JP3603871B2 - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の固体高分子型燃料電池では、電解質を挟んで対峙する2つの電極に水素を含有する燃料ガスと酸素を含有する酸化剤ガスとをそれぞれ供給することによって、各極で(1)、(2)のような反応が起こり、化学エネルギーが直接電気エネルギーに変換される。
【0003】
燃料極(アノード極):H→2H+2e …(1)
酸化剤極(カソード極):2H+2e+(1/2)O→HO …(2)
この燃料電池の単位セルの構造は、平板状の固体高分子電解質膜を挟持した状態で燃料極基材と酸化極基材とを配置し、その両側にセパレータ(アノード側セパレータおよびカソード側セパレータ)を配置している。アノード側セパレータには燃料ガスを流す流路溝を設け、カソード側セパレータには酸化剤ガスを流す流路溝を設けている。これらセパレータの外側には冷却水を流す冷却路が備えられ、燃料電池を一定の温度に維持させる。各セパレータの流路溝は一本もしくは平行な数本で発電面全体に設けており、その表面には水の排水性もしくはセパレータの面内の水分布均一化を目的に親水処理もしくは撥水処理を施しているものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
固体高分子型燃料電池に用いられる固体高分子電解質膜は分子中にプロトン交換基を備えている。この交換には電解質膜が常に保水状態である事が必要であり、このため外部加湿器等によりアノード側から加湿するのが一般的である。しかしながら、アノード側のガス流路溝の上流側では十分な加湿により反応(1)が起こるものの、下流側では加湿が不十分になり、その結果電解質膜の保水状態が不十分で反応(1)が起こりにくくなる。また、カソード側では反応(2)で発生する水の排出が十分でないと、ガス流路溝の下流側で水がガス拡散層内や流路を塞ぎ反応(2)を阻害するフラディング現象が起こる。
【0005】
このような問題を改善するため、特開平10−32011号のものは、カソード側セパレータ、アノード側セパレータに、それぞれ複数の平行するガス流路溝を備え、それぞれ隣接するガス流路溝を流れるガスの通流方向が互いに逆向きとなるように形成(セパレータ毎)することによって、電解質膜を均一な湿潤状態に保持するようにしている。
【0006】
しかしながら、このものは、カソード側のガス流路溝の下流側に累積する水によって隣接する上流部位の電解質膜を湿潤させているが、多くはそのまま排出される。また、このカソード側のガス流路溝の下流側に累積する水が電解質膜を介してアノード側へ拡散する場合、拡散部位によってはそれほど利用されずに排出されるという問題がある。
【0007】
また、隣接するガス流路溝を流れるガスの通流方向が互いに逆向きとなるように形成するために、これらの集合部をセパレータの内部に設ける構造上、セパレータを薄くできず、セルが大きくなってしまうという不具合がある。
【0008】
この発明は、カソード側、アノード側のそれぞれのセパレータならびに両セパレータ間にあって、隣り合うならびに電解質膜部位を介して向かい合うガス流路溝のガスの流れ方向が対向するように構成して、カソード側からアノード側への電解質膜を介した水の拡散を利用して、外部からの加湿を最低限に抑えながら、発電面における電解質膜の保水状態をむらなく均一に維持すると共に、カソード側におけるフラディング現象の発生を抑制することを目的としている。
【0009】
また、セパレータを薄くして、小型化を図ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の対向する両主面に配置される燃料極ならびに酸化剤極と、燃料極の外側に配置され燃料極に面して複数のガス流路溝を備える第1のセパレータならびに酸化剤極の外側に配置され酸化剤極に面して複数のガス流路溝を備える第2のセパレータとからなる、単位セルが複数積層されて構成される固体高分子型燃料電池において、第1のセパレータならびに第2のセパレータにあって、隣り合うガス流路溝のガスの流れ方向が対向するようにガス流路溝を形成しており、かつ、第1、第2のセパレータ間にあって固体高分子電解質膜部位を介して向かい合うガス流路溝を流れるガスの向きも逆向きになるように設定しており、第1のセパレータの内面部ならびに第2のセパレータの内面部にそれぞれのガス流路溝の入口側集合流路を、外面側にそれぞれセパレータの内部を貫通してそれぞれのガス流路溝に接続する出口側集合流路を形成した。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記固体高分子電解質膜は、酸化剤極のガス拡散層もしくはガス流路溝内の水が固体高分子電解質膜を介して燃料極側に拡散する水移動量αmが
0.002<αm<0.8
ただし、αm:燃料極から酸化剤極へプロトン1個が
移動する際に起こる水分子の拡散数
であり、
かつ、少なくとも酸化剤極は、ガス拡散層の単位面積あたり、16.6cm/sの常温空気を流した場合の差圧をガス拡散層の厚みで除したガス透過性PがP=110〜380Pa/mm
のものを用いる。
【0012】
第3の発明は、第1、第2の発明において、前記入口側集合流路断面積をA、前記出口側集合流路断面積をBとした場合、それぞれ
0.5≦A≦20(mm2)、かつ3A>B>A/3
である。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記入口側集合流路の深さとガス流路溝の深さが同一である。
【0014】
第5の発明は、第1の発明において、前記ガス流路溝はセパレータの内部を貫通して出口側集合流路に接続し、出口側集合流路は該セパレータの外面部に形成した出口側集合流路溝と隣接するセルのセパレータの外面部に形成した出口側集合流路溝とにより合流路を形成する。
【0015】
【発明の効果】
第1の発明では、燃料極側のガス流路溝に導入される燃料ガス中の加湿分によって、ガス流路溝の上流、下流を問わず燃料極側全体を均一に加湿することができ、酸化剤極側では、ガス流路溝の水が累積される下流側よりガス拡散層を通して隣接する上流側への水の拡散が可能で、排出性も向上し、そのため、ガス拡散層内に水が溜まり発電性能が低下するいわゆるフラディング現象を抑制することができる。また、燃料極側の反応で生じたプロトンは、固体高分子電解質膜内を移動する際、幾つかの水分子を伴って酸化剤極側に至るが、酸化剤極側からも固体高分子電解質膜を介して燃料極側への水の拡散が同時に起こっており、燃料極側、酸化剤極側のセパレータ間にあって、固体高分子電解質膜部位を介して向かい合うガス流路溝を流れるガスの向きも逆向きにしたため、固体高分子電解質膜を介した水の濃度勾配が大きくなり、最も水の拡散し易い状態になる。そのため、酸化剤極から燃料極ヘ移動した水がプロトンを再び酸化剤極へ移動させることに使うことができ、燃料極ヘの外部からの加湿を減らすことができる。また、セパレータを薄くできる。
【0016】
第2の発明では、酸化剤極側から燃料極側への水の拡散を良好に行え、隣接する流路部位および酸化剤極側から燃料極側への水の良好な拡散によって、性能を向上でき、燃料極ヘの外部からの加湿を減らすことができる。
【0017】
第3の発明では、入口側集合流路の断面積を最低でも0.5mm2以上確保することにより、複数のガス流路溝へのガス分配性が増す一方、むやみに入口側集合流路の断面積を増やすことはセパレータに占める入口側集合流路の割合が増すので、最大でも20mm2程度の断面積に止めるのが現実的であって、十分なガス分配性を保てる。また、出口側集合流路の断面積を入口側集合流路の3倍未満かつ1/3を越える大きさにすることにより、セルの体積あたりの出力密度を下げることなく、排気や生成水等の排出を効率的に行うことができる。
【0018】
第4の発明では、ガスのスムーズな流れを得ることができ、また集合流路に水が溜まることを防止できる。
【0019】
第5の発明では、セパレータを一層薄くできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0021】
図1の(A)、(B)および図2の(A)、(B)は、実施の形態の固体高分子型燃料電池のアノード側セパレータ1の正面図(燃料極面側内面部を表す)、背面図(外面部を表す)およびカソード側セパレータ2の正面図(酸化剤極側内面部を表す)、背面図(外面部を表す)である。
【0022】
図1の(A)、(B)のように、アノード側セパレータ1の内面の周辺部を除く燃料極面部3には、所定の位置に、セパレータ1の上下方向(図中上下方向)に燃料ガスを流す複数の平行なガス流路溝4が形成される。ガス流路溝4は平行な往路4aと復路4bとにより形成され、隣り合うガス流路溝4のガスの流れ方向が対向するように、各ガス流路溝4の往路4aと復路4bとが順に形成される。
【0023】
各ガス流路溝4の往路4aの上流端(セパレータ1の上部側)には入口側集合流路(溝)5が形成され、入口側集合流路5はセパレータ1の左上部(燃料極面側から見て)にセパレータ1を貫通して設けられる燃料ガス入口(マニホールド)6に接続される。
【0024】
各ガス流路溝4の往路4aと復路4bとの中間点(セパレータ1の下部側)は、集合される。
【0025】
各ガス流路溝4の復路4bの下流端(セパレータ1の上部側)は、セパレータ1の内部を通って、セパレータ1の背面(外面)部7に形成された出口側集合流路(溝)8に接続され、出口側集合流路8はセパレータ1の右上部(燃料極面側から見て)にセパレータ1を貫通して設けられる燃料ガス出口(マニホールド)9に接続される。
【0026】
セパレータ1の背面部7の出口側集合流路8と対称位置には、隣接するカソード側セパレータ2の背面部17の出口側集合流路18(後述する)に重ね合わされる背面側集合流路(溝)10が形成される。
【0027】
セパレータ1の左下部(背面側から見て)および右下部(背面側から見て)には、セパレータ1を貫通して酸化剤ガス入口(マニホールド)16および酸化剤ガス出口(マニホールド)19が設けられ、背面側集合流路10は酸化剤ガス出口19に接続される。
【0028】
出口側集合流路8と背面側集合流路10との間のセパレータ1の背面部7は、冷却水が供給される冷却面に形成される。
【0029】
図2の(A)、(B)のように、カソード側セパレータ2の内面の周辺部を除く酸化剤極面部13には、所定の位置に、セパレータ2の上下方向(図中上下方向)に酸化剤ガスを流す複数の平行なガス流路溝14が形成される。ガス流路溝14は平行な往路14aと復路14bとにより形成され、隣り合うガス流路溝14のガスの流れ方向が対向するように、各ガス流路溝14の往路14aと復路14bとが順に形成される。
【0030】
各ガス流路溝14の往路14aの上流端(セパレータ2の下部側)には入口側集合流路(溝)15が形成され、入口側集合流路15はセパレータ2の左下部(酸化剤極面側から見て)にセパレータ2を貫通して設けられる酸化剤ガス入口(マニホールド)16に接続される。
【0031】
各ガス流路溝14の往路14aと復路14bとの中間点(セパレータ2の上部側)は、集合される。
【0032】
各ガス流路溝14の復路14bの下流端(セパレータ2の下部側)は、セパレータ2の内部を通って、セパレータ2の背面(外面)部17に形成された出口側集合流路(溝)18に接続され、出口側集合流路18はセパレータ2の右下部(酸化剤極面側から見て)にセパレータ2を貫通して設けられる酸化剤ガス出口(マニホールド)19に接続される。
【0033】
セパレータ2の背面部17の出口側集合流路18と対称位置には、隣接するアノード側セパレータ1の背面部7の出口側集合流路8に重ね合わされる背面側集合流路(溝)20が形成される。
【0034】
セパレータ2の左上部(背面側から見て)および右上部(背面側から見て)には、セパレータ2を貫通して燃料ガス入口(マニホールド)6および燃料ガス出口(マニホールド)9が設けられ、背面側集合流路20は燃料ガス出口9に接続される。
【0035】
出口側集合流路18と背面側集合流路20との間のセパレータ2の背面部17は、冷却水が供給される冷却面に形成される。
【0036】
これらアノード側セパレータ1とカソード側セパレータ2とは、燃料極面部3と酸化剤極面部13との間に、図3のように固体高分子電解質膜25、固体高分子電解質膜25のセパレータ1側の主面に燃料極26、固体高分子電解質膜25のセパレータ2側の主面に酸化剤極27を配置して、それぞれの燃料ガス入口6、燃料ガス出口9、酸化剤ガス入口16、酸化剤ガス出口19が連なるように、および固体高分子電解質膜部位を介して、それぞれセパレータ1に形成したガス流路溝4の往路4aとセパレータ2に形成したガス流路溝14の往路14aとが向かい合うように、セパレータ1に形成したガス流路溝4の復路4bとセパレータ2に形成したガス流路溝14の復路14bとが向かい合うように、合わせ、単位セルを形成する。ただし、図3は、固体高分子電解質膜部位を介して向かい合うセパレータ1、2のガス流路溝4、14部分の概略的な配置構造を表す。
【0037】
この単位セルを複数積層する場合は、図4の(A)、(B)のように隣り合うセルのアノード側セパレータ1の背面部7とカソード側セパレータ2の背面部17とを、それぞれの燃料ガス入口6、燃料ガス出口9、酸化剤ガス入口16、酸化剤ガス出口19が連なるように、合わせ、積層する。隣り合うセパレータ1、2の背面部7、17の出口側集合流路8、18は、それぞれセパレータ2、1の背面部17、7の背面側集合流路20、10に重なり合う。なお、積層両端のセルのセパレータ1、2の背面部7、17には隔壁等を設ける。
【0038】
燃料ガス入口6より導入される燃料ガスは、アノード側セパレータ1の入口側集合流路5を通って、各ガス流路溝4の往路4aおよび復路4bを流れ、アノード側セパレータ1の背面部7の出口側集合流路8を経て、燃料ガス出口9より排出される。酸化剤ガス入口16より導入される酸化剤ガスは、カソード側セパレータ2の入口側集合流路15を通って、各ガス流路溝14の往路14aおよび復路14bを流れ、カソード側セパレータ2の背面部17の出口側集合流路18を経て、酸化剤ガス出口19より排出される。
【0039】
即ち、図3のように、アノード側セパレータ1、カソード側セパレータ2にあって、隣り合うガス流路溝4、14のガスの流れ方向が対向すると共に、アノード側、カソード側のセパレータ1、2間にあって、固体高分子電解質膜部位を介して向かい合うガス流路溝4、14を流れるガスの向きも逆向きになっている。
【0040】
一方、アノード側セパレータ1、カソード側セパレータ2のサイズは、例えば高さ(上下方向)350×幅300×厚さ2mmのものを用い、そのうち発電面積は700cmとした。
【0041】
また、それぞれセパレータ1、2の入口側集合流路5、15、ガス流路溝4、14(往路4a、14a、復路4b、14b)の溝深さは、略同等に、例えば0.5mmとした。ただし、出口側集合流路8、18の溝深さは、出口側集合流路8、18に重なり合う隣接するセパレータ等の背面側集合流路20、10と併せて、それぞれ入口側集合流路5、15、ガス流路溝4、14の溝深さと略同等にして良い。
【0042】
また、入口側集合流路5、15の断面積をA、出口側集合流路8、18の断面積(背面側集合流路20、10と併せたもの)をBとした場合、それぞれ
0.5≦A≦20(mm)、かつ3A>B>A/3
とする。
【0043】
また、固体高分子電解質膜25には、厚さ10〜30μmのものを用いる。酸化剤極27から燃料極26ヘの水(水蒸気)の拡散を有効に機能させるためには厚さ10〜50μm、より好ましくは10〜30μmが良い。10μm以下では電池組み立ての際のハンドリング性が悪く、50μm以上では有効な拡散が期待できない。
【0044】
また、酸化剤極27、燃料極26を構成するガス拡散層は、気体透過性110〜380Pa/mmのカーボンペーパーを用いる。拡散層内の空隙分布は厚さ方向およびそれとは垂直な方向でほぼ均一に分布していると仮定した。隣接する流路部位への水蒸気の拡散は互いの水蒸気のモル分率に比例すると考えた。したがって、電気的な特性を保持しつつ、ガスの通過性を確保するために、ガス拡散層の気体透過性は、110〜380Pa/mmが良い。
【0045】
図5にガス拡散層の気体透過性を変えた場合のIV特性を示す。気体透過性が110Pa/mm以下のガス拡散層では、空隙が多すぎるために拡散層自体の電気抵抗が高くなりすぎて十分な性能を確保できない。また、水が排出されるため、高電流側ではドライアウトが生じて電圧降下が顕著に現れる。一方、380Pa/mm以上では、逆に緻密すぎて拡散性が劣るために発電性能が悪く、また高負荷下では410Pa/mmの例のように多量に発生する水を排出しきれずにフラディングを生じるようになる。
【0046】
なお、気体透過性は単位面積のガス拡散層の厚さ方向に定格量(16.6cm/s)の常温空気を通過させたときの差圧をガス拡散層の厚さで割ったものを表している。
【0047】
このように構成したため、アノード側(燃料極側)のガス流路溝4に導入される燃料ガス中の加湿分によって、往路4a側が加湿されると共に、ガスの流れ方向が対向する復路4bが隣接されているため、ガス流路溝4の上流、下流を問わずアノード側全体を均一に加湿することができる。カソード側(酸化剤極側)では、電気化学反応により水が生じるが、同様にガスの流れ方向が対向する往路14aと復路14bとが隣接されているため、水が累積される下流側(復路14b)よりガス拡散層を通して隣接する上流側(往路14a)への水の拡散が可能で、排出性も向上し、そのため、ガス拡散層内に水が溜まり発電性能が低下するいわゆるフラディング現象を抑制することができる。
【0048】
また、アノード側の反応で生じたプロトンは、固体高分子電解質膜内を移動する際、幾つかの水分子を伴ってカソード側に至る。一方、カソード側からも固体高分子電解質膜を介してアノード側への水の拡散が同時に起こっている。このカソードからアノードヘの水の拡散は膜を挟んだ両側の水の濃度差が大きく影響する。即ち、アノード側、カソード側のセパレータ1、2間にあって、固体高分子電解質膜部位を介して向かい合うガス流路溝4、14を流れるガスの向きも逆向きにしたため、固体高分子電解質膜を介した水の濃度勾配が大きくなり、最も水の拡散し易い状態になる。そのため、カソードからアノードヘ移動した水がプロトンを再びカソードへ移動させることに使うことができる。
【0049】
図6は本実施の形態の単位セルのIV特性を示す
酸化剤極、燃料極を構成するガス拡散層は、気体透過性110〜380Pa/mmのカーボンペーパーを、固体高分子電解質膜は厚さ10〜30μmのものを用いた。固体高分子電解質膜に厚さ10〜30μmのものを用いた場合、酸化剤極のガス拡散層もしくはガス流路溝内の水が固体高分子電解質膜を介して燃料極側に拡散する水移動量αmは、0.002<αm<0.8(ただし、αm:燃料極から酸化剤極へプロトン1個が移動する際に起こる水分子の拡散数=カソードからアノードへの水分子移動量からプロトン移動に伴い生じるアノードからカソードへの水分子移動量を減じた相対的拡散数)になり、カソード側からアノード側への水の拡散を良好に行える。したがって、隣接する流路部位およびカソード側からアノード側への水の良好な拡散によって、性能を向上でき、またアノードヘの外部からの加湿を減らすことができる。
【0050】
図6中の比較例は、アノード側セパレータ、カソード側セパレータの一方に、図8のようにセパレータ50の左右方向にガス流路溝51を設けたものを用いた場合を示しており、このようにアノード側セパレータ、カソード側セパレータのガス流路溝の方向が直交するものは、性能が低下する。
【0051】
また、それぞれセパレータ1、2の入口側集合流路5、15、ガス流路溝4、14(往路4a、14a、復路4b、14b)の溝深さを略同等にしたので、ガスのスムーズな流れを得ることができる。これらに段差があると、水が溜まる可能性があるが、これを防止できる。
【0052】
また、セパレータ1、2の内面に入口側集合流路5、15を、セパレータ1、2の内部を貫通してセパレータ1、2の背面に出口側集合流路8、18を形成するので、セパレータ1、2を薄くできる。また、出口側集合流路8、18は隣接するセパレータ2、1の背面部の背面側集合流路20、10と合流路をなすので、セパレータ1、2を一層薄くできる。
【0053】
また、入口側集合流路5、15の断面積をA、出口側集合流路8、18の断面積(背面側集合流路20、10と併せたもの)をBとした場合、それぞれ
0.5≦A≦20(mm)、かつ3A>B>A/3
としたので、入口側集合流路5、15から複数のガス流路溝4、14へのガス分配性が増す。むやみに入口側集合流路5、15の断面積を増やすことはセパレータ1、2に占める入口側集合流路5、15の割合が増すので、最大でも20mm程度の断面積に止めるのが現実的であり、十分なガス分配性を保てる。また、出口側集合流路8、18の断面積(背面側集合流路20、10と併せたもの)が入口側集合流路5、15の3倍以上では、セルに占める体積が大きくなり、結果としてセパレータを大きくしなければならず、これは体積あたりの出力密度を下げる原因となり、また、1/3以下では排気や生成水等の排出を効率的に行うことができない。したがって、3A>B>A/3が好ましい。
【0054】
図7にA、Bの比率を変えた場合の定電流(=1A/cm)出力時の電圧の変化を見ると、B/A>3では前述したように集合流路がセルに占める体積が大きくなりすぎ、B/A<1/3付近では安定した電圧を得ることができない。
【0055】
なお、実施の形態では、セパレータ1、2の背面に出口側集合流路8、18を形成すると共に、隣接するセパレータ2、1の背面に出口側集合流路8、18と合流路を形成する背面側集合流路20、10を形成して、所定の流路断面積を得るようにしているが、例えば出口側集合流路8、18自体の流路断面積を大きくして、背面側集合流路20、10を形成せずとも良く、また背面側集合流路20、10自体の流路断面積を大きくして、出口側集合流路8、18を形成せずとも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における燃料極側セパレータの正面図および背面図である。
【図2】実施の形態における酸化剤極側セパレータの正面図および背面図である。
【図3】固体高分子電解質膜部位を介して向かい合うセパレータのガス流路溝部分の概略的な配置構造図である。
【図4】セパレータの正面図、側面図および隣接するセパレータの側面図である。
【図5】ガス拡散層の気体透過性を変えた場合のIV特性図である。
【図6】IV特性図である。
【図7】入口側集合流路、出口側集合流路の断面積の比率を変えた場合の定電流(=1A/cm)出力時の電圧の変化を示す特性図である。
【図8】比較例のセパレータの正面図である。
【符号の説明】
1 アノード側セパレータ
2 カソード側セパレータ
3 燃料極面部
4 ガス流路溝
4a 往路
4b 復路
5 入口側集合流路
6 燃料ガス入口
8 出口側集合流路
9 燃料ガス出口
10 背面側集合流路
13 酸化剤極面部
14 ガス流路溝
14a 往路
14b 復路
15 入口側集合流路
16 酸化剤ガス入口
18 出口側集合流路
19 酸化剤ガス出口
20 背面側集合流路
25 固体高分子電解質膜
26 燃料極
27 酸化剤極

Claims (5)

  1. 固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の対向する両主面に配置される燃料極ならびに酸化剤極と、燃料極の外側に配置され燃料極に面して複数のガス流路溝を備える第1のセパレータならびに酸化剤極の外側に配置され酸化剤極に面して複数のガス流路溝を備える第2のセパレータとからなる、単位セルが複数積層されて構成される固体高分子型燃料電池において、
    第1のセパレータならびに第2のセパレータにあって、隣り合うガス流路溝のガスの流れ方向が対向するようにガス流路溝を形成しており、
    かつ、第1、第2のセパレータ間にあって固体高分子電解質膜部位を介して向かい合うガス流路溝を流れるガスの向きも逆向きになるように設定しており、
    第1のセパレータの内面部ならびに第2のセパレータの内面部にそれぞれのガス流路溝の入口側集合流路を、外面側にそれぞれセパレータの内部を貫通してそれぞれのガス流路溝に接続する出口側集合流路を形成したことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  2. 前記固体高分子電解質膜は、酸化剤極のガス拡散層もしくはガス流路溝内の水が固体高分子電解質膜を介して燃料極側に拡散する水移動量αmが
    0.002<αm<0.8
    ただし、αm:燃料極から酸化剤極へプロトン1個が 移動する際に起こる水分子の拡散数
    であり、
    かつ、少なくとも酸化剤極は、ガス拡散層の単位面積あたり、16.6cm3/sの常温空気を流した場合の差圧をガス拡散層の厚みで除したガス透過性Pが
    P=110〜380Pa/mm
    のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 前記入口側集合流路断面積をA、前記出口側集合流路断面積をBとした場合、
    それぞれ
    0.5≦A≦20(mm2)、かつ3A>B>A/3
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 前記入口側集合流路の深さとガス流路溝の深さが同一であることを特徴とする請求項3に記載の固体高分子型燃料電池。
  5. 前記ガス流路溝はセパレータの内部を貫通して出口側集合流路に接続し、出口側集合流路は該セパレータの外面部に形成した出口側集合流路溝と隣接するセルのセパレータの外面部に形成した出口側集合流路溝とにより合流路を形成することを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
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