を言う。ポリペプチドは、全長遺伝子配列によりコードされるかまたは酵素活性が保持されさえすればコード配列の任意部分によりコードされてもよい。
「作用可能に連結された」という用語は、調節配列がコード配列によりコードされるタンパク質の発現を指令する働きをするようなコード配列の配置を言う。よって、発現調節配列に「作用可能に連結された」コード配列とは、調節配列の指令下でコード配列を発現せしめることができる配置を指す。
【0021】
ピロジクチウムポリメラーゼを含有する混合物に関連して言及される「混合物」なる用語は、ピロジクチウムポリメラーゼを含有するが他のタンパク質を含むこともできる物質の集合体を言う。ピロジクチウムポリメラーゼが組換え宿主細胞から誘導される場合、他のタンパク質は通常その宿主に関連するものであろう。宿主が細菌である場合、夾雑タンパク質はもちろん細菌タンパク質であろう。
【0022】
「非イオン性高分子界面活性剤」なる用語は、イオン電荷を全く持たず、本発明の目的上、約3.5 〜約9.5 のpH域、好ましくは4.0 〜9.0 のpH域においてピロジクチウム酵素を安定化する能力により特徴づけられる界面活性剤である。
本明細書中で使用する「オリゴヌクレオチド」なる用語は、2以上、好ましくは3以上、通常は10以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドから成る分子として定義される。オリゴヌクレオチドの正確なサイズは、該オリゴヌクレオチドの最終的機能または用途といった様々な要因に依存するだろう。
【0023】
オリゴヌクレオチドは、例えば、適当な配列のクローニングと制限、並びにNarangら, 1979, Meth. Enzymol. 68:90−99のホスホトリエステル法;Brown ら, 1979, Meth. Enzymol. 68:109−151のホスホジエステル法;Beaucageら, 1981, Tetrahedron Lett. 22:1859−1862のホスホルアミダイト法;Matteucci ら, 1981, J. Am. Chem. Soc. 103:3185−3191 のトリエステル法または自動合成法;および米国特許第4,458,066 号の固体支持体法などの方法による直接化学合成を包含する任意の適当な方法により、調製することができる。
【0024】
本明細書中で使用する「プライマー」なる用語は、天然型であろうと合成型であろうと、プライマー伸長が開始される条件下に置いた時に合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。核酸鎖に相補的であるプライマー伸長生成物の合成は、適当な温度で適当な緩衝液の中でヌクレオシド三リン酸とDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素の存在下で開始される。「緩衝液」は、所望のpHに調整された補因子(例えば二価金属イオン)および塩(適当なイオン強度を提供するため)を含有する。
【0025】
ピロジクチウムポリメラーゼ用には、緩衝液は好ましくは、10〜100mM KCl 、10mM Tris 緩衝液(pH 7.5〜8.5 )および100 μg/mlのゼラチン(ゼラチンは必要でないし、ある用途、例えばDNA配列決定には避けるべきであるけれども)と共に、1〜3mMのマグネシウム塩、好ましくはMgCl、50〜200 μM の各ヌクレオチド、および0.2 〜1 μM の各プライマーを含有する。
【0026】
プライマーは、好ましくは一本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーの適切な長さは該プライマーの意図する用途に依存するが、典型的には15〜35ヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は一般に、鋳型と十分に安定なハイブリッド複合体を形成するのにより低い温度を必要とする。プライマーは鋳型の配列を正確に反映する必要はないが、鋳型とハイブリダイズするほど十分に相補的でなければならない。
【0027】
「プライマー」なる用語は、特に増幅させる予定の標的領域の一端または両端に関する情報に幾らか曖昧さがある場合、複数のプライマーを指すことができる。例えば、核酸配列がタンパク質配列から推定される場合、「プライマー」は実際には遺伝暗号の縮重に基づいて考えられ得る全てのコドン変異を表す配列を含有するプライマーオリゴヌクレオチドの集合体である。この集合体のうちの1つのプライマーは標的配列の末端と相同であろう。同様に、「保存された」領域が集団の中で有意なレベルの多形性を示すならば、隣接配列を増幅するであろうプライマーの混合物を調製することができる。
【0028】
プライマーは、鋳型の特定配列の鎖に「実質上」相補的であることができる。プライマーは、プライマー伸長が起こる鋳型鎖とハイブリダイズするのに十分な程「相補的」でなければならない。プライマー配列は鋳型の配列を正確に反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片をプライマーの5′末端に取り付けてもよいが、ただし、プライマー配列の残部は鋳型鎖に実質上相補的であろう。プライマー中に非相補的塩基または長い配列を点在させることができるが、ただし、プライマー配列が、鋳型の配列とハイブリダイズしそれによってプライマー伸長生成物の合成のための鋳型プライマー複合体を形成するのに十分な相補性を有することを前提とする。
【0029】
プライマーは、所望であれば、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的または化学的手段によって検出可能な標識を組み込むことにより、標識することができる。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(ELISA において汎用されるような)、ビオチン、またはそれに対する抗血清もしくはモノクローナル抗体が入手可能であるタンパク質およびハプテンが挙げられる。標識は、プライマーまたはプライマー伸長生成物(例えば増幅されたDNA)のいずれかの固相支持体上への固定化を容易にするためにプライマーを「捕捉する」のにも使うことができる。
【0030】
「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」なる語は、特定のヌクレオチド配列のところまたはその付近で二本鎖DNAを切断する細菌酵素をいう。
「耐熱性ポリメラーゼ」および「耐熱性酵素」なる用語は、熱に対して安定であり、熱抵抗性であり、且つ正しい形でのヌクレオチドの結合を触媒して鋳型核酸鎖に相補的であるプライマー伸長生成物を形成する酵素をいう。一般的に、プライマー伸長生成物の合成はプライマーの3′末端で始まり、合成が終わるまで鋳型鎖に沿って5′方向に進行する。
【0031】
本発明のピロジクチウム耐熱性酵素は、米国特許第 4,965,188号(本明細書中に引用により組み込まれる)に記載されたようなポリメラーゼ連鎖反応またはPCRとして知られる増幅反応における効果的使用のための必要条件を満たす。ピロジクチウム酵素は、PCR法における重要な段階である二本鎖核酸の変性を行うのに必要な時間の間高温にかけた時、不可逆的に変性(不活性化)された状態にならない。この目的上の不可逆的変性とは、酵素活性の永久且つ完全な損失を言う。核酸変性に必要な加熱条件は、例えば、緩衝液塩濃度並びに変性させようとする核酸の組成と長さに依存するだろうが、典型的には約90℃〜約105 ℃の範囲であり、その時間は主に温度と核酸の長さに依存して、典型的には数秒間〜4分間までであろう。
【0032】
緩衝液塩濃度および/または核酸のGC組成が増加すると、より高温が要求されるかもしれない。ピロジクチウム酵素は約95℃〜100 ℃の温度への比較的短期暴露から不可逆的に変性された状態にはならない。ピロジクチウムDNAポリメラーゼの極端な耐熱性は、以前に特徴づけられた耐熱性酵素を上回る追加の利点を提供する。本発明より以前には、100 ℃ほど高い変性温度での効率的PCRは提案されていなかった。この目的での耐熱性DNAポリメラーゼは今まで全く記載されたことがない。
【0033】
しかしながら、標的核酸のG/C含量が増加すると、二本鎖を変性せしめるのに必要な温度(Tden )も増加する。95℃を越えるTden 段階を必要とする標的配列には、従来のプロトコールでは二本鎖を部分的に不安定にし、それによって有効Tden を下げるためにPCR中に溶剤を含めることを必要とする(Korge ら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:910−914、およびWongら, 1991, Nucl. Acids Res. 19:2251−2259;これらは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0034】
それらの剤は、二本鎖DNAを不安定にすることに加えて、プライマーの安定性に影響を及ぼし、酵素活性を阻害し、そして様々な濃度のDMSOまたはホルムアミドは好熱性DNAポリメラーゼの耐熱性(即ち半減期)を減少させるだろう。従って、それらの補助溶剤を使用する時には相当な数の最適化実験および反応条件を評価しなければならない。これに対して、他の点では標準的なPCRにおいてPoc またはPab DNAポリメラーゼを使って単純にTden を100 ℃に上げることにより、PCR生成物の完全な鎖分離が促進され、DNAらせん不安定化剤の必要性を排除することができる。
【0035】
本明細書中に開示される極度な高温性ポリメラーゼは、100 ℃を越える温度で、そして110 ℃ほどの高温でさえも、安定である。しかしながらそれらの温度では、pHやイオン強度に依存して、標的DNAの完全性が悪影響を受ける場合がある(Ekert およびKunkel, 1992, PCR : A Practical Approach, McPherson, Quirke およびTaylor編, Oxford University Press, 225−244頁;これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0036】
ピロジクチウムDNAポリメラーゼは、それが機能するのには約45℃より高い最適温度を有する。45℃より低い温度は鋳型へのプライマーのハイブリダイゼーションを促進するが、塩組成と濃度並びにプライマー組成と長さに依存して、鋳型へのプライマーのハイブリダイゼーションはより高温(例えば45〜70℃)で起こることができ、プライマーハイブリダイゼーション反応の特異性を促進し得る。本発明の酵素は85℃までの広い温度範囲に渡り活性を示す。最適活性は鋳型に依存するが通常は70〜80℃の範囲であろう。
【0037】
本発明は、ピロジクチウム種の耐熱性DNAポリメラーゼ活性をコードするDNA配列を提供する。本発明の好ましい態様は、P.アビシィおよびP.オクルタムDNAポリメラーゼの核酸配列とアミノ酸配列を提供する。完全なP.アビシィおよびP.オクルタムDNAポリメラーゼコード配列は、配列番号1(P.アビシィ)および配列番号3(P.オクルタム)として下記に記述される。推定アミノ酸配列は配列番号2(P.アビシィ)および配列番号4(P.オクルタム)として記載される。便宜上、それらのポリメラーゼのヌクレオチド配列とアミノ酸配列は参考のため番号付けされる。
【0038】
本発明は、P.オクルタムおよびP.アビシィDNAポリメラーゼ配列と他の耐熱性ポリメラーゼ酵素との比較手段を与える核酸配列を提供する。そのような比較は、それらの新規配列が、真性細菌耐熱性DNAポリメラーゼをコードする以前に記載された核酸配列と無関係であることを証明する。結果として、公表された既知の真性細菌耐熱性DNAポリメラーゼ配列に基づいてピロジクチウムDNAポリメラーゼ酵素を同定する手段は、ピロジクチウムDNAポリメラーゼ酵素をコードする核酸配列を単離するのに適していない。
【0039】
【表1】
Figure 0003626226
【0040】
【表2】
Figure 0003626226
【0041】
【表3】
Figure 0003626226
【0042】
【表4】
Figure 0003626226
【0043】
【表5】
Figure 0003626226
【0044】
【表6】
Figure 0003626226
【0045】
本発明の結果として、ピロジクチウムDNAポリメラーゼアミノ酸配列を使って新規の縮重プライマーを設計し、今まで発見されなかった高温性DNAポリメラーゼ遺伝子を見つけ出すことができる。縮重プライマー法の一般的効用は、PCT公報第WO 92/06202 号(この開示は参考として本明細書中に組み込まれる)において例示されている。
【0046】
この刊行物は、テルモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)DNAポリメラーゼをコードする遺伝子をクローニングするための縮重プライマーの使用を記載している。本発明より前に、縮重プライミング法が新規耐熱性DNAポリメラーゼをコードする遺伝子を単離するのに適することが証明された。それらの方法の成功の一部は、例えばテルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)およびテルムス・テルモフィルス(Thermus thermophilus)の耐熱性DNAポリメラーゼ間で保存されたモチーフの同定に存する。
【0047】
よって、例えばピロジクチウム種のような極端な高温性菌とテルムス種のような非高温菌との間のDNAポリメラーゼアミノ酸配列の相違のため、それらの縮重プライミング法は今まではピロジクチウムポリメラーゼ遺伝子の単離および発現に適さなかった。本出願人らは、極端な高温性微生物から新規DNAポリメラーゼをコードする遺伝子を単離するのに縮重プライミング法を使用することを可能にした。
【0048】
高温菌T.リトラリス (Tli)のDNAポリメラーゼをコードする遺伝子は既に記載されている。Tli, PabおよびPoc DNAポリメラーゼは真核生物DNAポリメラーゼを表すアミノ酸配列モチーフを含む一方で、Pab およびPoc DNAポリメラーゼはTli DNAポリメラーゼとは限定された所々のアミノ酸配列一致しか有さない。詳しくは、アミノ酸配列の整列は、Poc またはPab DNAポリメラーゼとTli DNAポリメラーゼとの間でわずか37%〜39%の配列一致しか示さない。
【0049】
Tli DNAポリメラーゼと不一致である重要な領域は、領域1(配列番号2および4の 438〜 458位)の前の20アミノ酸と領域1の後ろの10アミノ酸中に存在する。加えて、Tli DNAポリメラーゼとの不一致を示す重要な領域は領域4(配列番号2および4の 611〜 634位)の前の10〜15アミノ酸と領域4の後ろの10〜15アミノ酸中に存在する。それらの領域並びにポリメラーゼ活性部位の他の部分はPab およびPoc DNAポリメラーゼ中では高度に保存されており、それらのDNAポリメラーゼ酵素の驚くほどの耐熱性にかなり寄与している。
【0050】
従って、本発明は、2つのピロジクチウムポリメラーゼ酵素のDNA配列とアミノ酸配列を提供することにより、他の極端に高温性のDNAポリメラーゼ酵素およびそれらの酵素のコード配列の単離を可能にする。P.オクルタムおよびP.アビシィの配列と既知の耐熱性酵素配列との更なる整列は、100 ℃の変性温度での効率的PCRに適する追加の新規酵素の選択的同定を可能にする。
【0051】
上記に示したDNA配列およびアミノ酸配列並びにそれらの配列をコードするDNA化合物は、多種多様の宿主細胞中でのピロジクチウムDNAポリメラーゼの発現を指令する組換えDNA発現ベクターを設計し作製するのに利用することができる。上記に示したDNA配列の全部または一部をコードするDNA化合物は、他の始原菌、特にピロジクチウム種からの耐熱性DNAポリメラーゼをコードするDNAを同定するためのプローブとしても利用することができ、そして上記に示したアミノ酸配列は、耐熱性ポリメラーゼを同定および精製するのに用いることができる抗体を調製するための免疫原として使われるペプチドを設計するのに利用することができる。
【0052】
ピロジクチウムDNAポリメラーゼをコードするアミノ酸配列をコードする組換えベクターは、典型的には組換えDNA技術における使用の前に精製されるだろう。本発明はそのような精製方法を提供する。
P.オクルタムまたはP.アビシィポリメラーゼ遺伝子を発現する組換えE.コリ宿主から精製されたDNAポリメラーゼの分子量は、上記方法により約90 kDaであると決定される。推定アミノ酸配列によって決定した時のこの同一DNAポリメラーゼの分子量は、約92.6キロダルトンであると算出される。
【0053】
本発明の重要な観点は、組換えピロジクチウムDNAポリメラーゼの生産である。よって本発明は、本発明の耐熱性DNAポリメラーゼの調製方法も提供し、該方法は
(a) 前記耐熱性DNAポリメラーゼをコードするDNA配列を含んで成るDNAベクターによって形質転換された宿主細胞を培養する段階;および
(b) 前記培養物から前記宿主細胞中で生産された耐熱性DNAポリメラーゼを単離する段階
を含んで成る。
【0054】
上述したように、この酵素をコードする遺伝子は2つの模範的なピロジクチウム種であるP.オクルタムとP.アビシィのゲノムDNAからクローニングされた。P.オクルタム(Poc) DNAポリメラーゼの完全コード配列は、プラスミドpPoc4 の〜2.52 kb NheI制限断片中に容易に得ることができる。このプラスミドは宿主細胞E.コリ Sure 細胞(Stratagene)中において1993年 5月11日に受託番号69309 のもとアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託された。P.アビシィ(Pab) DNAポリメラーゼの完全コード配列は、プラスミドpPab14の〜3.74 kb SalI制限断片中に容易に得ることができる。このプラスミドは宿主細胞E.コリ Sure 細胞(Stratagene)中において1993年 5月11日に受託番号69310 のもとATCCに寄託された。
【0055】
耐熱性Pab およびPoc DNAポリメラーゼ酵素の完全コード配列および推定アミノ酸配列は上記に与えられている。しかしながら、DNAポリメラーゼ活性を有する生物活性遺伝子産物を生産するために該DNAポリメラーゼの全コード配列が必要なわけではない。ピロジクチウムDNAポリメラーゼ配列をコードするDNAの入手可能性は、DNAポリメラーゼ活性を有するミューテイン(変異タンパク質)形を生じるように該コード配列を変更する機会を提供する。
【0056】
コード配列の約1/3のアミノ(N)末端の欠失は、ポリメラーゼアッセイにおいて全く活性である遺伝子産物を提供する。ポリメラーゼの幾つかのN末端短縮形が活性であることから、それらのポリメラーゼの発現に使われる遺伝子構成物はコード配列のN末端短縮形を包含することができる。
【0057】
N末端欠失に加えて、ピロジクチウムポリメラーゼを含んで成るペプチド鎖内の個々のアミノ酸残基を酸化、還元または他の誘導化により修飾することができ、またタンパク質を開裂せしめて活性を保持している断片を得ることもできる。活性を損なわないそのような変更は、Poc またはPab ポリメラーゼに関する定義から該タンパク質を除外するものではなく、特別に本発明の範囲内に含まれるものである。
【0058】
欠失、付加、または翻訳中にDNAポリメラーゼ中に取り込まれるアミノ酸を変えるような変更によるPoc またはPab DNAポリメラーゼ遺伝子の一次構造への修飾は、該タンパク質の高温DNAポリメラーゼ活性を破壊せずに行うことができる。そのような置換または他の変更は、本発明の予想の範囲内に入るDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質の生成をもたらす。同様に、Poc またはPab DNAポリメラーゼ遺伝子のクローン化ゲノム配列または相同の合成配列を使って、ピロジクチウムDNAポリメラーゼ活性を有する融合ポリペプチドを発現させることができ、あるいは生来のPoc またはPab DNAポリメラーゼのものと同じアミノ酸配列を有するタンパク質を発現させることができる。
【0059】
従って本発明は、Poc およびPab DNAポリメラーゼ酵素の完全なコード配列を提供する。このコード配列から様々な宿主系に適用可能な発現ベクターを作製し、そして該コード配列を発現せしめることができる。本発明のポリメラーゼコード配列の一部分も、様々な種において他の耐熱性ポリメラーゼコード配列を検索するためのプローブとして有用である。従って、少なくとも4〜6アミノ酸をコードするゲノムDNAの部分を少なくとも4〜6アミノ酸をコードするオリゴヌクレオチドプローブとして合成し、耐熱性ポリメラーゼをコードする追加のDNAを検索するのに用いることができる。
【0060】
Pab およびPoc の耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子と他の種の対応遺伝子のヌクレオチド配列の間に正確な一致がないかもしれないので、偽陽性を避けるのに十分な緊縮条件下でハイブリダイゼーションを得るために、約12〜18ヌクレオチドをコードするオリゴマー(4〜6アミノ酸配列をコードする)が通常必要である。6アミノ酸をコードする配列はそのようなプローブに十分な情報を与える。
【0061】
本発明は、Pab およびPoc DNAポリメラーゼのコード配列とアミノ酸配列を提供することにより、他の耐熱性ポリメラーゼ酵素およびそれらの酵素のコード配列の単離を可能にする。詳しくは、本発明は、追加のピロジクチウム種であるP.ブロッキィ(P. brockii)、およびM.カンドレリ(M. kandleri)などのメタノピルス(Methanopyrus)種を含む極端な高温菌のような関連の始原菌からのDNA単離物中に含まれるDNAポリメラーゼ酵素をコードする核酸を同定するためのプライマーおよびプローブを調製する手段を提供する。
【0062】
Pab とPoc DNAポリメラーゼコード配列の間にはそのような幾つかの類似領域が存在する。長さ9コドンの領域には、それらの領域に対応するプローブを使って、少なくとも5コドンの連続配列用のプローブと同一である(そして相補的である)耐熱性ポリメラーゼ酵素をコードする配列を同定し単離することができる。長さ6コドンの領域には、この領域に対応するプローブを使って、少なくとも5コドンの連続配列用のプローブと同一である耐熱性ポリメラーゼをコードするDNA配列を同定し単離することができる。
【0063】
ピロジクチウムDNAポリメラーゼ酵素中には見つかるが生来のTaq DNAポリメラーゼと生来のTth DNAポリメラーゼ中には欠けている1つの特性は、3′→5′エキソヌクレアーゼ活性である。この3′→5′エキソヌクレアーゼ活性は、合成された核酸配列の誤って組み込まれた塩基または不適正塩基がこの活性によって除去されるため一般的に望ましいと考えられる。しかしながら、ピロジクチウムDNAポリメラーゼ酵素中に見つかる3′→5′エキソヌクレアーゼ活性は、プライマーの3′末端を変更することによりPCRにおいて非特異的なバックグラウンド増幅をも増大させ得る。
【0064】
3′→5′エキソヌクレアーゼ活性はプライマーまたは一本鎖鋳型のような一本鎖DNAを除去し得る。本質的に、一本鎖プライマーまたは鋳型のどの3′−ヌクレオチドも該酵素により不対のものとして処理されそして分解される。PCRにおけるプライマー分解を避けるために、プライマーの3′末端にホスホロチオエートを付加することができる。ホスホロチオエート修飾されたヌクレオチドは、3′→5′エキソヌクレアーゼによる除去に対して一層抵抗性である。
【0065】
生来のPab もしくはPoc DNAポリメラーゼと同一の酵素を生産しようと望むにせよまたは該酵素の誘導体もしくは類似体を生産しようと望むにせよ、該ポリメラーゼの組換え形態の生産は、典型的には発現ベクターの作製、該ベクターによる宿主細胞の形質転換、および発現が起こるような条件下での形質転換された宿主細胞の培養を伴う。発現ベクターを作製するために、成熟酵素(この用語は本明細書中全ミューテインを包含するものとして使われる)または該ポリメラーゼの融合ポリペプチドをコードするDNAを得る。
【0066】
ここで融合ポリペプチドは、本発明のポリメラーゼから誘導されるアミノ酸配列と、ポリメラーゼ活性の破壊をもたらさない追加のアミノ酸配列または制御条件(例えばペプチダーゼでの処理)下で開裂されて活性タンパク質を与えるような追加のアミノ酸配列とを含んで成る。次いでコード配列を適当な調節配列と作用可能な結合において発現ベクター中に配置させる。
【0067】
ベクターは、宿主細胞中で自律的に複製するかまたは宿主細胞の染色体DNA中に組み込まれるように設計することができる。該ベクターを使って適当な宿主を形質転換せしめ、そして形質転換された宿主を組換えピロジクチウムポリメラーゼの発現に適当な条件下で培養する。培地または細胞からピロジクチウムポリメラーゼを単離する。幾つかの不純物が許容され得る場合、該タンパク質の回収と精製は場合によって必要でないことがある。
【0068】
所望のコード配列と調節配列を含有する適当なベクターの作製は、当業界においてよく理解されている標準的連結および制限技術を使用する(例えば、Molecular Cloning Laboratory Manual 第2版,Sambrookら, 1989, Cold Spring Harbor Press, New York, NYを参照のこと;これは参考として本明細書中に組み込まれる)。単離されたプラスミド、DNA配列、または合成されたオリゴヌクレオチドは、所望の形態に切断され、修飾され、そして再連結される。通常入手できないならば、適当な制限部位をコード配列の末端に付加して当業界において既知の方法により発現ベクターの作製を容易にすることができる。
【0069】
配列変更を必要とするベクターまたはコード配列の部分には、様々な部位特異的プライマー指令突然変異誘発法が利用可能である。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使って部位特異的突然変異誘発を実施することができる。PCR Protocols, Innisら編, 1990, Academic Press, San Diego, CA およびPCR Technology, Henry Erlich編, 1989, Stockton Press, New York, NYは、PCRを使ってDNAをクローニングし、修飾し、そして配列決定する方法を記載しており、これは参考として本明細書中に組み込まれる。
【0070】
調節配列、発現ベクターおよび形質転換法は、遺伝子を発現せしめるのに使う宿主細胞の型に依存する。一般的には、宿主として原核生物、酵母、昆虫または哺乳動物細胞が使われる。原核生物宿主は一般に組換えタンパク質の生産に最も効率的で且つ好都合であり、従ってピロジクチウムDNAポリメラーゼ酵素の発現に好ましい。
【0071】
組換えタンパク質の発現に最も頻繁に使われる原核生物はE.コリ(E. coli )である。構成物のクローニングおよび配列決定、並びに大部分の細菌プロモーターの調節下での構成物の発現には、E.コリ遺伝子貯蔵センター(E. coli. Genetic Stock Center )からGCSC #6135のもとに得られるE.コリ K12株MM294 を宿主として使用することができる。PRBS 調節配列を有する発現ベクターには、E.コリ K12株MC1000ラムダ溶原素、N53cI857 SusP80, ATCC 39531 を使うことができる。
【0072】
1987年4月7日にATCCに寄託されたE.コリ DG116(ATCC 53606)、および1985年3月29日にATCCに寄託されたE.コリ KB2(ATCC 53075)も有用な宿主細胞である。M13 ファージ組換え体には、ファージ感染に対して感受性であるE.コリ株、例えばE.コリ K12株DG98が使用される。DG98は1984年7月13日にATCC(ATCC 39768)に寄託された。
【0073】
しかしながら、E.コリ以外の微生物株、例えばバシラス菌、例えばバシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、様々な種のシュードモナス菌、および他の菌株をピロジクチウムDNAポリメラーゼ酵素の組換え発現に使うこともできる。
細菌に加えて、真核微生物、例えば酵母を組換え宿主細胞として使うこともできる。例えば、Stinchcombら, 1979, Nature 282:39 ; Tschempe ら, 1980, Gene 10:157 ;およびClarkeら, 1983, Meth. Enz. 101:300 を参照のこと。
【0074】
ピロジクチウム遺伝子は、多細胞生物から誘導した真核細胞培養物中で発現せしめることもできる。例えば、Tissue Culture, Academic Press, CruzおよびPatterson 編 (1973) を参照のこと。有用な宿主細胞系としては、COS−7, COS−A2, CV−1 、マウス細胞、例えばマウスミエローマN51 およびVERO、HeLa細胞、並びにチャイニーズハムスター卵巣(CHO) 細胞が挙げられる。植物細胞も宿主細胞として有用であり、植物細胞と適合性である調節配列、例えばノパリンシンターゼプロモーターおよびポリアデニル化シグナル配列(Depickerら, 1982, J. Mol. Appln. Gen. 1:56)が利用可能である。
【0075】
使用する宿主細胞に依存して、そのような細胞に適当な標準技術を使って形質転換が行われる。原核生物または実質的な細胞壁障壁を含む他の細胞には、Cohen, 1972, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:2110 により記載されたような塩化カルシウムを使用するカルシウム処理が使われる。哺乳動物細胞には、GrahamおよびVan der Eb, 1978, Virology 52:546のリン酸カルシウム沈澱法が好ましい。酵母中への形質転換は、Van Solingenら, 1977, J. Bact. 130:946および Hsiaoら, 1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:3829 の方法に従って行われる。
【0076】
ピロジクチウムDNAポリメラーゼが組換え宿主細胞中で発現されたら、該タンパク質の精製が望ましいだろう。上述した精製手順を使って本発明の組換え耐熱性ポリメラーゼを精製することができるけれども、疎水的相互作用クロマトグラフィー精製法が好ましい。疎水的相互作用クロマトグラフィーは、疎水基を含む無電荷の材料との疎水的相互作用の強度の差に基づいて物質が分離される分離技術である。典型的には、まずカラムを疎水結合に好ましい条件下で、例えば高イオン強度下で平衡化する。下降性の塩勾配を使って試料を溶出せしめることができる。
【0077】
組換え耐熱性DNAポリメラーゼを精製するための詳細なプロトコールは、例えば、1992年3月5日に発行されたPCT特許公報第WO 92/03556 号および1991年7月11日に発行されたPCT特許公報第WO 91/09950 号に記載されている。それらの刊行物は参考として本明細書中に組み込まれる。テルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)についてその中に記載された方法が適当である。実施例9(下記参照)は組換えピロジクチウムポリメラーゼ酵素を精製するための好ましいプロトコールを提供する。
【0078】
長期安定性のためには、ピロジクチウムDNAポリメラーゼ酵素は、好ましくは1または複数の非イオン性高分子界面活性剤を含有する緩衝液中に保存される。そのような界面活性剤は一般に約100 〜250,000 、好ましくは約4,000 〜200,000 ダルトンの範囲内の分子量を有し、そして約3.5 〜約9.5 、好ましくは約4 〜8.5 のpHにおいて該酵素を安定化する。そのような界面活性剤の例として、McCutcheon Division of MC Publishing Co., 175, Rock Road, Glen Rock, NJ (USA) により出版されたMcCutcheon’s Emulsifiers & Detergents, North American 版(1983)の295 〜298 頁に明記されたものが挙げられる。この全開示は参考として本明細書中に組み込まれる。
【0079】
好ましくは、界面活性剤は、エトキシル化脂肪アルコールエーテルおよびラウリルエーテル、エトキシル化アルキルフェノール、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール化合物、修飾されたオキシエチル化および/またはオキシプロピル化直鎖アルコール、ポリエチレングリコールモノオレエート化合物、ポリソルベート化合物、並びにフェノール性脂肪アルコールエーテルから成る群から選ばれる。特により好ましいのは、ICI Americans Inc., Wilmington, D.E.からのポリオキシエチル化(20)ソルビタンモノラウレートすなわちTween−20、およびBASF Wyandotte Corp. Parsippany, NJ からのエトキシル化アルキルフェノール(ノニル)すなわちIconolTM NP−40である。
【0080】
本発明の耐熱性酵素は、そのような酵素活性が必要または所望であるどんな目的にも用いることができる。特に好ましい態様では、該酵素はPCRとして知られる核酸増幅反応を触媒する。
PCR法は当業界で周知であり(米国特許第 4,683,195号;同第 4,683,202号および同第 4,965,188号を参照のこと;この各々は参考として本明細書中に組み込まれる)、更に販売業者、例えばPerkin ElmerはPCR試薬を販売しておりPCRプロトコールを発表しているけれども、PCR法をよく知らない人への本発明の平明と十分な理解のためにPCR情報を下記に幾つか提供する。
【0081】
PCRにより試料中の標的核酸配列を増幅させるために、該配列は増幅系の成分に近づきやすくなければならない。一般に、この近づきやすさ(accessibility )は、試料から核酸を単離することによって保証される。生物学的試料から核酸を抽出する様々な技術が当業界で既知である。例えば、Higuchi ら, 1989, PCR Technology (Erlich編, Stockton Press, New York) に記載されたものを参照のこと。
【0082】
試料中の核酸をまず変性せしめ(試料核酸が二本鎖であると仮定して)てからPCR反応を開始するため、そして試料によっては単に加熱することが細胞の破壊を引き起こすため、試料からの核酸の単離は時折鎖分離と共に行うことができる。しかしながら、鎖分離は物理的、化学的または酵素的手段を含む任意の適当な変性法によって成し遂げることができる。典型的な熱変性は、約80〜105 ℃の範囲の温度と数秒から約1〜10分までの範囲の時間を必要とする。
【0083】
上述したように、鎖分離は試料核酸の単離と共にまたは別々の段階として行うことができる。PCR法の好ましい態様では、鎖分離は、二本鎖の変性を引き起こすがポリメラーゼの不可逆的変性を引き起こさないような効果的な時間の間十分に高温に反応液を加熱することによって達成される(米国特許第 4,965,188号を参照のこと)。しかしながら、たとえ鎖分離がどんな方法で達成されても、一度鎖が分離されれば、PCRの次の段階は、分離した鎖を標的配列に隣接するプライマーとハイブリダイズせしめることを含む。次いでプライマーを伸長して標的配列の相補的コピーを形成せしめ、そして所望の量の増幅核酸を得るのに必要な回数だけ、変性、ハイブリダイゼーションおよび伸長のサイクルを繰り返す。
【0084】
好結果のPCR増幅のために、各プライマーが二本鎖配列に沿ってハイブリダイズする位置が、一方のプライマーから合成される伸長生成物がその鋳型(相補鎖)から分離された時に他方のプライマーの伸長のための鋳型として働くような位置であるように、プライマーは設計される。
PCRにおけるプライマーの鋳型依存性伸長は、適当な塩、金属カチオンおよびpH緩衝系から成る反応媒質中で適当量の4種のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP, dGTP, dCTP, およびdTTP)の存在下で重合剤によって触媒される。
【0085】
この増幅方法は、既知配列の多量の特定核酸配列を生産するのに有用なだけでなく、存在することは知られているが完全に特定されていない核酸配列を生産するのにも有用である。一方のプライマーから合成される伸長生成物がその鋳型(相補鎖)から分離された時に、限定された長さの核酸配列への他方のプライマーの伸長のための鋳型として働くことができるような該配列に沿った相対位置のところで所望の配列の別の鎖にハイブリダイズするであろう2つのオリゴヌクレオチドプライマーを調製することができるように、該配列の両端のところの十分な数の塩基のみを十分詳細に知る必要がある。該配列の両端のところの塩基についての知識が増えれば増えるほど、標的核酸配列のためのプライマーの特異性や方法の有効性も高まり得る。
【0086】
精製された形または未精製の形でのどんな核酸配列も、それが所望の特定の核酸配列を含むかまたは含む疑いのあることを前提として、出発核酸として使用することができる。該方法は、例えば、DNAまたはRNA(伝令RNAを含む)を使用することができ、このDNAまたはRNAは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。
【0087】
例えば、鋳型がRNAならば、RNAを相補的コピーDNA(cDNA)配列に変換する適当な重合剤は、逆転写酵素(RT)、例えばトリ骨髄芽球症ウイルスRT、およびHoffmann−La Roche Inc.により発見および製造されそしてPerkin Elmerから市販されている逆転写酵素活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼであるテルムス・テルモフィルス(Thermus thermophilus)DNAポリメラーゼ(PCT特許公報WO 91/09950 を参照のこと)である。
【0088】
核酸が一本鎖であるにせよ二本鎖であるにせよ、ピロジクチウム由来のDNAポリメラーゼは変性段階においてあるいは温度がハイブリダイゼーションを促進する範囲内にあるかまたはそれに下げられつつある時に添加することができる。ピロジクチウムポリメラーゼの耐熱性は該ポリメラーゼを何時でも反応混合物に添加できるようにするけれども、反応混合物が緊縮ハイブリダイゼーション温度よりも低く冷却されないだろう時点で該ポリメラーゼを反応混合物中に添加することにより、非特異的増幅を実質的に阻止することができる。
【0089】
ハイブリダイゼーション後、反応混合物は、酵素活性が促進または最適化されるような温度、すなわちハイブリダイズしたプライマーと鋳型からのプライマー伸長生成物の合成を促進する酵素活性を増加させるのに十分な温度に加熱または維持される。その温度は実際に各々の核酸鋳型に相補的である各プライマーの伸長生成物を合成するのに十分でなければならないが、それの相補的鋳型からの各伸長生成物を変性せしめるほど高くてはならない(即ち温度は通常約80〜90℃未満である)。
【0090】
使用する核酸に依存して、この合成反応に有効な典型的な温度は、一般に約40〜80℃、好ましくは50〜75℃の範囲である。P.オクルタムおよびP.アビシィDNAポリメラーゼ酵素については温度は約65〜75℃がより好ましい。この合成に必要とされる時間は、温度、核酸の長さおよび酵素に依存して約0.5 〜40分またはそれ以上に及ぶことができる。伸長時間は通常約30秒〜3分である。核酸が長ければ、より長い時間が相補鎖の合成に必要である。
【0091】
当業者らは、PCR法が最も普通には耐熱性酵素を使った自動化法として実施されることを知っているだろう。この方法では、変性領域、プライマーアニーリング領域および反応領域を通して反応混合物の温度が循環される。耐熱性酵素の使用に合わせて特別に改造された機械が Perkin Elmer 社から市販されている。当業者はまた、前の反応からの増幅された核酸によるPCRの汚染の問題も知っているだろう。この問題を減少させる方法は米国特許出願第609,157 号(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に与えられている。
【0092】
PCR増幅は、末端どうし結合した幾つかのプライマー分子の配列を含有する二本鎖副産物であるプライマー二量体またはオリゴマーを生成し得る。その収量は増幅された標的配列の収量に反比例する。熱循環の欠損下でそして標的DNAの存在下または非存在下で周囲温度および周囲温度下であっても、PCR試薬の全部を混合すると常に、非特異的プライミングとプライマー二量体およびオリゴマー形成が起こり得る。
【0093】
例えば、Taq ポリメラーゼは最適温度が約75〜80℃であるけれども、37℃では約1〜2%活性を保持している。非特異的伸長およびプライマー二量体形成を克服する方法としては、最初の増幅サイクルの前に全試薬が一緒にされないような形で、少なくとも1つの試薬を他のものから分離することが挙げられる。PCT特許公報第WO 91/12342 号(これは参考として本明細書中に組み込まれる)は、非特異的伸長とプライマー二量体を最少にするための方法および組成物を記載している。
【0094】
ピロジクチウム種の極端に高い最適増殖温度のため、本発明は非特異的プライマー伸長を最少にするのに有用であろう組成物を提供する。詳しくは、ピロジクチウム・オクルタム(Pyrodictium occultum)とP.アビシィ(P. abyssi)の最適増殖温度は100 〜105 ℃であり、これは例えばテルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)よりも約30〜35℃高い。従って、室温でのピロジクチウムDNAポリメラーゼの残余活性は最少であると予想され、PCRの第一サイクルより前に少なくとも1つの試薬を分離する必要性を取り除くことができる。よって、本発明は、ワックスバリヤーや他の試薬分離手段を使用せずにPCRにおける非緊縮アニーリング温度での非特異的伸長を減少させる可能性を提供する。
【0095】
当業者は、本発明が、DNAポリメラーゼ活性が効用を有する任意の方法の実施のための新規組成物を提供することを認識するだろう。好ましい態様では、該酵素はPCRによる核酸配列の増幅に有用である。他の増幅方法、特にPLCR(Barany, 1991, PCR Methods and Applications (1):5−13)またはギャップ−LCR(例えば1990年2月8日に発行されたPCT特許公報第WO 90/01069 号を参照のこと)のような熱変性段階を必要とするものが本発明から役立つだろう。3′−5′エキソヌクレアーゼ欠損 PabおよびPoc DNAポリメラーゼ酵素から循環配列決定法(Caruthers ら, 1989, BioTechniques 7:494−499 、およびKoopら, 1992, BioTechniques 14:442−447;これらは参考として本明細書中に組み込まれる)が特に有益であろう。
【0096】
本発明は、本発明の耐熱性DNAポリメラーゼを含んで成るキットも提供し、好ましくは、1または複数の非イオン性高分子界面活性剤、および所望によりPCR反応を実施するのに有用な他の試薬、例えば一組のプライマー、プローブまたはヌクレオシド三リン酸前駆体を含有する緩衝液中に前記ポリメラーゼを含んで成る安定な酵素組成物も提供する。
【0097】
ピロジクチウムDNAポリメラーゼは、ポリメラーゼ連鎖反応による核酸配列の増幅が有用である多様な方法を実施する際に非常に有用である。そのような方法としては、クローニング、DNA配列決定、逆転写および非対称PCRが挙げられる。更に、本発明の酵素は、診断、法医学および調査用途での使用に適当である。次の例は例示のために与えるのであって本発明の特許請求の範囲を限定するためではない。
【0098】
実施例1ピロジクチウム・アビシィDNAライブラリーの作製およびコロニーブロット耐熱性DNAポリメラーゼ活性アッセイによる Pab ポリメラーゼ遺伝子の同定
ピロジクチウム・アビシィ(Pyrodictium abyssi)細胞はDr. Karl O. Stetter, University Regensburg, Regensburg, Germany から拝領した。単離物 AVZ (DSM6158)は、Pleyら, 1991, System Applied Microbiology 14:245−253(これは参考として本明細書中に組み込まれる)中に記載されている。
【0099】
Lawyerら, 1989, J. Biological Chemistry 264 (11):6427−6437(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に記載された方法によりDNAを精製した。約25μg のピロジクチウム・アビシィDNAを制限酵素Sau3AIで部分消化し、ゲル電気泳動によりサイズ分画した。3.5 kbよりも大きく且つ8.5 kbより小さい断片 10 ngを、pUC19 ベクター(Clontech, Palo Alto, CA )のBamHI 部位中へのクローニングに使用した。
【0100】
pUC19 プラスミドベクターはBamHI クローニング部位の上流にlac プロモーターを有する。該プロモーターは、プロモーター配列を欠くクローン化された転写解読枠の異種発現を誘導することができる。組換えプラスミドをE.コリ SURE 細胞(Stratagene)中に形質転換せしめた。SURE細胞の遺伝子型はmcrA, Δ(mcrBC−hsdRMS−mrr)171, endA1, supE44, thi−1,λ−, gyrA96, relA1, lac, recB, recJ, sbcC, umuC::Tn5(kan), urvC,(F’, proAB, laclZΔM15, Tn10〔tet 〕)である。
【0101】
耐熱性および高温性DNAポリメラーゼ活性の検出用の迅速なフィルターアッセイを使ってピロジクチウム・アビシィゲノムDNAライブラリーをスクリーニングした(Sangerら, 1991, Gene 97:119−123;これは参考として本明細書中に組み込まれる)。この方法に従って、組換えコロニーをニトロセルロース膜に結合し、そしてα〔32P〕標識dNTPs を含む重合緩衝液中で高温においてインキュベーションする。
【0102】
乾燥したフィルターのオートラジオグラフィーにより、高温性DNAポリメラーゼ活性を発現するコロニーを直接同定することができる。膜に結合させたコロニーを95℃に加熱して宿主DNAポリメラーゼを不可逆的に不活性化し、次いで高温でインキュベートして高温性DNAポリメラーゼ活性の存在を明らかにする。
【0103】
ペトリ皿あたり約500 コロニーを塗抹し、37℃で一晩増殖させた。続いて、コロニーをニトロセルロース膜上にレプリカ塗抹し、4時間増殖させた。ニトロセルロース膜の上側を下にしてアガロースプレート上に置き、それをクロロホルム/トルエン(1:1)混合物に浸した濾紙上に室温で20分間置いた。次いで、透過したコロニーを含有する膜を、50mM Tris−HCl, pH 8.8, 7mM MgCl, 3mM β−メルカプトエタノール(βMe)を含有する重合緩衝液中で95℃にて5分間インキュベートして非耐熱性(例えばE.コリ)DNAポリメラーゼ活性を不活性化した。
【0104】
不活性化の直後に、50mM Tris−HCl, pH 8.8, 7mM MgCl, 3mM βMe, 12μM dCTP, 12μM dGTP, 12μM dATP, 12μM dTTPおよび1μCi/ml のα〔32P〕−dGTPを含有する重合緩衝液に膜を移した。65℃で30分間のインキュベーション後、膜を5%(w/v) TCA と1%(w/v) ピロリン酸塩の溶液中で5分間に渡り2回洗浄し、取り込まれなかったα〔32P〕−dGTPを除去した。−70℃でのオートラジオグラフィーにより膜を分析した。3日後、複製した膜のX線フィルム上に7つのクローンが現れた。
【0105】
それらの7つのクローンからプラスミドDNAを単離し、制限分析を行って挿入断片のサイズとpUC19 ベクターに関する挿入断片の方向性を決定した。最大のクローンpPab14に関してDNA配列分析を行った。New England BioLabs, Beverly, MAから購入した正および逆配列決定用「万能」プライマーそれぞれNo. 1212および1233を使って予備DNA配列を得た。予備DNA配列から更なる配列決定用プライマーを設計し、クローン化挿入断片の一層内部の領域のDNA配列を得た。両方の鎖についてDNA配列分析を実施した。
【0106】
実施例2Pab ポリメラーゼ遺伝子の発現
プラスミドpDG168は、λPプロモーターおよびN遺伝子リボソーム結合部位(米国特許第 4,711,845号を参照のこと;これは参考として本明細書中に組み込まれる)、ポリリンカー中にクローニングされる配列がλP−NRBS の調節下で発現され得るように配置された制限部位ポリリンカー、並びにバシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)デルタ毒素遺伝子からの転写ターミネーター(米国特許第 4,666,848号を参照のこと;これは参考として本明細書中に組み込まれる)を含んで成る、λPクローニングおよび発現ベクターである。
【0107】
プラスミドpDG168は、プラスミドをコピー数に対して温度感受性にする変異RNAII遺伝子(米国特許第 4,631,257号を参照のこと;これは参考として本明細書中に組み込まれる)およびE.コリ K12株DG116 中のアンピシリン耐性遺伝子も担持している。pDG168の作製は、1991年7月11日に発行されたPCT特許公報第WO 91/09950 号の実施例6に記載されており、これは参考として本明細書中に組み込まれる。
【0108】
それらの要素が協力して働き、有用且つ強力な発現ベクターを提供する。30〜32℃では、プラスミドのコピー数は小さく、温度感受性λリプレッサー遺伝子を有する宿主細胞、例えばcI857 中で、Pプロモーターは機能しない。しかしながら37〜41℃では、プラスミドのコピー数は30〜32℃の時の25〜50倍高く、cI857 リプレッサーが不活性化されてプロモーターが機能できるようになる。よって、Pab DNAポリメラーゼ用の発現ベクターを作製するのにpDG168を選んだ。
【0109】
pPab14のDNA配列分析は、ヌクレオチド位置869 にATGコドンを有しそしてヌクレオチド位置3280にTGA終結コドンを有する803 アミノ酸の転写解読枠を明らかにした。オリゴヌクレオチドプライマー AW397(配列番号5)と AW398(配列番号6)を用いたPCR増幅によりPab 遺伝子の5′末端を変異誘発せしめた(後述する)。
【0110】
AW397(配列番号5)は、ATG出発コドンのところでPab DNA配列を変更せしめてNdeI制限部位を導入するように設計された正プライマーである。プライマー AW397(配列番号5)はまた、Pab ポリメラーゼ遺伝子配列の第5および6コドン中に変異を導入し、コードされるタンパク質のアミノ酸配列を変えることなくE.コリによるコドン用法とより一層適合できるようにする。逆プライマー AW398(配列番号6)は、アミノ酸位置174 に相当するSpeI部位を導入するために選択した。その上、SpeI部位の後ろにKpnI部位が導入された。
【0111】
PCR反応混合物は、50μl の反応容量中に、鋳型としてのSalIで直鎖状にしたpPab14 DNA 10 ng;10ピコモルのプライマー AW397(配列番号5)および AW398(配列番号6);各々50μM のdATP, dCTP, dTTPおよびdGTP;2 mM MgCl;10mM Tris−HCl, pH 8.3 ;50mM KCl並びに1単位のTaq ポリメラーゼを含有した。反応温度プロフィールは95℃で30秒;65℃で30秒および72℃で30秒であり、12サイクルに渡り増幅せしめた。
【0112】
500 bpの増幅生成物をNdeIとKpnIで消化し、1%(w/v)Seakem アガロースゲル上に負荷した。GeneClean キット(Bio 101, San Diego, CA)を使ってPCR生成物断片を精製し、そしてNdeIとKpnIで消化しておいた発現ベクターpDG168中にサブクローニングした。得られたクローンをpAW111と命名した。制限酵素分析とDNA配列分析により所望の変異を確認した。
【0113】
Pab ポリメラーゼ遺伝子の3′末端を制限酵素消化と合成オリゴヌクレオチド二本鎖の使用により変更した。アミノ酸位置785 〜786 のAflII 部位からのPab ポリメラーゼ(pol) 遺伝子の3′末端に従って AW399(配列番号7)を設計した。それは同じくTGA終結コドンをTAAに変更する。 AW400(配列番号8)は、それの5′末端にXmaI粘着末端を有すること以外は AW399(配列番号7)の相補鎖である。 AW399(配列番号7)が AW400(配列番号8)にアニールすると、粘着AflII/XmaI末端を有する60 bp の合成二本鎖を生じる。次いでこの二本鎖を、AflII とXmaIで消化されたプラスミドpPab2 中にクローニングした。得られたプラスミドをpAW113と命名した。
【0114】
プラスミドPab2は、実施例1に記載したようなゲノムライブラリーから単離された7つのクローンのうちの1つであった。プラスミドPab2は完全なPab pol 遺伝子を含むが、その5′末端がPab14 よりも〜250 bp短い。すなわち、それは隣接する5′末端の AflII部位を欠いており、上述したような3′末端の AflII−XmaI断片を合成二本鎖 AW399(配列番号7)/ AW400(配列番号8)で置換するクローニング方策を容易にした。置換された断片のDNA配列をDNA配列分析によって確認した。
【0115】
最後に、Pab ポリメラーゼ遺伝子領域のSpeIから終結コドンまでの1.89 kb 断片を、SpeIとXmaIでの消化によりpAW113から単離し、そしてゲル電気泳動により精製した。得られた断片を、SpeIとXmaIで消化しておいたプラスミドpAW111と連結せしめた。
【0116】
連結条件は、20μl の反応液あたり20μg/mlのDNA, 20mM Tris−HCl, pH 7.4, 50mM NaCl, 10mM MgCl, 40μM ATP および0.2 Weiss 単位のTDNAリガーゼ、16℃で一晩であった。連結生成物をDG116 宿主細胞中に形質転換せしめた。候補物を適当な制限酵素部位についてスクリーニングした。所望のプラスミドをpAW115と命名した。
【0117】
この実施例において使用するオリゴヌクレオチドを下記に示す。
Figure 0003626226
【0118】
実施例3ピロジクチウム・オクルタム (Poc) DNAポリメラーゼ遺伝子のクローニング
Pab およびPoc ゲノムDNA(各0.5 μg )をHindIII で消化し、そして0.8 %(w/v) アガロースゲルを通したゲル電気泳動により分離した。ピロジクチウム・オクルタム(Pyrodictium occultum)細胞は、Dr. Karl O. Stetter, University Regensburg, Regensburg, Germany から拝領した。Lawyerら, 1989, J. Biological Chemistry 264 (11):6427−6437(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に記載された方法によりDNAを精製した。
【0119】
ゲル中のDNA断片を1.5M NaCl および0.5M NaOH 溶液中で30分間変性せしめ、1M Tris−HCl, pH 8.0 および1.5M NaCl の溶液中で30分間中和し、そして20×SSPE(3.6M NaCl, 200mM NaPO/pH 7.4, 20mM EDTA/pH 7.4 )を使ってBiodyne ナイロン膜(Pall Biosupport, East Hills, NY )に移行せしめた。次いで膜に結合したDNAを、Pab ポリメラーゼ遺伝子のアミノ酸 515〜614 をコードする32P−標識された240 bpのPCR生成物にハイブリダイズせしめた。
【0120】
予備ハイブリダイゼーション溶液は、6×SSPE、5×デンハーツ試薬、0.5 %(w/v) SDS、100 μg/mlの変性され尖断されたサケ精子DNAであった。ハイブリダイゼーション溶液は、2×デンハーツ試薬を使用し、そして10cpm の32P−標識されPCR増幅されたプローブを含むこと以外は同じであった。予備ハイブリダイゼーションとハイブリダイゼーションは両方とも55℃で行われた。ブロットを次の通りに順次洗浄した:2×SSPE, 0.5 %(w/v) SDS 中で室温にて10分間;2×SSPE, 0.1 %(w/v) SDS 中で室温にて15分間;0.1 %(w/v) SSPE, 0.1 %(w/v) SDS 中で室温にて5分間。
【0121】
HindIII 消化物において約3.8 kbのところに強いシグナルが検出された。これは、Poc ポリメラーゼ遺伝子がPab ポリメラーゼ遺伝子と相同性を有することを示唆した。従って、Pab ポリメラーゼ遺伝子配列から設計した幾つかのPCRプライマーを、Poc ポリメラーゼ遺伝子の一部分の増幅について評価した。プライマー対 LS417(配列番号34)と LS396(配列番号35)を使ったPCRから、サイズが295 bpの特定のPCR生成物が得られた。
【0122】
Figure 0003626226
PCRは、50μl の総容量中、1×PCR緩衝液、50μM のdNTPs 、0.1 μM の各プライマー、1.25単位のTaq の最終濃度において実施された。1×PCR緩衝液は20mM Tris, pH 8.4, 50mM KCl, 2mM MgClを含んだ。反応液を35サイクルに渡り増幅させた。
【0123】
次いで295 bpのPCR生成物をDNA配列分析にかけた。該DNA配列は、Poc ポリメラーゼ遺伝子がこの領域内でPab ポリメラーゼ遺伝子と78%の一致を有することを示した。このDNA配列データを使って、Poc ポリメラーゼ特異的オリゴヌクレオチドプローブ AW394(配列番号9)を設計した。32P−標識した AW394(配列番号9)を使ってゲノムPoc DNAバンクをスクリーニングし、Poc ポリメラーゼクローンを得た。ゲノムPoc DNAバンクの作製は、ゲノムPab DNAバンクについて実施例1に記載した通りであった。
【0124】
ニトロセルロースフィルター上で約55,000個のアンピシリン耐性コロニーを選択し、32P−標識した AW394(配列番号9)とハイブリダイズせしめた。該プローブとハイブリダイズした6つのコロニーからプラスミドDNAを単離した。予備ハイブリダイゼーションとハイブリダイゼーション条件は上述した通りであった。洗浄条件は6×SSPE, 0.5 %(w/v) SDS 中で室温にて5分間に続き、2×SSPE, 0.1 %(w/v) SDS 中で55℃にて15分間であった。制限酵素分析とPCR分析を行い、挿入断片のサイズおよびpUC19 ベクターに関する方向性を決定した。その結果、pPoc3 とpPoc5 が同一クローンであることがわかった。同定された全てのPoc ポリメラーゼクローンのコード領域、5′末端非翻訳領域および3′末端非翻訳領域のサイズを下記に列挙する。
【0125】
Figure 0003626226
【0126】
pPoc4 に関してDNA配列分析を行った。万能プライマーと逆配列決定用プライマーを使って予備DNA配列情報を得た。このDNA配列から追加の配列決定用プライマーを設計し、挿入断片の一層内部の領域のDNA配列を得た。DNA配列分析は両方の鎖について行った。
【0127】
実施例4Poc ポリメラーゼ遺伝子の発現
オリゴヌクレオチドプライマー AW408(配列番号10)とAW409A(配列番号11)を用いてPCR増幅によりプラスミドpPoc4 中のPoc ポリメラーゼ遺伝子の5′末端を変異誘発せしめた。 AW408(配列番号10)は、ATG開始コドンのところでPoc 遺伝子のDNA配列を変更せしめてNsiI制限部位を導入するように設計された正プライマーである。
【0128】
プライマー AW408(配列番号10)はまた、Poc 遺伝子の第2,3,5および6コドン中に変異を導入し、コードされるタンパク質のアミノ酸配列を変えることなくE.コリのコドン用法とより一層適合できる配列を提供するように設計された。逆プライマーAW409A(配列番号11)は、アミノ酸位置38にXbaI部位を導入するために選択した。その上、その後のサブクローニングのためにXbaI部位の後ろにKpnI部位が導入された。
【0129】
KpnIで直鎖状にしたプラスミドpPoc4 を、 AW408(配列番号10)/AW409A(配列番号11)プライマー対を使った増幅のためのPCR鋳型として使用し、138 bpのPCR生成物を得た。PCR増幅手順は実施例2において上述した通りであった。増幅された断片をNsiIで消化し、次いでクレノウで処理してNsiI切断末端を平滑末端にし、そして最後にKpnIで消化した。
【0130】
生じた断片を、NdeIで消化した後クレノウで修復して突出末端をフルインして連結用の平滑末端を提供した発現ベクターpDG164(PCT特許公報第WO 91/09950 号の実施例6bに詳細に記載されており、これは参考として本明細書中に組み込まれる)と連結せしめた。この連結は、λPプロモーターとバクテリオファージT遺伝子10リボソーム結合部位の調節下にPoc ポリメラーゼ遺伝子の5′末端のフレーム内コード配列を与えた。得られた構成物をpAW118と命名した。
【0131】
Poc ポリメラーゼ遺伝子の3′末端のサブクローニングを行うために、終結コドンの後ろにKpnI部位を導入した。これは次のようなPCR法によって行われた。アミノ酸位置698−699 にEspI部位を導入する正プライマーを選択し、変更された終結コドン(TAA)の直後にKpnI部位を組み込むように逆プライマーを設計した。増幅された335 bp断片をEspIとKpnIで消化し、EspIとKpnIで消化されたプラスミドpPoc4 中にクローニングした。得られた構成物をpAW120と命名した。
【0132】
最後に、Poc Pol 遺伝子領域XbaIから終結コドンまでをXbaIとKpnIでの消化によりpAW120から単離した。得られた2.3 kb断片を、XbaIとKpnIで消化しておいたpAW118と連結せしめた。この連結生成物を発現用のDG116 宿主細胞中に形質転換せしめ、所望のプラスミドをpAW121と命名した。
【0133】
この実施例において使用するオリゴヌクレオチドを下記に示す。
Figure 0003626226
【0134】
実施例5トリプトファンプロモーターベクター中での Pab pol 遺伝子と Poc pol 遺伝子の発現
Pab pol 遺伝子とPoc pol 遺伝子は、E.コリのTrp プロモーターの調節下で過剰発現せしめることができる。発現クローンの作製は次のようにして行った:発現クローンpAW115中のλPプロモーターを、鋳型としてプラスミドpLSG10(プラスミドpLSG10は米国特許第 5,079,352号に記載されており、それは参考として本明細書中に組み込まれる)を使いそしてプライマーとして AW500(配列番号14)と AW501(配列番号15)を使ったPCR増幅により生成されたTrp プロモーターにより置換した。得られたPCR生成物をNspVとNdeIで消化し、そしてNspVとNdeIで消化されたpAW115中にクローニングし、E.コリ Trpプロモーターの調節下にあるPab pol 発現クローン pAW118 を生ぜしめた。
【0135】
pAW121のPoc pol 遺伝子中の内部NdeI部位は、NspV−NdeIλPプロモーター断片とTrp プロモーター断片との交換を複雑にする。従って、pLSG10からのTrp プロモーター配列断片の増幅用にプライマー AW500(配列番号14)と AW502(配列番号16)を設計し、pAW121からの5′末端の110 bpのNdeI−XbaI断片の増幅用にプライマー AW503(配列番号17)と AW504(配列番号18)を設計した。
【0136】
AW502(配列番号16)と AW503(配列番号17)は9ヌクレオチドが重複している。重複発現PCRを使って、Trp プロモーター断片と5′末端 110 bp 断片を融合せしめた。得られたPCR生成物をNspVとXbaIで消化し、そしてNspVとXbaIで消化しておいたpAW121中にクローニングした。得られたPoc pol 発現クローンをpAW123と命名した。
【0137】
Figure 0003626226
【0138】
実施例63′→5′エキソヌクレアーゼ活性の評価:忠実度アッセイ
PCR法により提供される増幅レベルが非常に高いため(1011〜 6×1012倍まで)、或る用途には複製の正確度(忠実度)が重要である。PCR忠実度は次の2段階過程に基づいている:誤挿入および誤伸長。DNAポリメラーゼが正しくない塩基を挿入しそして生じた3′−不適正末端が伸長されなければ、下流のプライマー結合部位が存在しないので、この先端が切り取られた伸長生成物を増幅せしめることができない。
【0139】
DNAポリメラーゼは適正3′末端よりも遅く不適正3′末端を伸長する。更に、異なる不適正組合せは異なる速度で広がる。Kwokら, 1990, Nuc. Acids Res. 18:999−1005 、およびHuang ら, 1992, Nuc. Acids Res. 20:4567−4573を参照のこと。
生来の3′→5′エキソヌクレアーゼ活性またはプルーフリーディング活性を有するDNAポリメラーゼは、誤挿入された塩基を伸長前に除去することにより忠実度を改善することができる。誤伸長の前に3′末端不適正ヌクレオチドを除去する3′→5′エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼの能力を評価するために、便利なPCRおよび制限エンドヌクレアーゼ消化アッセイを開発した。
【0140】
テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)DNAポリメラーゼ遺伝子(Lawyerら, 1989, J. Biol. Chem. 264:6427−6437 および米国特許第 5,079,352号)中のBamHI 制限酵素認識配列の最初のヌクレオチドに完全に適合するかまたは3′が不適合である(可能な限りの組合せを有する)数個のプライマーを設計した。完全適合プライマー FR434(配列番号29)と FR438(配列番号33)は、BamHI 制限酵素で完全消化すると132 bpと19 bp のDNA断片を生じる151 bp生成物を増幅する。正プライマー FR434(配列番号29)の3′末端ヌクレオチドは、Taq DNA pol遺伝子のヌクレオチド1778に相当する。
【0141】
正プライマー FR435(配列番号30)、 FR436(配列番号31)および FR437(配列番号32)は、野生型Taq DNA pol遺伝子と野生型プライマー FR438(配列番号33)伸長生成物に関して、それぞれA:C,T:CおよびC:Cに相当する単一の3′末端不適正組合せを含む。プライマー FR435(配列番号30)、 FR436(配列番号31)および FR437(配列番号32)からの不正確または誤伸長は、Taq DNA pol遺伝子のヌクレオチド1778−1783 に相当するBamHI 認識部位を除去する。あるいは、エキソヌクレオチド分解的プルーフリーディングは3′末端の不適正ヌクレオチドを除去し、そして正しいdG残基の取り込みを可能にし、診断用BamHI 制限酵素部位を含むようになったPCR生成物の蓄積をもたらす。
【0142】
FR435(配列番号30)、 FR436(配列番号31)および FR437(配列番号32)プライマーは全てがもとの標的に対して不適合であるため、このPCR/エンドヌクレアーゼ消化アッセイは、「変異体」プライマーを補正しそして診断用BamHI 開裂部位を含むPCR生成物を生ぜしめるためにサイクル毎にエキソヌクレオチド分解的プルーフリーディングを必要とする。いずれかのサイクルにおける誤伸長は、次のサイクルにおいて、アッセイに使用するプライマー全てに完全に適合する(プライマー FR438〔配列番号33〕伸長から)効率的にコピーされた(変異体)鋳型を生じるだろう。
【0143】
Figure 0003626226
【0144】
プライマー FR434(配列番号29)はTaq DNAポリメラーゼ遺伝子のヌクレオチド1760〜1778に全く同一であり、そしてプライマー FR438(配列番号33)はTaq DNAポリメラーゼ遺伝子のヌクレオチド1891〜1910に相補的である。プライマー FR435(配列番号30)、 FR436(配列番号31)および FR437(配列番号32)はTaq DNAポリメラーゼ遺伝子のヌクレオチド1760〜1777に全く同一であり、そして1778位に(*,下線によって)指摘した3′末端不適正ヌクレオチドを含有する。
【0145】
組換えPab およびPoc DNAポリメラーゼは、それぞれプラスミドpAW115またはpAW121を含むE.コリ K12のDG116 株から精製した。この精製は、実施例9に従って、細胞溶解、75〜85℃での加熱処理、大量核酸のポリミンP沈澱、フェニルセファロースクロマトグラフィーおよびヘパリンセファロースクロマトグラフィーを伴った。
【0146】
この忠実度アッセイを使って、野生型組換えPab およびPoc DNAポリメラーゼは不適正プライマー FR435(配列番号30)、 FR436(配列番号31)および FR437(配列番号32)を補正し、必要なBamHI 開裂部位を含有するPCR生成物を生ぜしめることができる。これは3′→5′エキソヌクレオチド分解的プルーフリーディング活性の存在を証明する。
【0147】
実施例7Pab pol および Poc pol の3′→5′エキソヌクレアーゼ変異体の製造
Asp187とGlu189のコドンをアラニンコドンに変更するのに重複伸長PCRによる部位特異的突然変異誘発を使って、3′→5′エキソヌクレアーゼ活性を欠くPab およびPoc pol 遺伝子を作製した。簡単に言えば、重複伸長PCRによる突然変異誘発は、独立的PCR反応に相補的オリゴプライマーを含めることによる、DNA断片の作製を含む(この方法の詳細な説明については、Higuchi ら, 1988, Nuc. Acids Res. 16:7351−7367、およびHoら, 1989, Gene 77:51−59を参照のこと;これらは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0148】
該方法によれば、それらの断片は、重複末端がアニールする次の「融合」反応において組み合わされ、各鎖の3′重複部分が相補鎖の3′伸長のためのプライマーとして働けるようにする。得られた融合生成物はPCRにより更に増幅される。重複しているオリゴプライマー中にヌクレオチド変異を組み込むことにより、ヌクレオチド配列中に特異的変異を導入することができる。
【0149】
Pab の3′→5′エキソヌクレアーゼ欠失変異体の作製は次のようにして行った。Asp187〜Glu189に及び、そのAsp187とGlu189の両方がアラニンにより置換されている、重複した2つのプライマー AW493(配列番号20)と AW494(配列番号21)を設計した。それぞれアミノ酸位置174−175 とアミノ酸位置304−305 のユニークSpeIとNsiI制限部位のところに位置し、かくして融合生成物を発現ベクターにもう一度連結できるようにするために、2つの外部プライマー AW492(配列番号19)と AW495(配列番号22)を選択した。
【0150】
プライマーセット AW492(配列番号19)/ AW493(配列番号20)と AW494(配列番号21)/ AW495(配列番号22)はそれぞれ70 bp と373 bpの断片であった。生じた2断片(27ヌクレオチドが3′重複している)を、次のプライマー伸長反応での変性とアニーリングによって融合せしめた。416 bpの融合生成物を、2つの外部プライマー AW492(配列番号19)と AW495(配列番号22)を使ったPCRにより更に増幅せしめた。次いで変異誘発された416 bp断片をSpeIとNsiIで切断し、同じくSpeIとNsiIで切断された親クローンpAW115中にもう一度連結せしめた。生じた変異体クローンをpexo−Pabと命名し、所望の変異を配列分析により確認した。
【0151】
同様に、同じアプローチを使ってPoc の3′→5′エキソヌクレアーゼ欠損変異体を作製した。突然変異を導入するのに使った重複プライマーは AW489(配列番号24)と AW490(配列番号25)である。2つの外部プライマー AW488(配列番号23)と AW491(配列番号26)は、それぞれアミノ酸位置37−39 と260−262 のユニークXbaIおよびBssHII制限部位のところに位置する。
【0152】
プライマーセット AW488(配列番号23)/ AW489(配列番号24)と AW490(配列番号25)/ AW491(配列番号26)を使ったPCRからの生成物は、それぞれ476 bpと243 bpの断片であった。それらの2断片を融合せしめ、そして外部プライマー AW488(配列番号23)と AW491(配列番号26)を使ったPCR増幅にかけた。次いで変異誘発された断片をXbaIとBssHIIで切断し、親クローンpAW115中にもう一度連結せしめた。生じた変異体クローンをpexo−Pocと命名した。
【0153】
不適正組合せ含有プルーフリーディングアッセイを使ってpexo−Pab DNAポリメラーゼとpexo−Poc DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性を調べた。その結果は、pexo−Pab polとpexo−Poc polの両方が3′→5′エキソヌクレアーゼ活性を欠いていることを示した。
【0154】
Figure 0003626226
【0155】
実施例8PCRにおける Pab pol Poc pol および Taq pol の耐熱性の比較
高温菌ピロジクチウム属の増殖温度の上限は110 ℃である。精製された組換えPab pol, Poc polおよびTaq pol のPCR法における耐熱性を試験するために、次の実験を実施した:0.1 pg, 1 pgおよび10 pg のM13 DNA(New England Biolabs, Beverly MA )をPab, PocおよびTaq によるPCR分析のための鋳型として使用した。反応液を95℃または100 ℃の変性温度で25, 30, 35および40サイクルにかけた。プライマーとしてBW36(配列番号27)とBW42(配列番号28)を使うことにより、350 bpのPCR生成物を生ぜしめた。
【0156】
Figure 0003626226
PCRは、50μl の総反応容量中で、1×PCR緩衝液、50μM のdNTPs 、0.1 μM の各プライマー、0.25単位のPab または0.1 単位のPoc または1.25単位のTaq の最終濃度において実施した。
【0157】
Pab DNAポリメラーゼの1単位とPoc DNAポリメラーゼの1単位は、Taq DNAポリメラーゼと同様に、74℃にて30分間あたり10ナノモルの全dNTPs を酸不溶性物質中に組み込むであろう酵素の量として定義される。Poc およびPab DNAポリメラーゼは、反応液組成に次のような変化を伴って、Taq DNAポリメラーゼについて米国特許第 4,889,818号(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に記載された通りにアッセイされる。Pab DNAポリメラーゼ:Tris−HCl pH 8.3 (25 ℃), 100mM KCl, 5mM MgCl。Poc DNAポリメラーゼ:Tris−HCl pH 8.0 (25 ℃), 10mM KCl, 5mM MgCl
【0158】
Pab 用の1×PCR緩衝液:20mM Tris−HCl, pH 8.4, 100mM KCl, 1.5mM MgCl 。Poc 用の1×PCR緩衝液:20mM Tris−HCl, pH 8.4, 10mM KCl, 1.0mM MgCl。Taq 用の1×PCR緩衝液:20mM Tris, pH 8.4, 50mM KCl, 1.5mM MgCl。増幅プロフィールは、95℃または100 ℃で30秒間の変性、55℃で30秒間のプライマーアニーリングおよび伸長を含む。結果は、Pab pol およびPoc pol は極端に耐熱性であり、100 ℃までの変性温度を使用するPCRにおいて効率的に機能することを示した。対照的に、Taq pol は100 ℃のそれらの条件下では全く生成物をもたらさなかった。
【0159】
実施例9組換えピロジクチウムDNAポリメラーゼの精製
組換えピロジクチウムDNAポリメラーゼは次のようにして精製する。簡単に言えば、細胞を1容のTE緩衝液(1mM DTT を含む50mM Tris−HCl, pH 7.5,および1.0mM EDTA)中で解凍し、そしてプロテアーゼ阻害剤(2.4mM にPMSF〔フェニルメチルスルホニルフルオリド〕、1μg/mlにロイペプチン、および0.2mM にTLCK〔(−)−1−クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−2−ヘプタノン塩酸塩〕)を添加する。
【0160】
細胞を20,000 psiにてAmincoフレンチプレッシャーセル中で溶解せしめ、超音波処理して粘度を低下させる。超音波処理液をTE緩衝液で希釈し、そして湿潤細胞重量の5.5 倍にプロテアーゼ阻害剤を添加し(画分I)、0.2M硫酸アンモニウムに調整し、そして素早く85℃に加熱して85℃で15分間維持する。加熱処理した上清を素早く0℃に冷却し、そして20,000×Gで30分間の遠心の後、E.コリ細胞膜と変性タンパク質を除去する。
【0161】
ピロジクチウムDNAポリメラーゼを含有する上清(画分II)を保存する。核酸の>95%を沈澱せしめるのに必要なポリミンPのレベルを試行沈澱によって決定する(通常は0.6 〜1% w/vの範囲)。0℃で30分間迅速に攪拌しながら所望量のポリミンPをゆっくり添加し、上清を20,000×Gで30分間遠心し、沈澱した核酸を除去する。ピロジクチウムDNAポリメラーゼを含有する上清(画分III )を保存する。
【0162】
画分III を0.3 M硫酸アンモニウムに調整し、そして50mM Tris−HCl, pH 7.5, 0.3M 硫酸アンモニウム, 10mM EDTA および1mM DTT 中で平衡化されているフェニルセファロースカラムに適用する。該カラムを2〜4カラム容積の同緩衝液で洗浄し(A280 がベースラインに達するまで)、次いで1〜2カラム容積の50mM KCl含有TE緩衝液で洗浄してE.コリ汚染タンパク質の大部分を除去する。次いで50mM Tris−HCl, pH 7.5, 2M 尿素, 20%(w/v) エチレングリコール, 10mM EDTA および1mM DTT を含有する緩衝液を用いてカラムからピロジクチウムDNAポリメラーゼを溶出せしめ、そしてDNAポリメラーゼ活性を有する画分をプールする(画分IV)。
【0163】
組換えピロジクチウムDNAポリメラーゼの最終精製は、ヘパリンセファロースクロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、またはAffigel ブルークロマトグラフィーを使って達成される。組換えピロジクチウムDNAポリメラーゼを2.5 ×貯蔵緩衝液〔50mM Tris−HCl, pH 8.0, 250mM KCl, 2.5mM DTT, 0.25mM EDTA, 0.5%(w/v) Tween−20〕中に透析し、1.5 容の無菌80%(w/v) グリセロールと混合し、そして−20℃で貯蔵することができる。
【0164】
実施例 10ピロジクチウム・オクルタムDNAポリメラーゼの耐熱性
ピロジクチウム・オクルタム(Pyrodictium occultum)DNAポリメラーゼの耐熱性は、様々な時間の長さに渡り100 ℃でインキュベーションした後で該活性を測定することにより評価した。PCR増幅条件を模倣するつもりであるがDNA合成が起こらないように選択された混合物中で、DNAポリメラーゼをインキュベートした。該酵素混合物は次の試薬を含んだ:
【0165】
10mM Tris−HCl pH 8.0
50mM KCl
200 μM dATP
1mM MgCl
0.1 μg の一本鎖DNA
20ピコモルのプライマー(30塩基オリゴマー)
【0166】
活性を測定するために、インキュベートした酵素混合物5μl を、次の試薬から成る反応混合物45μl に添加した:
10mM Tris pH 8.0
6mM MgCl
75mM KCl
1mM β−メルカプトエタノール
各200 μM のdATP, dTTPおよびdGTP
200 μM の〔α−33P〕dCTP
2.5 μg の活性化されたサケ精子DNA
活性は75℃で10分間の間に取り込まれたdNMPの量として測定された。
【0167】
ある実施態様では、0,1,2および4時間の間インキュベーションを実施した。4時間より少ない時間インキュベートした反応液は、全ての活性アッセイを一緒に実施するために全てのインキュベーションが間隙するまで氷上に維持しておいた。測定された活性を、各高温インキュベーション後に残存している初活性の比率として表示し、下記に与える。
【0168】
Figure 0003626226
【0169】
100 ℃での0, 1, 2, 3, 4, 6, 7 および8 時間のインキュベーションを使って同様な実験を行った。その結果を下記に与える。
Figure 0003626226
【0170】
100 ℃で8時間のインキュベーション後でさえも、検出可能な活性の低下は全く観察されなかった。ピロジクチウム・アビシィ(Pyrodictium abyssi)からのDNAポリメラーゼの耐熱性も同様であると予想される。
【0171】
実施例 11 Exo 欠失変異体
ポリメラーゼ活性を保持しながらエキソヌクレアーゼ活性を欠いているアミノ(N)末端欠失変異体DNAポリメラーゼを作製した。366, 386および403 アミノ酸が欠失しており、それぞれ48, 46および44キロダルトン(kDa) のタンパク質を生じる3種の「小型」Pab DNAポリメラーゼを製造した。後述の通り変異体ポリメラーゼ遺伝子を作製し発現せしめた。
【0172】
Pab DNAポリメラーゼをコードする全長配列の部分配列を、下記に示すプライマーを使って発現プラスミドpAW115から増幅せしめた。上流プライマー AW594, AW593 およびAW576 の各々は、ATG開始コドンを導入し、ATG開始コドンの前にNdeI制限部位を導入し、そして最初の6コドンの中に幾つかの変異を導入し、コードされるタンパク質のアミノ酸配列を変えずにE.コリのコドン用法とより適合性である配列を提供する。
【0173】
プライマー AW594はアミノ酸367 位と368 位の間にATG開始コドンを導入し、366 アミノ酸欠失変異体をもたらす。同様に、プライマー AW593はアミノ酸387 位と388 位の間にATG開始コドンを導入し、386 アミノ酸欠失変異体をもたらし、そしてプライマー AW576はアミノ酸 404位と 405位の間にATG開始コドンを導入し、403 アミノ酸欠失変異体をもたらす。単一の下流プライマー AW577は、アミノ酸454 位に相当するApaI部位を含む各増幅用に使用した。それらのプライマーの配列を5′から3′方向において下記に与える。
【0174】
Figure 0003626226
【0175】
各増幅は、鋳型として100 pgの直鎖状にしたpAW115を使って50μl の反応容量において次の条件下で実施した:10ピコモルの各プライマー、50μM の各dNTP、1.5mM MgCl、10mM Tris−HCl, pH 8.8 、10mM KClおよび1UのUlTma DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer, Norwalk, CT )。増幅のための温度プロフィールは、各々が95℃で30秒と55℃で30秒とから成る20サイクルであった。
【0176】
増幅生成物をNdeIとApaIで消化し、アガロースゲル電気泳動を使って精製した。精製した生成物をNdeIとApaIで消化されたpAW115中にサブクローニングし、それによって元の1364塩基の断片を266, 206または155 塩基の増幅挿入断片により置換した。得られたクローンをpAW126(403 アミノ酸欠失変異体)、pAW129(386 アミノ酸欠失変異体)、およびpAW130(366 アミノ酸欠失変異体)と命名した。置換された断片のDNA配列をDNA配列分析により確認した。
【0177】
得られた発現ベクターの各々を、本質的に前の実施例に記載された通りに、E.コリ中で発現せしめた。48および46 kDaタンパク質の発現は中程度であったが、一方44 kDaタンパク質の発現は非常に高かった。熱処理した各タンパク質の粗抽出物は、実施例10に記載の活性アッセイを使って分析するとポリメラーゼ活性を示した。
【0178】
ATCC 寄託
下記のバクテリオファージおよび菌株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC),12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland, U.S.A. に寄託された。それらの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約およびその規則(ブタペスト条約)の規定のもとに行われた。これは寄託日から30年間に渡る生存培養物の維持を保証する。
【0179】
寄託生物は、ブタペスト条約の規定のもと、そして関連する米国特許および/または外国特許もしくは特許出願の刊行物の発行後の無制限の入手可能性を保証するという出願人とATCCとの協定を条件として、ATCCにより入手可能にされるだろう。寄託された菌株の入手可能性は、いずれかの政府の権限のもとにその特許法に従って認められる権利に反して本発明を実施するための認可であると解してはならない。
【0180】
Figure 0003626226
【0181】
上述した明細書は、当業者が本発明を実施できるのに十分であると考えられる。寄託した態様は本発明の1つの観点の例示のつもりであるため、本発明は寄託された細胞系により範囲を限定されるべきではなく、機能的に等価であるいずれの細胞系も本発明の範囲内に含まれる。材料の寄託は本明細書に書かれた記載が本発明のいずれかの観点の実施(最良の実施形態を含む)を可能にするのに不十分であるという容認を構成するものではなく、また寄託物は特許請求の範囲をそれらが表示する特定の説明に限定するものであると解釈されるべきではない。実際、上記説明から、当業者には上記のものの他に本発明の様々な変形が明白であろうし、それらは本発明の特許請求の範囲内に含まれるだろう。
【0182】
【配列表】
Figure 0003626226
Figure 0003626226
【0183】
Figure 0003626226
Figure 0003626226
Figure 0003626226
Figure 0003626226
Figure 0003626226
【0184】
Figure 0003626226
Figure 0003626226
【0185】
Figure 0003626226
Figure 0003626226
Figure 0003626226
Figure 0003626226
Figure 0003626226
【0186】
Figure 0003626226
【0187】
Figure 0003626226
【0188】
Figure 0003626226
【0189】
Figure 0003626226
【0190】
Figure 0003626226
【0191】
Figure 0003626226
【0192】
Figure 0003626226
【0193】
Figure 0003626226
【0194】
Figure 0003626226
【0195】
Figure 0003626226
【0196】
Figure 0003626226
【0197】
Figure 0003626226
【0198】
Figure 0003626226
【0199】
Figure 0003626226
【0200】
Figure 0003626226
【0201】
Figure 0003626226
【0202】
Figure 0003626226
【0203】
Figure 0003626226
【0204】
Figure 0003626226
【0205】
Figure 0003626226
【0206】
Figure 0003626226
【0207】
Figure 0003626226
【0208】
Figure 0003626226
【0209】
Figure 0003626226
【0210】
Figure 0003626226
【0211】
Figure 0003626226
【0212】
Figure 0003626226
【0213】
Figure 0003626226
【0214】
Figure 0003626226
【0215】
Figure 0003626226
【0216】
Figure 0003626226
【0217】
Figure 0003626226
【0218】
Figure 0003626226
【0219】
Figure 0003626226
【0220】
Figure 0003626226

Claims (16)

  1. 配列番号:2または配列番号:4のN−末端からC−末端までのアミノ酸配列を有する熱安定性DNAポリメラーゼ。
  2. 請求項1に記載の熱安定性DNAポリメラーゼの組換え誘導体であって、配列番号:2のアミノ酸配列に対して1次構造において1〜数個のアミノ酸残基の欠失または付加による修飾を有し、この修飾が、得られる熱安定性酵素の酵素的性質を破壊せず、この酵素的性質が、
    (a)ヌクレオシドトリホスフェートの結合による核酸鋳型鎖に相補的な核酸鎖の形成を触媒し;
    (b)100℃以下の変性温度を用いるポリメラーゼ連鎖反応において、効果的に機能することが出来;そして
    (c)3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する;
    である、組換え誘導体。
  3. 請求項1に記載の熱安定性DNAポリメラーゼの組換え誘導体であって、配列番号:4のアミノ酸配列に対して1次構造において1〜数個のアミノ酸残基の欠失または付加による修飾を有し、この修飾が、得られる熱安定性酵素の酵素的性質を破壊せず、この酵素的性質が、
    (a)ヌクレオシドトリホスフェートの結合による核酸鋳型鎖に相補的な核酸鎖の形成を触媒し;
    (b)100℃以下の変性温度を用いるポリメラーゼ連鎖反応において、効果的に機能することが出来;そして
    (c)3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する;
    である、組換え誘導体。
  4. 70℃と80℃との間に最適活性を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱安定性DNAポリメラーゼ。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱安定性DNAポリメラーゼをコードするDNA。
  6. 配列番号:1のヌクレオチド配列を有する、請求項に記載のDNA。
  7. 配列番号:3のヌクレオチド配列を有する、請求項に記載のDNA。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱安定性DNAポリメラーゼをコードするDNAを含んで成る組換えDNAベクター。
  9. pPoc4(ATCC No.69309またはpPab14(ATCC No.69310)である請求項に記載の組換えDNAベクター。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱安定性DNAポリメラーゼをコードするDNA配列を含んで成るDNAベクターにより形質転換された宿主細胞。
  11. 請求項10に記載の宿主細胞により生産される、ピロデイクチューム(Pyrodictum)DNAポリメラーゼ活性を示すポリペプチド。
  12. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱安定性DNAポリメラーゼまたは請求項11に記載のポリペプチドの製造方法において、
    (a)請求項1〜のいずれか1項に記載の熱安定性DNAポリメラーゼまたは請求項11に記載のポリペプチドをコードする組換えDNAベクターにより形質転換された宿主細胞を培養し;そして
    (b)培養物から、前記宿主細胞において生産された熱安定性DNAポリメラーゼを単離する;
    ことを含んで成る方法。
  13. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱安定性DNAポリメラーゼまたは請求項11に記載のポリペプチドを用いることを特徴とする、核酸の増幅方法。
  14. 核酸の増幅のための、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱安定性DNAポリメラーゼまたは請求項11に記載のポリペプチドの使用方法
  15. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱安定性DNAポリメラーゼもしくは請求項11に記載のポリペプチド、または1もしくは複数の非イオン性高分子界面活性剤を含有する緩衝剤中に前記ポリメラーゼを含んで成る安定な酵素組成物、を含んで成るPCR用キット。
  16. プライマー、プローブまたはヌクレオシドトリホスフェート前駆体を更に含む、請求項15に記載のキット。
JP09983794A 1993-05-14 1994-05-13 熱安定性核酸ポリメラーゼ Expired - Lifetime JP3626226B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/062,368 US5491086A (en) 1993-05-14 1993-05-14 Purified thermostable nucleic acid polymerase and DNA coding sequences from pyrodictium species
US062368 1993-05-14

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06343466A JPH06343466A (ja) 1994-12-20
JP3626226B2 true JP3626226B2 (ja) 2005-03-02

Family

ID=22042027

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09983794A Expired - Lifetime JP3626226B2 (ja) 1993-05-14 1994-05-13 熱安定性核酸ポリメラーゼ

Country Status (10)

Country Link
US (1) US5491086A (ja)
EP (1) EP0624641B1 (ja)
JP (1) JP3626226B2 (ja)
AT (1) ATE198083T1 (ja)
CA (1) CA2123354C (ja)
DE (1) DE69426400T2 (ja)
DK (1) DK0624641T3 (ja)
ES (1) ES2153395T3 (ja)
GR (1) GR3035477T3 (ja)
PT (1) PT624641E (ja)

Families Citing this family (43)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5756334A (en) * 1990-04-26 1998-05-26 New England Biolabs, Inc. Thermostable DNA polymerase from 9°N-7 and methods for producing the same
WO1995034644A1 (en) * 1994-06-15 1995-12-21 Novo Nordisk A/S Pyrodictium xylanase, amylase and pullulanase
JP3112148B2 (ja) * 1995-05-31 2000-11-27 東洋紡績株式会社 核酸の増幅方法およびその試薬
US6033859A (en) * 1996-05-24 2000-03-07 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Thermostable DNA polymerase from a hyperthermophilic archaeon strain KOD1
US6077664A (en) * 1995-06-07 2000-06-20 Promega Corporation Thermophilic DNA polymerases from Thermotoga neapolitana
US6001645A (en) * 1995-06-07 1999-12-14 Promega Corporation Thermophilic DNA polymerases from thermotoga neapolitana
AU717156B2 (en) * 1995-12-27 2000-03-16 Takara Bio Inc. Novel DNA polymerase
US7070962B1 (en) * 1996-02-01 2006-07-04 Aventis Pharmaceuticals Inc. Positive controls in polynucleotide amplification
FR2750999B1 (fr) 1996-07-10 1998-11-20 Appligene Oncor Adn polymerase thermostable d'archaebacteries du genre pyrococcus sp
EP0983364B1 (en) * 1997-03-12 2002-06-12 PE Corporation (NY) Dna polymerases having improved labeled nucleotide incorporation properties
US7056703B2 (en) 1997-08-06 2006-06-06 Diversa Corporation Polypeptides having polymerase activity and methods of use thereof
US5948666A (en) * 1997-08-06 1999-09-07 Diversa Corporation Isolation and identification of polymerases
US7049101B1 (en) * 1997-08-06 2006-05-23 Diversa Corporation Enzymes having high temperature polymerase activity and methods of use thereof
US5976842A (en) * 1997-10-30 1999-11-02 Clontech Laboratories, Inc. Methods and compositions for use in high fidelity polymerase chain reaction
US6300075B1 (en) * 1999-02-03 2001-10-09 Ortho-Clinical Diagnostics, Inc Enhancement of the specificity of nucleic acid amplification by carrier nucleic acid
WO2000053772A1 (en) * 1999-03-06 2000-09-14 Roche Diagnostics Gmbh Dna polymerase from pyrobaculum islandicum
US6864364B1 (en) * 1999-04-15 2005-03-08 University Of Utah Research Foundation MinK-related genes, formation of potassium channels and association with cardiac arrhythmia
US20040214221A1 (en) * 1999-05-07 2004-10-28 Klaus Muehlegger High density labeling of DNA with modified or "chromophore" carrying nucleotides and DNA polymerases used
US6544750B1 (en) 1999-08-17 2003-04-08 Thromgen, Inc. Peptide analogs as selective inhibitors of thrombin activation of protease activated receptor 1
EP1259624B1 (en) 2000-02-17 2008-05-14 Qiagen GmbH Thermostable chimeric nucleic acid polymerases and uses thereof
DE10049211A1 (de) * 2000-10-05 2002-04-18 Qiagen Gmbh Thermostabile Polymerase aus Thermococcus pacificus
ZA200303132B (en) * 2000-10-20 2004-09-23 Expression Diagnostics Inc Leukocyte expression profiling.
US6509175B2 (en) * 2001-04-11 2003-01-21 Incyte Genomics, Inc. cDNA libraries and methods for their production
US6617136B2 (en) 2001-04-24 2003-09-09 3M Innovative Properties Company Biological sample processing methods and compositions that include surfactants
US6905827B2 (en) * 2001-06-08 2005-06-14 Expression Diagnostics, Inc. Methods and compositions for diagnosing or monitoring auto immune and chronic inflammatory diseases
US7235358B2 (en) * 2001-06-08 2007-06-26 Expression Diagnostics, Inc. Methods and compositions for diagnosing and monitoring transplant rejection
US7026121B1 (en) 2001-06-08 2006-04-11 Expression Diagnostics, Inc. Methods and compositions for diagnosing and monitoring transplant rejection
EP1275735A1 (en) * 2001-07-11 2003-01-15 Roche Diagnostics GmbH Composition and method for hot start nucleic acid amplification
US20050042629A1 (en) 2002-09-13 2005-02-24 Applera Corporation Thermus scotoductus nucleic acid polymerases
AU2002346498A1 (en) 2001-11-30 2003-06-17 Applera Corporation Thermus brockianus nucleic acid polymerases
US7820030B2 (en) * 2003-04-16 2010-10-26 Handylab, Inc. System and method for electrochemical detection of biological compounds
US20070248978A1 (en) * 2006-04-07 2007-10-25 Expression Diagnostics, Inc. Steroid responsive nucleic acid expression and prediction of disease activity
US7892745B2 (en) * 2003-04-24 2011-02-22 Xdx, Inc. Methods and compositions for diagnosing and monitoring transplant rejection
EP1658374A4 (en) * 2003-07-29 2007-04-11 Sigma Aldrich Co METHOD AND COMPOSITIONS FOR AMPLIFICATION OF DNA
US7645575B2 (en) * 2004-09-08 2010-01-12 Xdx, Inc. Genes useful for diagnosing and monitoring inflammation related disorders
WO2006122295A2 (en) * 2005-05-11 2006-11-16 Expression Diagnostics, Inc. Methods of monitoring functional status of transplants using gene panels
WO2008021431A2 (en) * 2006-08-14 2008-02-21 Xdx, Inc. Methods and compositions for diagnosing and monitoring the status of transplant rejection and immune disorders
US20080124768A1 (en) * 2006-10-31 2008-05-29 Sigma Aldrich Co. Methods and Compositions for Amplification of DNA
US8148067B2 (en) * 2006-11-09 2012-04-03 Xdx, Inc. Methods for diagnosing and monitoring the status of systemic lupus erythematosus
WO2012170908A1 (en) 2011-06-08 2012-12-13 Life Technologies Corporation Design and development of novel detergents for use in pcr systems
US9567628B2 (en) 2011-06-08 2017-02-14 Life Technologies Corporation Polymerization of nucleic acids using proteins having low isoelectric points
CN102766611B (zh) * 2012-07-12 2014-02-12 昆明理工大学 硫化叶菌病毒脱氧尿苷焦磷酸酶和编码这种酶的多核苷酸
WO2015061714A1 (en) 2013-10-25 2015-04-30 Life Technologies Corporation Novel compounds for use in pcr systems and applications thereof

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4965188A (en) * 1986-08-22 1990-10-23 Cetus Corporation Process for amplifying, detecting, and/or cloning nucleic acid sequences using a thermostable enzyme
DK171161B1 (da) * 1985-03-28 1996-07-08 Hoffmann La Roche Fremgangsmåde til påvisning af forekomst eller fravær af mindst én specifik nukleinsyresekvens i en prøve eller til skelnen mellem to forskellige nukleinsyresekvenser i denne prøve
US4683202A (en) * 1985-03-28 1987-07-28 Cetus Corporation Process for amplifying nucleic acid sequences
US5407800A (en) * 1986-08-22 1995-04-18 Hoffmann-La Roche Inc. Reverse transcription with Thermus thermophilus polymerase
CA1338457C (en) * 1986-08-22 1996-07-16 Henry A. Erlich Purified thermostable enzyme
AU627809B2 (en) * 1988-12-16 1992-09-03 Abbott Laboratories Isolating thermostable enzymes from engineered mesophiles
US5242817A (en) * 1989-09-12 1993-09-07 Johns Hopkins University Proteolytic enzymes from hyperthermophilic bacteria and processes for their production
US5322785A (en) * 1990-04-26 1994-06-21 New England Biolabs, Inc. Purified thermostable DNA polymerase obtainable from thermococcus litoralis
US5352778A (en) * 1990-04-26 1994-10-04 New England Biolabs, Inc. Recombinant thermostable DNA polymerase from archaebacteria
US5210036A (en) * 1990-04-26 1993-05-11 New England Biolabs, Inc. Purified thermostable DNA polymerase obtainable from thermococcus litoralis
US5223414A (en) * 1990-05-07 1993-06-29 Sri International Process for nucleic acid hybridization and amplification
US5210015A (en) * 1990-08-06 1993-05-11 Hoffman-La Roche Inc. Homogeneous assay system using the nuclease activity of a nucleic acid polymerase
WO1992009689A1 (en) * 1990-12-03 1992-06-11 Stratagene PURIFIED THERMOSTABLE $i(PYROCOCCUS FURIOSUS)
US5338671A (en) * 1992-10-07 1994-08-16 Eastman Kodak Company DNA amplification with thermostable DNA polymerase and polymerase inhibiting antibody

Also Published As

Publication number Publication date
ES2153395T3 (es) 2001-03-01
DE69426400D1 (de) 2001-01-18
EP0624641B1 (en) 2000-12-13
EP0624641A2 (en) 1994-11-17
DK0624641T3 (da) 2001-04-17
CA2123354C (en) 2006-11-28
US5491086A (en) 1996-02-13
GR3035477T3 (en) 2001-05-31
ATE198083T1 (de) 2000-12-15
CA2123354A1 (en) 1994-11-15
JPH06343466A (ja) 1994-12-20
PT624641E (pt) 2001-04-30
EP0624641A3 (en) 1995-01-11
DE69426400T2 (de) 2001-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3626226B2 (ja) 熱安定性核酸ポリメラーゼ
US5466591A (en) 5' to 3' exonuclease mutations of thermostable DNA polymerases
AU658378B2 (en) Purified thermostable nucleic acid polymerase enzyme from thermosipho africanus
US5795762A (en) 5' to 3' exonuclease mutations of thermostable DNA polymerases
EP0894860B1 (en) Thermostable DNA polymerases and deletion mutants thereof
US5545552A (en) Purified thermostable pyrococcus furiosus DNA polymerase I
US7045328B2 (en) Purified thermostable Pyrococcus furiosus DNA polymerase I
US20030092018A1 (en) Cloned DNA polymerases from thermotoga neapolitana
JPH08298991A (ja) 修飾されたdnaポリメラーゼ
WO1998035060A9 (en) Polymerases for analyzing or typing polymorphic nucleic acid fragments and uses thereof
WO1992009689A1 (en) PURIFIED THERMOSTABLE $i(PYROCOCCUS FURIOSUS)
JP2000501616A (ja) テルモアナエロバクター・テルモヒドロスルフリカスからの熱安定性dnaポリメラーゼおよびエキソヌクレアーゼ活性が除去されているその変異体酵素
EP1154017B1 (en) Modified thermostable dna polymerase from pyrococcus kodakarensis
CA2401727C (en) Thermophilic dna polymerases from thermoactinomyces vulgaris
US5866395A (en) Purified thermostable pyrococcus furiosus DNA polymerase I
WO1999010366A1 (en) High fidelity polymerases and uses thereof
JP2863738B2 (ja) 熱安定性ピロホスファターゼをコードするdna
JP2002506626A (ja) Themoanaerobacterthermohydrosulfricus由来の熱安定性DNAポリメラーゼ

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040805

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041202

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071210

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081210

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081210

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091210

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101210

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101210

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111210

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111210

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121210

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121210

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term