JP3601854B2 - ジャイロ機構による制振方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、船舶の波浪によるローリングやピッチングなどの揺れ、ゴンドラや懸垂型モノレールの風による揺れ、クレーンの吊り荷の揺れ防止、鉄塔や建築物などの構造物の風や地震、積載物の動きなどによる揺れ防止にも適用する事の出来るジャイロ機構による制振方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転する物体が回転軸の方向を変える時、物体から外界に対してこの運動と釣り合うだけのジャイロモーメントが作用する。これを利用した装置として従来から船舶の制振装置、衛星や航空機の姿勢制御などに使用されている。
【0003】
まず、ジャイロ機構の原理について説明する。ジャイロ機構は、ジンバルと、ロータとで構成されており、ロータは一定の角速度で回転しており、ジンバルに回転自在に枢着されている。ジンバルはジンバル軸にて主系に回転自在に枢着されている。
今、主系に外乱(例えば風や波浪、地動外乱など)が入力して主系が主系の支点を中心に揺れたとすると、定速回転しているロータのロータ軸の方向が変わる事になるので、この運動に釣り合うだけのジャイロモーメントが主系に作用して主系の揺れを受動的に抑制しようとする。
【0004】
このような主系の揺動運動の制御において、ジンバル軸にアクチュエータ(例えば、ステッピングモータやサーボモータ)を接続し、主系の揺れを検出するセンサを設置してセンサ出力を制御装置にて演算し、アクチュエータにてジンバル軸を回転させることにより、積極的に主系の揺れをキャンセルする能動形ジャイロ制振の考え方がある。
【0005】
処が、主系に入力する外乱は、常に予想された範囲内のエネルギとは限らない。例えば、ゴンドラのような場合、通常は風の強い時や弱い時などがあるが、概ね予想された範囲内の強さでゴンドラに吹き付けており、その時の予想される最大風速を目安に制振を行えばよいことになるが、稀に台風のように通常時のN倍という強い風がゴンドラに吹き付ける事がある。このような場合にはジャイロ機構の制御範囲を逸脱し、制御不能という事になる。換言すれば、後述するように、通常予想される最大風速時のセンサ出力から得た定ゲインにてジンバルの制御角度を演算してアクチュエータを作動させジンバル軸を回転させて制振制御を行う場合には、前述のような台風時のような設計値を越える揺れが主系に発生し、ジンバル角が設計値を越えて制御不能に陥ってしまうことになる。
【0006】
そこで、このよう異常時まで対応可能にしようとするならば、前記異常時でもジンバルの制御角度が制限最大角を越えない範囲で最大振幅となるようにゲインを非常に小さく設定する事が考えられるが、この場合は異常時には効果的に制振作用が働くが、ゲインが一定で且つ過小であるために、制振効果の作用により主系の揺動が弱まるにつれて又は揺動の小さい正常時において、ジャイロ機構の容量の大半が有効に利用されなくなるという問題がある。
また、実際の装置では、制振対象の重量や費用により大きな制約を受けるものであり、最小の費用、最小の装置で最大の制振効果が求められる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、▲1▼主系のエネルギが過大である場合にはゲインを小さくし、▲2▼主系のエネルギが減衰して来たとき、又は主系のエネルギが小さい場合にはゲインを大きくするというようにゲインを可変とする事により、▲3▼更に、主系のエネルギが過小でゲインが過大になるような場合にはゲインを固定とする事によりジャイロ機構の性能を最大に発揮させるようにする事にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1は、回転ロータ(1)と、回転ロータ(1)を支持し且つ制振対象である主系(2)に回転自在に取り付けられたジンバル(3)と、ジンバル軸(4)に接続され、ジンバル(3)の角度θ2を制御するアクチュエータ(5)と、主系(2)の振動θ1を検出するセンサ(6)と、センサ(6)から取り込んだセンサ出力に基づいた演算結果をアクチュエータ(5)にフィードバックする制御装置(7)とで構成されたジャイロ機構(A)により、前記フィードバック制御のゲインKvが、主系(2)のエネルギEの増加・減少に反するように減少・増加するように変化させる制振方法であって、主系(2)のエネルギEが大きくなるとき、フィードバック制御によるジンバル(3)の角度θ2が最大許容角度を越えないように前記ゲインKvが小さくなるようにし、主系(2)のエネルギEが小さくなるとき、ジンバル(3)の角度θ2が最大許容角度以下になる範囲内で主系(2)のエネルギEに合わせてゲインKvを変化させる事を特徴とする。
【0009】
これによれば、主系(2)のエネルギEが過大であってもゲインKvを小さくしてジンバル(3)の制御角度θ2が最大許容角度を越えないようにする。従って、前記ジンバル(3)の揺動角度(=制御角度θ2)に基づく制御トルクu'1はジャイロ機構(A)の能力限界で制御を行う事になる。主系(2)の揺れが次第に減衰した場合や、主系(2)のエネルギEが小さい場合には、ゲインKvを主系(2)のエネルギEに合わせて変化させ、主系(2)の制振制御を効果的に行うようにしたもので、その結果、主系(2)のエネルギEが過大である場合でもジャイロ機構(A)の容量に見合った最大の制御が可能となり、主系(2)のエネルギEが正常である場合にはジャイロ機構(A)の容量に合った最適の制御が可能となり、容量必要以上に過大にする必要がなく、合理的な容量のもので最大の制振効果を発揮させる事が出来る。
【0010】
請求項3は、請求項1の改良で、回転ロータ(1)と、回転ロータ(1)を支持し且つ制振対象である主系(2)に回転自在に取り付けられたジンバル(3)と、ジンバル軸(4)に接続され、ジンバル(3)の角度θ2を制御するアクチュエータ(5)と、主系(2)の振動θ1を検出するセンサ(6)と、センサ(6)から取り込んだセンサ出力に基づいた演算結果をジンバル(3)のアクチュエータ(5)にフィードバックする制御装置(7)とで構成されたジャイロ機構(A)により、前記フィードバック制御のゲインKvが、主系(1)のエネルギEの増加・減少に反するように減少・増加するように変化させ且つ前記エネルギEが過小で最小許容値より小さい場合には前記ゲインKvを一定となるように制御する制振方法であって、主系(2)のエネルギEが大きくなるとき、フィードバック制御によるジンバル(3)の制御角度θ2が最大許容角度を越えないように前記ゲインKvが小さくなるようにし、主系(2)のエネルギEが小さくなるとき、フィードバック制御によるジンバル(3)の制御角度θ2が最大許容角度以下である場合には、主系(2)のエネルギEに合わせてゲインKvを変化させ、主系(2)のエネルギEが最小許容値より小さくて、ゲインKvが過大となる場合には最小許容エネルギを設定して、主系のエネルギがこれ以下の時は、前記最小許容エネルギE(=Ec)を基準としてゲインKvを固定する事を特徴とする。
【0011】
【作用】
これは、請求項1に加えて、主系(2)のエネルギEが過小(E<Ec)であってゲインKvが過大となり過ぎる場合に対応する点を追加したものであり、これによれば、主系(2)に入力するエネルギEが過小で最小許容エネルギEcより小さい場合には前記ゲインKvをある値に固定するように制御するものであり、その結果、前記ゲインKvに基づくジンバル(3)の制御トルクu’1は主系(2)のエネルギEに対して過大とならず、主系(2)を迅速に制止させる事になる。ゲインKvはその時の主系(2)のエネルギE(一般的には最小許容エネルギEc)を基準として規定される。
【0012】
【実施例】
以下、本発明方法について説明する。図1は本発明に係るジャイロ機構(A)の原理を示す斜視図である。本発明に使用されるジャイロ機構(A)は、図1から分かるように、回転ロータ(1)と、回転ロータ(1)を軸受にて回転自在に支持し且つ制振対象である主系(2)に軸受で枢着されているジンバル(3)と、ジンバル軸(4)にジンバル角制御装置として設置されたアクチュエータ(5)と、主系(2)の変位角(揺れ)を検出するセンサ(6)と、取り込んだセンサ出力から得られたゲインKvを演算して前記アクチュエータ(5)にて駆動されるジンバル(3)の制御角度(θ2)を演算してアクチュエータ(5)にフィードバックする制御装置(7)とで構成されている。
本発明における主系(2)は、剛体振子のようなもので、より具体的には、波浪に揺られる船舶、索道に吊り下げられたゴンドラや垂下式のモノレール、ロープにてクレーンに吊り下げられた貨物などが該当する。
図1をゴンドラにたとえれば、図中、(8)が大地であり、(9)が索道を支持する支柱、(10)が索道、(2)が主系に相当するゴンドラ本体という事になる。
【0013】
図1の実施例では、ジンバル(3)は、回転ロータ(1)を垂直軸にて回転自在に支持しており、前記回転ロータ(1)は一定の角速度で回転している。回転ロータ(1)の駆動装置(図示せず)は例えばDCモータのようなものが使用される。また、アクチュエータ(5)は回転角度や回転速度制御の簡単な例えばステッピング・モータやサーボモータのようなものが使用される。
【0014】
まず、本発明におけるジンバル制振装置(A)の解析モデルについて説明する。前述のように、ロータ(1)はジンバル(3)に組み込まれて駆動装置によりジンバル(3)に対して一定の角速度を維持している。主系(2)に作用する外乱への抵抗トルクはロータ(1)に作用するジャイロモーメントであり、ジンバル(3)をアクチュエータ(5)で回転させる事により発生させる。ジンバル(3)の回転によって主系軸(10)回りについてのジンバル(3)の慣性モーメントが変化しないと仮定すると、主系(2)の周期などを用いて無次元化された主系(2)の運動方程式は次のようになる。
θ’’1−(α/β)1/2・Ω’・θ’2・cosθ2+2Zθ’1+θ1=w’ (1)
ここで、θ1、θ2は主系(2)とジンバル(3)の角変位、w’は無次元化された励振トルク、Ω’は無次元化されたロータ(1)の回転角速度、Zは主系(2)の粘性減衰、α、βは慣性モーメント比である。式(1)の第2項がジャイロモーメントとしての主系(2)への制振トルクであり、これをu’1とおくと所要の制振トルクを得るためにはジンバル(3)を、
θ’2=(β/α)1/2・[u’1/(Ω’・cosθ2)] (2)
を満たすように回転させる必要がある。
【0015】
[角運動量による制約]
ジンバル角θ2が±π/2に達すると、制御トルクは瞬間的に零になり、その前後で出力トルクの符号が反転する。従って、│θ2│>π/2の領域では所定の制振トルクを得ることがてきない。このためジンバル(3)は│θ2│≦π/2の領域で作動する必要がある。ジンバル角θ2の制約を
│θ2│≦θmax≦π/2 (3)
とすると主系(2)に加え得るトルク積には、
なる制約がある。ジンバル角θ2に制約がないと(θmax=π/2)としてもロータ角運動量の2倍がトルク積の上限となる。
【0016】
[速度フィードバック制御]
次に、従来用いられていた定ゲイン制御を説明し、続いて本発明の可変ゲイン制御について説明する。
(定ゲイン制御) フィードバックゲインをKvとし、主系(2)の制振トルクをu’1=−Kv・θ’1で決定する。制振トルク積は、
│∫u’1dt│=│Kv∫θ’1dt| (5)
となり、主系(2)が原点(例えば、クレーンの場合では貨物が鉛直点に位置する場合)に静止した状態で、強さθ0のインパルス入力を受けた時、その最大値は2Kv・θ0で近似できる。式(4)と式(5)を比較すると、主系(2)の減衰比を最大とするフィードバックゲインKvは、
Kv=(α/β)1/2・Ω’・sinθmax/θ0 (6)
となり、結果的にジンバル(3)の制御則は次のようになる。
θ2=−sin−1[(sinθmax)・θ1/θ0] (7)
式(7)に従うとき、式(3)のジンバル角θ2の制約が満足されている。これはインパルス入力の場合に限らず、制御状態での主系振幅がθ0以下であれば常に適用可能である。
【0017】
換言すれば、式(6)では、(α/β)1/2、Ω’、sinθmax、θ0の全ては定数であり、これらから演算されるKvも一定の値をとる事になる。その結果、この定ゲイン制御では、前述のように異常時まで対応可能にしようとするならば、異常時でもジンバル(3)の制御角度θ2が許容最大角度を越えない範囲で最大振幅となるようにθ0を大きく、即ち、ゲインKvを非常に小さく設定しなければならず、前述のようにジャイロ機構の容量の大半が有効に利用されなくなる。
【0018】
[可変ゲイン制御] 式(7)の制御則(定ゲイン制御)では、主系振幅|θ1|がθ0を越えると(通常は、|θ1|≦θ0である。)、│θ2|がθmax以上になってしまう。そこで、θ0 2/2がインパルスを受けた直後の主系(2)のエネルギEに等しいことに着目し、制御則として次式を採用する。
θ2=−sin−1[(sinθmax)・θ1/(2E)1/2] (8)
E=(1/2)(θ1 2+θ’1 2) (9)
これは、フィードバックゲインKvを制御対象のエネルギEに基づいて可変とした事になる。すなわち、式(8)において、変数であるEによってθ2が変化するが、θ2が変化するという事は、θ2を演算するためのフィードバックゲインKvが変化している事を意味する。
【0019】
これをKvに関して書き改めると、以下の式を得る。
Kv=(α/β)1/2・Ω’・sinθmax/(2E)1/2 (10)
主系(2)への制振トルクu’1は、
と表される。
【0020】
式(1)において、w’≡0とし、両辺に主系(2)の角速度θ’1を掛け、主系(2)のエネルギの変化速度E’に関して整理すれば次式が得られる。
{1−(α/β)1/2[Ω’・sinθmax/(2E)1/2](θ1・θ’1/2E)}E’
=−2Zθ’1 2−(α/β)1/2[Ω’・sinθmax/(2E)1/2]θ’1 2 (12)
これにより、E’<0となるための条件は、
θ1=(2E)1/2・cosψ、
θ’1=(2E)1/2・sinψとおくとき、
E>(1/8)・(α/β)・Ω’2・sin2θmax・sin22ψ (13)
となる。
【0021】
主系(2)の角加速度θ’’1は次式で表される。
【0022】
図2にE’の正負が切り換わる境界C,主系(2)の角加速度θ’’1の等高線、主系状態量の位相面上での動きを示す。縦軸は主系(2)の角速度θ’1、横軸は主系(2)の変位角θ1である。図の斜線部は│θ’’1│>0.028radの領域である。式(8)による制御を行うと境界Cの近傍(主系(2)のエネルギEが非常に小さくて最小許容値の近傍にある時)でジンバル(3)を非常に高速で回転させることになる。換言すれば、式(8)において、エネルギEが非常に小さくなればジンバル角θ2は非常に大きくならざるを得ず、このことは式(8)からゲインKvが過大になる事を意味し、前述のジンバル(3)の高速回転に繋がる。その結果、主系(2)の角加速度θ’’1が高くなる。これは振動制御としても良い結果とは言えない。
即ち、可変ゲイン制御は、主系(2)のエネルギEが非常に大きい場合でも、ジャイロ機構(A)の能力の限界までフル稼働させる事が出来て有効であるが、エネルギEが過小である場合(後述するE<Ecの場合)には問題が残る事になる。
【0023】
そこで、この問題を解決するために次の手法を採用した。
EC≧EC min=(1/8)・(α/β)・Ω’2・sin2θmax (15)
となるようなECを選び、主系(2)のエネルギがE<ECのときは定ゲインによる制御に切り換えることにする。ECは主系(2)の原点近傍における角加速度θ’’1にθ’’maxなる上限を設定することにより決定し、E<ECの領域ではジンバル(3)を
θ2=−sin−1{[sinθmax/(2Ec)1/2]・θ1} (16)
に従って回転させる。このとき位相面上の全領域においてE’≦0となる。本実験例ではθ’’max=0.028rad(無次元化)とする。式(16)において、右辺の[sinθmax/(2Ec)1/2]は定数であり、θ2はθ1に従って変化する事になる。
【0024】
{実験例}
本発明の実験装置は次の通りである。実験装置は主系、ジンバル、ロータからなり、主系軸とジンバル軸にはロータリエンコーダ(センサに相当)が取り付けられている。ジンバル軸は段付きベルトにより減速比1:4でパルスモータ(アクチュエータに相当)の駆動軸に接続されており、パルスモータに速度指令を送ることにより、所定の位置(即ち、制御角度)に回転させることができる(0.36deg/pulse)。 またロータはDCサーボモータにより一定の角速度を維持しており、回転数はコントローラで設定することができる。実験装置の慣性モーメント比は、α=11.6,β=5500,主系の固有振動数は3.55rad/sである。ロータの回転数は2500rpm(Ω=0.292), ジンバル角の制約はθmax=3π/8とした。
【0025】
計測法は次の通りである。主系軸とジンバル軸のロータリエンコーダはパソコンの拡張スロットにあるカウンタボードと接続されており、インターバルタイマからの10ms毎の割り込みに同期して計数値がパソコンに読み込まれる。計測された主系角変位から、制御則に応じてジンバルの角変位の差を用いて、サーボ系によりジンバル軸を駆動する。
【0026】
本発明の実験結果は次の通りである。主系に初期角5.0°を与えた状態からの過渡応答を測定した。主系の初期変位に基づいて定ゲインとした場合、及び可変ゲインを用いた場合の主系の応答をそれぞれ図3(定ゲイン制御)、図4(可変ゲイン制御)に示す。図中、縦軸は主系の変位角で横軸は時間を表す。実線、破線、点線は制御時の実験、シミュレーション結果であり、一点鎖線は制御を行わないときの実験結果である。図3比較して図4は、ゲインを可変とすることにより、主系振幅の小さな領域においてもジンバルのストロークを十分に活用して大きな制御トルクが得られている。実験結果はシミュレーションと良く一致しており、可変ゲインによる制御が実現可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明方法は、制御則として速度フィードバックを用いた場合の能動形ジャイロ機構の制振効果を確認したもので、ゲインを可変とする事により、制振対象のエネルギが外乱により大きくなってもジンバル角を飽和させずに制御を行うことが可能であり、また、主系のエネルギが小さい領域では従来の定ゲインによる制御方法の場合と比較してより大きな制御トルクを得ることができ有効である。
【0028】
又、主系のエネルギが最小許容値Ecより小さい場合には、可変ゲイン制御から定ゲイン制御に切り替えることにより、可変ゲイン制御の不都合を解消する事が出来、ジャイロ機構の持つ容量を最大限に発揮させる事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するジャイロ機構の原理を示す斜視図。
【図2】主系状態量の位相面上での動きを示すグラフ。
【図3】従来の定ゲイン制御における主系の経時応答グラフ。
【図4】本発明の可変ゲイン制御における主系の経時応答グラフ。
【符号の説明】
(A)…ジャイロ機構
(1)…回転ロータ
(2)…主系
(3)…ジンバル
(4)…ジンバル軸
(5)…アクチュエータ
(6)…センサ
(7)…制御装置
θ1…主系の振動
θ2…ジンバル角
Kv…フィードバックゲイン
E…主系のエネルギ
Claims (4)
- 回転ロータと、回転ロータを支持し且つ制振対象である主系に回転自在に取り付けられたジンバルと、ジンバル軸に接続され、ジンバルの角度を制御するアクチュエータと、主系の振動を検出するセンサと、センサから取り込んだセンサ出力に基づいた演算結果をジンバルのアクチュエータにフィードバックする制御装置とで構成されたジャイロ機構により、前記フィードバック制御のゲインが、主系のエネルギの増加・減少に反するように減少・増加するように変化させる制振方法であって、
主系のエネルギが大きくなるとき、フィードバック制御によるジンバルの角度が最大許容角度を越えないように前記ゲインが小さくなるようにし、
主系のエネルギが小さくなるとき、ジンバルの角度が最大許容角度以下になる範囲内で主系のエネルギに合わせてゲインを変化させる事を特徴とするジャイロ機構による制振方法。 - ジンバルの制御角度が次式で制御される事を特徴とする請求項1に記載のジャイロ機構による制振方法。
θ2=−sin-1[(sinθmax)・θ1/(2E)1/2]………(I)
E=(1/2)(θ1 2+θ'1 2)…………………………… (II)
│θ2│≦θmax≦π/2………………………………………(III)
ここで、θ2はジンバルの制御角度
θmaxはジンバルの最大変位角
θ1は主系の変位角Eは主系のエネルギ
θ'1は主系の角速度 - 回転ロータと、回転ロータを支持し且つ制振対象である主系に回転自在に取り付けられたジンバルと、ジンバル軸に接続され、ジンバルの角度を制御するアクチュエータと、主系の振動を検出するセンサと、センサから取り込んだセンサ出力に基づいた演算結果をジンバルのアクチュエータにフィードバックする制御装置とで構成されたジャイロ機構により、前記フィードバック制御のゲインが、主系のエネルギの増加・減少に反するように減少・増加するように変化させ且つ前記エネルギが過小で最小許容エネルギより小さい場合には前記ゲインを固定するように制御する制振方法であって、
主系のエネルギが大きくなるとき、フィードバック制御によるジンバルの制御角度が最大許容角度を越えないように前記ゲインが小さくなるようにし、
主系のエネルギが小さくなるとき、フィードバック制御によるジンバルの制御角度が最大許容角度以下である場合には、主系のエネルギに合わせてゲインを変化させ、
主系のエネルギが最小許容値より小さくて、ゲインが過大となる場合には最小許容エネルギを設定して、主系のエネルギがこれ以下の時は、前記最小許容エネルギを基準としてゲインを固定する事を特徴とするジャイロ機構による制振方法。 - 主系のエネルギが可変ゲイン制御の最小許容エネルギ以上で、ゲインが可変制御されている場合には、ゲインにより演算されるジンバルの制御角度が(I)〜(III)式で制御され、主系のエネルギが最小許容エネルギより小さくてゲインが固定制御である場合には、ジンバルの制御角度が(IV)式で制御される事を特徴とする請求項3に記載のジャイロ機構による制振方法。
θ2=−sin-1[(sinθmax)・θ1/(2E)1/2]………(I)
E=(1/2)(θ1 2+θ'1 2)…………………………… (II)
│θ2│≦θmax≦π/2………………………………………(III)
θ2=−sin-1[(sinθmax)・θ1/(2Ec)1/2] ……(IV)
ここで、θ2はジンバルの制御角度
θmaxはジンバルの最大変位角
θ1は主系の変位角
Eは主系のエネルギ
θ'1は主系の角速度
Ecは可変ゲイン制御の最小許容エネルギ
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