JP3621749B2 - 室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法 - Google Patents

室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、室式コークス炉の両端部においては、炭化室側では炉蓋から大気への放熱、またはフリュー列側では、両端部フリューからから大気への放熱により、石炭への加熱が不良となり両端部における乾留遅れが生じていた。また炉蓋と炉体金物で構成される炉蓋ガス道を通過する発生ガス温度がタール析出温度域である約400℃以下となり、窯口にタールが析出しメンテナンスや労働環境上問題となっていた。これに対し、従来技術では両端部フリューのみ独立に燃料ガスおよびまたは空気を増量して供給する方式(実公昭62−21049号公報)や、両端部フリューの燃焼排ガスの引圧を独立に制御する方式(特開平03−205489号公報、特開平03−247693号公報)により、同部位での燃料ガス供給を増量する方式、さらには炉蓋側断熱対策および炉体側の断熱対策を図ることによる、端部フリューの増熱機構がある。
【0003】
は、これらの従来技術によるコークス炉の水平断面を示すもので、窯口に向かって両端部の中の片側の端部を示すものである。炭化室1の炭化室の端部2は、炉蓋3のライニング材(炉材またはコーキングプレート)4により石炭を炭化室内に充填する。端部フリュー11は、炉体煉瓦5、6および仕切り煉瓦15により構成され、炉体金物7、8、9により炉締めされる。すなわち、炉体煉瓦6の燃焼室側端面16に対して、ほぼ同位置か、10〜30mm程度炭化室内部に装入される炉蓋3のライニング材4、炉蓋3、炉体煉瓦6、炉体金物7、8、9の断熱対策を取ることや、端部フリュー11への燃料ガスおよびまたは空気を増量することにより、端部フリューに接した炭化室の端部2への加熱を強化することとしていた。
【0004】
炉蓋断熱強化については、移動による炉蓋の水平方向脱着や、炉蓋を脱着するための図示しない炉蓋リフターの懸垂力等に基ずく炉蓋重量の制約から、ライニング材の厚さ向上に限界があった。また炉体側の断熱強化については、窯口の移動機械の走行上の炉体と移動機械の隙間の確保や、炉体そのものの経済性に基ずく重量制約から、断熱強化には限界があった。
【0005】
さらに端部フリューへの増熱を図る場合、煉瓦同士の目地が完全に閉塞されていないことから、燃料ガスおよび空気を増量するためのガス供給圧の上昇は、炭化室側へのガスリーク燃焼につながり、逆に燃焼排ガスの引圧の上昇は、炭化室から端部フリューへのガスリークにつながる等の問題を引き起こすことから、端部フリュー部位での抜本的な増熱対策が不可能であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、新規な室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法を提供するものである。すなわち、室式コークス炉の炭化室端部の乾留遅れを改善するために、本発明では炉蓋断熱対策や燃料ガスの供給による従来の端部フリューの増熱対策に変えて、炉蓋ライニング材の挿入長を1フリュー分深くし、炭化室両端部の各1フリューを石炭の加熱に直接寄与しないダミーフリューにするとともに、端部フリューの炭化室壁を厚壁、およびまたは低熱伝導炉材で構築することにより、炭化室壁の断熱性を向上し、炭化室端部の石炭への加熱を強化する。
【0007】
記発明では、炭化室端部の石炭への加熱を強化できる。炭化室端部の石炭加熱に加え、炭化室での乾留中の発生ガスをタール析出回避温度域まで加熱する技術として、本願発明では、炉蓋ライニング材の挿入長を1フリュー分深くし、炭化室両端部の各1フリューを石炭の加熱に直接寄与しないダミーフリューにするとともに、端部フリューの炭化室壁を60〜90mmの薄壁およびまたは高熱伝導炉材で構築することにより、炭化室壁の伝熱性を向上し、炭化室内の増熱により加熱されたガスが、ガス道通過中にさらに昇温されることが可能となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、(1) 室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法において、炭化室を間接加熱するフリュー列の端部フリューと該端部フリューに隣接するフリューとの間に、炭化室両端に装着した炉蓋の炭化室側端部を位置させたことを特徴とする室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法である。
【0009】
(2)室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法において、炭化室を間接加熱するフリュー列の端部フリューと該端部フリューに隣接するフリューとの間に、炭化室両端に装着した炉蓋の炭化室側端面を位置させるとともに、端部フリューの炭化室壁が、他の箇所のフリューの炭化室壁の120〜150%の厚さを有し、および/または前記炭化室壁が低熱伝導材料からなることを特徴とする室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法である。
【0010
) また、室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法において、炭化室を間接加熱するフリュー列の端部フリューと該端部フリューに隣接するフリューとの間に、炭化室両端に装着した炉蓋の炭化室側端面を位置させるとともに、端部フリューの炭化室壁が、他の箇所のフリューの炭化室壁の60〜90%の厚さを有し、および/または前記炭化室壁が高熱伝導材料からなることを特徴とする室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法である。
【0011
ここで、低熱導電材料とは、普通品の珪石煉瓦やセミデンス珪石煉瓦(熱伝導率:1.5〜1.7kcal/mh℃,at1000℃)を示し、高熱伝導材料とは、高密度珪石煉瓦(熱伝導率:1.9〜2.1kcal/mh℃,at1000℃)または珪石デンス煉瓦(熱伝導率:1.7〜1.9kcal/mh℃,at1000℃)を示す。
【0012
【作用】
本発明の炭化室端部の断熱性向上方法においては、炉蓋の炭化室挿入長を拡大し、端部フリューに対応する炭化室内を空窯とすることと、端部フリューの炭化室壁を厚壁、および/または低熱伝導炉材で構築し、熱抵抗を向上することにより、炭化室から端部フリュー11への抜熱を低減でき、端部フリューに隣接したフリュー12の燃料排ガス温度を、それより炭化室内部の各中フリューと同様に、炭化室の幅に応じた適正値に設定可能となる。これにより従来技術で問題となる炭化室端部の乾留遅れが解消することができる。
【0013
また、炉蓋の炭化室挿入長を拡大することと、端部フリューを構成する炭化室壁を、薄壁および/または高熱伝導材料とすることによる伝熱促進と、従来技術である端部フリューへの燃料ガスおよび空気の増量を図ることにより、炭化室両端部の加熱不足による乾留遅れを改善することに加え、炭化室内端部の発生ガス加熱が促進されることにより、発生ガス温度を上昇させ、約400℃付近で生じる炉蓋や炉体金物へのタール析出制御効果を向上させることができる。
【0014
【実施例】
以下、本発明を実施態様に基づき、より詳細に説明する。図1は、本発明の一実施態様である、炉蓋の炭化室への挿入長を約1フリュー分拡大し、端部を石炭の充填されない空窯とするとともに、端部フリューの炭化室壁5を厚壁およびまたは低熱伝導材料とすることにより、炭化室端部の断熱を強化した、室式コークス炉の端部構造を示す水平断面図である。
【0015
図1において炭化室1の端部2は、炉蓋3のライニング材(炉材またはコーキングプレート)4により石炭を炭化室内に充填する。端部フリュー11は、炉体煉瓦5、6および仕切り煉瓦15により構成され、炉体金物7、8、9等により炉締めされる。炉蓋3のライニング材4は、端部フリュー11に相当する炭化室内が空窯となる位置まで装入される。この場合、図1に示す如く、端部フリュー11に相当した炭化室壁が完全に石炭と接しないことが望ましい。端部フリューを構成する炭化室壁煉瓦5の壁厚寸法Aは、端部フリューに隣接する、他の中フリューの同寸法Aに対して120〜150%に厚くすること、およびまたは同煉瓦(図1で斜線表示)の熱伝導率を低下させることにより熱抵抗を向上させた。
【0016
室式コークス炉では通常、炭化室壁煉瓦5に珪石デンス煉瓦を使用しているが、セミデンスや普通品の珪石煉瓦等、約5〜10%熱伝導率の低い、同様な耐久性を有する炉材を使用することにより、上記熱伝導率低減が可能となる。また、端部フリュー11は、他の中フリューに比較して、炉外への放熱に見合う顕熱を有する燃焼排ガスを生成すればよく、フリューの断面積は小さくてよい。即ち、炭化室壁煉瓦支持寸法Bは、他の中フリューに比較して小さくできる。
【0017
図2は、上記図1において、炭化室壁である炉体煉瓦5を、従来の珪石デンス煉瓦での壁厚約100mmに対し、珪石デンス煉瓦で60〜90mmの薄壁とすること、および/または高密度珪石煉瓦等の高熱伝導材料で構築したものである。この場合、端部フリュー11は、中フリューに比較して所要熱負荷が小さくて済むことから、炭化室壁煉瓦の支持長Bは、中フリューの同部位の寸法に比較して小さくなり、石炭膨張圧等の炭化室壁への作用側圧に対し、所要強度を確保しての壁厚Aの低減が可能となる。この炭化室壁煉瓦の端部フリューにおける高伝熱化により、伝熱性は、15〜25%改善され、図1と同様の効果が享受可能となる。所要燃焼室熱負荷増に対しては、窯口の炉体金物側に燃焼室容積を10〜20%拡張することにより対応可能である。
また、図は従来技術による、室式コークス炉の端部構造を示す水平断面図である。
【0018
【発明の効果】
本発明の炭化室端部の断熱性向上方法により、炉端部の加熱が著しく改善される。すなわち、炭化室内の端部フリューに対応した炭化室の相当部分を空窯とし、端部フリューの炭化室壁の熱抵抗を増加する場合(実施例:図1)、炉体からの放熱量(通常1,000〜3,000kcal/mh)相当の燃料ガスの燃焼とすればよく、従来技術での乾留所要熱量と炉体からの放熱量の合計(通常4,000〜10,000kcal/mh)に比較して、端部フリューの熱負荷が著しく低減でき、制御性のよい効果的な端部フリューの加熱を行うことができる。
【0019
中フリュー移行の炭化室内部では、窯口からの放熱の影響が著しく軽減され、炭化時間の約10〜20%短縮に加え、炭化室端部の乾留速度向上に伴いコークス強度が改善され、従来での窯口の乾留不良による押し出し阻害が解消される。
【0020
炭化室内の端部フリューに対応した炭化室の相当部分を空窯とし、さらに端部フリューの炭化室壁の伝熱性を向上する場合(実施例:図)、発生ガス温度が高くなることにより、窯口へのタール析出を緩和することができ、炉蓋3、4および炉蓋枠8のクリーニングを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様である、炭化室の端部を炉蓋の挿入長を拡大した窯口を示す水平断面図である。
【図2】本発明の他の実施態様である、炭化室端部を炉蓋の挿入長を拡大し、炭化室の端部の炭化室側壁を薄壁とした窯口を示す水平断面図である。
【図】従来の室式コークス炉の窯口を示す水平断面図である。
【符号の説明】
1 炭化室
2 炭化室の端部
3 炉蓋
4 炉蓋のライニング材
5 炉体煉瓦(炭化室壁)
6 炉体煉瓦
7 炉体金物
8 炉体金物(炉蓋枠)
9 炉体金物(バックスティ)
10 発生ガス通過空間
11 端部フリュー
12 中フリュー
13 炉蓋断熱材
14 炉蓋のブリックホルダー
15 仕切り壁
16 炉体煉瓦の燃焼室側端面

Claims (3)

  1. 室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法において、炭化室を間接加熱するフリュー列の端部フリューと該端部フリューに隣接するフリューとの間に炭化室両端に装着した炉蓋の炭化室側端面を位置させたことを特徴とする室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法
  2. 室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法において、炭化室を間接加熱するフリュー列の端部フリューと該端部フリューに隣接するフリューとの間に、炭化室両端に装着した炉蓋の炭化室側端面を位置させるとともに、端部フリューの炭化室壁が、他の箇所のフリューの炭化室壁の120〜150%の厚さを有し、および/または前記炭化室壁が低熱伝導材料からなることを特徴とする室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法
  3. 室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法において、炭化室を間接加熱するフリュー列の端部フリューと該端部フリューに隣接するフリューとの間に、炭化室両端に装着した炉蓋の炭化室側端面を位置させるとともに、端部フリューの炭化室壁が、他の箇所のフリューの炭化室壁の60〜90%の厚さを有し、および/または前記炭化室壁が高熱伝導材料からなることを特徴とする室式コークス炉の炭化室端部の断熱性向上方法
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