JP3620959B2 - 粘弾性測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非線形特性を有する粘弾性体の応力−歪曲線を測定しながら非線形複素弾性率及び非線形複素コンプライアンスを測定する粘弾性測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の粘弾性測定は、試料に正弦振動を与える加振機と、試料の変位を測定する歪計と、試料に作用する力を測定する荷重計と、試料の静的な張力を制御するサーボ系と、試料の温度を制御する恒温槽と、から構成されており、加振機を正弦振動により駆動する粘弾性測定装置を使って測定していた。非線形特性がある試料では、このような装置で大きな動的正弦振動を加えると荷重計と歪計の出力である力と歪の両方に高調波成分が生ずる。これらの成分をフーリエ変換することで非線形複素弾性率及び非線形複素コンプライアンスが求められた。しかし、従来の装置では、小さな静的張力を加えたときのみの非線形粘弾性しか測定できず、大きな静的張力が働いた時の非線形粘弾性は測定できなかった。また、応力−歪曲線の測定においては、このような装置とは別に引張試験機で測定しなければならなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の通り、従来の粘弾性測定において、応力−歪曲線の測定と非線形複素弾性率等の非線形粘弾性の測定とを別々の装置で行っていた。しかし、実際は粘弾性試料に静的な変形が加わったうえに、動的な非線形振動を受けている場合が多く、応力−歪曲線と非線形複素弾性率等の非線形粘弾性とは密接な関係を有していることから、応力−歪曲線と非線形複素弾性率等の非線形粘弾性とを同時に測定し解析できる装置の重要性が増しており、このような装置が開発されることを期待されている。
【0004】
本発明は、上記の問題点や課題を解決するために、応力−歪曲線と非線形複素弾性率等の非線形粘弾性とを同時に測定することができ、定量的かつ高精度に測定することができる粘弾性測定装置を提供することも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明粘弾性測定装置は、速度を制御して試料に静的変位を加えるパルスモータと、試料に正弦振動を与える加振機と、試料に作用する静的張力及び動的力を検出する荷重計と、試料の動的変位を測定する歪計と、試料の温度を制御する恒温槽と、から構成しており、該パルスモータにより試料に静的変位を加えて、該加振機を正弦振動によって駆動する装置であって、該荷重計及び該歪計が検出した静的変形及び動的変形を電気信号に変換し、静的変形を出力のDC成分により、また動的変形を出力のAC成分により、測定する手段を設けていることを特徴とする。
また、静的張力により上記加振機が変動することを防ぐ為に、上記歪計における出力のDC成分をフィードバックする加振機原点調整回路を設けている。
【0006】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1に本発明粘弾性測定装置のブロック図を示してある。本発明非線形粘弾性測定装置は、機械系10と電気系20とからなり、機械系10は、速度を制御して試料1に静的変位を加えるパルスモータ11と、試料1に作用する静的張力及び動的力を検出する荷重計12と、試料1に正弦振動を与える加振機13と、試料1の動的変位を測定する歪計14と、試料1の温度を制御する恒温槽15と、から構成しており、これらは剛直な基盤上に設置されている。
【0007】
また、電気系20は、機械系10とコンピュータ21を結ぶアナログ回路30及びインターフェイス22から構成されている。アナログ回路30は、パルスモータ11を制御し、同時に試料1の静的変位を測定するパルス発生回路31と、荷重計12の出力信号を増幅し、出力のDC成分を静的張力としてインターフェイス22に、また出力のAC成分を非線形粘弾性の動的力としてインターフェイス22に伝達するストレスアンプ32と、振幅制御回路36及び加振機原点調整回路37の出力により加振機13を駆動するパワーアンプ33と、歪計14の変位信号を増幅し、出力のAC成分を動的変位として振幅制御回路36とインターフェイス22とに、また出力のDC成分を加振機原点調整回路37に伝達するストレインアンプ34と、恒温槽15を温度制御する温度コントロール35とから構成されている。
【0008】
また、一般に加振機13を正弦振動によって駆動した場合、試料1に非線形性があると荷重計12及び歪計14の両方に高調波歪が生じる。これを防ぐために、本装置におけるアナログ回路30では、動的振動をストレスアンプ32から送られるストレス信号又はストレインアンプ34から送られるストレイン信号に従い高調波がないように制御する振幅制御回路36を設けている。また、静的張力により加振機13が変動することを防ぐ為に、ストレインアンプ34の出力のDC成分をフィードバックする加振機原点調整回路37を設けている。
このように構成されているアナログ回路30をインターフェイス22内のAD,DA変換器(図示しない)を介してコンピュータ21へ接続することにより、コンピュータ21はアナログ回路30及び機械系10を制御する。
【0009】
以上の構成より、以下の手順で測定する。先ず、試料1を温度コントロール35によって温度制御されている恒温槽15内のクランプにセットする。コンピュータ21より設定された速度でパルス発生回路31よりパルスモータ11へパルスが送られる。このパルス数により試料1の変位を測定するとともに、ストレスアンプ32の出力のDC成分により静的張力を測定して、応力−歪曲線を測定する。
【0010】
同時に、任意の歪率を有する正弦振動がパワーアンプ33を通して加振機13に伝えられ、試料1にこの正弦振動が与えられる。試料1に作用する動的張力はストレスアンプ32の出力のAC成分のみを取り出すことで検出される。試料に作用する動的変位はストレインアンプ34の出力のAC成分により検出される。また、静的張力により加振機13が変動するのを防ぐ為に、ストレインアンプ34の出力のDC成分は加振機原点調整回路37によりフィードバックする。また非線形複素弾性率を測定するとき及び非線形複素コンプライアンスを測定するとき、荷重計12と歪計14の検出波形は両方とも歪み、高調波成分が表れる。これらの成分を増幅したストレスアンプ32又はストレインアンプ34の出力のAC成分を振幅制御回路36により調整しフィードバックする。振動制御回路36はフィードバックした成分が完全に一次成分(基本周波数)のみになるように正弦振動を制御し、加振機2に加える。このように一方に高調波成分が存在しないようにしておき、他方のストレスアンプ32の出力のAC成分をフーリエ分解することで非線形複素弾性率が、又は、ストレインアンプ34の出力のAC成分をフーリエ分解することで非線形コンプライアンスが求められる。
【0011】
ストレスアンプ32及びストレインアンプ34の出力は、インターフェイス22内のAD変換器でAD変換されコンピュータ21に力、変位の波形として取り込まれる。取り込まれたデータはコンピュータ21により1次,2次,・・・と順次フーリエ変換により成分を計算する。周波数、温度、初期張力を変化させて、非線形複素弾性率及び非線形複素コンプライアンスを測定する。
【0012】
図2は、高分子ゴムとして天然ゴム(NR)を用いて、静的張力を加えたときの線形弾性率c1 * =c1 ’+ic1 ”の実部c1 ’,虚部c1 ”の周波数スペクトルを示した図であり、図3の高分子ゴムとして天然ゴム(NR)を用いて、静的張力を加えたときの2次の非線形弾性率c2 * =c2 ’+ic2 ”の実部 c2 ’,虚部c2 ”の周波数スペクトルを示した図である。これらの図は、温度を60℃に、また、初期張力を4通りに設定して、10mHZ〜1kHZのデータを用いて求めたマスターカーブである。
【0013】
なお、n次の複素弾性率
cn * =cn ’+icn ”(n=1,2,・・・) (1)
を以下のように測定する。
先ず、応力Xを歪xのべきで展開して形式の式
X=c1 x+c2 x2 +c3 x3 +・・・ (2)
(c1 は線形弾性率、cn (n=2,3,・・・)はn次の非線形弾性率)に、
x=x0 cosωt (3)
を代入し、応力信号をフーリエ変換することにより非線形性によるn倍の高調波nω成分が現れ、粘性の存在によって、
【0014】
【数1】
【0015】
で表現される正弦成分が現れる。また、(4)のnω成分の振幅Xn ’,Xn ”を、
【0016】
【数2】
【0017】
【数3】
【0018】
によって測定することにより、n次の複素弾性率式(1)を測定することができる。
【0019】
図2で示すように線形弾性率では静的変位が大きくなると僅かに緩和時間が遅くなる。2次の非線形弾性率実部は静的変位に強く依存し、0.34でほぼ0で、静的変位の増大とともに正で増加する傾向があることがわかる。
【0020】
【発明の効果】
本発明粘弾性測定装置は、速度を制御して試料に静的変位を加えるパルスモータと、試料に正弦振動を与える加振機と、試料に作用する静的張力及び動的力を検出する荷重計と、試料の動的変位を測定する歪計と、試料の温度を制御する恒温槽と、から構成しており、該パルスモータにより試料に静的変位を加えて、該加振機を正弦振動によって駆動する装置であって、該荷重計及び該歪計が検出した静的変形及び動的変形を電気信号に変換し、静的変形を出力のDC成分により、また動的変形を出力のAC成分により、測定する手段を設けていることから、応力−歪曲線と非線形複素弾性率等の非線形粘弾性とを一台の装置で同時に測定することができるという効果を有する。
【0021】
また、静的張力により上記加振機が変動することを防ぐ為に、上記歪計における出力のDC成分をフィードバックする加振機原点調整回路を設けていることより、比較的大きな動的正弦振動を加えても、力や歪に高調波成分が生ずるおそれがなく、応力−歪曲線と非線形複素弾性率等の非線形粘弾性とを定量的かつ高精度に測定することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明非線形粘弾性測定装置のブロック図である。
【図2】本発明非線形粘弾性測定装置の一実施例における線形弾性率の測定結果を示す説明図である。
【図3】本発明非線形粘弾性測定装置の一実施例における2次の非線形弾性率の実部の測定結果を示す説明図である。
【符号の説明】
1 試料
10 機械系
11 パルスモータ
12 荷重計
13 加振機
14 歪計
15 恒温槽
20 電気系
21 コンピュータ
22 インターフェイス
30 アナログ回路
31 パルス発生回路
32 ストレスアンプ
33 パワーアンプ
34 ストレインアンプ
35 温度コントロール
36 振幅制御回路
37 加振機原点調整回路
Claims (2)
- 速度を制御して試料に静的変位を加えるパルスモータと、試料に正弦振動を与える加振機と、試料に作用する静的張力及び動的力を検出する荷重計と、試料の動的変位を測定する歪計と、試料の温度を制御する恒温槽と、から構成しており、該パルスモータにより試料に静的変位を加えて、該加振機を正弦振動によって駆動する装置であって、該荷重計及び該歪計が検出した静的変形及び動的変形を電気信号に変換し、静的変形を出力のDC成分により、また動的変形を出力のAC成分により、測定する手段を設けていることを特徴とする粘弾性測定装置。
- 静的張力により上記加振機が変動することを防ぐ為に、上記歪計における出力のDC成分をフィードバックする加振機原点調整回路を設けている請求項1記載の粘弾性測定装置。
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JP01317498A JP3620959B2 (ja) | 1998-01-08 | 1998-01-08 | 粘弾性測定装置 |
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JPH11201893A JPH11201893A (ja) | 1999-07-30 |
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- 1998-01-08 JP JP01317498A patent/JP3620959B2/ja not_active Expired - Fee Related
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