JP3619634B2 - 安全弁を備える密閉型蓄電池 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池内圧が異常に上昇したときに開弁して、電池の破損を防止する安全弁を備える密閉型蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ蓄電池等の密閉型蓄電池は、外装缶の開口部を閉塞する封口板に安全弁を設けている。安全弁は、電池内部にガスが発生して、内部の圧力が異常に上昇したときに開弁されて、電池内部のガスを電池ケースの外に放出し、内圧で電池ケースが破裂するのを防止する。安全弁を設けないと、内圧が異常に上昇したときに、外装缶の開口部を気密に閉塞している封口部が破裂する。封口部の強度が他の部分よりも弱いからである。高圧の気体に押されて電池ケースの封口板が破損すると、その衝撃は液体に押圧されるのに比較して相当に大きくなることがある。液体は圧縮性がないので、極微量を排出して圧力を急激に低下できるが、気体は圧縮性があるので、微量を排出しても直ちに圧力が低下せず、封口部に連続して高い圧力が作用して破損させるからである。
【0003】
密閉型の蓄電池は、異常な状態で使用されると一時的に内圧が上昇することがある。たとえば、大電流で放電したり、あるいは過充電したりすると電池ケースの内部でガスが発生して、電池内圧が上昇することがある。このとき、安全弁を開弁してガスを排出する必要がある。電池内圧が正常な値に低下すると、安全弁を閉弁させる。安全弁が閉弁すると、密閉型蓄電池は再使用できる状態となる。安全弁が開弁したときに、少量のガスが排出されて、電池性能は多少低下するが、再使用できる状態に復元する。密閉型の二次電池は、充電して、繰り返し使用可能であることから、安全弁を作動後においても自己復帰させて使用可能な構造としている。
【0004】
自己復帰する安全弁は、ゴム状弾性体やバネで弁体の表面を弁孔に圧接する。電池ケースの内圧が上昇すると、圧力で弁体が押されて開弁する。弁体を閉じるために、バネやゴム状弾性体が使用される。ゴム状弾性体は、バネに比較して安価にできる特長がある。また、バネのように錆びて動作が不安定になることもない。
【0005】
弁体をゴム状弾性体の弾性で弁孔に密着させる安全弁は、たとえば実開平7−18351号公報に記載される。この公報に記載される安全弁は、図1に示すように、電池ケースの封口板1に内蔵される。安全弁2は、封口板1の電極キャップ1B内にゴム状弾性体の弁体4を内蔵させている。弁体4は、封口板1の本体プレート部1Aと電極キャップ1Bとの間に圧縮されて挟持されており、本体プレート部1Aに開口された弁孔1aの上面に弾性的に圧接している。この構造の安全弁2は、弁孔1aを介して弁体4に作用する電池の内圧で弁体4を押し上げて開弁する。弁孔1aに作用する圧力が低いとき、弁体4はゴム状弾性体で弁孔1aの上面に密着された閉弁状態となる。弁孔1aの圧力が設定圧よりも高くなると、ゴム状弾性体が弁体4を弁孔1aに押圧する力よりも、弁孔1aに作用する内圧が強くなって、弁体4は弁孔1aから離れて開弁する。このため、電池ケースの内圧で安全弁2を開閉できる。
【0006】
さらに、図2は、一旦開弁されると再使用できない従来の安全弁を示す。この図の安全弁2は、封口板1を構成する、本体プレート部1Aと電極キャップ1Bとの間に薄板9を挟着している。薄板9は、電池ケース5の内圧で変形される。薄板9は、電池ケース5の内圧が高くなるにしたがって大きく変形される。大きく変形した薄板9は、電極キャップ1Bの内面に設けた切刃10で切断される。この構造の安全弁2は、電池ケース5の内圧が異常に高くなると、切刃10で薄板9が破断されて、電池ケース5内のガスを外部に放出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図1と図2に示す安全弁2は、確実に動作するかぎり、電池内圧が異常に上昇しても、電池ケース5が破損することはない。しかしながら、図1の安全弁2は、弁孔1aを通過したガスを、電極キャップ1Bの排出口3から外部に排出させるので、排出口3が詰まると、ガスをスムーズに排出できなくなる。密閉型蓄電池は、異常な状態で使用されて内圧が高くなるとき、電池内部が過熱されて、電池内に内蔵されている有機高分子物質等の熱溶融物が噴出されることがある。この熱溶融物は、封口板1の弁孔1aから電極キャップ1Bの排出口3を通過するときに、冷却されて、電極キャップ1Bの排出口3に詰まって、ガス排出能力が低下することがある。
【0008】
図2に示す安全弁2は、この弊害を防止するために、電極キャップ1Bの内面に、リング状に肉薄部15を設けている。肉薄部15は、排出口3が詰まって、電極キャップ1Bの内圧が上昇したときに、電極キャップ1Bを破損させる。肉薄部15が破断されると、電極キャップ1Bは大きく開口されるので、弁孔1aを通過した気体を速やかに排出できる。
【0009】
しかしながら、図2に示す構造の安全弁2は、肉薄部15を破断させる圧力の調整が極めて難しい。それは、肉薄部15の厚さで、破断圧力が大幅に変動するからである。肉薄部15が薄すぎると、この部分が破損されやすくなって電極キャップ1Bの強度が著しく低下してしまう。この弊害を避けるために、肉薄部15を厚くすると、電極キャップ1Bの排出口3が詰まって、内圧が異常に高くなっても、肉薄部15が破断されず、気体をスムーズに排出できなくなってしまう欠点がある。
【0010】
安全弁は、電池ケース内に多量のガスが発生する極めて厳しい環境で使用されても、ガスを速やかに排出して電池ケースの破損を防止することが大切である。排出口が熱溶融物等で詰まり、安全弁が開弁しているにもかかわらず、電池ケースが破壊することがある。安全弁が開弁しても、電池内におけるガスの発生量が、開弁している安全弁のガスの排出能力を越えると、電池の内圧は次第に上昇して電池ケースを破損させることがある。このため、安全弁は、電池の内圧が異常に高くなったときには、排出口が熱溶融物等でつまらないようにして、内部のガスをスムーズに排出できることが大切である。
【0011】
本発明はこのことを実現することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、開弁した安全弁の熱溶融物等に起因する詰まりを解消して、ガスを速やかに排出して、安心して安全に使用できる安全弁を備える密閉型蓄電池を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の密閉型蓄電池は、封口板1に安全弁2を内蔵させている。安全弁2は、電池ケース5の内圧が設定圧よりも高くなると開弁して、電池ケース5内のガスを排出する。安全弁2を内蔵する封口板1は、外装缶7の開口部を閉塞する本体プレート部1Aと、この本体プレート部1Aの上面に固定されている電極キャップ1Bとを備える。電極キャップ1Bと本体プレート部1Aとの間には、弁体4を内蔵させている。弁体4は、本体プレート部1Aに開口されている弁孔1aを閉塞する位置に配設される。この弁体4は、電池の内圧が設定圧力よりも低いときに弁孔1aを閉塞し、電池の内圧が設定圧力よりも高くなると、弁孔1aを開弁する。
【0013】
さらに、電極キャップ1Bは、電極キャップ1B内の気体を排出する排出口3が、電極キャップ1Bを貫通して設けられている。また、電極キャップ1Bは、電極キャップ1Bに配設された排出口3が熱溶融物で閉塞されて電極キャップ1Bの内圧が異常に高くなった場合に、電極キャップ1Bを破断させるために、弁孔1aを通過した異常な圧力の気体で破断される肉薄ライン部11を設けている。
【0014】
さらにまた、本発明の密閉型蓄電池は、電極キャップ1Bに、肉薄ライン部11に連結して排出口3を設けている。電極キャップ1Bは、安全弁2が開弁して、弁孔1aから電池ケース5内の気体が流入され、しかも、この気体を排出口3から速やかに排出できないときに、肉薄ライン部11を破壊させる。肉薄ライン部11に連結して排出口3が開口されているで、本発明の密閉型蓄電池の電極キャップ1Bは、排出口3と肉薄ライン部11を切り離し部分として電極キャップ1Bを破断させる。
【0015】
さらにまた、本発明の請求項2の密閉型蓄電池は、電極キャップ1Bに、本体プレート部1Aに対して垂直に立ち上がっている筒状の周壁部14を設けている。この周壁部14には、肉薄ライン部11と排出口3が互いに連結されて円周状に設けられている。すなわち、隣接する排出口3を肉薄ライン部11で連結するように、排出口3と肉薄ライン部11とが周壁部14に円周状に設けられている。
【0016】
本発明の請求項3の密閉型蓄電池は、電極キャップ1Bに内蔵される弁体4をゴム状弾性体としている。ゴム状弾性体の弁体4は、電極キャップ1Bに押圧されて、弁孔1aの上面に弾性的に圧接されて弁孔1aを閉塞する。
【0017】
また、本発明の請求項4の密閉型蓄電池は、弁体4を薄板9で構成している。薄板9を破断するために、電極キャップ1Bの内面には切刃10を設けている。切刃10は、変形する薄板9に接触してこれを破断する。この安全弁2は、電池ケース5の内圧が異常に高くなると、薄板9が変形して切刃10で破断され、弁孔1aが開弁されて電池ケース5内のガスが排出される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための密閉型蓄電池を例示するものであって、本発明は密閉型蓄電池を下記のものに特定しない。
【0019】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0020】
図3に示す密閉型蓄電池は、円筒状のニッケル−カドミウム電池で、電池ケース5に、電極体6を入れて、電解液(図示せず)を充填している。電池ケース5は、外装缶7の開口部を封口板1で気密に閉塞している。外装缶7は、鉄板等の金属板を、プレスして、底のある円筒状、すなわち有底筒状に成形して製造される。鉄板製の外装缶7は、プレス加工した後に、あるいはプレス加工する前工程で、表面にニッケル等のメッキを施している。
【0021】
図に示す密閉型蓄電池は、ニッケル−カドミウム電池であるが、本発明は密閉型蓄電池をニッケル−カドミウム電池に特定しない。密閉型蓄電池は、たとえば、ニッケル−水素電池やリチウムイオン二次電池等とすることもできる。ニッケル−カドミウム電池である密閉型蓄電池は、電極体6の−極を外装缶7に接続し、+極を封口板1に電気接続している。
【0022】
外装缶7は、有底円筒状、あるいは有定角筒状に成形されている。この外装缶7は、開口部に封口板1をかしめて固定して気密に閉塞される。封口板1は、外装缶7の間に、絶縁パッキン8を挟着する。絶縁パッキン8は外装缶7と封口板1とを電気的に絶縁すると共に、この間のガス漏れを防止している。
【0023】
図4は、密閉型蓄電池の封口板の断面図、図5は安全弁が開弁して電極キャップが破断された状態を示す断面図である。これ等の図に示す封口板1は、電池ケースの内圧が設定圧よりも高くなると開弁する安全弁2を備える。
【0024】
安全弁2は封口板1に内蔵される。安全弁2を内蔵する封口板1は、本体プレート部1Aの上面に電極キャップ1Bをスポット溶接して固定している。電極キャップ1Bは中央部を上方に突出し、本体プレート部1Aは中央部を下方に突出させて、電極キャップ1Bと本体プレート部1Aの間に、安全弁2の弁体4を内蔵させている。本体プレート部1Aは、中心に弁孔1aを開口している。弁孔1aの外周縁には、弁体4を気密に密着させる凸条12を設けている。凸条12のある弁孔1aは、凸条12の先端縁を線状に弁体4の下面に密着させる。このため、閉弁している安全弁2のガス漏れを有効に阻止できる特長がある。
【0025】
弁体4はゴム状弾性体である。ゴム状弾性体である弁体4の硬度は、安全弁2の開弁圧力と、弁孔1aの大きさを考慮して最適値に調整される。弁体4に柔軟なゴム状弾性体を使用すると、安全弁2の開弁する圧力は低くなる。反対に、弁体4に硬度の高いゴム状弾性体を使用すると、安全弁2の開弁する圧力は高くなる。また、弁体4の硬度が同じであっても、弁孔1aの内径が大きくなると、安全弁2が開弁する圧力は低くなる。弁体4が弁孔1aの内圧に押圧される力が、内圧と弁孔1aの開口面積の積に比例するからである。
【0026】
弁体4が弁孔1aから離れる安全弁2の開弁圧力は、たとえば1〜2MPaに設定される。安全弁2の開弁圧は、電池ケース5が破裂する圧力に比較して充分に低い圧力に設定される。弁孔1aの大きさは、電池の大きさによって異なるが、たとえば、単2電池で約3.5mmである。
【0027】
電極キャップ1Bは、上方に突出する部分、すなわち、本体プレート部1Aに対して垂直に立ち上がっている円筒状の周壁部14を有する。この周壁部14には、4つの排出口3を開口している。4つの排出口3は、円筒状の周壁部14に、円周方向に延長された細長い長方形をしている。さらに、この排出口3を連結するように、隣接する排出口3を連結して、電極キャップ1Bの周壁部14の内面に肉薄ライン部11を設けている。肉薄ライン部11は、図6の断面図に示すように、電極キャップ1Bの内側に溝13を設けて設けられる。この肉薄ライン部11は、電極キャップ1Bの周壁部14の内面に、円周方向に延長して設けられる。肉薄ライン部11は、電極キャップ1Bの排出口3が詰まったときに、破壊されて、電極キャップ1B内を開放する。したがって、肉薄ライン部11は、電池ケースが破裂する圧力に比較して充分に低い圧力に設定される。
【0028】
この構造の安全弁2は、電池の電池ケース内の圧力が設定圧よりも低いときには、図4に示すように、閉弁状態に保持される。弁体4が本体プレート部1Aに押し付けられて弁孔1aを閉塞しているからである。電池内圧が上昇すると、弁孔1aに作用するガス圧が、弁体4を押し上げて、弁孔1aが開かれて開弁する。この状態になると、電池内のガスは、本体プレート部1Aの弁孔1aと、電極キャップ1Bの排出口3を通過して電池外に放出される。
【0029】
弁体4が開弁された状態で、弁孔1aから熱溶融物等が電極キャップ1B内に噴射され、これが排出口3に詰まると、電極キャップ1Bの内圧は異常に高くなる。電極キャップ1Bの内圧が異常に高くなると、図5に示すように、内圧で電極キャップ1Bの肉薄ライン部11が破断される。この状態になると、電極キャップ1Bは大きく開かれて、弁孔1aを通過するガスを速やかに外部に排出する。したがって、電池ケースの内圧が低下される。
【0030】
以上の構造の密閉型蓄電池は、ゴム状弾性体で安全弁2の弁体4を構成している。ただ、安全弁の弁体は、必ずしもゴム状弾性体で構成する必要はなく、たとえば、図示しないが、電極キャップに内蔵させるバネで、板状の弁体を弁孔の上面に圧接する構造とすることもできる。このように、ゴム状弾性体やバネで弁孔を閉塞する安全弁は、電池ケースの内圧が低下すると閉弁される。このため、電池ケースの内圧が正常に低下すると正常な電池として再使用できる。
【0031】
図7は、一旦開弁すると、閉弁しない安全弁2を内蔵する封口板1を示している。この図の封口板1は、本体プレート部1Aと電極キャップ1Bとで薄板9を挟着している。薄板9は、破損されない状態で、弁孔1aを閉塞する。電極キャップ1Bの内面には、薄板9を破断するための切刃10を下方に突出して設けている。さらに、電極キャップ1Bの内面には、図4に示す前述の安全弁2と同じように、排出口3と肉薄ライン部11とを設けている。
【0032】
この構造の安全弁2は、電池の電池ケース内の圧力が設定圧よりも低いときには、図7に示すように、閉弁状態に保持される。弁体4が弁孔1aを閉塞しているからである。電池内圧が上昇すると、弁孔1aに作用するガス圧が弁体4を押し上げ、弁体4が切刃10に接触して破断される。この状態で弁孔1aが開かれて開弁する。この状態になると、電池内のガスは、本体プレート部1Aの弁孔1aと、電極キャップ1Bの排出口3を通過して電池外に放出される。
【0033】
弁体4が開弁された状態で、弁孔1aから熱溶融物等が電極キャップ1B内に噴射され、これが排出口3に詰まると、電極キャップ1Bの内圧は異常に高くなる。電極キャップ1Bの内圧が異常に高くなると、図5に示す電極キャップ1Bと同じように、内圧で電極キャップ1Bの肉薄ライン部11が破断される。この状態になると、電極キャップ1Bは大きく開かれて、弁孔1aを通過するガスを速やかに外部に排出する。したがって、電池ケースの内圧が低下される。
【0034】
【発明の効果】
本発明の安全弁を備える密閉型蓄電池は、安全弁を確実に開弁して、熱溶融物等に起因する詰まりを極減し、ガスを速やかに排出して安全に使用できる特長がある。それは、本発明の密閉型蓄電池が、封口板の電極キャップに、弁孔を通過した異常な気体圧力で破断される肉薄ライン部と、弁孔を通過して電極キャップに流入される気体を排出する排出口を開口すると共に、排出口を肉薄ライン部に連結して開口しているからである。肉薄ライン部を排出口で連結する電極キャップは、肉薄ライン部の全長を短くして、しかも、破壊される肉薄ライン部で電極キャップを大きく開弁できる。肉薄ライン部は全長が長いと、厚さで破壊される圧力を正確に制御するのが極めて難しくなる。ところが、本発明の密閉型蓄電池は、電極キャップの肉薄ライン部を排出口で連結するので、肉薄ライン部の全長が短く、電極キャップの異常内圧で確実に破断できる。とくに、本発明の密閉型蓄電池は、電極キャップ内の気体を排出する排出口で肉薄ライン部の全長を短くする。この構造の密閉型蓄電池は、排出口を、電極キャップから気体を排出する作用と、電極キャップを確実に破壊させる作用に併用する。このため、本発明の密閉型蓄電池は、簡単な構造で、弁孔を通過した気体を、電極キャップから確実に排出できる特長を実現する。
【0035】
とくに、本発明の密閉型蓄電池は、電極キャップを確実に破断して、気体を排出するので、万一、排出口が熱溶融物等で閉塞されたとしても、電極キャップから確実にガスを放出して極めて安全に使用できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の密閉型蓄電池の封口板に内蔵される安全弁の断面図
【図2】従来の他の密閉型蓄電池の封口板に内蔵される安全弁の断面図
【図3】本発明の実施例の安全弁を備える密閉型蓄電池の一部断面側面図
【図4】図3に示す密閉型蓄電池の封口板の一部断面側面図
【図5】図4に示す封口板の安全弁が開弁して電極キャップが破断された状態を示す一部断面側面図
【図6】図4に示す封口板の電極キャップに設けられた肉薄ライン部を示す拡大断面図
【図7】本発明の他の実施例の密閉型蓄電池の封口板の断面図
【符号の説明】
1…封口板 1A…本体プレート部 1B…電極キャップ
1a…弁孔
2…安全弁
3…排出口
4…弁体
5…電池ケース
6…電極体
7…外装缶
8…絶縁パッキン
9…薄板
10…切刃
11…肉薄ライン部
12…凸条
13…溝
14…周壁部
15…肉薄部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池内圧が異常に上昇したときに開弁して、電池の破損を防止する安全弁を備える密閉型蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ蓄電池等の密閉型蓄電池は、外装缶の開口部を閉塞する封口板に安全弁を設けている。安全弁は、電池内部にガスが発生して、内部の圧力が異常に上昇したときに開弁されて、電池内部のガスを電池ケースの外に放出し、内圧で電池ケースが破裂するのを防止する。安全弁を設けないと、内圧が異常に上昇したときに、外装缶の開口部を気密に閉塞している封口部が破裂する。封口部の強度が他の部分よりも弱いからである。高圧の気体に押されて電池ケースの封口板が破損すると、その衝撃は液体に押圧されるのに比較して相当に大きくなることがある。液体は圧縮性がないので、極微量を排出して圧力を急激に低下できるが、気体は圧縮性があるので、微量を排出しても直ちに圧力が低下せず、封口部に連続して高い圧力が作用して破損させるからである。
【0003】
密閉型の蓄電池は、異常な状態で使用されると一時的に内圧が上昇することがある。たとえば、大電流で放電したり、あるいは過充電したりすると電池ケースの内部でガスが発生して、電池内圧が上昇することがある。このとき、安全弁を開弁してガスを排出する必要がある。電池内圧が正常な値に低下すると、安全弁を閉弁させる。安全弁が閉弁すると、密閉型蓄電池は再使用できる状態となる。安全弁が開弁したときに、少量のガスが排出されて、電池性能は多少低下するが、再使用できる状態に復元する。密閉型の二次電池は、充電して、繰り返し使用可能であることから、安全弁を作動後においても自己復帰させて使用可能な構造としている。
【0004】
自己復帰する安全弁は、ゴム状弾性体やバネで弁体の表面を弁孔に圧接する。電池ケースの内圧が上昇すると、圧力で弁体が押されて開弁する。弁体を閉じるために、バネやゴム状弾性体が使用される。ゴム状弾性体は、バネに比較して安価にできる特長がある。また、バネのように錆びて動作が不安定になることもない。
【0005】
弁体をゴム状弾性体の弾性で弁孔に密着させる安全弁は、たとえば実開平7−18351号公報に記載される。この公報に記載される安全弁は、図1に示すように、電池ケースの封口板1に内蔵される。安全弁2は、封口板1の電極キャップ1B内にゴム状弾性体の弁体4を内蔵させている。弁体4は、封口板1の本体プレート部1Aと電極キャップ1Bとの間に圧縮されて挟持されており、本体プレート部1Aに開口された弁孔1aの上面に弾性的に圧接している。この構造の安全弁2は、弁孔1aを介して弁体4に作用する電池の内圧で弁体4を押し上げて開弁する。弁孔1aに作用する圧力が低いとき、弁体4はゴム状弾性体で弁孔1aの上面に密着された閉弁状態となる。弁孔1aの圧力が設定圧よりも高くなると、ゴム状弾性体が弁体4を弁孔1aに押圧する力よりも、弁孔1aに作用する内圧が強くなって、弁体4は弁孔1aから離れて開弁する。このため、電池ケースの内圧で安全弁2を開閉できる。
【0006】
さらに、図2は、一旦開弁されると再使用できない従来の安全弁を示す。この図の安全弁2は、封口板1を構成する、本体プレート部1Aと電極キャップ1Bとの間に薄板9を挟着している。薄板9は、電池ケース5の内圧で変形される。薄板9は、電池ケース5の内圧が高くなるにしたがって大きく変形される。大きく変形した薄板9は、電極キャップ1Bの内面に設けた切刃10で切断される。この構造の安全弁2は、電池ケース5の内圧が異常に高くなると、切刃10で薄板9が破断されて、電池ケース5内のガスを外部に放出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図1と図2に示す安全弁2は、確実に動作するかぎり、電池内圧が異常に上昇しても、電池ケース5が破損することはない。しかしながら、図1の安全弁2は、弁孔1aを通過したガスを、電極キャップ1Bの排出口3から外部に排出させるので、排出口3が詰まると、ガスをスムーズに排出できなくなる。密閉型蓄電池は、異常な状態で使用されて内圧が高くなるとき、電池内部が過熱されて、電池内に内蔵されている有機高分子物質等の熱溶融物が噴出されることがある。この熱溶融物は、封口板1の弁孔1aから電極キャップ1Bの排出口3を通過するときに、冷却されて、電極キャップ1Bの排出口3に詰まって、ガス排出能力が低下することがある。
【0008】
図2に示す安全弁2は、この弊害を防止するために、電極キャップ1Bの内面に、リング状に肉薄部15を設けている。肉薄部15は、排出口3が詰まって、電極キャップ1Bの内圧が上昇したときに、電極キャップ1Bを破損させる。肉薄部15が破断されると、電極キャップ1Bは大きく開口されるので、弁孔1aを通過した気体を速やかに排出できる。
【0009】
しかしながら、図2に示す構造の安全弁2は、肉薄部15を破断させる圧力の調整が極めて難しい。それは、肉薄部15の厚さで、破断圧力が大幅に変動するからである。肉薄部15が薄すぎると、この部分が破損されやすくなって電極キャップ1Bの強度が著しく低下してしまう。この弊害を避けるために、肉薄部15を厚くすると、電極キャップ1Bの排出口3が詰まって、内圧が異常に高くなっても、肉薄部15が破断されず、気体をスムーズに排出できなくなってしまう欠点がある。
【0010】
安全弁は、電池ケース内に多量のガスが発生する極めて厳しい環境で使用されても、ガスを速やかに排出して電池ケースの破損を防止することが大切である。排出口が熱溶融物等で詰まり、安全弁が開弁しているにもかかわらず、電池ケースが破壊することがある。安全弁が開弁しても、電池内におけるガスの発生量が、開弁している安全弁のガスの排出能力を越えると、電池の内圧は次第に上昇して電池ケースを破損させることがある。このため、安全弁は、電池の内圧が異常に高くなったときには、排出口が熱溶融物等でつまらないようにして、内部のガスをスムーズに排出できることが大切である。
【0011】
本発明はこのことを実現することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、開弁した安全弁の熱溶融物等に起因する詰まりを解消して、ガスを速やかに排出して、安心して安全に使用できる安全弁を備える密閉型蓄電池を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の密閉型蓄電池は、封口板1に安全弁2を内蔵させている。安全弁2は、電池ケース5の内圧が設定圧よりも高くなると開弁して、電池ケース5内のガスを排出する。安全弁2を内蔵する封口板1は、外装缶7の開口部を閉塞する本体プレート部1Aと、この本体プレート部1Aの上面に固定されている電極キャップ1Bとを備える。電極キャップ1Bと本体プレート部1Aとの間には、弁体4を内蔵させている。弁体4は、本体プレート部1Aに開口されている弁孔1aを閉塞する位置に配設される。この弁体4は、電池の内圧が設定圧力よりも低いときに弁孔1aを閉塞し、電池の内圧が設定圧力よりも高くなると、弁孔1aを開弁する。
【0013】
さらに、電極キャップ1Bは、電極キャップ1B内の気体を排出する排出口3が、電極キャップ1Bを貫通して設けられている。また、電極キャップ1Bは、電極キャップ1Bに配設された排出口3が熱溶融物で閉塞されて電極キャップ1Bの内圧が異常に高くなった場合に、電極キャップ1Bを破断させるために、弁孔1aを通過した異常な圧力の気体で破断される肉薄ライン部11を設けている。
【0014】
さらにまた、本発明の密閉型蓄電池は、電極キャップ1Bに、肉薄ライン部11に連結して排出口3を設けている。電極キャップ1Bは、安全弁2が開弁して、弁孔1aから電池ケース5内の気体が流入され、しかも、この気体を排出口3から速やかに排出できないときに、肉薄ライン部11を破壊させる。肉薄ライン部11に連結して排出口3が開口されているで、本発明の密閉型蓄電池の電極キャップ1Bは、排出口3と肉薄ライン部11を切り離し部分として電極キャップ1Bを破断させる。
【0015】
さらにまた、本発明の請求項2の密閉型蓄電池は、電極キャップ1Bに、本体プレート部1Aに対して垂直に立ち上がっている筒状の周壁部14を設けている。この周壁部14には、肉薄ライン部11と排出口3が互いに連結されて円周状に設けられている。すなわち、隣接する排出口3を肉薄ライン部11で連結するように、排出口3と肉薄ライン部11とが周壁部14に円周状に設けられている。
【0016】
本発明の請求項3の密閉型蓄電池は、電極キャップ1Bに内蔵される弁体4をゴム状弾性体としている。ゴム状弾性体の弁体4は、電極キャップ1Bに押圧されて、弁孔1aの上面に弾性的に圧接されて弁孔1aを閉塞する。
【0017】
また、本発明の請求項4の密閉型蓄電池は、弁体4を薄板9で構成している。薄板9を破断するために、電極キャップ1Bの内面には切刃10を設けている。切刃10は、変形する薄板9に接触してこれを破断する。この安全弁2は、電池ケース5の内圧が異常に高くなると、薄板9が変形して切刃10で破断され、弁孔1aが開弁されて電池ケース5内のガスが排出される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための密閉型蓄電池を例示するものであって、本発明は密閉型蓄電池を下記のものに特定しない。
【0019】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0020】
図3に示す密閉型蓄電池は、円筒状のニッケル−カドミウム電池で、電池ケース5に、電極体6を入れて、電解液(図示せず)を充填している。電池ケース5は、外装缶7の開口部を封口板1で気密に閉塞している。外装缶7は、鉄板等の金属板を、プレスして、底のある円筒状、すなわち有底筒状に成形して製造される。鉄板製の外装缶7は、プレス加工した後に、あるいはプレス加工する前工程で、表面にニッケル等のメッキを施している。
【0021】
図に示す密閉型蓄電池は、ニッケル−カドミウム電池であるが、本発明は密閉型蓄電池をニッケル−カドミウム電池に特定しない。密閉型蓄電池は、たとえば、ニッケル−水素電池やリチウムイオン二次電池等とすることもできる。ニッケル−カドミウム電池である密閉型蓄電池は、電極体6の−極を外装缶7に接続し、+極を封口板1に電気接続している。
【0022】
外装缶7は、有底円筒状、あるいは有定角筒状に成形されている。この外装缶7は、開口部に封口板1をかしめて固定して気密に閉塞される。封口板1は、外装缶7の間に、絶縁パッキン8を挟着する。絶縁パッキン8は外装缶7と封口板1とを電気的に絶縁すると共に、この間のガス漏れを防止している。
【0023】
図4は、密閉型蓄電池の封口板の断面図、図5は安全弁が開弁して電極キャップが破断された状態を示す断面図である。これ等の図に示す封口板1は、電池ケースの内圧が設定圧よりも高くなると開弁する安全弁2を備える。
【0024】
安全弁2は封口板1に内蔵される。安全弁2を内蔵する封口板1は、本体プレート部1Aの上面に電極キャップ1Bをスポット溶接して固定している。電極キャップ1Bは中央部を上方に突出し、本体プレート部1Aは中央部を下方に突出させて、電極キャップ1Bと本体プレート部1Aの間に、安全弁2の弁体4を内蔵させている。本体プレート部1Aは、中心に弁孔1aを開口している。弁孔1aの外周縁には、弁体4を気密に密着させる凸条12を設けている。凸条12のある弁孔1aは、凸条12の先端縁を線状に弁体4の下面に密着させる。このため、閉弁している安全弁2のガス漏れを有効に阻止できる特長がある。
【0025】
弁体4はゴム状弾性体である。ゴム状弾性体である弁体4の硬度は、安全弁2の開弁圧力と、弁孔1aの大きさを考慮して最適値に調整される。弁体4に柔軟なゴム状弾性体を使用すると、安全弁2の開弁する圧力は低くなる。反対に、弁体4に硬度の高いゴム状弾性体を使用すると、安全弁2の開弁する圧力は高くなる。また、弁体4の硬度が同じであっても、弁孔1aの内径が大きくなると、安全弁2が開弁する圧力は低くなる。弁体4が弁孔1aの内圧に押圧される力が、内圧と弁孔1aの開口面積の積に比例するからである。
【0026】
弁体4が弁孔1aから離れる安全弁2の開弁圧力は、たとえば1〜2MPaに設定される。安全弁2の開弁圧は、電池ケース5が破裂する圧力に比較して充分に低い圧力に設定される。弁孔1aの大きさは、電池の大きさによって異なるが、たとえば、単2電池で約3.5mmである。
【0027】
電極キャップ1Bは、上方に突出する部分、すなわち、本体プレート部1Aに対して垂直に立ち上がっている円筒状の周壁部14を有する。この周壁部14には、4つの排出口3を開口している。4つの排出口3は、円筒状の周壁部14に、円周方向に延長された細長い長方形をしている。さらに、この排出口3を連結するように、隣接する排出口3を連結して、電極キャップ1Bの周壁部14の内面に肉薄ライン部11を設けている。肉薄ライン部11は、図6の断面図に示すように、電極キャップ1Bの内側に溝13を設けて設けられる。この肉薄ライン部11は、電極キャップ1Bの周壁部14の内面に、円周方向に延長して設けられる。肉薄ライン部11は、電極キャップ1Bの排出口3が詰まったときに、破壊されて、電極キャップ1B内を開放する。したがって、肉薄ライン部11は、電池ケースが破裂する圧力に比較して充分に低い圧力に設定される。
【0028】
この構造の安全弁2は、電池の電池ケース内の圧力が設定圧よりも低いときには、図4に示すように、閉弁状態に保持される。弁体4が本体プレート部1Aに押し付けられて弁孔1aを閉塞しているからである。電池内圧が上昇すると、弁孔1aに作用するガス圧が、弁体4を押し上げて、弁孔1aが開かれて開弁する。この状態になると、電池内のガスは、本体プレート部1Aの弁孔1aと、電極キャップ1Bの排出口3を通過して電池外に放出される。
【0029】
弁体4が開弁された状態で、弁孔1aから熱溶融物等が電極キャップ1B内に噴射され、これが排出口3に詰まると、電極キャップ1Bの内圧は異常に高くなる。電極キャップ1Bの内圧が異常に高くなると、図5に示すように、内圧で電極キャップ1Bの肉薄ライン部11が破断される。この状態になると、電極キャップ1Bは大きく開かれて、弁孔1aを通過するガスを速やかに外部に排出する。したがって、電池ケースの内圧が低下される。
【0030】
以上の構造の密閉型蓄電池は、ゴム状弾性体で安全弁2の弁体4を構成している。ただ、安全弁の弁体は、必ずしもゴム状弾性体で構成する必要はなく、たとえば、図示しないが、電極キャップに内蔵させるバネで、板状の弁体を弁孔の上面に圧接する構造とすることもできる。このように、ゴム状弾性体やバネで弁孔を閉塞する安全弁は、電池ケースの内圧が低下すると閉弁される。このため、電池ケースの内圧が正常に低下すると正常な電池として再使用できる。
【0031】
図7は、一旦開弁すると、閉弁しない安全弁2を内蔵する封口板1を示している。この図の封口板1は、本体プレート部1Aと電極キャップ1Bとで薄板9を挟着している。薄板9は、破損されない状態で、弁孔1aを閉塞する。電極キャップ1Bの内面には、薄板9を破断するための切刃10を下方に突出して設けている。さらに、電極キャップ1Bの内面には、図4に示す前述の安全弁2と同じように、排出口3と肉薄ライン部11とを設けている。
【0032】
この構造の安全弁2は、電池の電池ケース内の圧力が設定圧よりも低いときには、図7に示すように、閉弁状態に保持される。弁体4が弁孔1aを閉塞しているからである。電池内圧が上昇すると、弁孔1aに作用するガス圧が弁体4を押し上げ、弁体4が切刃10に接触して破断される。この状態で弁孔1aが開かれて開弁する。この状態になると、電池内のガスは、本体プレート部1Aの弁孔1aと、電極キャップ1Bの排出口3を通過して電池外に放出される。
【0033】
弁体4が開弁された状態で、弁孔1aから熱溶融物等が電極キャップ1B内に噴射され、これが排出口3に詰まると、電極キャップ1Bの内圧は異常に高くなる。電極キャップ1Bの内圧が異常に高くなると、図5に示す電極キャップ1Bと同じように、内圧で電極キャップ1Bの肉薄ライン部11が破断される。この状態になると、電極キャップ1Bは大きく開かれて、弁孔1aを通過するガスを速やかに外部に排出する。したがって、電池ケースの内圧が低下される。
【0034】
【発明の効果】
本発明の安全弁を備える密閉型蓄電池は、安全弁を確実に開弁して、熱溶融物等に起因する詰まりを極減し、ガスを速やかに排出して安全に使用できる特長がある。それは、本発明の密閉型蓄電池が、封口板の電極キャップに、弁孔を通過した異常な気体圧力で破断される肉薄ライン部と、弁孔を通過して電極キャップに流入される気体を排出する排出口を開口すると共に、排出口を肉薄ライン部に連結して開口しているからである。肉薄ライン部を排出口で連結する電極キャップは、肉薄ライン部の全長を短くして、しかも、破壊される肉薄ライン部で電極キャップを大きく開弁できる。肉薄ライン部は全長が長いと、厚さで破壊される圧力を正確に制御するのが極めて難しくなる。ところが、本発明の密閉型蓄電池は、電極キャップの肉薄ライン部を排出口で連結するので、肉薄ライン部の全長が短く、電極キャップの異常内圧で確実に破断できる。とくに、本発明の密閉型蓄電池は、電極キャップ内の気体を排出する排出口で肉薄ライン部の全長を短くする。この構造の密閉型蓄電池は、排出口を、電極キャップから気体を排出する作用と、電極キャップを確実に破壊させる作用に併用する。このため、本発明の密閉型蓄電池は、簡単な構造で、弁孔を通過した気体を、電極キャップから確実に排出できる特長を実現する。
【0035】
とくに、本発明の密閉型蓄電池は、電極キャップを確実に破断して、気体を排出するので、万一、排出口が熱溶融物等で閉塞されたとしても、電極キャップから確実にガスを放出して極めて安全に使用できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の密閉型蓄電池の封口板に内蔵される安全弁の断面図
【図2】従来の他の密閉型蓄電池の封口板に内蔵される安全弁の断面図
【図3】本発明の実施例の安全弁を備える密閉型蓄電池の一部断面側面図
【図4】図3に示す密閉型蓄電池の封口板の一部断面側面図
【図5】図4に示す封口板の安全弁が開弁して電極キャップが破断された状態を示す一部断面側面図
【図6】図4に示す封口板の電極キャップに設けられた肉薄ライン部を示す拡大断面図
【図7】本発明の他の実施例の密閉型蓄電池の封口板の断面図
【符号の説明】
1…封口板 1A…本体プレート部 1B…電極キャップ
1a…弁孔
2…安全弁
3…排出口
4…弁体
5…電池ケース
6…電極体
7…外装缶
8…絶縁パッキン
9…薄板
10…切刃
11…肉薄ライン部
12…凸条
13…溝
14…周壁部
15…肉薄部
Claims (4)
- 電池ケース(5)の内圧が設定圧よりも高くなると開弁する安全弁(2)を内蔵する封口板(1)を備え、
安全弁(2)を内蔵する封口板(1)は、外装缶(7)の開口部を閉塞する本体プレート部(1A)と、この本体プレート部(1A)の上面に固定されている電極キャップ(1B)とからなり、
封口板(1)の電極キャップ(1B)と本体プレート部(1A)との間には、本体プレート部(1A)に開口されている弁孔(1a)を閉塞する弁体(4)が内蔵されており、弁体(4)は、電池の内圧が設定圧力よりも低いときに弁孔(1a)を閉塞し、電池の内圧が設定圧力よりも高くなると、弁孔(1a)を開弁するように構成され、
さらに、電極キャップ(1B)には、弁孔(1a)を通過した異常な圧力の気体で破断される肉薄ライン部(11)と、弁孔(1a)を通過して電極キャップ(1B)に流入される気体を排出する排出口(3)が設けられてなる安全弁を備える密閉型蓄電池において、
電極キャップ(1B)には、肉薄ライン部(11)に連結して排出口(3)が設けられており、弁孔(1a)を通過した異常な圧力の気体が、排出口(3)と肉薄ライン部(11)を切り離し部分として電極キャップ(1B)を破断させるように構成されることを特徴とする安全弁を備える密閉型蓄電池。 - 電極キャップ(1B)が、本体プレート部(1A)に対して垂直に立ち上がっている筒状の周壁部(14)を有し、この周壁部(14)に肉薄ライン部(11)と排出口(3)とが互いに連結して円周状に設けられている請求項1の安全弁を備える密閉型蓄電池。
- 弁体(4)がゴム状弾性体で、弁体(4)が弁孔(1a)の上面に圧接して弁孔(1a)を閉塞する請求項1の安全弁を備える密閉型蓄電池。
- 弁体(4)が薄板(9)で、この薄板(9)が弁孔(1a)を通過する気体で変形されたときに破断する切刃(10)を電極キャップ(1B)の内面に設けている請求項1の安全弁を備える密閉型蓄電池。
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