JP3618170B2 - 抗菌・防曇性多層フィルムおよびその製造法 - Google Patents

抗菌・防曇性多層フィルムおよびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は食品包装分野、農園芸分野、衣料分野、医療分野、文具、雑貨およびその他の工業・産業分野など広い範囲で使用されているフィルムに抗菌性と防曇性とを同時に付与して、安全衛生機能を向上させると同時に結露による不透明化の欠点を改良したフィルムおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フィルムは紙と並び包装材料の主要素材の一つとして多くの種類のものがある。その歴史は比較的新しいが、成形加工性の良さや、耐水、耐薬品性にすぐれること、軽量なこと、種類が豊富で使い分けや組み合わせが簡便なことなどから近年急速に需要を増やしてきた。
その柔軟性を活かし、着色や印刷、裁断加工、貼りつけ、シール、多層の組み合わせなど、要望に応じ成形、加工、改質、化粧方法が開発されてその用途を広げている。
最近、世間の高機能性指向や安全衛生観の高まりから、いろいろな製品に抗菌性の付与が求められるようになってきた。
これに対し、各種抗菌剤が提案され、これを成形前の原料に練り込んでフィルムにしたり、抗菌剤を練り込んだ別の材料をフィルムの表面にコートしたりして対応している。たとえば、金や銀、プラチナあるいは錫、亜鉛などの金属をはじめとした抗菌性無機材料、活性炭のような吸着性材料、あるいは各種抗菌性有機化合物を配合してフィルム化したり、これらを配合したコート剤を表面にコートしたりしている。またキトサン粒子をプラスチック表面に付着させたものも提案されている(特開昭62−83875)。
一方、防曇性の要求に対しては、フィルムに本来水を吸収する性質の素材を使ったり、水吸収性材料や界面活性剤をフィルム表面にコートしたり、フィルムに孔を開けて湿気がこもらないよう通気性をもたせたりしているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
抗菌剤をフィルム素材全体に配合して成形する方法は、表面に存在する抗菌剤のみが効果を発揮するので、これを一様に内部にまで分散させていることは余分な抗菌剤を使用することになり大変不経済である。また、抗菌剤が単にフィルム表面に付着しているだけの場合は、容易に剥落して効果が低下あるいは消失しやすくなるばかりでなく、例えば食品に接触した場合、食品中に泌出、溶出する危険性が非常に高い。そのため、人体に無害なものでなければならず、仮に無害なものであっても、匂いや味をもっていて内容物に影響したりするものがあり、使得る種類は非常に限定される。しかも、配合あるいは付着させる抗菌剤は一般に低分子量化合物が多く、これらは単独では造膜性がないので、バインダーに溶解させたり分散させたりして被覆されるが、泌出、剥落、溶出などを十分に防ぐことは難しい。逆に言えばこれら抗菌剤は表面に出てくるから効果を奏するものであるが、それが内容物にまで溶出する危険性から特に食品包装への利用には問題がある。
【0004】
また、抗菌性基をポリマー鎖のなかに化学結合により導入し、抗菌剤の泌出、溶出を防ぐ方法もあるが、それら抗菌剤基導入ポリマーは合成過程が煩雑であり、抗菌剤基の含有量もそれほど高くすることはできない。したがってこのようなポリマーを基材とするフィルムは大変高価なものとなり、その抗菌効果も十分なものとはいえない。
このような状況からこれら抗菌性フィルムはいずれも、食品に直接触れるものには使用されていないのが現状である。
その他、バインダーに分散あるいは溶解して基材表面にコートする方法なども多く提案されているが、銀系抗菌剤を水系のアクリルエマルジョンに分散させ紙に塗工すると云う特殊な分散技術(化学工業日報1995年11月30日)や、表面への特殊な固定技術を要するものであり(日経産業新聞1995年11月10日)、その用途は、印刷インキや塗料に配合してカードや本などに適用するなど、いわゆる手や体に触れて衛生的なものという範囲に限られ、安全衛生性の観点から規制などが厳しい食品分野への応用を避けている。
キトサンが抗菌性を有することは自体公知であり、これをプラスチック表面に粒子として付着させたり、溶液化してスプレーし、より細かく分散付着させる方法も提案されている。しかしそれらに使用されているキトサンは、酵素分解されたものが使用されており、酵素は残留すると変質しやすく臭気の原因になったり、曇りや濁りのもとになるおそれがあるので、実際には食品と接触する用途には敬遠されている。
一方、防曇性を得るためには、従来より湿気吸収性の素材や界面活性剤を表面にコートしたり、あるいは湿気吸収性素材をラミネートして表面を親水性、吸湿性にする手段が講じられるが、これにさらに抗菌性を要求すると、別途に前述のような抗菌剤を配合したり、表面にコートしたりしなければならず、それが折角の防曇性を損なったり、食品安全性の点より直接接触する用途に使用できなくなったりして結局堂々巡りを続けるばかりであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のような両立し難い多重要素を同時に解決する方法を見いだし多機能を兼ね備えた素材の開発に成功したものである。
すなわち本発明は、
1)キトサン有機酸塩の含水親水性有機溶媒溶液を、アンカコートを施すかまたは表面偏析改質剤を配合した表面の濡れ張力が33〜55dyne/cmのフィルムに塗布、乾燥して、キトサン有機酸塩の層を形成させることを特徴とする抗菌・防曇性多層フィルムの製造法、
2)有機酸が可食性有機酸である前記1)記載の多層フィルムの製造法、
3)親水性有機溶媒が炭素数1〜4のアルコールである前記1)記載の多層フィルムの製造法、
4)アンカコートを施すかまたは表面偏析改質剤を配合するとともに、化学処理、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理または放射線処理により表面処理したフィルムを用いる前記1)記載の多層フィルムの製造法、
5)コロナ処理及びアンカコートを施したフィルムを用いる前記4)記載の多層フィルムの製造法、および
6)前記1)記載の製造法により製造された多層フィルム、
である。
【0006】
【発明の実施の形態】
キトサンは蟹や海老の殻、昆虫の甲皮、あるいは菌類など微生物の細胞壁などに含まれているキチンから製造される。即ち、殻などの原料をアルカリによるタンパク質除去、酸によるカルシウム除去などの精製工程を経てキチンを得、得られたキチンを、たとえば強アルカリ中で100℃前後の温度処理により脱アセチル化して得ることができるものである。
本発明において好適に用いられるキトサンとしては、キチンをたとえば塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、炭酸、蓚酸など2〜20w/w%程度の希酸水溶液で約60〜80℃、5時間前後処理して得られるものが挙げられ、その平均分子量は10,000〜500,000、好ましくは30,000〜100,000程度であり、脱アセチル化度は80%以上、好ましくは85%以上、粘度は100mPa.c 以下である。特に食品衛生の観点から、還元剤、酸化剤およびキトサン分解酵素を実質的に含まないものがよい。
キトサンの粘度の測定方法は、300mlビーカーに乾燥キトサン1.5gを入れ、純水277gを加えて分散させ、酢酸1.5gを添加して完全に溶解させた後、20℃に保ちながらB型粘度計を用いて30回転で回転粘度(mPa.c)を測定する方法である。
またキトサンの平均分子量は、ルプラン分子量標準を用い、検量線を作成し、水素GPCカラムからの溶離液で溶解した溶液のキトサン分子量を測定する方法に拠る。
このキトサンは、その有機酸塩とすることにより水溶性となる。本発明において使用される有機酸としては、たとえば蟻酸、酢酸、蓚酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、バレリアン酸、イソバレリアン酸、カプリル酸、カプリン酸、オクチル酸、ラウリン酸、マロン酸、コハク酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、イソブチル酸、テレフタル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピルビン酸、イタコン酸、パルミチン酸などがあげられ、融点、水溶性、安全性などの観点から蓚酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、ピルビン酸が好ましく、とりわけ酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酪酸、ピルビン酸など食品衛生法に基づく「食品・添加物等の規格基準」(平3.3.27)厚生省告示第55号、第2添加物収載の可食性有機酸が好ましい。
【0007】
キトサン有機酸塩は、水で薄めて水溶液とすることができるが、そのままではポリエチレンやポリプロピレンなど疎水性の高い材料にははじかれて均一な層として塗布できないので、これにたとえばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどの炭素数1〜4のアルコールやアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類といった含水親水性有機溶剤を希釈剤として併用することにより、はじかれることなく連続した層状に塗布することができる。
これらの親水性有機溶媒の中では、食品衛生上の視点等から、エタノールが特に好ましい。
キトサン有機酸塩を溶解させた含水親水性有機溶媒における水と親水性有機溶媒の使用割合は、通常5:95v/v%〜95:5v/v%程度であり、得られる溶液の粘度が通常100〜700cps、好ましくは200〜500cps程度で、且つ濁りが生じない範囲で任意に選択することができる。溶液中におけるキトサン有機酸塩の濃度は、フィルムへの塗布方法により変わるが、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
【0008】
本発明において、キトサン有機酸塩溶液を塗布するフィルムは、シートを含む薄膜や板状物を含む概念のものである。
フィルムとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、EVA、セロファン、ポリカーボネート、それらの共重合体や変成品、アクリル樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、その他エンジニアリングプラスチックなどの合成または天然の殆どあらゆるフィルムが使用できる。
これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル、セロファンなど、食品包装分野で多く使用されているものに適用するとより効果的である。なかんずく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニルなど汎用のものへの応用は貢献度が大きく望ましい。
これらのフィルムに上記キトサン有機酸塩の含水親水性有機溶媒溶液を塗布しただけでは塗布層のフィルム表面への密着性が不充分である。そこで本発明においては、フィルム表面にアンカコートを施すかまたは表面偏析改質剤をフィルム素材に配合して、フィルム表面のASTM−D−2575−67(20℃,65%RH)による濡れ張力が33〜55dyne/cm、好ましくは37〜43dyne/cmとなる様に調整する。
【0009】
アンカコートとしては、たとえばアルキルチタネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリウレタン系、水性ポリアミド系、塩化ビニリデン系、シランカップリング剤系アンカコートなどが挙げられる。これらのアンカコートは自体公知の方法でフィルム表面に適用される。これらのアンカコートの塗布量は通常0.05〜5g/m、好ましくは0.1〜2g/m程度である。
また表面偏析改質剤としては、たとえばメタアクリル酸ステアリルとメタアクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合体やシランカップリング剤などがあげられ、特にポリオレフィンに配合してその表面を改質するのに適している(第28回日本接着剤学会 年次大会講演要旨集45頁(1990)参照)。
またこれらのフィルムは、アンカコート前または表面偏析剤配合してフィルムにした後さらに、被コート面を酸やアルカリの化学処理、コロナ処理、火炎処理、フラズマ処理、放射線処理などの物理的処理を施すことによりフィルム表面の濡れ張力を調整し、表面構造を改質することにより一層キトサン有機酸塩層をフィルムに密着させることができる。特にコロナ処理とアンカコートの組み合わせによる表面改質が好結果をもたらすことが多い。
キトサン有機酸塩溶液のフィルムへのコート方法は特に限定されるものではなく一般に実施されているロールコーター、ナイフコーター、リバースコーター、グラビアコーター、スクリーンコーティングなど被塗布素材、塗布液粘度、塗布量、乾燥条件などにより随時選択すればよいが、塗布量は通常0.05〜5g/m、好ましくは0.1〜2g/m程度である。
グラビアコーターは微妙な塗布量のコントロールに適しているので本発明の実施に特に好ましい。
【0010】
このようにして得られる本発明の多層フィルムは、キトサン有機酸塩層とフィルム層との密着性が極めてよく、フィルムの曲げ、折りたたみ、摩擦などによっても層の剥落がない。
本発明によるキトサン有機酸塩のコートされたフィルムは、キトサンの抗菌作用のため、汚れ、結露などに起因して発生するカビなどの菌の繁殖が抑えられ、長く清潔、透明に保たれる。
また、抗菌性と同時に、その親水性のため、水蒸気に晒されても湿気はキトサン層に吸収され、また吸収し切れない水分は水膜として濡れて広がるので、微小水滴の付着による曇りとならず、曇りによる不透明化が起こらないので光の透過を妨げることがない。
さらに、フィルム表面に水膜が付着しても、微生物の繁殖がキトサンの抗菌作用により抑えられるので、汚れ、曇りとならないばかりか、衛生的にも大変すぐれている。
このような優れた特徴を有する本発明の多層フィルムは、食品包装分野のみならず、農園芸分野、衣料分野、医療分野、文具雑貨分野などの産業における種々の用途に使用しうる。
農園芸分野では、いわゆるハウスと呼ばれる簡易温室としてフィルムやシートが使用されており、太陽光線の透過性即ち、透明性を保持する特性が求められるが、本発明の多層フィルムにより、外気と温湿度差による結露を防止することができる。また、農作物の根元をフィルムで覆って乾燥し過ぎを防いだり、霜除けにしたり病害虫防止に役立てたりしているが、ここでも保湿性、抗菌性が効果的に発揮される。
衣料分野については、衣料包装は無論、布や不織布などとの複合材料として活用できる。汗などによる汚れ、菌の増殖という問題もありキトサンの抗菌性が活かされる。
医療分野ではあらゆる医療品容器、医療品機器の包装材として用いることができる。
文具雑貨分野においても、通常のフィルムを紙と貼り合わせて耐水性を持たせたり、汚れ防止、印刷面の保護、耐久性の向上などに役立てているが、本発明によりさらに抗菌性が加わり、衛生面での質的向上が求められている最近の社会的要求を満たすことができ、またフィルムの欠点である結露性が改善され、より高度な製品が得られる。
【0011】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
4%のキトサン酢酸塩水溶液にエタノールを加え塗工液の粘度を約300cpsに調節した。コロナ処理およびウレタンアンカコート処理(固形分換算0.5g/m)した濡れ張力37dyne/cm、膜厚25ミクロンの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムと略称する。)に、前記塗工液を固形分換算0.5g/mの塗布量でロールコートし、80℃、1分温風乾燥し、キトサン酢酸塩コートフィルムを得た。得られたコートフィルムのコート面にセロハンテープを5kg/cm以上の圧力で貼り付け、約1分静止した後、素早く剥す方法で、コート層の密着性を調べたが、層の剥がれはなく、密着性は良好であった。
また、25℃の水を入れたビーカーの上にコート層を下にしてかぶせ、8℃の冷蔵庫に入れ、3分後曇りの発生を肉眼で観察したが、全く曇りはなかった。以下このテスト法により3分以上たっても曇りの発生しないものをテスト結果良好とする。
これに対し、同条件でテストした未コートフィルムは、冷蔵庫に入れるとただちに曇りが発生し、内部が全く見えなくなった。3分後には水滴が観察され水滴の成長がみられたが、白く曇って内部が見えない状況は依然続いた。
さらに、約3cm四方に切り取ったコートフィルムを、三つのシャーレに入れた寒天培地に入れ、一つのシャーレには細菌 Escherichia coli を植え付け35℃の孵卵器に入れ、他の二つにはそれぞれ真菌類の Candia albicans と Penicillium pururogenum を植え付け、30℃の孵卵器に入れて、それぞれ1週間培養した。同様に処方した未コートフィルムを入れたシャーレをそれぞれ比較実験として並べ、菌の生育増殖を観察した。
結果はいずれもコートフィルムには全く変化はなく、コートフィルム周辺の培地での繁殖も抑えられ、コロニーの形成はみられなかった。
これに対し、未コートフィルムでは、いずれについても菌の繁殖が盛んでコロニー形成がフィルム表面にも広がり、シャーレ全面が覆われた。
【0012】
実施例2
2%のキトサン乳酸塩水溶液をエタノールで希釈し約300cpsに調節した。25ミクロンのOPPフィルムのコロナ処理および塩化ビニリデンでアンカコート処理(固形分換算0.1g/m)された濡れ張力38dyne/cmの表面に、前記溶液を固形分換算0.5g/mの塗布量でバーコーターによりコートし、60℃で3分間乾燥し、キトサン乳酸塩コートOPPフィルムを得た。得られたコートフィルムの密着性、防曇性、抗菌性テスト結果を以下に示す。
密着性:良好(実施例1と同じテスト法による。)
防曇性:良好(同 上)
抗菌性:良好(同 上)
【0013】
比較例1および2
コロナ処理のみを施した膜厚25ミクロン、濡れ張力39dyne/cmのOPPフィルムに、それぞれ実施例1及び実施例2と同じキトサンの有機酸塩水・エタノール溶液を固形分換算0.5g/mの塗布量で適用し、キトサン有機酸塩コートフィルムを得た。得られたコートフィルムのコート層とOPPフィルムの密着性を実施例1と同様セロハンテープ試験したところ、いずれも密着性が悪く、セロハンテープの粘着剤によりキトサンコート層が剥ぎ取られた。
【0014】
実施例3
厚さ15ミクロンの二軸延伸ポリエステルフィルム(以下、PETフィルムと略称する。)のコロナ処理面に塩化ビニリデン系アンカコート材をコート(固形分換算0.1g/m)し、濡れ張力43dyne/cmのフィルムを得た。
このフィルム上に、3%キトサンリンゴ酸塩水溶液をエタノールで希釈して粘度を400cpsに調整した液を、固形分換算0.5g/mの量で塗布し、コートPETフィルムを得た。
密着性、防曇性、抗菌性のテストを実施例1と同じように行い、いずれも良好の結果を得た。
比較例3
コロナ処理のみを施し、濡れ張力が58dyne/cmである以外は実施例3と同じフィルムに、実施例3と同じキトサン有機酸塩溶液を塗布しようとしたが、均一なコート層が得られなかった。
【0015】
実施例4
厚さ15ミクロンの二軸延伸ポリエチレンフィルムのコロナ処理面にポリブタジエン系アンカコート材を0.2g/mコートし、得られた濡れ張力39dyne/cmのフィルムに実施例1と同じキトサン有機酸塩の溶液、固形分換算0.5g/mで塗布した。得られたコートフィルムは、密着性、防曇性、抗菌性とも良好であった。
実施例5
厚さ25ミクロンの二軸延伸ポリスチレンフィルムのコロナ処理面に塩化ビニリデン系アンカコート材を固形分換算0.1g/mの塗布量でコートし、得られた濡れ張力41dyne/cmのフィルム上に、実施例2と同じキトサン有機酸塩の溶液を固形分換算0.5g/mで塗布してコートフィルムを得た。密着性、防曇性、抗菌性とも良好であった。
比較例4
アンカコートを施さない以外は実施例5と同様の操作で濡れ張力が45dyne/cmのフィルムを得、これに実施例2と同じキトサン有機酸塩溶液をコートしてコートフィルムを製造した。このコートフィルムについてテストを試みたが、均一な塗膜が得られず、セロハンテープ試験でも密着性は不良であった。
【0016】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、キトサン有機酸塩溶液を被コートフィルム表面に連続した薄膜として層状に塗布することができ、さらにその乾燥によって得られるキトサン有機酸塩コーティング層のフィルムへの密着性は極めて高く、フィルムの折り曲げ、表面摩擦などによってもコーティング層が剥落することはない。また、本発明により得られる多層フィルムは、抗菌性および防曇性に優れるので、食品包装分野、農園芸分野、衣料分野、医療分野、文具雑貨分野において抗菌性や防曇性が要求される各種用途に利用することができる。

Claims (6)

  1. キトサン有機酸塩の含水親水性有機溶媒溶液を、アンカコートを施すかまたは表面偏析改質剤を配合した表面の濡れ張力が33〜55dyne/cmのフィルムに塗布、乾燥して、キトサン有機酸塩の層を形成させることを特徴とする抗菌・防曇性多層フィルムの製造法。
  2. 有機酸が可食性有機酸である請求項1記載の多層フィルムの製造法。
  3. 親水性有機溶媒が炭素数1〜4のアルコールである請求項1記載の多層フィルムの製造法。
  4. アンカコートを施すかまたは表面偏析改質剤を配合するとともに、化学処理、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理または放射線処理により表面処理したフィルムを用いる請求項1記載の多層フィルムの製造法。
  5. コロナ処理及びアンカコートを施したフィルムを用いる請求項4記載の多層フィルムの製造法。
  6. 請求項1記載の製造法により製造された多層フィルム。
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