JP3613556B2 - 電子放出デバイス製造中のspindtタイプカソードの保護方法 - Google Patents

電子放出デバイス製造中のspindtタイプカソードの保護方法 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は電子放出デバイスの製造に関連し、詳細には電界放出タイプのフラットパネル電極線管(CRT)ディスプレイにおいて用いられる電子エミッタの製造に関連する。
【0002】
発明の背景
電界放出カソード(或いは電界エミッタ)は、十分に強度の電界をかけられる場合に電子を放出する一連の電子放出素子を備える。電子放出素子は典型的にはエミッタ電極のパターン形成層上に配置される。ゲート制御式フィールドエミッタでは、パターン形成ゲート層は典型的には、電子放出素子の位置においてパターン形成エミッタ層の上層をなす。電子放出素子はゲート層の開口部を介して露出する。ゲート層の選択した部分とエミッタ層の選択した部分との間に適当な電圧がかけられる場合に、ゲート層が2つの選択した部分の交差部において電子放出素子から電子を抽出する。
【0003】
多くの電子放出素子は円錐形である。図面を参照すると、図1a−図1dは、例えばSpindt等による米国特許第5,559,389号に示されるような、フラットパネルCRTディスプレイ用のゲート制御式フィールドエミッタにおいて円錐形の電子放出素子を形成するための従来の技術を示す。図1aに示される段階では、部分的に完成したフィールドエミッタが基板20、エミッタ電極層22、誘電体層24及びゲート層26を備える。ゲート開口部28がゲート層26を通って延在する。対応する誘電体開口部30が誘電体層24を通って延在する。
【0004】
グレージング角による堆積手順を用いて、図1bに示されるようにリフトオフ層32がゲート層26の上側に形成される。エミッタ材料が、そのエミッタ材料が開口部30に入るためのアパーチャが徐々に閉じるように、その構造体の上側及び誘電体開口部30の内部に堆積する。それにより概ね円錐形の電子放出素子34が複合開口部28/30内に形成される。図1cを参照されたい。余剰のエミッタ材料の層34Bが同時にゲート層26の上側に形成される。その後リフトオフ層32が除去され、余剰のエミッタ材料層34Bが剥離される。図1dはそれにより形成された構造体を示す。
【0005】
図1cに示される段階では、余剰のエミッタ材料層34Bは電子放出コーン34Aと外部環境との間の障壁層となる。障壁層が存在するため、余剰層34Bによりコーン34Aが、その後の処理中にフィールドエミッタに接触する材料により汚染されるのを防ぎながら、部分的に完成したフィールドエミッタ上でその後の処理が実行できるようになる。しかしながら障壁層によりもたらされる利点は、余剰層34Bが、ここで任意に用いられる材料に対して浸透性がある場合には小さくなる。従ってそのような材料が、層34Bのような余剰のエミッタ材料を通り抜け、コーン34Aを汚染するのを防ぐことが望ましい。
【0006】
また余剰のエミッタ材料層34Bを除去するためにリフトオフ層32を用いることにより取り扱いが難しくなる。例えばリフトオフ層32の堆積は、リフトオフ材料がエミッタ電極層22上に蓄積して、電子放出コーン34Aが余剰層34Bの剥離中に剥離されないようにするために注意深く実行されなければならない。
【0007】
WilshawによるPCT特許出願WO96/06443は、フィールドエミッタの電子放出素子の円錐形部分を形成するために、ゲート層の開口部を介してモリブデンを堆積中にゲート層上に蓄積される余剰のモリブデンを除去するために電気化学的な技術を利用している。Wilshawによる電気化学的な除去技術では、リフトオフ層は用いられない。その技術は、余剰のエミッタ材料が電子放出素子の上側にある間に、部分的に完成したフィールドエミッタ上でその後の処理が行われるという利点があるが、余剰エミッタ材料がリフトオフ層或いは電気化学的技術のいずれにより除去されるかに拘らず、その後の処理中に用いられる材料が電子放出素子を汚染しないようにすることが望ましい。
【0008】
発明の概要
本発明に従って電子放出素子を製造する場合に、エミッタ材料から電子放出素子を形成した後に、保護材料の層が余剰のエミッタ材料の層上に設けられる。電子放出素子の上側にある余剰のエミッタ材料を除去する前に、また電子放出素子周囲の余剰のエミッタ材料の上側にある保護材料を除去する前に、後処理が部分的に完成したデバイス上で行われる。
【0009】
保護層は、部分的に完成したデバイスにおいて後処理中に用いられる材料に対して通常概ね非浸透性である。従って保護層により、これらの材料が、余剰のエミッタ材料を通り抜け、電子放出素子を汚染するのを概ね防ぐことができる。余剰のエミッタ材料とデバイスの他の構成要素とを組み合わせて電子放出素子を包囲する場合、余剰のエミッタ材料が、後処理中に部分的に完成したフィールドエミッタに接触する材料に対して浸透性がある場合であっても、電子放出素子は後処理中に損傷を受けることはない。
【0010】
余剰のエミッタ材料は典型的には2段階で除去される。第1の段階では、余剰のエミッタ材料は電子放出素子から横方向に離隔した場所において除去される。電子放出素子の上側にある余剰のエミッタ材料は第2の段階において除去される。2つの除去段階の前に、或いは2つの除去段階の間のある時点において、保護層を余剰のエミッタ材料上に形成することができる。後者の場合には、元の保護材料の一部が典型的には最終的な電子放出デバイスの一部を形成する。
【0011】
要するに本発明により、処理の柔軟度を著しく制限することなく電子放出素子を汚染から保護することができる。それゆえ本発明は著しい利点をもたらす。
【0012】
好適な実施例の説明
図面及び好適な実施例の側面において、同一或いは非常に類似の構成要素を表す場合には同様の参照符号が用いられる。
【0013】
本発明は、電子集束システムを形成する際に用いられる材料が、エミッタ材料から形成される電子放出素子を汚染しないようにするために、保護層で余剰のエミッタ材料の層を覆いながら、電子集束システムの少なくとも一部が形成されるようにしてゲート制御式電界放出カソードを形成するためのプロセスを提供する。そのフィールドエミッタは、平画面テレビのようなフラットパネルディスプレイ及びパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ或いはワークステーション用フラットパネルビデオモニタの陰極線管のフェースプレート上で燐光体領域を励起するのに適している。
【0014】
以下の記載では、用語「電気的に絶縁性」或いは「誘電性」は全般に1010Ω・cmより大きい抵抗率を有する材料に適用される。従って用語「電気的に非絶縁性」は1010Ω・cm未満の抵抗率を有する材料に当てはまる。電気的に非絶縁性の材料は、(a)抵抗率が1Ω・cm未満の導電性材料と、(b)抵抗率が1Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲にある電気的抵抗性の材料に分けられる。同様に「非導電性」は、少なくとも1Ω・cmの抵抗率を有する材料に当てはまり、電気的に抵抗性の材料及び電気的に絶縁性の材料を含む。これらの分類は、1V/μmの電界強度において確定される。
【0015】
図2a−図2g(集合的に「図2」)は、余剰のエミッタ材料を除去するために2段階からなる手順を用いる本発明によるフラットパネルCRTディスプレイのゲート制御式フィールドエミッタを製造するためのプロセスを示す。図2の製造プロセスでは、除去手順の第1の段階が行われる前に、保護層が余剰エミッタ材料上に形成される。図3a−図3dは、図2b及び図2e−図2gにそれぞれ示される製造段階におけるフィールドエミッタの配置図を表す。
【0016】
図2のプロセスの最初の段階は、平坦で電気的に絶縁性のベースプレート(或いは基板)40である。図2aを参照されたい。ベースプレート40は、フィールドエミッタを支持するものであり、典型的にはSchott D263ガラスのような厚さが約1mmのガラスからなる。
【0017】
下側の電気的非絶縁性エミッタ領域42はベースプレート40上に位置する。下側の非絶縁性領域42は、一群の横方向に離隔したエミッタ電極にパターン形成された導電性層を含む。フラットパネルCRTディスプレイの画像素子(画素)の行の方向を行方向とすると、領域42のエミッタ電極は、行電極を構成するように行方向に互いに概ね並列に延在する。エミッタ電極は典型的にはアルミニウム或いはニッケルの合金のような金属からなる。エミッタ電極の厚さは0.1〜0.5μm、典型的には0.2μmである。
【0018】
電気的抵抗性層は典型的には、下側の非絶縁性領域42においてエミッタ電極の上側に位置する。抵抗性層の候補材料は、サーメット(金属粒子を埋め込んだセラミック)及びシリコンカーバイドを含むシリコン−炭素−窒素化合物等である。抵抗性層は、電子放出素子とその下側に位置するエミッタ電極との間に10〜1010Ω、典型的には10Ωの抵抗を与える。
【0019】
電気的絶縁性層44は、電極間誘電体として機能し、非絶縁性領域42の上側に設けられる。誘電体層44の厚さは0.05〜3μm、典型的には0.15μmである。誘電体層44は典型的には酸化シリコン或いは窒化シリコンからなる。図2aには示されないが、誘電体層44の一部は、非絶縁性領域42の形状によってはベースプレート40と接触する場合がある。
【0020】
一群の横方向に離隔した主制御電極46が誘電体層44の上側に位置する。制御電極46は、下側非絶縁性領域42のエミッタ電極と概ね垂直に延在する。すなわち制御電極46は主列電極を構成するように画素の列方向に延在する。2つの制御電極46が図2aに示される。電極46は通常0.1〜0.5μm、典型的には0.2μmの厚さを有するクロムのような金属からなる。電極46用の別の材料はアルミニウム、ニッケル、タンタル及びタングステンである。
【0021】
一群の横方向に離隔した主制御アパーチャ48は、主制御電極46を通って誘電体層44まで下方に延在する。電極46の主制御アパーチャ48はそれぞれ非絶縁性領域42のエミッタ電極上に位置する。従って制御アパーチャ48は制御アパーチャの行及び列からなる二次元のアレイを構成する。各制御電極46の場合に1つの制御アパーチャ48が図2aに示される。
【0022】
電気的に非絶縁性のブランケットゲート層50が図2aの構造体の上側に配置される。詳細には、ゲート層50は制御電極46の上側に位置し、かつ制御アパーチャ48内を誘電体層44まで下方に延在する。またゲート層50は、制御電極46間の空間において誘電体層44まで下方に延在する。ゲート層50は通常0.02〜0.08μm、典型的には0.04μm厚のクロムのような金属からなる。層50の別の金属はタンタル、金及びタングステンである。
【0023】
図2bに示されるように、ゲート開口部52は、ゲート層50を通って制御アパーチャ48内の誘電体層44まで下側に形成される。図2bの形成物50Aはゲート層50の残りの部分である。ゲート開口部52は、米国特許第5,559,389号或いは第5,564,959号に示されるタイプの荷電粒子侵蝕手順により形成される。また開口部52は、Ludwig等による1997年6月5日出願の国際特許出願PCT/US97/09198に示されるタイプの球体利用技術を用いて形成することもできる。
【0024】
制御アパーチャ48の底部における残りのゲート層50A部分は多数のゲート開口部52を含む。制御アパーチャ48と、そのアパーチャ48に広がるゲート層50A部分を通って延在する特定のゲート開口部52との組み合わせは複合制御アパーチャ48/52を形成する。制御アパーチャ48は二次元の行/列アレイに配列されるため、ゲート開口部52は、多数のゲート開口部からなる複数組の行及び列の二次元アレイに配列される。図3aには、2組のゲート開口部52が示される。図3aの形成物42Aは非絶縁性領域42のエミッタ電極の1つを示す。図3aに示されるように、制御電極46は、電極42A間の空間のよりもエミッタ電極42A上でより幅広くなっている。
【0025】
ゲート層50Aをエッチングマスクとして用いて、ゲート開口部52を介して誘電体層44がエッチングされ、非絶縁性領域42まで下方に誘電体開口部54が形成される。図2bの形成物44Aは誘電体層44の残りの部分である。誘電体開口部54を形成するためのエッチングは通常、開口部54が幾分ゲート層54Aをアンダーカットするように行われる。誘電体開口部54及びその上側に位置するゲート開口部52は複合開口部52/54を形成する。
【0026】
図2cを参照すると、電気的非絶縁性エミッタコーン材料が、ベースプレート40の上側(或いは下側)表面に概ね垂直な方向にその構造体の上側に蒸着される。エミッタコーン材料はゲート層50Aの露出した部分の上側に、かつゲート開口部52を通って誘電体開口部54の下側非絶縁性領域42上に蓄積する。エミッタコーン材料がゲート層50Aに蓄積するにより、エミッタ材料を開口部54に入れるための開口が徐々に閉じる。この開口が完全に閉じるまで堆積が行われる。その結果エミッタ材料は誘電体開口部54内に蓄積し、対応する円錐形の電子放出素子56Aが形成される。エミッタ材料からなる連続した(ブランケット)余剰層56Bが同時にゲート層50A上に蓄積される。
【0027】
エミッタコーン材料は通常金属であり、ゲート層50がクロムからなる場合にはモリブデンであることが好ましい。蒸着されたモリブデンは、非常に優れた電子放出特性を与えるが、余剰のエミッタコーン材料が電子放出コーン56Aの上側に位置する間に電子集束システムの一部を形成する際に用いられる一定の材料に対して浸透性がある。蒸着されるエミッタ材料の他の候補材料はニッケル、クロム、プラチナ、ニオブ、タンタル、チタン、タングステン、チタン−タングステン及びチタンカーバイドであり、後に電気化学技術を用いて、1ヶ所以上の余剰のエミッタ材料層56B部分を除去する際に、エミッタ材料がゲート材料と異なることが条件となる。
【0028】
図2dに示されるように、ブランケット保護層58が余剰のエミッタ材料層56B上に堆積する。保護層58は、余剰のエミッタ材料がコーン56Aの上側に位置する間に、フィールドエミッタに電子集束システムの一部或いは全ての構造を設けるために利用される材料に対して概ね非浸透性である種類及び厚さの材料からなる。以下に示すように、保護層58の概ね全ての部分が最終的にはフィールドエミッタから除去される。従って層58は、電気的絶縁性材料並びにまた電気的非絶縁性材料を用いて形成することができる。層58の保護材料は典型的には0.05〜0.6μm、典型的には0.1μm厚の酸化シリコンからなる。保護材料の他の候補材料は窒化シリコン、ニッケル、銅及びスパッタリングにより堆積されたモリブデンを含む。
【0029】
フォトレジストマスク(図示せず)が保護層58上に形成される。フォトレジストマスクは、制御アパーチャ48上の全域に位置し、主制御電極46の隣接部分の上側に部分的に延在する固体マスク部分を有する。固体マスク部分は概ね三角形の形状をなし、対応する制御アパーチャ48の1つの上側に位置し、同じ制御電極46内の他の制御アパーチャ48の上側に位置するマスク部分から横方向に離隔されることが好ましい。
【0030】
フォトレジストマスクを通って露出した保護層58の材料は、適当なエッチング剤を用いて除去される。その結果露出した余剰層56Bの材料も同様に適当なエッチング剤で除去される。余剰層56Bをエッチングする前にフォトレジストマスクを除去することもできるが、通常フォトレジストは層56Bのエッチング中に適所に残されている。
【0031】
より詳細には、制御電極46間の空間を占める保護材料及び余剰エミッタ材料部分がゲート層56まで下方に除去される。また(a)電極46の長手方向の端部上に位置し、(b)制御アパーチャ48間に位置する保護材料及び余剰エミッタ材料部分は通常、フィールドエミッタの横方向周辺、すなわちアクティブ画像領域の外側に位置する保護材料及び余剰エミッタ材料の1ヶ所以上の部分とともに層50Aまで下方に除去される。図2e及び図3bでは、形成物56C及び58Aがそれぞれ層56B及び層58の残りの部分を示す。
【0032】
余剰エミッタ材料の残りの部分56Cは、それぞれ制御アパーチャ48全域に渡って延在し、かつ制御アパーチャ48を全域を占める概ね長方形の島状部からなる行及び列の二次元のアレイを備える。余剰エミッタ材料の島状部56Cはそれぞれ保護材料の残りの部分58Aに対応する概ね長方形の島状部により覆われる。保護材料の島状部58A及びその下側に位置する余剰エミッタ材料の島状部56Cは複合島状部56C/58Aを形成する。
【0033】
保護層58Aをエッチングするために用いられるエッチング剤は、概ね異方性のエッチング剤(例えばプラズマ)或いは概ね等方性の成分を有するエッチング剤(例えば液体化学エッチング剤)の何れでもよい。後者の場合には、保護材料島状部58Aはフォトレジストマスクをアンダーカットする。保護層58Aが酸化シリコンからなる場合、層58は典型的には重量比で50%の酢酸、30%の水及び20%の弗化アンモニウムからなる化学エッチング剤を用いて室温で40秒間エッチングされ、保護島状部58Aが形成される。それゆえフォトレジストマスクはわずかにアンダーカットされる。
【0034】
余剰エミッタ材料層56Bをエッチングするために用いられるエッチング剤は典型的には液体化学エッチング剤であり、概ね等方性の成分を有している。従って余剰エミッタ材料島状部56Cはフォトレジストマスクをさらにわずかにアンダーカットする。余剰層56Bがモリブデンからなる場合には、露出したモリブデンは、16分量の燐酸、1分量の酢酸、1分量の硝酸及び2分量の水からなる化学エッチング剤を用いて除去される。そのエッチングは40〜300秒間、典型的には90秒間、15〜50℃、典型的には40℃で行われる。
【0035】
依然としてその場所に残されているフォトレジストマスクを用いて、ブランケットゲート層50Aが選択的にエッチングされ、パターン形成ゲート層50Bが形成される。ゲートエッチングは通常、ゲート層50Bがフォトレジストマスクを著しくアンダーカットしないように、フェースプレート40の上側表面に概ね垂直な方向に概ね異方性のエッチング剤、典型的には塩素プラズマを用いて行われる。図2e及び図3bはフォトレジストを除去した後の構造体を示す。ブランケットゲート層50Aを、同じフォトレジストマスクを用いて選択的にエッチングする場合に、完全に異方性のエッチング剤を用いたのに対して、保護層58A及び余剰エミッタ材料層56Bを選択的にエッチングする場合には等方性の成分を有するエッチング剤を用いたため、ゲート層50B部分はそれぞれ保護島状部58A及び余剰エミッタ材料島状部58Cよりわずかに横方向外側に延在する。
【0036】
別法では、ブランケットゲート層50Aを概ね等方性の成分を有するエッチング剤でパターン形成し、余剰エミッタ材料島状部56Cより横方向外側に延在するゲート部分50Bを低減或いは概ねなくすことができる。また余剰材料島状部56Cより外側のゲート部分50Bの横方向延長部は、概ね異方性のエッチング剤で保護層58及び余剰層56Bをパターン形成することにより低減或いは概ねなくすことができる。何れの場合でも、主制御電極46及び隣接するゲート部分50Bが、列方向に延在する複合主電極46/50Bを形成する。
【0037】
またここで領域60において絶縁性層44Aが露出される。ここで種々の構造を、領域60の上側及び複合島状部56C/58Aにより覆われない上側表面の他の部分に形成することができる。
【0038】
コーン56Aにより放出された電子を集束するシステムの非導電性ベース集束構造体62が典型的には図2fに示されるように部分的に完成したフィールドエミッタの上側に形成される。ベース集束構造体62は、ベースプレート40の上側表面に概ね垂直に見えるように概ね格子状のパターンに配列される。図3cを参照されたい。行方向においては、集束構造体62部分が典型的には誘電体層44Aの露出した領域60上の空間を占める。列方向では、集束構造体62は典型的には制御アパーチャ48外側の主制御電極46上を通る。従ってアパーチャ48は、構造体62の各収集束開口部の領域内に横方向に位置する。
【0039】
ベース集束構造体62は通常電気的絶縁性の材料からなるが、主制御電極46が互いに電気的に結合されないように十分に高い抵抗率を有する電気的抵抗性材料で形成することもできる。典型的には集束構造体62は、適当な化学線に選択的に露出され、非露出化学線材料或いは非露出化学線材料の何れかを除去するために現像され、その後硬化される化学線材料で形成される。化学線への露出により、露出した化学線材料は化学構造を変更するようになる。化学線材料は典型的にはOlin OCG7020ポリイミドのような光重合性のポリイミドである。集束構造体62は典型的には絶縁性層44A上、45〜50μm延在する。
【0040】
ベース集束構造体62を形成するために種々の技術を用いることができる。例えばHavenによる米国特許第5,649,847号或いは第5,650,690号に記載される背面/前面化学線露光手順に従って集束構造体62を形成することができる。別法ではSpindt等による1998年5月27日出願の国際特許出願PCT/US98/09907に記載される背面/前面化学線露光手順に従って構造体62を形成することができる。この場合には、非絶縁性領域42のエミッタ電極42Aは典型的には、ベースプレート40の上側表面に垂直に見えるような梯子形である。またKnallによる同時出願の国際特許出願PCT/US98/22761に記載されるような前面のみの化学線露光を用いる手順により集束構造体62を形成することもできる。
【0041】
図2eの構造体を図2fの構造体にするための処理を実行する際に、電子放出コーン56Aは構成要素42、44A、50B及び56Cの部分により完全に包囲される。構成要素42、44A及び50Bは通常、ベース集束構造体62を形成する際に用いられるポリイミド及び現像/エッチング剤のような任意の材料に対して概ね非浸透性である。従って概ねこれらの材料は、構成要素42、44A及び50Bの任意の部分を通ってコーン56Aを汚染することはない。
【0042】
ベース集束構造体62を形成する際に用いられる材料のあるものは典型的には、その厚さ、及びモリブデンがその材料に何度で如何に長く露出されているかにより、蒸着されたモリブデンを通り抜けることができる。保護材料島状部58Aが存在しない場合には、これらの材料の一部が、エミッタ材料島状部56C、特に電子放出コーン56Aの直ぐ上側に位置する薄い領域においてその島状部を通過し、コーン56Aを汚染するようになる。重要なことは、保護材料島状部58Aがこれらの材料に対して概ね非浸透性になるように配設されることである。図2eの構造体から図2fの構造体に進む場合に、島状部58Aにより、集束構造体62を形成する際に用いられる材料が、垂直方向に余剰の島状部56Cと接触し、その後島状部56Cを垂直に通り抜けるのを概ね防ぐことができる。
【0043】
保護材料島状部58Aは余剰のエミッタ材料島状部56Cの側面縁部を覆うことはない。従ってベース集束構造体62を形成する際に用いられる材料は典型的には余剰材料島状部56Cの側面縁部と接触する。しかしながら島状部56Cは、電子放出コーン56Aと接触するように島状部56Cを通り抜けるこれらの材料の任意の横方向への浸透が著しい度合いにならないほど十分に制御アパーチャ48の横方向外側に延在するように構成される。その結果により、コーン56Aは構造体62を形成する際に用いられる材料により汚染されることはない。保護材料島状部58Aにより、保護材料島状部を用いない場合に生じる可能性がある汚染を防ぐことができる。
【0044】
電子集束システムは、電子集束構造体62上に設けられた薄い電気的非絶縁性の電子集束コーティング64を備える。集束コーティング64は通常導電性材料、典型的には0.1μm厚のアルミニウムのような金属からなる。ある応用例では、集束コーティング64は電気的抵抗性材料で形成することができる。何れの場合においても、集束コーティング64の抵抗率は通常ベース集束構造体62の抵抗率より著しく小さい。
【0045】
集束コーティング64は製造プロセスの種々の時点で形成することができる。コーティング64は典型的には、保護層58A及び余剰エミッタ材料層56Cが除去された後に形成される。しかしながらコーティング64は、図2fにおいてコーティング64を示すために用いられる破線により示されるように層58A及び56Cを除去する前に形成することもできる。複合島状部56C/58Aの高さに対するベース集束構造体62の高さのような係数により、集束コーティング材料の一部(図示せず)が島状部56C/58Aの右側表面及び側面上に蓄積する場合もある。集束コーティング64が島状部58A及び56Cを除去する前に形成される場合には、保護材料島状部58Aより、コーン56Aがベース集束構造体62の形成中に汚染されないようにするのと同様にして、コーティング64を形成する際に用いられる材料がコーン56Aを汚染するのを防ぐ。
【0046】
集束コーティング64は、そのコーティングが複合制御電極46/50Bから適切に電気的に絶縁されているという条件の下に種々の方法において形成することができる。例えば、コーティング64は、Haven等による1998年5月27日出願の国際特許出願PCT/US98/09906に記載されるような低角蒸着法により形成することができる。またコーティング64は、Knallによる国際特許出願PCT/US98/22761に記載されるように形成することもできる。
【0047】
電子集束システムの少なくとも電子集束構造体62が形成されている場合、保護材料島状部58A及び余剰エミッタ材料島状部56Cが除去される。島状部58A及び56Cの除去は種々の方法において行うことができる。余剰材料島状部56Cは典型的には、Knall等による1998年6月29日出願の国際特許出願PCT/US98/12801に記載されるタイプの技術に従って電気化学的に除去される。また保護材料島状部58Aは、余剰材料島状部56Cの電気化学的除去中に、或いは除去前に電気化学的に除去することができる。別法では、保護材料島状部58Aは、余剰材料島状部56Cが電気化学的に除去される際に剥離することができる。また保護材料島状部58Aは、適切な化学並びにまたプラズマエッチング剤を用いて除去され、その後余剰材料島状部56Cが電気化学的に除去されることもできる。
【0048】
さらに別の実施例では、余剰エミッタ材料島状部56Cはリフトオフ技術に従って除去することができる。この場合には、図2bに示される段階においてリフトオフ層がゲート層50Aの上側に設けられる。リフトオフ層は典型的には比較的小さな角度、典型的には約30°で適当なリフトオフ材料をベースプレート40の上側表面に蒸着することにより形成される。その後リフトオフ材料は、余剰エミッタ材料層56Bと概ね同様にパターン形成される。
【0049】
図2fに示される段階では、リフトオフ層の島状部は余剰エミッタ材料島状部56Cとその下側に位置するゲート部分50Bとの間に位置する。適当なエッチング剤を用いてリフトオフ島状部を除去する。それにより余剰材料島状部56Cは剥離され、エッチング剤において流される。
【0050】
リフトオフ技術を用いて余剰エミッタ材料島状部56Cを除去する際に、保護島状部58Aは、余剰島状部56Cを除去するのと同時に除去することができる。別法では、保護材料島状部58Aは、余剰材料島状部56Cの全上側表面を露出するように適当なエッチング剤で最初に除去することができる。島状部56Cが島状部58Aを剥離する際に用いられるエッチング剤に対して浸透性がある場合には、この浸透性を利用して、リフトオフエッチング剤を垂直に島状部56Cに浸透させ、その全上側表面に沿って下側に位置するリフトオフ島状部を急速に侵蝕させることができる。その後リフトオフ操作は比較的短い時間で行われる。
【0051】
集束コーティング64が電子集束構造体にまだ組み込まれていない場合には、ここでコーティング64が集束構造体93上に形成される。図2g及び図3dにはその電界放出構造体が示される。
【0052】
フラットパネルCRTディスプレイは典型的にはカラーディスプレイであり、その中では画素が3つ副画素、すなわち赤色、緑色及び青色の副画素からなる。典型的には画素はベースプレート40の上側表面に垂直をなすように概ね正方形を有しており、3つの副画素は、行方向に並置された長方形として配置されており、その長方形の長辺は列方向に向いている。この副画素の配置では、電子集束制御は通常列方向ではなく行方向においてより重要である。
【0053】
制御アパーチャ48の電子放出素子56Aの組が1つの副画素に電子を供給する。複合制御電極46/50Bの制御アパーチャ48は、行方向にその電極46/50Bの中心をなすようにに配列される。電子集束システム62/64の縁部が、図2g及び図3dに示されるように複合制御電極46/50Bの長手方向縁部と概ね垂直に整列されるように配置することにより、行方向において非常に優れた集束制御が行われる。複合島状部58A及び56Cを形成するために層58及び56Bを選択的にエッチング中に開口領域60により、この垂直方向の整列がもたらされ、それにより所望の集束制御を行うことができる。
【0054】
余剰エミッタ材料を除去するために2段階の手順を用いる場合、別法では、保護層は、第1の除去段階(図2のプロセスにおいて行われるような)の前ではなく、第1の除去段階後の時点で電子放出素子の上側に位置する余剰エミッタ材料上に形成することができる。図4a−図4d(集合的に「図4」)は、本発明に従ってフラットパネルCRTディスプレイのゲート制御式フィールドエミッタを製造する際にこの別の実施例を用いるプロセスの一部を示す。図4のプロセスは、エミッタコーン材料が堆積し、円錐形の電子放出素子56A及び余剰のエミッタ材料層56Bが形成される図2Cの段階までの図2のプロセスの後に続くものである。
【0055】
図4のプロセスでは、図2のプロセスにおける層58及び56Bをパターン形成するために利用されたフォトレジストマスクと典型的には同じパターンを有するフォトレジストマスク(図示せず)が、図2cに示される段階で余剰エミッタ材料層56Bの上側に形成される。フォトレジストマスクを通して露出した余剰材料層56Bの材料は、露出したエミッタ材料を直接侵蝕する適当なエッチング剤を用いて除去される。図4のプロセスではこの時点で保護層が存在していないという点が異なるが、余剰材料層56Bをパターン形成するための選択的なエッチングが、図2のプロセスの場合に上記したように行われる。再び余剰材料層56Bの残りの部分は島状部56Cからなる。エッチング剤は典型的には化学エッチング剤であり、従って概ね等方性の成分を有する。その結果余剰エミッタ材料島状部56Cはフォトレジストをわずかにアンダーカットする。ゲート層50Aはここで部分的に露出される。
【0056】
フォトレジストマスクが制御アパーチャ48の上側に位置する場合に、ゲート層50Aは、横方向に離隔したゲート部分50Bを形成するために概ね上記したのと同じようにしてパターン形成される。フォトレジストは除去され、図4aに示される構造体が形成される。再びゲート部分50Bはそれぞれ余剰材料島状部56Bによりわずかに横方向外側に延在する。別法では、層56B及び50Aは、余剰材料島状部56C及びゲート部分50Bの縁部が概ね垂直に配列されるようにエッチングすることができる。
【0057】
図4bに示されるように保護材料層70がその構造体の上側に形成される。詳細には、保護材料層70は余剰材料島状部56Cの上側表面及び側面上に位置し、島状部56Cより横方向外側に延在する。保護層58と同様に、保護層70は、余剰島状部56Cが電子放出コーン56Aの上側に位置する間に、電子集束システムの一部或いは全ての構造を形成する際に用いられる材料に概ね浸透性がないような種類の材料及び厚さからなる。
【0058】
保護層70の一部は典型的には最終的なフィールドエミッタ内に存在する。従って保護層70の材料及び厚さはフィールドエミッタの隣接する構成要素により実行される機能に適合するように選択される。層70は典型的には非導電性材料、通常電気絶縁性材料からなる。層70の一部が電子集束システムの電子集束構造体の下側に位置する(或いはその一部を形成する)場合には、層70は典型的には0.05〜1.0μm、典型的には0.5μm厚の酸化シリコンで形成される。そのような応用例における層70の別の材料は窒化シリコン及びSOG(spin− on glass)等である。
【0059】
ここで種々の構造が保護層70上に形成することができる。典型的には、電子集束システムのベース集束構造体72が層70の上側に形成される。図4cを参照されたい。ベース集束構造体72は典型的には、ベース集束構造体62と同様に概ね格子状のパターンを有する。集束構造体72は、保護層70が適切な特性を有するものと仮定すれば、集束構造体62の場合に上記した任意の方法において形成することができる。
【0060】
電気的非絶縁性の集束コーティング74がその後ベース集束構造体72上に形成される。集束コーティング74は典型的には、余剰エミッタ材料島状部56Cが除去された後に形成されるが、島状部56がその場所に存在する間に形成することもできる。このためコーティング74は図4cでは破線で示される。コーティング74は典型的には集束コーティング62と同様にして形成され、また同様の材料で形成される。
【0061】
ベース集束構造体72及び存在するなら集束コーティング74をエッチングマスクとして用いて、保護層70の露出した部分が適当なエッチング剤で除去される。図4dを参照すると、形成物70Aは保護コーティング70の残りの部分である。残りの保護層70Aは集束構造体72の下側に位置し、電子集束システムの一部を有効に形成する。
【0062】
保護層70は、種々の要因に基づいて化学エッチング剤或いはプラズマエッチング剤でエッチングされ、層70Aを画定することができる。集束システム72/74がKnallによる国際特許出願PCT/US98/22761に記載されるように形成される場合、エッチング剤は典型的には、重量比で50%の酢酸、30%の水及び20%の弗化アンモニウムで形成される。
【0063】
その後余剰エミッタ材料島状部56Cは除去される。図4dを参照されたい。余剰材料島状部56Cの除去は典型的には電気化学的に行われる。別法では島状部56Cはリフトオフ技術により除去することができる。リフトオフ技術の場合、リフトオフ層が図2bに示される段階でゲート層50或いは50A上に形成される。その後リフトオフ層は、余剰エミッタ材料層56Bと概ね同じようにパターン形成される。保護層の残りの部分70Aを画定するために、保護層70をエッチングした後に、リフトオフ層が除去され、それにより余剰島状部56Cも除去される。まだ形成されていない場合には、集束コーティング74が形成され、図4dに示される構造体を完成する。
【0064】
図5は、図2g或いは図4dのような本発明に従って製造されるエリア電界エミッタを用いるフラットパネルCRTディスプレイのコアアクティブ領域の典型的な例を示す。図4dのフィールドエミッタを含むフラットパネルCRTディスプレイのコアを表す場合に、図5の構成要素62は構成要素70A及び72と置き換えられ、一方構成要素64は構成74と置き換えられる。ここでは下側非絶縁性領域42は、詳細にはエミッタ電極42A及び上側に位置する電気的抵抗性層42Bからなる。1つの主制御電極46が図5に示される。
【0065】
透明で、典型的にはガラスからなる概ね平坦なフェースプレート80がベースプレート40に対向して配置される。発光燐光体領域82は、その1つが図5に示されており、対応する制御アパーチャ48と直に向かい合うフェースプレート80の内側表面上に配置される。典型的にはアルミニウムからなる薄い光反射層84が、フェースプレート80の内側表面に沿って燐光体領域82の上側に配置される。電子放出素子56Aにより放出された電子は光反射層84を通り、燐光体領域82が発光し、フェースプレート80の外側表面上に視認可能な画像を形成することができる。
【0066】
フラットパネルCRTディスプレイのコアアクティブ領域は典型的には図5には示されない他の構成要素も備える。例えばフェースプレート80の内側表面に沿って配置される黒色マトリックスは典型的には、他の燐光体領域82から横方向に分離するために燐光体領域82を包囲する。スペーサ壁を用いて、プレート40と80との間の相対的な一定の空間を保持する。
【0067】
図5に示されるタイプのフラットパネルCRTディスプレイに組み込まれる場合、本発明に従って製造されたフィールドエミッタは以下のように動作する。光反射層84が電界放出カソードのアノードとして機能する。アノードは、複合制御電極46/50B及びエミッタ電極42Aに対して正の高電位に保持される。
【0068】
(a)選択されたエミッタ電極42Aの1つと、(b)選択された制御電極46/50Bの1つとの間に適当な電位がかかる場合、その選択されたゲート部分50Bが2つの選択された電極の交差部において電子放出素子から電子を抽出し、生成された電子の流れの大きさを制御する。抽出された電子が衝当する場合に、燐光体領域82が発光する。
【0069】
「下側」及び「上側」のような方向に関する用語は、本発明の種々の部分が如何に係合するかをより理解しやすくする座標を設定するために、本発明を説明する際に用いている。実際には電子放出デバイスの構成要素は、ここで用いられた方向に関する用語とは異なる位置関係で配置される場合もある。同じことが、製造工程が本発明において行われる方法にも当てはまる。方向に関する用語は便宜上説明を容易にするために用いており、本発明は、その位置関係がここで用いられた方向に関する用語により厳密には網羅されない実施形態も含む。
【0070】
本発明は特定の実施例に基づいて説明されてきたが、この説明は例示に過ぎず、請求の範囲に記載される本発明の範囲を制限するものと見なされるべきではない。例えば、電子集束システムの部分以外の構造体は、島状部56Cを除去する前ではなく、余剰のエミッタ材料層56Bをパターン形成し、島状部56Cを形成した後に部分的に完成したフィールドエミッタ上に形成することができる。リフトオフ及び電気化学的除去以外の技術を用いて島状部56Cを除去することもできる。
【0071】
ブランケット余剰エミッタ材料層56Bのマスク後エッチングは、主制御電極46が一部分ではなく概ね全体が余剰エミッタ材料で覆われるようにして実行され、全ての余剰エミッタ材料が制御電極46間の領域から除去されることもできる。本発明の電気化学的除去手順は、電子放出コーン56Aを露出するためにパターン形成された余剰エミッタ材料島状部56Cを介して開口部を形成するだけの十分に長い時間ではあるが、全島状部56Cを除去されないだけの時間で行われるようになる。これらの2つの変形例を組み合わせることにより、複合制御電極46/50B上に配置された残りの余剰エミッタ材料は電極46/50Bの一部として機能し、その電流の流動量を増加させることができる。
【0072】
余剰エミッタ材料層56Bをパターン形成する際に、マスクしてエッチングする以外の技術を用いて、図4のプロセスの流れにおける島状部56Cを形成することもできる。例えばエミッタ材料を堆積し、コーン56A及び余剰層56Bを形成する前に、フォトレジストのような容易に除去可能な材料部分をフィールドエミッタの領域上に設けることができ、その場合島状部56Cを画定する際に余剰層56Bの部分が除去されることになる。エミッタ材料を堆積した後に、容易に除去可能な材料が除去され、層56Bの上側部分を除去(すなわち剥離)し、それにより島状部56Cが残される。
【0073】
エミッタコーン材料を堆積して電子放出素子56A及び余剰のエミッタ材料層56Bを形成する前に、さらに典型的には誘電体開口部54を形成する前に、ゲート層50Aをパターン形成してゲート部分50Bを形成することもできる。その際主制御電極46と隣接するゲート部分50Bとの組み合わせが、エミッタ材料を堆積する前に複合制御電極46/50Bを形成する。
【0074】
ゲート層50を堆積した後に主制御電極46を形成することもできる。その場合には、制御電極46はゲート部分50Bの下側ではなく、上側に位置する。また主制御電極46及び隣接するゲート部分50Bを、制御アパーチャ48に類似の開口部ではなく、ゲート開口部を有する単層のゲート電極と置き換えることもできる。
【0075】
図2及び図4のプロセスを変更して、円錐形ではない電子放出素子を形成することができる。例えばエミッタ材料の堆積が、エミッタ材料が誘電体開口部54に入る開口部を完全に閉じる前に終了することができる。その際電子放出素子56Aは概ね切頭円錐形の形状で形成される。
【0076】
本発明に従って製造された電子エミッタはフラットパネルCRTディスプレイ以外のフラットパネルデバイスにおいて用いることもできる。それゆえ種々の変更例及び応用例が、添付の請求の範囲に画定されるような本発明の厳密な範囲及び精神から逸脱することなく当業者により行われることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1a】電子エミッタを製造するための従来技術のプロセスにおけるステップを表す断面構造図である。
【図1b】電子エミッタを製造するための従来技術のプロセスにおけるステップを表す断面構造図である。
【図1c】電子エミッタを製造するための従来技術のプロセスにおけるステップを表す断面構造図である。
【図1d】電子エミッタを製造するための従来技術のプロセスにおけるステップを表す断面構造図である。
【図2a】本発明に従って、ゲート制御式フィールドエミッタを製造する際のステップを表す断面構造図である。
【図2b】本発明に従って、ゲート制御式フィールドエミッタを製造する際のステップを表す断面構造図である。
【図2c】本発明に従って、ゲート制御式フィールドエミッタを製造する際のステップを表す断面構造図である。
【図2d】本発明に従って、ゲート制御式フィールドエミッタを製造する際のステップを表す断面構造図である。
【図2e】本発明に従って、ゲート制御式フィールドエミッタを製造する際のステップを表す断面構造図である。
【図2f】本発明に従って、ゲート制御式フィールドエミッタを製造する際のステップを表す断面構造図である。
【図2g】本発明に従って、ゲート制御式フィールドエミッタを製造する際のステップを表す断面構造図である。
【図3a】図2bに対応する構造体の配置図である。図2bの断面は、図3aの面2b−2bに沿って見たものである。
【図3b】図2eに対応する構造体の配置図である。図2eの断面は、図3bの面2e−2eに沿って見たものである。
【図3c】図2fに対応する構造体の配置図である。図2fの断面は、図3cの面2f−2fに沿って見たものである。
【図3d】図2gに対応する構造体の配置図である。図2gの断面は、図3dの面2g−2gに沿って見たものである。
【図4a】本発明に従って別のゲート制御式フィールドエミッタを製造する場合の図2dステップの代わりに用いられるステップを表す断面構造図である。
【図4b】本発明に従って別のゲート制御式フィールドエミッタを製造する場合の図2eステップの代わりに用いられるステップを表す断面構造図である。
【図4c】本発明に従って別のゲート制御式フィールドエミッタを製造する場合の図2fステップの代わりに用いられるステップを表す断面構造図である。
【図4d】本発明に従って別のゲート制御式フィールドエミッタを製造する場合の図2gステップの代わりに用いられるステップを表す断面構造図である。
図5は、本発明により製造されたゲート制御式フィールドエミッタを備えるフラットパネルCRTディスプレイの断面構造図である。

Claims (9)

  1. 一群の制御電極が誘電体層の上側に位置し、電気的非絶縁性エミッタ材料を含む多数の電子放出素子のそれぞれが、前記誘電体層を通って延在する複数の誘電体開口部の対応する1つの中に概ね配置され、前記制御電極を通って延在する制御アパーチャを介して露出され、さらに前記エミッタ材料を含む余剰層が前記制御電極の上側に位置する初期構造体を設ける過程と、
    少なくとも前記電子放出素子の上側の前記余剰層上に保護層を設ける過程と、
    その後前記初期構造体において少なくとも1つの処理動作を実行する過程と、
    その後前記電子放出素子を露出するように前記電子放出素子の上側の前記制御電極上に位置する前記余剰層及び前記保護層の材料を除去する過程とを有し、
    前記初期構造体を設ける過程が、前記余剰層が前記制御電極間の空間において前記誘電体層の部分の上側に位置するように前記初期構造体を形成する過程を含み、
    前記保護層を設ける過程が、前記制御電極間の前記空間において前記誘電体層の上側の前記余剰層上に位置するように前記保護層を形成する過程を含み、
    記保護層を設ける過程と前記少なくとも1つの処理動作を実行する過程との間に、前記制御電極間の前記空間において前記誘電体層の上側に位置する前記保護層と前記余剰層との部分を最初に除去する過程をさらに含み、
    前記少なくとも1つの処理動作を実行する過程が、前記制御電極間の前記空間において前記誘電体層上の少なくとも1つの付加構造の少なくとも一部を形成する過程を含むことを特徴とする方法。
  2. 一群の制御電極が誘電体層の上側に位置し、電気的非絶縁性エミッタ材料を含む多数の電子放出素子のそれぞれが、前記誘電体層を通って延在する複数の誘電体開口部の対応する1つの中に概ね配置され、前記制御電極を通って延在する制御アパーチャを介して露出され、さらに前記エミッタ材料を含む余剰層が前記制御電極の上側に位置する初期構造体を設ける過程と、
    少なくとも前記電子放出素子の上側の前記余剰層上に保護層を設ける過程と、
    その後前記初期構造体において少なくとも1つの処理動作を実行する過程と、
    その後前記電子放出素子を露出するように前記電子放出素子の上側の前記制御電極上に位置する前記余剰層及び前記保護層の材料を除去する過程とを有し、
    前記初期構造体を設ける過程が、前記余剰層が前記制御電極間の空間において前記誘電体層の部分の上側に位置するように前記初期構造体を形成する過程を含み、
    前記保護層を設ける過程が、前記制御電極間の前記空間において前記誘電体層の上側の前記余剰層上に位置するように前記保護層を形成する過程を含み、
    記保護層を設ける過程と前記少なくとも1つの処理動作を実行する過程との間に、前記制御電極間の前記空間において前記誘電体層の上側に位置する前記保護層と前記余剰層との部分を最初に除去する過程をさらに含み、
    前記少なくとも1つの処理動作を実行する過程が、前記制御電極間の前記空間において前記誘電体層上に集束システムの一部を形成する過程を含むことを特徴とする方法。
  3. 一群の制御電極が誘電体層の上側に位置し、電気的非絶縁性エミッタ材料を含む多数の電子放出素子のそれぞれが、前記誘電体層を通って延在する複数の誘電体開口部の対応する1つの中に概ね配置され、前記制御電極を通って延在する制御アパーチャを介して露出され、さらに前記エミッタ材料を含む余剰層が前記制御電極の上側に位置する初期構造体を設ける過程と、
    少なくとも前記電子放出素子の上側の前記余剰層上に保護層を設ける過程と、
    その後前記初期構造体において少なくとも1つの処理動作を実行する過程と、
    その後前記電子放出素子を露出するように前記電子放出素子の上側の前記制御電極上に位置する前記余剰層及び前記保護層の材料を除去する過程とを有し、
    前記初期構造体を設ける過程が、前記余剰層が前記制御電極間の空間において前記誘電体層の部分の上側に位置するように前記初期構造体を形成する過程を含み、
    前記初期構造体を設ける過程と前記保護層を設ける過程との間に、前記制御電極間の前記空間において前記誘電体層の上側に位置する前記余剰層の部分を最初に除去する過程をさらに含むことを特徴とする方法。
  4. 前記保護層を設ける過程が、前記制御電極間の前記空間において前記誘電体層の上側に位置するように前記保護層を形成する過程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記材料を除去する過程が、
    前記電子放出素子の上側の前記制御電極上に位置する前記保護層の垂直方向に露出した材料を除去する過程と、
    前記電子放出素子の上側の前記制御電極上に位置する前記余剰層のエミッタ材料を電気化学的に除去する過程とを有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記初期構造体を設ける過程が少なくとも(a)前記制御電極と、(b)前記制御電極の上側に位置する前記余剰層のエミッタ材料との間に位置するリフトオフ層を前記初期構造体に設ける過程を含み、
    前記材料を除去する過程が、少なくとも前記制御電極の上側に位置する前記余剰層の材料を除去するように前記リフトオフ層を除去する過程を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの処理動作を実行する過程が、前記制御電極間の前記空間において前記保護層上の少なくとも1つの付加構造の少なくとも一部を形成する過程を有することを特徴とする請求項3乃至6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つの処理動作を実行する過程が、前記制御電極間の前記空間において前記保護層上に集束システムの一部を形成する過程を含むことを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の方法。
  9. 一群の制御電極が誘電体層の上側に位置し、電気的非絶縁性エミッタ材料を含む多数の電子放出素子のそれぞれが、前記誘電体層を通って延在する複数の誘電体開口部の対応する1つの中に概ね配置され、前記制御電極を通って延在する制御アパーチャを介して露出され、さらに前記エミッタ材料を含む余剰層が前記制御電極の上側に位置する初期構造体を設ける過程と、
    少なくとも前記電子放出素子の上側の前記余剰層上に保護層を設ける過程と、
    その後前記初期構造体において少なくとも1つの処理動作を実行する過程と、
    その後前記電子放出素子を露出するように前記電子放出素子の上側の前記制御電極上に位置する前記余剰層及び前記保護層の材料を除去する過程とを有し、
    前記初期構造体を設ける過程が、前記制御電極に隣接し、前記制御電極間の空間内に延在し、さらに前記余剰層の下側に位置する電気的非絶縁性のゲート層を前記初期構造体に設ける過程を含み、
    各電子放出素子が前記ゲート層を通って延在するゲート開口部を介して露出され、
    前記誘電体開口部が、前記誘電体開口部からなる複数の横方向に離隔した組に配置され、各制御アパーチャが誘電体開口部の前記組の異なる1組上に配置され、
    前記初期構造体を設ける過程と前記少なくとも1つの処理動作を実行する過程との間に、前記制御電極間の前記空間において前記誘電体層の上側に位置する前記ゲート層部分を除去する過程をさらに含み、各制御電極及び前記ゲート層の残りの隣接する材料が複合制御電極の少なくとも一部を形成することを特徴とする方法。
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