JP3621348B2 - 電気刺激により睡眠無呼吸症候群を処置するための移植可能な能動医療装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の技術分野】
本発明は睡眠無呼吸症候群の診断に関し、より詳細には睡眠無呼吸を検出すると共に電気刺激により検出に呼応しうる心臓ペースメーカーに関するものである。
【０００２】
【発明の背景】
睡眠無呼吸症候群（「ＳＡＳ」）、より正確には閉塞性かつ非中枢性の睡眠無呼吸の症候群（「ＳＯＡＳ」）は、一般にその原因として呼吸管の閉塞を有する病気である。たとえば痛みを伴うおよび／または不充分な呼吸、異常な心摶および高血圧のような多くの障害を伴う傾向がある。ＳＡＳの各種の処置が提案されており、手術、投薬および睡眠時に現れる顔面マスクによる呼吸管の陽圧維持を包含する処置を含む。
【０００３】
ＥＰ−Ａ−０ ７０２ ９７９号（メドトロニック社に係る）に検討された１つの技術は、電気刺激によりＳＡＳを処置することを提案している。この特許公報は移植パルスジェネレータを記載しており、動的圧力センサまたは胸郭内インピーダンスのセンサとしうるセンサにより制御されて、患者の呼吸速度に追随（監視）して無呼吸の発生を検出することができる。無呼吸が検出されると、ジェネレータは患者の気道を調節する筋肉に移植された刺激電極に各パルスのサルボ（シーケンス）を供給する。しかしながら、この技術は実用的に完全には満足しえない。これは、胸郭内圧力が増加した場合に系統的に開始する刺激（この圧力増加の原因が何であっても、またこれがＳＡＳに基づくかどうかに関わりなく）が不適正な刺激を含むからである。
【０００４】
検出された患者の生理学的もしくは物理的パラメータに呼応する心臓刺激もしくはペーシングレートを有するペースメーカーが知られている。一般に、測定されるパラメータが増大すると、これは患者の活動レベルの増大（たとえば運動）を反映すると共に刺激頻度が増大して、ペーシングレートは正常心臓の活動をシミュレートするよう制御される。従来、この種のペーシング装置は経胸腔もしくは胸郭内インピーダンス測定に基づく患者の、いわゆる換気量（分時容積）を測定する。この種の初期のペーシング装置は呼吸速度を測定したが、このパラメータは一般に生理学的パラメータほど有用でないと思われる。何故なら、これは患者の活動増大の期間に際し患者の代謝要求（心拍出量要求とも呼ばれる）を示さないからである。
【０００５】
【発明の目的および要点】
従って本発明の目的は、電気刺激によりＳＡＳを処置するための装置を提案することにある。
【０００６】
広義に言って、本発明は患者の代謝および機能状態を分析してＳＡＳが実際に出現すると思われる患者の活動期間の際にのみＳＡＳを処置する刺激を選択的に加えると共に他の場合はＳＡＳ刺激を全て抑制することに関するものである。
【０００７】
本発明の一面は、患者における睡眠無呼吸症候群の増大心臓電気刺激による処置を可能にする移植可能な能動医療ペースメーカー装置である装置に向けられ、すなわち患者の呼吸活動を測定する手段と；測定された呼吸シグナルに呼応して無呼吸の発生を分析すると共に決定する手段と；分析手段により制御されて無呼吸を検出した場合には増加心臓刺激レートを患者に選択的に加えるＳＡＳ刺激の供給手段とを備える。ＳＡＳ刺激手段は好ましくは心臓刺激レートを増加させることによりＳＡＳ刺激を供給する回路であり、呼吸活動測定手段は換気量センサまたは血液の酸素飽和を検出するセンサを含む回路とすることができる。
【０００８】
本発明の好適具体例によれば、この装置はさらに患者の活動状態を決定する手段をも備え、この状態は所定の基準に従い患者の睡眠の状態（休息期とも称する）を示す数値を取ると思われ、ＳＡＳ刺激手段は決定睡眠期の際にのみ始動し、その他の場合は抑制される。
【０００９】
本発明の他の各種の有利な特徴によれば、分析手段は所定時間の際に検出される無呼吸発生の回数が所定閾値を越えた際に睡眠無呼吸症候群の発生を検出する。他の具体例において、決定手段は必要に応じ患者の呼吸活動を測定する手段によりおよび／または別の補助測定手段により供給されるシグナルを分析して活動の状態を決定する。
【００１０】
本発明の他の特徴および利点は添付図面を参照して以下の説明から当業者には明らかとなるであろう。
【００１１】
【発明の詳説】
図面を参照して、睡眠時における患者の呼吸レートの経過を示す。これは、主として生理学的性質である胸郭内インピーダンスの測定により得られるパラメータである換気量シグナル（シグナルＶＥ、シグナルＭＶとも呼ばれる）の時間の経過にわたる展開により示される。換気量シグナルは一般に患者の呼吸速度を監視するよう実施容易であるが、他の種類のセンサから生ずる他のシグナルを換気量センサの代案として或いはそれに追加して使用することもでき、たとえば血液酸素飽和を測定するセンサがある。
【００１２】
分時換気量パラメータの測定はそれ自体周知されている。測定はリブケージに設置された２個の電極間で得られ、或いは移植装置がペースメーカーであれば電極（たとえば刺激電極）と移植医療装置のケースとの間で得られる。次いでインピーダンスは数１００μアンペアの一定電流を数ヘルツ（典型的には８Ｈｚ）の周波数で注入するのに呼応して測定される。この技術はたとえばＪ．Ｌ．ボネット等により「種々異なるＤＤＤＲペースメーカー電極配置による分時−換気の測定」、ペース第２１巻、第９８頁、第１部に記載されており、ＥＬＡメジカル社、モントルージュ、フランスにより商標コーラスＲＭ７０３４として販売される市販のレート・リスポンシブ・ペースメーカー装置で実施される。
【００１３】
このシグナルから出発して、２つの検出インピーダンスピークを分離する時間として規定される呼吸時間Ｔ（図１）を決定することができる。これらピークは吸気（肺が空気で満たされる）の時点で得られる高インピーダンスに対応し、インピーダンスの減少は呼気期間に対応する。
【００１４】
図２を参照して睡眠無呼吸症に罹患した患者にて記録された換気量シグナルを代表する波形を示す。これら患者は正常な呼気期間を有する。何故なら、肺圧力は閉塞に打ち勝つのに充分であるからである。他方、吸気は肺を空気で満たし得ないため異常である。
【００１５】
次いで図２に示したように、呼気後の呼吸期間Ｔの重要な延長を観察することができる。
【００１６】
第１段階は睡眠無呼吸発生の診断に関する。無呼吸は１０秒より長い時間の呼吸停止、すなわち分時換気量を監視することにより比較的検出容易である現象として分類される。さらに、この停止は患者の睡眠期に生ぜねばならない。何故なら、患者が覚醒状態である際に生ずる無呼吸はＳＡＳにより生じ得ないからである。
【００１７】
後者の基準に関し、本発明は患者の睡眠期と覚醒期とを区別すると共にＳＡＳ療法を睡眠期の際にのみ加えることを提案する。覚醒期に際し検出される無呼吸の処置は阻止される。何故なら、この場合は明らかな無呼吸が一般に病理的でないからである。
【００１８】
勿論、睡眠期は患者の呼吸活動を監視するセンサにより或いは別途のセンサ（たとえば主としてケース内に位置する内部センサにより測定しうる加速のような物理的であるパラメータを測定する活動センサ）により供給されるシグナルから出発して自動的に診断することができる。
【００１９】
ＥＬＡメジカル社により共有されるＥＰ−Ａ−０ ７１９ ５６８号およびその対応米国特許第５，６２２，４２８号は特に「センサの活動の基準」の決定につき記載しており、休息の期間（夜間もしくは昼間）と患者の活動との間の区別を特に換気量センサと対比すべく行うことを可能にする。米国特許第５，６２２，４２８号を参考のためその全体につきここに引用する。
【００２０】
ＥＬＡメジカル社に共有されるＥＰ−Ａ−０ ７５０ ９２０号およびその対応米国特許第５，７２２，９９６号、並びにはＥＰ−Ａ−０ ７７０ ４０７号およびその対応米国特許第５，７６６，２２８号の両者は、生理学的センサと物理的センサ、特に換気量センサおよびアクセロメータとの結合情報を用いて患者の活動状態もしくは休息状態を決定する医療装置を記載している。米国特許第５，７２２，９９６号および第５，７６６，２２８号を参考のためその全体につきここに引用する。
【００２１】
従って無呼吸症を診断すると共にこの無呼吸が睡眠無呼吸であることを確認した後、無呼吸指数の計算を行うことができる。これに関し、無呼吸指数が所定閾値を越えた場合、たとえば１時間当たり１０回より多い無呼吸発生（この閾値数は特定患者に適するようプログラミングしうることは勿論である）を越えた場合ＳＡＳの存在が決定される。ＳＡＳが診断されると直ちに、電気刺激が患者に加えられてＳＡＳの有害作用を補なう。
【００２２】
電気刺激は筋肉刺激（たとえば上記ＥＰ−Ａ−０ ７０２９７９号に記載）または神経刺激とすることができ、即座に食道を開口させて吸気を可能にする。後者の場合、神経刺激は好ましくは患者の呼吸サイクルの吸気期間に際してのみ加えられて呼気期間を妨げないようにする。
【００２３】
さらに刺激を吸気期間がプリセット値（たとえば６秒）を越えた場合にのみ供給する具体例も実現することができる。
【００２４】
さらに好適具体例において、電気刺激はたとえば心臓刺激であって、心筋の心拍数（頻度）を加速することによりＳＡＳの作用を補う。この種の心臓刺激はＳＡＳが診断された直後に、患者の自然シヌサルレートと比較し、毎分数回の拍動（典型的には＋１０ｂｐｍ）だけ刺激頻度を増加することにより加えられる。より高い速度の刺激が所定時間（たとえば６０秒間）にわたり加えられ、その後に装置は従前の操作モード、たとえばより低い刺激頻度に復帰する。さらに心臓刺激の増加は、決定されたＳＡＳに呼応して筋肉刺激および／または神経刺激と一緒に加えうることも了解されよう。
【００２５】
本発明は、単に例示の目的に過ぎない開示した具体例のみに限定されないことが当業者には了解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図１】障害の不存在下における患者の呼吸速度を代表するシグナルを示す説明図である。
【図２】無呼吸の発生時における患者の呼吸速度を代表するシグナルを示す説明図である。

Claims (8)

1. 電気刺激により患者の睡眠無呼吸症候群を処置するための心臓刺激装置において：
   患者の呼吸活動を示す出力シグナルを有する患者の呼吸活動を測定する手段と；
   呼吸測定手段からの出力シグナルに従い患者の呼吸活動を分析して無呼吸の発生を決定する手段と；
   決定された無呼吸の不存在下における第２速度を含め患者の心拍数を決定する手段と；
   分析手段により制御されて無呼吸を検出した場合には第１速度にて患者に心臓刺激を選択的に加える刺激用の手段（前記第１速度は第２速度よりも高い）と；
   患者の活動状態を決定する手段（前記状態は所定の基準に従い患者の睡眠状態を示す第１数値と患者の覚醒状態を示す第２数値との間から選択される）と；
   を備え、刺激手段は決定された睡眠期の際にのみ第１速度にて患者に心臓刺激を加えることを特徴とする心臓刺激装置。
2. 刺激手段が第１速度にてトリガーされるのに呼応して刺激し、第１速度が第２速度よりも少なくとも１０ｂｐｍ高い拍動である請求の範囲第１項に記載の装置。
3. 分析手段が睡眠期に際し順次の無呼吸の発生を検出すると共に、所定時間の際に検出される無呼吸の回数が所定閾値を越えた際に睡眠無呼吸症候群の発生を決定する請求の範囲第１項に記載の装置。
4. 活動状態を決定する手段が前記患者の呼吸活動を測定する手段からの出力シグナルを分析することをさらに含む請求の範囲第１項に記載の装置。
5. 患者の活動状態を測定する補助測定手段をさらに備え、活動状態を決定する手段が補助測定手段からの出力シグナルを分析する手段をさらに備え、前記補助測定手段の出力シグナルは患者の呼吸活動の前記測定手段とは異なる請求の範囲第１項に記載の装置。
6. 患者の活動状態を測定する補助手段をさらに備え、前記補助測定手段がアクセロメータをさらに備える請求の範囲第１項に記載の装置。
7. 患者の呼吸活動を測定する手段が換気量センサをさらに備える請求の範囲第１項に記載の装置。
8. 患者の呼吸活動を測定する手段が血液の酸素飽和のセンサをさらに備える請求の範囲第１項に記載の装置。

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