JP3614088B2 - 金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法および濃度管理方法 - Google Patents

金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法および濃度管理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法および該分析結果を活用する金属表面処理液中の有機化合物の濃度管理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車、家電製品、建材等に用いられる鋼板は、耐食性、加工性、表面外観等の特性を付与するために、めっき、化成処理といった金属表面処理を施されることが多い。この場合、金属表面処理液中に種々の有機化合物が添加される。例えば、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板の表面外観を優れたものにするために、めっき液に非イオン性界面活性剤であるポリエチレングリコール、孤立電子対を持つ化合物、さらには炭素−炭素二重結合を有する化合物を添加することが知られている(特開平9−49097号公報)。
【0003】
添加した有機化合物が十分な効果を発揮するためには、それぞれの金属表面処理液中における濃度が適正でなければならない。しかし、金属表面処理を継続している間に、金属表面処理液中の有機化合物の滅失や化学反応のために、有機化合物の濃度変化があり、有機化合物がもたらす効果が変動し、したがって金属表面処理鋼板の特性、品質も変動する。有機化合物の適正濃度を維持するために、有機化合物の補充または金属表面処理液の追加補充あるいは全量置換が行われる。
【0004】
従来、有機化合物の補充量は、操業時間の経過、または金属表面処理鋼板の品質を見て決定されていた。従来法は、間接的であり、また経験的な要素に依存しているため、金属表面処理鋼板の品質の安定化には不十分であった。また、有機化合物は種類によって、滅失や濃度変化の挙動も異なるため、従来法では、個々の有機化合物について補充量を決定できなかった。結果として、金属表面処理鋼板の品質とコストに不利を及ぼしていた。このような不具合を防ぐために、金属表面処理液中の有機化合物の濃度を随時監視し、適宜管理する必要があり、有機化合物を簡単に定量分析する方法が必要になる。
【0005】
例えば、有機化合物を吸光光度法で定量分析する場合には、有機化合物を金属表面処理液から有機溶媒で抽出分離する必要がある。しかし、表面外観を改善するために金属表面処理液に添加される有機化合物の多くは、水溶性が大きく、適当な有機溶媒が存在しない問題がある。
また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、定量分析する試みにおいても、マトリックスと有機化合物および有機化合物同士の分離が不完全で、これを定量分析に用いることは困難であった。また、有機化合物の金属表面処理液中濃度は0.1mmol/l程度であり、HPLCでの分離が可能であったとしても、紫外吸収による検出には濃度が低過ぎる問題があった。有機化合物を誘導体とした後、HPLCで分離、検出する方法も考えられるが、しかし、有機化合物を金属表面処理液から分離せずに一斉に誘導体とする適切な方法は見当たらない。
【0006】
一方、有機化合物を金属表面処理液から分離することなく、1H−核磁気共鳴(以後1H−NMRと記述する)分析法により分別定量分析する場合には、金属表面処理液中に測定を妨害する常磁性物質、特に常磁性金属イオンが共存することが多いので、金属表面処理液をそのまま分析に供することが出来なかった。
このように、金属表面処理液中の有機化合物の濃度を定量分析出来る方法は従来知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は金属表面処理液中の有機化合物の濃度を定量分析出来る方法を新規に提供し、もって、金属表面処理液中の有機化合物の濃度の管理を可能ならしめる方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、1H−NMRにおいて、金属表面処理液から有機化合物を分離することなく、有機化合物を定量分析する方法を見出し、本発明に至った。
本発明は、金属表面処理液中の有機化合物を1H−NMRにより定量分析するに当たり、金属表面処理液中の常磁性金属イオンを沈殿処理した後、得られた上澄み液の1H−NMRスペクトルを測定することを特徴とする金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法である。
【0009】
好ましい本発明は、金属表面処理液が塩化亜鉛、塩化ニッケルおよび塩化カリウムを主体とするめっき液であることを特徴とする前記の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法である。
【0010】
好ましい本発明は、有機化合物がポリエチレングリコール、チオ尿素、フマル酸、フマル酸塩、マレイン酸、マレイン酸塩およびアリルスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有する有機化合物であることを特徴とする前記の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法である。
【0011】
好ましい本発明は、金属表面処理液に、濃硫酸および無水硫酸ナトリウムを添加して沈殿処理することを特徴とする前記の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法である。
【0012】
好ましい本発明は、1H−NMRスペクトル測定用溶液に加えた内部標準物質の1H−NMRシグナルと有機化合物の1H−NMRシグナルの積分値の比を用いて、有機化合物の濃度を決定することを特徴とする前記の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法である。
【0013】
好ましい本発明は、チオ尿素を定量分析する際に、チオ尿素をあらかじめS−アルキル置換誘導体に変換した後、該誘導体の1H−NMRスペクトルを測定することを特徴とする前記の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法である。
【0014】
好ましい本発明は、前記の方法によって、金属表面処理液中の有機化合物を定量分析した結果に基づいて、金属表面処理液中への該有機化合物の補充添加量を決定することを特徴とする金属表面処理液中の有機化合物の濃度管理方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を塩化亜鉛、塩化ニッケルおよび塩化カリウムを主体とするめっき液を例にとり、詳細に説明する。
NMR分析する場合、試料中に常磁性物質が共存すると分析が妨害される。該めっき液には、高濃度のNi2+(0.5mol/l程度)が含まれており、そのままではNMR分析が不可能である。本発明者は、該めっき液に高濃度の硫酸イオンを加えることにより大部分のNi2+を硫酸塩として沈殿させ、該めっき液中のNi2+をNMRスペクトルの解析が十分可能な程度まで低減させ、もって、NMRスペクトルの測定を可能にしたものである。なお、該めっき液には、ポリエチレングリコール、チオ尿素、フマル酸、フマル酸塩、マレイン酸、マレイン酸塩およびアリルスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つの有機化合物が含有されている。具体的手順を以下に示すが、これに限定されるものではない。
【0016】
(1) めっき液をろ紙でろ過し、浮遊ごみおよびスラッジ等を取り除き、一定量(例えば6ml)のろ液をふた付きの容器に採取する。好ましくは、これに1H−NMR分析における定量用内部標準物質を既知量添加する。内部標準物質は1H−NMRシグナルがめっき液中に存在する他の化合物(有機化合物、水、その他)のシグナルと重ならないこと、および水溶性であることが好ましく、実用的には、1.8〜2.8ppmのみにシグナルが現れる化合物であることが好ましい。具体的にはアセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることが出来る。なお、内部標準物質を水あるいは重水で適当な濃度に希釈した溶液を作成しておき、該溶液を一定量分析試料に添加するようにすると試料溶液の調製が容易である。
【0017】
(2) 内部標準物質を添加した試料溶液に濃硫酸400μlおよび無水硫酸ナトリウム3gを加え、容器にふたをして激しく振り混ぜ、硫酸ニッケルを沈殿させる。同時に硫酸亜鉛も沈殿する。硫酸ニッケルを十分析出、沈降させるため一晩静置する。硫酸ナトリウムは試料溶液の金属イオンを硫酸塩として飽和させるに十分な量であればよく、特に制限されない。硫酸ナトリウムの水和物を使用することも出来るが、試料溶液を水で希釈することになるので、無水硫酸ナトリウムの方が好ましい。また、前記のように少量(100〜600μl程度)の濃硫酸を合わせて添加する方が、硫酸ニッケルの沈殿生成がより十分になるので好ましい。Ni2+を除去するために硫酸イオン以外の陰イオン、例えば、リン酸イオンも使用することが出来る。ただし、リン酸イオンの場合は、細かく、かさ高いリン酸ニッケルの沈殿が生成し、試料溶液からの分離が容易でないことがある。
【0018】
(3) 硫酸ニッケルの沈殿を静置沈降させた試料溶液の上澄み液350μlを採り出し、これに重水350μlを混合してNMR分析用溶液とした。重水はNMR分析時のロック溶媒であり、重水濃度が低過ぎると分析の安定性に問題が生じる。一方、重水濃度を高くすると相対的に試料濃度が下がり分析感度の点で不利になる。重水の量は分析用溶液の全量を700mlとしたとき200〜500μl程度であるのが好ましい。また、該試料中の分析対象化合物(有機化合物)濃度は0.1mmol/l以下なので、十分な感度で分析するにはフーリエ変換NMR装置の使用が好ましい。
上記分析用溶液を用いて1H−NMRスペクトルの測定を行うが、水の巨大なシグナルを抑制するため、ホモゲートデカップリング法を用いて測定するのが好ましい。
【0019】
(4) 得られた1H−NMRスペクトルの各有機化合物に対応するシグナル面積と内部標準物質に対応するシグナル面積の比から、各有機化合物と内部標準物質のモル比を求め、該比、用いた試料(めっき液)の量、および内部標準物質の添加量から各有機化合物のめっき液中の濃度を求めた。
【0020】
(5)[チオ尿素の定量分析]
チオ尿素中の水素は、重水と水素交換するため、前記(1)〜(3)の処理をしただけで測定した1H−NMRスペクトルにはシグナルが現れないので、チオ尿素の定量分析が出来ない。そこで、チオ尿素の定量分析が必要な場合には、下記の処理を追加して実施する。
【0021】
前記(1)〜(2)の処理で得た上澄み液1.5mlを採取し、これにエタノール1.5mlおよびヨウ化メチル0.5mlを加え、遮光して室温で反応させる。遮光はヨウ化メチルの光分解を防止するためである。また、反応時間が短いと反応が十分進行せず、逆に1日懸ければ反応が十分に進行して終点に達する。十分に定量的な分析結果を得るには、6〜24時間反応させるのが好ましい。エタノールおよび過剰のヨウ化メチルを蒸発除去した後、前記(3)以降の処理を行う。該処理は、チオ尿素のイオウ原子をS−メチル化するためであり、反応式は下記の通りである。
(HN)C=S+CHI→[(HN)CSCH ▲1▼
この−SCH基の水素核を1H−NMRで測定することによりチオ尿素の定量が可能になる。
【0022】
(6)(めっき液中の有機化合物の濃度管理)
前記(1)〜(4)または(1)〜(5)の手順で、随時処理、分析した有機化合物の濃度を基に、有機化合物の追加補充量を決定し、適宜有機表面処理液に有機化合物を追加補充して、有機化合物の濃度を所定濃度に戻す。これを反復継続することにより、金属表面処理亜鉛−ニッケルめっき鋼板の品質管理が極めて容易になる。
【0023】
本発明の方法は、その他の各種化成処理液中の有機化合物の濃度管理にも適用出来る。本発明の方法は、積極的に金属表面処理液に添加した有機化合物の濃度管理に適用出来ることはもちろん、不可避的に処理液中に取り込まれた有機化合物、例えば被処理物に付着した有機化合物が金属表面処理液にもちこまれる場合の不純物管理にも適用出来る。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
[電気亜鉛−ニッケルめっき液中のポリエチレングリコール、プロパンスルホン酸イオンおよびアリルスルホン酸ナトリウムの定量分析]
有機化合物としてポリエチレングリコール(平均分子量600)、アリルスルホン酸ナトリウムおよびチオ尿素を含む電気亜鉛−ニッケルめっき浴から試料(めっき液)を採取した。試料をNo.5Cろ紙でろ過して得たろ液6.00mlをスクリューキャップ付きバイアルに取り、これにDMSO1.00%(v/v)重水溶液200μlを加えた。さらに濃硫酸400μlおよび無水硫酸ナトリウム3gを加えて激しく攪拌した後、一晩静置した。上澄み液300μlを採り、重水300μlを加えて混合し、NMR測定用溶液とした。
【0025】
1H−NMRはフーリエ変換NMR測定装置(1H共鳴周波数270MHz)を用い、水のシグナルをホモゲートデカップリング法で照射しながら測定した。試料採取回数は1000〜15000回程度である。得られた1H−NMRスペクトルの一例を図1に示す。化学シフトの基準にはDMSOを用いた。第1図のスペクトルには、ポリエチレングリコール、アリルスルホン酸イオンおよび内部標準物質であるDMSOのシグナルの他にプロパンスルホン酸イオンに帰属するシグナルが認められた。プロパンスルホン酸イオンは電気めっき進行とともにアリルスルホン酸イオンの炭素−炭素二重結合に水素が付加して生成したものである。また、8ppm付近のシグナルはめっき液中に元々存在していた不純物(フェニル系化合物)によるものである。
【0026】
有機化合物の濃度は、図1に例示される各化合物のシグナルの面積から、下記の計算により求めた。シグナルの面積は、当該シグナル近傍のベースライン上の積分値を求める方法によって求めた。この場合のシグナルの面積を模式図として示すと、図2に示すハッチング部分のようになる。図2は、シグナル1およびシグナル2が近接している場合を示すものである。
【0027】
[1] まず、用いた有機化合物原液をDMSO−d6に溶解し、その1H−NMRスペクトルを別途測定して、有機化合物として用いたポリエチレングリコールのオキシエチレン基水素シグナルの面積(A−POEと表す)と末端水酸基水素シグナルの面積(A−OHと表す)の比(A−OH/A−POE)を求めた。本実施例の場合A−OH/A−POE=1.99/53.6である。
【0028】
[2] 定量に用いるシグナルは、図1において、アリルスルホン酸イオン(CH=CHCHSO−:2H)約5.4ppm、プロパンスルホン酸イオン(CHCHCHSO−:3H)約0.95ppm、ポリエチレングルコール(HO(CHCHO)n H)約3.7ppm、およびDMSO 2.71ppmとする。
【0029】
[3] 試料採取量(ml)をVS、内部標準物質として添加したDMSOの量(モル数)をQ−DMSOで表す。また、アリルスルホン酸イオン、プロパンスルホン酸イオン、ポリエチレングルコールおよびDMSOについての定量用シグナルの面積をそれぞれA−ASA、A−PSA、A−POE、A−DMSOと表す。
【0030】
[4] めっき液中の各有機化合物の濃度(mol/l)、すなわち、ポリエチレングルコール、アリルスルホン酸イオン、およびプロパンスルホン酸イオンの濃度(それぞれC−POE、C−ASA、C−PSAと表す)は下記のように表すことが出来る。
C−POE=[A−POE×(A−OH/A−POE)×1/2]/
(A−DMSO/6)×Q−DMSO×(1000/VS) ▲2▼
C−ASA=[(A−ASA/2)/(A−DMSO/6)]×Q−
DMSO×(1000/VS) ▲3▼
C−PSA=[(A−PSA/3)/(A−DMSO/6)]×Q−
DMSO×(1000/VS) ▲4▼
【0031】
1H−NMRスペクトルおよび前記▲2▼〜▲3▼から求めた有機化合物の濃度の例を表1に示した。
以上のように本発明の方法を用いて、電気亜鉛−ニッケルめっき液中の有機化合物の定量分析が出来た。
本発明の方法を用いて定量分析して得た結果を用いて、個々の有機化合物の濃度を管理することが出来る。例えばポリエチレングリコール濃度に着目してその濃度が保たれるように有機化合物を追加補充した時点を表1に*印で示した。
【0032】
(実施例2)
[電気亜鉛−ニッケルめっき液中のポリエチレングリコール、アリルスルホン酸ナトリウムおよびチオ尿素の定量](添加回収実験)
電気亜鉛−ニッケルめっき液6mlにチオ尿素10.5mgを添加し、試料を調製した。実施例1と同様に、硫酸および硫酸ナトリウムを加えて沈殿処理した後の上澄み液1.5mlにエタノール1.5mlおよびヨウ化メチル0.5mlを加えて攪拌し、室温、遮光下で18時間反応させた。混合物の上澄み液約2mlを採り出し、温風を吹き付けてエタノールおよび過剰のヨウ化メチルを蒸発除去した。残った溶液から350μlを採取し、重水350μlと混合し、1H−NMRスペクトルを測定した。スペクトルを図3に示す。2.38ppmのシグナルは、[(H2 N)2 CSCH3 ]の−S−CH3 シグナルであり、このシグナルと内部標準物質DMSOシグナルの面積比から下記の方法でチオ尿素の濃度を計算した。
【0033】
[7] 定量に用いるシグナルは[(H2 N)2 CSCH3 ](2.38ppm)およびDMSO(2.71ppm)とする。
[8] 試料採取量(ml)をVS、内部標準物質として添加したDMSOの量(モル数)をQ−DMSOで表す。また、[(H2 N)2 CSCH3 ]およびDMSOについての定量用シグナルの面積をそれぞれA−TU、A−DMSOと表す。
【0034】
[9] チオ尿素のめっき液中濃度(mmol/l)は下記のように表すことが出来る。
C−TU=[(A−TU/3)/(A−DMSO/6)]×Q−
DMSO×(1000/VS) ▲5▼
以上の測定および計算から、チオ尿素の濃度は25.3mmol/lと計算される。チオ尿素の添加時の濃度は23.0mmol/lであるから、本発明の方法によりほぼ満足出来る結果が得られたことになる。
【0035】
【表1】
Figure 0003614088
【0036】
【発明の効果】
本発明は、金属表面処理液に添加した有機化合物の濃度を知るための定量分析方法を新規に提供し、例えば鋼板用亜鉛−ニッケルめっき液に添加して用いる有機化合物の定量分析を容易に行うことを可能にした。その結果、金属表面処理中に変動する金属表面処理液中の有機化合物の濃度管理が可能となり、例えば、表面外観が優れた表面処理亜鉛−ニッケルめっき鋼板を安定して製造することが出来るので、工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の1H−NMRスペクトル図。
【図2】1H−NMRスペクトル図のシグナルの拡大模式図。
【図3】実施例2の1H−NMRスペクトル図。

Claims (7)

  1. 金属表面処理液中の有機化合物を水素核核磁気共鳴分析法により定量分析するに当たり、金属表面処理液中の常磁性金属イオンを沈殿処理した後、得られた上澄み液の1H−核磁気共鳴吸収スペクトルを測定することを特徴とする金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法。
  2. 金属表面処理液が塩化亜鉛、塩化ニッケルおよび塩化カリウムを主体とするめっき液であることを特徴とする請求項1に記載の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法。
  3. 有機化合物がポリエチレングリコール、チオ尿素、フマル酸、フマル酸塩、マレイン酸、マレイン酸塩およびアリルスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有する有機化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法。
  4. 金属表面処理液に、濃硫酸および無水硫酸ナトリウムを添加して沈殿処理することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法。
  5. 1H−核磁気共鳴吸収スペクトル測定用溶液に加えた内部標準物質の1H−核磁気共鳴吸収シグナルと有機化合物の1H−核磁気共鳴吸収シグナルの積分値の比を用いて、有機化合物の濃度を決定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法。
  6. チオ尿素を定量分析する際に、チオ尿素をあらかじめS−アルキル置換誘導体に変換した後、該誘導体の1H−核磁気共鳴吸収分析スペクトルを測定することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の金属表面処理液中の有機化合物の定量分析方法。
  7. 請求項1〜請求項6に記載のいずれかの方法によって、金属表面処理液中の有機化合物を定量分析した結果に基づいて、金属表面処理液中への前記有機化合物の補充添加量を決定することを特徴とする金属表面処理液中の有機化合物の濃度管理方法。
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