JP3619470B2 - 搾乳ユニットの自動搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガイドレール部に沿って自走する搾乳ユニットを備える搾乳ユニットの自動搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、酪農設備において搾乳作業を全て手作業で行うことは大変な労力を伴うとともに、反面、全自動化システムを導入する場合には大規模設備と莫大なコストが必要となり、いずれも一長一短がある。そこで、一部に自動化機能部を導入したいわゆる半自動搾乳機も知られている。
【0003】
従来、この種の半自動搾乳機としては、特公昭52−42702号公報で開示される搾乳装置が知られている。この搾乳装置は、搾乳牛を所定方向に繋留したストールの上方に移動用レール及びパイプラインを設け、この移動用レールに、搾乳終了検知装置及びティートカップ自動離脱装置等の自動化機能部を備える搾乳装置を移動自在に懸架したもので、搾乳時には、作業者が手動によって、搾乳装置を移動用レールに沿って搾乳しようとする搾乳牛まで移動させることができる。したがって、搾乳装置を持ち運びする必要が無くなり、労力は大幅に軽減される利点がある。
【0004】
しかし、このような従来の半自動搾乳機は、作業者の労力は大幅に軽減されるものの、作業者自身が搾乳装置を移動させるため、全体の搾乳時間はさほど短縮されず、搾乳作業の能率アップを図れない。また、作業者が人為的に操作するため、吊り下げた搾乳装置にある程度の剛性が必要になるとともに、吊下機構等が増えて大型化し、しかも、スタンチョン形式のストールでは、隣同士の乳牛の間隔が狭いことから、かえって使いにくく不便な場合も生ずる。
【0005】
そこで、本出願人は、このような従来の問題点を解決した半自動搾乳機を、既に、特許第2987749号で提案した。この半自動搾乳機は、乳牛を係留する複数のストールに沿って配したガイドレール部と、このガイドレール部に移動自在に装填し、かつ当該ガイドレール部に接触する独立した左右一対の走行ローラ及び各走行ローラを個別に回転駆動可能な回転駆動部を有するとともに、搾乳ユニットを吊り下げる吊下部を有する自走部と、回転駆動部を制御する制御部を備えて構成したものであり、搾乳作業の大幅な能率アップを図れるとともに、使い勝手と利便性を高めることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許第2987749号による半自動搾乳機では、搾乳ユニットを主レールから分岐レールに進入させる場合、即ち、搾乳ユニットを90°方向変換する場合、搾乳ユニットを分岐部の中央に停止させ、左右一対の走行ローラを一対の走行モータにより相互に反転させて行うため、次のような改善すべき課題も残されていた。
【0007】
第一に、自走する搾乳ユニットに、左右二台の走行モータを搭載する必要があるため、コストアップを招くとともに、搾乳ユニットの大型化及び重量アップを招く。
【0008】
第二に、定位置で正確に方向変換する必要があるなど、分岐レールへの円滑かつ確実な進入(退出)を行いにくく、特に、長期の使用により走行ローラが減耗した場合等においてこの問題が大きくなる。
【0009】
本発明は、このような従来の技術に存在する課題を解決したものであり、装置全体のコストダウン,小型化及び軽量化を図ることができるとともに、長期使用によっても分岐レールへの円滑かつ確実な進入(退出)を可能にして動作の安定性及び信頼性を高めることができる搾乳ユニットの自動搬送装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】
本発明は、乳牛C…を係留する複数のストールA…の配列方向に沿って配した主レール2…及びこの主レール2…から分岐してストールAとA…間に配した複数の分岐レール3…を有するガイドレール部4と、このガイドレール部4を自走する搾乳ユニット5a,5b…とを備える搾乳ユニットの自動搬送装置1を構成するに際して、ガイドレール部4に、分岐レール3…を主レール2…の搬送方向Hに湾曲させて主レール2…に合流させる分岐部3j…と、この分岐部3j…に対する主レール2…の上流2f…側と下流2r…側又は主レール2…の下流2r…側と分岐レール3…側を接続可能な可動レール部6…を設けるとともに、搾乳ユニット5a,5b…が予め設定した位置を通過したことを検出する複数の位置検出部7…,8…,9…及びこの位置検出部7…,8…,9…の検出により搾乳ユニット5a,5b…の走行を制御するコントローラ10を設けたことを特徴とする。
【0011】
この場合、好適な実施の形態により、可動レール部6…は、分岐部3j…に対する主レール2…の上流2f…側と分岐レール3…の間に配した支軸11…により一端側が回動自在に支持された可動レール本体12…と、この可動レール本体12…を主レール2…の下流2r…側と分岐レール3…側を接続する位置に保持するバネ部材13…を備えて構成できる。また、複数の可動レール本体12…を、同時に回動方向一方又は他方へ変位させる強制変位機構14を設けることができるとともに、主レール2…の終端2e…と始端2s…を連通させる戻りレール19…を設けることができる。一方、位置検出部7…は、主レール2…の予め設定した位置に配設した後退用ドグ15a…,15b…と、搾乳ユニット5a,5b…に配設し、後退用ドグ15a…,15b…により操作される後退用検出スイッチ16a…,16b…を備えるとともに、コントローラ10は、後退用検出スイッチ16a…,16b…が操作されたなら、第一設定時間T1が経過した後に搾乳ユニット5a,5b…を後退走行させる制御機能を備えている。この位置検出部7…は、二以上の搾乳ユニット5a,5b…における各搾乳ユニット5a,5b…と対応する各分岐レール3…を関連付けて設ける。さらに、位置検出部8…は、分岐レール3…の予め設定した位置に配設した減速用ドグ17…と、搾乳ユニット5a,5b…に配設し、減速用ドグ17…により操作される減速用検出スイッチ18…を備えるとともに、コントローラ10は、減速用検出スイッチ18…が操作されたなら、第二設定時間T2が経過した後に、搾乳ユニット5a,5b…の走行を停止させる制御機能を備えている。なお、搾乳ユニット5a…は、ミルクタップMx,My…に接続して搾乳を行う一対の独立した搾乳機部5ax,5ay…を備えるとともに、各搾乳機部5ax,5ay…は吊下位置Pdに対して左右に搭載することが望ましい。
【0012】
これにより、搾乳ユニット5a,5b…が主レール2…に沿って前進走行し、所定の分岐部3j…に対して、主レール2…の上流2f…側から進入すれば、可動レール部6…の機能により主レール2…の下流2r…側へガイドされる。また、位置検出部7…により、搾乳ユニット5a,5b…が予め設定した位置を通過したことを検出すれば、コントローラ10は、第一設定時間T1(0を含む)が経過した後に、搾乳ユニット5a,5b…を後退走行させる制御を行う。これにより、搾乳ユニット5a,5b…は主レール2…の下流2r…側から分岐部3j…に進入し、可動レール部6…の機能により分岐レール3…側へガイドされる。一方、搾乳ユニット5a,5b…を分岐レール3…から退出させる際には、搾乳ユニット5a,5b…を前進走行させれば、可動レール部6…の機能により主レール2…の下流2r…側へガイドされる。このように、分岐レール3…に対する搾乳ユニット5a,5b…の進入及び退出は、搾乳ユニット5a,5b…の前進走行及び後退走行により全てレールに沿って確実かつ円滑に行われる。また、一台の走行モータとコントローラ10による正転制御又は逆転制御により実現可能となる。
【0013】
【実施例】
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
まず、本実施例に係る自動搬送装置1の構成について、図1〜図5を参照して説明する。
【0015】
図1は自動搬送装置1を上方から見た模式的斜視図を示す。同図中、4はガイドレール部であり、このガイドレール部4には、二本の主レール2,2、複数の分岐レール3…、戻りレール19、接続レール31…(31s)が含まれる。戻りレール19は中央に配し、この戻りレール19の下方には、作業者が通行できる搾乳通路Rが設けられている。また、搾乳通路Rの両側には多数のストールA…が搾乳通路Rに沿って設けられ、各ストールA…には、図5に示すように、乳牛C…が係留される。
【0016】
一方、戻りレール19の左右両側には、主レール2,2をそれぞれ配する。各主レール2,2は戻りレール19に対して平行に配し、主レール2…の終端2e…と始端2s…はそれぞれ接続レール31…を介して戻りレール19の始端19s…と終端19e…に接続し、長方形状のループ経路を構成する。この場合、干渉を避けるため、一方の主レール2の終端2eは他方の主レール2の終端2eよりも長くし、L形の接続レール31sを介して接続する。
【0017】
また、主レール2には直角方向に突出した複数の分岐レール3…を接続する。各分岐レール3…は配列するストールA…に対して一つ置きに設け、ストールAとA…間に配するとともに、先端はミルクライン41付近まで延設する。なお、ミルクライン41には真空ラインが含まれ、ミルクライン41の所定位置には、各ストールA…に対応して一対のミルクタップMx,My…が設けられる。この場合、分岐レール3は、図2及び図3に示すように、主レール2の搬送方向Hに湾曲させて当該主レール2に合流させる分岐部3jを有するとともに、この分岐部3jに対する主レール2の上流2f側と下流2r側又は主レール2の下流2r側と分岐レール3側を接続可能な可動レール部6を有する。
【0018】
可動レール部6は、分岐部3jに対する主レール2の上流2f側と分岐レール3の間に配した支軸11により一端側が回動自在に支持された可動レール本体12と、この可動レール本体12を主レール2の下流2r側と分岐レール3を接続する位置に保持するバネ部材(スプリング)13を備える。可動レール本体12は起立したレール片部12cを有し、自然状態ではレール片部12cの先端が主レール2側の内壁面に当接する。なお、他の分岐レール3…側も同様に構成するとともに、他方の主レール2側も向きが異なるものの基本的な構成は、上述した一方の主レール2側と同様に構成する。
【0019】
これにより、分岐部3jに対して、後述する搾乳ユニット5a…が、主レール2の上流2f側から進入すれば、可動レール本体12は搾乳ユニット5a…に備える一方の走行用車輪58…(図4参照)に押されて逃げ、搾乳ユニット5a…はそのまま主レール2に沿って下流2r側へガイドされる。一方、搾乳ユニット5a…が、主レール2の下流2r側から進入すれば、可動レール部6により分岐レール3側へガイドされる。さらに、分岐レール3側から進入すれば、可動レール部6により主レール2の下流2r側へガイドされる。可動レール部6をこのように構成することにより、駆動部による操作が不要となり、ガイドレール部4のコストダウン,小型化及び軽量化を図ることができる。
【0020】
また、ガイドレール部4を構成する各レール2…,3…,19,31…(31s)は、図4に示すように、断面矩形の内部を中空に形成し、底面にはレールを形成するスリットSr…を有する。なお、図4は、分岐レール3を示すが、各レール2…,19,31…(31s)も同一断面形状となる。そして、このガイドレール部4には、図1に示すように、四台の搾乳ユニット5a,5b…を装填する。この場合、二台の搾乳ユニット5a,5bは一方の主レール2側の搾乳を担当し、他の二台の搾乳ユニット5a,5bは他方の主レール2側の搾乳を担当する。各搾乳ユニット5a…は、ガイドレール部4に沿って自走する。なお、図示を省略したが、分岐レール31…(31s)からは引込レールが分岐し、この引込レールは、洗浄装置や充電装置等が設けられた管理室まで延設する。
【0021】
搾乳ユニット5aは、図5に示すように、ガイドレール部4に吊り下げられた自走部51と、この自走部51の下方に支持された左右一対の搾乳機部5ax,5ayと、コントローラ10を備える。このコントローラ10には、バッテリボックスや操作パネル等が含まれる。各搾乳機部5ax,5ayは、ガイドレール部4からの吊下位置Pdに対して左右に搭載することにより左右方向の重量バランスをとる。各搾乳機部5ax,5ayは、ミルクライン41に設けたミルクタップMx,Myにディストリビュータをそれぞれ接続して独立して搾乳を行うことができる。したがって、一つのミルクタップを一対の搾乳機部に共通に使用する場合に比べて相互の干渉が回避され、例えば、一方の搾乳機部5ax側におけるティートカップの装着不良等により真空度が低下した場合であっても、他方の搾乳機部5ayによる搾乳中への悪影響が防止される。各搾乳機部5ax,5ayに備えるディストリビュータとミルクタップMx,Myの接続は、前述した特許第2987749号で開示する自動着脱部を用いて自動で接続(接続解除)することができる。なお、他の搾乳ユニット5b…も同様に構成する。
【0022】
実施例の搾乳機部5ax(搾乳機部5ayも同じ)は、作業者が、ティートカップ52…を乳牛Cに対して装着すれば、以後は、自動搾乳処理が行われる。したがって、搾乳終了は自動で検知され、ティートカップ52…の自動離脱処理が行われる。自動離脱処理により、ティートカップ52…はチェーン53により図5に示す非使用位置Phまで引き戻される。なお、図5中、54は、ポストデッピング機構を構成する噴射ノズルであり、搾乳終了後に消毒液を乳牛Cの乳房に噴射する機能を備える。
【0023】
一方、自走部51は、図4に示すように、ベース部55を備え、このベース部55の上面に走行モータ56及びこの走行モータ56の回転を減速する減速機構部57を搭載する。また、左右一対の走行用車輪58,58をガイドレール部4の内部に収容し、この走行用車輪58,58と減速機構部57は、回転伝達機構部59により接続する。この場合、ベース部55の上面から上方へ支持ハウジング60を起設し、上部をスリットSrを通してガイドレール部4の内部に収容する。そして、支持ハウジング60の上部に走行用車輪58,58のシャフト61を回動自在に取付け、このシャフト61に固定した被動プーリ62と減速機構部57の回転出力軸63に取付けた駆動プーリ64間に、無端ベルト65を架け渡して回転伝達機構部59を構成する。なお、この回転伝達機構部59は、歯車機構等を利用した他の回転伝達機構部により置換可能である。
【0024】
さらに、ベース部55の上面には、後退用検出スイッチ16a,減速用検出スイッチ18,終了用検出スイッチ66,充電用検出スイッチ67を、それぞれ左右方向に離間して配設する。各検出スイッチ16a,18,66,67は、リミットスイッチを利用でき、16ad,18d,66d,67dは、上方に突出した各検出スイッチ16a,18,66,67のスイッチレバー部を示す。この場合、後退用検出スイッチ16aは、主レール2における予め設定した位置、即ち、図1に示すように、主レール2の外側面であって、各分岐部3j…に対して上流2f…側における所定距離離れた位置にそれぞれ取付けた複数の後退用ドグ15a…と組合わさることにより位置検出部7…を構成する。また、減速用検出スイッチ18は、分岐レール3における予め設定した位置、即ち、図1に示すように、分岐レール3の外側面であって、各分岐レール3の先端よりも所定距離手前に離れた位置にそれぞれ取付けた複数の減速用ドグ17…と組合わさることにより位置検出部8…を構成する。さらに、終了用検出スイッチ66は、接続レール31…における予め設定した位置、即ち、図1に示すように、接続レール31…の外側面に取付けた終了用ドグ68…と組合わさることにより位置検出部9…を構成する。なお、充電用検出スイッチ67は、前述した管理室に延設した引込レールに取付けた充電用ドグ69と組合わさり、同様の位置検出部を構成する。この場合、充電用検出スイッチ67が充電用ドグ69によりオンすれば、自動的に充電回路がオンしてコントローラ10に設けたバッテリが充電される。
【0025】
なお、図4は、搾乳ユニット5a側の自走部51を示す。この搾乳ユニット5aは奇数番目の分岐レール3…に進入して搾乳を行い、他方の搾乳ユニット5bは偶数番目の分岐レール3…に進入して搾乳を行う。したがって、位置検出部7…は各搾乳ユニット5a,5b…と対応する各分岐レール3…を関連付けて設ける。即ち、奇数番目の分岐レール3…に対応して設けた後退用ドグ15a…に対して、偶数番目の分岐レール3…に対応して設けた後退用ドグ15b…は、図4に仮想線で示すように、左右方向の位置を異ならせて取付けるとともに、この後退用ドグ15b…に対応する後退用検出スイッチ16bも、後退用検出スイッチ16aに対して左右方向の位置を異ならせて取付ける。
【0026】
他方、ガイドレール部4には、図3に示すように、複数の可動レール本体12…を、同時に回動方向一方又は他方へ変位させる強制変位機構14を設ける。この強制変位機構14は、主レール2の始端2sに設けたエアシリンダ32と、終端2eに一端を固定したリターンスプリング33と、このエアシリンダ32の駆動ロッド32rとリターンスプリング33の自由端を連結した主ワイヤ34を備える。そして、この主ワイヤ34の中途位置に各可動レール部6…に対応したワイヤトリガ35…を固定し、このワイヤトリガ35…と可動レール本体12…の後端部を、分岐ワイヤ36…を介してそれぞれ接続する。この場合、分岐ワイヤ36…の中途にはコイルスプリング37…を介在させてストローク偏差を吸収する。また、分岐ワイヤ36…を引張った際に、可動レール本体部12…を回動変位できるように、分岐ワイヤ36…をガイドフック部38(図2参照)に架けて方向変換する。
【0027】
この強制変位機構14は、エアシリンダ32を駆動制御して主ワイヤ34を引張れば、各可動レール本体部12…を、同時に分岐レール3…側へ回動変位させることができる。これにより、各可動レール本体部12…を図3に示す実線で示す位置まで回動変位させ、主レール2…を開放できるとともに、主ワイヤ34を戻せば、各可動レール本体部12…を、同時に主レール2…側へ回動変位させ、元の状態に復帰させることができる。したがって、主レール2…の終端2e…又は途中にある搾乳ユニット5a,5bを始端2s側へ戻すことができる。このような強制変位機構14を設けた場合には、必ずしも戻しレール19を設けることを要しない。このため、戻しレール19の設置スペースを確保できない場合には、主レール2に戻りレールを兼用させることができるため、省スペース化を図ることができる。一方、戻しレール19を設けた場合には、必ずしも強制変位機構14を設けることを要しない。しかし、双方を設けることにより、使い勝手と作業能率をより高めることができる。その他、各搾乳ユニット5a…には、反射型光センサ等を用いて前方の障害物を検出し、障害物が無くなるまで一時停止する衝突防止装置を備えている。
【0028】
次に、本実施例に係る自動搬送装置1の動作について、各図を参照しつつ図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0029】
搾乳を行う際には、まず、ホームポジションとなる管理室で待機している搾乳ユニット5aを作動させる。これにより、自走部51の走行用車輪58,58が回転し、予め設定された比較的高速で前進走行する(ステップS1)。管理室からは、不図示の引込レールを走行し、さらに、戻りレール19を走行して主レール2に始端2s側から進入する。そして、搾乳ユニット5aが1番目の分岐レール3に対応する後退用ドグ15aを通過すれば、後退用検出スイッチ16aがオンし、これにより、第一設定時間T1だけ前進走行して停止する(ステップS2,S3,S4)。この場合、搾乳ユニット5aは分岐部3j…に対して、主レール2…の上流2f…側から進入するため、前述した可動レール部6…の機能により主レール2…の下流2r…側へガイドされる。なお、第一設定時間T1は、搾乳ユニット5aが1番目の分岐レール3における分岐部3jから僅か通過した程度に設定する。
【0030】
一方、停止した搾乳ユニット5aは直ちに後退走行する(ステップS5)。これにより、搾乳ユニット5aは主レール2…の下流2r…側から分岐部3j…に進入し、前述した可動レール部6…の機能により分岐レール3…側へガイドされる。そして、搾乳ユニット5aが1番目の分岐レール3における減速用ドグ17を通過すれば、減速用検出スイッチ18がオンし、自走部51は予め設定した比較的低速に切換えられる(ステップS6,S7)。また、減速用検出スイッチ18がオンした後、第二設定時間T2だけ後退走行して停止する(ステップS8,S9)。この場合、第二設定時間T2は、搾乳ユニット5aに備えるディストリビュータがミルクタップMx,Myに接触する直前で停止するように設定する。搾乳ユニット5aが停止すれば、前述した自動着脱部が作動し、ディストリビュータをミルクタップMx,Myに自動で接続する(ステップS9)。
【0031】
ミルクタップMx,Myにディストリビュータが接続されることにより、接続終了が報知されるため、作業者は1番目の分岐レール3に位置する各搾乳機部5ax,5ayのティートカップ52…を二頭の乳牛C,Cにそれぞれ装着する。これにより、二頭の乳牛C,Cに対する搾乳処理が同時に行われる(ステップS10)。一方、搾乳終了は自動で検知され、ティートカップ52…の自動離脱処理が行われる(ステップS11,S12)。自動離脱処理により、ティートカップ52…はチェーン53により図5に示す非使用位置Phまで引き戻されるとともに、噴射ノズル54から消毒液が各乳牛C,Cの乳房に噴射される。
【0032】
この後、自走部51は再度前進走行する。前進走行により搾乳ユニット5aは分岐レール3側から分岐部3jに進入するため、前述した可動レール部6…の機能により主レール2…の下流2r…側へガイドされる。そして、主レール2…に沿って前進走行し、2番目の分岐レール3(分岐部3j)を通過した後、3番目の分岐レール3(分岐部3j)、即ち、次の奇数番目の分岐レール3に至り、上述した1番目の分岐レール3における場合と同様の処理が行われる(ステップS1〜S12)。
【0033】
他方、搾乳ユニット5aを作動させた後、所定時間が経過したなら他方の搾乳ユニット5bも作動させる。これにより、搾乳ユニット5bも同様に、引込レール,戻りレール19にガイドされ、主レール2に進入する。そして、搾乳ユニット5bは、2番目の分岐レール3、即ち、偶数番目の分岐レール3に至り、上述した1番目の分岐レール3における場合と同様の処理が行われる(ステップS1〜S12)。また、他方の主レール2側においても上述した一方の主レール2側と同様の処理が行われる。この場合、戻りレール19の終端19eには切換部が設けられており、この切換部を切換えることにより他方の主レール2側へガイドできる。
【0034】
そして、各搾乳ユニット5a…が、それぞれ分担された全ての搾乳処理を終了すれば、各搾乳ユニット5a…は、接続レール31,31sに進入するとともに終了用ドグ68…により終了用検出スイッチ66がオンし、各搾乳ユニット5a…は一旦停止する。これにより、作業者が各搾乳ユニット5a…の確認(点検)を行い、終了後、再度、前進走行させれば、不図示の引込レールにガイドされて管理室に進入し、洗浄装置による洗浄や充電装置による充電が行われる。充電装置による充電は、前述した位置検出部9による検出に基づいて行われる。
【0035】
本実施例の自動搬送装置1によれば、分岐レール3…に対する搾乳ユニット5a…の進入及び退出は、搾乳ユニット5a…の前進走行及び後退走行により全てレールに沿って行うため、長期使用によっても分岐レール3…への円滑かつ確実な進入(退出)を可能にして動作の安定性及び信頼性を高めることができる。また、一台の走行モータとコントローラ10による正転制御又は逆転制御により実現可能となり、搾乳ユニット5a…のコストダウン,小型化及び軽量化を図ることができる。
【0036】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状,数量,手法等において本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。例えば、位置検出部7…の後退用ドグ15a,15b…を、分岐部3j…に対して主レール2…の上流2f…側に設けた場合を示したが、下流2r…側に設けてもよい。この場合、第一設定時間T1は、0とし検出により直ちに後退走行させることができる。また、一つの主レール2に二台の搾乳ユニット5a,5bを装填した場合を示したが、一台又は三台以上であっても同様に実施できる。
【0037】
【発明の効果】
このように、本発明に係る搾乳ユニットの自動搬送装置は、ガイドレール部に、分岐レールを主レールの搬送方向に湾曲させて当該主レールに合流させる分岐部と、この分岐部に対する主レールの上流側と下流側又は主レールの下流側と分岐レール側を接続可能な可動レール部を設けるとともに、搾乳ユニットが予め設定した位置を通過したことを検出する複数の位置検出部及びこの位置検出部の検出により搾乳ユニットの走行を制御するコントローラを設けたため、次のような顕著な効果を奏する。
【0038】
(1) 分岐レールに対する搾乳ユニットの進入及び退出は、一台の走行モータの正転制御及び逆転制御により実現できるため、使用する走行モータの半減により搾乳ユニットのコストダウン,小型化及び軽量化を図ることができる。
【0039】
(2) 分岐レールに対する搾乳ユニットの進入及び退出は、全てレールに沿って行うため、長期使用によっても分岐レールに対する円滑かつ確実な進入及び退出を可能にして動作の安定性及び信頼性を高めることができる。
【0040】
(3) 好適な実施の形態により、可動レール部を、分岐部に対する主レールの上流側と分岐レールの間に配した支軸により一端側が回動自在に支持された可動レール本体と、この可動レール本体を主レールの下流側と分岐レール側を接続する位置に保持するバネ部材を備えて構成すれば、可動レール部を操作する駆動部が不要となり、ガイドレール部のコストダウン,小型化及び軽量化を図ることができる。
【0041】
(4) 好適な実施の形態により、複数の可動レール本体を、同時に回動方向一方又は他方へ変位させる強制変位機構を備えて構成すれば、戻りレールの設置スペースを確保できない場合、主レールに戻りレールを兼用させることができるため、省スペース化に貢献できる。
【0042】
(5) 好適な実施の形態により、複数の可動レール本体を同時に回動方向一方又は他方へ変位させる強制変位機構及び主レールの終端と始端を連通させる戻りレールの双方を設ければ、使い勝手と作業能率をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る搾乳ユニットの自動搬送装置の模式的斜視図、
【図2】同自動搬送装置に備えるガイドレール部の要部を示す断面平面図、
【図3】同自動搬送装置のガイドレール部に備える強制変位機構の平面構成図、
【図4】同自動搬送装置の搾乳ユニットに備える自走部の断面正面図、
【図5】同自動搬送装置に備える搾乳ユニットの正面図、
【図6】同自動搬送装置の動作説明用フローチャート、
【符号の説明】
1 自動搬送装置
2… 主レール
2r… 主レールの下流
2f… 主レールの上流
3… 分岐レール
3j… 分岐部
4 ガイドレール部
5a… 搾乳ユニット
5ax 搾乳機部
5ay 搾乳機部
6… 可動レール部
7… 位置検出部
8… 位置検出部
9… 位置検出部
10 コントローラ
11… 支軸
12… 可動レール本体
13… バネ部材
14 強制変位機構
15a… 後退用ドグ
15b… 後退用ドグ
16a 後退用検出スイッチ
16b 後退用検出スイッチ
17… 減速用ドグ
18 減速用検出スイッチ
19 戻りレール
C… 乳牛
A… ストール
H 搬送方向
Mx… ミルクタップ
My… ミルクタップ
Pd 吊下位置
Claims (8)
- 乳牛を係留する複数のストールの配列方向に沿って配した主レール及びこの主レールから分岐して前記ストール間に配した複数の分岐レールを有するガイドレール部と、このガイドレール部を自走する搾乳ユニットとを備える搾乳ユニットの自動搬送装置において、前記ガイドレール部に、前記分岐レールを前記主レールの搬送方向に湾曲させて当該主レールに合流させる分岐部と、この分岐部に対する前記主レールの上流側と下流側又は前記主レールの下流側と前記分岐レール側を接続可能な可動レール部を設けるとともに、前記搾乳ユニットが予め設定した位置を通過したことを検出する複数の位置検出部及びこの位置検出部の検出により前記搾乳ユニットの走行を制御するコントローラを設けたことを特徴とする搾乳ユニットの自動搬送装置。
- 前記可動レール部は、前記分岐部に対する前記主レールの上流側と前記分岐レールの間に配した支軸により一端側が回動自在に支持された可動レール本体と、この可動レール本体を前記主レールの下流側と前記分岐レール側を接続する位置に保持するバネ部材を備えることを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニットの自動搬送装置。
- 前記可動レール本体の複数を、同時に回動方向一方又は他方へ変位させる強制変位機構を備えることを特徴とする請求項2記載の搾乳ユニットの自動搬送装置。
- 前記主レールの終端と始端を連通させる戻りレールを備えることを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニットの自動搬送装置。
- 前記位置検出部は、前記主レールの予め設定した位置に配設した後退用ドグと、前記搾乳ユニットに配設し、前記後退用ドグにより操作される後退用検出スイッチを備えるとともに、前記コントローラは、前記後退用検出スイッチが操作されたなら、第一設定時間が経過した後に前記搾乳ユニットを後退走行させる制御機能を備えることを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニットの自動搬送装置。
- 前記位置検出部は、二以上の搾乳ユニットにおける各搾乳ユニットと対応する各分岐レールを関連付けて設けることを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニットの自動搬送装置。
- 前記位置検出部は、前記分岐レールの予め設定した位置に配設した減速用ドグと、前記搾乳ユニットに配設し、前記減速用ドグにより操作される減速用検出スイッチを備えるとともに、前記コントローラは、前記減速用検出スイッチが操作されたなら、第二設定時間が経過した後に、前記搾乳ユニットの走行を停止させる制御機能を備えることを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニットの自動搬送装置。
- 前記搾乳ユニットは、ミルクタップに接続して搾乳を行う一対の独立した搾乳機部を備えるとともに、各搾乳機部は吊下位置に対して左右に搭載することを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニットの自動搬送装置。
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