JP3605508B2 - ダンパー機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダンパー機構、特に、動力伝達系における捩り振動を減衰するためのダンパー機構に関する。
車輌に用いられるクラッチディスク組立体は、フライホイールに連結・切断されるクラッチ機能と、フライホイールからの振動を吸収・減衰するためのダンパー機能とを有している。一般に車輌の振動には、アイドル時異音(ガラ音)、走行時異音(加速・減速ラトル, こもり音)及びティップイン・ティップアウト(低周波振動)がある。これらの異音や振動を取り除くことがクラッチディスク組立体のダンパーとしての機能である。
【0002】
アイドル時異音とは、信号待ち等でシフトをニュートラルに入れ、クラッチペダルを離した時にトランスミッションから発生する「ガラガラ」と聞こえる音である。この異音が生じる原因は、エンジンアイドリング回転付近ではエンジントルクが低く、エンジン爆発時のトルク変動が大きいことにある。このときにトランスミッションのインプットギヤとカウンターギヤとが歯打ち現象を起こして異音を発生させている。
【0003】
ティップイン・ティップアウト(低周波振動)とは、アクセルペダルを急に踏んだり、急に離したりした時に生じる車体の前後の大きな振れである。駆動伝達系の剛性が低いと、タイヤに伝達されたトルクが逆にタイヤ側から駆動側に伝わり、その揺り返しとしてタイヤに過大トルクが発生し、その結果車体を過渡的に前後に大きく振らす前後振動となる。
【0004】
アイドリング時異音に対しては、クラッチディスク組立体の捩り特性において0トルク付近が問題となり、そこでの捩り剛性は低い方が良い。一方、ティップイン・ティップアウトの前後振動に対しては、クラッチディスク組立体の捩り特性を限りなくソリッドに近くすることが必要である。
以上の問題を解決するために、2種類のバネを用いることにより二段特性を実現したクラッチディスク組立体が提供されている。そこでは、低捩り角度の一段目の捩り剛性及びヒステリシストルクを低く抑えているために、アイドリング時の異音防止効果がある。また、高捩り角度の二番目の捩り剛性及びヒステリシストルクを高く設定しているため、ティップイン・ティップアウト時の前後振動を効果的に減衰できる。
【0005】
さらに、高捩り角度の二段目領域において例えばエンジンの燃焼変動に起因する微小振動が入力された時に、二段目の高ヒステリシストルク発生機構を作動させないことで低ヒステリシストルクによって微小振動を効果的に吸収するダンパー機構も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のクラッチディスク組立体におけるダンパー機構では、低周波振動が入力されると捩り特性において正側の二段目と負側の二段目との間の広角度範囲で捩り動作を繰り返す。このとき、その間の正負一段目の領域では低ヒステリシストルクしか発生しない。そのため、全体の振動減衰量が小さく、低周波振動を充分に減衰できない。また、正負一段目の領域が捩り特性における隙間となり、前後振動を悪化させることがある。
【0007】
本発明の目的は、二段の捩り特性を有するダンパー機構において、正負両側の二段目間にわたって捩れる捩り振動を効果的に減衰することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のダンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材と第1ダンパー機構と第2ダンパー機構とを備えている。第2回転部材は第1回転部材に相対回転可能に配置されている。第1ダンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に連結し、捩り振動を減衰するための機構である。第1ダンパー機構は、第1回転部材と、第1中間部材との間に配置され第1円周方向角度まで圧縮可能な第1弾性部材と、第1中間部材と第2回転部材との間に配置され第1弾性部材よりバネ定数が大きい第2弾性部材とを有する。第2ダンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に連結し、第1ダンパー機構と並列に配置され、捩り振動を減衰するための機構である。第2ダンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材との間に配置された第2中間部材と、第1回転部材と第2中間部材との間で第1円周方向角度以下である第2円周方向角度の隙間を有するストッパーと、第2中間部材と第2回転部材とを回転方向に摩擦係合する摩擦発生機構とを有し、第2中間部材の一部は第2弾性部材との間に第3円周方向角度の隙間を有している。第3円周方向角度は、第1円周方向角度から第2円周方向角度を引いた差より大きい。
【0009】
請求項1に記載のダンパー機構において、第2回転部材にトルクが入力されると、並列に配置された第1ダンパー機構と第2ダンパー機構を介して第1回転部材にトルクが伝達される。捩じり角度の小さな範囲では第1ダンパー機構が機能し、捩じり角度の大きな範囲では第2ダンパー機構が機能する。
請求項1に記載のダンパー機構の捩り特性について説明する。ここでは、第1回転部材を第2回転部材に対して一方向に捩っていく時の動作に基づいて説明する。第1円周方向角度までの一段目では第1弾性部材が圧縮されることにより比較的低剛性の特性が得られる。また、このとき摩擦発生機構が滑ることで高ヒステリシストルクが発生する。捩り角度が第1円周方向角度を越えると、、第2弾性部材が圧縮され、比較的剛性の高い特性が得られる。このときの摩擦発生機構で滑りが生じ高ヒステリシストルクの特性が得られる。このように、一段目と二段目の両方で高ヒステリシストルクの特性が得られるため、車体前後振動のような比較的捩り角度の広い振動に対して効果的である。
【0010】
一段目範囲でトルクの小さな微小振動が入力されると、第2中間部材と第1回転部材との間で第2円周方向角度の隙間に対応して第2中間部材が第1回転部材に対して相対回転可能である。すなわち、この第2円周方向角度範囲内では摩擦発生機構に滑りが生じない。
さらに、二段目範囲で微小捩り振動が入力された場合には、第2中間部材と第2弾性部材との間には、第3円周方向角度から第1円周方向角度を引きさらに第2円周方向角度を足しただけの角度の隙間が確保されている。二段目範囲においてこの隙間角度範囲内で第2弾性部材は第2中間部材に作用せず、第2中間部材と第2回転部材は一体回転可能である。すなわち、このとき摩擦発生機構では滑りが生じない。
【0011】
以上に述べたように、一段目範囲及び二段目範囲において微小捩り振動が入力された場合には、摩擦発生機構が作動せず、高ヒステリシストルクを発生させない。この結果、微小捩り振動を効果的に吸収できる。
請求項2に記載のダンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材と第1中間部材と第1弾性部材と第2弾性部材と第2中間部材とストッパーと摩擦発生機構とを備えている。第2回転部材は第1回転部材に相対回転可能に配置されている。第1中間部材は第1回転部材と第2回転部材との間に配置されている。第1弾性部材は第1回転部材と第1中間部材との間に配置され第1円周方向角度まで圧縮可能である。第2弾性部材は第1中間部材と第2回転部材との間に配置され第1弾性部材よりバネ定数が大きい。第2中間部材は第1回転部材と第2回転部材との間に配置されている。ストッパーは第1回転部材と第2中間部材との間で第1円周方向角度以下である第2円周方向角度の隙間を有する。摩擦発生機構は第2中間部材と第2回転部材とを回転方向に摩擦係合する。第2中間部材の一部は第2弾性部材との間に第3円周方向角度の隙間を有している。第3円周方向角度は、第1円周方向角度から第2円周方向角度を引いた差より大きい。
【0012】
請求項2に記載のダンパー機構において、第2回転部材にトルクが入力されると、第1中間部材、第1弾性部材、第2弾性部材、第2中間部材及びストッパーを介して第1回転部材にトルクが伝達される。捩じり角度の小さな範囲では第1弾性部材が圧縮され、捩じり角度の大きな範囲では第2弾性部材が圧縮される。
請求項2に記載のダンパー機構の捩り特性について説明する。ここでは、第1回転部材を第2回転部材に対して一方向に捩っていく時の動作に基づいて説明する。第1円周方向角度までの一段目では第1弾性部材が圧縮されることにより比較的低剛性の特性が得られる。また、このとき摩擦発生機構が滑ることで高ヒステリシストルクが発生する。捩り角度が第1円周方向角度を越えると、、第2弾性部材が圧縮され、比較的剛性の高い特性が得られる。このときの摩擦発生機構で滑りが生じ高ヒステリシストルクの特性が得られる。このように、一段目と二段目の両方で高ヒステリシストルクの特性が得られるため、車体前後振動のような比較的捩り角度の広い振動に対して効果的である。
【0013】
一段目範囲でトルクの小さな微小振動が入力されると、第2中間部材と第1回転部材との間で第2円周方向角度の隙間に対応して第2中間部材が第1回転部材に対して相対回転可能である。すなわち、この第2円周方向角度範囲内では摩擦発生機構に滑りが生じない。
さらに、二段目範囲で微小捩り振動が入力された場合には、第2中間部材と第2弾性部材との間には、第3円周方向角度から第1円周方向角度を引きさらに第2円周方向角度を足しただけの角度の隙間が確保されている。二段目範囲においてこの隙間角度範囲内で第2弾性部材は第2中間部材に作用せず、第2中間部材と第2回転部材は一体回転可能である。すなわち、このとき摩擦発生機構では滑りが生じない。
【0014】
以上に述べたように、一段目範囲及び二段目範囲において微小捩り振動が入力された場合には、摩擦発生機構が作動せず、高ヒステリシストルクを発生させない。この結果、微小捩り振動を効果的に吸収できる。
請求項3に記載のダンパー機構は、出力ハブと1対の入力プレートと第1中間部材と第1弾性部材と第2弾性部材と第2中間部材とを備えている。1対の入力プレートは出力ハブの回りに相対回転可能に配置されている。第1中間部材は出力ハブの外周側で1対の入力プレートの間に配置されている。第1弾性部材は出力ハブと第1中間部材を回転方向に弾性的に連結する。第2弾性部材は第1中間部材と1対の入力プレートを回転方向に弾性的に連結する。第2弾性部材は第1弾性部材よりバネ定数が大きい。第2中間部材は出力ハブと1対の入力プレートとの間に配置されている。第2中間部材は、出力ハブとの間に第1円周方向角度以下である第2円周方向角度の隙間を確保し、1対の入力プレートとの間に摩擦係合部を形成し、一部が第2弾性部材との間に第3円周方向角度の隙間を有している。第3円周方向角度は、第1円周方向角度から第2円周方向角度を引いた差より大きい。
【0015】
請求項3に記載のダンパー機構において、1対の入力プレートにトルクが入力されると、第2弾性部材、第1中間部材、第1弾性部材の順で出力ハブにトルクが伝達される。捩じり角度の小さな範囲では第1弾性部材が圧縮され、捩じり角度の大きな範囲では第2弾性部材が圧縮される。
請求項3に記載のダンパー機構の捩り特性について説明する。ここでは、ハブを1対の入力プレートに対して一方向に捩っていく時の動作に基づいて説明する。第1円周方向角度までの一段目では第1弾性部材が圧縮されることにより比較的低剛性の特性が得られる。また、このとき摩擦発生機構が滑ることで高ヒステリシストルクが発生する。捩り角度が第1円周方向角度を越えると、、第2弾性部材が圧縮され、比較的剛性の高い特性が得られる。このときの摩擦発生機構で滑りが生じ高ヒステリシストルクの特性が得られる。このように、一段目と二段目の両方で高ヒステリシストルクの特性が得られるため、車体前後振動のような比較的捩り角度の広い振動に対して効果的である。
【0016】
一段目範囲でトルクの小さな微小振動が入力されると、第2円周方向角度の隙間に対応して第2中間部材がハブ第1回転部材に対して相対回転可能である。すなわち、この第2円周方向角度範囲内では摩擦発生機構に滑りが生じない。
さらに、二段目範囲で微小捩り振動が入力された場合には、第2中間部材と第2弾性部材との間には、第3円周方向角度から第1円周方向角度を引きさらに第2円周方向角度を足しただけの角度の隙間が確保されている。二段目範囲においてこの隙間角度範囲内で第2弾性部材は第2中間部材に作用せず、第2中間部材と1対の入力プレートは一体回転可能である。すなわち、このとき摩擦発生機構では滑りが生じない。
【0017】
以上に述べたように、一段目範囲及び二段目範囲において微小捩り振動が入力された場合には、摩擦発生機構が作動せず、高ヒステリシストルクを発生させない。この結果、微小捩り振動を効果的に吸収できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の一実施形態のクラッチディスク組立体1の断面図を示し、図2にその平面図を示す。クラッチディスク組立体1は、車輌のクラッチ装置に用いられる動力伝達装置であり、クラッチ機能とダンパー機能とを有している。クラッチ機能とはフライホイール(図示せず)に連結及び離反することによってトルクの伝達及び遮断をする機能である。ダンパー機能とは、バネ等によりフライホイール側から入力されるトルク変動等を吸収・減衰する機能である。図1においてO−Oがクラッチディスク組立体1の回転軸すなわち回転中心線である。また、図1の左側にエンジン及びフライホイール(図示せず)が配置され、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。さらに、図2のR1側がクラッチディスク組立体1の回転方向(正側)であり、R2側からその反対方向(負側)である。
【0019】
クラッチディスク組立体1は、主に、入力回転体2(クラッチプレート21, リテーニングプレート22, クラッチディスク23)と、出力回転体3(ハブ)と、入力回転体2と出力回転体3との間に配置されたダンパー機構とから構成されている。ダンパー機構は、第1バネ7, 第2バネ8及び摩擦発生機構13などを含んでいる。
【0020】
入力回転体2はフライホイール(図示せず)からのトルクが入力される部材である。入力回転体2は、主に、クラッチプレート21と、リテーニングプレート22と、クラッチディスク23とから構成されている。クラッチプレート21とリテーニングプレート22は共に板金製の円板状又は環状の部材であり、軸方向に所定の間隔を空けて配置されている。クラッチプレート21はエンジン側に配置され、リテーニングプレート22はトランスミッション側に配置されている。クラッチプレート21とリテーニングプレート22は後述する板状連結部31により互いに固定され、その結果軸方向の間隔が定めされるとともに一体回転するようになっている。
【0021】
クラッチディスク23は、図示しないフライホイールに押し付けられる部分である。クラッチディスク23は、クッショニングプレート24と、第1及び第2摩擦フェーシング25とから主に構成されている。クッショニングプレート24は、環状部24aと、環状部24aの外周側に設けられ回転方向に並ぶ複数のクッショニング部24bと、環状部24aから半径方向内側に延びる複数の連結部24cとから構成されている。連結部24cは4カ所に形成され、各々がリベット27(後述)によりクラッチプレート21に固定されている。クッショニングプレート24の各クッショニング部24bの両面には、摩擦フェーシング25がリベット26により固定されている。
【0022】
クラッチプレート21及びリテーニングプレート22の外周部には、回転方向に等間隔で4つの窓孔35がそれぞれ形成されている。各窓孔35には、内周側と外周側にそれぞれ切り起こし部35a,35bが形成されている。この切り起こし部35a, 35bは後述の第2バネ8の軸方向及び半径方向への移動を規制するためのものである。また、窓孔35には、第2バネ8の端部に当接又は近接する当接部36が円周方向両端に形成されている。
【0023】
クラッチプレート21及びリテーニングプレート22には、それぞれ中心孔37(内周縁)が形成されている。この中心孔37内には出力回転体3としてのスプラインハブが配置されている。出力回転体3は、軸方向に延びる筒状のボス52と、ボス52から半径方向に延びるフランジ54とから構成されている。ボス52の内周部には、図示しないトランスミッション側から延びるシャフトに係合するスプライン孔53が形成されている。フランジ54には回転方向に並んだ複数の外周歯55及び後述の第1バネ7を収容するための切欠き56等が形成されている。切欠き56は半径方向に対向する2カ所に形成されている。
【0024】
分離フランジ6は、出力回転体3の外周側で、かつ、クラッチプレート21とリテーニングプレート22との間に配置された円板状の部材である。分離フランジ6は、第1バネ7を介して出力回転体3と回転方向に弾性的に連結され、さらには第2バネ8を介して入力回転体2に弾性的に連結されている。図5に詳細に示すように、分離フランジ6の内周縁には複数の内周歯59が形成されている。内周歯59は、前述の外周歯55の間に配置され、回転方向に所定の間隔を空けて配置されている。外周歯55と内周歯59とは回転方向に互いに当接可能である。すなわち、外周歯55と内周歯59とにより入力回転体3と分離フランジ6との捩り角度を規制するための第1ストッパー9が形成されている。外周歯55とその円周方向両側の内周歯59との間にはそれぞれ第1捩り角度θ1が確保されている。外周歯55から見てR1側の内周歯59との間の第1捩じり角度θ1は約2゜であり、外周歯55から見てR2側の内周歯59との間の第1捩り角度θ1は約5゜である。
【0025】
さらに、分離フランジ6の内周縁には、フランジ54の切欠き56に対応して切欠き67が形成されている。切欠き56, 67内には、それぞれ1つずつ合計2つの第1バネ7が配置されている。第1バネ7は低剛性のコイルスプリングであり、2つの第1バネ7は並列に作用する。第1バネ7は円周方向両端においてスプリングシートを介して切欠き56, 67の円周方向両端57, 68に係合している。以上の構造によって、出力回転体3と分離フランジ6とが相対回転する際には第1捩り角度θ1の範囲内で第1バネ7が回転方向に圧縮される。
【0026】
分離フランジ6には回転方向に等間隔で4つの窓孔41が形成されている。窓孔41は回転方向に長く延びる形状である。窓孔41の縁は、円周方向両側の当接部44と、外周側の外周部45と、内周側の内周部46とから構成されている。外周部45は連続して形成されており窓孔41の外周側を閉じている。なお、窓孔41の外周側は一部が半径方向外方に開いた形状であってもよい。分離フランジ6において各窓孔41の円周方向間には切欠き42が形成されている。切欠き42は半径方向内側から外側に向かって円周方向長さが長くなる扇形状であり、円周方向両側に縁面43が形成されている。
【0027】
各窓孔41が形成された部分の半径方向外側には、突起49が形成されている。すなわち突起49は分離フランジ6の外周縁48からさらに半径方向外側に延びる突起形状である。突起49は、回転方向に長く延びており、ストッパー面50が形成されている。突起49は、窓孔41に比べて円周方向の幅が短く、ほぼその円周方向中間位置に形成されている。すなわち、突起49のストッパー面50は、切欠き42の縁面43より窓孔41に対してさらに円周方向内側に配置されており、窓孔41の当接部44よりさらに円周方向内側に配置されている。なお、突起49は円周方向両端にストッパー面が形成されていればそれでよく、必ずしも円周方向中間部分を必要としない。すなわち、突起は両側ストッパー面を形成するために円周方向2カ所に設けられた形状であっても良い。
【0028】
前述した分離フランジ6の構造について他の表現を用いて再度説明する。分離フランジ6は内周側に環状部を有しており環状部から半径方向外方に突出する複数の突出部47を有している。各突出部47はこの実施形態では回転方向に等間隔で4つ形成されている。突出部47は回転方向に長く形成されており、その内部に前述の窓孔41が形成されている。窓孔41は突出部47においてその面積の70%以上を占めており、突出部47にわたって形成されている。
【0029】
さらに突出部47を他の表現で説明すると、突出部47は、半径方向に延びる2つの円周方向両側窓枠部91と、円周方向両側窓枠部91の半径方向外側端同士を連結する外周側窓枠部92とから構成されている。円周方向両端窓枠部91の円周方向内側は当接部44となり、円周方向外側は縁面43となっている。外周側窓枠部92の半径方向内側は外周部45となっており、半径方向外側は外周縁48となっている。外周縁48には前述の突起49が形成されている。なお、前述の切欠き42は回転方向に隣接する突出部47の円周方向両端窓枠部91間の空間である。
【0030】
第2バネ8はクラッチディスク組立体1のダンパー機構に用いられる弾性部材すなわちバネである。各第2バネ8は、同心に配置された1対のコイルスプリングから構成されている。各第2バネ8は各第1バネ7に比べて大型であり、バネ定数が大きい。第2バネ8は各窓孔41, 35内に収容されている。第2バネ8は回転方向に長く延びており、窓孔41全体にわたって配置されている。すなわち第2バネ8の円周方向角度は後述の窓孔41の円周方向角度θBとほぼ等しい。第2バネ8の円周方向両端は、窓孔41の当接部44と当接面36とに当接又は近接している。プレート21, 22のトルクは第2バネ8を介して分離フランジ6に伝達され得る。プレート21, 22と分離フランジ6とが相対回転すると、第2バネ8は両者の間で圧縮される。具体的には、第2バネ8は当接面36とその円周方向反対側の当接部44との間で回転方向に圧縮される。このとき4つの第2バネ8は並列に作用している。なお、自由状態(分離フランジ6とプレート21, 22の間で捩りが生じていない状態)では、第2バネ8の円周方向両端の半径方向内側部は当接部44に当接又は近接しているが、円周方向両端部の半径方向外側部は当接部44から僅かに離れている。
【0031】
リテーニングプレート22の外周縁には、回転方向に等間隔で4カ所に板状連結部31が形成されている。板状連結部31は、クラッチプレート21とリテーニングプレート22とを互いに連結するものであり、さらに後述するようにクラッチディスク組立体1のストッパーの一部を構成している。板状連結部31は、リテーニングプレート22から一体に形成された板状部材であり、回転方向に所定の幅を有している。板状連結部31は、各窓孔41の円周方向間すなわち切欠き42に対応して配置されている。板状連結部31は、リテーニングプレート22の外周縁から軸方向に延びるストッパー部32と、ストッパー部32の端部から半径方向内側に延びる固定部33とから構成されている。ストッパー部32はリテーニングプレート22の外周縁からクラッチプレート21側に延びている。固定部33は、ストッパー部32の端部から半径方向内側に折り曲げられている。以上に述べた板状連結部31はリテーニングプレート22と一体の部分であり、厚みはリテーニングプレート22とほぼ同じである。そのため、ストッパー部32は半径方向にはリテーニングプレート22の板厚に相当する幅のみを有している。ストッパー部32は円周方向両側にストッパー面51を有している。固定部33の半径方向位置は窓孔41の外周側部分に対応しており、円周方向位置は回転方向に隣接する窓孔41の間である。この結果、固定部33は分離フランジ6の切欠き42に対応して配置されている。切欠き42は固定部33より大きく形成されており、このため組立時にリテーニングプレート22をクラッチプレート21に対して軸方向に移動させたときには固定部33は切欠き42を通って移動可能である。固定部33はクッショニングプレート24の連結部24cに平行にかつトランスミッション側から当接している。固定部33には孔33aが形成されており、孔33a内には前述のリベット27が挿入されている。リベット27は、固定部33とクラッチプレート21とクッショニングプレート24とを一体に連結している。さらに、リテーニングプレート22において固定部33に対応する位置にはかしめ用孔34が形成されている。
【0032】
次に、板状連結部31のストッパー部32と突起49とからなる第2ストッパー10について説明する。第2ストッパー10は分離フランジ6と入力回転体2との間で捩り角度θ4までの領域で両部材の相対回転を許容し、捩り角度がθ4になると両部材の相対回転を規制するための機構である。なお、この捩り角度θ4の間で第2バネ8は分離フランジ6と入力回転体2との間で圧縮される。
【0033】
板状連結部31は、平面視において、円周方向位置は窓孔41の円周方向間、切欠き42内、突起49の円周方向間にある。また、板状連結部31のストッパー面51の半径方向位置は、分離フランジ6の外周縁48よりさらに半径方向外側にある。すなわち、ストッパー部32と突起49とは半径方向位置がほぼ同じである。このため、ストッパー部32と突起49は分離フランジ6とプレート21, 22との捩り角度が大きくなると互いに当接可能である。ストッパー部32のストッパー面51と突起49のストッパー面50とが互いに当接した状態では、ストッパー部32は分離フランジ6の突出部47すなわち窓孔41の半径方向外側に位置している。すなわち、ストッパー部32が突出部47及び窓孔41よりさらに円周方向内側に入り込むことが可能になっている。
【0034】
以上に述べた第2ストッパー10の利点について説明する。ストッパー部32は板状であるため、従来のストップピンに比べて円周方向角度を短くできる。また、ストッパー部32は従来のストップピンに比べて半径方向長さが大幅に短くなっている。すなわちストッパー部32の半径方向長さはプレート21, 22の板の厚みと同じだけである。このことは、第2ストッパー10の実質的な半径方向長さはプレート21, 22の板厚に相当する短い部分に限定されていることを意味する。
【0035】
ストッパー部32はプレート21, 22の外周縁部分すなわち最外周位置に配置されており、ストッパー部32の半径方向位置は突出部47特に窓孔41の外周縁48の半径方向位置よりさらに半径方向外側である。このようにストッパー部32が窓孔45から半径方向に異なる位置にあるため、ストッパー部32と窓孔41とが回転方向に互いに干渉しない。この結果、第2バネ8によるダンパー機構の最大捩り角度と第2バネ8の捩り角度を共に大きくできる。ストッパー部が窓孔と同じ半径方向位置にある場合には、第2バネによるダンパー機構の捩り角度と窓孔の円周方向角度とは互いに干渉し合い、ダンパー機構の広角化とバネの低剛性化を実現できない。
【0036】
特に、第2ストッパー10の半径方向長さが従来のストップピンに比べて大幅に短いため、第2ストッパー10を窓孔41の半径方向外側に設けても、プレート21, 22の外径は極端に大きくならない。また、窓孔41の半径方向長さが極端に短くなることはない。
中間プレート11は、出力回転体3の外周側において、クラッチプレート21と分離フランジ6との間、及び分離フランジ6とリテーニングプレート22の間とに配置された1対のプレート部材である。中間プレート11は円板状又は環状のプレート部材であり、入力回転体2と出力回転体3との間でダンパー機構の一部を構成する部材である。中間プレート11の内周縁には複数の内周歯66が形成されている。内周歯66は分離フランジ6の内周歯59と軸方向に重なるように配置されている。内周歯66は、出力回転体3(ハブ)の外周歯55と回転方向に所定の隙間を空けて配置されている。すなわち、この隙間の範囲内で出力回転体3と中間プレート11とは相対回転可能となっている。外周歯55と内周歯59とにより、出力回転体3と中間プレート11との相対回転角度を規制する第3ストッパー12が形成されている。より具体的には、図5に示すように、外周歯55から見て円周方向両側の内周歯66との間にはそれぞれ第2捩り角度θ2だけの隙間が確保されている。この実施形態では第2捩り角度θ2は共に等しく、約2゜となっている。第2捩じり角度θ2の大きさは第1捩じり角度θ1以下である。この比較は円周方向の同じ側の各角度同士で行っている。
【0037】
中間プレート11には、それぞれ半径方向外側に突出する係合部61が形成されている。各係合部61は分離フランジ6の窓孔45の間に配置されている。係合部61は窓孔41の半径方向中間位置付近まで延びている。係合部61は半径方向内側から外側に向かって除々に円周方向長さが長くなる扇型をしている。また、係合部61の円周方向両端は、円周方向両側にある第2バネ8の内周側部分に係合可能となっている。係合部61の円周方向両側端面61aと第2バネ8の円周方向端部との間にはそれぞれ第3捩り角度θ3だけの隙間が確保されている。この実施形態では、係合部61とそのR2側の第2バネ8との間の第3捩り角度θ3は、約4゜であり、R1側の第2バネ8との間の第3捩り角度θ3は約1゜である。第3捩じり角度θ3は、第1捩じり角度θ1から第2捩じり角度θ2を引いたものより大きい。この比較は円周方向の同じ側の角度同士で行っている。
【0038】
1対の中間プレート11同士は、複数のピン62により相対回転不能になっている。ピン62は、胴部と、胴部から軸方向両側に延びる小径の突起部分から構成されている。1対の中間プレート11同士は、ピン62の胴部に軸方向から当接することによって、互いに対して軸方向に接近することが制限されている。突起部分はプレート11に形成された孔内に挿入されている。各中間プレート11と分離フランジ6との間には、それぞれスペーサ63が配置されている。スペーサ63は各中間プレート11の内周部と分離フランジ6の内周側環状部分との間に各々配置された環状のプレート部材である。スペーサ63にはピン62の胴部が挿入される孔が形成されており、ピン62と孔の係合によってスペーサ63は中間プレート11と一体回転するようになっている。スペーサ63において分離フランジ6に対向し当接する側の面には摩擦係数を減らすためのコーティングが施されている。分離フランジ6にはピン62が貫通する長孔69が形成されている。長孔69は、ピン62が分離フランジ6に対して回転方向に移動可能にするための孔である。
【0039】
次に、摩擦発生機構を構成する各部材について説明する。第2摩擦ワッシャー72は、トランスミッション側の中間プレート11の内周部とリテーニングプレート22の内周部との間に配置されている。第2摩擦ワッシャー72は主に樹脂製の本体74と本体74にモールドされた摩擦板75とから構成されている。摩擦板75は、トランスミッション側の中間プレート11のトランスミッション側面に当接している。本体74の内周部からはトランスミッション側に係合部76が延びている。係合部76は、リテーニングプレート22に対して相対回転不能に係合されるとともに軸方向に係止されている。本体74の内周部トランスミッション側には複数の凹部77が形成されている。本体74とリテーニングプレート22との間には第2コーンスプリング73が配置されている。第2コーンスプリング73は、第2摩擦ワッシャー72の本体74とリテーニングプレート22との間で圧縮された状態で配置されている。これにより、第2摩擦ワッシャー72の摩擦板75は第1中間プレート11に強く圧接されてている。第1摩擦ワッシャー79はフランジ54とリテーニングプレート22の内周部との間に配置されている。すなわち、第1摩擦ワッシャー79は第2摩擦ワッシャー72の内周側でかつボス52の外周側に配置されている。第1摩擦ワッシャー79は樹脂製である。第1摩擦ワッシャー79は、主に環状の本体81から構成されており、環状の本体81からは複数の突起82が半径方向外側に延びている。本体81はフランジ54に当接しており、複数の突起82は第2摩擦ワッシャー72の凹部77に相対回転不能に係合している。これにより、第1摩擦ワッシャー79は第2摩擦ワッシャー72を介してリテーニングプレート22と一体回転可能である。第1摩擦ワッシャー79とリテーニングプレート22の内周部との間には第1コーンスプリング80が配置されている。第1コーンスプリング80は第1摩擦ワッシャー79とリテーニングプレート22の内周部との間で軸方向に圧縮された状態で配置されている。なお、第1コーンスプリング80の付勢力は第2コーンスプリング73の付勢力より小さくなるように設計されている。また、第1摩擦ワッシャー79の摩擦面は樹脂部分であるため、第2摩擦ワッシャー72に比べて摩擦係数が小さくなっている。このため、第1摩擦ワッシャー79によって発生する摩擦(ヒステリシストルク)は第2摩擦ワッシャー72で発生する摩擦より大幅に小さくなっている。
クラッチプレート21の内周部とフランジ54及び中間プレート11の内周部との間には第3摩擦ワッシャー85が配置されている。第3摩擦ワッシャー85は樹脂製の環状の部材である。第3摩擦ワッシャー85は、主に、環状の本体86から構成されている。環状の本体86のトランスミッション側には、外周側に摩擦板88が配置され、内周側には樹脂からなる摩擦面87が形成されている。摩擦板88はエンジン側の中間プレート11の内周部に当接している。樹脂製の摩擦面87はフランジ54のエンジン側面に当接している。さらに、第3摩擦ワッシャー85の内周部には、エンジン側に突出する環状の筒部90が形成されている。筒部90の内周面はボス52の外周面に摺動可能に当接している。また、本体86の外周側部分からは、回転方向に複数箇所においてエンジン側に突出する係合部89が形成されている。係合部89はクラッチプレート21に形成された孔内に係合され、これにより第3摩擦ワッシャー85はクラッチプレート21に対して相対回転不能係合するとともに軸方向に係止されている。以上に述べた摩擦機構において、第2摩擦ワッシャー72の摩擦板75及び第3摩擦ワッシャー85の摩擦板88と中間プレート11との間に比較的高いヒステリシストルクを発生する摩擦発生機構13が形成されている。さらに、第1摩擦ワッシャー79の本体81による摩擦面と第3摩擦ワッシャー85の樹脂摩擦面87とがフランジ54との間に比較的低いヒステリシストルクを発生する摩擦発生機構15を形成している。
【0040】
次に第2バネ8と第2ストッパー10における各構造の角度及びその関係について詳細に説明する。なお、以下に述べる「円周方向角度」とは、ある位置から他の位置までのクラッチディスク組立体1の回転軸Oを中心とした円周方向(クラッチディスク組立体1の回転方向)角度のことである。以下の説明で用いる角度の絶対値は図面に記載された本願発明の一例としてのクラッチディスク組立体1のものであり、本願発明はそれらの数値に限定されない。
【0041】
各円周方向角度θA〜θEは図6及び7に記載されている。図20に示すのは、各円周方向θA〜θEの角度の関係を示す線図である。
θAとθCとの関係
各突起49の円周方向角度θAは回転方向に隣接する突起49の隣接する円周方向端部間(すなわち回転方向に向き合うストッパー面50間)の円周方向角度θCより小さい。図20から明らかなようにθAとθCは一方が大きくなれば他方が小さくなる関係にある。ここではθAをθCに対して大幅に小さくすることでθCを従来より大きく確保している。このように各突起49間の円周方向角度θCが広くなることにより、分離フランジ6とプレート21, 22との間の捩り角度θEを広くすることが可能となっている。本願発明の一実施形態である図面に示したクラッチディスク組立体1では、各θAは21゜であり、各θCは69゜である。
【0042】
θCは、40゜以上あれば従来にない充分に優れた効果が得られ、50〜80゜
の範囲にある場合はさらに優れた効果が得られ、60〜80゜の範囲にある場合はさらに優れた効果が得られ65〜75゜の範囲にある場合は最も優れた効果が得られる。
【0043】
θCはθAの2分の1以下であれば充分に優れた効果が得られる。θCはθAの3分の1以下であればさらに優れた効果が得られる。図面のθCθAとの比は1:3.29である。この比は1:2〜6の範囲にあれば充分に優れた効果が得られ、1:2.5〜5.5の範囲にあればさらに優れた効果が得られる。
θCとθDとの関係
各板状連結部31(ストッパー部32)の円周方向角度θDは、前述の角度θCより遙かに小さくなっている。図20から明らかなように、θCからθDを引いたものが、分離フランジ6とプレート21, 22との間の最大捩り角度θE(ダンパー機構のストッパー角度)になっている。すなわち、このダンパー機構では最大捩り角度θEが従来より広くなっている。図から明らかなように、θEを広くするためには、θCを大きくし、θDを小さくすることが必要であることがわかる。この実施形態においてはθDは16゜になっている。θDは20゜以下であるのが好ましく、10〜20゜の範囲にあるのがさらに好ましい。
θAとθBとの関係
突起49の円周方向角度θAは各窓孔41の円周方向角度θBより小さい。θAのθBに対する比が従来より小さいということは、θCのθBに対する比が従来より大きいことを示す。言い換えると、広角化した窓孔41に対して最大捩り角度θEを広く確保する前提となるθCのθBに対する比が充分に大きい。各突起49の円周方向角度θAは窓孔41の円周方向角度θBの2/3以下であればよく、1/2以下であればより好ましく、1/3以下であればさらに好ましい。この実施形態におけるθAとθBとの比は1:2.90である。θAとθBとの比は1:2〜4の範囲にあるのが好ましく、1:2.5〜4.0の範囲にあればより好ましく、1:2.75〜3.75の範囲にあれば最も好ましい。なお、θCはθBより大きくなっている。
θBとθEとの関係
θEとθBは共に従来に比べて大きくなっており、これによりダンパー機構の最大捩り角度が大きくなると共に第2バネ8の捩り角度が広くなっている。第2バネ8は大型化されることによって設計が容易になり、高性能(広捩り角・低剛性)になっている。
【0044】
θBとθEを比較すると、θBがθEに比べて大きいが、その差はわずかしかない。すなわち、θEのθBに対する比が充分に大きくなっている。これにより窓孔41すなわち第2バネ8の円周方向角度を広くした場合においで、その広角度を充分に生かせる最大捩り角度θEが確保されている。θBとのθEに対する比は1:1.13である。この比は1:1.0〜1.3の範囲にあれば充分に優れた効果が得られ、1:1.1〜1.2の範囲にある場合はさらに優れた効果が得られる。
窓孔41の半径方向長さ
このダンパー機構では、窓孔41の半径方向長さが分離フランジ6の半径方向長さ(外径)に比べて充分に大きくなっている。この結果、窓孔41に収容する第2バネ8の大型化が可能となっている。窓孔41の半径方向長さは分離フランジ6の外径の35%以上である。この割合が35〜55%の範囲にある場合は充分に優れた効果を得ることができ、40〜50%の範囲にある場合はさらに優れた効果を得ることができる。
【0045】
次に、図8を用いてクラッチディスク組立体1の構成についてさらに詳細に説明する。図8はクラッチディスク組立体1のダンパー機構の機械回路図である。この機械回路図は、ダンパー機構を模式的に描いたものであり、出力回転体3を入力回転体2に対して一方向(例えばR2側)に捩った時の各部材の動作や関係を説明するための図である。図から明らかなように、入力回転体2と出力回転体3との間には、ダンパー機構を構成するための複数の部材が配置されている。分離フランジ6は、入力回転体2と出力回転体3との間に配置されている。分離フランジ6は出力回転体3とに第1バネ7を介して回転方向に弾性的に連結されている。また、分離フランジ6と出力回転体3との間には第1ストッパー9が形成されている。第1ストッパー9における第1捩り角度θ1の間で第1バネ7は圧縮可能である。分離フランジ6は入力回転体2に対して第2バネ8を介して回転方向に弾性的に連結されている。また、分離フランジ6と入力回転体2との間に第2ストッパー10が形成されている。第2ストッパー10における第4捩り角度θ4の間で第2バネ8は圧縮可能となっている。以上に述べたように、入力回転体2と出力回転体3は直列に配置された第1バネ7と第2バネ8とにより回転方向に弾性的に連結されている。ここでは、分離フランジ6は2種類のバネの間に配置された中間部材として機能している。また、以上に述べた構造は、並列に配置された第1バネ7及び第1ストッパー9からなるダンパーと、並列に配置された第2バネ8と第2ストッパー10からなるダンパーとが、直列に配置された構造として見ることができる。また、以上に述べた構造を入力回転体2と出力回転体3とを回転方向に弾性的に連結する第1ダンパー機構4として考えることができる。第1バネ7全体の剛性は第2バネ8の全体の剛性より遙かに小さく設定されている。そのため、第1捩り角度θ1までの捩り角度の範囲では第2バネ8はほとんど回転方向に圧縮されない。
【0046】
中間プレート11は、入力回転体2と出力回転体3との間に配置されている。中間プレート11は、その一部が第2バネ8に対して係合可能な構成となっている。中間プレート11は、出力回転体3との間に第2捩り角度θ2だけの隙間を有する第3ストッパー12を構成している。この第3ストッパー12は、後述する一段目範囲での微小捩り振動が入力された際に出力回転体3と中間プレート11との間で相対回転を許容するための隙間である。また、中間プレート11は、摩擦発生機構13を介して入力回転体2に回転方向に摩擦係合している。さらに、中間プレート11は、係合部61が第2バネ8の円周方向端部に第3捩り角度θ4だけの隙間を空けて配置されている。以上に述べた中間プレート11は、直列に配置された第3ストッパー12と摩擦発生機構13を構成することで入力回転体2と出力回転体3とを回転方向に連結する第2ダンパー機構5を実現している。第2ダンパー機構5は第1ダンパー機構4と並列に作用するように配置されている。
【0047】
次に、図8におけるダンパー機構の各角度θ1〜θ4の関係について説明する。ここでの角度は出力回転体3から入力回転体2を負側に見た各角度である(入力回転体2から出力回転体3を正側に見ている)。第1捩り角度θ1は第1バネ7におけるダンパー機構の正側最大捩り角度であり、第2ストッパー10における第4捩り角度θ4は第2バネ8におけるダンパー機構の正側最大捩り角度θE1である。第1捩り角度θ1と第4捩り角度θ4との合計がクラッチディスク組立体1全体としてのダンパー機構の正側最大捩り角度である。第2捩り角度θ2は第1捩り角度θ1と等しい又はそれ未満である必要がある。この実施形態では、例えば第1捩り角度θ1は5゜であり、第2捩り角度θ2は2゜である。第1捩り角度θ1から第2捩り角度θ2を引いたその差は第3捩り角度θ3より小さい必要がある。第1捩り角度θ1から第2捩り角度θ2を引いたその差をさらに第3捩り角度θ3から引いたものが、捩り特性の二段目において微小捩り振動が入力された時の摩擦発生機構13を作動させないための隙間角度Aとなっている。隙間角度Aはこの実施形態では1゜であるが、1〜2゜の範囲にあることが好ましい。正負両側の第2捩じり角度θ2の合計が、捩り特性の一段目において微小捩り振動が入力された時の摩擦発生機構13を作動させないための合計隙間角度Bになる。この実施形態では第2捩じり角度θ2は正負共に2゜であり、合計隙間角度Bは4゜になる。合計隙間角度Bは隙間角度Aより大きいことが好ましく、2倍以上あるのが望ましい。合計隙間角度Bは3〜5゜範囲にあれば優れた効果が得られる。
【0048】
また、図8に示すように、入力回転体2と出力回転体3との間には摩擦発生機構15が設けられている。摩擦発生機構15は、入力回転体2と出力回転体3が相対回転する際には常に滑りが生じるようになっている。この実施形態では摩擦発生機構15は主に第1及び第2摩擦ワッシャー72, 85によって構成されているが、他の部材によって構成されていても良い。また摩擦発生機構15で発生するヒステリシストルクは場合によっては最大限低いことが望ましい。
【0049】
次に、図8〜図18の機械回路図及び図19の捩り特性線図を用いてクラッチディスク組立体1のダンパー機構の特性を説明する。なお、この捩り特性線図は入力回転体2と出力回転体3とを正負の最大捩り角度間で捩った場合の捩じり角度とトルクとの関係を表している。
図8及び図15は入力回転体2と出力回転体3とが静止状態にある状態を示すものであり、図19の捩り特性線図には現れていない。図9〜14は出力回転体3が入力回転体2に対して0度よりR2側に捩れているときの動作(すなわち入力回転体2が出力回転体3に対して0度よりR1側(正側)に捩れている)を説明するための図である。なお、図9〜図13は正側領域で正側に変化しているときの状態を説明し、図14は正側領域で負側に変化しているときの状態を説明している。図16〜図18は出力回転体3が入力回転体2に対して0度よりR1側(正側)に捩れているときの動作(すなわち入力回転2が出力回転体3に対して0度よりR2側(負側)に捩れている)を説明するための図である。なお、図16及び図17は負側領域で負側に変化しているときの状態を説明し、図18は負側領域で正側に変化しているときの状態を説明している。
【0050】
図9は捩り特性の0゜において負側から正側に捩れる時の図である。このとき、図8の静止状態に比べて中間プレート11は出力回転体3側(R1側)に1゜だけずれて配置されている。このため、中間プレート11の係止部61と第2バネ8との間の隙間は第3捩り角度θ3+1゜(5゜)になっている。捩り角度が1゜になると、図9の状態から出力回転体3が入力回転体2に対してR2側に1゜変位し、図10に示すように出力回転体3の外周歯55が中間プレート11の内周歯66に当接する。以後捩り角度が1゜から5゜までの間は、図11に示すように、第1バネ7が出力回転体3と分離フランジ6との間で圧縮され、摩擦発生機構13で滑りが生じる。この結果、1゜から5゜までの一段目範囲で低剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。図12に示すように捩じり角度が第1捩じり角度θ1(5゜)になると、出力回転体3の外周歯55が分離フランジ6の内周歯59に当接する。この結果、5゜から正側最大捩り角度θ4(θE1)までの二段目範囲では、図13(8゜)に示すように、第2バネ8が分離フランジ6と入力回転体2との間で圧縮される。その結果、高剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。図13に示す状態では、中間プレート11の係合部61と第2バネ8の端部との間には隙間角度B(1゜)の隙間が確保されている。この隙間角度Bは図8に示す静止時における第1捩り角度θ1(5゜)から第2捩り角度θ2(2゜)を引いたもの(3゜)をさらに第3捩り角度θ3(4゜)から引いた残り(1゜)に相当する。
【0051】
捩り角度が最大限になり続いて負側に戻るとき、図13の状態から第2バネ8が圧縮状態から分離フランジ6を押しながら伸び、図14に示すようにその端部が中間プレート11の係合部61に当接する。第2バネ8の端部が係合部61に当接するまでの1゜の範囲では摩擦発生機構13では滑りが生じない。
第2バネ8は分離フランジ6とともに中間プレート11を押していく。このため、中間プレート11は出力回転体3に対して1゜だけR1側に変位した状態を保つ。
【0052】
捩り角度が5゜になると、第2バネ8は自由長状態となり、続いて第1バネ7の伸びが始まる。このとき、図14に示すように、中間プレート11は出力回転体3に対してR1側に1゜ずれて配置されているため、第1バネ7の伸びが開始されてから出力回転体3が中間プレート11に対してθ2+1゜(3゜)移動するまでは低剛性・低ヒステリシストルクの特性が得られる。すなわち、5゜から2゜までの間に摩擦発生機構13は滑りを生じない。続いて2゜になると出力回転体3が中間プレート11をR1側に移動させ、これにより図16に示すように中間プレート11は第2バネ8の端部から離れると共に摩擦発生機構13において滑りを発生させる。この結果、2゜から−2゜までの一段目範囲に低剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。なお、捩り角度が0゜以下になると、図16に示すように、出力回転体3と分離フランジ6との間で第1バネ7が圧縮される。捩じり角度が−2゜を越えると、第2ストッパー9が当接し、第2バネ8が分離フランジ6と入力回転体2との間で圧縮される。第1ストッパー9が反対側で当接し、これ以降は中間プレート11と入力回転体2との間で第2バネ8が圧縮される。この結果、負側の二段目において高剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。二段目において負側に捩られて再び正側に戻るときは、図18に示すように第2バネ8は分離フランジ6と中間プレート11とを押している。このとき、摩擦発生機構13が滑ることで高ヒステリシストルクが発生している。なお、この戻り状態において中間プレート11は出力回転体3に対してR1側に1゜ずれている。捩り角度が−2゜になると、第2バネ8の伸びが停止し、次に第1バネ7の伸びが開始される。ここではθ2+1゜(3゜)の大きさすなわち−2゜から1゜までの範囲では第1バネ7は出力回転体3を押すが中間プレート11は入力回転体2に対して滑らず高ヒステリシストルクが発生しない。
【0053】
次に、具体的にクラッチディスク組立体1に振動が入力された時の捩り特性の変化について説明する。
車輌の前後振動のように振幅の大きな捩り振動が発生すると、捩り角度は図19の特性で示す正負の二段目間で変動を繰り返す。このとき、一段目と二段目の両方で高ヒステリシストルクが発生しているので、車輌の前後振動は速やかに減衰される。
【0054】
次に、例えば通常走行時(例えば図13に示すような正側二段目範囲)においてエンジンの燃焼振動に起因する微小捩り振動がクラッチディスク組立体1に入力されたとする。このとき、図13に示す状態から、出力回転体3と入力回転体2とは隙間角度A=θ3−(θ1−θ2)=1゜の範囲内で摩擦発生機構13を作用させずに相対回転可能である。すなわち、図19のCに示すように隙間角度A範囲内では第2バネ8が作動するが、摩擦発生機構13では滑りが生じない。この結果、走行時ラトル、こもり音の原因となる微少捩じり振動を効果的に吸収できる。
【0055】
次に、アイドル時振動等の微小振動がクラッチディスク組立体1に入力された場合の動作について説明する。このときは正負一段目範囲(−2゜〜5゜、例えば図9, 図10, 図11)でダンパー機構が作動する。例えば図9の状態から、微小振動が入力されると、出力回転体3は分離フランジ6, 中間プレート11及び入力回転体2に対して相対回転する。このとき、第1バネ7が作動し、摩擦発生機構13では滑りが生じない。このときのダンパー機構の捩り角度の大きさは第3ストッパー12における合計隙間角度B(4゜)以下である。
【0056】
一段目範囲で低剛性・低ヒステリシストルクを実現することで、定常歯打音レベルが向上している。一段目範囲で低剛性・低ヒステリシストルクを進めると、ジャンピング現象が生じることが考えられものの、このクラッチディスク組立体1では、一段目範囲の両側に高ヒステリシストルクの領域を設ける事でジャンピング現象を抑制している。ここでいうジャンピング現象とは、二段目の壁に正負ともに跳ね返され、一段目全域にわたる振動に発展する現象であり、定常の歯打音よりレベルの高い音が発生する現象をいう。
【0057】
以上に述べたように、摩擦発生機構13は、入力回転部材2と出力回転部材3とを回転方向に摩擦係合し、一段目範囲と二段目範囲で滑り発生可能な機構である。また、第3ストッパー12における第2捩り角度θ2の隙間及び第4ストッパー14における第3捩り角度θ3の隙間はそれぞれ一段目範囲と二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動に対して摩擦発生機構13で滑りを生じさせない摩擦抑制手段として機能している。さらに、第2ダンパー機構5全体は、入力回転体2と出力回転体3とを回転方向に摩擦係合し、一段目範囲と二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動に対しては滑らず、所定トルク以上の捩り振動に対しては滑ることで摩擦を発生する摩擦発生機構であると考えても良い。さらに、第3ストッパー12は一段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力された時に摩擦発生機構13に滑りを生じさせない第1摩擦抑制機構であり、第4ストッパー14は二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力された時に摩擦発生機構13に滑りを生じさせない第2摩擦抑制機構であると考えても良い。
【0058】
このクラッチディスク組立体1に示すように、従来のストップピンに代わる板状連結部31よって捩じり角度二段目範囲の広角化を達成することにより、エンジン回転数における共振点が低回転側に移行する。さらに高ヒステリシストルクによって共振点のピークを低減できる。
さらに、捩じり角度二段目範囲で低剛性化に微少捩じり振動に対して高ヒステリシストルクを発生させない構造を加えることにより、走行時ラトルやこもり音を低減できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係るダンパー機構では、一段目範囲及び二段目範囲にわたって捩じれる振動に対しては一段目にも高ヒステリシストルクを発生し、微小捩り振動が入力された場合には一段目及び二段目で高ヒステリシストルクを発生させない。
【図面の簡単な説明】
【図1】クラッチディスク組立体の縦断面図。
【図2】クラッチディスク組立体の平面図。
【図3】図2の拡大図。
【図4】各部品の分解断面図。
【図5】ハブと分離フランジ及び中間プレートとの係合を示すための平面図。
【図6】各部分の捩り角度の関係を説明するための平面図。
【図7】各部分の捩り角度の関係を説明するための平面図。
【図8】クラッチディスク組立体のダンパー機構の機械回路図。
【図9】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図10】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図11】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図12】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図13】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図14】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図15】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図16】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図17】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図18】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図19】クラッチディスク組立体の捩り特性線図。
【図20】クラッチディスク組立体の各捩じり角度の関係を説明するための線図。
【符号の説明】
1 クラッチディスク組立体
2 入力回転体
3 出力回転体(ハブ)
4 第1ダンパー機構
5 第2ダンパー機構
6 分離フランジ
7 第1バネ
8 第2バネ
9 第1ストッパー
10 第2ストッパー
11 中間プレート
12 第3ストッパー
13 摩擦発生機構
14 第4ストッパー
Claims (3)
- 第1回転部材と、
前記第1回転部材に相対回転可能に配置された第2回転部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に連結し、捩り振動を減衰するための機構であり、前記第1回転部材と前記第2回転部材との間に配置された第1中間部材と、前記第1回転部材と前記第1中間部材との間に配置され第1円周方向角度まで圧縮可能な第1弾性部材と、前記第1中間部材と前記第2回転部材との間に配置され前記第1弾性部材よりバネ定数が大きい第2弾性部材とを有する第1ダンパー機構と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に連結し、前記第1ダンパー機構と並列に配置され、捩り振動を減衰するための機構であり、前記第1回転部材と前記第2回転部材との間に配置された第2中間部材と、前記第1回転部材と前記第2中間部材との間で第1円周方向角度以下である第2円周方向角度の隙間を有するストッパーと、前記第2中間部材と前記第2回転部材とを回転方向に摩擦係合する摩擦発生機構とを有し、前記第2中間部材の一部は前記第2弾性部材との間に第3円周方向角度の隙間を有しており、第3円周方向角度は、第1円周方向角度から第2円周方向角度を引いた差より大きい、第2ダンパー機構と、
を備えたダンパー機構。 - 第1回転部材と、
前記第1回転部材に相対回転可能に配置された第2回転部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材との間に配置された第1中間部材と、
前記第1回転部材と前記第1中間部材との間に配置され第1円周方向角度まで圧縮可能な第1弾性部材と、
前記第1中間部材と第2回転部材との間に配置され第1弾性部材よりバネ定数が大きい第2弾性部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材との間に配置された第2中間部材と、
前記第1回転部材と前記第2中間部材との間で第1円周方向角度以下である第2円周方向角度の隙間を有するストッパーと、
前記第2中間部材と前記第2回転部材とを回転方向に摩擦係合する摩擦発生機構とを備え、
前記第2中間部材の一部は前記第2弾性部材との間に第3円周方向角度の隙間を有しており、第3円周方向角度は、第1円周方向角度から第2円周方向角度を引いた差より大きい、
ダンパー機構。 - 出力ハブと、
前記出力ハブの周りに相対回転可能に配置された1対の入力プレートと、
前記出力ハブの外周側で前記1対の入力プレートの間に配置された第1中間部材と、
前記出力ハブと前記第1中間部材を回転方向に弾性的に連結する第1弾性部材と、
前記第1中間部材と前記1対の入力プレートを回転方向に弾性的に連結し前記第1弾性部材よりバネ定数が大きい第2弾性部材と、
前記出力ハブと前記1対の入力プレートとの間に配置され、前記出力ハブとの間に第1円周方向角度以下である第2円周方向角度の隙間を確保し、前記1対の入力プレートとの間に摩擦係合部を形成し、一部が前記第2弾性部材との間に第3円周方向角度の隙間を有しており、第3円周方向角度は、第1円周方向角度から第2円周方向角度を引いた差より大きい、第2中間部材と、
を備えたダンパー機構。
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