JP3613277B2 - ディジタル加入者線伝送方法及びxDSL装置 - Google Patents
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Description
本発明は、既設された電話線と呼ばれる加入者線(以下、メタリック回線と表記する箇所がある)を使って電話と併存しながら高速データ伝送を行うデジタル加入者線伝送方式(xDSL: Digital Subscriber Line)伝送方式に関し、特に、周期性雑音環境下における通信の信頼性を向上したデジタル加入者線伝送方式に関する。
xDSLには伝送速度等の違いによりHDSL、SDSL、ADSL、VDSL等の多様な技術があり、これらを総称してxDSLと呼ばれる。
その中で、ユーザ宅からセンタへの上り伝送速度が160〜640kbps、センタからユーザ宅への下り伝送速度が1.5〜9MbpsであるADSL(非対称型ディジタル加入者線:Asymmetric DSL)に適用したものを一例として以下概略説明する。
センタとユーザ宅とは銅線でできている既設のメタリック回線で繋がれており、センタには周波数に応じて信号を分離するスプリッタを介して交換機とセンタモデムとが接続されている。このスプリッタにより電話音声に使っている4kHz程度の低周波数帯域の信号とADSLモデムが変調に使う高周波数帯域を分離できる。一方ユーザ宅にもスプリッタが上記メタリック回線に接続されており、このスプリッタを介して一般の電話機とADSLを行うための専用モデムとパソコン(PC)が接続される。
なお、周波数分離用としてスプリッタを用いないスプリッタレス型ADSLシステムも知られている。
上述のようなADSL方式を用いることで、最高7Mビット/秒程度の高速ディジタル信号を伝送することが可能となり、高速のインターネットアクセスやビデオオンデマンドの用途に利用される。
このようにADSL方式は、従来の電話信号と高速のデータ伝送を、同じ線路上
で併存させようとするものであり、新たに例えばISDN等の高速伝送用の線路
を敷設することなく、従来のメタリック回線(電話線)をそのまま活用して、高
速ディジタル伝送サービスを提供し得るものである。
【従来の技術】
メタリック回線上の高周波帯域を使って信号を伝送する従来のADSLに用いられているディジタル伝送方式としては、CAP(Carrierless Amplitude Phase modulation)と呼ばれる、上りと下りの信号に一つずつのキャリアを使用して高速
データを行う単一搬送波伝送方式や、DMT(Discrete Multitone Transmission)と呼ばれる、上りも下りも複数個のキャリア(搬送波)にデータを振り分けて高速データ伝送を行う多搬送波方式が知られていた。
【発明が解決しようとする課題】
以下、図面を用いて本発明の技術的背景及び課題を説明する。
図7は、周期性漏話雑音環境を説明する図である。
図中、局側において、OCUはISDN局用ユニット、ATU−Cは局側ADS
L装置、加入者側において、DSUはISDN加入者用ユニット、ATU−Rは
加入者側ADSL装置を示し、それぞれの対向する装置間はメタリック回線上で
接続されている。ここでは、OCU及びDSU間の回線をISDN回線、ATU
−C及びATU−R間の回線をADSL回線と呼ぶ。
ISDN回線上のOCU/DSU間通信は、所謂ピンポン伝送が行われている。
すなわち、2.5Msのフレーム周期を時分割し、上り(加入者側から局側へ)/下り(局側から加入者側へ)のデータ送信タイミングとして使用している。
ISDN回線に隣接するADSL回線は、ISDN回線から漏話雑音によって影響を受ける。ADSLからみたISDNからの漏話雑音は、あるADSL装置からみて近い方のISDN装置(例えばATU−RからみてDSU)の送信タイミングにおいて強く影響する。これを近端漏話雑音(NEXT : near end cross talk)という。
また、遠い方のISDN装置からの漏話雑音の影響は比較的弱く、これを遠端漏話雑音(FEXT : far end cross talk)という。つまり、NEXTの影響を受ける区間(以下、単に高雑音区間)はADSL回線上のDMT変調された信号(以下、単にDMTシンボルと呼ぶことがある)のS/Nが劣化しやすく、FEXTの影響を受ける区間(以下、単に低雑音区間)ではS/Nが比較的良好となる。
したがって、ADSL回線はISDN回線からの周期的な漏話雑音の影響を受ける。このような雑音環境を周期性漏話雑音環境と呼ぶ。
DMT変調方式のADSLトランシーバでは、DMTシンボルについて、送信用、受信用ともに、各キャリアへのビット割り付けを決定するビットマップを有している。ADSL回線が近接するTCM−ISDN回線等からの周期性雑音の影響を受ける環境では、これらの送受信用ビットマップを高雑音区間(NEXT : near end cross talk)と低雑音区間(FEXT : far end cross talk)とでそれぞれ2個使用することが検討されている。このような形態は、DBM(Dual Bit Map)方式とも呼ばれる。
図2は、DBM/SWB方式のビット割り付けを説明する図である。
図2に示すように、上記雑音区間に応じて、予め用意したビットマップ(図中、AまたはBで示す)が選択され、各キャリアへのビット割り付けが実行される。
ここでは、局側のADSL装置(ATU−C)を例に説明する。TCM−ISDNの400Hzタイムリファレンス(1)に対して、各雑音区間(2)が存在する。局側のADSL装置(ATU−C)は、送信すべきDMTシンボル(3)へ各雑音区間に対応するビットマップ(4)を適用する。
DMT変調方式の周期性雑音環境下への対策において、さらに有効な方式としては、本出願人は先の出願(特願平10−144913号)でSWB(Sliding Window Bitmap)方式を提案した。SWB方式では、TCM−ISDNタイミングリファレンス(400Hz)の34回(#0〜#33)に対して、DMTシンボル345個(#0〜#344)が対応付けられ、ハイパーフレームが定義されている。さらに、SWB方式では、送信側ADSL装置(ATU−C/R) が、上記ハイパーフレーム内シンボルのうち受信側FEXT区間に確実に受信されるタイミングにあたるシンボルを特定するためのスライディングウインドウに応じてシンボルを送信する。
DBM/SWB方式はともに、通信に使用する加入者線路が、例えばTCM−ISDNからの周期性雑音等の影響を受ける環境下にあることを想定している。
そこで、DBM/SWB方式では通信開始時等にNEXT側およびFEXT側のそれぞれのS/N等を測定し、それぞれ一定の基準(例えばS/Nマージン等)でビットマップの割り付けを行う。
ここで、ADSLの雑音環境について別の観点から考える。
例えば米国のISDN等では、送信すべきユーザからのデータが無いときでも絶えず信号を送受信しており、ランダムなデータを流している。これは常時接続型と呼ばれる。この常時接続型の場合は、新規ISDN加入者が近くの回線に加入しないかぎり雑音環境の変化は少ない。
一方、これに対し、TCM−ISDNの中には、例えば日本におけるcall by call方式等のように、呼が発生している間のみ信号を送受信する場合がある。このcall by call方式等を採用する地域においては、ADSL回線に隣接するISDN回線が特定されている環境であっても、当該ISDN加入者が通信するたびに、その回線に隣接するADSLの加入者に対してISDNからのクロストークノイズが断続的に発生し、ADSL側の伝送レートが劣化するという状況が発生する。
すなわち、ADSLに対してクロストークノイズを生じ得るISDN加入者の通信が一時的に非通信状態にあるときに上記イニシャライゼーションを行った場合、NEXT区間、FEXT区間ともにこのとき測定されたS/N特性値に基づいて所定のS/Nマージン等が設定される。
しかし、ISDN加入者の通信が一時的な非通信状態から通信状態に遷移すると、イニシャライゼーションの際に検出されなかった一定量のクロストークノイズが連続して発生することにより、ADSL伝送路上のデータが影響を受け、多量のエラーが誘発される。この影響は特にNEXT区間において顕著である。また、その影響の度合いによっては、ADSL通信の途絶にも繋がる場合がある。このことは、ADSL回線の品質及び信頼性の低下を意味する。
この問題は、上述したように、ADSLトランシーバが周期雑音に応じて2つのビットマップを用いる場合、S/Nに応じてこのとき個々のビットマップへのビット割り付けを行う際には両者とも共通の判定基準(例えば同一のS/Nマージン)が用いられることに起因する。
次に、上述とは別の技術的課題について検討する。
加入者側のPOTSスプリッタを有しないスプリッタレス型ADSL通信システムにおいては、POTSからの影響により回線の特性が大きく変化し、ADSL通信中のデータ伝送ができなくなる場合を考慮する必要がある。この影響は、例えばADSL通信システムが使用する回線に接続された電話機のOn-hookからOff-hookへの変化等によって生じ得る。
このようなスプリッタレス型ADSL通信システムにはFast Retrain機能を実装することが有効である。この機能は、回線の状態別にADSLトランシーバの通信中のパラメータを前もって記憶し再利用する処理を行う。すなわち、回線の状態が変化したとき、以前記憶されたパラメータから変化後の状態と近い状態のパラメータを検索し、もし同様の状態が存在すると、そのパラメータをトランンシーバーのパラメータとして設定し、再び通信を開始するものである。なお、この記憶されたパラメータのセットをプロファイル(Profile)と呼ぶ。例えば、スプリッタレス型ADSL通信システムの1つであるG.liteでは最大16種類のプロファイルを記憶するように定められている。
上記のような処理により、回線の状態や周囲の雑音環境が変化したことによりADSLトランシーバの伝送レートが劣化しても、比較的速やかに回復する(例えば数秒程度)ことが可能となる。
一方、例えばG.lite等のスプリッタレス型ADSL通信システムはパソコンに内蔵される使用形態を想定している。そこで、消費電力を抑えるため、非通信時に
は送信信号を出さず内部回路動作を極力抑制する機能を採用することも検討され
ている。この機能は、Power ManageMent機能とよばれ、特に携帯用パソコン等の消費電力を抑制する必要のある機器に対しては、非常に重要な機能である。
すなわち、例えば携帯用パソコンに実装され、電源を供給されるADSLトランシーバのPower ManageMent機能は、パソコンを使用しているが通信はしていないような場合に、ADSLトランシーバをパワーダウンさせる等により消費電力を下げ、パソコンのバッテリー駆動時間を増大させる役割を果たすものである。
しかしながら、ADSLトランシーバを一度パワーダウンさせてデータ通信を中断した後、再び通信を始めるためには、ADSLトランシーバに対して上述のような各種通信パラメータを再び最初から設定することが必要となる。この最初からの通信パラメータの設定をイニシャライゼーション(initialization)と呼ぶ。イニシャライゼーションは、通常、ADSL装置に初めて電源が投入されたとき等、ADSL通信を初期状態から開始する場合に適用されるものである。
このイニシャライゼーションには、相当の時間(数十秒程度)を要するものであるが、上述のようなPower ManageMent機能による通信再開処理にFast Retain機能を利用すれば、数秒で再開可能となることが期待できる。
しかしながら、周期雑音環境下におけるFast Retain機能には、以下に述べるような課題がある。
以下、周期性漏話雑音環境のFast Retrain機能について考える。
図6は、加入者起動によるFast Retrainシーケンスを説明する図である。ここでは、Fast Retrainシーケンスの先頭部分のみについて示している。
図6において、ATU−Rから再起動がかかったとき、R−RECOVという信号が発信され、その後ATU−C側からC−RECOVが返信される。C−RECOV信号には、PLL同期のための276kHz専用のサイン周波数信号とバースト同期にための207kHzのサイン信号が含まれている。
図6に示すFast Retrainシーケンスでは、このC−RECOVからC−REVERB−FR1という信号をATU−Rで受信し、その信号によりPLLのタイミング再生とバースト周期同期を実施する。
しかし、C−RECOV信号の送出時間は短く、その後、ランダム信号として送出されるREVERB信号を用いてバースト周期同期をとることが必要となる。
ところが、このREVERB信号にはPLLの同期用に276kHzの単一サイン信号が含まれているが、バースト周期同期専用の信号は含まれていない。
以下、加入者側ADSL装置(ATU−R)からのFast Retrainシーケンスに対して周期性雑音環境の及ぼす影響とその課題について考える。
まず、Fast Retrainシーケンスを使用する場合は、主に2つある。
(a) 通常通信している状態(この状態をSHOW TIMEと呼ぶ)から併設の電話機がoff-hookされ、回線の状態が急変することにより通信が途絶える場合。この場合は、以前のoff-hook後の通信パラメータのプロファイルを再びロードし、すばやく通信を回復させることが可能である。
(b) パソコン等に内臓された場合、通信していなくて、パソコンを使用している場合、バッテリーを長持ちさせるために、トランシーバの消費電力はカットする。この時、送信信号も出さない。そして、再度通信を開始しようとした時、通信
に必要なタイミング再生や回線のパラメータの再ロードを高速に実施、すばやく
再通信可能とさせる。
ここで、Fast Retrainシーケンスにおいては、その初期に実施するPLLの高速
引き込みとATU−R側でのTCM−ISDNのバースト周期(FEXT区間とNEXT区間)の高速同期(検出)が非常に重要である。
上記(a)の場合については、直前まで通信をしていたため、ATU−CとATU−Rのタイミング再生のためのPLLの係数の変動は少ないため周波数の引き込みは短い時間で達成でき、バースト周期同期にも時間を割り当てることができる。そのため、Fast Retrainは、図6に示すFast Retrainシーケンスで対応可能である。
しかし、上記(b)の場合、通信を停止してからの時間が長いと特にPLLの同期に比較的長時間を要するため、上述したようにREVERB信号送出終了までの所定時間内に確実にバースト周期同期を完了することが非常に困難である。
したがって、ここでの課題を整理すると、日本のTCM−ISDNクロストークノイズのような周期性漏話環境下においてFast Retrainシーケンスを実装する場合には、ATU−R側でそのTCM−ISDNクロストークノイズの周期(これをバースト周期と呼ぶ)を検出し、NEXT区間およびFEXT区間を推定し、その周期に同期して信号を送信する必要がある。さらに、このバースト周期を検出するための効果的手順および処理方法が提供される必要がある。
以下、デジタル加入者線伝送方式における周期性漏話雑音環境に起因する更に別の課題について検討する。
TCM−ISDNによる周期性漏話雑音環境下での伝送レートの劣化を防ぐためには、DBM方式のように送信ビットマップを周期性雑音に対応させることが有効であることはすでに述べた。しかしこれまでのADSL分野においては、TCM−ISDN回線からADSL回線への影響を主に考慮しており、ADSL回線からTCM−ISDN回線へ与える影響の考慮については必ずしも十分になされていなかった。
したがって、ADSL回線からTCM−ISDN回線へ与える影響を考慮したデジタル加入者線伝送方式が提供されることが望まれる。
以下、デジタル加入者線伝送方式における更にまた別の課題について検討する。
図21は、従来の伝送レート決定シーケンスを説明する図である。ここでは、シーケンスの関係する部分のみについて示している。
ADSLでは、伝送レートを局側ADSL装置(ATU−C)が決定する。本機能は、加入者側ADSL装置(ATU−R)が下り方向の最大伝送容量(以下、Bmaxと呼ぶ。)を局側ADSL装置(ATU−C)が伝送レートを決定する前に通知することで可能としている。
図22は、緩衝バッファによる遅延を説明する図である。
上記最大伝送容量を通知することは、ADSLが周期性雑音環境下において通信する場合であっても同様に行われる。この場合は、周期性漏話雑音の量によってNEXT区間とFEXT区間とで伝送レートが異なるが、ユーザからみたADSL回線の伝送レート(単にユーザ・データ・レートと表記する箇所がある)は一定にしなければならない。そのため、このような雑音区間毎の伝送レートの違いを吸収するように緩衝バッファを設ける必要があり、この緩衝バッファにより伝送遅延が生じることは避けられない。上記緩衝バッファによる伝送遅延は、現在の技術では最大で約5MSec(送信側のみでは最大約4MSec)である。
上述したような遅延は音声通話サービス等にとって望ましくないため、これを抑制する手段の提供が望まれる。
以下、デジタル加入者線伝送方式における更にまた別の課題について検討する。
図27は、ADSL通信状態とATM−Layerの警報状態との関係を説明する図である。
以下、図27を参照ながら、ADSLの上位通信プロトコルとしてATMが用いられる場合の課題を考える。
上述した従来のスライディングウインドウ方式(SWB方式)の下でFast Retrainシーケンスを実行した場合では、トレーニング終了までに少なくとも3.5秒以上(例えば3.8秒程度)を要する。しかしながら、ATM−Layerのcontinuity checkが接続断と見なす監視時間は3秒±0.5秒であるため、例えば、Off-hook等でFast Retrainを行っているうちにATM−Layerが警報状態になってしまう恐れがあった。
本発明は、以上述べたような課題を解決し、デジタル加入者線伝送方式において、周期性雑音環境下における通信の信頼性を向上することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
本発明は、周期性雑音環境下のDMT(Discrete MultiTone)変調方式を使用したADSL通信において、以下の特徴を有するものである。
すなわち、本発明の第1の側面では、TCM−ISDN漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を通信回線として利用し、スライディングウインドウ方式で高速データ通信を行う局側と加入者側との間で、通信再開処理であるファストリトレインシーケンスを使用するデジタル加入者線伝送方法において、前記ファストリトレインシーケンスで、局側からC−RECOV信号を受けてPLL同期トレーニング及びTCM−ISDNバースト(FEXT区間とNEXT区間)同期トレーニングを行うステップと、PLL同期及びTCM−ISDNバースト同期が確立した後、R−RECOV2信号を加入者側から局側へ送信するステップと、局側で、C−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移させる契機となるR−RECOV2信号を受信した後、C−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移するステップとを有する。
また、本発明の第2の側面によれば、前記R−RECOV2信号は、単一正弦波信号である。
また、本発明の第3の側面によれば、TCM−ISDN漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を通信回線として利用し、スライディングウインドウ方式で高速データ通信を行う局側と加入者側との間で、通信再開処理であるファストリトレインシーケンスを使用する加入者側xDSL装置において、前記ファストリトレインシーケンスで、局側xDSL装置からC−RECOV信号を受けてPLL同期トレーニング及びTCM−ISDNバースト同期トレーニングを行う手段と、PLL同期及びTCM−ISDNバースト周期同期が確立した後、局側xDSL装置でC−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移させる契機となるR−RECOV2信号を局側xDSL装置へ送信する手段とを有する。
また、本発明の第4の側面によれば、前記R−RECOV2信号は、単一正弦波信号である。
また、本発明の第5の側面によれば、TCM−ISDN漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を通信回線として利用し、スライディングウインドウ方式で高速データ通信を行う局側と加入者側との間で、通信再開処理であるファストリトレインシーケンスを使用する局側xDSL装置において、前記ファストリトレインシーケンスで、加入者側xDSL装置へC−RECOV信号を送信する手段と、加入者側xDSL装置から、C−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移させる契機となる前記R−RECOV2信号を受信する事で、該C−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移する手段を有する。
また、本発明の第6の側面によれば、前記R−RECOV2信号は、単一正弦波信号である。
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
[1] 本発明の第1の実施態様
図1は、DMT変調方式における送受信器の要部を示す機能ブロック図である。
ここでは、メタリック回線を介して対向するADSLモデム装置における送受信器(トランシーバ)の対向する送信部と受信部について図示している。同図は、DMT変調方式のADSLトランシーバの構成を機能的に示したものであり、実装時は各機能をDSP(Digital Signal Processor)チップ上のソフトウエアで構成されることが通常である。
本発明のデジタル加入者線伝送方式においては、従来同様、NEXT区間とFEXT区間のS/Nを個別に測定する。また、そのS/N測定結果に基づいてFEXT区間とNEXT区間のそれぞれのビットマップとゲインテーブルの値を決定する。但し、断続的に変化する周期性漏話雑音環境に対しても十分な余裕を持ち、またこのような環境においても雑音環境の変化に迅速に対応するため、以下の点で従来と異なった動作を行う。
すなわち、本発明では、エラーレートの測定や、S/Nマージン等の各種通信パラメータをFEXT区間とNEXT区間とで独立に設定可能とし、かつ、通信状態の継続か、切断かなどの判断基準も独立に設定するものである。
図3は、S/N測定時における受信シンボルの雑音区間定義を説明する図である。
加入者側装置(ATU−R)は、通信起動時に自装置の最高伝送容量を決定するためのS/N測定を行う。DBM/SWB方式では、このS/N測定は雑音区間毎(NEXT/FEXT)に行うので、それぞれの雑音区間に対して正しいS/N測定区間を定義する必要がある。ここでは、S/N測定区間は図3に示すごとく定義する。
すなわち、1シンボル目のDMTシンボルが受信400Hzの先頭に同期している場合、n個目のシンボルを何れの区間としてS/N計算を行うかは次式で与えられる。
S = (272 * (n-1)) mod 2760 としたとき
if [ ( S < (a-271)) or (S > (a+d+e+f)) ]
then FEXT区間 (B区間用S/N測定)
if [ (a+d) < S < (a+d+e-271) ]
then NEXT区間 (A区間用S/N測定)
なお、何れの条件も満たさない受信シンボルはS/N測定対象外とする。このように雑音区間を定義することにより、各雑音区間の雑音レベルを正確に測定することができる。
図4は、各周期雑音区間毎のS/N測定を行う手段を示す図である。
ADSLトランシーバにおいて、各周期雑音区間毎のS/Nマージンを独立に設定する構成を図4に示す。
すなわち、受信データとして得られたDMTシンボルは復調機210によって復調され、リファレンス220と比較される。一方、受信データは分周器240に印可され位相合わせされた400Hzクロックを出力しており、このクロックを元に位相判定部250が周期雑音区間の位相を判定する。
上記リファレンスと比較されて得られるエラー情報は、上記受信位相判定部250の判定結果にしたがい、セレクタ260によって振り分けられてNEXT区間S/N測定器270又はFEXT区間S/N測定器280へと入力される。そして、各測定器によって測定されたS/Nを元に伝送bit数換算器290が各キャリアのNEXT/FEXTにおけるビット数bNEXT/bFEXTをそれぞれ出力する。この伝送bit数換算器290には、各周期雑音区間毎のS/Nマージンを設定しておく。
このような構成によりNEXT区間とFEXT区間においてそれぞれ独立にS/Nが測定し、各周期雑音区間毎のS/Nマージンを設定することができる。
図5は、ビットマップの定義を説明する図である。
さらに、本発明のデジタル加入者線伝送方式では、上述したような断続的なTCM−ISDNの周期性漏話雑音によるNEXT区間のみの伝送品質劣化の問題を回避するため、NEXT区間についてS/Nマージンをあらかじめ大きく設定する等、著しい回線品質の劣化に備えた処置を予め施すものである。
例えば、FEXT区間のS/Nマージンを6dB程度とし、これに対してNEXT区間のおけるS/Nマージンを12dB程度とFEXT区間より大きくしておく。これは、最初からNEXT区間に割り当てられる伝送容量を低く抑えておくことを意味する。
また、別の例として、FEC(Forward Error Correction)のパラメータ設定をNEXT区間とFEXT区間で別々に設定することも考えられる。FECには、リードソロモン符号やインターリーブなどがあり、そのパラメータとしては、SとR(リードソロモン)、D(インターリーブ)をNEXT区間とFEXT区間で別々に設定することができる。この場合も、予め回線品質が劣化しても良いように、NEXT区間に対してはFEXT区間に比してエラー訂正効果が十分強くなるような値を選択すると良い。
以上の各設定パラメータは、例えばFast Retrain用にProfileとして保持することができる。FEXT区間用とNEXT区間用のProfileは従来のようにセットとして番号を付けて管理することが可能であり、また、別々に管理する事も可能である。
セットとして番号を付けて管理する場合、ADSL回線に影響を及ぼすピンポン伝送回線が複数ある場合は、Profileの数が多くなる傾向がある。
そこで本発明では、例えばFEXT区間用とNEXT区間用のProfileを独立に番号を付けて管理し、Fast Retrain時のProfile番号の指定をFEXT用/NEXT用別々に指定する。こうすることにより、断続的に変化する周期性漏話雑音環境下においてProfile記憶用のメモリ容量の増大を抑制することが可能である。
[2] 本発明の第2の実施態様
図8は、本発明の加入者起動によるFast Retrainシーケンスを説明する図である。ここでは、本発明により改良されたFast Retrainシーケンスの先頭部分のみについて示している。
本発明では、上述のような加入者側ADSL装置(ATU−R)からのFast Retrainシーケンスにおけるバースト同期を確実にとるため、次のような新たなFast Retrainシーケンスを提案する。
すなわち、加入者側ADSL装置(ATU−R)からのFast Retrainシーケンスが起動されると、局側ADSL装置(ATU−C)からC−RECOV信号を送出しつづける。
ここで、これを受けた加入者側ADSL装置(ATU−R)でPLL同期及びバースト同期を確立した後に、REVERB信号に遷移するための新たな信号を定義し、加入者側ADSL装置(ATU−R)から送信する。そして、その信号を局側ADSL装置(ATU−C)が受信した後、REVERB信号の送出へと状態を遷移させる。
この遷移の契機となる信号をR−RECOV2として定義する。この信号は、R−RECOVから周波数を変えた単一正弦波信号とする。
このように本発明によれば、日本のTCM−ISDNクロストークノイズのような周期性漏話環境下においてFast Retrainシーケンスを実装する場合に、加入者側ADSL装置(ATU−R)でバースト周期を確実に検出し、NEXT区間およびFEXT区間を推定し、その周期に同期して信号を送信することができる。
[3] 本発明の第3の実施態様
局側装置(ATU−C)は、加入者側装置(ATU−R)の初期トレーニングの為に、周期雑音区間の通知を行わなければならない。以下、初期トレーニング時の雑音区間の通知方法について説明する。
図9は、周期雑音区間の通知方法を説明する図である。図9では、400Hzの送信(通知)方法を示している。ここで、雑音区間を通知する信号の変調方式として、雑音の少ない周波数のキャリアを選択している。
図10は、DMTシンボル毎の送信パターンを説明する図である。雑音区間(FEXT/NEXT)に対応するパターンとして、位相の90°ずれた4値QAMシンボル2つを交互に送信する事により、雑音区間を通知することができる。図中、A,Bで示される点は、4値QAM座標上における上記送信パターンの配置例である。
図11は、初期トレーニング時の雑音区間通知のためのシンボルパターン定義を
説明する図である。
図11により、上記雑音区間通知を行う際の雑音区間の定義を示す。
すなわち、1シンボル目のDMTシンボルが400Hzの先頭に同期している場合、n個目のシンボルが加入者側で何れの区間となるかは次式で与えられる。
「S = (256 * (n-1)) mod 2760 としたとき
if [ ( S < (a-255)) or (S > (a+b)) ]
then FEXT区間
if [ (a-255)≦ S≦ (a+b) ]
then NEXT区間 」
図12は、シーケンス切り替えシンボルの送出タイミングを説明する図である。
次に、ADSL装置は、初期トレーニング中に、次のシーケンスに移行する通知を一定個数の切り替え表示シンボルで行うが、この切り換えシンボルの先頭が加入者側装置のFEXT区間に到着するように規定し、確実に通知できるものとする。図13は、400Hz同期部の全体ブロック部図である。図14は、手順1におけるスペクトラムを説明する図である。図15は、手順2におけるスペクトラムを説明する図である。図16は、手順3におけるスペクトラムを説明する図である。図17は、復調部の構成を示す機能ブロック図である。図18は、波形抽出部の構成を示す機能ブロック図である。図19は、判定部の構成を示す機能ブロック図である。
以下、図13〜19を参照しながら、上記通知信号を実際に検出するための実現方法について述べる。
周期雑音区間の通知は、雑音の少ない周波数のキャリア(例えば48番目: #48)を使って伝送する。この時、PLL同期用にPilot toneも送出されている。
本信号から、下記の手順に従い、周期雑音区間の通知信号を抽出する。なお、図13〜図19は、サンプリング周波数が1.104MHzの例を示すものである。
1)まず、帯域通過フィルタBPFにより、キャリア#48を抽出する (手順1)。
このときのスペクトラムを図14に示す。
2)次に、上記抽出した信号をキャリア#48の周波数で復調し、ベクトル信号を得る(手順2)。すなわち、ベクトル信号は抽出信号に余弦信号(周波数はキャリア#48と同一,得られたものは実軸成分)をかけ、又、抽出信号に正弦信号(周波数はキャリア#48と同一,得られたものは虚軸成分)をかけることで得られる。復調後のスペクトラムを図15に示す。上記復調は、例えば図17に示す復調器を用いて行うことができる。
3)上記手順2で復調して得られたベクトル信号は、ベースバンド成分と、高域にシフトされた成分とをもつ。そこで、このベクトル信号を低域通過フィルタに通し、ベースバンド信号のみを抽出する(手順3)。抽出後のスペクトラムを図16に示す。
4)さらに、上記ベースバンド信号に、それを遅延(例えば、1.104MHzサンプリングで64サンプル遅延)した信号の複素共役を乗算する(手順4)。これにより、FEXT→NEXTの遷移は-90°,NEXT→FEXTの遷移は+90°として現れる。この波形抽出は、例えば図18に示す波形抽出部を用いて行うことができる。
5)上記手順4の乗算結果に対し、その実軸成分と虚軸成分の和, および実軸成分と虚軸成分の差をとり遷移の判定を行う(手順5)。これにより判定を符号で行うことができ、かつノイズ分を若干低減することが期待できる。
判定方法は、
実軸成分+虚軸成分が負: FEXT→NEXTの遷移
実軸成分−虚軸成分が負: NEXT→FEXTの遷移
その他 :遷移無し
である。
上記判定は、例えば図19に示す構成の判定部を用いて行うことができる。
なお、図17及び図18に示す復調部及び波形抽出部の回路ブロックは、図13に示す400Hzクロック同期部の復調部、波形抽出部にそれぞれ適用され得るものである。
このように本発明によれば、日本のTCM−ISDNクロストークノイズのような周期性漏話環境下においてFast Retrainシーケンスを実装する場合に、加入者側ADSL装置(ATU−R)でバースト周期を検出するための効果的手順および処理方法が提供される。
[4] 本発明の第4の実施態様
図20は、ADSL回線からISDN回線への漏話を説明する図である。
図20に示すように、ADSL回線からTCM−ISDN回線へ与える影響を考慮すると、下り側での影響は強く、反対に上り側では弱いものである。これは、ADSL回線では上り側信号と下り側信号とで、使用するキャリア周波数帯域が異なるためである。特に、加入者側においては、ADSLからISDNへのNEXT区間雑音の影響は比較的小さいことに着目すべきである。
そこで、本発明では周波数帯域の低い領域を使用するADSLの上り(Upstream)側は、連続信号を使用し、広い周波数帯域を使用する下り(Downstream)側は、TCM−ISDNと同期させたバースト信号を送信することを提案する。
すなわち、局側ADSL装置(ATU−C) は、例えばSWB方式のスライディングウインドウ内シンボルのように、加入者側ADSL装置(ATU−R)側のFEXT区間にのみデータを送信する。加入者側ADSL装置(ATU−R)側は、局側ADSL装置(ATU−C) のNEXT区間及びFEXT区間にデータを送信する。
このようにすることで、TCM−ISDN回線への影響を抑制しつつ、ADSL回線の上り側の伝送容量を増大させることができる。
また、TCM−ISDN回線へ与える影響の考慮されたデジタル加入者線伝送方式を提供することができる。
[5] 本発明の第5の実施態様
図29は、ハイパーフレームの構造を説明する図である。ここでは、局側からの送信フレームパターンを例示している。図中、斜線部分はスライディングウインドウ内シンボル(inside symbol)、S,Iはそれぞれ同期シンボル(synch symbol),反転同期シンボル(inverse synch symbol)を示し、それら以外のシンボルはスライディングウインドウ外シンボル(outside symbol)を示す。
図29に示すように、SWB方式のADSLのフレームは、TCM−ISDNタイミングリファレンス(400Hz)の34回(#0〜#33)に対して、DMTシンボル345個(#0〜#344)が対応付けられ、ハイパーフレームとして定義される。例えば、第1フレーム(#0)に対応する第1〜第4番目のDMTシンボルはスライディングウインドウ内シンボルとして使用される。スライディングウインドウ内シンボルは受信側の加入者ADSL装置(ATU−R)でFEXT区間に受信される。
スライディングウインドウ内シンボルは、TCM−ISDNタイミングリファレンス(400Hz)に対応するフレーム毎にみると3〜4個のDMTシンボルが選択されていることが分かる。これは受信側の加入者ADSL装置(ATU−R)において確実にFEXT区間で受信される(NEXT区間と重ならない)ようにするためである。
このことは、局側(ATU−C)に限らず、加入者側(ATU−R)にも言えることである。
反対に、例えば局側(ATU−C)のNEXT区間にて受信されるように、加入者側(ATU−R)より送信されるDMTシンボルは、5〜7個である(ここでは図示せず)。
本発明は、上記遅延の問題を解決するためにATU−Rが下り最大伝送容量であるBMaxを通知する際に、伝送遅延最小で伝送可能な容量を通知することで、伝送遅延を低減させるプロトコルを提案する。以下、伝送遅延最小で伝送可能な容量をB−FASTmaxと呼ぶ。
図23は、本発明の伝送レート決定シーケンスを説明する図である。
図23に示すように、本発明の伝送レート決定シーケンス実行時においては、加入者側ADSL装置(ATU−R) は局側ADSL装置(ATU−C)が伝送レートを決定する前に、Bmax及びB−FASTmaxを計算し、ランダムパターン後のメッセージ送出タイミングにてBMax及びB−FASTmaxを含むメッセージを局側ADSL装置(ATU−C)に向けて送出する。
次に、このB−FASTmaxの具体的な決定方法について詳述する。
図24は、緩衝バッファの遅延低減を説明する図である。
例えば、図24に示すSWBハイパーフレームではNEXT区間のシンボルが5〜7シンボルとばらついている。
図24に示すように、例えばFEXT区間3シンボルとNEXT区間5シンボルのみにより伝送するものとした場合の伝送容量(例えばビット数)をB−FASTmaxとして明示的に局側へ通知し、上記シンボル(3シンボル+5シンボル)の組み合わせにより、この容量B−FASTmax内でデータを送受信する。このように、ハイパーフレーム中の各フレームで送信するシンボル数の雑音区間毎の変動を抑え、一定とすることにより、緩衝バッファ内の滞留シンボル数が制限されるので、緩衝バッファの遅延を短縮することが可能となる。
図25は、デュアル・レイテンシ・モードを説明する図である。
ADSLでは、伝送遅延を小さくして送る経路(以下、Fast Bufferと呼ぶ。)と、伝送遅延を大きくしてデータ品質を向上させる経路(以下、Interleaved Bufferと呼ぶ)を有し、この2つの経路のデータを一緒に送信するモード(以下、デュアル・レイテンシ・モードと呼ぶ。)をサポートしている。
図26は、デュアル・レイテンシ・モードにおけるビット割り当てを説明する図
である。
このデュアル・レイテンシ・モードにおいても、B−FASTmaxを用いて伝送遅延を小さくすることが可能である。例えば、Fast BufferのデータをB−FASTmaxとして割り当て可能な範囲内且つ一定数のビットに割り当て、残りのビット及びシンボルについてInterleaved Bufferのデータを割り当てる。
このようにすることで、上記送信シンボル数/ビット数の変動に起因する伝送遅延を低減しつつ、適切な伝送容量を設定することが可能である。
以上により、B−FASTmaxを通知する本プロトコルを用いることで、局側ADSL装置(ATU−C)は、所望の伝送レートがB−FASTmaxより小さい場合や、伝送レートより伝送遅延を小さくすることを優先したい場合等、伝送遅延を低減した最適な伝送方法を選択することが可能となる。
[6] 本発明の第6の実施態様
上述したように、ATM−Layerのcontinuity checkは図27に示す通り、USERセル
またはcontinuity check用OAMセル(CCセル)が3秒±0.5秒間未踏着の場合に、接続断とみなして警報状態に遷移する。
図28に、Fast Retrain中に擬似的なCCセルを挿入するタイムチャートを示す。
本発明では、上記問題を回避するために、ADSL通信(Layer1)が加入者線通信不可と判断するまでの間、ADSL通信装置(ATU−C/R)が擬似的にCCセルを発生する。このようにすることにより、電話機のoff-hook等でFast Retrain処理を行い、通常の通信状態に復帰する間にATM−Layerが警報状態に遷移することはない。
なお、ADSL通信(Layer1)が加入者線通信不可と判断する場合は、上記CCセルの送出を止めることが望ましい。通信不可と判断する時点は、Fast Retrain処理失敗時に設定することも可能であるし、その後のイニシャライゼーション処理失敗時と設定することも可能である。
このように再起動中において上位レイヤ(ここではATM−Layer)に対し通信の連続性を保証する機能を備えることにより、上記レイヤ(ATM網)からみたADSLユーザの安定性を不用意に劣化させることを抑制することができる。
以上の実施例において、機能ブロック図として示したものについては、装置へ実装するに際し電子回路として構成しても良いし、同様の機能を果たすべく例えばDSP上のソフトウエアモジュールとして構成しても良い。
すなわち、本発明は上記した実施の態様の他にも幾多の変形が考慮されるが、いずれの場合にも発明の効果は変わらないものである。
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、デジタル加入者線伝送方式において、周期性雑音環境下における通信の信頼性を著しく向上することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】DMT変調方式における送受信器の要部を示す機能ブロック図である
。ここでは、メタリック回線を介して対向するADSLトランシーバの送信部と
受信部のみを図示している。
【図2】DBM/SWB方式を説明する図である。
【図3】S/N測定時における受信シンボルの雑音区間定義を説明する図である。
【図4】各周期雑音区間毎のS/N測定を示す図である。
【図5】ビットマップの定義を説明する図である。
【図6】従来の加入者起動によるFast Retrainシーケンスを説明する図である。ここでは、Fast Retrainシーケンスの先頭部分のみについて示している。
【図7】周期性漏話雑音環境を説明する図である。
【図8】本発明の加入者起動によるFast Retrainシーケンスを説明する図である。ここでは、本発明により改良されたFast Retrainシーケンスの先頭部分のみについて示している。
【図9】周期雑音区間の通知方法を説明する図である。
【図10】DMTシンボル毎の送信パターンを説明する図である。
【図11】初期トレーニング時の雑音区間通知のためのシンボルパターン定義を説明する図である。
【図12】シーケンス切り替えシンボルの送出タイミングを説明する図である。
【図13】400Hz同期部の全体ブロック図である。
【図14】手順1におけるスペクトラムを説明する図である。
【図15】手順2におけるスペクトラムを説明する図である。
【図16】手順3におけるスペクトラムを説明する図である。
【図17】復調部の構成を示す機能ブロック図である。
【図18】波形抽出部の構成を示す機能ブロック図である。
【図19】判定部の構成を示す機能ブロック図である。
【図20】ADSL回線からISDN回線への漏話を説明する図である。
【図21】従来の伝送レート決定シーケンスを説明する図である。ここでは、シーケンスの先頭部分のみについて示している。
【図22】緩衝バッファによる遅延を説明する図である。
【図23】本発明の伝送レート決定シーケンスを説明する図である。
【図24】緩衝バッファの遅延低減を説明する図である。
【図25】デュアル・レイテンシ・モードを説明する図である。
【図26】デュアル・レイテンシ・モードにおけるビット割り当てを説明する
図である。
【図27】ADSL通信状態とATM−Layerの警報状態との関係を説明する図である。
【図28】本発明のATM−Layer警報状態回避方法を説明する図である。
【図29】ハイパーフレームの構造を説明する図である。ここでは、局側からの送信フレームパターンを例示している。
【符号の説明】
10…シリアルパラレル変換器
20…符号器
30…256ボイントIFFT
40…パラレルシリアル変換器(兼サイクリックプレフィックス付加部)
50…D/A変換器
60…送信用ビットマップ保持部
100…メタリック回線
110…A/D変換器
120…シリアルパラレル変換器(兼サイクリックプレフィックス除去部)
130…256ポイントFFT
140…復号器
150…パラレルシリアル変換器
160…受信用ビットマップ保持部
210…復調器
220…リファレンス
260…セレクタ
230…装置内クロック
240…分周器
250…位相判定器
260…セレクタ
270…NEXT区間S/N測定器
280…FEXT区間S/N測定器
290…伝送bit数換算器
Claims (6)
- TCM−ISDN漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を通信回線として利用し、スライディングウインドウ方式で高速データ通信を行う局側と加入者側との間で、通信再開処理であるファストリトレインシーケンスを使用するデジタル加入者線伝送方法において、
前記ファストリトレインシーケンスで、局側からC−RECOV信号を受けてPLL同期トレーニング及びTCM−ISDNバースト周期(FEXT区間とNEXT区間)同期トレーニングを行うステップと、
PLL同期及びTCM−ISDNバースト周期同期が確立した後、R−RECOV2信号を加入者側から局側へ送信するステップと、
局側で、C−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移させる契機となるR−RECOV2信号を受信した後、C−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移するステップとを有することを特徴とするデジタル加入者線伝送方法。 - 前記R−RECOV2信号は、単一正弦波信号であることを特徴とする請求項1記載のデジタル加入者線伝送方法。
- TCM−ISDN漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を通信回線として利用し、スライディングウインドウ方式で高速データ通信を行う局側と加入者側との間で、通信再開処理であるファストリトレインシーケンスを使用する加入者側xDSL装置において、
前記ファストリトレインシーケンスで、局側xDSL装置からC−RECOV信号を受けてPLL同期トレーニング及びTCM−ISDNバースト周期同期トレーニングを行う手段と、
PLL同期及びTCM−ISDNバースト周期同期が確立した後、局側xDSL装置でC−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移させる契機となるR−RECOV2信号を局側xDSL装置へ送信する手段とを有することを特徴とする加入者側xDSL装置。 - 前記R−RECOV2信号は、単一正弦波信号であることを特徴とする請求項3記載の加入者側xDSL装置。
- TCM−ISDN漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を通信回線として利用し、スライディングウインドウ方式で高速データ通信を行う局側と加入者側との間で、通信再開処理であるファストリトレインシーケンスを使用する局側xDSL装置において、
前記ファストリトレインシーケンスで、加入者側xDSL装置へC−RECOV信号を送信する手段と、
加入者側xDSL装置から、C−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移させる契機となる前記R−RECOV2信号を受信する事で、該C−RECOV信号の送出からREVERB信号の送出へと状態を遷移する手段を有することを特徴とするとする局側xDSL装置。 - 前記R−RECOV2信号は、単一正弦波信号であることを特徴とする請求項5記載の局側xDSL装置。
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