JP3602100B2 - Lcd駆動回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、LCD( Liquid Crystal Display )の駆動回路に関し、特に、周囲温度の変化に起因するコントラストの変化を防止し、表示画面の視認性が低下しないようにしたLCD駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
比較的表示内容が少ない携帯端末機、測定器等の表示器には、モノクロ(Monochrome)LCDが用いられている。通常、モノクロLCDは、表面温度(周囲温度)が高くなると、画面が全体的に黒くなり、背景が黒色になるため、文字が黒で表示されていることから、文字等の表示内容の視認性が著しく悪くなる。このように、画面が全体的に黒くなる理由は、モノクロLCDの構成部材が温度依存性を有することにある。
【0003】
図6は、モノクロLCDの温度−駆動電圧特性を示す。表面温度(周囲温度)の変化に対して、最適駆動電圧値は対数的に変化する。このため、屋外の日陰で適正な表示状態が得られている携帯端末機等を冷房の不十分な車内に持ち込んだりした場合、LCD駆動電圧が上がり、画面は全体が黒っぽい表示になり、表示内容を読み取れなくなる場合がある。この対策として、一般には、サーミスタ(Thermistor)の温度特性を利用して、周囲温度の変化に対してLCD駆動電圧をリニアに変化させる回路を設けている。
【0004】
図7は、従来のLCD駆動回路を示す。このLCD駆動回路は、LCD駆動電源生成部1とフィードバック回路9を備えて構成されている。LCD駆動電源生成部1は、電源端子2に印加された電源VCCを基にLCD(図示せず)に印加する駆動電圧を生成して出力端子8から出力し、これをLCDの駆動電極へ出力する。LCD駆動電源生成部1にはフィードバック端子3が設けられており、このフィードバック端子3と出力端子8との間にはフィードバック回路9が接続されている。フィードバック回路9は、フィードバック端子3と出力端子8の間に接続された抵抗4、フィードバック端子3とグランド(接地)間に直列接続された抵抗5、抵抗6、及び抵抗6に並列接続されたサーミスタ7を備えて構成されている。
【0005】
フィードバック端子3には、LCD駆動電源生成部1の出力電圧をVO とし、抵抗4の抵抗値をR4 、抵抗5の抵抗値をR5 、抵抗6とサーミスタ7における合成抵抗をR67とすると、フィードバック端子3に印加される電圧V3 は、
V3 =VO ×(R5 +R67)/(R4 +R5 +R67)
となる。ここで、サーミスタ7は、雰囲気温度が上がると内部抵抗が低下する特性を有している。抵抗4,5,6に温度依存性がないとすると、雰囲気温度が上がればサーミスタ7によって合成抵抗R67が小さくなることによりフィードバック端子3の端子電圧V3 が下がり、これに伴って出力電圧VO が上昇し、LCD駆動電圧は温度上昇に見合った電圧が印加され、コントラストを補償する。
【0006】
しかし、LCDは、バックライトを用いた場合等においては、動作時のLCDの温度は周囲温度よりも高くなる。このような場合、サーミスタ(その他の温度センサ)がLCD自身ではなく、置かれている雰囲気温度を計測している場合には、LCDに適正電圧が印加されない。
【0007】
図8は、LCDの最適駆動電圧の特性81とLCD駆動電源生成部の出力電圧特性82とのずれを示す。図8に示すように、図7の構成によるLCD駆動回路の出力電圧特性82を20℃で最適になるように設定した場合、低温端及び高温端では出力電圧特性82からのずれが大きくなり、低温及び高温の両端でコントラストが悪化する。このような問題を解決するものとして、例えば、特開2001−134237号公報がある。
【0008】
図9は、LCDの他の従来の駆動回路の構成を示す。
図9に示す駆動回路は、第1の温度一電圧特性を有する第1の電源回路30Aと第2の温度一電圧特性を有する第2の電源回路30Bを備える電源回路30、電圧生成回路40、液晶駆動回路50、温度検出部60、電子ボリュームスイッチ制御部70、及びアンプ80を備えて構成されている。
【0009】
電源回路30は、液晶駆動に必要な基準電圧を生成する。電圧生成回路40は、電源回路30からの出力に基づいて液晶駆動に必要な電圧VLCD 及び電圧V1〜V4を生成する。発振回路90は基準周波数を発振出力し、この発振回路90からの発振周波数に基づいてPWM用クロック生成回路70はPWM(パルス幅変調)用クロック(GCP)を生成する。液晶駆動回路50は、図示せぬPWMデコーダからの階調パルスの波高を図示しない極性反転信号等に基づいて電圧生成回路40からの電圧値VLCD ,V1〜V4またはグランド電圧VGND にシフトさせて、LCDの電極に供給する。電源回路30は、第1の電源回路30Aと第2の電源回路30Bのほか、これら回路からの出力電圧に基づいて、所望の温度勾配を持つ電圧特性に従った電圧を出力する温度勾配選択回路36を備えている。
【0010】
第1の電源回路30Aは、図10に示す第1の温度勾配(例えば、−0.2%/℃)の温度一電圧特性に従って変化する電圧Aを出力する。一方、第2の電源回路30Bは、図7に示す第2の温度勾配(例えば、−0.15%/℃)の温度一電圧特性に従って変化する電圧Bを出力する。そして、温度勾配選択回路36は、図10に示す第1, 第2の温度勾配の電圧A,B間の所望の温度勾配の電圧Cを選択して出力する。
【0011】
第1の電源回路30Aは、第1の温度勾配特性を有する定電圧源32Aからの電圧をアンプ34Aで増幅して出力する。アンプ34Aの出力線とグランドとの間には抵抗R1が接続されており、この抵抗R1の途中をアンプ34Aのマイナス端子に接続することで、アンプ34Aの帰還経路に帰還抵抗R1Aが形成される。第2の電源回路30Bは、第2の温度勾配特性を有する定電圧源32Bからの電圧をアンプ34Bで増幅して出力する。アンプ34Bの出力線とグランドとの間には抵抗R2が接続されており、この抵抗R2の途中をアンプ34Bのマイナス端子に接続することで、アンプ34Bの帰還経路に帰還抵抗R2Aが形成される。なお、上述した第1, 第2の温度勾配は、定電圧源32A,32Bを構成するMOSトランジスタのプロセス特性に依存して決定される。
【0012】
温度勾配選択回路36は、アンプ34A,34Bの出力線同士を接続する接続線の途中に挿入接続された抵抗R3、この抵抗R3の途中の任意の位置に接続されたスイッチSW1、このスイッチSW1の接続位置情報を記憶する温度勾配選択レジスタ38とを備えている。電源回路30Aは、アンプ34Aに接続された帰還抵抗R1Aに温度検出用スイッチSW3を備え、電源回路30Bはアンプ34Bに接続された帰還抵抗R2Aに温度検出用スイッチSW4を備えている。
【0013】
温度勾配選択レジスタ38はプログラマブルレジスタであり、ユーザが自由に温度勾配を選択することができる。ただし、使用される液晶パネル10が特定されれば、その液晶パネル10に固有の温度勾配が選択され、それ以降は変更されない。ここでは、温度勾配選択レジスタ38には既に初期値が設定され、電源回路30からの出力電圧は、図10の電圧特性Cになっているものとする。
【0014】
温度勾配選択回路36の後段にはアンプ80が接続されており、このアンプ80の出力線とグランドとの間には抵抗R4が接続されている。この抵抗R4の途中位置をアンプ80のマイナス端子に接続することで、アンプ80の帰還経路に帰還抵抗R4Aが形成される。アンプ80の帰還抵抗R4Aの途中には第1の電子ボリュームスイッチSW2が接続されており、この電子ボリュームスイッチSW2により選択された抵抗を、図9では抵抗R4Bと表記している。この抵抗R4Bの値を可変にすることで図10に示す電圧特性Cを更に補正することができる。
【0015】
電圧生成回路40は、電子ボリュームスイッチSW2を介して電圧が入力される第4のアンプ42と、その出力線とグランドとの間に接続された抵抗R5を有する。アンプ42の出力電圧VCLD が抵抗R5により抵抗分割されることにより、各電圧V1〜V4が生成される。
【0016】
以上のように、図9の構成では、環境温度に応じて第1の電子ボリュームスイッチSW2を制御することで、図10に示す電圧特性Cが環境温度に応じて更に補正される。このために、図10に示す2種類の温度勾配特性を利用して環境温度を検出する温度検出部60を備えている。この温度検出部60は、発振回路61、カウンタ63、比較器64、及び温度設定用レジスタ65を備えて構成されている。発振回路61の発振出力が分周器62で分周され、分周器62からのクロックをカウンタ63でカウントし、このカウンタ63は所定カウント値毎にリセットする。比較器64は、温度検出用スイッチSW3と温度検出用スイッチSW4からの電圧を比較する。この比較器64による出力が変化したとき、温度設定用レジスタ65はカウンタ63の出力に基づいて実温度に対応するデータを出力する。
【0017】
温度検出用スイッチSW3又はSW4は、カウンタ63からの出力が変化する毎に、帰還抵抗R2A,R3Aの一端より他端に向けて接続点を順次切り換える。例えば、スイッチSW3を図10の位置で固定とし、スイッチSW4のみを切り換えると、比較器64に入力される電圧は、図10の電圧特性B上の電圧V1から矢印方向aに向けてスイープされ、電圧特性A上の電圧V2(温度検出用スイッチSW3を介して比較器64に入力される電圧)を下回る時点で比較器64の出力が“H”より“L”に変化する。このとき、電圧変化量をΔVとすると、この変化量ΔVは温度t1に固有の値となる。そこで、温度設定用レジスタ65は、比較器64の出力が変化したときのカウンタ63のカウント値(電圧変化量ΔVに相当する)に基づいて、実温度t1を出力する。
【0018】
実温度t2の検出は、逆に、スイッチSW4を固定にし、スイッチSW3を切り換え、図10の矢印方向bに向けてスイープする。電圧特性A上の電圧V3からスイープされた電圧は、スイープの過程で電圧V4を下回り、比較器64の出力が“L”から“H”に変化することにより、実温度t2が検出される。
【0019】
以上のように、温度検出部60は、電源回路30自体の温度勾配特性を利用して実温度を検出することが可能となる。このように、電源回路30に2種の温度勾配を有する定電圧源30A,30Bを設け、その2種の温度勾配を利用して検出された実温度に基づいて液晶印加電圧が補正されるので、より正確な補正が可能になる。
【0020】
次に、このようにして検出された実温度に基づいて、電子ボリュームスイッチSW2を制御する動作について説明する。このために、電子ボリュームスイッチ制御部70が設けられており、この電子ボリュームスイッチ制御部70には液晶パネルのメーカ側で補正値が予め設定される。電子ボリュームスイッチ制御部70は、補正テーブル132と、同様に液晶パネルメーカで設定した電子ボリュームスイッチSW2の制御基準値が格納されたレジスタ73と、それら両者のディジタル値を加算して出力する加算器72を備えている。
【0021】
図11は、電子ボリュームスイッチ制御部70で制御された電子ボリュームスイッチSW2からの出力に基づいて得られる液晶印加電圧VCLD の温度依存特性を示している。図11は、液晶電圧VCLD が、低温領域Ta、中間温度領域Tb、高温領域Tcにより異なる温度勾配の温度依存特性を持っていることを示している。中間温度領域Tbは、原則として温度勾配選択レジスタ38からの出力に基づく温度勾配選択スイッチSW1及びレジスタ73からの出力に基づく電子ボリュームスイッチSW2によって決定される。また、低温領域Ta及び高温領域Tbは、補正テーブル71からの出力によって制御される電子ボリュームスイッチSW2によって設定される。低温領域Taは、低温になるほど電子ボリュームスイッチSW2によって選択される抵抗R4Bの抵抗値は小さく設定される(スイッチSW2の接点をアンプ80出力側に近づける)。これに対して、高温領域Tcは、高温になるほど抵抗R4Bの抵抗値が大きく設定される(スイッチSW2の接点をグランドGND側に近づける)。
【0022】
以上により、2種の温度勾配特性を持つ電源回路30の出力電圧からLCD固有の温度依存性を有する液晶印加電圧VCLD ,V1〜V4を生成することができる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のLCD駆動回路によると、図7の構成では、LCDによっては図6に示した周囲温度−最適駆動電圧の特性が図8のように異なる場合があり、単純な1次曲線では追従できないことがある。この場合、追従可能な温度範囲を特定して定数を決めざるを得ないが、このような方法では、業務向け、車載対応等のように、高温、低温対応を強く要求されるアプリケーションにおいては、商品性を低下させる要因になる。また、これをリカバリするために、コントローラを外付けにして温度を監視し、定数を切り替える方法も考えられるが、高価となり、開発工数が必要になり、開発コストがかかるため、実用的ではない。
【0024】
また、図9の構成では、低温領域Taと高温領域Tbの特性は、2つの定電圧源30A,30Bの温度勾配特性によって一義的に決定され、図8に示した低温端及び高温端を各1つについて補正が可能であるが、図6のような特性の全域に対し、この特性に近似したカーブで補正し、広い温度範囲にわたって(図8の特性81に近似して)LCDのコントラストを最適にすることはできない。また、構成が極めて複雑であり、パソコン用のディスプレィなどには適用可能であっても、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)装置等の携帯端末のような小型機器には適用しにくい。
【0025】
したがって、本発明の目的は、広い温度範囲にわたってLCDのコントラストを最適にすることのできるLCD駆動回路を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、LCD駆動用の出力電圧が印加される抵抗分圧回路及び、その一部の抵抗の合成抵抗を変化させるように接続された温度検出素子を含むフィードバック回路と、前記フィードバック回路の出力電圧の変化を補償する方向へ前記出力電圧を変化させるLCD駆動電源生成部を備えたLCD駆動回路において、雰囲気温度又はLCDの温度を検出する第2の温度検出素子により前記雰囲気温度又は前記LCDの温度の複数の温度範囲に応じた複数の検出電圧を出力する温度センサ部と、前記複数の温度範囲に対応して予め設定された複数の電圧カーブを前記温度センサ部の前記複数の検出電圧に基づいて切り替え、前記フィードバック回路の出力特性を変更する電圧カーブ切り替え部を備えることを特徴とするLCD駆動回路を提供する。
【0027】
この構成によれば、雰囲気温度又はLCDの温度を温度センサで検出し、温度範囲毎に温度変化に伴う電圧変化を検出し、この電圧変化に応じて複数の電圧カーブ中の1つを電圧カーブ切り替え部により選択してフィードバック回路の出力電圧特性を変更することにより、温度(雰囲気温度又はLCD温度)の変化に応じてフィードバック回路の出力電圧はLCD駆動電源生成部の出力電圧を温度保証するように修正され、この出力電圧を入力とするLCD駆動電源生成部の出力電圧は温度保障される。したがって、広い温度範囲にわたってLCDのコントラストを最適にすることが可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明のLCD駆動回路の実施の形態を示す。
本発明のLCD駆動回路は、図3のLCD駆動回路に温度センサ10と、電圧カーブ切り替え部20を追加して構成されている。温度センサ10は、電源VCCとグランド(GND)の間に直列接続された抵抗11,12,13,14,15と、抵抗11に並列接続されたサーミスタ16を備えて構成されている。また、電圧カーブ切り替え部20は、電圧検出部21a,21b,21c,21d、この電圧検出部21a〜21dによってオン/オフされる電子スイッチ22a,22b,22c,22d、及び電子スイッチ22a〜22dのそれぞれに接続された抵抗23a,23b,23c,23dを備えて構成されている。電圧検出部21aは抵抗11と12の接続点cに接続され、電圧検出部21bは抵抗12と13の接続点dに接続され、電圧検出部21cは抵抗13と14の接続点eに接続され、電圧検出部21bは抵抗14と15の接続点fに接続されている。電子スイッチ22a〜22dの入力端は並列接続され、このラインには出力電圧VO が印加されている。電子スイッチ22a〜22dは、雰囲気温度が低い時には全てがオンになっており、雰囲気温度が上がるにつれて順次オフになる。また、抵抗23a〜23dの出力側端は並列接続され、フィードバック端子3に接続されている。
【0029】
電圧検出部21a〜21dは、それぞれが異なる検出電圧に設定され、抵抗13〜15による抵抗分割点の電圧が設定した電圧値になると、対応する電子スイッチ(22a〜22d)がオフになる。電子スイッチ22a〜22dが段階的にオフになることによって、抵抗23a〜23dの抵抗4に対する抵抗合成値が変化、すなわち出力端子8とフィードバック端子3の間の合成抵抗が変化するため、フィードバック端子3に印加される電圧値が変化する。
【0030】
図2はサーミスタ16の温度−抵抗特性を示し、図3は電圧カーブ切り替え部20の電圧カーブ特性を示し、図4は電圧カーブ切り替え部20の電圧カーブ特性に対応するLCD駆動電源生成部1の出力電圧特性の変化を示す。また、図5はLCDの周囲温度−最適駆動電圧特性に図4の電圧カーブ特性を重ね合わせた状態を示す。図1〜図5を参照し、以下に本発明のLCD駆動回路の動作を説明する。ここでは、温度が低い方から高い方へ変化した場合について説明する。
【0031】
LCDの雰囲気温度が低い時には、電圧検出部21a〜21dの全てがオンになっている。したがって、抵抗23a〜23dの合成抵抗は最も小さい状態にある。この状態からLCDの雰囲気温度が上がると、サーミスタ16の抵抗値は図2のように減少する。これによりサーミスタ16と抵抗11の合成抵抗が小さくなるため、接続点c〜fの電圧が共に高くなる。これら接続点の電圧が上がると、電圧検出部21a〜21dの入力電圧も上がるが、最初は電圧検出部21aが電圧上昇を検出し、他は電圧上昇を検出しないので、電圧検出部21aのみがオフになる。電圧検出部21aのオフによって、抵抗23aが抵抗分圧回路から切り離され、その分だけ抵抗4と抵抗23(23a〜23d)の合成抵抗値が増加する。一方、フィードバック回路9においては、温度上昇に伴ってサーミスタ7の抵抗値が減少し、フィードバック端子3とグランド間の抵抗値が減少する。このサーミスタ7による特性は、例えば、図5の・の特性であり、温度が比較的低い状態においては、フィードバック回路9のみではフィードバック端子3の印加電圧が不足する。これに対して、スイッチ22aがオフになることで抵抗4側の合成抵抗値が減少するため、フィードバック回路9が単独のときよりもフィードバック端子3に印加される電圧は更に減少する。この結果、フィードバック端子3の印加電圧は図3のiの電圧カーブ特性になり、LCD駆動電源生成部1の出力電圧VO は図4及び図5の・の特性になる。したがって、LCDの最適駆動電圧特性81に近似した出力電圧VO を得ることができる。
【0032】
雰囲気温度が更に上昇すると、今度は電圧検出部21bがサーミスタ16の抵抗値の減少による電圧上昇を検出し、電子スイッチ22bをオフにする。電子スイッチ22bのオフによって抵抗23bが抵抗分圧回路から切り離され、その分だけ出力端子8〜フィードバック端子3間の抵抗値が高くなる結果、フィードバック端子3の印加電圧の上昇が防止される。以後、雰囲気温度が上昇する過程で、電圧検出部21c→21dと順次動作し、電子スイッチ22c→22dの順でオンからオフに切り替えられる。
【0033】
図5を参照して説明すると、太線の特性81は最適駆動電圧の特性例を示しており、温度が高くなるにつれて曲線は次第に急峻になっている。このため、20℃近辺までの単一の電圧カーブの設定では、特性81の両端の温度域では追従できないことがわかる。しかし、本発明では、電圧検出部21aと電子スイッチ22aの組み合わせにより、20℃のポイントで合成抵抗値が変わることにより低温域の電圧カーブをより急峻に変化させることができる(ポイント・)。さらに、電圧検出部21bと電子スイッチ22bの組み合わせによる電圧カーブにより、40℃まで追従させることができる(ポイント・)。それ以降のポイント・及びポイント・でも、同様に合成抵抗値を電子スイッチ23c,23dで切り替えることにより電圧カーブを切り替えることができ、60℃の高温域まで追従させることができる。
【0034】
〔他の実施の形態〕
図5の電圧カーブを切り替える手段として、電圧検出部21と電子スイッチ22の組み合わせのほか、A/Dコンバータ内蔵のマイクロコンピュータを使用して雰囲気温度を定期的に監視し、電圧カーブを切り替える温度になったとき、出力ポートによって抵抗値を切り替え、或いはD/Aコンバータを制御して出力電圧を変化させるなどの手法により、フィードバック電圧を可変することも可能である。また、オペレータが温度を監視し、手動でスイッチを切り替えて電圧カーブを切り替えることも可能てある。
【0035】
さらに、上記実施の形態においては、モノクロLCDについて説明したが、カラーLCDにおいても、図5に示したような特性を有するLCDに対して本発明を適用することが可能である。
【0036】
また、上記実施の形態においては、温度検出素子にサーミスタ7,16を用いたが、その挿入場所を抵抗4,15側にすればポジスタ等のサーミスタとは逆の温度特性を有する温度検出素子を使用することもできる。更に、サーミスタに代えて、他の温度検出素子、例えば、半導体素子を使用することも可能である。
【0037】
さらに、電圧カーブ切り替え部20による電圧カーブは4種としたが、温度センサ10の接続点を増やし、これに応じて電圧検出部21、電子スイッチ22、及び抵抗23の増やすことにより、さらに多くの電圧カーブにすることができ、より正確な温度補償が可能になる。
【0038】
また、温度センサ10のサーミスタ16は、雰囲気温度を検出しても、LCDの本体部の温度を検出してもよい。同様に、サーミスタ7も雰囲気温度又はLCDの本体部の温度のいずれを検出してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明のLCD駆動回路によれば、雰囲気温度又はLCDの温度を温度センサで検出し、温度範囲毎に温度変化に伴う電圧変化を検出し、この電圧変化に応じて複数の電圧カーブ中の1つを電圧カーブ切り替え部により選択してフィードバック回路の出力電圧特性を変更するようにしたので、温度(雰囲気温度又はLCD温度)の変化に応じてフィードバック回路の出力電圧はLCD駆動電源生成部の出力電圧を温度保証するように修正され、この出力電圧を入力とするLCD駆動電源生成部の出力電圧は温度保障される結果、広い温度範囲にわたってLCDのコントラストを最適にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のLCD駆動回路の実施の形態を示す回路図である。
【図2】図1のサーミスタの温度−抵抗特性を示す特性図である。
【図3】図1の電圧カーブ切り替え部の電圧カーブ特性を示す特性図である。
【図4】図1の電圧カーブ切り替え部の電圧カーブ特性に対応するLCD駆動電源生成部の出力電圧特性の変化を示す説明図である。
【図5】本発明のLCD駆動回路による温度補償特性(温度−LCD駆動電圧特性)を示す特性図である。
【図6】モノクロLCDの温度−駆動電圧特性の一例を示す特性図である。
【図7】従来のLCD駆動回路を示す回路図である。
【図8】LCDの最適駆動電圧の特性とLCD駆動電源生成部の出力電圧特性とのずれを示す説明図である。
【図9】LCDの他の従来の駆動回路の構成を示す回路図である。
【図10】図9の駆動回路における第1,第2の電源回路の各温度勾配を示す特性図である。
【図11】図9の電子ボリュームで得られる液晶印加電圧の温度依存性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 LCD駆動電源生成部
2 電源端子
3 フィードバック端子
4,5,6 抵抗
7 サーミスタ
8 出力端子
10 温度センサ
11,12,13,14,15 抵抗
16 サーミスタ
20 電圧カーブ切り替え部
21a,21b,21c,21d 電圧検出部
22a,22b,22c,22d 電子スイッチ
23a,23b,23c,23d 抵抗
Claims (5)
- LCD駆動用の出力電圧が印加される抵抗分圧回路及び、その一部の抵抗の合成抵抗を変化させるように接続された温度検出素子を含むフィードバック回路と、前記フィードバック回路の出力電圧の変化を補償する方向へ前記出力電圧を変化させるLCD駆動電源生成部を備えたLCD駆動回路において、
雰囲気温度又はLCDの温度を検出する第2の温度検出素子により前記雰囲気温度又は前記LCDの温度の複数の温度範囲に応じた複数の検出電圧を出力する温度センサ部と、
前記複数の温度範囲に対応して予め設定された複数の電圧カーブを前記温度センサ部の前記複数の検出電圧に基づいて切り替え、前記フィードバック回路の出力特性を変更する電圧カーブ切り替え部を備えることを特徴とするLCD駆動回路。 - 前記温度センサ部は、電源とグランド間に直列接続により挿入された複数の抵抗を備え、この複数の抵抗の内の前記電源側の1つに前記第2の温度検出素子としてのサーミスタが並列接続されていることを特徴とする請求項1記載のLCD駆動回路。
- 前記電圧カーブ切り替え部は、前記複数の検出電圧のそれぞれが所定値を越えたときに動作する複数の電圧検出部と、
前記複数の電圧検出部のそれぞれによって駆動されると共に、一方の接点に前記LCD駆動電源生成部の出力端又は前記フィードバック回路の入力端が接続され、他方の接点に前記前記フィードバック回路の入力端又は前記LCD駆動電源生成部の出力端が接続される複数の電子スイッチと、
前記複数の電子スイッチのそれぞれの一方又は他方の接点に直列に挿入接続される第2の複数の抵抗を備えることを特徴とする請求項1記載のLCD駆動回路。 - 前記複数の電子スイッチは、温度上昇に伴って順番にオフ動作し、前記第2の複数の抵抗の合成抵抗を変更することを特徴とする請求項1記載のLCD駆動回路。
- 前記電圧カーブ切り替え部は、前記温度センサ部から出力されるアナログの出力電圧をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、
前記A/D変換手段の出力に基づいて前記抵抗分圧回路の前記一部の抵抗の合成抵抗値を変更して前記フィードバック回路の出力特性を補正するマイクロコンピュータを備えることを特徴とする請求項1記載のLCD駆動回路。
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