JP3619875B2 - ナノサイズドメイン含有高性能セリア系固体電解質 - Google Patents

ナノサイズドメイン含有高性能セリア系固体電解質 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼結体内部に、酸化物イオン伝導を妨げるマイクロドメインの大きさを最小限度にすることで、高い電気伝導度を有し、第3世代用燃料電池や炭酸ガスセンサー用固体電解質材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セリア(CeO)は、蛍石型化合物に属し、4価のサイトに3価の希土類元素(Y、Sm及びGd)などを固溶させることにより、酸素欠陥が導入され、高い酸素イオン伝導を示す固体電解質となることが知られている。(H.Yahiro、Y.Baba、K.Eguchi、and H.Arai、J.Electrochem.Soc.、vol.135、2077−80、1988)及び(T.Inoue、T.Setoguchi、K.Eguchi and H.Arai、Solid State Ionics、vol.36、71−75、1989)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
こうした欠陥セリア系固体電解質は、4価のCeサイトに2価または3価の希土類元素を置換固溶させることにより、酸素欠陥を生じさせているが、酸素欠陥量を増加させるべく2価または3価のカチオンの固溶量を増加させると、副生成物としてc型希土類相またはパイロクロア相が生成し、この化合物の生成量が多くなると、伝導度が低下するために、酸化物イオン伝導度の向上が難しくなる状況にあった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、酸素欠陥を発生させる際に生成するc型希土類相またはパイロクロア相の領域を1nm以上10nm以下に抑制し、かつこうした副生成物領域と蛍石界面の不整合を完全になくし、完全な整合界面を作成することにより、従来のものに比べイオン伝導度が向上し、燃料電池用固体電解質材料または炭酸ガスセンサー材料とした際に、優れた特性を示すセリア系固体電解質を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、特定のごく限られた組成の組み合わせと焼結体の粒子径を選択した場合に限り、マイクロドメインの大きさを最小化し、酸化物イオン伝導の大きさを最大化することが可能になることを見いだし、本発明を完成するに至った。
セリア系固体電解質内には、4価のセリウムサイト(酸素8配位を仮定した場合のイオン半径:0.97オングストローム)に、セリウムよりイオン半径の大きい2価または3価のカチオンを置換固溶することで、酸素欠陥が作りだされ、この酸素欠陥を通して、酸化物イオンが拡散することで、酸化物イオン伝導が高まる。従来の研究では、マイクロドメインが共存することが確かめられていなかった為、セリア系固体電解質内のイオン伝導度を最大化することが難しかったが、本発明では、マイクロドメイン発生機構を明らかにし、その生成条件を詳細に検討することにより、イオン伝導向上をさまたげるマイクロドメインの大きさが最小化する最適条件を見出した。
【0005】
マイクロドメインは、4価のセリウムサイトにイオン半径の大きい3価または2価のカチオンが置換固溶することにより結晶内に生じる大きな結晶ひずみを最小化するために生じる結晶ひずみの緩衝地帯であり、幅5nmから10nm、長さ20nmから100nmの不定形をした領域がいくつか連なった形態をしており、このマイクロドメイン内は、酸化物イオンが容易に拡散することのできない、酸素欠陥が秩序化した構造をとっている。そのため、結晶内の酸化物イオンは、この領域内を拡散することができず、酸化物イオン伝導度を高めることはできなかった。
【0006】
このマイクロドメインの大きさを最小化するためには、焼結に伴い発生する結晶ひずみを最小にし、あわせて酸化物イオン伝導に必要な酸素欠陥量を確保する必要がある。
このような条件を満たすセリア系固体電解質を作製することにより、高いイオン伝導度を有し、かつ長時間安定に高いイオン伝導度を発現することが可能な、酸化物型燃料電池用固体電解質の作製が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、組成式(M3+ 2+ 1−xCe1−y2−δ(式中M3+は、Y、Yb、Gd、Sm、Laから選ばれた1種類または2種類の3価希土類化合物、N2+は、Ca、Sr、Baから選ばれた1種類以上かまたは3種類以下で表される2価のアルカリ土類元素を表し、x、yは、それぞれ、0.5≦x≦0.9、0.15≦y≦0.20、ただしM3+がGdの場合は0.5≦x≦0.9、0.10≦y≦0.20の数を表す)で表される化合物において、X線回折試験から分かる平均構造としては、結晶相は単一の蛍石型構造からなり、焼結体を構成する粒子サイズは出発粒度に基づき50nm以上150nm以下であるか、5ミクロン以上20ミクロン以下であり、かつ焼結体粒子内部に平均的な大きさ(長手方向の大きさを意味する)が、1nm以上10nm以下のマイクロドメインを持ち、母相である蛍石結晶とマイクロドメインの界面は完全に整合していることにより、酸化物イオンの拡散を妨げることなく、500℃における酸化物イオン伝導度が0.008S/cm以上であることを特徴とするセリア系固体電解質であり、かつマイクロドメインの構造が、c型希土類構造またはパイロクロア構造からなり、あわせて焼結体内部の粒界におけるシリカ不純物量が100ppm以下であることを特徴とする高イオン伝導度を有するセリア系固体電解質である。
【0008】
【発明の実施形態】
次に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のセリア系固体電解質は、上記組成式(M3+ 2+ 1−xCe1−y2−δで表される式中においてM3+は、Y、Yb、Gd、Sm、Laから選ばれた1種または2種以上の3価希土類化合物、N2+は、Ca、Sr、Baから選ばれた1種または2種以上の2価のアルカリ土類元素を表し、x、yは、それぞれ、0.5≦x≦0.9、0.15≦y≦0.20、ただしM3+がGdの場合は0.5≦x≦0.9、0.10≦y≦0.20の範囲になければならない。M3+はY、Yb、Gd、SmまたはLaでなければならず、他の希土類元素を用いた場合、2価の元素と組み合わせても、焼結過程における結晶ひずみが緩和されず、固体電解質中のマイクロドメインの大きさは減少せず、高い伝導度を得ることはできない。これは、上記5種類の希土類元素以外の元素と2価アルカリ土類元素の組み合わせを用いた場合、粒子内における各元素の偏析が大きくなり、緻密化した焼結体中の粒内におけるのマイクロドメインの成長を抑制できず、固体電解質の特性を低下させるためであると推定される。
【0009】
なお、3価金属については、上記した元素から選ばれた1種又は2種以上を含むものであるが、焼結体内における結晶ひずみを低下させる効果は、2種類までの組合せを考えれば十分である。3種類以上を組み合わせたとしても、それなりの効果にとどまり、それほどには相乗効果は期待できない。但し、これを制限する趣旨ではない。一方、2価金属は、Ca、Sr、Baの3種類の元素から選ばれる1種又は2種以上のアルカリ土類金属を含むものであるが、これについては、3種類を併用することは、十分、有効である。それ以外のMgなどのアルカリ度類金属を用いると、MgがCeO内に固溶しにくいことから、かえって特性を低下させることがあり、好ましくない。
さらに、上記組成式において、xの値は0.5以上0.9以下の範囲が好ましい。その範囲を下回ると、イオン半径の大きい2価金属元素の影響が大きくなりすぎて、かえってマイクロドメインの大きさが大きくなり好ましくない。また、xがこの範囲を上回ると、3価と2価の複合によるマイクロドメイン成長抑制効果が十分に発揮されないので好ましくない。
【0010】
上記、一般式において、yの値は、Y、Yb、Sm及びLaの場合は、0.15以上0.20以下の範囲が好ましい。yの値が、この範囲を下回ると、酸化物イオン伝導に必要な酸素欠陥量が不足するうえ、マイクロドメイン成長抑制効果も十分に現れないので、高いイオン伝導度か確保されないために好ましくなく、また、この範囲を上回ると多量な酸素欠陥が会合するうえに、結晶内のひずみが大きくなり、マイクロドメインが成長してしまい、かえって酸化物イオン伝導度を低下させるので好ましくない。
【0011】
加えて、3価金属がGdの場合は、yの値は0.1以上0.2以下の範囲が好ましい。この場合、yの値が、この範囲を下回ると酸化物イオン伝導に必要な酸素欠陥量が不足するうえ、マイクロドメイン成長抑制効果も十分に現れないので、酸化物イオン伝導が高まらずに好ましくない。またこの範囲を上回ると、多量な酸素欠陥が会合するうえに、結晶内のひずみが大きくなり、マイクロドメインが成長してしまい、かえって酸化物イオン伝導を低下させるために好ましくない。
【0012】
セリア系固体電解質中のX線回折試験で知ることのできる平均構造は、単一の蛍石型構造でなければならない。結晶構造が複数存在する場合は、異なる結晶界面が酸化物イオンの拡散を妨げるために、固体電解質の特性を低下させるために好ましくない。
【0013】
焼結体を構成する粒子サイズは、平均50nm以上150nm以下であるか、または、平均5ミクロン以上20ミクロン以下でなければならない。出発粉末の平均粒子径が10から30nmである場合は、焼結体内の粒子径が150nm以下で相対密度が95%以上にまで緻密化した焼結体を得ることが可能になる。その場合、焼結温度が1200℃以下と低くなる。
【0014】
焼結は空気中、酸素中における常圧焼結か、またはホットプレス焼結などの加圧焼結により得られるが、そのような容易に高密度化する焼結体中では、結晶ひずみの発生が抑制される傾向にあり、イオン伝導を妨げるマイクロドメインが成長しないため、高いイオン伝導度を得ることが可能になる。
また、粒子径は小さいほど有効ではあるが、現実的にあまり小さい粒径の焼結体を得ることは困難であるために、実際には焼結体内の平均粒子径が、平均50nm程度で緻密化させれば、十分な効果が期待できるので、50nm程度まで小さくすれば十分である。さらに、せっかくnmオーダーの粉末を用いても、長時間焼結するか、1400℃以上の高温で焼結を行い、平均粒子径が200nm以上になると、焼結体中の粒界近傍の微量な3価または2価元素の偏析が著しくなり、粒界における抵抗が高まるので、固体電解質自体の導電率が十分に高まらないので好ましくない。
【0015】
また、そうした粉末を用いた場合、平均粒子径を5ミクロン以上にするべく、高温長時間で焼結を行うと、焼結内の粒子は、必ずしも均一にならず、サブミクロンのきわめて小さい粒や1ミクロンを超える大きな粒が共存する不均一な組織になる。そうした不均一粒径を持つ焼結体中には、大きな結晶ひずみが残留しやすいので、マイクロドメインの成長はおこりやすく、結果としてイオン伝導度も向上しないので好ましくない。その焼結体内の粒子のばらつきは、平均粒径の±50%以内でなければならず、この範囲をこえる不均一な微細構造を有する焼結体中には、結晶ひずみが残留しやすく、マイクロドメインは成長しやすいので好ましくない。
【0016】
一方、出発粉末がnmでなく、サブミクロン以上の粉末を用いる場合、焼結体中には、結晶ひずみが比較的容易に導入される傾向にあるが、相対密度で95%以上に緻密化した焼結体中の平均粒子径が、平均5ミクロン以上20ミクロン以下になるように緻密焼結体を作製したうえで、焼結体内の粒径のばらつきを平均粒径の±50%以内に制限できれば、結晶ひずみの導入は少なく、マイクロドメインの成長は抑制されるので、高いイオン伝導度を得ることが可能である。一方、焼結体中の平均粒子径が20ミクロン以上になるほどの高温で焼結した場合、マイクロドメインはそれなりに成長するので、イオン伝導度を十分に高くすることができないので好ましくない。
【0017】
また、出発粉末の平均粒子径がサブミクロン以上の粉末を用いる場合に、得られた焼結体の平均粒子径が200nm以上5ミクロン以下の場合には、通常、焼結体密度は十分に高くはなく、低い密度の焼結体中に多量に存在する空孔は、酸化物イオンの拡散をさまたげ、イオン伝導度を低下させるので好ましくない。焼結体密度は理論密度の95%以上にまで緻密化していなくてはならず、これより低い焼結体密度しかない焼結体中では、過剰な空孔が残存し、この空孔が酸化物イオンの拡散を妨げ、結果としてイオン伝導を低下させるので好ましくない。
【0018】
上記の条件を満たす焼結体粒子内部には、マイクロドメインの大きさが平均で1nm以上10nm以下に抑制され、酸化物イオンの拡散はきわめて容易になり従来にない、極めて高いイオン伝導度を引き出すことが可能になる。
また、マイクロドメインは種々の形で、蛍石結晶構造と共存する可能性があるが、母相である蛍石結晶とマイクロドメインの界面は完全に整合している必要がある。もし界面に不整合が生じると、不整合界面は酸化物イオンの拡散を著しく阻害するので高いイオン伝導を得ることはできない。こうした界面が整合しているかどうかは、透過電子顕微鏡を用いた、電子線回折パターンを調べることで容易に判定することができる。整合界面が存在すれば、電子線回折パターンには、蛍石構造由来のスポットのみが観察され、電子線回折パターンのバックグラウンドには、散漫散乱(ディフューズ・スキャッター)が確認される。もし、不整合界面が存在すれば、電子線回折パターン中には、蛍石結晶構造に帰属できないスポットが現れることから、マイクロドメイン・蛍石結晶相との界面の不整合は容易に検定することができる。
【0019】
マイクロドメインは、c型希土類構造またはパイロクロア構造でなければならない。c型希土類構造またはパイロクロア構造は、蛍石構造の関連構造であることから、界面の整合性が保たれやすいが、それ以外の結晶構造を持つ、マイクロドメインが共存する場合、マイクロドメイン構造が蛍石結晶構造と大きく異なるためにマイクロドメインと蛍石結晶相との間の界面に不整合が生じ、イオン伝導度を低下させるので好ましくない。
加えて焼結体内部の粒界におけるシリカ不純物量は、100ppm以下でなければならず、それ以上の不純物シリカが共存する場合には、粒界の抵抗が大きくなり、固体電解質の性能を低下させるので好ましくない。こうした不純物シリカは、必ずしも出発原料由来のものばかりではなく、難焼結性の粉末を用いて1600℃を超える高温で、長時間焼結を行うと、電気炉の断熱材に含まれるガラス成分が揮発し、焼結体内部の粒界を汚染してしまい、粒内のマイクロドメインの大きさを制御しても、粒界の抵抗が大きくなり固体電解質の性能を低下させるので好ましくない。
【0020】
本発明の合成方法としては、特に限定するものではなく、たとえば原料粉末として酸化物を用いて乾式または湿式混合により混合した後焼成する方法、原料として無機塩の水溶液を使用して沈殿剤として炭酸アンモニウムなどを用いることにより炭酸塩として沈殿物を作製し、この沈殿をろ過、乾燥したのち焼成する方法や原料としてアルコキシド溶液を使用するアルコキシド法を用いて、液相混合したのち加水分解反応により沈殿を作製し、この沈殿をろ過、乾燥した後焼成する方法などを用いて合成することができる。
【0021】
本発明の効果発現の機構については、未だ十分には解明されていないが、セリア(CeO)に単に3価の金属元素を固溶させる場合には、焼結体内部に大きな結晶ひずみが生じやすく、このひずみを解消するために、焼結体内部には、不定形をしたマイクロドメインが生成する。このマイクロドメインは秩序構造をとり、その結果、酸化物イオンの拡散を妨げることから、固体電解質全体のイオン伝導度を低下させることになる。しかし、本発明の条件を満たす組成、密度、焼結体内粒径、結晶相、マイクロドメイン構造、マイクロドメインサイズ、マイクロドメインと蛍石結晶相との整合界面、粒界における不純物量などを制御することにより、焼結体内部の酸化物イオンの拡散が促進され、従来の特性を大幅に超える特性を有する、セリア系固体電解質の提供が可能になったものと考えられる。
【0022】
以上説明したように、本発明はセリア系化合物において最適なナノ構造を有する固体電解質に関するものであり、このナノ構造を利用して、高特性燃料電池用固体電解質を得ることが可能となる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて、更に詳細に説明するが、これらの実施例、比較例は、何れも本発明を容易に理解する一助として開示したものであって、これによって本発明を限定する趣旨ではないし、本発明はこれら実施例に限るものではない。
【0024】
実施例1; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.12Ce0.881.928(以後組成▲1▼とする)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、を秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.2μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1600℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた試料は、結晶相測定を行うさいには、100メッシュ以下の粒度になるように粉砕して、X線回折試験により、その結晶相の同定を行った。マイクロドメインなどの観察には、直径3mm、厚さ0.1mmのペレットを用いて観察を行った。
ただし、上記の酸素数は、正電荷と負電荷のバランスから計算上で求めた値である。
得られた焼結体は、白金電極を塗布し、1000℃において電極の焼きつけ処理を行った後、直流3端子法により抵抗値を測定して、伝導度を以下の式により算出した。
伝導度:log σ =log[(R・A)/l]
ここで、σは伝導度(伝導度はこの値を対数として示す)
Rは抵抗値、lは試料の厚み、Aは試料上の白金電極面積を表す。
焼結体中の粒径測定には走査型電子顕微鏡を用いて、焼結体表面の観察を行い、焼結体内部の粒内マイクロドメインなどの観察には、直径3mm、厚さ0.1mmのペレットを用いて、透過型電子顕微鏡を用いて行った。さらに、マイクロドメインと蛍石界面の整合性の観察は、電子線回折試験により、電子線回折パターンのバックグラウンドに現れる散漫散乱と蛍石構造由来のスポットを確認することによって行った。マイクロドメインの結晶構造は、マイクロドメイン内のマイクロ電子線回折試験ならびに、高分解電子顕微鏡による格子像から、原子間距離、面間隔などを算出することにより決定した。
さらに、焼結体密度測定はアルキメデス法により、バルク密度の測定を行い、X線回折試験からもとめた理論密度との比を用いて相対密度を求めた。粒界のシリカ量はEDS分析法に基づいて行った。
以上、実施例1による焼結体試料について、その焼結体粒内の電子線回折図と高分解能電子顕微鏡による格子像とをそれぞれ図1及び図2に示す。
これらの図によると、図1のバックグランドには散漫散乱が認められるものの、蛍石構造以外の構造からの回折スポットは認められない。また、図2には本実施例による試料のマイクロドメインを破線で示しており、極めて微小であることを示している。
【0025】
実施例2; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.12Ce0.881.928(組成▲1▼)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、を秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し、平均粒径0.2μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1400℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0026】
実施例3; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.12Ce0.881.928(組成▲1▼)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、を秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、水溶液の温度を80℃に保持したうえで沈殿を作成した。沈殿を含んだ水溶液は12時間の熟成処理を行った後、ろ過、水洗して、乾燥窒素気流中において2日間乾燥した。乾燥粉末は粉砕したのち、700℃、空気中で仮焼した。得られた粉末の平均粒径は30nmであった。この粉末を成型し、1100℃の温度で8時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0027】
実施例4; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.12Ce0.881.928(組成▲1▼)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、を秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.2μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1650℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0028】
実施例5; 組成が、(Y0.8Sr0.20.17Ce0.831.898(以後組成▲2▼とする)となるように、硝酸イットリウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、を秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.15μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1400℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0029】
実施例6; 組成が、(Y0.8Sr0.20.17Ce0.831.898(組成▲2▼)となるように、硝酸イットリウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、を秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、水溶液の温度を80℃に保持したうえで沈殿を作成した。沈殿を含んだ水溶液は12時間の熟成処理を行った後、ろ過、水洗して、乾燥窒素気流中において2日間乾燥した。乾燥粉末は粉砕したのち、700℃、空気中で仮焼した。得られた粉末の平均粒径は40nmであった。この粉末を成型し、1100℃の温度で8時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0030】
実施例7; 組成が、(Y0.8Sr0.20.17Ce0.831.898(組成▲2▼)となるように、硝酸イットリウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、を秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、水溶液の温度を80℃に保持したうえで沈殿を作成した。沈殿を含んだ水溶液は12時間の熟成処理を行った後、ろ過、水洗して、乾燥窒素気流中において2日間乾燥した。乾燥粉末は粉砕したのち、700℃、空気中で仮焼した。得られた粉末の平均粒径は40nmであった。この粉末を成型し、1050℃の温度で16時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0031】
実施例8; 組成が、(Sm0.8Sr0.1Ba0.10.18Ce0.821.892(以後組成▲3▼とする)となるように、硝酸サマリウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃の温度で、空気中において仮焼し平均粒径0.1μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1550℃の温度で空気中、4時間焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0032】
実施例9; 組成が、(Sm0.8Sr0.1Ba0.10.18Ce0.821.892(組成▲3▼)となるように、硝酸サマリウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、水溶液の温度を80℃に保持したうえで沈殿を作成した。沈殿を含んだ水溶液は12時間の熟成処理を行った後、ろ過、水洗して、乾燥窒素気流中において2日間乾燥した。乾燥粉末は粉砕したのち、700℃、空気中で仮焼した。得られた粉末の平均粒径は40nmであった。この粉末を成型し、1100℃の温度で8時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0033】
実施例10; 組成が、(Sm0.8Sr0.1Ba0.10.18Ce0.821.892(組成▲3▼)となるように、硝酸サマリウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃の温度で、空気中において仮焼し平均粒径0.1μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1450℃の温度で空気中、4時間焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0034】
実施例11; 組成が、(La0.8Sr0.1Ba0.10.17Ce0.831.898(以後組成▲4▼とする)となるように、硝酸ランタン、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃の温度で、空気中において仮焼し平均粒径0.1μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1550℃の温度で空気中、4時間焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0035】
実施例12; 組成が、(La0.8Sr0.1Ba0.10.17Ce0.831.898(組成▲4▼)となるように、硝酸ランタン、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃の温度で、空気中において仮焼し平均粒径0.25μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1450℃の温度で空気中、4時間焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0036】
実施例13; 組成が、(Gd0.40.4Ca0.20.12Ce0.881.928(組成▲5▼)となるように、硝酸ガドリウム、硝酸セリウム、硝酸イットリウム、硝酸カルシウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃の温度で、空気中において仮焼し平均粒径0.2μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1450℃の温度で空気中、4時間焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0037】
実施例14; 組成が、(Gd0.40.4Sr0.1Ca0.10.17Ce0.831.898(以後組成▲6▼とする)となるように、硝酸ガドリウム、硝酸セリウム、硝酸イットリウム、硝酸カルシウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃の温度で、空気中において仮焼し平均粒径0.1μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1550℃の温度で空気中、4時間焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
【0038】
実施例15; 組成が、(Gd0.40.4Sr0.1Ca0.1)Ce0.17Ce0.831.898(組成▲6▼)となるように、硝酸ガドリウム、硝酸セリウム、硝酸イットリウム、硝酸カルシウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃の温度で、空気中において仮焼し平均粒径0.1μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1450℃の温度で空気中、4時間焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表1に示した。
表1に実施例により得られた結果をまとめて示す。表1から分かるとおり、本発明により、従来のものに比べ、イオン伝導度を著しく向上させた固体電解質の作成が可能になった。
【0039】
【表1】
Figure 0003619875
【0040】
以上、実施例1ないし15に基づいて示したところにより本発明を具体的に開示し、これにより本発明が前示したように特有な組成、特有な単一相構造の結晶粒子を有してなり、c型希土類相またはパイロクロア相を一定ナノメーター以下に抑制してなり、その構成する粒界界面に不整合のない等の諸事項によって特徴づけられた焼結体であって、酸化物イオン伝導度に関し特有な値を有してなるものであることを示したが、さらに、それらの要件事項とその意義を明らかにするべき、以下、比較例1ないし14による実験を行った。
【0041】
比較例1; 組成が、(Dy0.8Sr0.20.17Ce0.831.898(以後組成aとする)となるように、硝酸ディスプロシウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.3μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1600℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、イオン伝導度は低いものであった。
【0042】
比較例2; 組成が、(Dy0.8Sr0.20.17Ce0.831.898(組成a)となるように、硝酸ディスプロシウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量して蒸留水に溶解し、合わせて150ppmのシリカゾルをこの混合溶液中に分散させ、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.3μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1550℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、かつ粒界のシリカ量も大きいことから、イオン伝導度は低いものであった。
【0043】
比較例3;
組成が、(Dy0.8Sr0.20.17Ce0.831.898(組成a)となるように、硝酸ディスプロシウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量して蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、水溶液の温度を80℃に保持したうえで沈殿を作成した。沈殿を含んだ水溶液は12時間の熟成処理を行った後、ろ過、水洗して、乾燥窒素気流中において2日間乾燥した。乾燥粉末は粉砕したのち、700℃、空気中で仮焼した。得られた粉末の平均粒径は35nmであった。この粉末を成型し、1050℃の温度で16時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。
マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、かつ粒界のシリカ量も大きいことから、イオン伝導度は低いものであった。
【0044】
比較例4; 組成が、(Pr0.8Sr0.20.17Ce0.831.898(以後組成bとする)となるように、硝酸プラセオジウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量して蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.2μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1550℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、イオン伝導度は低いものであった。
【0045】
比較例5; 組成が、(Eu0.8Sr0.20.17Ce0.831.898(以後組成cとする)となるように、硝酸ユーロピウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量して蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.1μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1550℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、イオン伝導度は低いものであった。
【0046】
比較例6; 組成が、(Eu0.8Sr0.20.17Ce0.831.898(組成c)となるように、硝酸ユーロピウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量して蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、水溶液の温度を80℃に保持したうえで沈殿を作成した。沈殿を含んだ水溶液は12時間の熟成処理を行った後、ろ過、水洗して、乾燥窒素気流中において2日間乾燥した。乾燥粉末は粉砕したのち、700℃、空気中で仮焼した。得られた粉末の平均粒径は40nmであった。この粉末を成型し、1050℃の温度で8時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。
マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、イオン伝導度は低いものであった。
【0047】
比較例7; 組成が、(Y0.8Sr0.20.10Ce0.901.94(以後組成dとする)となるように、硝酸イットリウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.15μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1550℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、イオン伝導度は低いものであった。
【0048】
比較例8; 組成が、(Y0.8Sr0.20.25Ce0.751.85(以後組成eとする)となるように、硝酸イットリウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.3μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1550℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、イオン伝導度は低いものであった。
【0049】
比較例9; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.07Ce0.931.958 (以後組成fとする)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.2μmの粉末を得た。 この粉末を成型し、1550℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、イオン伝導度は低いものであった。
【0050】
比較例10; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.25Ce0.751.85(以後組成gとする)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥した後、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.3μmの粉末を得た。 この粉末を成型し、1550℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、イオン伝導度は低いものであった。
【0051】
比較例11; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.07Ce0.931.958(組成f)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、水溶液の温度を80℃に保持したうえで沈殿を作成した。沈殿を含んだ水溶液は12時間の熟成処理を行った後、ろ過、水洗して、乾燥窒素気流中において2日間乾燥した。乾燥粉末は粉砕したのち、700℃、空気中で仮焼した。得られた粉末の平均粒径は40nmであった。この粉末を成型し、1100℃の温度で8時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。マイクロドメインは、焼結体内において大きく成長しており、イオン伝導度は低いものであった。
【0052】
比較例12; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.12Ce0.881.928(組成▲1▼)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.2μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1250℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。焼結体密度が低く、焼結体内に多数の空孔が存在することから、イオン伝導度は低いものであった。
【0053】
比較例13; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.12Ce0.881.928(組成▲1▼)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウムを秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、沈殿を作成した。得られた粉末は、乾燥窒素気流中において2日間乾燥したのち、粉砕し、1000℃、空気中で仮焼し平均粒径0.2μmの粉末を得た。この粉末を成型し、1750℃の温度で14時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。焼結体粒界のシリカ不純物量が大きいことから、イオン伝導度は低いものであった。
【0054】
比較例14; 組成が、(Gd0.8Sr0.20.12Ce0.881.928(組成▲1▼)となるように、硝酸ガドリニウム、硝酸セリウム、硝酸ストロンチウム、を秤量し、蒸留水に溶解し、十分混合したのち、炭酸アンモニウム水溶液を用いて、水溶液の温度を80℃に保持したうえで沈殿を作成した。沈殿を含んだ水溶液は12時間の熟成処理を行った後、ろ過、水洗して、乾燥窒素気流中において2日間乾燥した。乾燥粉末は粉砕したのち、700℃、空気中で仮焼した。得られた粉末の平均粒径は30nmであった。この粉末を成型し、1600℃の温度で4時間、空気中において焼結を行った。
得られた焼結体は、実施例1に準拠した方法により、評価を行いその結果を表2に示した。焼結体内の粒子径には大きなばらつきがあり(±80%)、そのため、結晶ひずみも大きく、マイクロドメインは大きく成長し、イオン伝導度は低いものであった。
【0055】
【表2】
Figure 0003619875
【0056】
【発明の効果】
本発明は、セリア系固体電解質焼結体の設計において、イオン伝導度を阻害している要因に関し探求した結果、該阻害要因がc型希土類相あるいはパイロクレア相にあること、焼結体を得るプロセスを管理することにより、前示結晶相の生成を一定以下の大きさに抑制し、これにより従来法では困難であった高いイオン伝導度を再現性をもって実現できることを見出したものであり、その意義は、燃料電池等固体電解質の利用技術が今後がますます発展することが指摘されていることを考えるとき、その果たす役割は極めて大きい。
すなわち、本発明は、イオン伝導度を阻害している要因が酸素欠陥を発生させる際に生成するc型希土類相またはパイロクロア相にあることを見いだしたものであり、これらの領域を1ナノメーター以上10ナノメーター以下に抑制し、且つこうした副生成物領域と蛍石界面との不整合をなくし、完全な整合界面を作製することにより、従来のものに比べイオン伝導度が向上し、燃料電池用固体電解質材料または炭酸ガスガスセンサー材料とした際に、優れた特性を示すセリア系固体電解質を提供するもので、その意義は大きいし、今後これを利用した技術が大いに発展することが期待され、産業の発展に大いに寄与するものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼結体結晶粒(実施例1)の電子線回折図。
【図2】本発明の焼結体結晶粒(実施例1)の高分解能電子顕微鏡による格子像。

Claims (3)

  1. 組成式(M3+ 2+ 1−xCe1−y2−d(式中M3+は、Y、Yb、Gd、Sm、Laから選ばれた1種または2種以上の3価希土類化合物、N2+は、Ca、Sr、Baから選ばれた1種また2種類以上の2価のアルカリ土類元素を表し、x、yは、それぞれ、0.5≦x≦0.9、0.15≦y≦0.20、ただしM3+がGdの場合は0.5≦x≦0.9、0.10≦y≦0.20の数を表す)で表されるセリア系複合酸化物焼結体によって構成されてなる固体電解質であって、その焼結体を構成する結晶相は、X線回折試験による結晶相の同定では主として単一の蛍石型構造からなり、焼結体結晶粒子サイズは出発粒度に基づき50nm以上150nm以下であるか、5ミクロン以上20ミクロン以下であり、相体密度にして理論密度の95%以上に緻密化した焼結体内部の粒子径も均一性が高く、各粒子の大きさのばらつきが、平均粒子径から±50%以内であり、かつ焼結体粒子内部に平均的な大きさが1nm以上10nm以下のマイクロドメインを持ち、母相である蛍石結晶とマイクロドメインの界面は完全に整合していることにより、酸化物イオンの拡散を妨げることなく、500℃における酸化物イオン伝導度が0.008S/cm以上であることを特徴とするセリア系固体電解質。
  2. マイクロドメインの構造が、c型希土類構造またはパイロクロア構造からなることを特徴とする請求項1記載のセリア系蛍石型固体電解質。
  3. 焼結体内部の粒界におけるシリカ不純物量が100ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のセリア系固体電解質。
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