JP3605085B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、蓄熱器に蓄えた熱で室内を空調(冷房)する空気調和装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の空気調和装置が示されたものとしては、特公平5−50672号公報がある。
【0003】
この公報に示された空気調和装置は、冷凍機(チラーユニット)で得られた熱を蓄熱器内に蓄え(氷を作る)、この熱で生成された冷水を室内の空調機の熱交換器へ導いて、室内を空調しようとするものである。
【0004】
ところで、最近のビル空調においては、コンピュータルームに設置されたコンピュータ等の発熱量が多くなってきたため、室内の冷房期間が夏期だけでなく春先、秋、そして初冬まで広がってきている。このような空気調和装置で室内を空調する場合に、蓄熱器内に製氷した分の氷は冷房負荷の大きい夏期では残らないが、冷房負荷の比較的小さい春先や秋、あるいは初冬では氷が残ってしまう。これは、夏期の空調を念頭において蓄熱槽内に製氷量を設定しているからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
もし蓄熱器内に氷が残ると、特に春先、秋、そして初冬までの中間期において、蓄熱槽内の水位が上がり、制御用の氷厚センサ(後述する)が異常警報を出すという不都合が生じることがある。通常、このような氷蓄熱による空調を行う場合にできるだけ氷が残らないようにするために、従来では次の対策を立てている。
【0006】
(1)図3に示すように、冷房負荷の大きい夏期あるいは長時間冷房する場合には、全日モードにして、演算による目標製氷量Gの設定をする。
【0007】
この目標製氷量Gは、図3に示すように、G=f(t)−g(%)で表される。ここで、f(t)は、前3日間の昼間の外気温度から演算して求めた値であり、前日のg(%)は残氷量を示している。
【0008】
(2)また、春先、秋、初冬などに空気調和装置を運転する時には、手動による選択でいわゆる半日モードを選択して、目標製氷量を、100%(蓄熱器での最大蓄熱量)で製氷する量の数10%の製氷量に手動設定している。
【0009】
(3)蓄熱槽内の残氷が続いて制御用の氷厚センサが作動して警報を出した場合には、その時点で製氷運転を中止する。
【0010】
(4)残氷の有無を蓄熱槽内の水位で監視する。
【0011】
しかし(1)による方法では気温変化が著しい中間期には残氷を確実に制御することができない。(2)による方法では手動によるので操作が煩雑であり、又(1)と同様に気温変化の著しい中間期では確実な制御ができない。(3)及び(4)による方法では、予め残氷をなくす運転ができずエネルギーの無駄も生じる。
【0012】
また、氷量は、氷と水の体積変化による蓄熱槽内の水位の変化量でとらえており、残氷が続くと、ポンプからの漏水の影響が大きくなり、氷量を正しくとらえることができない。そのために、目標製氷量が多めに演算されてしまうという欠点がある。
【0013】
このように、蓄熱槽の製氷量は空調負荷を予測してコントロールしなけらばならず難しかった。本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、必要最少限の蓄熱を実行するとともに空調負荷に対応してより効率的な冷房運転ができる空気調和装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、冷凍機と、この冷凍機からのブラインの熱を蓄える蓄熱器と、この蓄熱器と空調用熱交換器とを水配管でつないでこの蓄熱器で冷却した水を空調用熱交換器へ循環させて室内を調温すると共に、この空調用熱交換器から蓄熱器に戻る水と冷凍機からのブラインとを熱交換させるブライン/水熱交換器を備えた空気調和装置において、この装置を運転する所定日の前日に蓄熱器に残氷が検出された場合、この所定日の前数日間における昼間の平均外気温tから算出される製氷量f(t)から前日の残氷量gを差し引いた値に、0.4〜0.8である係数αを掛けて蓄熱器の目標製氷量Gを設定する制御装置を備え、且つ蓄熱器の水温が所定値以上になった場合は冷凍機を追掛け運転させてブライン/水熱交換器を作用させ、このブライン/水熱交換器からの冷水が所定温度以下の場合は蓄熱器をバイパスして直接空調用熱交換器へ、この冷水が所定温度以上の場合は蓄熱器を介して空調用熱交換器へ、この冷水を導くようにしたものである。
【0015】
【作用】
本発明によれば、制御装置は、所定の前の日数の間における昼間の平均外気温f(t)から残氷量gを差し引いた値に、0.4〜0.8である係数αを掛けて目標製氷量Gを設定するので、この空気調和装置を運転する所定日の冷房負荷に応じた正確な氷量を得ることができ、蓄熱器での残氷の発生を防止し、万一、蓄熱量が不足した(蓄熱器の水温が所定値以上になった)場合は冷凍機を追掛け運転させ、ブライン/水熱交換器を作用させ、このブライン/水熱交換器からの冷水が所定温度以下の場合は蓄熱器をバイパスして直接空調用熱交換器へ、この冷水が所定温度以上の場合は蓄熱器を介して空調用熱交換器へ、この冷水を導くようにしたことにより、蓄熱量を確保する。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の空気調和装置の好ましい回路例を示している。
【0018】
図1において、1は空気調和装置で、冷凍機(以下、チラーという)2と、蓄熱器3と、室内に設置されるファンコイル等の空調機4、および制御装置22とから構成されている。
【0019】
チラー2は、圧縮機5、凝縮器6、減圧器7、蒸発器(水熱交換器)8とを備え、これらの機器が冷媒管でつながれている。
【0020】
蓄熱器3には、水9が蓄えられており、製氷用熱交換器10にて、水9を氷26にすることによって、蓄熱作用を行う。
【0021】
この製氷用熱交換器10と蒸発器8とは、ブラインポンプ13並びに第1開閉弁14を介してつながれている。15は、フロート構造の製氷センサ(水位センサ)、12は電極式の氷厚センサである。
【0022】
ここで、製氷用熱交換器10の作用で水9が氷結し始めると、氷26の体積膨張によって蓄熱器3内の水位が上昇する。この水位の上昇を製氷センサ15が検知して、蓄熱器3の氷量すなわち蓄熱量を求めるようにしている。
【0023】
16は、ブライン/水熱交換器で、一端は第2開閉弁17を介して第1開閉弁14と蒸発器8との間に、他端は蓄熱器3とブラインポンプ13との間にそれぞれつながれている。
【0024】
空調機4には空調用熱交換器18が配置されており、この空調用熱交換器18は、その入口端が冷水ポンプ19および三方弁20を介して蓄熱器3の吸熱用熱交換器21につながれている。一方、この空調用熱交換器18の出口端はブライン/水熱交換器16を介して分岐され、三方弁20と吸熱用熱交換器21につながれている。
【0025】
22は制御装置で、上述の水位センサ15からの信号、すなわち蓄熱量(氷量)を受ける入力器23と、一日の時刻を計測する時計24と、両者からの信号に基づいてチラー2の圧縮機5へ信号を出力する出力器25と、そして演算部27から構成されている。
【0026】
この空気調和装置1では、電気料金の割安な夜間(たとえば午後10時から翌日の午前8時)までは蓄熱運転を行う。すなわち、チラー2並びにブラインポンプ13を運転させるとともに、第1開閉弁14を開き、第2開閉弁17を閉じて、チラー2の蒸発器8で得られたブラインを、実線矢印のように流して、蓄熱器3内の水9を氷26にする(蓄熱運転)。
【0027】
そして、冷房運転時は、まずチラー2の運転を停止させるとともに、冷水ポンプ19のみを運転させることによって、蓄熱器3内の氷26によって冷却された水を、実線矢印のように空調用熱交換器18へ送り込む。これによって、室内が冷房される。
【0028】
この冷房運転に伴って氷26の量は次第に減少する。この減少によって、氷26の量が目標値(この目標値は時間に応じて変化(減少)する)以下になると、チラー2を再び運転させる。この運転を追掛け運転という。
【0029】
この追掛け運転時に、ブライン並びに冷水は破線矢印のように流れる。すなわち、空調負荷(冷房負荷)が少ない時、および/またはブライン/水熱交換器16での熱交換率が多くて、このブライン/水熱交換器16から流れ出た冷水が十分に冷却されているときは、蓄熱器3をバイパスして三方弁20を介して冷水ポンプ19に導かれる。
【0030】
逆の場合は、蓄熱器3、三方弁20を介して冷水ポンプ19に導かれる。この時、蓄熱器3の蓄熱量(氷量)が十分蓄えられている。
【0031】
次に、図2を参照して、本発明の空気調和装置の動作を説明する。
【0032】
まず、全日モードについて説明する。
【0033】
制御装置22で、水位センサ15からの信号から残氷があるかどうかを判断する(ステップS1)。残氷がある場合には、制御装置22の演算部27が、次式(1)で示すように、目標製氷量Gを残氷補正を考慮して演算する。
【0034】
【数1】
この目標製氷量Gの演算式におけるf(t)は、例えば前3日間の昼間の外気温度から演算して求めた値(平均外気温)であり、gは残氷量である。そして、係数αは、好ましくは0.4〜0.8であり、特に好ましくは0.5である。係数αが0.4より小さいと、春先、秋、あるいは初冬においても製氷量が少なすぎることがあるとともに、係数αが0.8より大きいと、春先、秋、あるいは初冬においては製氷量が多すぎるからである。
【0035】
係数が0.5の場合には、目標製氷量Gが全日モードに比べて50%ダウンする(ステップS2)。
【0036】
そして、製氷運転に移って製氷用熱交換器10の作用で水9を氷26にする(ステップS3)。氷厚センサ12がオフの時(ステップ4A)には、目標製氷量Gまで製氷する(ステップS7)。また、氷厚センサ12がオン(ステップ4A)すると(ステップS4)、製氷運転をストップし(ステップS8)、通常の冷房運転を開始する(ステップS9)。
【0037】
そして、蓄熱器3内の氷26を使い切るように運転をする(ステップS10)。
【0038】
もし、蓄熱器3内の水温が例えば7°Cを下回る時には空調運転を続け、蓄熱器3内の水温が例えば7°C以上になった時には、空調運転中にチラー追掛け運転を行う。
【0039】
次に、残氷がない場合について説明する。
【0040】
ステップS1において、制御装置22の演算部27は、残氷量が零(ステップS4)であるので、上述した式において目標製氷量Gの演算式に係数αを掛けない。つまり、目標製氷量Gの演算式に補正をかけない。そして、基準水位を測定して、目標製氷量Gまで製氷する(ステップS7)。
目標製氷量Gまで製氷したら、上述した要領でステップS8ないしステップS12を行う。
【0041】
このように、極端な負荷の減少がなければ、残氷が発生した翌日は残氷がなくなり、残氷が何日か連続することで発生する異常(氷厚異常)は出なくなる。
【0042】
ところで、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形ができる。
【0043】
例えば、目標製氷量Gの演算式におけるf(t)は、前3日間の昼間の外気温度から演算して求めた値(平均外気温)である場合に限らず、前2日間、あるいは前4日間以上の昼間の外気温度から演算して求めた値(平均外気温)であっても構わない。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、冷凍機と、この冷凍機からのブラインの熱を蓄える蓄熱器と、この蓄熱器と空調用熱交換器とを水配管でつないでこの蓄熱器で冷却した水を空調用熱交換器へ循環させて室内を調温すると共に、この空調用熱交換器から蓄熱器に戻る水と冷凍機からのブラインとを熱交換させるブライン/水熱交換器を備えた空気調和装置において、この装置を運転する所定日の前日に蓄熱器に残氷が検出された場合、この所定日の前数日間における昼間の平均外気温tから算出される製氷量f(t)から前日の残氷量gを差し引いた値に、0.4〜0.8である係数αを掛けて蓄熱器の目標製氷量Gを設定する制御装置を備え、且つ蓄熱器の水温が所定値以上になった場合は冷凍機を追掛け運転させてブライン/水熱交換器を作用させ、このブライン/水熱交換器からの冷水が所定温度以下の場合は蓄熱器をバイパスして直接空調用熱交換器へ、この冷水が所定温度以上の場合は蓄熱器を介して空調用熱交換器へ、この冷水を導くようにしたことにより、蓄熱器での残氷の発生を防止し、万一、蓄熱量が不足した(蓄熱器の水温が所定値以上になった)場合は冷凍機を追掛け運転させることにより、蓄熱量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気調和装置の好ましい回路例を示す図。
【図2】図1の回路における一連の動作を示すフロー図。
【図3】従来の空気調和装置の回路における一連の動作を示すフロー図。
【符号の説明】
2 冷凍機
3 蓄熱器
4 空調機
22 制御装置
α 係数
Claims (1)
- 冷凍機と、この冷凍機からのブラインの熱を蓄える蓄熱器と、この蓄熱器と空調用熱交換器とを水配管でつないでこの蓄熱器で冷却した水を空調用熱交換器へ循環させて室内を調温すると共に、この空調用熱交換器から蓄熱器に戻る水と前記冷凍機からのブラインとを熱交換させるブライン/水熱交換器を備えた空気調和装置において、この装置を運転する所定日の前日に前記蓄熱器に残氷が検出された場合、この所定日の前数日間における昼間の平均外気温tから算出される製氷量f(t)から前記前日の残氷量gを差し引いた値に、0.4〜0.8である係数αを掛けて前記蓄熱器の目標製氷量Gを設定する制御装置を備え、且つ前記蓄熱器の水温が所定値以上になった場合は前記冷凍機を追掛け運転させて前記ブライン/水熱交換器を作用させ、このブライン/水熱交換器からの冷水が所定温度以下の場合は前記蓄熱器をバイパスして直接前記空調用熱交換器へ、この冷
水が所定温度以上の場合は前記蓄熱器を介して前記空調用熱交換器へ、この冷水を導くようにしたことを特徴とする空気調和装置。
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