JP3605963B2 - 継電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、継電装置に関し、特に、零相電圧の過電圧保護継電器や地絡方向継電器などに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の継電装置は、電力系統の送電線から零相電圧を検出するため、零相基準入力装置(ZPC)や接地変圧器(ZPT)が使用され、この零相基準入力装置又は接地変圧器から送られてきた信号を、継電装置の内部変成器により内部電子回路の信号レベルに変換するようにしていた。
【0003】
ここで、零相基準入力装置を使用する場合、零相基準入力装置からは零相電圧に対応した出力電流が送られてくるので、継電装置の内部変成器として電流変成器を必要とし、接地変圧器を使用する場合、接地変圧器からは零相電圧に対応した出力電圧が送られてくるので、継電装置の内部変成器として電圧変成器を必要とする。このため、従来の継電装置では、零相基準入力装置を使用する場合と接地変圧器を使用する場合とで、それぞれ別々の継電装置が用いられることが多かった。
【0004】
一方、零相基準入力装置及び接地変圧器の両方に使用可能な両用形の継電装置もあった。この両用形の継電装置は、その内部変成器として電流変成器を使用し、零相電圧の検出に零相基準入力装置を使用する場合、零相基準入力装置から送られてくる零相電流を継電装置の内部変成器に直接入力し、零相電圧の検出に接地変圧器を使用する場合、接地変圧器から送られてくる零相電圧を零相電圧変換器を介して零相電流に変換し、その零相電流を継電装置の内部変成器に入力するようにしていた。
【0005】
図8は、零相基準入力装置を使用した場合の両用形の継電装置のリレー結線図である。
図8において、DS1 は断路器、ZCT1〜ZCT3は零相変流器、CB1〜CB3は遮断器、PF1〜PF3はパワーヒューズ、PTはパワートランス、40は零相基準入力装置、41、43、44は地絡方向継電器、42は零相電圧継電器、45は零相電圧パルス信号線、Z1 、Z2 は零相電流検出用入力端子、Y1 、Y2 は零相電圧検出用入力端子、M、Nは零相電圧パルス信号入出力端子、P1 、P2 は電源端子、E3 は接地端子、y1 、y2 は零相電流出力端子である。
【0006】
零相基準入力装置40は、送電線から検出した零相電圧を零相電流に変換し、その零相電流を零相電流出力端子y1 、y2 から出力することにより、零相電圧継電器42の零相電圧検出用入力端子Y1 、Y2 に入力する。零相電圧継電器42は、零相基準入力装置40から入力された零相電流に基づいて、零相電圧パルス信号を生成し、その零相電圧パルス信号を零相電圧パルス信号入出力端子M、Nから出力する。そして、零相電圧パルス信号線45を介して、地絡方向継電器41、43、44に零相電圧パルス信号を供給する。
【0007】
零相変流器ZCT1〜ZCT3は、送電線から検出した零相電流を地絡方向継電器41、43、44の零相電流検出用入力端子Z1 、Z2 にそれぞれ入力する。地絡方向継電器41、43、44は、零相変流器ZCT1〜ZCT3から入力された零相電流及び零相電圧継電器42から入力された零相電圧パルス信号に基づいて、遮断器CB1〜CB3を動作させ、異常が発生した送電線を他の送電線から遮断して異常範囲を局限化することにより、正常な送電線や設備を保護する。
【0008】
図9は、零相基準入力装置の一例を示す回路図である。
図9(a)において、C11〜C14はコンデンサ、50はトランスであり、3相電圧がコンデンサC11〜C13に入力されると、トランス50の出力側に零相電流を出力する。
【0009】
図9(b)において、C15〜C17はコンデンサ、51は変流器であり、3相電圧がコンデンサC15〜C17に入力されると、変流器51から零相電流を出力する。
【0010】
図10は、接地変圧器を使用した場合の両用形の継電装置のリレー結線図である。
図10において、ZCT4〜ZCT6は零相変流器、CB4〜CB7は遮断器、PF4〜PF6はパワーヒューズ、R20は抵抗器、50は接地変圧器、51は零相電圧変換器、52は零相電圧継電器、53〜55は地絡方向継電器、56は零相電圧パルス信号線、Z1 、Z2 は零相電流検出用入力端子、Y1 、Y2 は零相電圧検出用入力端子、M、Nは零相電圧パルス信号入出力端子、P1 、P2 は電源端子、E3 は接地端子、a、fは零相電圧入力端子、y1 、y2 は零相電流出力端子である。
【0011】
接地変圧器50は、送電線から検出した零相電圧を変成し、零相電圧変換器51の零相電圧入力端子a、fに入力する。零相電圧変換器51は、接地変圧器50から入力された零相電圧を降圧してから零相電流に変換するとともに、その位相を調節し、位相が調節された零相電流を零相電流出力端子y1 、y2 から出力して、零相電圧継電器52の零相電圧検出用入力端子Y1 、Y2 に入力する。
【0012】
零相電圧継電器52は、零相電圧変換器51から入力された零相電流に基づいて、零相電圧パルス信号を生成し、その零相電圧パルス信号を零相電圧パルス信号入出力端子M、Nから出力する。そして、零相電圧パルス信号線56を介して、地絡方向継電器53〜55に零相電圧パルス信号を供給する。
【0013】
零相変流器ZCT4〜ZCT6は、送電線から検出した零相電流を地絡方向継電器53〜55の零相電流検出用入力端子Z1 、Z2 にそれぞれ入力する。地絡方向継電器53〜55は、零相変流器ZCT4〜ZCT6から入力された零相電流及び零相電圧継電器52から入力された零相電圧パルス信号に基づいて、遮断器CB4〜CB7を動作させ、異常が発生した送電線を他の送電線から遮断して異常範囲を局限化することにより、正常な送電線や設備を保護する。
【0014】
図11は、接地変圧器の一例を示す回路図である。
図11(a)において、一次はスター接続、二次はオープンデルタ接続され、正常に動作している場合、二次の端子には電圧は発生しないが、一次側で地絡事故が起こった場合、二次の端子に零相電圧が発生する。
【0015】
図11(b)は、3次巻線付きの接地変圧器を示しており、一次側で地絡事故が起こった場合、三次の端子に零相電圧が発生する。
図12は、図10の零相電圧変換器51の構成を示す回路図である。
【0016】
図12において、60は電圧変成器、R30、R31は抵抗器、C20はコンデンサであり、電圧変成器60に入力された零相電圧を抵抗器R30、R31及びコンデンサC20により零相電流に変換する。また、抵抗器R30、R31及びコンデンサC20の定数選定を行って、限流及び位相補正を行うことにより、接地変圧器50から入力される信号レベル及び位相を、図8の零相基準入力装置40から入力される信号レベル及び位相に合わせるようにする。
【0017】
また、図8の零相電圧パルス信号線45には、通常、複数の地絡方向継電器41、43、44が接続され、図10の零相電圧パルス信号線56には、通常、複数の地絡方向継電器53〜55が接続されている。そして、各々に設定されているタイマ時間に応じた選択遮断を行うことにより、図8の零相基準入力装置40を用いた場合、最も短いタイマ時間に設定されている地絡方向継電器41、43、44を先に動作させ、遮断により事故原因が除去された後は、他の地絡方向継電器41、43、44が動作しないようにし、図10の接地変圧器50を用いた場合、最も短いタイマ時間に設定されている地絡方向継電器53〜55を先に動作させ、遮断により事故原因が除去された後は、他の地絡方向継電器53〜55が動作しないようにしている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の継電装置は、零相基準入力装置40及び接地変圧器50の両方に使用可能な両用形とするため、零相電圧変換器51を継電装置52に内蔵すると、製品サイズ及びコストが大きくなり、両用形の継電装置は、実際的には、実現困難であるという問題があった。
【0019】
また、零相電圧変換器51による位相補正を行う場合、抵抗器R30、R31及びコンデンサC20の定数選定を行う必要があり、位相補正が容易でないという問題があった。
【0020】
さらに、地絡事故復旧時には、零相電圧・零相電流波形に過度的に異常振動が発生し、先に動作した地絡方向継電器41、43、44、又は地絡方向継電器53〜55以外のものが不要応動を起こしてしまう場合があるという問題があった。
【0021】
そこで、本発明の目的は、簡単な構成で両用形とすることが可能な継電装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明は、電力系統の送電線から零相電圧を検出する手段として、零相電圧に対応した電流を出力する零相基準入力装置と、零相電圧に対応した電圧を出力する接地変圧器のいずれを使用した場合にも対応可能な両用形の継電装置であって、零相基準入力装置からの出力電流が入力された場合、その出力電流を変成手段に直接出力し、接地変圧器からの出力電圧が入力された場合、その出力電圧を抵抗器を介して電流に変換し、その変換した電流を変成手段に出力するようにしたものである。このように、接地変圧器からの出力電圧を抵抗器を介して電流に変換することにより、零相基準入力装置を用いた場合と接地変圧器を用いた場合とで、変成手段を共通に用いることができ、簡単な構成で継電装置を両用形とすることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例による零相電圧継電装置について図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施例による零相電圧継電器の概略構成を示すブロック図である。
図1において、切り替え手段1は、零相基準入力装置から入力された零相電流を変成手段3に直接出力し、接地変圧器から入力された零相電圧を抵抗器2を介して零相電流に変換し、その変換した零相電流を変成手段3に出力する。変成手段3は、切り替え手段1から出力された零相電流の変成を行い、出力手段4は、変成手段3から出力された信号に基づいて、零相電圧検出信号を出力する。
【0028】
このように、接地変圧器から入力された零相電圧を抵抗器2を介して零相電流に変換することにより、接地変圧器を用いた場合においても、零相基準入力装置用に設けられた変成手段3を用いることができ、簡単な構成で継電装置を両用形とすることができる。
【0029】
図2は、本発明の一実施例による零相電圧継電器の概略構成を示す回路図である。
図2において、R1は限流を行う限流抵抗器、R2は変成器10に流れる電流を調節する分流抵抗器、10は電流変成器、11はCPU、12はコンパレータ、ZD1、ZD2はサージを除去してCPU11を保護するツェナダイオード、C1はサージを除去してCPU11を保護するコンデンサ、R3、R4は電流を電圧に変換する抵抗器、OR1はOR回路である。ここで、抵抗器R1、R2の値は、変成器10に入力する信号レベルが、零相基準入力装置を用いた場合と接地変圧器を用いた場合とで一致するように設定する。
【0030】
零相基準入力装置を用いる場合、▲3▼端子と▲4▼端子とに零相基準入力装置の出力端子を接続し、接地変圧器を用いる場合、▲1▼端子と▲4▼端子とに接地変圧器の出力端子を接続するとともに、▲2▼端子と▲3▼端子とを短絡する。
【0031】
そして、零相基準入力装置の出力端子を▲3▼端子と▲4▼端子とに接続した場合、零相基準入力装置から出力された零相電流は、変成器10に直接入力され、接地変圧器の出力端子を▲1▼端子と▲4▼端子とに接続するとともに、▲2▼端子と▲3▼端子とを短絡した場合、接地変圧器から出力された零相電圧は、抵抗器R1、R2により零相電流に変換されてから、変成器10に入力される。
【0032】
変成器10に入力された零相電流は、CPU11の信号レベルに合うように変成器10で変成された後、抵抗器R3、R4で電圧に変換されてから、CPU11及びコンパレータ12に供給される。CPU11の入力端子Aiに入力された零相電圧の交流信号は、A/D変換されてデジタル化された後、零相電圧の信号レベルの絶対値が設定値と比較される。そして、零相電圧の信号レベルの絶対値が設定値より小さい場合、CPU11の出力端子Doの出力を“H”レベル、零相電圧の信号レベルの絶対値が設定値以上の場合、CPU11の出力端子Doの出力を“L”レベルとする。
【0033】
一方、コンパレータ12に入力された零相電圧の交流信号は接地電位と比較され、零相電圧が正の値の時はコンパレータ12の出力を“H”レベル、零相電圧が負の値の時はコンパレータ12の出力を“L”レベルとすることにより、零相電圧パルス信号が生成される。
【0034】
CPU11の出力端子Doの出力及びコンパレータ12の出力は、OR回路OR1に供給される。このため、OR回路OR1の出力信号Soutは、正常時は、“H”レベル、異常が発生して零相電圧が検出された時は、零相電圧パルス信号となる。
【0035】
このように、抵抗器R1、R2を零相電圧継電器に内蔵し、接地変圧器から零相電圧が入力された場合、抵抗器R1、R2で零相電流に変換することにより、零相基準入力装置用に設けられた変成器10を、零相基準入力装置を用いた場合と接地変圧器を用いた場合とで共通に使用することが可能となり、簡単な構成で零相電圧継電器を両用形とすることができる。
【0036】
次に、本発明の一実施例による地絡方向継電器について図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明の一実施例による地絡方向継電器の位相検出部の概略構成を示すブロック図である。
【0037】
図3において、パルス信号変換手段101は、零相変流器から入力された零相電流を零相電流パルス信号に変換し、零相電流サンプリング手段102は、パルス信号変換手段101から出力された零相電流パルス信号を所定のタイミングでサンプリングし、第1記憶手段104は、零相電流サンプリング手段102によりサンプリングされた信号を記憶し、零相電圧サンプリング手段105は、零相電圧継電器から入力された零相電圧パルス信号を所定のタイミングでサンプリングし、第2記憶手段106は、零相電圧サンプリング手段105によりサンプリングされた信号を記憶する。
【0038】
設定手段108は、零相電圧継電器から入力された零相電圧パルス信号が、零相基準入力装置により検出された零相電流に基づくものか、接地変圧器により検出された零相電圧に基づくものかを示す情報を設定し、読み出しタイミング調節手段103は、設定手段108に設定されている情報に基づいて、第1記憶手段104に記憶されている信号の読み出しタイミングを調節し、位相差検出手段107は、読み出しタイミング調節手段103による読み出しタイミングに基づいて、第1記憶手段104から読み出された信号と、第2記憶手段106から読み出された信号との位相差を検出する。
【0039】
すなわち、零相電圧パルス信号の位相は、零相基準入力装置を用いる場合と接地変圧器を用いる場合とで異なっているので、零相電圧パルス信号と零相電流パルス信号との位相差を求める際に、零相電流パルス信号の位相を補正する。この場合、零相電流パルス信号をサンプリングし、そのサンプリングした信号を第1記憶手段104に記憶し、第1記憶手段104に記憶されている信号の読み出しタイミングを調節して、零相電流パルス信号の位相を補正しているので、零相基準入力装置を用いた場合と接地変圧器を用いた場合との位相差の補正を容易に行うことができ、零相電圧変換器を不要とすることができる。
【0040】
なお、零相電圧パルス信号と零相電流パルス信号との位相差を求める際に、零相電圧パルス信号の位相を補正するようにしてもよい。
図4は、本発明の一実施例による地絡方向継電器の位相検出部の概略構成を示す回路図である。
【0041】
図4において、13は零相電流を検出する変流器、14はCPU、15はコンパレータ、R5は零相電流を零相電圧に変換する抵抗器である。
変流器13で検出された零相電流は、抵抗器R5により電圧信号に変換され、CPU14の入力端子Aiに供給されるとともに、コンパレータ15に供給される。CPU14の入力端子Aiに入力された電圧信号は、A/D変換されてデジタル化され、変流器13で検出された零相電流の信号レベルが計測される。
【0042】
一方、コンパレータ15に入力された電圧信号は接地電位と比較され、抵抗器R5により変換された電圧信号が正の値の時はコンパレータ15の出力を“H”レベル、抵抗器R5により変換された電圧信号が負の値の時はコンパレータ15の出力を“L”レベルとすることにより、零相電流パルス信号が生成される。この零相電流パルス信号は、CPU14の入力端子Di0に入力され、所定のパルス読み取りタイミングで零相電流パルス信号の“H”レベル又は“L”レベルを検出する。
【0043】
また、零相電圧継電器から出力された零相電圧パルス信号が、CPU14の入力端子Di1に入力され、上記の所定のパルス読み取りタイミングで零相電圧パルス信号の“H”レベル又は“L”レベルを検出する。
【0044】
そして、零相電流パルス信号の“H”レベル又は“L”レベル及び零相電圧パルス信号の“H”レベル又は“L”レベルをパルス読み取りタイミングごとに示したデータテーブルを生成する。
【0045】
図5は、零相電流パルス信号及び零相電圧パルス信号のパルス読み取りタイミングとそのデータテーブルの一例を示す図である。
図5(a)において、所定のパルス読み取りタイミングt1 、t2 、t3 、t4 、t5 ・・・ごとに、零相電流パルス信号及び零相電圧パルス信号の“H”レベル及び“L”レベルが読み取られる。そして、図5(b)に示すように、パルス読み取りタイミングt1 、t2 、t3 、t4 、t5 ・・・ごとの零相電流パルス信号及び零相電圧パルス信号の“H”レベル及び“L”レベルを示したデータテーブル(1)を生成する。
【0046】
そして、零相基準入力装置を用いた場合、このデータテーブル(1)に示された零相電流パルス信号の“H”レベルから“L”レベル又は“L”レベルから“H”レベルへの変化点と、零相電圧パルス信号の“H”レベルから“L”レベル又は“L”レベルから“H”レベルへの変化点との時間差を求めることにより、零相電流パルス信号と零相電圧パルス信号との間の位相差を検出することができる。
【0047】
ここで、零相基準入力装置の代わりに接地変圧器を用いる場合、データテーブル(1)に示されている零相電流パルス信号の“H”レベル及び“L”レベルの計測結果又はデータテーブル(1)に示されている零相電圧パルス信号の“H”レベル及び“L”レベルの計測結果を、零相基準入力装置から送られる信号と接地変圧器から送られる信号との位相差分だけ移動させる。
【0048】
例えば、接地変圧器から送られる信号の位相角が零相基準入力装置から送られる信号に対し3°だけ遅れている場合、接地変圧器を用いた場合の零相電圧パルス信号の位相を3°だけ進めることにより、接地変圧器から送られる信号の位相を零相基準入力装置から送られる信号の位相に合わせるようにする。
【0049】
すなわち、パルス読み取りタイミングt1 、t2 、t3 、t4 、t5 ・・・の時間間隔が位相角の1°に相当している場合、データテーブル(1)のパルス読み取りタイミングtn における零相電圧パルス信号の“H”レベル及び“L”レベルの計測結果を、パルス読み取りタイミングtn−3 の位置にずらすことにより、データテーブル(2)を生成する。
【0050】
そして、接地変圧器を用いた場合、データテーブル(1)に示された零相電流パルス信号の“H”レベルから“L”レベル又は“L”レベルから“H”レベルへの変化点と、データテーブル(2)に示された零相電圧パルス信号の“H”レベルから“L”レベル又は“L”レベルから“H”レベルへの変化点との時間差を求めることにより、零相電流パルス信号と零相電圧パルス信号との間の位相差を検出することができる。
【0051】
ここで、零相基準入力装置又は接地変圧器のどちらを用いるのかの設定は、CPUの外部スイッチの設定などにより行う。
また、零相基準入力装置を用いる場合と接地変圧器を用いる場合とに応じて位相補正を行う場合、零相電圧パルス信号の位相を調節することに代えて、零相電流パルス信号の位相を調節するようにしてよい。
【0052】
次に、本発明の一実施例の地絡方向継電器による短絡動作について図面を参照しながら説明する。
図6は、本発明の一実施例による零相電圧継電器と地絡方向継電器との接続状態を示すブロック図である。
【0053】
図6において、21は零相電圧継電器、25、29〜31は地絡方向継電器、22、26はマイクロコンピュータ、23、27は電源、24、28はコンパレータ、32は零相電圧パルス信号を伝送する信号伝送路、R11〜R14は抵抗器、T1〜T4はフォトトランジスタ、Tc、Ttはトランジスタ、D1〜D4はフォトダイオードである。
【0054】
図6において、零相電圧継電器21は、信号伝送路32を介して複数の地絡方向継電器25、29〜31と接続されており、信号伝送路32には、抵抗器R11を介して12Vの電圧が供給されている。マイクロコンピュータ22からは、零相電圧パルス信号がフォトダイオードD1に出力され、零相電圧パルス信号が“H”レベルになるとフォトダイオードD1を発光させる。
【0055】
そして、フォトダイオードD1からの光をフォトトランジスタT2で検出してトランジスタTcを“ON”させ、信号伝送路32の間の電圧を0Vとすることにより、零相電圧パルス信号が信号伝送路32に伝送される。零相電圧パルス信号を受信した地絡方向継電器25、29〜31は、コンパレータ28で電源27の電圧と比較した後、フォトダイオードD3を点滅させ、フォトダイオードD3の点滅に応じて、フォトトランジスタT4を“ON”させたり、“OFF”させたりすることにより、零相電圧パルス信号をマイクロコンピュータ26に伝える。
【0056】
また、地絡方向継電器25、29〜31には、不図示の変流器から零相電流が入力され、この零相電流と零相電圧継電器21から伝送されてきた零相電圧パルス信号との位相差が所定の範囲内にあるとき、地絡方向継電器25、29〜31は、各々に設定されているタイマ時間に応じて、不図示の遮断器に遮断信号を送って遮断器を動作させる。
【0057】
地絡方向継電器25、29〜31のうち、地絡方向継電器25が最初に動作したすると、地絡方向継電器25のマイクロコンピュータ26は、信号伝送路32の短絡信号をフォトダイオードD4に出力し、フォトダイオードD4を発光させる。そして、フォトダイオードD4からの光をフォトトランジスタT3で検出してトランジスタTtを“ON”させて信号伝送路32を短絡することにより、零相電圧継電器21から伝送されてきた零相電圧パルス信号が他の地絡方向継電器29〜31に伝わらないようにする。
【0058】
なお、信号伝送路32の零相電圧パルス信号は、零相電圧継電器21のコンパレータ24で電源23の電圧と比較された後、フォトダイオードD2を点滅させ、フォトダイオードD2の点滅に応じて、フォトトランジスタT1を“ON”させたり、“OFF”させたりすることにより、マイクロコンピュータ22で監視される。
【0059】
図7は、地絡方向継電器による信号伝送路の短絡のタイミングを示す図である。
図7において、零相電圧継電器21から送り出されるクロック(同期)パルスに合わせて、地絡方向継電器25のトランジスタTtを“ON”させることにより、零相電圧継電器21からの零相電圧パルス信号は消滅するため、零相電圧パルス信号が地絡方向継電器29〜31に伝わらなくなる。
【0060】
このように、地絡方向継電器25からの遮断信号の出力後、信号伝送路32を短絡するようにしたので、遮断器を動作させた後は、零相電圧継電器21から伝送されてきた零相電圧パルス信号が他の地絡方向継電器29〜31に伝わらなくなり、復帰時の過度的異常信号による他の地絡方向継電器29〜31の不要応動を防止することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、零相電圧を抵抗器を介して零相電流に変換することにより、零相基準入力装置を用いた場合と接地変圧器を用いた場合とで、変成手段を共通に用いることができ、簡単な構成で継電装置を両用形とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る零相電圧継電器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る零相電圧継電器の概略構成を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施例に係る地絡方向継電器の位相補正部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例に係る地絡方向継電器の位相補正部の概略構成を示す回路図である。
【図5】本発明の一実施例に係る地絡方向継電器の位相補正方法を示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係る零相電圧継電装置と地絡方向継電器との接続状態を示すブロック図である。
【図7】図6の信号伝送路に流れる信号を示す図である。
【図8】従来の零相基準入力装置を用いた両用形の継電装置のリレー結線図である。
【図9】零相基準入力装置の一例を示す回路図である。
【図10】従来の接地変圧器を用いた両用形の継電装置のリレー結線図である。
【図11】接地変圧器の一例を示す回路図である。
【図12】従来の零相電圧変換器の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 切り替え手段
2 抵抗器
3 変成手段
4 出力手段
10 内部変成器
11、14 CPU
12、15、24、28 コンパレータ
13 変流器
21 零相電圧継電器
25、29、30、31 地絡方向継電器
22、26 マイクロコンピュータ
23、27 電源
32 信号伝送路
R1、R2、R3、R4、R11、R12、R13、R14 抵抗器
C1 コンデンサ
ZD1、ZD2 ツェナダイオード
OR1 OR回路
T1、T2、T3、T4 フォトトランジスタ
Tc、Tt トランジスタ
D1、D2、D3、D4 フォトダイオード
101 パルス信号変換手段
102 零相電流サンプリング手段
103 読み出しタイミング調節手段
104 第1記憶手段
105 零相電圧サンプリング手段
106 第2記憶手段
107 位相差検出手段
108 設定手段
Claims (2)
- 電力系統の送電線から零相電圧を検出する手段として、零相電圧に対応した電流を出力する零相基準入力装置と、零相電圧に対応した電圧を出力する接地変圧器のいずれを使用した場合にも対応可能な両用形の継電装置であって、
前記零相基準入力装置からの出力電流が入力された場合、前記出力電流を直接出力し、前記接地変圧器からの出力電圧が入力された場合、前記出力電圧を抵抗器を介して電流に変換してから出力する切り替え手段と、
前記切り替え手段から出力された電流の変成を行う変成手段と、
前記変成手段から出力された信号のレベルが設定値以上である時に、異常の発生を示す零相電圧検出信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする継電装置。 - 前記出力手段は、前記変成手段により変成された電流を電圧に変換する電圧変換部と、
前記電圧変換部から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、
前記A/D変換部により変換されたデジタル信号の信号レベルの絶対値を設定値と比較する比較部と、
前記電圧変換部から出力された電圧の交流信号を所定値でクランプすることにより、前記電圧の交流信号をパルス信号に変換するパルス信号変換部と、
前記比較部により比較された前記信号レベルの絶対値が前記設定値以上の場合、前記パルス信号を前記零相電圧検出信号として外部に出力する出力部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の継電装置。
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