JP3619511B2 - 流量センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は流体の特に空気の微少流量を測定することに適した流量センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にベンチュリ流量計と呼ばれている流量計がある。図4にその代表的な構造を示す。図中1は管軸方向に対して内径が一定した第1流路、2は入口円錐管、3は絞り部、4は内径を漸次拡大し、流路の内径を第1流路1の内径Dに戻す拡がり管、dは絞り部3の内径を示す。
被測定流体は矢印Fで示す方向に流れ、入口円錐管2で漸次絞られ、絞り部3で流速が最大となり、拡がり管4で流速を徐々に元に戻す。第1流路1と絞り部3に圧力取出口AとBが設けられ、この圧力取出口AとBの間に発生する差圧H(水頭圧)を測定して被測定流体の流量Qを計測する。
【0003】
流量Qは、
Q=C・(π/4)・d・√((2gH)/(1−m))[m/s]…(1)
で求められる。
ここでCはレイノルズ数Reと絞り比m=d/Dで決められる流量係数で大凡0.80〜1.00の値となる。
ベンチュリ流量計に関しては以下の非特許文献1〜3に詳しく説明されている。
【0004】
【非特許文献1】
「差圧伝送器の正しい使い方」 社団法人日本電気計測器工業会編 日本工業出版
【非特許文献2】
「計測工学II」 富沢 豁著 森北出版
【非特許文献3】
「改定 工業測定便覧」 精機学会、計測自動制御学会共著
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示したベンチュリ流量計は圧力損失が小さいことが特徴とされ、大量流量としてよく用いられている。然し乍ら、入り口円錐管2及び拡がり管4のテーパ面の角度等が細かく規定され、製造が面倒である欠点がある。
また、例えば毎分0.5リットル乃至は5リットル程度の微少流量を測定するベンチュリ流量計を設計しようとすると、第1流路1、入り口円錐管2、拡がり管4等の内径は、例えば数mmφ程度、絞り部3の内径は1mmφ以下の内径にしなければならないことから、製造が極めて難しく、図4に示す構造では実現は困難である。
【0006】
微少流量の測定には、従来はオリフィス流量計が用いられているが、オリフィス流量計の場合、レイノルズ数が低い領域において特性が良くなく、また圧損(挿入損失)も大きい欠点がある。
この発明の目的はベンチュリ流量計の長所となる「挿入損失が少ない」とする特性を維持しつつ、製造を容易に行うことができる流量センサを提案しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1では、所定の直径を有する第1流路と、この第1流路の管軸方向に連結され、第1流路の直径より小さい直径を持つ絞り部と、この絞り部の直径を最小直径とし、この最小直径から漸次直径が太くされ、最終的に流路の直径を第1流路の直径に戻す拡がり管と、第1流路と絞り部を流れる流体の圧力を測定する差圧測定手段とを具備して構成される流量センサにおいて、
絞り部を所定の厚みを具備した金属板に形成した貫通孔で構成し、この貫通孔を拡がり管の最小直径部分に連通させる流量センサを提案する。
この発明の請求項2では、請求項1記載の流量センサにおいて、絞り部を構成する金属板は拡がり管を構成する金属ブロックの拡がり孔の最小直径部分が形成された面に圧接され、この圧接面に拡がり孔の最小直径部分の孔の軸心から放射方向に凹溝を形成し、この凹溝を通じて絞り部で測定すべき流体の圧力を取り出す構造とした流量センサを提案する。
【0008】
作用
この発明による流量センサによれば絞り部を金属板に形成した孔で構成し、更に、絞り部の下流側に断面積が漸次大となる拡がり管を設けたから、絞り部の管軸方向の寸法を極めて短くできることと、拡がり管の存在によって流れに乱れが発生することを阻止することができる。この結果挿入損失が小さい流量センサを提供することができる。更に、流量の測定レンジの設定は金属板に形成する孔の直径によって変更できるから、どのような流量測定用の流量センサでも簡単に製造することができる利点が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3にこの発明による流量センサの一実施例を示す。図中10はボディを示す。ボディ10は両側に円筒部10A、10Bを有し、この円筒部10Aと10Bに第1流路11を構成するジョイント13と、拡がり管12を構成するジョイント14が挿入される。これらのジョイント13と14は外周にオーリング15と16が装着され、ボディ10の内周面とジョイント13及び14の各外周面との間をシールし、第1流路11と拡がり管12を矢印Fの方向に流れる被測定流体(ここでは空気)が外部に漏れないようにしている。17は流量センサから取り出した被測定流体の圧力の差を測定する差圧計(特に図示しない)を装着する基台を示す。基台17からボルト18がボディ10とジョイント13及び14に螺子込まれ、ボディ10とジョイント13及び14を一体化し、ジョイント13と14を抜け止めする。
【0010】
ボディ10の管軸方向のほぼ中央に管軸の軸心方向に突出したリング状突片10Cが設けられる。ジョイント13と14はその先端が突片10Cに対してわずかな間隙G1とG2を形成する位置で固定される。
リング状突片10Cはジョイント13と14の管軸の中心部分に貫通孔10Dを有し、この貫通孔10Dが第1流路11側が最大直径となり、拡がり管12側が最小直径となるテーパ状に形成される。このテーパ状の貫通孔10Dのテーパ面で被測定流体を絞り始める。貫通孔10Dの終了位置に絞り部20を構成する金属板21を配置する。金属板21は板圧が例えば0.1mm程度のステンレス板で構成され、流量測定のレンジに応じた直径の孔22が形成される。金属板21に形成する孔22の直径の一例としては、
0〜0.5リットル/毎分を測定レンジとする場合は孔22の直径は0.5mm程度、
0〜1.0リットル/毎分を測定レンジとする場合は孔22の直径は0.8mm程度、
0〜5.0リットル/毎分を測定レンジとする場合は孔22の直径は1.8mm程度に選定される。これらの孔22は例えばエッチングによって形成することにより、正確に然も容易に製造することができる。
【0011】
第1流路11を流れる被測定流体の圧力は空隙G1(図1参照)からボディ10のリング状突片10Cに形成した圧力導出孔40A(図2参照)を通じて基台17の上面に導出され、ここでは特に図示しないが基台17に装着される差圧センサの一方の測定入力口に入力される。
一方、リング状突片10Cの拡がり管12と対向する側の面にオーリング30を嵌め込み、このオーリング30によって金属板21をジョイント14の端面に押し付け、金属板21の表面とリング状突片10Cの間をシールし、第1流路11と、拡がり管12の間を遮断する。
【0012】
ジョイント14の端面にはわずかな厚みを持つ円盤状の台形部分14A(図3参照)を形成する。台形部分14Aの直径と金属板21の直径をほぼ等しい直径、例えば10mm程度に形成する。台形部分14Aの中心位置に拡がり管12の最小直径を持つ孔12Aを形成する。この孔12Aの直径は金属板21に形成される絞り部20となる孔22の直径と等しい直径に選定する。
台形部分14Aには孔12Aの位置から放射方向に凹溝14Bを形成する。図3に示す例では放射方向に4本の溝を形成した場合を示す。尚、凹溝14Bは少なくとも1本有ればよく、必ずしも4本を必要とするものではない。
【0013】
凹溝14Bの深さは台形部分14Aの厚みと同等に選定し金属板21に形成した孔22を通過した被測定流体の圧力をこの凹溝14Bを通じて空隙G2に伝達する。
空隙G2に伝達された流体圧はリング状突片10Cに形成した圧力導出孔40Bを通じて外部に取り出され、基台17に装着される差圧センサの他方の測定入力口に入力され、これにより差圧センサでは第1流路11を流れる被測定流体の圧力と、絞り部20に発生する被測定流体の圧力の差を測定し、この圧力の差から流体の流速を知り、流体の流量を計測することができる。差圧の測定値から流量を求める演算式等は先に列記した非特許文献1〜3に詳細に説明されているから、ここではその説明は省略するが、現実には基準となる流量計を用いてこの発明による流量センサを校正し、この校正により実用に供することになる。拡がり管12の最小直径の孔12Aを通過した被測定流体は拡がり管12で徐々に流速が減速され、管12Bの部分で第1流路11の直径に戻されて流速も第1流路11の流速に戻される。
【0014】
この実施例では、拡がり管13のテーパ面の広がり角度を5〜6°程度に選定する点にも特徴を有する。つまり、拡がり管13のテーパ面の広がり角度を5〜6°程度に選定することにより挿入損失を最小値に抑制することができる利点が得られる。尚、この点に関しては上述した非特許文献1の第3章「管路内の流れ」図3.15により公知である。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば形状が小さく、然も微少流量を測定するベンチュリ型の流量センサを提供することができる。特に、絞り部20の圧力導出を金属板21の板圧を通過した直後の圧力を凹溝14Bと空隙G2と圧力導出孔40Bを通じて取り出す構造とし、金属板21の板厚をわずか、この例では0.1mmとしたから実質的に圧力の導出位置は絞り部20の位置に等価となる。この結果小型でありながら、正確なベンチュリ型の流量センサを構成することができる。
【0016】
また、金属板21に形成する孔22の直径によって測定レンジを規定する絞り部20を構成したから、各測定レンジ毎に流路のテーパ面の角度を決めなくて済むため、製造が容易である。また、絞り部20の管軸方向の寸法を短くできることと、絞り部20の下流に管の広がり角が5〜6°程度の拡がり管12を設けたから絞り部20の下流側で流れに乱れ(うず)等が発生することを阻止することができる。この結果、挿入損失の少ない流量センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による流量センサの一実施例を説明するための拡大断面図。
【図2】図1に示した実施例に用いたボディの構造を説明するための正面図。
【図3】図1に示した実施例に用いたジョイントの構造を説明するための正面図。
【図4】従来の技術を説明するための断面図。
【符号の説明】
10 ボディ 17 基台
10A、10B 円筒部 18 ボルト
10C リング状突片 20 絞り部
11 第1流路 21 金属板
12 拡がり管 22 孔
13、14 ジョイント G1、G2 空隙
15、16 オーリング

Claims (2)

  1. 所定の直径を有する第1流路と、この第1流路と管軸方向に連結され、上記第1流路の直径より小さい直径を持つ絞り部と、この絞り部の直径を最小直径とし、この最小直径から漸次直径が太くされ、最終的に流路の直径を上記第1流路の直径に戻す拡がり管と、上記第1流路と絞り部を流れる流体の圧力を測定する差圧測定手段とを具備して構成される流量センサにおいて、
    上記絞り部を所定の厚みを具備した金属板に形成した貫通孔で構成し、この貫通孔を拡がり管の最小直径部分に連通させることを特徴とする流量センサ。
  2. 請求項1記載の流量センサにおいて、上記絞り部を構成する金属板は拡がり管を構成する金属ブロックの拡がり孔の最小直径部分が形成された面に圧接され、この圧接面に上記拡がり孔の最小直径部分の孔の軸心から放射方向に凹溝を形成し、この凹溝を通じて上記絞り部で測定すべき流体の圧力を取り出す構造としたことを特徴とする流量センサ。
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