JP3621727B2 - 排水器具用の取付けフィルタ - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、多数の貫流開口又はフィルタ開口を備えた排水器具用の、一体的なプラスチック成形部として構成された取付けフィルタに関する。
【０００２】
【従来の技術】
このような形式の取付けフィルタは、ヨーロッパ特許出願第０２８４７６３号明細書により公知である。この取付けフィルタは、後続する組み込み部分の貫流開口が汚れ粒子によって詰まらないように、これらの貫流開口を保護するための保護フィルタとして使用される。さらにまた、公知の取付けフィルタは、方形の内のり横断面を有する多数のフィルタ開口を有している。
【０００３】
このような取付けフィルタは、流入する水の水圧、高い水温及びそれと同時に、汚れが次第に増えていくにつれて高くなる貫流抵抗にされされる。このような負荷に対しては、取付けフィルタの材料厚を相応に厚くすることによって対処することができるが、他方では、このような形式の取付けフィルタをできるだけ薄い壁厚で形成したいという要求もある。取付けフィルタの壁厚を薄くすれば、ガイド部が長くなり過ぎることはなく、また各噴射流を強く限定することもなくなる。このような長すぎるガイド部や噴射流の強い限定が、大きい雑音を発生する原因となる。このために、公知の取付けフィルタは中央で支持ピンを有していて、この支持ピンが、流れ方向で後置された組み込み部分を支えている。
【０００４】
しかしながらこのような公知の取付けフィルタは、雑音特性及び振動特性並びにフィルタ特性に関連してまだ改良の余地がある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、冒頭に述べた形式の取付けフィルタを改良して、高い貫流効率を有すると共に、良好なフィルタ効率又は浄化効率を有するようなものを提供することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決した本発明によれば、取付けフィルタがフィルタ開口を有しており、これらのフィルタ開口が、ほぼ一様の６角形の内のり横断面形状を有しており、これらの多数のフィルタ開口の横断面全部がフィルタの全端面のほぼ４０％よりも大きく構成されており、フィルタ開口の貫流長さがそれぞれ、水の貫流する方向で見て各フィルタ開口の最大内のり寸法の２倍よりも小さく構成されており、隣接し合うフィルタ開口の互いに向き合う側壁が互いにほぼ平行に延びている。
【０００７】
【発明の効果】
本発明による取付けフィルタは多数のフィルタ開口を有しており、これらのフィルタ開口は、６角形の内のり横断面を有している。このような６角形の内のり横断面を有するフィルタ開口によれば、対角線の長さと２つの平行な側の間隔との間の寸法差が、方形のフィルタ開口に対して比較的小さく維持されているので、６角形の貫流開口は高くしかも一様なフィルタ効率を有するという利点が得られる。隣接し合うフィルタ開口の互いに向き合う側壁は、本発明による取付けフィルタにおいては、互いにほぼ平行に延びていて、従って互いにハニカム状（蜂の巣状）に配置されているので、これらのフィルタ開口の間には比較的狭いブリッジ状部分（ウエブ状部分）が存在し、またすべてのフィルタ開口の全部の内のり横断面は、著しく大きくなっている。全部の内のり横断面が大きく構成されていることによって、本発明による取付けフィルタの貫流抵抗は、特別な支持部を省くことができる程度に減少される。また、本発明による取付けフィルタの貫流抵抗が小さく及びその貫流効率が大きいことによって、取付けフィルタの壁は、比較的わずかな雑音しか発生しない程度に薄く構成することができる。貫流方向でのガイド長さが短いことによって、不都合に調整された噴流の形成が避けられるので、取付けフィルタとの接続部において比較的簡単な噴流分解手段を設けるだけで済む。
【０００８】
本発明の有利な実施例によれば、多数のフィルタ開口と、これらのフィルタ開口の間に存在するウエブ部分又は側壁との面積の比が、ほぼ４：１〜１：１、有利には３：１である。
【０００９】
これによって、一方では取付けフィルタの必要な安定性は、事実上振動のない運転に関連しても得られ、他方ではこれによって最大可能な流過横断面が得られる。
また、高い水圧及び水温においても取付けフィルタが押し潰されないようにするために、取付けフィルタが流入側に向かう方向で凸状又は円錐形状に湾曲されている。
【００１０】
また、フィルタ開口の側壁の流入側及び又は流出側の縁部が丸みをつけられていれば、特に有利である。この場合、流入側の縁部を丸めたことによって、本発明による取付けフィルタの貫流抵抗は小さくなり、さらに負荷的に好都合である。これに対して、各噴流は、流出側で丸みを付けられた縁部で直線状に流出するので、各噴流の渦発生及びひいては雑音発生は相応に抑制される。
【００１１】
一体的なプラスチックフィルタを製造する際には、この射出成形ポイントは特に流出側の円錐形先端部の範囲に設けられている。これによって射出成形材料を特に一様に分配することができ、非常に繊細な構造の側壁を製造することもできる。
【００１２】
本発明による取付けフィルタは、基本的に、排水器具の排水部に流れ方向で前方配置（前置）することもできる。取付けフィルタが、排水器具殊に噴流制御装置のための逆止弁、水量制御装置、絞り部材又はこれと類似の組み込み部分に流れ方向で前置接続されていれば、特に有利である。
【００１３】
取付けフィルタを簡単な形式で相応の組み込み部に解除可能に固定することができるようにするために、本発明の有利な構成によれば、取付けフィルタが環状つばを有していて、この環状つばが、環状の係止溝又はこれと類似の係止切欠を有しており、この係止切欠が、組み込み部分の少なくとも１つの係止フック又はこれと類似の係止手段に解除可能に接続されていて、この係止手段が特に流入側の端面側に設けられている。
【００１４】
【実施例】
図１〜図３には、排水器具用の取付けフィルタ１が示されている。この取付けフィルタは、後作業で取り付ける組み込み部分の貫流開口が汚れ粒子によって詰まらないように保護するための保護フィルタとして使用される。取付けフィルタ１はこのために多数のフィルタ開口２を有しており、これらの多数のフィルタ開口は、流れ込む水を貫流させて浄化する作用を有している。フィルタ開口２はすべてが、内側が同一のほぼ６角形の開口横断面を有しており、この場合に、隣接し合うフィルタ開口２の互いに向き合う側壁は互いにほぼ平行に延びている。６角形の開口横断面によって、フィルタ開口２はほぼ一定の開口曲率半径を有しており、半径は丸い横断面形状に近い形状を有している。丸い孔に比較して、横断面が６角形のフィルタ開口２は、面単位毎に及び所定の側壁又はウエブ横断面において、より大きい貫流横断面が可能であるという利点を有している。この貫流横断面は、一般的な所定の安定性状態において、フィルタの全端面に関連して５０％又はそれ以上である。これに対して、フィルタ開口が丸か又は丸に近い形状の場合には、開口横断面は、約４４％だけである。横断面曲率半径が十分に一定であるので、貫流する水の均一で良好な浄化が得られる。何故ならば、フィルタの対角線の範囲においても、大きい汚れの粒子が貫流することはなく、下流側に後置された組み込み部分が妨害となることはないからである。隣接し合うフィルタ開口の互いに向き合う側壁が互いに平行に配置されていることによって、フィルタ開口の間に残るブリッジ状部分は比較的狭く維持されるので、取付けフィルタ１の貫流抵抗は著しく減少され、その流れ効率は著しく高められる。
【００１５】
図１の縦断面図で示されているように、取付けフィルタ１は、流入側に向かって凸状又は円錐形状に湾曲されている。取付けフィルタ１がそのフィルタ開口２の範囲で円錐形状に構成されていることによって好都合であると共に、取付けフィルタに集められた汚れ粒子は、円錐形の範囲から流入側の周方向範囲にガイドされて、また、流入してくる水の貫流を妨げない位置へさらにガイドされる。
【００１６】
取付けフィルタ１の良好な貫流効率は、フィルタ開口２がフィルタ縦軸線Ｌに対してほぼ軸平行に配置されていることによってさらに好都合である。取付けフィルタ１の貫流効率が高いことによって、付加的な支持部材を設けなくても、水圧又は水温が高い場合でも、取付けフィルタ１が押し潰される恐れはない。
【００１７】
取付けフィルタ１は有利には、一体的なプラスチック射出成形部として構成されている。この場合、プラスチック射出成形部の射出ポイントは、流入側の円錐形先端部３の範囲に設けられている。
【００１８】
特に図３にはっきりと示されているように、フィルタ開口部を制限する側壁４の流出側の縁部５は、丸みを付けられている。側壁４の、流出側の縁部５がこのように丸みを付けられていることによって、各噴流は、フィルタ開口２を貫流してから直線的に流出し、これによって各噴流が渦巻いたり雑音を発生することは少なくとも避けられる。流入側においても、取付けフィルタ１の貫流抵抗を減少させるために、側壁４の流入側の縁部８も同様の形式で丸みを付けると有利である。
【００１９】
図示した取付けフィルタ１は、濾過フィルタとしても多方面で使用することができるが、この取付けフィルタを、逆止弁、水量調節装置、絞り部材又はこれと類似の、排水器具のための組み込み部分に流れ方向で前置接続する保護フィルタとして使用すれば特に有利である。この場合、取付けフィルタ１が噴流制御装置に前置接続されている実施例が有利である。
【００２０】
取付けフィルタ１を下流側で、後置された組み込み部分に解除可能に接続することができるようにするために、取付けフィルタ１はその外周部範囲で鉢状の環状つば６を有している。図１に示されているように、この環状つばはその自由な終端範囲の内側で環状の係止溝又は係止切欠７を有しており、この係止切欠７は、当該の（図示せず）組み込み部分の流入側の端面側で少なくとも１つの係止フック又はこれと類似の係止手段と協働するようになっている。
【００２１】
プラスチック射出成形過程後に、取付けフィルタ１を取り出し装置によって射出成形型から取り出すことができるようにするために、取付けフィルタ１が多数の取り出しポイント又は取り出し成形部９を有していれば有利である。これらの取り出し成形部９は、円錐形のフィルタ部分で流出側のフィルタ内側面に円形に、均一な間隔を保って互いに配置されている。
【００２２】
この取付けフィルタ１は、雑音発生が少なく、高い貫流効率を有し、それと同時に良好なフィルタ及び浄化作用を有していることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【図１】排水器具用の取付けフィルタの縦断面図である。
【図２】図１に示した取付けフィルタの平面図である。
【図３】図１の符号Ａで示した部分の拡大図である。
【符号の説明】
１ 取付けフィルタ、 ２ フィルタ開口、 ３ 円錐形先端部、 ４ 側壁、 ５ 縁部、 ６ 環状つば、 ７ 係止切欠、 ８ 縁部、 ９ 取り出しポイント又は取り出し成形部

Claims (11)

1. 多数の貫流開口又はフィルタ開口を備えた排水器具用の、一体的なプラスチック成形部として構成された取付けフィルタにおいて、
   取付けフィルタ（１）がフィルタ開口（２）を有しており、これらのフィルタ開口が、ほぼ一様の６角形の内のり横断面形状を有しており、これらの多数のフィルタ開口の横断面全部がフィルタの全端面のほぼ４０％よりも大きく構成されており、フィルタ開口の貫流長さがそれぞれ、水の貫流する方向で見て各フィルタ開口の最大内のり寸法の２倍よりも小さく構成されており、隣接し合うフィルタ開口（２）の互いに向き合う側壁（４）が互いにほぼ平行に延びていることを特徴とする、排水器具用の取付けフィルタ。
2. 多数のフィルタ開口の横断面全部が、取付けフィルタ（１）の全端面のほぼ５０％である、請求項１記載の取付けフィルタ。
3. 多数のフィルタ開口（２）と、これらのフィルタ開口（２）の間に存在するウエブ部分又は側壁との面積の比が、ほぼ４：１〜１：１である、請求項１又は２記載の取付けフィルタ。
4. フィルタ開口（２）の貫流長さが、水の貫流する方向で見て、フィルタ開口の最大内のり寸法にほぼ相当する、請求項１から３までのいずれか１項記載の取付けフィルタ。
5. 取付けフィルタ（１）が流入側に向かう方向で凸状又は円錐形状に湾曲されている、請求項１から４までのいずれか１項記載の取付けフィルタ。
6. フィルタ開口（２）の側壁（４）の流入側及び又は流出側の縁部（５，８）が丸みをつけられている、請求項１から５までのいずれか１項記載の取付けフィルタ。
7. フィルタ開口（２）が、フィルタ縦軸線（Ｌ）に対してほぼ軸平行に配置されている、請求項１から６までのいずれか１項記載の取付けフィルタ。
8. 一体的なプラスチック射出成形部として構成された取付けフィルタ（１）が、流入側の円錐形先端部（３）の範囲で射出成形ポイントを有している、請求項１から７までのいずれか１項記載の取付けフィルタ。
9. 取付けフィルタ（１）が、排水器具殊に噴流制御装置のための逆止弁、水量制御装置、絞り部材又はこれと類似の組み込み部分に流れ方向で前置接続されている、請求項１から８までのいずれか１項記載の取付けフィルタ。
10. 取付けフィルタ（１）が環状つば（６）を有していて、この環状つば（６）が、環状の係止溝又はこれと類似の係止切欠（７）を有しており、この係止切欠（７）が、組み込み部分の少なくとも１つの係止フック又はこれと類似の係止手段に解除可能に接続されていて、この係止手段が流入側の端面側に設けられている、請求項１から９までのいずれか１項記載の取付けフィルタ。
11. 請求項１から１０までのいずれか１項記載の取付けフィルタが、噴流制御装置に前置接続されていることを特徴とする、噴流制御装置。

Images