JP3612683B2 - スレート屋根用仮設通路及びその構成部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駅のプラットホームの上家等に設置されるスレート屋根上に、作業用の通路を仮設する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
駅のプラットホームの上家や工場、倉庫等は鉄骨構造で屋根はスレート葺きで構築されることが多い。このようなスレート葺きの屋根上では、スレートの取り替え工事のためや屋根及び樋の点検・清掃等のために、屋根上を歩行する必要がある。ところが、屋根材が衝撃に弱いスレートであるため、作業員の歩行の仕方等によっては、衝撃が局部的に作用し、スレートが損傷して作業員が落下してしまうことになる。そのため、従来では、屋根上では図8に示すようにスレート1の上に歩み板2を敷き並べ、屋根下では図9の図(A)及び図(B)に示すように鉄骨骨組3に落下防止用の防護網4を張り、作業員がスレート1を踏み抜いた場合でも落下しないような安全対策をした上で作業を行っている。しかも、防護網4の施工は、脚立どうしの間に足場板を架け渡す等、作業台を構築して行っている。なお、図8及び図9において、符号5は、スレート1を鉄骨骨組3へ固定するためのボルト、6はそのナットである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、屋根上に歩み板2を敷く場合は、通常、建設現場で用いられている幅が24cmの足場板を利用することが多く、労働安全衛生規則に定められた幅30cm以上を満足させるためには二枚の足場板を併設する必要があり、足場板の設置数が倍になるという欠点があった。しかも、重たい足場板を高所の屋根上まで運んで敷設し、作業終了後にはこれを撤去しなければならず、非常に手間がかかり、作業員の負担も大となり、更には仮設費用も多くかかるという欠点があった。
【0004】
なお、労働安全衛生規則では、歩み板2又は防護網4のいずれか一方を設置して施工すればよいが、歩み板2のみを設置した場合は、作業員がバランスを崩したときに、歩み板2を踏み外してスレート1を踏み抜き、地上まで落下する危険があった。一方、防護網4のみを設置した場合は、スレート1上を直接歩くことになり、これを踏み抜く虞れが多かった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、軽量でしかも簡単に仮設用の通路を設置することのできる技術を提供せんとするものである。
【0006】
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、スレートから突出するスレート固定用ボルトに嵌合し得る上下方向の貫通孔が設けられたネット部材と、該ネット部材の一端縁側から対向する他端縁側に向けて取り付けられた歩行帯とで構成したことを特徴とするスレート屋根用仮設通路の構成部材である。
ネット部材は、これをスレート屋根の上へ配置すると、網目を構成する貫通孔がスレート固定用のボルトに嵌合する。ネット部材には、安全な位置を示す歩行帯が取り付けられている。そのため、作業員は歩行帯を歩いて安全に目的の作業場所まで行くことが可能である。しかも、バランスを崩して歩行帯を踏み外し、ネット下のスレートが破損したとしても、固定されたネットが機能し、スレートを踏み抜く等のことはない。更に、ネット部材及び歩行帯は、軽量且つ安価な市販のものを利用することが可能であり、施工作業及びその撤去は極めて簡単である。
【0007】
また本発明が採用した請求項2の手段は、スレートから突出するスレート固定用ボルトに嵌合し得る上下方向の貫通孔が設けられたネット部材と、該ネット部材の一端縁側から対向する他端縁側に向けて取り付けられた歩行帯とでスレート屋根用仮設通路の構成部材を構成し、当該構成部材の複数枚を連結部材で連結して一つのユニットとしたことを特徴とするスレート屋根用仮設通路の構成部材である。
この発明では、請求項1の仮設通路の構成部材どうしを連結して複数枚の構成部材からなるユニットを構成しており、その施工作業は請求項1の場合にも増して簡単である。
【0008】
本発明が採用した請求項3の手段は、前記請求項1又は2に記載したスレート屋根用仮設通路の構成部材におけるネット部材の貫通孔を、スレートから突出するスレート固定用のボルトに嵌合させ、該ボルトの先端部とスレートとの間にネット部材固定用の金具を取り付け、ネット部材をスレート屋根上へ固定したことを特徴とするスレート屋根用仮設通路である。
この発明では、スレート屋根の上へ前記請求項1又は2に記載したスレート屋根用仮設通路の構成部材におけるネット部材を配置し、スレート固定用のボルトにネット部材の抜止のための金具を取り付けている。従って、風等によりネット部材が外れる等のことはなく、安心して屋根上で作業を行うことが可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。なお、従来の場合と同一符号は同一部材である。図1乃至図7は本発明の一実施の形態に係るものであり、図1はスレート屋根用仮設通路7の施工後の状態を示す屋根上の斜視図、図2は駅のプラットホームの上家へ適用した場合の側面図、図3はユニット化した構成部材8を示す平面図、図4は構成部材8どうしを連結する場合の部分拡大斜視図、図5はユニットどうしを接続する場合の端面図、図6は固定用の金具9を示す平面図、図7はスレート屋根の縦断面図である。
【0010】
この実施の形態に係るスレート屋根用仮設通路7の構成部材8は、ネット部材10とこれに取り付けられた歩行帯11とから成る。ネット部材10は、盛土補強用のネット部材等として市販されているものを利用することが可能である。例えば、心材(補強用の繊維)が埋め込まれたポリエチレン樹脂のものであれば、軽量で且つ十分な剛性を有し、屋根上の歩行用通路の材料として強度的にも十分である。また歩行帯11としては、市販されている30cm幅のいわゆる人工芝を用いることが可能である。市販されている人工芝の歩行帯11は緑色であり、黒色のネット部材10とは異なる色であるので、歩行する領域が区別されて表示されることになる。
【0011】
前記構成部材8は、図1及び図3に示すように、複数個のものが相互に連結されて一つのユニット12として予め工場等で製造準備される。図1及び図3では四つの構成部材8どうしを連結して一つのユニット12としている。構成部材8どうしの連結は、図4に示すように、ネット部材10どうしの端面を突き合わせた状態でスパイラル状の連結具13を回転させながら押込み、各ネット部材10の貫通孔14を交互に挿通させることで行っている。このようにして構成されたユニット12は、折り畳んで積層した状態で現場へ搬入される。そして、現場でユニット12を屋根上へ運んでこれを展開し、スレート固定用ボルト5を利用してネット部材10を屋根上へ固定する。
【0012】
すなわち、スレート固定用ボルト5へネット部材10の貫通孔14を挿通し、その上から図6に示す固定用の金具9を前記ボルト5へ取り付ける。金具9は、大径孔15aと長孔15bとを有し、大径孔15aはボルト5の外径よりも大きく、長孔15bはボルト5の螺子山よりも小径で且つ螺子底よりも大径とされている。大径孔15aへボルト5を挿通した後、長孔15bの部分をボルト5の螺子部分へ係合させることで、当該金具9はボルト5から抜けなくなり、ネット部材10の固定がなされる。
【0013】
然る後は、次のユニット12を準備して同様に屋根上へ固定し、ユニット12どうしを相互に連結する。ユニット12どうしの連結は、先ず、図1及び図5に示すように、一方のネット部材10に端面寄りの列の貫通孔14に連結具13を取り付けてあり、そのスパイラル状の連結具13を起立させ、起立した部分を隣位の別のユニット12の貫通孔14へ挿通する。次に、上側に位置するユニット12の上面から上方へ突出する連結具13の部分に、横方向から連結棒16を挿通すれば、連結具13が貫通孔14から抜け出ることはなく、ユニット12どうしを現場で連結することが可能である。
【0014】
このようにしてスレート屋根用仮設通路7を目的とする作業場所まで延伸設置した後は、当該通路7の緑の歩行帯11を通行して所定の屋根上での作業を行えばよい。人工芝からなる歩行帯11は、歩行領域を表示するだけでなく、滑り止めとしても機能する。また作業員が歩行帯11を通行中にバランスを崩して歩行帯11以外のネット部材10の部分を踏んだとしても、踏み込んだときの荷重はネット部材10を通じて緩和され、万が一スレート1が破損しても、固定されたネットに守られ、作業者が落下事故を起こすことはない。つまり、この実施の形態の仮設用通路7は、従来の歩み板2の機能と防護網4の機能とを兼ね備えるものである。しかも、材料自体が極めて軽量であり、従来の歩み板2の場合の1/5程度の重量であり、従来少なくとも二人の作業員が必要であったのに対し、一人で行うことが可能である。所定の屋根上での作業が終了した後は、上述した逆の要領で仮設通路7を取り外して撤去すればよい。
【0015】
ところで、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。例えば、ネット部材10としては、材料的には合成樹脂製の他にも有孔性の織物、編物、金属製のもの、形態的には平面的なもの、その他にロール状に巻かれたものを用いることも可能である。ロール状のものをネット部材10とする場合は、歩行帯11を別途取り付けてもよいが、歩行帯の領域をスプレー等により着色したものとすることも可能である。スレート1への固定は、前記実施の形態の場合と同じように、固定用の金具9を用いて行えばよい。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にあっては、スレートから突出するスレート固定用ボルトに嵌合し得る上下方向の貫通孔が設けられたネット部材と、該ネット部材の一端縁側から対向する他端縁側に向けて取り付けられた歩行帯とでスレート屋根用仮設通路の構成部材を構成したから、ネット部材をスレート屋根の上へ配置すると、網目を構成する貫通孔がスレート固定用のボルトに嵌合するので、作業員はネット部材に取り付けられた歩行帯を歩いて目的の作業場所まで行くことが可能である。しかも、バランスを崩して歩行帯を踏み外し、万が一スレートが破損しても、固定されたネット部材により守られるので、スレートを踏み抜く等のことはない。更に、ネット部材及び歩行帯は、軽量且つ安価な市販のものを利用することが可能であり、施工作業性及びその撤去は極めて簡単である。更にまた、本発明の仮設通路は従来の歩み板と防護網の二つの機能を有し、屋根下での防護網の設置作業が全く不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るものであり、スレート屋根用仮設通路の施工後の状態を示す屋根上の斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るものであり、駅のプラットホームの上家へ適用した場合の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るものであり、ユニット化した構成部材を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るものであり、構成部材どうしを連結する場合の部分拡大斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るものであり、ユニットどうしを接続する場合の端面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るものであり、固定用の金具を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るものであり、スレート屋根の縦断面図である。
【図8】従来の歩み板の設置例を示す屋根上の斜視図である。
【図9】従来の防護網の設置例を示すものであり、図(A)は一部側面図、図(B)は屋根上を一部断面した斜視図である。
【符号の説明】
1…スレート 3…鉄骨骨材
5…スレート固定用ボルト 6…ナット
7…スレート屋根用仮設通路 8…構成部材
9…金具 10…ネット部材
11…歩行帯 12…ユニット
13…スパイラル状連結部材 14…貫通孔
16…連結棒
Claims (3)
- スレートから突出するスレート固定用ボルトに嵌合し得る上下方向の貫通孔が設けられたネット部材と、該ネット部材の一端縁側から対向する他端縁側に向けて取り付けられた歩行帯とで構成したことを特徴とするスレート屋根用仮設通路の構成部材。
- スレートから突出するスレート固定用ボルトに嵌合し得る上下方向の貫通孔が設けられたネット部材と、該ネット部材の一端縁側から対向する他端縁側に向けて取り付けられた歩行帯とでスレート屋根用仮設通路の構成部材を構成し、当該構成部材の複数枚を連結部材で連結して一つのユニットとしたことを特徴とするスレート屋根用仮設通路の構成部材。
- 前記請求項1又は2に記載したスレート屋根用仮設通路の構成部材におけるネット部材の貫通孔を、スレートから突出するスレート固定用のボルトに嵌合させ、該ボルトの先端部とスレートとの間にネット部材固定用の金具を取り付け、ネット部材をスレート屋根上へ固定したことを特徴とするスレート屋根用仮設通路。
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JP22097699A JP3612683B2 (ja) | 1999-08-04 | 1999-08-04 | スレート屋根用仮設通路及びその構成部材 |
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- 1999-08-04 JP JP22097699A patent/JP3612683B2/ja not_active Expired - Lifetime
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