JP3619463B2 - 樹脂粉末成形用金型の加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂粉末成形(パウダースラッシュ成形)に用いられる加熱炉内に搬入された金型の加熱装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にパウダースラッシュ法などの樹脂粉末成形法では、加熱された金型面上に熱可塑性の樹脂粉末を装填し、その金型の熱を利用してその樹脂粉末を熱溶融させて金型の成形面上に、その樹脂の熱溶融物を形成させ、その後にその熱溶融物を冷却固化して金型の成形面形状の成形物を得る成形法であり、かかる樹脂粉末成形法での従来の金型の加熱手段は、たとえば実開平6−55721号公報、特開平9−248832号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、かかる従来の樹脂粉末成形に用いられる金型の加熱手段では、加熱炉内に熱風を吹き込むことにより金型を加熱するようにしているが、加熱炉内に熱風を吹き込むにあたり、熱風吹出口に設けたノズル手段やフィン手段を用いて金型への熱風の風量や風向などを制御しているが、それらの制御はそれらの手段全体で行うようにしており、熱風吹出口毎の熱風制御には自ずから限界があった。
【0004】
ところで、前記金型は、その内面に複雑な形状の成形面を有して全域にわたり断面変化があり、しかも成形面には、アンダーカット部など熱風の流れにくい熱風滞留部が存在しているものがあるため、金型をその全域にわたり均等に加熱するには、加熱炉内を流れる熱風を金型面に万遍なく流動させ、特に熱風滞留部には集中的に熱風を吹き付けるようにしてその流動化を図ることが望ましいが、前記従来のものでは、かかる技術的な配慮がなされていない。
【0005】
そこで、本発明は、熱風の風量、風圧、風向き、風の流れ態様などを調整制御して金型の形状を問わずに、それを熱効率よく均等に加熱できるようにした新規な、樹脂粉末成形用金型の加熱装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本請求項1記載の発明は、加熱炉の加熱炉本体内に、加熱すべき金型を収容する加熱室とその下方に熱風制御室とを設け、この熱風制御室内の熱風を、加熱室内に供給して前記金型を加熱するようにした、樹脂粉末成形用金型の加熱装置において、
前記熱風制御室内には、風量調整ダンパおよびその出口に連通する風向調整ノズルを設け、前記風量調整ダンパは、内部に開閉可能な羽根を軸支した、固定のダクトを備え、また前記風向調整ノズルは、出口に整流板を有して首振り自在な筒状のノズル本体を備え、前記羽根の開閉制御および前記ノズル本体の首振り制御により風量および風向きを調整された熱風を整流して金型に吹き付けることができるようにしたことを特徴としており、かかる特徴によれば、金型の形状を問わずにそれを均等に効率良く加熱することができ、特に金型のアンダーカット部を含む熱風滞留部などの熱風の流れ難い部位にも積極的に熱風を送給できるようにして、該部位を能率良く加熱することができる。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記筒状のノズル本体は、その下部が前記風量調整ダンパのダクトに向かって末広状に拡開されて該ダクトの上部と重なり合っていることを特徴としており、かかる特徴によれば、前記請求項1記載の発明の効果に加えてノズル本体の首振り位置の如何に拘らず、風量調整ダンパにより風量を調整された熱風を、そのままノズル本体に導くことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0009】
図1〜図7は本発明の一実施例を示すものであり、図1はパウダースラッシュ成形装置における金型の搬送・搬出系を示す概略系統図、図2は加熱炉の側面図、図3は加熱炉の縦断面図、図4は、図3の4−4線に沿う拡大縦断面図、図5は図3の5−5線に沿う拡大横断面、図6は図3の6−6線に沿う拡大横断面図、図7は図3の7−7線に沿う拡大横断面図である。
【0010】
パウダースラッシュ成形法は、金型加熱工程、パウダリング工程、金型冷却工程および脱型工程の各工程からなっており、この実施例では、図1に示すように、それらの工程に対応する金型加熱装置H、パウダリング装置P、金型冷却装置C、および金型脱型装置Sが直列に配設され、また、金型Mを搬送するための金型搬送手段Tは、前記各装置に並列して配置され、また脱型後の金型Mを、搬出するための搬出ラインOは、前記各装置の配列方向に対して略直交して配列されている。
【0011】
つぎに、金型加熱装置Hにおいて、金型Mを加熱するための、加熱炉1の構造を、図2〜7を参照して説明する。
【0012】
この加熱炉1は、金型Mを、その成形面Mfに装填される熱可塑性樹脂が熱溶融する温度に加熱するためのものであって、その主体部を構成する加熱炉本体2は、密閉の直方体の箱状に形成され、その大きさは、一つの金型Mが収容できる程の比較的小容積に形成されていて、金型Mの搬送方向に沿う左右両側壁3,4と、これらと直交する前後壁5,6と、上壁7と、下壁8とを備えている。そして、図2に明瞭に示すように、加熱炉1の、金型搬送手段Tと隣接する側の右側壁4の上部には、金型Mを搬入するための搬入口10が開口され、また、加熱炉1の後壁(パウダリング装置の入り口側に対面する壁)の上部には、搬出口11が開口されている。そして、前記搬入口10と搬出口11とは、加熱炉本体2のコーナ部を挟んで相互に隣接しており、また、搬入口10は、搬出口11よりも開口面積が大きい。
【0013】
図2に示すように、前記搬入口10には、透明な搬入蓋12がそこに設けたガイド13に沿って上下に開閉可能に設けられる。搬入蓋12は、開閉駆動機構14により開閉制御される。搬入口10の上縁には、複数本の牽引索条15の一端が連結され、これらの牽引索条15は、加熱炉本体21の上部に設けた架台16に支持される案内シーブ17を経由して、それらの他端が駆動手段すなわち単動の伸縮シリンダ18に連結されており、その伸縮シリンダ18の収縮作動によれば、牽引索条15の牽引により搬入蓋12は開いて搬入口10は開放される。また、伸縮シリンダ18をフリーにすれば、搬入蓋12はその自重により下降して、搬入口10は閉じられる。しかして、搬入蓋12の開放によれば、後に述べるように、金型Mは、汎用トラバーサ81(図1参照)により金型フレーム28と共に図2の紙面と直交する方向より加熱炉本体2内に搬入される。
【0014】
また、前記搬出口11にも、透明な搬出蓋20がそこに設けたガイド21に沿って上下に開閉可能に設けられる。搬出蓋20は、前記搬入蓋12の開閉駆動機構と同じ構造の、他の開閉駆動機構22により開閉制御されるものであるので、この機構22の詳細な説明を省略する。しかして、搬出蓋20の開放によれば、後に述べるように、所定温度に加熱された金型Mは、金型フレーム28と共に図2の左方向に搬出される。そして、後に述べるように、専用トラバーサ82(図1参照)によりパウダリング装置Pへと搬送される。
【0015】
図3,4に示すように、加熱炉本体2内の上部には、加熱室24が形成され、この加熱室24の底部には、金型支持部材27が横架固定されている。この金型支持部材27上には、金型Mが、金型フレーム28に取り付けられた状態で載設される。図3に鎖線で示すフック部材29は、汎用トラバーサ81に開閉可能に設けられており、このフック部材29に支持されて金型フレーム28は加熱室24内に搬入される。金型フレーム28は、金型Mの移動および操作のために、その金型Mに取り付けられるものであり、その取付状態では、金型Mは、その成形面Mfは下向きである。図3,7に示すように、前記金型支持部材27には、その中間部に、1つの主熱風口31が、また、その周囲に複数の補助熱風口32が開口されており、主熱風口31を通過した熱量の多い熱風(図3,4太線白矢印)は、金型Mの成形面Mfに直接吹き付けられて流れ、また、複数の補助熱風口32を通過した熱量の少ない熱風は、金型フレーム28の外周部を流れるようになっている。また、加熱室24の上壁の中央部には、熱風排出ダクト34が開設され、金型Mの加熱後の熱風は、この熱風排出ダクト34を通って、後に述べる熱エネルギ回収回路Rへと流れる。
【0016】
図3,4に示すように、加熱炉本体2の中間部、すなわち前記加熱室24の下には、熱風制御室25が形成され、さらに、加熱炉本体2の下部、すなわち前記熱風制御室25の下には、熱風貯留室26が層状に形成されており、そして、その熱風貯留室26の前壁には、熱風流入ダクト35が開設され、熱風発生装置75からの熱風は、この熱風流入ダクト35を通って熱風貯留室26に貯留される。
【0017】
図3,4において、熱風制御室25と、熱風貯留室26とは境界壁37により仕切られており、この境界壁37の中央部には、一次主熱風口39が開口され、また、その周囲には、一次熱風制御手段C1が設けられる。この一次熱風制御手段C1は、主として熱風の圧力および整流制御を行うものであり、その構造を、図3〜5を参照して説明するに、前記境界壁37の周囲には、前記一次主熱風口39を取り囲むようにして、複数の一次副熱風口40が開口されている。各一次副熱風口40には、2枚の上、下風圧制御板41,42が、互いにスライド可能に重ね合わされて固定される。2枚の上、下風圧制御板41,42は、同じ構造に形成されており、何れも長方形の板部材に多数の長孔よりなる風圧調整孔43が2列に並列され、また、その四隅には、長孔よりなる取付孔がそれぞれ穿設されている。2枚の上、下風圧制御板41,42は、互いに重ね合わせて一次副熱風口40上に積層して、前記長孔よりなる取付孔を介して取付ネジ44により固定される。そして、取付ネジ44を緩めたのち、2枚の上、下風圧制御板41,42を手動により相互にスライド調整することにより、風圧調整孔43の開口面積を変更して、複数の一次副熱風口40を通る熱風の風圧をそれぞれ整流調整することができる。
【0018】
加熱炉本体2の上下中間部に設けられる熱風制御室25内には、二次熱風制御手段C2が設けられる。つぎに、この二次熱風制御手段C2の構造を、図3,4および6を参照して説明するに、これは、主として加熱室24に供給される熱風の風向きおよび風量を調整するためのものであり、風向調整ノズル46、風量調整ダンパ47およびガラリ機構48とより構成されている。前記境界壁37の中央部には、前記一次主熱風口39に連通する支柱49が、熱風制御室25に向けて一体に立設され、この支柱49の上には支持フレーム50をもって複数(3組)の前記風量調整ダンパ47が設けられる。そして熱風はこの支柱49の内外を流れるようになっている。これらの風量調整ダンパ47は、何れも同じ構造であるので、その一つについて説明すると、図4に示すように、支持フレーム50には、熱風貯留室26と、熱風制御室25とを連通する一対のダクト51が固定され、各ダクト51内には、羽根52が回動軸53を介して開閉自在に軸支されている。各回動軸53から一体に延びるアーム54の先端には、連結部材56を介して操作杆55がそれぞれ連結されており、この操作杆55は、加熱炉1の外まで延長されていて、これを手動で操作することにより、一対の羽根52を同調して開閉できるようになっている。かくして3組の風量調整ダンパ47は、加熱炉1の外部から手動により選択的に操作することができ、熱風貯留室26から熱風制御室25を通って加熱室24に送られる熱風の風量を調整することができる。
【0019】
図3,4に示すように、前記風量調整ダンパ47のダクト51の上方には、前記風向調整ノズル46がそれぞれ配設される。支持フレーム50には、前記ダクト51の直上において筒状のノズル本体58が、首振り軸59をもって前後方向(図4、左右方向)に首振り自在に軸支されており、複数の首振り軸59からそれぞれ一体に延びるアーム60の先端には、連結部材61を介して操作杆61がそれぞれ連結されており、この操作杆61は、加熱炉1の外まで延長されていて、これを手動で操作することにより、一対のノズル本体58を同調して前後方向に首振り作動させることができる。筒状のノズル本体58は、その下部が前記ダクト51に向かって末広状に拡開されていて、ダクト51の上部に重なりあっており、ノズル本体58の首振り位置の如何に拘らずダクト51からの熱風がノズル本体58に導かれるようになっている。また、ノズル本体58の開口上端、すなわちその出口には、多数の整流板63が設けられて、金型支持部材27の主通風口31を通って加熱室24に連通されている。したがって、風量調整ダンパ47により風量を調整された熱風は、風向調整ノズル46により風向きを変更調整され、整流板63により整流されて前記金型Mの成形面Mfに直接吹き付けることができる。したがって、風量、風向を調整制御され、整流された熱風を、金型Mのアンダーカット部を含む熱風滞留部aに積極的に吹き付けることができ、該部aを熱量の多い熱風により有効に加熱することができる。
【0020】
図3,4および6に示すように、前記風向調整ノズル46および風量調整ダンパ47の外周部には、それを取り囲むように、複数の前記ガラリ機構48が配設され、これらのガラリ機構48は、前記支柱49上の支持フレーム50に取り付けられている。複数のガラリ機構48はいずれも同じ構造であるので、以下に、その一つについて説明すると、前記支柱49の上部外周において、支持フレーム50には、通風口65が開口され、この通風口65上には、上、下ルーバ66,67が、相互に直交して、2段に重ね合わせて着脱可能に固定されている。上、下ルーバ66,67は、いずれも同じ構造を備えており、四角なルーバ枠68に、複数のルーバ羽根69が手動で偏向調整可能に設けて構成され、互いに直交して配置される、これら上、下ルーバ66,67を手動により調整制御することにより、支柱49の外側において、通風口65を流れる熱風の向きを、左右、前後方向に調整することができる。かくして、前記二次熱風制御手段C2によれば、熱風を風量調整したのち、風向きを変向して、加熱室24に圧送することができ、該室24内の金型Mに能率よく吹き付けることができる。
【0021】
また、図3,4に示すように、加熱室24内の、金型フレーム28の上方には、複数(3つ)の吸気口72を開口した吸気板71が横架され、各吸気口72はそれぞれ開閉板73により個別に手動で開閉制御できるようになっている。そして、それらの開閉板73の選択的な開閉制御により加熱室24を流れる熱風の流れ方向を制御できるようになっており、金型Mの成形面Mfの一部、たとえば熱風の流れにくいアンダーカット部を含む熱風滞留部a(図4参照)の外周部への熱風量を多くすることができる。
【0022】
図3に示すように、熱風排出ダクト35と、前記熱風発生装置75の入口間は、熱エネルギ回収回路Rにより接続される。この熱エネルギ回収回路Rの途中には、熱風循環ファン76が接続される。そしてこの熱風循環ファン76と熱風発生装置75とを継ぐ回路78から大気放出回路77が分岐され、そこに切換弁79が介在されている。そして、必要に応じて切換弁79を開弁制御することにより、熱風の一部が大気に放出制御される。
【0023】
熱風発生装置75は、外部から供給される空気と、熱エネルギ回収回路Rを通って加熱炉1から回収される熱エネルギを用いて熱風を発生させ、その熱風を熱風吸入ダクト35より熱風貯留室26に導く。
【0024】
ところで、熱風貯留室26内に貯留された熱風は熱風制御室25へと流れるが、そのうち、比較的大風量の熱風は支柱49を通り、風量調整ダンパ47から風向調整ノズル46へと流れ(図3,4太線白矢印)、そこで前述したように風量と風向きを調整され、整流されて加熱室24へと流れ、金型Mに吹き付けられ、この金型Mを直接加熱する。一方、熱風制御室25内の比較的小風量の熱風は、一次熱風制御手段C1、さらにガラリ機構48を通って、加熱室24へと流れ(図3,4実線矢印)、前述のように、風圧と風向き調整され、整流されて、金型フレーム28の外周部を流れ、金型Mをその外側から加熱することができる。したがって、金型Mは、熱風貯留室26内の貯留熱風を概ね2つの流れに分流し、その熱風を、風量、風圧、風向き、および整流制御して、その制御熱風により金型Mをその内外より効率よく加熱することができる。
【0025】
再び、図1に戻って、金型搬送手段Tは、縦列される金型加熱装置H、パウダリング装置P、金型冷却装置Cおよび金型脱型装置Sの一側に沿う一対の案内レール80を備えており、この案内レール80上を前記汎用トラバーサ81が往復自走制御できるように設けられており、金型加熱装置Hと、パウダリング装置Pとの間には、それら間を往復移動可能に専用トラバーサ82が配置される。
【0026】
図1において、金型Mを載せた汎用トラバーサ81が、加熱炉1の搬入口10と対面する位置までくると、金型Mは、前記搬入口10の開口により加熱炉1内に搬送((1)−(2)) される。加熱炉1内で所定温度に加熱された金型Mは、前記搬出口11の開口により、専用トラバーサ82に移載((2)−(3)) され、該専用トラバーサ82の移動により、パウダリング装置Pに搬入((3)−(4)) される。パウダリング装置Pでは、加熱された金型Mの成形面Mfに熱可塑性の樹脂粉末を層状に装填して、金型Mの熱でその粉末を熱溶融させて成形面Mf上に樹脂熱溶融物を成形させる。そして、その後、金型Mをパウダリング装置Pから、その一側に待機している汎用トラバーサ81に移載((4)−(5)) する。汎用トラバーサ81の移動により、これが金型冷却装置Cに移動((5)−(6)) したところで、金型Mをそこから金型冷却装置Cに移載((6)−(7)) する。金型冷却装置Cでは、その成形面Mfに装填されている熱溶融物を冷却固化させる。冷却された金型Mは、金型冷却装置Cに待機している汎用トラバーサ81に再び移載((7)−(8)) した後、該汎用トラバーサ81を金型脱型装置Sまで移動((8)−(9)) し、ここで、その脱型装置Sに移載((9)−(10))し、ここで樹脂成形物M′を脱型した金型Mは、そこに待機している汎用トラバーサに移載((10)−(11)) する。一方、脱型された樹脂成形物M′は、搬出ラインOに移載((10)−(11 ′))して外部に取り出す。
【0027】
樹脂成形物M′を脱型した金型Mは、再び加熱装置Hのところまで移動((11)−(1))する。
【0028】
しかして、前記の樹脂粉末成形工程において、金型Mは、加熱炉1の一側壁、すなわち右側壁4に開口された搬入口10より、該金型M内に搬送されて搬入口10の閉成により加熱され、また所定温度に加熱した後は、金型Mの他側壁、すなわち左側壁3に開口した搬出口11より、そこに隣接して対面するパウダリング装置Pの入口へ素早く移載することができるので、金型Mの、加熱炉1への搬入、および該加熱炉1外への搬出に際して、加熱炉1からの熱の放散を極力抑えることができるとともに加熱された金型Mの温度低下をも極力抑えながら隣接するパウダリング装置Pに短時間のうちに搬送することができ、その結果熱効率のよい金型の加熱と、加熱された金型の短時間での搬送による、その温度低下の抑制とが相俟ってパウダースラッシュ成形法による成形コストを大幅に低減することができる。
【0029】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本請求項1記載の本発明によれば、樹脂粉末成形用金型の加熱装置において、前記熱風制御室内には、風量調整ダンパおよびその出口に連通する風向調整ノズルを設け、前記風量調整ダンパは、内部に開閉可能な羽根を軸支した、固定のダクトを備え、また前記風向調整ノズルは、出口に整流板を有して首振り自在な筒状のノズル本体を備え、前記羽根の開閉制御および前記ノズル本体の首振り制御により風量および風向きを調整された熱風を整流して金型に吹き付けることができるようにしたので、金型の形状を問わずにそれを均等に効率良く加熱することができ、特に金型のアンダーカット部を含む熱風滞留部などの熱風の流れ難い部位にも積極的に熱風を送給できるようにして、該部位を能率良く加熱することができる。
【0031】
また、本請求項2記載の発明によれば、前記請求項1記載のものにおいて、筒状のノズル本体は、その下部が前記風量調整ダンパのダクトに向かって末広状に拡開されて該ダクトの上部と重なり合っているので、前記請求項1記載の発明の効果に加えてノズル本体の首振り位置の如何に拘らず、風量調整ダンパにより風量を調整された熱風を、そのままノズル本体に導くことができ、金型の加熱効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パウダースラッシュ成形装置における金型Mの搬送・搬出系を示す概略系統図
【図2】加熱炉の側面図
【図3】加熱炉の縦断面図
【図4】図3の4−4線に沿う拡大縦断面図
【図5】図3の5−5線に沿う拡大横断面
【図6】図3の6−6線に沿う拡大横断面図
【図7】図3の7−7線に沿う拡大横断面図
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・加熱炉
2・・・・・・・・・・・・加熱炉本体
24・・・・・・・・・・・加熱室
25・・・・・・・・・・・熱風制御室
46・・・・・・・・・・・風向調整ノズル
47・・・・・・・・・・・風量調整ダンパ
51・・・・・・・・・・・ダクト
52・・・・・・・・・・・羽根
58・・・・・・・・・・・ノズル本体
63・・・・・・・・・・・整流板
M・・・・・・・・・・・・金型
Claims (2)
- 加熱炉(1)の加熱炉本体(2)内に、加熱すべき金型(M)を収容する加熱室(24)とその下方に熱風制御室(25)とを設け、この熱風制御室(25)内の熱風を、加熱室(24)内に供給して前記金型(M)を加熱するようにした、樹脂粉末成形用金型の加熱装置において、
前記熱風制御室(25)内には、風量調整ダンパ(47)およびその出口に連通する風向調整ノズル(46)を設け、前記風量調整ダンパ(47)は、内部に開閉可能な羽根(52)を軸支した、固定のダクト(51)を備え、また前記風向調整ノズル(46)は、出口に整流板(63)を有して首振り自在な筒状のノズル本体(58)を備え、前記羽根(52)の開閉制御および前記ノズル本体(58)の首振り制御により風量および風向きを調整された熱風を整流して金型(M)に吹き付けることができるようにしたことを特徴とする、樹脂粉末成形用金型の加熱装置。 - 前記筒状のノズル本体(58)は、その下部が前記風量調整ダンパ(47)のダクト(51)に向かって末広状に拡開されて該ダクト(51)の上部と重なり合っていることを特徴とする、前記請求項1記載の樹脂粉末成形用金型の加熱装置。
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