JP3616965B2 - Food and drink - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カゼインホスホペプチド(Casein Phosphopeptides:以下、CPPということもある)存在下で用いられる乳系飲食品組成物とこの鉄剤とを含有する乳系飲食品用組成物及び強化された乳系飲食品に関するものであり、更に詳細には、乳や乳製品中に多量に存在するリン酸カルシウムは鉄の体内吸収を阻害するという技術常識にあえて抗して、カゼインを加水分解して得られる含リンペプチドであるカゼインホスホペプチドを使用することによって、カルシウム及び鉄の双方を可溶化して吸収を容易ならしめることに成功した新規乳系飲食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カルシウムは人体中の金属として最も多量に含まれており、吸収されたカルシウムは骨や歯の形成、代謝又は生体の数多くの反応、機作に関与しており、その重要性には多言を要しない。
【0003】
一方、鉄も重要なミネラルのひとつであって、鉄が欠乏すると、貧血や発育不良等の原因となり、女性の貧血、特に鉄欠乏性貧血の問題は大きく、鉄摂取不足がしばしば指摘されている。
【0004】
鉄の吸収性については多くの研究報告がある。最近の総説としては、例えばT.M. Morck and J.D. Cook; Cereal Foods World、26 (12)、667〜672、(1981)がある。食事中の鉄は、栄養学的にはヘム鉄と非ヘム鉄に分類される。ヘム鉄はその吸収性が良いこと(15〜35%)が知られているが、食物含有鉄中の割合は少ない(5〜10%)。非ヘム鉄は食物含有鉄中の主成分で、その存在状態により吸収性は大きく変動する。吸収性を向上させる因子としては、動物(魚、家畜を含む)肉、アスコルビン酸、システインがあり、吸収性を低下させる因子としては、卵、大豆、米、茶、コーヒーなどがある。
【0005】
以上述べた鉄の吸収性の高低は、主として鉄の存在状態により説明されている。即ち、鉄は主として小腸上部(内容物のpHは5〜6になっている)で吸収されるといわれているが、その際鉄は可溶化状態で存在していなければならない。ヘム鉄は胃の中におけるような酸性pHよりも小腸内におけるように中性pHの方が溶解性がより良好である。そのため小腸内の方がより高い吸収性を示す。
【0006】
また、2価鉄(Fe++)が3価鉄(Fe+++)に比較して、吸収性が良いことの理由としては、2価鉄が中性領域を含む広範なpH下で可溶化しているのに3価鉄はpH3以上で不溶化してしまうのが大きな原因とされている。先に記した吸収性を変化させる各種の因子についても、鉄の吸収性を向上させるものは、鉄の可溶化量の多いものであり、逆に吸収性を低下させるものは、鉄の可溶化量の少ないものである。
【0007】
このように、鉄の吸収は胃ではなく主に小腸上部で行われるため、鉄は、専らヘム鉄や肉製品等の限られた飲食物で効率的吸収が行われており、鉄剤単独投与では吸収量が少なかったりあるいは消化器等に大きな負担を与える等、充分に満足すべき結果は得られていない。しかもそのうえ、リン酸カルシウムは鉄の吸収を阻害することが明らかにされており(糸川嘉則:最新ミネラル栄養学、健康産業新聞社、第98頁)、カルシウムの存在下において鉄の吸収が阻害されること、換言すれば、カルシウムと鉄の双方を効率的に同時に吸収することはできないということが、従来より技術常識とされているのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、カルシウム及び鉄が重要なミネラルとして生体には必要であるが、カルシウムと鉄を同時に強化しても生体が両者を効率的に吸収することは困難であって、添加したミネラルの大部分が生体によって利用されることは極めて困難である。したがって、カルシウムを多量に含む乳や乳製品において、鉄を強化しても鉄を有効に利用することは非常に困難である。
【0009】
しかしながら、乳や乳製品はすぐれた栄養食品であることから、上記した技術常識にもかかわらず、これに鉄を添加して、カルシウムの存在下においても鉄を可溶化して効率的に吸収せしめることができれば、その効果ははかりしれないものがある。そこで本発明者らは、カルシウム及び鉄の双方の可溶化、効率的吸収という上記技術常識と全く正反対の、従来の技術レベルに対抗したきわめて解決困難な技術課題を本発明が解決すべき技術課題として新たに設定した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した新規技術課題を解決するためになされたものであって、本発明者らは、カルシウムの存在下における鉄の吸収阻害という従来の技術常識について各方面から検討の結果、カルシウムによる鉄の吸収阻害の原因のひとつが溶解性である点にはじめて着目した。双方のミネラルは、消化管等体内において溶解していなければ、体内へは効率的に吸収され得ないこと、換言すれば、ミネラルの効率的体内吸収にはミネラルを可溶化する必要があるとの新規着想を得た。
【0011】
そこで本発明者らは、この新規着想を実現する技術システムを新たに開発するため、各方面から鋭意研究の結果、カゼインをトリプシン等で加水分解して得られる含リンペプチドであるカゼインホスホペプチド(CPP)がカルシウムを可溶化するだけでなく、腸内で高濃度のカルシウムの存在下においても、鉄を可溶化することをはじめて見出した。そして本発明者らは、更に研究をすすめて、実際に高カルシウム食品である牛乳にカルシウム、鉄及びCPPを添加したところ、カルシウムが鉄の吸収を阻害するという技術常識からして鉄の可溶化が当然に阻害されるとの従来の知見とは全く逆に、多量のカルシウムの存在にもかかわらず、鉄もカルシウムもともに可溶化することを実際に確認した。これらミネラルは、不溶態の場合には体内での吸収が不可ないしきわめて困難であるところから、ミネラルの吸収促進には、これらの可溶化がその前提となるものである。
【0012】
本発明者らは、上記新知見に基づき、CPPを鉄とともに乳系飲食品に添加し、これを摂取することによって生体内で可溶性鉄となし、また同じくカルシウムについてもCPPの作用によって効率的に可溶性カルシウムとなし得る乳系飲食物を発明するのに成功したものである。
【0013】
すなわち本発明は、CPP、鉄及びカルシウムの三者を添加してなる乳系飲食品に係り、乳系飲食品において、これを摂取した場合、従来の技術常識とは全く異なり、鉄及びカルシウムの双方が可溶化されるという卓越した特徴を有するものであって、その結果、鉄及びカルシウムの吸収促進が図られるものである。
以下、本発明について詳述する。
【0014】
CPPには、α−カゼイン由来のもの(α−CPP)及びβ−カゼイン由来のもの(β−CPP)が知られており、いずれも使用可能である。これらの特性は次のとおりである。なお、カッコ内はβ−CPPの特性を示す。
【0015】
分子量:4552(3123)、リン酸残基数:7(4)、N/P比(原子数):7.2(8)、カルボキシル残基:12(7)、等電点:pH1〜2(pH1〜2)。
【0016】
本発明においては、上記したようなCPPが使用され、市販品も適宜使用可能であるが、本発明で使用可能なCPPとしては、更に、次のようなものが例示される:すなわち、カゼインはトリプシンを作用させて得られたCPP画分を含むカゼイン分解物(以下、粗CPPと略記する。)、これをさらに脱苦味したカゼイン分解物(以下、脱苦味CPPと略記する。)、あるいはカルシウムイオンと親水性有機溶媒を添加して精製回収したカゼイン分解物(以下、精製CPPと略記する。)等
【0017】
さらに詳細に述べると、本発明のCPPに使用する原料のカゼィンは、各種酸カゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム等のカゼインが最も良いが、牛乳、スキムミルク等の未精製のものでも原料として用いることができる。本製法に従えば、この原料カゼインを水に溶解し、トリプシン又はトリプシンを含む酵素剤を加える。本発明に使用するトリプシン又はトリプシンを含む酵素剤としては、市販の膵臓性の酵素(バンクレアチン)でも十分であるが、収率等の点から結晶グレードのものが好ましい。原料のカゼインに上記酵素を作用させることによって、CPPが生成する。
【0018】
本発明においては、CPPと鉄及びカルシウムの3者を添加して乳系飲食品を製造するが、鉄としては、クエン酸鉄、硫化鉄、硫酸鉄、塩化鉄、塩酸鉄、グルコン酸鉄、乳酸鉄、ピロリン酸鉄などの第1又は第2鉄の少なくともひとつが選択、使用される。なお、鉄は主に小腸上部で吸収されるため、胃では溶解、吸収されることなく通過して、腸にまで到達し、そして可溶化するのが好ましい。
【0019】
本発明における鉄剤は、特に限定されるものではないが、不溶性鉄が好適に使用される。不溶性鉄としては、25℃水中における溶解度積が、1.0×10−7以下である鉄塩が望ましく、例えば水酸化第一鉄、リン酸第一鉄、ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、炭酸第一鉄があげられ、好ましくは、ピロリン酸第一鉄またはピロリン酸第二鉄であり、最も好ましくはピロリン酸第二鉄である。また、本発明における鉄剤は、特に限定されるものではないが、酵素分解レシチンを含有することが好ましい。
酵素分解レシチンは、ホスホリパーゼAを用いて生成されるリゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトールおよびリゾホスファチジルセリン、ならびにホスホリパーゼDを用いて生成されるホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロールおよびリゾホスファチジルグリセロールからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、好ましくはリゾホスファチジルコリンである。
また、好ましい併用物質としては非イオン界面活性剤があげられ、具体的にはグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等があり、好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステルである。
ここでポリグリセリン脂肪酸エステルは、重合度が3以上のポリグリセリンを70重量%以上含むポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、重合度3〜11のポリグリセリンを70重量%以上含むポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルがより好ましい。
本発明における鉄剤の粒子径については、特に限定されるものではないが、平均粒子径0.2μm以下であることが分散性の観点から好ましく、また粒子全体のうちの80重量%以上の粒子が粒子径0.4μm以下を有することがより好ましい。
ここで粒径の測定方法については、特に限定されるものではないが、例えばレーザー散乱・回折型粒度分布測定装置を用い測定できる。
このような粒子径の鉄剤を得る方法としては、ホモミキサー、ボールミル、ジェットミル等を用いた物理的破砕方法、中和造塩法等があげられるが、均一な粒子径を有する微粒子を得やすい点で、中和造塩法が好ましい。
ここで中和造塩法とは、酸とアルカリとを反応させ、塩を得る方法である。かかる中和造塩法としては、例えばピロリン酸第二鉄のように、塩化第二鉄とピロリン酸四ナトリウムなどの強酸と強塩基性塩との中和反応を用いる方法等が知られており、粒子径0.01〜0.1μmの超微粒子が得られる。
次に、鉄剤の調製例を示す。
[鉄剤の調製例]
塩化第二鉄六水和物13kg及び酵素分解レシチン(サンレシチンL:太陽化学(株)商品名)0.3kgをイオン交換水60kgに溶解して鉄溶液を調製した。
ピロリン酸四ナトリウム+水和物20kgをイオン交換水500kgに溶解したピロリン酸溶液中に、攪拌下で前記で得られた鉄溶液を徐々に添加し、混合液のpHを3.0に調整した。中和反応によるピロリン酸第二鉄の造塩が終了した後、遠心分離(3000×g、5分間)によって固−液分離を行ない、固相部のピロリン酸第二鉄8.2kg(乾燥重量換算)を回収し、これにモノミリスチン酸ペンタグリセリン(重合度3〜11のポリグリセリンの含量:94重量%)1.6kgを加え溶解し、最終的にイオン交換水に再懸濁して4.1%ピロリン酸鉄スラリー(鉄剤)を得た。このものの鉄含量は、12mgであった。
この鉄剤の粒度をレーザー散乱・回折型粒度分布測定装置によって測定したところ、平均粒子径0.2μmであり、0.4μm以下の粒径を有する粒子は、粒子全体の85重量%を占めた。
【0020】
また、クエン酸鉄、硫酸鉄その他可溶性鉄も、油脂コーティング等の常法にしたがって不溶化したり溶腸剤に製剤化すると、胃内での吸収により、胃に障害を与えたり、血中への鉄濃度の高まりにより、腎臓に過度の負担をかけたりすることなく、腸内で溶解して、効率的吸収が図られる。
【0021】
一方、カルシウムについては、胃で溶解しても鉄の場合のような問題はないので、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、フマル酸カルシウム等常用されるカルシウム化合物の少なくともひとつが使用される。なお、上記のように乳系飲食物は本来カルシウムを含有しているので、上記のようにカルシウム剤を別途添加する場合のほか、カルシウム剤を別途添加することなく本来存在しているカルシウムに鉄をCPPと共に添加する場合についても、本発明に包含される。
【0022】
本発明に係る乳系飲食品用組成物としては、鉄剤以外にカゼインホスホペプチドが必須の併用成分となるが、必要に応じカルシウムも併用される。
本発明に係る乳系飲食品としては、乳、すなわち、生乳、牛乳、山羊乳、水牛乳、馬乳、羊乳、脱脂乳、加工乳その他、及び/又は、乳製品のほか、これらを原料とした飲料、食品が広く包含され、例えば、各種ドリンク、スープ類、ミルクコーヒー、ミルクティー、果汁や果肉入りドリンク;ケーキ、クッキー、ビスケットその他菓子類;ゼリー類;氷菓類;糖果類等が挙げられる。
【0023】
乳製品としては、例えば、クリーム、チーズ、バター、無糖れん乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、加糖脱脂粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、アイスクリーム、ラクトアイス、シャーベット等が挙げられる。
【0024】
本発明においては、これらの乳系飲食品にCPP、鉄、及び所望に応じてカルシウムを添加するのであるが、原料に添加混合するか、又は製品に直接添加してもよい。CPPにはカゼイン又はカゼイン加水分解物特有の苦味、臭味もなく、人体に対して無毒性であるから、その添加割合には制限はないし、CPP、鉄、カルシウムの添加順序にも制限はないが、通常、0.001〜5%程度添加する。好適添加量は、飲食品の種類、鉄やカルシウムの強化量等によって適宜定めればよく、例えば鉄1〜15mg、カルシウム250〜600mg含有乳飲料(200ml)の場合、CPPの添加量は0.002〜0.05%、更に好ましくは0.006〜0.02%とするのが好適であり、この数値範囲を参考にして他の飲食品に対するCPPの添加量を適宜定めればよい。なお、CPPはこれらの範囲以上大量に使用しても格別の害作用は認められず、例えば、飲料の場合0.1〜1%、他の食品の場合0.1〜3%添加したが、ミネラルの可溶化、飲食品の風味、品質において、格別の欠点は見出せなかった。また、本発明においては、強化したカルシウムの10%以上、好ましくは45%以上が可溶化されるのが好ましく、且つ、強化した鉄の10%以上、好ましくは40%以上が可溶化されるのが好ましい。
【0025】
【実施例1】
CPP(明治製菓(株)製品)の添加水準が異なる後記実施例2に記載した乳飲料A及び乳飲料Bを人工消化試験系で消化し、各消化過程における可溶化Fe量及び可溶化Ca量の推移を観察し、CPPのピロリン酸第二鉄及び炭酸カルシウムに対する可溶化効果を確認した。
【0026】
鉄としては、市販の食品添加物規格適合のピロリン酸第二鉄製剤(サンアクティブ−Fe:太陽化学(株)商品名)を添加使用した。その組成は、ピロリン酸第二鉄4.1%、乳化剤0.9%、食品素材95.0%から成り、鉄含有量が12mg/gの淡黄白色スラリーないしエマルジョンである。なお、乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び酵素分解レシチンが用いられており、また、食品素材が水99%及び食塩1%である。
【0027】
(1)供試試料
供試試料としては、乳飲料A及び乳飲料Bについて、それぞれ、CPP 0mg、5mg、11mg、20mg入りの試料計4本をそれぞれ用意した。なお、乳飲料A及びBについて、Fe含有量(Fe添加量)は、それぞれ、1.5mg/100ml及び3.0mg/100mlであり、Ca含有量はいずれも175mg/100mlであった(いずれも強化したCa量は58mg/100mlである)。
【0028】
(2)人工消化試験
乳飲料A、Bについて、図1に示すスケジュールにしたがって人工消化試験を行い、可溶化鉄及びカルシウムの定量を行った。人工消化により可溶化したFeは、「Fe Cテストワコー」(和光純薬(株)商品名)を用いて可溶化FeをFe(2価)として定量した(本キットは、血清中のFeを遊離し、Fe(3価)は還元して定量するものである)。また、人工消化により可溶化したCa量は、「Ca Cテストワコー」(和光純薬(株)商品名)を用いて定量した。
【0029】
(3)結果
i)乳飲料A
乳飲料Aの人工消化試験による可溶化Fe量の推移を下記表1及び図2に示し、更に、人工胃液部及び人工腸液部における可溶化Fe量の推移を、それぞれ、図3及び図4に示す。
【0030】
【表1】

Figure 0003616965
【0031】
ii)乳飲料B
乳飲料Bの人工消化試験による可溶化Fe量の推移を下記表2及び図5に示し、更に、人工胃液部及び人工腸液部における可溶化Fe量の推移を、それぞれ、図6及び図7に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0003616965
【0033】
iii)カルシウムの可溶化
乳飲料Bについて、人工消化試験を行い、可溶化Caの定量を行った。可溶化Ca量の推移を下記表3及び図8に示す。
【0034】
【表3】
Figure 0003616965
【0035】
(4)まとめ
乳飲料Aにおいて、人工胃液部ではCPP添加の有無による可溶化Fe量に格別の差異は認められなかったが、人工腸液部ではCPP添加品は無添加品に比べて全体に可溶性Fe量は高く、理論量に近いことが確認された。
【0036】
乳飲料Bにおいて、人工胃液部ではCPP添加の有無による可溶化Fe量に格別の差異は認められなかったが、人工腸液部ではCPPの添加水準に応じて可溶化Fe量は高くなり、時間の経過とともに高くなり、理論量に近い値になっていることが確認された。
【0037】
また、乳飲料Bにおいて、人工胃液部ではCPP添加品は無添加品よりもわずかではあるが溶解Ca量が増加しているのが認められ、更にまた、人工腸液部でもCPP 20mg/dl添加品は無添加品及び5mg、11mg/dl添加品に比べて可溶化Ca量が多いことが確認された。
【0038】
【実施例2】
下記の配合で常法にしたがい、乳飲料Aを調製した。
脱脂粉乳8.92部、45%乳脂肪含有生クリーム2.86部、炭酸カルシウムスラリー(1kg当り0.16kgのカルシウムを含有)0.36部、ピロリン酸第二鉄(サンアクティブFe−12M:太陽化学(株)商品名)0.12部、CPP(CPPIII(純度85%):明治製菓(株)商品)、0.011部、水 87729部。
【0039】
得られた乳飲料Aの栄養成分は、200ml当たり次のとおりであった。
エネルギー93kcal、たんぱく質6.6g、脂質3.0g、炭水化物10.1g、ナトリウム99.5mg、カルシウム350mg、鉄3.0mg、CPP 22mg。
【0040】
同様にして、次の栄養成分(200ml当たり)を有する乳飲料Bを調製した。
エネルギー93kcal、たんぱく質6.6g、脂質3.0g、炭水化物10.1g、ナトリウム99.5mg、カルシウム350mg、鉄6.0mg、CPP 22mg。
【0041】
【発明の効果】
本発明にしたがって、乳系飲食品用鉄剤または鉄剤を含有する乳系飲食品用組成物を乳系飲食品に含有させることにより、CaはFeの吸収を阻害するというのが技術常識であるにもかかわらず、CPPの使用によって、Feを可溶化し、また、それと同時にCaも可溶化することをはじめて可能とし、Fe及びCaの体内吸収を助けることができる。
【0042】
このようにして、例えば、200mlあたり、CPP 5〜35mg、鉄0.5〜10mg、カルシウム100〜500mgを含有し、鉄及びカルシウムを可溶化せしめ、これらの体内の吸収を助ける新規乳飲料を調製することができ、また、更に、CPP 0.1〜50mg、鉄0.1〜20mg、カルシウム100〜600mgを含有してなり、これらミネラルを可溶化し、効率的吸収を図ることのできる新規乳飲料を調製することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】人工消化試験法のフローチャートを示す。
【図2】乳飲料Aの人工消化試験による可溶化Fe量の推移を示す。
【図3】同上人工胃液部での推移を示す。
【図4】同上人工腸液部での推移を示す。
【図5】乳飲料Bの人工消化試験による可溶化Fe量の推移を示す。
【図6】同上人工胃液部での推移を示す。
【図7】同上人工腸液部での推移を示す。
【図8】乳飲料Bの人工消化試験による可溶化Ca量の推移を示す。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a milk-based food / beverage food composition containing the casein phosphopeptide (Casein Phosphopeptides: hereinafter also referred to as CPP) and this iron preparation, and an enhanced milk system. More specifically, it relates to foods and drinks. More specifically, calcium phosphate present in large quantities in milk and dairy products is detrimental to the common technical knowledge that it inhibits the absorption of iron in the body. The present invention relates to a novel milk-based food or drink that has succeeded in solubilizing both calcium and iron and facilitating absorption by using a casein phosphopeptide, which is a peptide.
[0002]
[Prior art]
Calcium is the most abundant metal in the human body, and absorbed calcium is involved in bone and tooth formation, metabolism, and numerous reactions and mechanisms in the body. I don't need it.
[0003]
On the other hand, iron is one of the important minerals, and iron deficiency can cause anemia and poor growth, and women's anemia, especially iron deficiency anemia, is a major problem, and iron intake deficiency is often pointed out. .
[0004]
There are many reports on iron absorption. As a recent review, for example, T.W. M.M. Morck and J.M. D. Cook; Cereal Foods World, 26 (12), 667-672, (1981). Dietary iron is classified nutritionally as heme iron and non-heme iron. Heme iron is known to have good absorbability (15-35%), but the proportion in food-containing iron is small (5-10%). Non-heme iron is the main component in food-containing iron, and its absorbability varies greatly depending on its presence. Factors that improve absorption include animal (including fish and livestock) meat, ascorbic acid, and cysteine, and factors that decrease absorption include egg, soybean, rice, tea, and coffee.
[0005]
The above-described level of iron absorption is mainly explained by the presence of iron. That is, it is said that iron is absorbed mainly in the upper part of the small intestine (the pH of the content is 5 to 6), but at that time, the iron must be present in a solubilized state. Heme iron is more soluble at neutral pH as in the small intestine than at acidic pH as in the stomach. Therefore, the absorption in the small intestine is higher.
[0006]
Moreover, divalent iron (Fe ++) is compared to trivalent iron (Fe +++), as the reason for a good absorbent, divalent iron is solubilized under wide pH containing neutral region However, trivalent iron is considered to be insoluble at pH 3 or higher. As for the various factors that change the absorbability described above, those that improve iron absorbability are those that have a large amount of iron solubilization, and those that reduce the absorbency are those that solubilize iron. The amount is small.
[0007]
In this way, iron is absorbed mainly in the upper part of the small intestine, not in the stomach, so iron is efficiently absorbed only in limited food and drink such as heme iron and meat products. Sufficiently satisfactory results have not been obtained, for example, the amount absorbed is small or a large burden is placed on the digestive organs. Moreover, it has been clarified that calcium phosphate inhibits iron absorption (Yoshinori Itokawa: Latest Mineral Nutrition, Health Industry Newspaper, page 98), and iron absorption is inhibited in the presence of calcium. In other words, it has been a common technical knowledge that both calcium and iron cannot be absorbed efficiently at the same time.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, calcium and iron are necessary for living bodies as important minerals, but even if calcium and iron are strengthened at the same time, it is difficult for the living body to efficiently absorb both. It is extremely difficult for most to be used by living bodies. Therefore, in milk and dairy products containing a large amount of calcium, it is very difficult to effectively use iron even if iron is strengthened.
[0009]
However, since milk and dairy products are excellent nutritional foods, despite the above common technical knowledge, iron is added to solubilize and efficiently absorb iron even in the presence of calcium. If you can, there is something you can't measure. Therefore, the present inventors have found that the technical problem to be solved by the present invention is a technical problem that is extremely difficult to solve against the conventional technical level, which is the exact opposite of the above-mentioned common sense of solubilization and efficient absorption of both calcium and iron. As a new setting.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
The present invention has been made in order to solve the above-described novel technical problems, and the present inventors have studied the conventional technical common knowledge of iron absorption inhibition in the presence of calcium as a result of various studies. For the first time, attention was paid to the fact that one of the causes of inhibition of iron absorption by solubilization was solubility. Both minerals cannot be efficiently absorbed into the body unless they are dissolved in the body, such as the digestive tract. In other words, it is necessary to solubilize minerals for efficient absorption of minerals in the body. I got a new idea.
[0011]
Therefore, the present inventors have developed a technical system that realizes this new idea, and as a result of earnest research from various directions, casein phosphopeptide (phosphorus-containing peptide obtained by hydrolyzing casein with trypsin or the like ( It was found for the first time that CPP) not only solubilizes calcium, but also solubilizes iron in the presence of high concentrations of calcium in the intestine. And the present inventors further researched, solubilization of iron from the technical common sense that when calcium, iron and CPP are added to milk, which is actually a high calcium food, calcium inhibits iron absorption. In fact, it was confirmed that both iron and calcium were solubilized in spite of the presence of a large amount of calcium. Since these minerals are insoluble or extremely difficult to be absorbed in the body in the insoluble state, solubilization of these minerals is a prerequisite for promoting the absorption of minerals.
[0012]
Based on the above-mentioned new findings, the present inventors added CPP to milk-based foods and drinks together with iron, and ingested it to make it soluble iron in vivo, and also for calcium efficiently by the action of CPP. It has succeeded in inventing a milk-based food and drink that can be made soluble calcium.
[0013]
That is, the present invention relates to a milk-based food and drink obtained by adding the three of CPP, iron and calcium. When this is taken in a milk-based food and drink, it is completely different from conventional technical common sense, and iron and calcium. It has the outstanding characteristic that both are solubilized, and as a result, absorption of iron and calcium is promoted.
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0014]
As CPP, α-casein-derived (α-CPP) and β-casein-derived (β-CPP) are known, and both can be used. These characteristics are as follows. In addition, the inside of a parenthesis shows the characteristic of (beta) -CPP.
[0015]
Molecular weight: 4552 (3123), number of phosphate residues: 7 (4), N / P ratio (number of atoms): 7.2 (8), carboxyl residue: 12 (7), isoelectric point: pH 1-2 (PH 1-2).
[0016]
In the present invention, the above-mentioned CPP is used, and commercially available products can also be used as appropriate, but examples of CPP that can be used in the present invention are further exemplified as follows: A casein degradation product (hereinafter abbreviated as crude CPP) containing a CPP fraction obtained by the action of trypsin, a casein degradation product further debittered (hereinafter abbreviated as debitter taste CPP), or calcium. Casein degradation product (hereinafter abbreviated as “purified CPP”) purified and recovered by adding ions and a hydrophilic organic solvent, etc.
More specifically, the casein of the raw material used in the CPP of the present invention is best casein such as various acid caseins, sodium caseinate, and casein calcium, but unpurified ones such as milk and skim milk can also be used as raw materials. it can. According to this production method, this raw casein is dissolved in water, and trypsin or an enzyme agent containing trypsin is added. As the trypsin or the enzyme agent containing trypsin used in the present invention, a commercially available pancreatic enzyme (bankreatin) is sufficient, but a crystal grade is preferable from the viewpoint of yield and the like. CPP is produced by allowing the enzyme to act on the raw casein.
[0018]
In the present invention, a milk-based food and drink is manufactured by adding three members of CPP and iron and calcium. As iron, iron citrate, iron sulfide, iron sulfate, iron chloride, iron hydrochloride, iron gluconate, At least one of ferrous iron such as iron lactate and iron pyrophosphate is selected and used. In addition, since iron is mainly absorbed in the upper part of the small intestine, it is preferable that it passes through the stomach without being dissolved and absorbed, reaches the intestine, and is solubilized.
[0019]
The iron agent in the present invention is not particularly limited, but insoluble iron is preferably used. As the insoluble iron, an iron salt having a solubility product in water of 25 ° C. of 1.0 × 10 −7 or less is desirable. For example, ferrous hydroxide, ferrous phosphate, ferrous pyrophosphate, pyrophosphate Examples thereof include ferric iron and ferrous carbonate, preferably ferrous pyrophosphate or ferric pyrophosphate, and most preferably ferric pyrophosphate. Moreover, although the iron agent in this invention is not specifically limited, It is preferable to contain an enzymatic decomposition lecithin.
Enzymatically degraded lecithin is produced using lysophosphatidylcholine, lysophosphatidylethanolamine, lysophosphatidylinositol and lysophosphatidylserine produced using phospholipase A, and phosphatidic acid, lysophosphatidic acid, phosphatidylglycerol and lysophosphatidyl produced using phospholipase D. It is at least one selected from the group consisting of glycerol, preferably lysophosphatidylcholine.
Examples of preferable concomitant substances include nonionic surfactants. Specific examples include glycerin fatty acid esters, polyglycerin fatty acid esters, sucrose fatty acid esters, propylene glycol fatty acid esters, sorbitan fatty acid esters, and the like, preferably polyglycerin. It is a fatty acid ester.
Here, the polyglycerol fatty acid ester is preferably a polyglycerol fatty acid ester composed of polyglycerol containing 70% by weight or more of polyglycerol having a degree of polymerization of 3 or more, and from polyglycerol containing 70% or more of polyglycerol having a degree of polymerization of 3 to 11 by weight. More preferred is a polyglycerin fatty acid ester.
The particle size of the iron agent in the present invention is not particularly limited, but an average particle size of 0.2 μm or less is preferable from the viewpoint of dispersibility, and 80% by weight or more of the total particles are included. More preferably, the particle diameter is 0.4 μm or less.
Here, the particle size measurement method is not particularly limited, and for example, it can be measured using a laser scattering / diffraction type particle size distribution measuring apparatus.
Examples of a method for obtaining an iron agent having such a particle size include a physical crushing method using a homomixer, a ball mill, a jet mill, etc., a neutral salt formation method, etc., but it is easy to obtain fine particles having a uniform particle size. In this respect, the neutral salt formation method is preferable.
Here, the neutral salt formation method is a method in which an acid and an alkali are reacted to obtain a salt. As such a neutralization salt formation method, for example, a method using a neutralization reaction between a strong acid such as ferric chloride and tetrasodium pyrophosphate and a strong basic salt such as ferric pyrophosphate is known. Ultrafine particles having a particle diameter of 0.01 to 0.1 μm are obtained.
Next, preparation examples of iron agents will be shown.
[Preparation example of iron preparation]
An iron solution was prepared by dissolving 13 kg of ferric chloride hexahydrate and 0.3 kg of enzymatically decomposed lecithin (San lecithin L: trade name of Taiyo Kagaku Co., Ltd.) in 60 kg of ion-exchanged water.
The iron solution obtained above was gradually added to a pyrophosphoric acid solution in which 20 kg of tetrasodium pyrophosphate + hydrate was dissolved in 500 kg of ion-exchanged water, and the pH of the mixed solution was adjusted to 3.0. . After completion of the salt formation of ferric pyrophosphate by the neutralization reaction, solid-liquid separation was performed by centrifugation (3000 × g, 5 minutes), and 8.2 kg of ferric pyrophosphate in the solid phase (dry weight) (Converted) is recovered, 1.6 kg of pentaglyceryl monomyristate (content of polyglycerol having a polymerization degree of 3 to 11: 94% by weight) is added and dissolved, and finally resuspended in ion-exchanged water. A 1% iron pyrophosphate slurry (iron agent) was obtained. The iron content of this product was 12 mg.
When the particle size of the iron agent was measured by a laser scattering / diffraction type particle size distribution measuring device, the average particle size was 0.2 μm, and particles having a particle size of 0.4 μm or less accounted for 85% by weight of the total particle size.
[0020]
In addition, iron citrate, iron sulfate and other soluble iron, if insolubilized or formulated into an enteric agent according to conventional methods such as oil coating, damages the stomach due to absorption in the stomach, Due to the increased iron concentration, it is dissolved in the intestine without causing an excessive burden on the kidney, and efficient absorption is achieved.
[0021]
On the other hand, calcium does not have the same problems as iron when dissolved in the stomach, so calcium carbonate, calcium chloride, calcium sulfate, calcium phosphate, calcium pyrophosphate, calcium lactate, calcium gluconate, calcium citrate, malic acid At least one of commonly used calcium compounds such as calcium and calcium fumarate is used. In addition, since milk-based foods and drinks originally contain calcium as described above, in addition to the case where a calcium agent is added separately as described above, iron is added to the calcium which is originally present without adding a calcium agent separately. The case where is added together with CPP is also included in the present invention.
[0022]
In the composition for milk-based foods and drinks according to the present invention, casein phosphopeptide is an essential concomitant component in addition to the iron agent, but calcium is also used as necessary.
Examples of the milk-based food and drink according to the present invention include milk, that is, raw milk, cow's milk, goat's milk, buffalo milk, horse milk, sheep milk, skim milk, processed milk, and / or dairy products, and these raw materials. Beverages and foods are widely included, for example, various drinks, soups, milk coffee, milk tea, drinks containing fruit juice and pulp; cakes, cookies, biscuits and other confectionery; jellys; ice confectionery; It is done.
[0023]
Examples of dairy products include cream, cheese, butter, non-sugared milk, sweetened milk, sweetened skim milk, whole milk powder, skimmed milk powder, sweetened skim milk powder, prepared milk powder, fermented milk, lactic acid bacteria drink, milk drink, ice cream Examples include cream, lacto ice, and sherbet.
[0024]
In the present invention, CPP, iron, and calcium as desired are added to these milk-based foods and drinks, but they may be added to the raw materials and mixed, or added directly to the product. CPP has no bitterness or smell peculiar to casein or casein hydrolyzate, and is non-toxic to the human body. Therefore, there is no restriction on the addition ratio, and there is no restriction on the order of addition of CPP, iron and calcium. However, usually about 0.001 to 5% is added. A suitable addition amount may be appropriately determined depending on the type of food or drink, the amount of iron or calcium fortification, etc. For example, in the case of a milk beverage (200 ml) containing 1 to 15 mg of iron and 250 to 600 mg of calcium, the addition amount of CPP is 0. It is suitable to set it as 002-0.05%, More preferably, it is 0.006-0.02%, What is necessary is just to determine suitably the addition amount of CPP with respect to other food-drinks with reference to this numerical range. In addition, even if CPP is used in a large amount over these ranges, no particular harmful effect is observed, for example, 0.1 to 1% for beverages, 0.1 to 3% for other foods, No particular drawbacks were found in solubilization of minerals, flavor and quality of food and drink. In the present invention, 10% or more, preferably 45% or more of the strengthened calcium is preferably solubilized, and 10% or more, preferably 40% or more, of the strengthened iron is solubilized. Is preferred.
[0025]
[Example 1]
The milk beverage A and milk beverage B described in Example 2 below are different in the addition level of CPP (Meiji Seika Co., Ltd. product) and digested in an artificial digestion test system, solubilized Fe amount and solubilized Ca amount in each digestion process And the solubilizing effect of CPP on ferric pyrophosphate and calcium carbonate was confirmed.
[0026]
As the iron, a commercially available ferric pyrophosphate preparation (Sun Active-Fe: trade name of Taiyo Kagaku Co., Ltd.) compliant with food additive standards was used. The composition is a pale yellowish white slurry or emulsion consisting of 4.1% ferric pyrophosphate, 0.9% emulsifier, 95.0% food material and having an iron content of 12 mg / g. As the emulsifier, polyglycerin fatty acid ester and enzyme-decomposed lecithin are used, and the food material is 99% water and 1% salt.
[0027]
(1) Test Samples As test samples, four sample samples each containing CPP 0 mg, 5 mg, 11 mg, and 20 mg were prepared for milk drink A and milk drink B, respectively. For milk drinks A and B, the Fe content (Fe addition amount) was 1.5 mg / 100 ml and 3.0 mg / 100 ml, respectively, and the Ca content was 175 mg / 100 ml (both are both) The amount of enhanced Ca is 58 mg / 100 ml).
[0028]
(2) Artificial digestion test About milk drinks A and B, the artificial digestion test was done according to the schedule shown in FIG. 1, and the solubilized iron and calcium were quantified. Fe solubilized by artificial digestion was quantified as “Fe (divalent)” using “Fe C Test Wako” (trade name of Wako Pure Chemical Industries, Ltd.). It is liberated and Fe (trivalent) is reduced and quantified). The amount of Ca solubilized by artificial digestion was quantified using “Ca C Test Wako” (trade name, Wako Pure Chemical Industries, Ltd.).
[0029]
(3) Results i) Milk drink A
The transition of the solubilized Fe amount in the artificial digestion test of the milk beverage A is shown in Table 1 and FIG. Show.
[0030]
[Table 1]
Figure 0003616965
[0031]
ii) Milk drink B
The transition of the solubilized Fe amount in the artificial digestion test of the milk drink B is shown in the following Table 2 and FIG. Show.
[0032]
[Table 2]
Figure 0003616965
[0033]
iii) An artificial digestion test was performed on the solubilized calcium beverage B of calcium, and the solubilized Ca was quantified. The transition of the solubilized Ca amount is shown in Table 3 below and FIG.
[0034]
[Table 3]
Figure 0003616965
[0035]
(4) In summary milk drink A, no significant difference was observed in the amount of solubilized Fe depending on the presence or absence of CPP addition in the artificial gastric fluid part, but in the artificial intestinal fluid part, the CPP-added product was more soluble than the additive-free product. It was confirmed that the amount of Fe was high and close to the theoretical amount.
[0036]
In milk beverage B, no significant difference was observed in the amount of solubilized Fe due to the presence or absence of CPP addition in the artificial gastric fluid portion, but in the artificial intestinal fluid portion, the amount of solubilized Fe increased according to the addition level of CPP, It became higher with the passage of time and was confirmed to be close to the theoretical amount.
[0037]
In milk beverage B, it was observed that the amount of dissolved Ca increased slightly in the artificial gastric fluid part compared to the additive-free product, and the CPP 20 mg / dl addition product was also added in the artificial intestinal fluid part. It was confirmed that the amount of solubilized Ca was higher than those of the additive-free product and the 5 mg and 11 mg / dl added products.
[0038]
[Example 2]
A milk beverage A was prepared according to a conventional method with the following composition.
Nonfat dry milk 8.92 parts, 45% milk fat-containing fresh cream 2.86 parts, calcium carbonate slurry (containing 0.16 kg of calcium per kg) 0.36 parts, ferric pyrophosphate (Sunactive Fe-12M: Taiyo Chemical Co., Ltd. trade name) 0.12 part, CPP (CPPIII (purity 85%): Meiji Seika Co., Ltd. product), 0.011 part, water 87729 part.
[0039]
The nutritional components of the obtained milk beverage A were as follows per 200 ml.
Energy 93 kcal, protein 6.6 g, lipid 3.0 g, carbohydrate 10.1 g, sodium 99.5 mg, calcium 350 mg, iron 3.0 mg, CPP 22 mg.
[0040]
Similarly, a milk drink B having the following nutritional components (per 200 ml) was prepared.
Energy 93 kcal, protein 6.6 g, lipid 3.0 g, carbohydrates 10.1 g, sodium 99.5 mg, calcium 350 mg, iron 6.0 mg, CPP 22 mg.
[0041]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is a common knowledge that Ca inhibits the absorption of Fe by incorporating a milk-based food or drink composition containing a milk-based food or drink composition or a milk-based food or drink composition containing an iron agent. Nevertheless, the use of CPP makes it possible for the first time to solubilize Fe and at the same time solubilize Ca, and to help the body absorb Fe and Ca.
[0042]
In this way, for example, per 200 ml, CPP 5 to 35 mg, iron 0.5 to 10 mg, calcium 100 to 500 mg is contained, so that iron and calcium are solubilized, and a new milk drink that helps absorption in these bodies is prepared. Furthermore, it contains 0.1 to 50 mg of CPP, 0.1 to 20 mg of iron, and 100 to 600 mg of calcium, and it is a novel milk that can solubilize these minerals and achieve efficient absorption. Beverages can also be prepared.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 shows a flowchart of an artificial digestion test method.
FIG. 2 shows the transition of the amount of solubilized Fe by an artificial digestion test of milk drink A.
FIG. 3 shows the change in the artificial gastric fluid part.
FIG. 4 shows the change in the artificial intestinal fluid part.
FIG. 5 shows the transition of the amount of solubilized Fe by an artificial digestion test of milk drink B.
FIG. 6 shows the change in the artificial gastric fluid part.
FIG. 7 shows the transition in the artificial intestinal fluid part.
FIG. 8 shows the transition of the amount of solubilized Ca by the artificial digestion test of milk drink B.

Claims (3)

カルシウム及び鉄を強化した乳製品に、カゼインホスホペプチドを0.001〜5%添加してなる乳製品。A dairy product obtained by adding 0.001 to 5% of casein phosphopeptide to a dairy product fortified with calcium and iron. カルシウムは主に胃において可溶化し、鉄は腸において可溶化するものであること、を特徴とする請求項1に記載の乳製品。2. The dairy product according to claim 1, wherein calcium is solubilized mainly in the stomach and iron is solubilized in the intestine. 200mlあたり、カゼインホスホペプチドを5〜60mg、鉄を0.5〜10mg、カルシウムを100〜700mg含有することを特徴とする乳飲料。A milk beverage comprising 5 to 60 mg of casein phosphopeptide, 0.5 to 10 mg of iron, and 100 to 700 mg of calcium per 200 ml.
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