JP3609057B2 - 電線防護管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線防護管であって、複数の電線防護管を架空電線に装着するときに、各電線防護管を連結するための構造を有する電線防護管に関する。
【0002】
本発明において、用語「略平行」は、「平行」を含み、用語「略垂直」は、「垂直」を含む。
【0003】
【従来の技術】
図19は、従来の技術の電線防護管の連結具51を示す斜視図である。架空電線には、電線防護管が装着されて防護される。複数の電線防護管を架空電線に装着するとき、各電線防護管は、連結具51によって相互に連結される。
【0004】
連結具51は、別体に形成される一対の半円筒体52,53を有する。各半円筒体52,53は、軸線方向にスライドさせることによって、円筒状に合着することができる。一方の半筒体52には、内周部に軸線方向に間隔をあけて2つの結合部54,55が形成されている。
【0005】
各半円筒体52,53を円筒状に合着した状態で、連結具1内に、2つの電線防護管の端部を突き合わせるように内挿する。このようにして、一方の電線防護管の結合部と連結具51の一方の結合部4とを結合し、他方の電線防護管の結合部と連結具51の他方の結合部55とを結合する。これによって、連結具51によって、2つの電線防護管を連結することができる。
【0006】
連結具51は、電線防護管とは別に、各半円筒体52,53を相対的にスライドさせて合着させなければない。しかも合着作業は、各半円筒体52,53の周方向の両端部を係合するようにスライド操作させなければならず、作業性が悪い。
【0007】
図20は、他の従来の技術の電線防御管60を示す斜視図である。図21は、電線防御管60の嵌合部61を示す正面図である。図22は、嵌合部61の側面図である。装着時の作業性を改善する構成として、軸線方向一端部に第1係合部62を有する嵌合部61を形成し、軸線方向他端部に第2係合部63を有する内挿部64を形成し、一方の電線防護管60の嵌合部61に他方の電線防護管60の内挿部64を内挿する構成とし、嵌合部61の周方向両端部に、相対的に近接操作することによって係止可能な係止部66,67を形成する電線防護管がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の技術の電線防護管60の嵌合部61では、係止部66,67は、軸線方向に位置がずれると係止できない構成である。このような係止部66,67は、たとえば挿入器を用いながら電線防護管60を架空電線に装着するときなどに、電線防護管60に外力が働いてねじれが生じると、各係止部66,67が軸線方向に相対的にずれ、各係止部を相互に係止することができなくなってしまう。したがって装着時の作業性の大きな改善を図ることができない。また装着時に各係止部66,67が相互に係止できたとしても、その後、ねじれを生じるような外力が働いくと、各係止部66,67の係止状態が解除されてしまう。
【0009】
本発明の目的は、周方向両端部を相互に容易に係止することができ、架空電線への装着時における高い作業性が得られる電線防護管を提供することである。
【0010】
また本発明の目的は、架空電線に装着された状態で、外力が働いても、相互の係止状態を保持することができる電線防護管を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、(a)可撓性および弾発性を有する電気絶縁性材料から成り、周方向に分断されて大略的に筒状に形成され、軸線方向一端部には嵌合部2が形成され、かつ軸線方向他端部には内挿部6が形成され、複数の電線防護管1を架空電線に装着するとき、一方の電線防護管の嵌合部2に他方の電線防護管の内挿部6が内挿される電線防護管1であって、嵌合部2の周方向両端部10,11には、
(b)周方向一端部10から外方に突出する第1脚部15と、
(c)周方向他端部11から外方に突出し、第1脚部15に対して平行となるように対向する第2脚部16と、
(d)第1脚部15に連なり、第1脚部15から第2脚部16に向けて突出し、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様な第1係止部12であり、
(d1)第1係止部12は、第1脚部15が延びる方向に間隔を開けて設けられる第1係止片17と第2係止片18とを有し、各係止片17,18は、第1脚部15から略垂直に、第2脚部16に向かってそれぞれ突出し、
(d2)第1係止片17が、平板状に形成され、
(d3)第2係止片18が、第1係止片17と略平行に配置される平板状の第1係止部基部19と、第1係止部基部19の先端部に形成されて第1係止片側となる第1係止部基部19の厚み方向一方側に突出する第1係止部鉤部20とを有し、
(d4)第1係止部鉤部20が、第1脚部15から遠ざかるにつれて先細状に形成されて、第1脚部15から遠ざかるにつれて第1係止片17から遠ざかる方向に傾斜する第1係止部案内面21を有するとともに、第1係止部基部19寄りの部分22が、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくようにわずかに傾斜して形成される第1係止部12と、
(e)第2脚部16に連なり、第2脚部16から第1脚部15に向けて突出し、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様な第2係止部13であり、
(e1)第2係止部13は、第2脚部16から第1脚部15に向けて突出する平板状の第2係止部基部25と、第2係止部基部25の先端部に形成され、第2係止部基部25の厚み方向一方側に突出する第2係止部鉤部26とを有し、
(e2)第2係止部鉤部26が、第2脚部16から遠ざかるにつれて先細状に形成されて、第2脚部16から遠ざかるにつれて第1係止片17に近づく方向に傾斜する第2係止部案内面27を有するとともに、第2係止部基部25寄りの部分28が、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくにようにわずかに傾斜して形成される第2係止部13とが形成され、
第1係止部12の各係止片17,18間に第2係止部13が嵌り込んで、第1および第2係止部13が相互に係止されることによって、嵌合部2の周方向両端部10,11を閉塞可能であることを特徴とする電線防護管である。
【0012】
本発明に従えば、電気絶縁性材料から成る大略的に筒状の電線防護管は、架空電線に装着され、これによって架空電線が防護される。電線防護管には、軸線方向両端部に、嵌合部および内挿部がそれぞれ形成されており、複数の電線防護管を架空電線に装着するとき、一方の電線防護管の嵌合部に他方の電線防護管の内挿部が内挿され、この内挿状態で各電線防護管が軸線方向に連結される。
【0013】
このような電線防護管の嵌合部には、周方向一端部に第1係止部が形成され、周方向他端部に第2係止部が形成される。第1係止部と第2係止部とを係止することによって、嵌合部における周方向両端部を閉塞することができ、電線防護管を架空電線に装着した状態で、嵌合部における周方向両端部が開放することが防がれる。
【0014】
第1係止部と第2係止部とは、嵌合部の軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様に形成される。これによって第1係止部と第2係止部とは、相互に係止可能な位置に関して、軸線方向の制限を受けることがなく、第1係止部が第2係止部に対して、軸線方向に関して連続的な複数位置にある状態で、相互に係止することができる。これによって電線防護管を架空電線に装着するときに、嵌合部における周方向両端部を相互に係止するにあたって、嵌合部における周方向両端部の軸線方向に関する相対位置の自由度が高くなる。
またこのような第1係止部および第2係止部は、相互に係止された状態で、軸線方向に相対的に変位可能である。これによって嵌合部における周方向両端部が軸線方向に相対的に変位することを許容することができる。したがって嵌合部における周方向両端部が軸線方向に相対的に変位するような外力を受けたとき、第1および第2係止部に、相互の係止が解除されてしまう大きな外力が働くことが防がれ、第1および第2係止部の相互の係止状態を保持することができる。
また本発明では、第1係止部12と第2係止部13の係止が解除されている状態から、第1係止部12および第2係止部13を相対的に近づけるように、外力を与えることによって、各案内面21,27によって相互に第1係止部12および第2係止部13が案内され、各鉤部20,26の基部寄りの部分22,28が当接または対向するように、第1係止部12の各係止片17,18間に、第2係止部13が嵌り込んで、第1および第2係止部12,13が相互に係止される。
この係止状態では、第2係止部13が、各係止片17,18に挟持される状態となり、単に、周方向両端部を遠ざける方向に外力を与えるだけでは、係止状態が解除されない。しかも各鉤部20,26のうちの基部寄りの部分22,26が上述のような傾斜状態に形成されており、周方向両端部を遠ざける方向に外力を与えると、その外力が第1係止部12の第2係止片17と第2係止部18とを近づける方向に働き、係止状態が確実に保持され、周方向両端部の閉塞状態を保持することができる。
このように第1係止部12および第2係止部13を両側から挟んで、相対的に近づけるように外力を与えるだけの簡単な操作によって、第1および第2係止部12,13を相互に係止することができる。したがって作業者の手作業はもちろんのこと、操作具を用いる間接工法およびマニピュレータなどを用いる工法においても、極めて容易に第1および第2係止部12,13を係止することができる。
【0015】
請求項2記載の本発明は、(a)可撓性および弾発性を有する電気絶縁性材料から成り、周方向に分断されて大略的に筒状に形成され、軸線方向一端部には嵌合部2が形成され、かつ軸線方向他端部には内挿部6が形成され、複数の電線防護管1を架空電線に装着するとき、一方の電線防護管の嵌合部2に他方の電線防護管の内挿部6が内挿される電線防護管1であって、嵌合部2の周方向両端部10,11には、
(b)周方向一端部10から外方に突出する第1脚部15と、
(c)周方向他端部11から外方に突出し、第1脚部15に対して平行となるように対向する第2脚部16と、
(d)第1脚部15に連なり、第1脚部15から第2脚部16に向けて突出し、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様な第1係止部12であり、
(d1)第1係止部12は、第1脚部15が延びる方向に間隔を開けて設けられる第1係止片17と第2係止片18とを有し、各係止片17,18は、第1脚部15から略垂直に、第2脚部16に向かってそれぞれ突出し、
(d2)第2係止片18が、第1脚部15から略垂直に第2脚部16に向かって突出する平板状の第1係止部基部19と、第1係止部基部19の先端部に形成されて第1係止片側となる第1係止部基部19の厚み方向一方側に突出する第1係止部鉤部20とを有し、
(d3)第1係止部鉤部20が、第1脚部15から遠ざかるにつれて先細状に形成されて、第1脚部15から遠ざかるにつれて第1係止片17から遠ざかる方向に傾斜する第1係止部案内面21を有するとともに、第1係止部基部19寄りの部分22が、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくようにわずかに傾斜して形成され、
(d4)第1係止片17が、第2係止片18と対称の形状に形成される第1係止部12と、
(e)第2脚部16に連なり、第2脚部16から第1脚部15に向けて突出し、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様な第2係止部13であり、
(e1)第2係止部13は、第2脚部16から第1脚部15に向けて突出する平板状の第2係止部基部25と、第2係止部基部25の先端部に形成され、第2係止部基部25の厚み方向両側に対称に突出する第2係止部鉤部26とを有し、
(e2)第2係止部鉤部26が、第2脚部16から遠ざかるにつれて先細状に形成されて、第2脚部16から遠ざかるにつれて第1係止片17に近づく方向に傾斜する第2係止部案内面27を有するとともに、第2脚部16から遠ざかるにつれて第2係止片18に近づく方向に傾斜する第2係止部案内面27を有し、
(e3)第2係止部基部25寄りで第1係止片17側の部分28が、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくにようにわずかに傾斜するとともに、第2係止部基部25寄りで第2係止片18側の部分28が、第2係止片18に近づくにつれて第1脚部15に近づくにようにわずかに傾斜して形成される第2係止部13とが形成され、
第1係止部12の各係止片17,18間に第2係止部13が嵌り込んで、第1および第2係止部13が相互に係止されることによって、嵌合部2の周方向両端部10,11を閉塞可能であることを特徴とする電線防護管である。
【0016】
本発明に従えば、電気絶縁性材料から成る大略的に筒状の電線防護管は、架空電線に装着され、これによって架空電線が防護される。電線防護管には、軸線方向両端部に、嵌合部および内挿部がそれぞれ形成されており、複数の電線防護管を架空電線に装着するとき、一方の電線防護管の嵌合部に他方の電線防護管の内挿部が内挿され、この内挿状態で各電線防護管が軸線方向に連結される。
このような電線防護管の嵌合部には、周方向一端部に第1係止部が形成され、周方向他端部に第2係止部が形成される。第1係止部と第2係止部とを係止することによって、嵌合部における周方向両端部を閉塞することができ、電線防護管を架空電線に装着した状態で、嵌合部における周方向両端部が開放することが防がれる。
【0017】
第1係止部と第2係止部とは、嵌合部の軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様に形成される。これによって第1係止部と第2係止部とは、相互に係止可能な位置に関して、軸線方向の制限を受けることがなく、第1係止部が第2係止部に対して、軸線方向に関して連続的な複数位置にある状態で、相互に係止することができる。これによって電線防護管を架空電線に装着するときに、嵌合部における周方向両端部を相互に係止するにあたって、嵌合部における周方向両端部の軸線方向に関する相対位置の自由度が高くなる。
またこのような第1係止部および第2係止部は、相互に係止された状態で、軸線方向に相対的に変位可能である。これによって嵌合部における周方向両端部が軸線方向に相対的に変位することを許容することができる。したがって嵌合部における周方向両端部が軸線方向に相対的に変位するような外力を受けたとき、第1および第2係止部に、相互の係止が解除されてしまう大きな外力が働くことが防がれ、第1および第2係止部の相互の係止状態を保持することができる。
【0018】
また本発明では、第1係止部12と第2係止部13の係止が解除されている状態から、第1係止部12および第2係止部13を相対的に近づけるように、外力を与えることによって、各案内面21,27によって相互に第1係止部12および第2係止部13が案内され、各鉤部20,26の基部寄りの部分22,28が当接または対向するように、第1係止部12の各係止片17,18間に、第2係止部13が嵌り込んで、第1および第2係止部12,13が相互に係止される。
この係止状態では、第2係止部13が、各係止片17,18に挟持される状態となり、単に、周方向両端部を遠ざける方向に外力を与えるだけでは、係止状態が解除されない。しかも各鉤部20,26のうちの基部寄りの部分22,26が上述のような傾斜状態に形成されており、周方向両端部を遠ざける方向に外力を与えると、その外力が第1係止部12の第2係止片17と第2係止部18とを近づける方向に働き、係止状態が確実に保持され、周方向両端部の閉塞状態を保持することができる。
このように第1係止部12および第2係止部13を両側から挟んで、相対的に近づけるように外力を与えるだけの簡単な操作によって、第1および第2係止部12,13を相互に係止することができる。したがって作業者の手作業はもちろんのこと操作具を用いる間接工法およびマニピュレータなどを用いる工法においても、極めて容易に第1および第2係止部12,13を係止することができる。
さらに第1係止部と第2係止部とは、2箇所で相互に係止されるので、係止強度を高くすることができ、嵌合部の周方向両端部を相対的に遠ざけるような外力が働いても、第1および第2係止部の係止状態を、確実に保持することができる。
【0019】
請求項3記載の本発明は、第1係止部鉤部20のうち、第1係止部基部19から最も遠い側の端部には、第1係止部基部19側に突出する突起が形成され、
第2係止部13は、第2係止部鉤部26のうち、第2係止部基部25から最も遠い側の端部に、第2係止部基部25側に突出する突起31が形成されることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、第1および第2係止部12,13が相互に係止される状態で、各鉤部20,26の各突起30,31が、相手側の突起30,31と基部19,25との間の凹所に嵌り込む。これによって嵌合部は、上述する効果を達成することができるうえ、加えて、周方向両端部を相対的に遠ざけるような外力が働いても、第1および第2係止部12,13の係止状態を確実に保持することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である電線防護管1の嵌合部2を示す斜視図である。図2は、電線防護管1を示す斜視図である。電線防護管1は、架空電線3に装着され、この架空電線3を防護するために用いられる。架空電線3には、複数の電線防護管1が装着され、相互に連結して用いられる。各電線防護管1は、相互に同様の構成である。
【0022】
電線防護管1は、可撓性および弾発性を有する電気絶縁性材料であるたとえばポリエチレンから成り、周方向に分断されて大略的に筒状に形成され、周方向両端部を開いて架空電線3を挿通させ、架空電線3を外囲するように覆う状態で、架空電線3に装着することができる。
【0023】
電線防護管1の軸線方向一端部には、第1結合部4を有する嵌合部2が形成され、かつ軸線方向他端部には、第2結合部5を有する内挿部6が形成される。嵌合部2および内挿部6は、これらの間の軸線方向中間部と一体に形成されてもよいし、別体に形成されて組み立てられる構成であってもよい。本実施の形態では、一体に成型される。
【0024】
この電線防護管1は、複数の電線防護管1を架空電線3に装着するとき、一方の電線防護管1の嵌合部2に他方の電線防護管1の内挿部6が内挿される。この内挿状態で第1結合部4と第2結合部5とが結合されて、各電線防護管1は架空電線3が挿通された状態で軸線方向に連結される。
【0025】
第1結合部4は、嵌合部2の内周部に凹となって周方向に延びる溝状の結合孔を形成することによって、その結合孔付近によって実現され、第2結合部5は、内挿部5に外方に凸となって周方向に延びて形成される突条によって実現される。第1および第2結合部4,5は、嵌合部2の周方向両端部10,11が閉塞されて嵌合部2が閉じている状態では、相互の結合状態が保持される。
【0026】
第1および第2結合部4,5は、人為的に、すなわち作業者の意図によって、嵌合部2の周方向両端部10,11を開放させて嵌合部2を開くことによって、第1および第2結合部4,5の結合を解除することができる。第1および第2結合部4,5の結合を解除すれば、各電線防護管1の連結を解除することができる。
【0027】
図3は、嵌合部2を図1とは異なる方向から見て示す斜視図である。図4は、図1の右斜め上方から見て示す嵌合部2の正面図である。図5は、図4の左方から見て示す嵌合部2の側面図である。図6は、図4の右方から見て示す断面図である。図7は、図4の上方から見て示す平面図である。図8は、図4の下方から見て示す底面図である。図9は、図4の紙面に対して裏側から見て示す背面図である。図10は、図7の切断面線S10−S10から見て示す断面図である。図11は、図7の切断面線S11−S11から見て示す断面図である。図12は、図4の切断面線S12−S12から見て示す断面図である。図13は、嵌合部2における周方向両端部10,11を拡大して示す断面図である。
【0028】
図1および図2を併せて参照して、嵌合部2の周方向一端部10には第1係止部12が形成され、嵌合部2の周方向他端部11は第2係止部13が形成される。嵌合部2の周方向両端部10,11間の周方向中間部である周壁14は、仮想略円筒面に沿う略C字状に形成され、この周壁14の周方向に関する両端部から嵌合部2の周方向両端部10,11が外方に突出して形成される。
【0029】
嵌合孔2の周方向両端部10,11は、相互に対向して形成され、第1係止部12と、第2係止部13とは、相互に係止可能である。第1および第2係止部12,13を相互に係止することによって、嵌合部2の周方向両端部10,11を閉塞することができる。
【0030】
周方向一端部10には、周壁14の周方向に関する一端部から外方に突出する平板状の第1脚部15と、第1係止部12が形成される。周方向他端部には、周壁14の周方向に関する他端部から外方に突出する平板状の第2脚部16と、第2係止部13が形成される。第1および第2脚部15,16は、相互に大略的に平行となるように対向している。第1係止部12は、第1脚部15から第2の脚部16に向けて突出し、第2係止部13は、第2脚部16から第1脚部15に向けて突出している。
【0031】
第1係止部12は、第1脚部15が延びる方向、したがって嵌合部2の半径半径方向でもある内外方向に間隔をあけて設けられる2つの係止片17,18を有する。各係止片17,18は、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様であり、したがって第1係止部12は、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様である。
【0032】
一方の係止片17は、嵌合部2の内方側に配置され、第1脚部15から略垂直に、第2脚部16に向かって突出する平板状の突条である。他方の係止片18は、嵌合部2の外方側であって、一方の係止片17の外方に配置され、第1脚部15から略垂直に、第2脚部16に向かって突出する。他方の係止片18は、一方の係止片17と略平行に配置される平板状の基部19と、基部19の先端部に形成され、嵌合部2の内方側、すなわち一方の係止片17側となる基部19の厚み方向一方側に突出する鉤部20とを有する。
【0033】
他方の係止片18の鉤部20は、第1脚部15から遠ざかるにつれて、嵌合部2の外方となる方向、すなわち第1係止片17から遠ざかる方向に傾斜する案内面21を有し、第1脚部15から遠ざかるにつれて先細状に形成される。また他方の係止片18の鉤部20の基部19寄りの部分22は、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくようにわずかに傾斜して形成される。
【0034】
第2係止部13は、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様である。この第2係止部13は、第2脚部16から略垂直に、第1脚部15に向かって突出する。さらに第2係止部13は、平板状の基部25と、基部25の先端部に形成され、嵌合部2の外方側となる基部25の厚み方向一方側に突出する鉤部26とを有する。
【0035】
第2係止部鉤部26は、先端になるにつれて、すなわち第2脚部16から遠ざかるにつれて、嵌合部2の内方となる方向に傾斜する案内面27を有し、第2脚部16から遠ざかるにつれて先細状に形成される。また第2係止部13の鉤部26の基部25寄りの部分28は、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくようにわずかに傾斜して形成される。
【0036】
第1係止部12と第2係止部とは、外力が与えられていない状態であって、かつ係止が解除されている状態では、図13に実線で示すように、各鉤部20,26の案内面21,27が、当接または対向する状態にある。この状態から第1および第2脚部15,16を相対的に近づけるように、言い換えるならば周方向両端部10,11を近づけるように外力を与えることによって、各案内面21,27によって相互に第1および第2係止部12,13が案内され、図13に仮想線で示すように、各鉤部20,26の基部寄りの部分22,28が当接または対向するように、第1係止部12の各係止片17,18間に、第2係止部13が嵌まり込んで、第1および第2係止部12,13が相互に係止される。このように第1および第2係止部12,13を係止することによって、周方向両端部10,11を閉塞することができる。
【0037】
この係止状態では、第2係止部13が、各係止片17,18に挟持される状態となり、単に、周方向両端部10,11を遠ざける方向に外力を与えるだけでは、係止状態が解除されない。しかも、各鉤部20,26の基部寄りの部分22,26が上述のような傾斜状態に形成されており、周方向両端部10,11を遠ざける方向に外力を与えると、その外力が、第1係止部12の他方の係止片18と第2係止部13とを近づける方向に働き、係止状態が確実に保持され、周方向両端部10,11の閉塞状態が保持される。したがって各電線防護管1を軸線方向に相互に連結し、第1および第2係止部12,13を係止することによって、各電線防護管1の連結状態を保持することができる。
【0038】
第1および第2係止部12,13は、人為的に、すなわち作業者の意図によって、第1係止部12の各係止片17,18を相対的に遠ざけるようにして、その間を第2係止部13に通過させるように操作すれば、係止状態を解除することができる。
【0039】
このように第1および第2係止部12,13は、周方向両端部10,11を、両側から挟んで、相対的に近づけるように外力を与えるだけの簡単な操作によって、相互に係止することができる。したがって作業者の手作業は、もちろんのこと、絶縁やっとこなどと呼ばれる操作具を用いる間接工法およびマニピュレータなどを用いる工法においても、極めてように第1および第2係止部12,13を容易に係止することができる。
【0040】
さらに第1および第2係止部12,13は、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様に形成されている。これによって第1および第2係止部12,13は、相互に係止可能な位置に関して、軸線方向の制限を受けることがなく、第1係止部12が第2係止部11に対して、軸線方向に関して連続的な複数位置にある状態で、相互に係止することができる。すなわち第1および第2係止部12,13は、周方向一端部10が周方向他端部11に対して複数の位置にある状態で、相互に係止可能である。またこのような第1および第2係止部12,13は、相互に係止された状態で、軸線方向に相対的に変位可能である。
【0041】
本実施の形態の電線防護管1によれば、第1係止部12と第2係止部13とを係止することによって、嵌合部2における周方向両端部を閉塞することができ、電線防護管1を架空電線3に装着した状態で、嵌合部2における周方向両端部10,11が開放することが防がれ、各電線防護管1の連結状態の解除が防がれ、また電線防護管1の架空電線3からの脱落が防がれる。
【0042】
複数の電線防護管1を架空電線3に装着するときに、各電線防護管1を軸線方向に連結し、嵌合部2における周方向両端部10,11を閉塞するために、第1および第2係止部12,13を係止するにあたっては、上述のように、周方向両端部10,11を相対的に近づける簡単な操作で、第1および第2係止部12,13を係止することができる。しかもこのように第1および第2係止部12,13は、軸線方向に関する相対位置が、連続的な複数位置にあるときに、係止可能であり、相互に係止できる。このように第1および第2係止部12,13を相互に係止可能な、第1および第2係止部12,13の軸線方向に相対位置、すなわち周方向両端部10,11の軸線方向に関する相対位置の自由度が高くなる。
【0043】
これによって電線防護管1を架空電線3に装着するときに、電線防護管1に外力が働いて、嵌合部2における周方向両端部10,11が、外力の働いていない自然状態から相対変位した状態であっても、第1および第2係止部12,13を係止して、周方向両端部10,11を閉塞することができる。したがって上述のような自然状態からの相対変位が生じていても、作業者がその相対変位を矯正して戻す必要がなく、そのまま周方向両端部を把持して相互に近づけるだけで、第1および第2係止片12,13の係止が可能であり、作業が容易である。特に、作業者が電線防護管1を直接把持して操作する工法ではなく、絶縁やっとこなどと呼ばれる操作具を用いて電線防護管を操作する工法およびマニピュレータなどと呼ばれるロボットを用いて電線防護管を操作する工法では、作業効率を格段に向上することができる。もちろん作業者が電線防護管を直接把持して操作する工法においても、作業効率を図ることができる。
【0044】
複数の電線防護管1を架空電線3に装着するときには、各電線防護管1を連続的に装着する挿入機と呼ばれる装置が用いられる場合がある。この挿入機を用いる場合、挿入機によって電線防護管1に与えられる軸線方向の圧縮力によって、電線防護管1が軸線まわりのねじれを生じてしまう場合がある。この場合、嵌合部2における軸線方向両端部10,11が、自然状態から軸線方向に相対変位するけれども、この状態でも、上述のように、第1および第2係止部12,13の係止作業が容易になり、このような挿入機を用いる場合にも、好適である。
【0045】
また電線防護管1によれば、第1係止部12と第2係止部13とは、相互に係止された状態で軸線方向に相対的に変位することができるので、嵌合部2における周方向両端部10,11が軸線方向に相対的に変位することを許容することができる。これによって電線防護管1が架空電線3に装着された状態で、嵌合部2における周方向両端部10が軸線方向に相対的に変位するような外力を受けたとき、その相対変位を許容することで、その外力が各係止片17,18を相互に広げるように働くことを防ぎ、第1および第2係止部12,13に、相互の係止が解除されてしまう大きな外力が働くことが防がれ、第1および第2係止部12,13の相互の係止状態を保持することができる。
【0046】
これによって電線防護管1に嵌合部2における周方向両端部10が軸線方向に相対的に変位するような外力が働いても、嵌合部2の周方向両端部2が開くことを防ぐことができる。したがって各電線防護管1の連結が解除されてしまうことを防ぐことができるとともに、電線防護管が架空電線から脱落してしまうことを防ぐことができる。
【0047】
たとえば山などの傾斜地の架空電線など、水平線に対して傾斜した状態で設けられる架空電線3に電線防護管1が装着されているときなど、電線防護管1に自重などによって軸線方向の圧縮力が働くと、電線防護管1が軸線まわりのねじれを生じてしまう場合がある。この場合、嵌合部2における軸線方向両端部10,11が、自然状態から軸線方向に相対変位するけれども、電線防護管1は、上述のように、このねじれに基づく嵌合部2における周方向両端部10,11の軸線方向に関する相対変位を許容することができるので、第1および第2係止部12,13の相互の係止状態を保持し、嵌合部2の周方向両端部2が開くことを防ぐことができる。したがってこのような悪条件下に設けられる電線防護管1の相互の連結解除および脱落を防止することができ、好適である。
【0048】
図14は、本発明の実施の他の形態の電線防護管1aにおける嵌合部2aの周方向両端部10,11を示す断面図である。本実施の形態の嵌合部2aは、図1〜図13に示す嵌合部2と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0049】
本実施の形態の嵌合部2aでは、第1係止部12における他方の係止片18は、鉤部20の基部19から最も遠い側の端部に、基部19側に突出する突起30が形成される。また第2係止部13は、鉤部26の基部25から最も遠い側の端部に、基部25側に突出する突起31が形成される。その他の構成は、図1〜図13の実施の形態と同様である。
【0050】
このような嵌合部2aでは、図14に仮想線で示すように、第1および第2係止部12,13が相互に係止される状態で、各鉤部20,26の各突起30,31が、相手方の突起30,31と基部19,25との間の凹所に嵌まり込む。これによって、嵌合部2aは、図1〜図13に示す実施の形態と同様の効果を達成できるうえ、加えて、周方向両端部10,11を相対的に遠ざけるような外力が働いても、第1および第2係止部12,13の係止状態を、確実に保持することができる。
【0051】
図15は、本発明の実施のさらに他の形態の電線防護管1bにおける嵌合部2bの周方向両端部10,11を示す断面図である。本実施の形態の嵌合部2bは、図1〜図13に示す嵌合部2と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0052】
本実施の形態の嵌合部2bでは、第1および第2係止部12,13が、嵌合部2bの内外方向に関して、図1〜図13に示す嵌合部2の第1および係止部12,13と対称に形成される。つまり、第1係止部12の各係止片17,18の位置、各鉤部20,26の突出方向、ならびに各鉤部20,26における案内面21,27および基部寄りの部分22,28の傾斜方向が、反対となる。その他の構成は、図1〜図13の実施の形態と同様である。このような嵌合部2bは、図1〜図13に示す実施の形態と同様の効果を達成することができる。
【0053】
図16は、本発明の実施のさらに他の形態の電線防護管1cにおける嵌合部2cの周方向両端部10,11を示す断面図である。本実施の形態の嵌合部2cは、図15に示す嵌合部2bと類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0054】
本実施の形態の嵌合部2cでは、図15の構成に加えて、図14に示す実施の形態と同様の各突起30,31が形成される。つまり、第1係止部12における他方の係止片18は、鉤部20の基部19から最も遠い側の端部に、基部19側に突出する突起30が形成される。また第2係止部13は、鉤部26の基部25から最も遠い側の端部に、基部25側に突出する突起31が形成される。その他の構成は、図1〜図13の実施の形態と同様である。
【0055】
このような嵌合部2cは、図1〜図13に示す実施の形態の効果を達成できるうえ、加えて、各突起30,31を形成することによる効果を、すなわち図14に示す実施の形態と同様の効果を併せて達成することができる。
【0056】
図17は、本発明の実施のさらに他の形態の電線防護管1dにおける嵌合部2dの周方向両端部10,11を示す断面図である。本実施の形態の嵌合部2dは、図1〜図13に示す嵌合部2と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0057】
図1〜図13の実施の形態では、第1係止部12の一方の係止片17が、平板状に形成されたけれども、本実施の形態の嵌合部2dでは、第1係止部12の一方の係止片17が、他方の係止片18と対称の形状に形成される。理解を容易にするために、一方の係止片17における他方の係止片18と対応する部分に、同一の符号を付す。
【0058】
図1〜図13の実施の形態では、第2係止部13は、基部25の厚み方向一方にだけ突出する鉤部26が形成されたけれども、本実施の形態の嵌合部2dでは、厚み方向両側に対称に突出する鉤部26が形成される。すなわち本実施の形態の第2係止部13の鉤部26は、基部25の厚み方向他方側にも突出する。
【0059】
第2係止部13の鉤部26における基部25の厚み方向一方側に突出する部分は、図1〜13の実施の形態における第2係止部13の鉤部26と同様の構成であって、図1〜図13の実施の形態と対応する部分に同一の符号を付す。また第2係止部13の鉤部26における基部25の厚み方向一方側に突出する部分と、第2係止部13の鉤部26における基部25の厚み方向他方側に突出する部分とは、対称である。理解を容易にするために、第2係止部13の鉤部26における基部25の厚み方向他方側に突出する部分には、第2係止部13の鉤部26における基部25の厚み方向一方側に突出する部分と同一の符号を付す。その他の構成は、図1〜図13に示す実施の形態と同様である。
【0060】
これによって、嵌合部2dは、図1〜図13に示す実施の形態と同様の効果を達成できるうえ、加えて、第1および第2係止部12,13が、2箇所で相互に係止されるので、係止強度を高くすることができ、周方向両端部10,11を相対的に遠ざけるような外力が働いても、第1および第2係止部12,13の係止状態を、確実に保持することができる。
【0061】
図18は、本発明の実施のさらに他の形態の電線防護管1eにおける嵌合部2eの周方向両端部10,11を示す断面図である。本実施の形態の嵌合部2eは、図17に示す嵌合部2dと類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0062】
本実施の形態の嵌合部2eでは、図17の構成に加えて、図14に示す実施の形態と同様の各突起30,31が形成される。つまり、第1係止部12における各係止片17,18は、各鉤部20の基部19から最も遠い側の端部に、基部19側に突出する突起30がそれぞれ形成される。また第2係止部13は、鉤部26の基部25から最も遠い側の端部に、基部25側に突出する突起31がそれぞれ形成される。その他の構成は、図17の実施の形態と同様である。
【0063】
このような嵌合部2eは、図17に示す実施の形態の効果を達成することができるうえ、加えて、突起30,31を形成することによる効果を、すなわち図14の実施の形態と同様の効果を、併せて達成することができる。
【0064】
上述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明が、上述の実施の形態に限定されることはい。したがって本発明に範囲内において、構成を、たとえば形状、および材質などを変更することができる。たとえば電線防護管1は、ポリエチレンに代えてポリプロピレンなどの他の材質から成ってもよく、第1および第2係合部4,5ならびに第1および第2係止片12,13は、それぞれ2つ以上形成されてもよい。また第1および第2係止部12,13は、必ずしも、断面形状が軸線方向に一様な形状でなくてもよく、たとえば軸線方向に間隔をあけて形成される複数の部分から成る形状であってもよい。
【0065】
【発明の効果】
請求項1および請求項2記載の本発明によれば、嵌合部に形成される第1係止部と第2係止部とを係止することによって、嵌合部における周方向両端部を閉塞することができ、電線防護管を架空電線に装着した状態で、嵌合部における周方向両端部が開放することが防がれる。電線防護管を架空電線に装着するときに、嵌合部における周方向両端部を閉塞するために、第1および第2係止部を相互に係止するにあたって、嵌合部における周方向両端部の軸線方向に関する相対位置の自由度が高くなる。
【0066】
また電線防護管が架空電線に装着された状態で、嵌合部における周方向両端部が軸線方向に相対的に変位するような外力を受けたとき、第1および第2係止部に、相互の係止が解除されてしまう大きな外力が働くことが防がれ、第1および第2係止部の相互の係止状態を保持することができる。したがって電線防護管に外力が働いても、各電線防護管の連結が解除されてしまうことを防ぐことができるとともに、電線防護管が架空電線から脱落してしまうことを防ぐことができる。
さらに周壁部から外方に突出する各係止部を相対的に近づけるようにすることによって、各案内面によって第1係止部および第2係止部が案内されて、第1および第2係止部が係止される。
このように第1係止部および第2係止部を両側から挟んで、相対的に近づけるように外力を与えるだけの簡単な操作によって、第1および第2係止部を相互に係止することができる。したがって作業者の手作業はもちろんのこと、操作具を用いる間接工法およびマニピュレータなどを用いる工法においても、極めて容易に第1および第2係止部を係止することができる。
【0067】
また、係止状態では、各鉤部の基部寄りの部分が当接または対向するので、周方向両端部を遠ざける方向に外力を受けたとしても、係止状態を保持することができ、周方向両端部の閉塞状態を保持することができる。
これによって、電線防護管が架空電線に装着された状態で、嵌合部における周方向両端部が軸線方向に相対的に変位するような外力を受けたとき、第1および第2係止部の相互の係止状態が確実に保持される。したがって電線防護管に外力が働いても、各電線防護管の連結が解除されてしまうことを防ぐことができるとともに、電線防護管が架空電線から脱落してしまうことを防ぐことができる。
【0068】
請求項3記載の本発明によれば、第1および第2係止部が相互に係止される状態で、各鉤部の各突起が、相手側の突起と基部との間の凹所に嵌り込む。これによって嵌合部は、上述する効果を達成することができるうえ、加えて、周方向両端部を相対的に遠ざけるような外力が働いても、第1および第2係止部の係止状態を確実に保持することができる。したがって電線防護管に外力が働いても、各電線防護管の連結が解除されてしまうことをより確実に防ぐことができるとともに、電線防護管が架空電線から脱落してしまうことをより確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である電線防護管1の嵌合部2を示す斜視図である。
【図2】電線防護管1を示す斜視図である。
【図3】嵌合部2を図1とは異なる方向から見て示す斜視図である。
【図4】図1の右斜め上方から見て示す嵌合部2の正面図である。
【図5】図4の左方から見て示す嵌合部2の側面図である。
【図6】図4の右方から見て示す断面図である。
【図7】図4の上方から見て示す平面図である。
【図8】図4の下方から見て示す底面図である。
【図9】図4の紙面に対して裏側から見て示す背面図である。
【図10】図7の切断面線S10−S10から見て示す断面図である。
【図11】図7の切断面線S11−S11から見て示す断面図である。
【図12】図4の切断面線S12−S12から見て示す断面図である。
【図13】嵌合部2における周方向両端部10,11を拡大して示す断面図である。
【図14】本発明の実施の他の形態の電線防護管1aにおける嵌合部2aの周方向両端部10,11を示す断面図である。
【図15】本発明の実施のさらに他の形態の電線防護管1bにおける嵌合部2bの周方向両端部10,11を示す断面図である。
【図16】本発明の実施のさらに他の形態の電線防護管1cにおける嵌合部2cの周方向両端部10,11を示す断面図である。
【図17】本発明の実施のさらに他の形態の電線防護管1cにおける嵌合部2cの周方向両端部10,11を示す断面図である。
【図18】本発明の実施のさらに他の形態の電線防護管1cにおける嵌合部2cの周方向両端部10,11を示す断面図である。
【図19】従来の技術の電線防護管の連結具51を示す斜視図である。
【図20】他の従来の技術の電線防御管60を示す斜視図である。
【図21】電線防御管60の嵌合部61を示す正面図である。
【図22】嵌合部61の側面図である。
【符号の説明】
1 電線防護管
2 嵌合部
3 架空電線
4 第1結合部
5 第2結合部
6 内挿部
10 嵌合部の周方向一端部
11 嵌合部の周方向他端部
12 第1係止部
13 第2係止部
17,18 係止片
19,25 基部
20,26 鉤部
21,27 案内面
22,28 基部寄りの部分
30,31 突起
Claims (3)
- (a)可撓性および弾発性を有する電気絶縁性材料から成り、周方向に分断されて大略的に筒状に形成され、軸線方向一端部には嵌合部2が形成され、かつ軸線方向他端部には内挿部6が形成され、複数の電線防護管1を架空電線に装着するとき、一方の電線防護管の嵌合部2に他方の電線防護管の内挿部6が内挿される電線防護管1であって、嵌合部2の周方向両端部10,11には、
(b)周方向一端部10から外方に突出する第1脚部15と、
(c)周方向他端部11から外方に突出し、第1脚部15に対して平行となるように対向する第2脚部16と、
(d)第1脚部15に連なり、第1脚部15から第2脚部16に向けて突出し、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様な第1係止部12であり、
(d1)第1係止部12は、第1脚部15が延びる方向に間隔を開けて設けられる第1係止片17と第2係止片18とを有し、各係止片17,18は、第1脚部15から略垂直に、第2脚部16に向かってそれぞれ突出し、
(d2)第1係止片17が、平板状に形成され、
(d3)第2係止片18が、第1係止片17と略平行に配置される平板状の第1係止部基部19と、第1係止部基部19の先端部に形成されて第1係止片側となる第1係止部基部19の厚み方向一方側に突出する第1係止部鉤部20とを有し、
(d4)第1係止部鉤部20が、第1脚部15から遠ざかるにつれて先細状に形成されて、第1脚部15から遠ざかるにつれて第1係止片17から遠ざかる方向に傾斜する第1係止部案内面21を有するとともに、第1係止部基部19寄りの部分22が、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくようにわずかに傾斜して形成される第1係止部12と、
(e)第2脚部16に連なり、第2脚部16から第1脚部15に向けて突出し、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様な第2係止部13であり、
(e1)第2係止部13は、第2脚部16から第1脚部15に向けて突出する平板状の第2係止部基部25と、第2係止部基部25の先端部に形成され、第2係止部基部25の厚み方向一方側に突出する第2係止部鉤部26とを有し、
(e2)第2係止部鉤部26が、第2脚部16から遠ざかるにつれて先細状に形成されて、第2脚部16から遠ざかるにつれて第1係止片17に近づく方向に傾斜する第2係止部案内面27を有するとともに、第2係止部基部25寄りの部分28が、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくにようにわずかに傾斜して形成される第2係止部13とが形成され、
第1係止部12の各係止片17,18間に第2係止部13が嵌り込んで、第1および第2係止部13が相互に係止されることによって、嵌合部2の周方向両端部10,11を閉塞可能であることを特徴とする電線防護管。 - (a)可撓性および弾発性を有する電気絶縁性材料から成り、周方向に分断されて大略的に筒状に形成され、軸線方向一端部には嵌合部2が形成され、かつ軸線方向他端部には内挿部6が形成され、複数の電線防護管1を架空電線に装着するとき、一方の電線防護管の嵌合部2に他方の電線防護管の内挿部6が内挿される電線防護管1であって、嵌合部2の周方向両端部10,11には、
(b)周方向一端部10から外方に突出する第1脚部15と、
(c)周方向他端部11から外方に突出し、第1脚部15に対して平行となるように対向する第2脚部16と、
(d)第1脚部15に連なり、第1脚部15から第2脚部16に向けて突出し、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様な第1係止部12であり、
(d1)第1係止部12は、第1脚部15が延びる方向に間隔を開けて設けられる第1係止片17と第2係止片18とを有し、各係止片17,18は、第1脚部15から略垂直に、第2脚部16に向かってそれぞれ突出し、
(d2)第2係止片18が、第1脚部15から略垂直に第2脚部16に向かって突出する平板状の第1係止部基部19と、第1係止部基部19の先端部に形成されて第1係止片側となる第1係止部基部19の厚み方向一方側に突出する第1係止部鉤部20とを有し、
(d3)第1係止部鉤部20が、第1脚部15から遠ざかるにつれて先細状に形成されて、第1脚部15から遠ざかるにつれて第1係止片17から遠ざかる方向に傾斜する第1係止部案内面21を有するとともに、第1係止部基部19寄りの部分22が、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくようにわずかに傾斜して形成され、
(d4)第1係止片17が、第2係止片18と対称の形状に形成される第1係止部12と、
(e)第2脚部16に連なり、第2脚部16から第1脚部15に向けて突出し、軸線方向に延び、軸線方向に垂直な断面の形状が、軸線方向に関して一様な第2係止部13であり、
(e1)第2係止部13は、第2脚部16から第1脚部15に向けて突出する平板状の第2係止部基部25と、第2係止部基部25の先端部に形成され、第2係止部基部25の厚み方向両側に対称に突出する第2係止部鉤部26とを有し、
(e2)第2係止部鉤部26が、第2脚部16から遠ざかるにつれて先細状に形成されて、第2脚部16から遠ざかるにつれて第1係止片17に近づく方向に傾斜する第2係止部案内面27を有するとともに、第2脚部16から遠ざかるにつれて第2係止片18に近づく方向に傾斜する第2係止部案内面27を有し、
(e3)第2係止部基部25寄りで第1係止片17側の部分28が、平面状であって、第1係止片17に近づくにつれて第1脚部15に近づくにようにわずかに傾斜するとともに、第2係止部基部25寄りで第2係止片18側の部分28が、第2係止片18に近づくにつれて第1脚部15に近づくにようにわずかに傾斜して形成される第2係止部13とが形成され、
第1係止部12の各係止片17,18間に第2係止部13が嵌り込んで、第1および第2係止部13が相互に係止されることによって、嵌合部2の周方向両端部10,11を閉塞可能であることを特徴とする電線防護管。 - 第1係止部鉤部20のうち、第1係止部基部19から最も遠い側の端部には、第1係止部基部19側に突出する突起30が形成され、
第2係止部13は、第2係止部鉤部26のうち、第2係止部基部25から最も遠い側の端部に、第2係止部基部25側に突出する突起31が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の電線防護管。
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