JP3601273B2 - 光走査装置の調整方法、光走査装置及び多色画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光走査装置の調整方法、光走査装置及び多色画像形成装置にかかり、特に、レーザプリンタ、デジタル複写機等に用いられ被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備えて光ビームを所定方向へ走査する光走査装置の調整方法、光走査装置及び多色画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、レーザービームプリンタやデジタル複写機等の画像形成装置の高画質化が求められ、光走査装置にも光ビームのビーム径の小径化、すなわち高密度化が望まれている。また、カラー画像形成装置の生産性を上げるために複数色の各々を独立して形成させるように複数の光走査装置を用いた多色画像形成装置が実用化されている。
【0003】
画像形成装置や多色画像形成装置では、ビーム径の目標値が得られる範囲をDOF(Depth of Focus)としているが、上記のような高密度化に伴い小径の光ビームが用いられるとその範囲も狭くなり、温度変化などによる最良像面位置が変化しても目標のビーム径が得られるように像面湾曲を無くすように設計している。
【0004】
しかしながら、光走査装置において、設計上の像面湾曲やリニアリティを良好に補正した場合であっても、走査レンズやミラーなどの加工誤差、装置への組立て誤差等の製造誤差により最良像面が傾くことによってビーム径が不均一になり、高性能化を妨げる要因となっている。
【0005】
また、上記と同様に製造誤差により走査倍率誤差が生じて左右非対称となることがあり、画像の歪みとなることがある。また、複数の走査装置を用いる場合には各色間の画像の歪みが色ずれとなり良好な画像が得られない。特に、色ずれは人間の目で知覚されやすいことが知られており、数十μmの色ずれであっても知覚されることがある。このために色ずれに対する要求は非常に巌しいものとなり、各光走査装置のリニアリティ差を補正する必要がある。
【0006】
上記問題点を解消するものとして、像面湾曲を補正するために、偏向した光束を結像するための結像レンズの1部を光軸に対し偏心させる技術(特開平3−251813号公報参照)や、走査結像レンズの1枚を主走査方向へ変位させることにより主走査方向または副走査方向の像面湾曲を補正する技術(特開平4−342222号公報参照)が提案されている。
【0007】
また、走査倍率を補正するために、結像レンズのうちの1枚を移動することにより倍率誤差による色ずれを補正することが記載されている(特開平2−308213号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、像面湾曲の補正と走査倍率左右差による色ずれを補正するためには、結像レンズの1部を偏心させているが、結像レンズを移動して調整を行う場合には像面湾曲と走査倍率左右差の両方が変化してしまう。このように、像面湾曲と走査倍率左右差の両方が変化すると像面湾曲を補正するときは走査倍率左右差は変化し、場合によっては許容できない画像の歪み、または色ずれが生じてしまう。一方、色ずれを補正するときは像面湾曲が変動しビーム径の不均一が生じてしまい良好な画像が得られないことがある。
【0009】
詳細には、図23(1)に示すように、光走査装置において走査結像レンズLを光軸と交差する方向(図23の矢印A方向)に偏向面内で移動させて像面湾曲等を求めた。図24はその結果を示したものであり、(1)は主走査方向の像面湾曲を示し、(2)はfθ特性であるリニアリティを示し、(3)はローカルエラーの変化を示したものである。
【0010】
また、図23(2)に示すように、光走査装置において走査結像レンズLを該レンズLを中心として逆時計周り方向(図23の矢印B方向)に回転させて像面湾曲等を求めた。図25はその結果を示したものであり、(1)は主走査方向の像面湾曲を示し、(2)はリニアリティを示し、(3)はローカルエラーの変化を示したものである。
【0011】
なお、図中、設計上の性能を実線で示し、上記移動後の性能を点線で示した。これらの図から明らかなように、最良像面が傾き像面湾曲が変化しているとともにリニアリティも変化し走査倍率の左右差が生じている。このことは製造誤差などにより像面が傾いたり、走査倍率差が生じた誤差を調整レンズの移動により補正しようとしても調整レンズの移動に伴う像面湾曲変化量とリニアリティ変化量との比とほぼ同一な誤差でないかぎり像面湾曲とリニアリティの両方を良好な状態に補正することはできないということを示している。
【0012】
本発明は、上記事実を考慮して、簡単な調整により走査倍率や像面湾曲を補正できる光走査装置の調整方法、光走査装置及び多色画像形成装置を得ることが目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述のように、像面湾曲の補正と走査倍率左右差による色ずれを補正するために、結像レンズの1部を偏心させたり移動させたりして調整しても、像面湾曲と走査倍率左右差の双方が変化するので、画像の歪みや色ずれが生じ、良好な画像が得られない。
【0014】
本発明者は、被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系の少なくとも一部のレンズを偏向平面内で移動した場合と、該レンズを回転させた場合の像面傾きの変化量と走査倍率左右差の変化量が異なることに着目し、一部のレンズをレンズから所定距離離間した位置を中心として回転させることにより像面傾きのみ、または走査倍率差のみを独立して補正することができるという知見を得て、本発明に至った。
【0015】
具体的には、上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備え、光ビームを所定方向へ走査する光走査装置の調整方法であって、前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の所定位置を像面の傾き補正の基準点または走査倍率補正の基準点と定め、像面の傾きのみまたは走査倍率のみを補正するために、該当する前記基準点を中心として、前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転することにより調整することを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載の発明では、走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ走査結像光学系の光軸上の所定位置を像面の傾き補正の基準点または走査倍率補正の基準点と定める。この該当する基準点を中心として、走査結像光学系を構成するレンズの1部を、回転することにより調整する。この回転は、レンズの入射瞳の直径やレンズ外形から規定される有効径等の有効範囲が走査の範囲を全て含む調整範囲を含むようになされる。従って、基準点を中心として、走査結像光学系を構成するレンズの1部を、回転することにより、像面の傾きのみまたは走査倍率のみを補正することができる。
【0017】
像面の傾き及び走査倍率の補正は各々同時に行うことが好ましい。そこで、請求項2に記載の発明は、被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備え、光ビームを所定方向へ走査する光走査装置の調整方法であって、前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の異なる2つの所定位置を第1基準点及び第2基準点と定め、像面の傾きを補正するために、前記第1基準点を中心として前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転すると共に、走査倍率を補正するために、前記第2基準点を中心として前記レンズの1部を、前記調整範囲内で回転することにより調整することを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明では、走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ走査結像光学系の光軸上の異なる2つの所定位置を第1基準点及び第2基準点と定める。これは、同一のレンズを2つの異なる位置を中心に回転させることにより像面傾きと走査倍率左右差を個別に調整することを可能とするためである。従って、第1基準点及び第2基準点の各々を中心としてレンズを回転させることにより像面傾き、及び走査倍率差を独立かつ同時に補正することができる。
【0019】
上記方法は、以下の装置によって、実現可能である。
請求項3に記載の発明は、被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備え、光ビームを所定方向へ走査する光走査装置において、前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の所定位置であると共に像面の傾き補正の基準点または走査倍率補正の基準点として予め定めた基準点を中心として、像面の傾きのみまたは走査倍率のみを補正するために、前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転させる調整手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明は、調整手段を備えており、調整手段は像面の傾きまたは走査倍率を補正するために、走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の所定位置であると共に像面の傾き補正の基準点または走査倍率補正の基準点として予め定めた基準点を中心として、前記走査結像光学系を構成するレンズの一部を、この一部のレンズの有効範囲が走査範囲を全て含む調整範囲内で回転させる。このように回転させることによって、像面の傾きのみまたは走査倍率のみを補正することができる。
【0021】
上記光走査装置は、光ビームを所定方向に走査させるためのものであるが、一般的にはポリゴンミラー等の偏向手段が用いられる。この偏向手段は等回転速度で回転されることが多いため、偏向された光ビームは走査速度が略一定になるように補正する必要がる。このため、前記走査結像光学系は、請求項4にも記載したように、光ビームを所定方向へ走査するときの走査速度を補正するためのfθレンズの機能をさらに有することが好ましい。このようにfθレンズの機能をさらに有する走査結像光学系の一部のレンズを回転させることによって、前記走査結像光学系において、走査速度が補正された光ビームについて、像面の傾きや走査倍率を補正することができる。
【0022】
このようなfθレンズの機能をさらに有する走査結像光学系では、請求項5に記載の発明は、前記基準点は、前記fθレンズの走査速度の補正特性が変化しない予め定めた所定範囲内に定めることが好ましい。すなわち、前記走査結像光学系において光ビームの走査速度が補正されるが、この走査速度の補正特性が変化しない予め定めた所定範囲内において基準点を定めることで、走査結像光学系の系全体として特性悪化を招くことなく像面の傾きや走査倍率を補正することができる。
【0023】
また、レンズを回転させることで像面が傾くが、像面の傾きには設計当初に許容範囲があるのが一般的である。このため、請求項6にも記載したように、前記基準点を、前記走査結像光学系の最良像面位置が実質的に変化しない予め定めた許容範囲内に定める。このようにすることによって、走査結像光学系の最良像面位置は実質的に変化せず、像面の傾き変化を抑制しつつ補正することが可能となる。
【0024】
上記のように、像面の傾き及び走査倍率の補正は各々同時に行うことが好ましいので、請求項7にも記載したように、被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備え、光ビームを所定方向へ走査する光走査装置において、前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の異なる2つの予め定めた第1基準点及び第2基準点を中心として、像面の傾きを補正するために、前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転すると共に、走査倍率を補正するために、前記第2基準点を中心として前記レンズの1部を、前記調整範囲内で回転することにより調整する調整手段を備える。
【0025】
このように、調整手段により第1基準点及び第2基準点の各々を中心としてレンズを回転させることができ、像面傾き、及び走査倍率差を独立かつ同時に補正することができる。
【0026】
ここで、カラー画像形成装置の生産性を上げるために実用化されている多色画像形成装置は、複数色の各々を独立して形成させる複数の光走査装置を備えており、独立して形成される画像は、異なる画像歪みを招くことがある。
【0027】
そこで、請求項8に記載の発明は、感光体、光ビームを所定方向へ主走査しかつ該光ビームを前記感光体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備えた光走査装置及び現像器を備えた色画像形成装置を複数備えると共に、前記主走査の方向と交差する方向に副走査する副走査装置を備え、前記主走査および副走査を行って同一の記録材料上に2次元の多色画像形成を行う多色画像形成装置であって、前記光走査装置の少なくとも1つが、前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の所定位置であると共に像面の傾き補正の基準点または走査倍率補正の基準点として予め定めた基準点を中心として、像面の傾きのみまたは走査倍率のみを補正するために、前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転させる調整手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
このように、複数の光走査装置のうちの少なくとも1つの光走査装置について、レンズの1部を前記調整範囲内で回転することにより調整する調整手段を備えることによって、その調整手段を備えた光走査装置は、像面の傾きや走査倍率を補正することができ、例えば他の色に略一致させることにより、調整手段を備えた光走査装置の色により招かれる色ずれを解消することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色毎に画像形成部を有するカラー画像形成装置の光ビームとしてのレーザビームを射出するレーザ走査装置に本発明を適用したものである。
【0030】
図1には、本発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置10が示されている。このカラー画像形成装置10は、CPU、カラー画像形成装置10全体を制御するプログラム等が格納されたROM、入出力バッファやワークエリアとしてのRAM、及び操作パネル等を備えた制御部16と、原稿をスキャニングし得られた光信号をフィルタによって各色の信号に分解しこれらを光電変換して各色の画像信号を形成する画像読取装置14と、2対の搬送ローラ30、32と、搬送ローラ30、32に巻き掛けられ光を透過させることができる無端の転写ベルト24とを備えている。
【0031】
転写ベルト24の上方には、ブラック(K)画像形成用の画像形成部12A、イエロー(Y)画像形成用の画像形成部12B、マゼンタ(M)画像形成用の画像形成部12C、及びシアン(C)画像形成用の画像形成部12Dが搬送方向(矢印A方向)に略等間隔で配置されている。
【0032】
これらの画像形成部12A〜12Dは同一の構成を有しており、各画像形成部12A〜12Dは、軸方向が搬送方向(矢印A方向)と直交する方向に配置された感光ドラム20を備えており、各感光ドラム20の周囲には、感光ドラム20を帯電させるための帯電器34、帯電された感光ドラム20上に潜像を形成するためのレーザ走査装置(ROS)18、潜像に各色のトナーを付着させるための現像器22、及び感光ドラム20に残されたトナーを除去するためのクリーナ36が配置されている。
【0033】
本カラー画像形成装置10では、画像読取装置14によって読み取られたR、G、Bの画像信号が、画像データC,M,Y,Kに変換されて制御部16へ出力される。制御部16は、各色のレーザー光源を駆動するためのレーザー駆動信号(変調信号)を画像形成部12A〜12Dへ出力する。各色の画像形成部12A〜12Dでは入力された信号によりレーザー光源を駆動することによって、感光ドラム20が露光される。
【0034】
各色の感光ドラム20は、所定間隔で配置されており、図示しない供給トレイから供給されたペーパー26が、転写ベルト24の上面に送り込まれ、所定方向(図1の矢印A方向)に搬送されつつ、各感光体ドラム20の下を順に通過して、それぞれの色(C,M,Y,K)のトナー像が所定のタイミングで転写される。各色のトナー像の転写が行われたペーパー26は、転写ベルト24の表面から剥離され、定着器で定着された後に排出される。
【0035】
図2に示されるように、各色の画像形成部12A〜12Dに設けられたレーザ走査装置18は、副走査方向に沿って配置されたレーザ光源を有するレーザ光源ユニット44と、レーザ光源ユニット44から射出されたレーザビームを平行ビームにするコリメータレンズ46と、略等角速度で回転され平行ビームを偏向する回転多面鏡(ポリゴンミラー)48と、走査速度補正及び結像のための走査結像レンズであるfθレンズ50と、感光ドラム20上での主走査方向の画像信号書き込み開始信号を検出するための開始位置検出(SOS)センサ52と、を備えている。なお、図中、LDは光軸を示している。
【0036】
なお、上記レーザ走査装置18は、実際には偏向面(ポリゴンミラーの反射面)の倒れを補正するため、円筒状反射鏡(シリンドリカルミラー)等を走査結像レンズ(fθレンズ50)後に設けているが、このシリンドリカルミラー等は本実施の形態にかかる補正として副走査方向の像面湾曲について殆ど変化が認められないので、本実施の形態では記載を省略した。
【0037】
〔第1実施の形態〕
第1実施の形態は、負正2枚の単レンズを組み合わせた組合せレンズにより、走査結像レンズであるfθレンズ50を構成した場合に、本発明を適用したものである。
【0038】
図3に示すように、fθレンズ50は、負パワーの第1レンズG1(所謂凹レンズ)及び正パワーの第2レンズG2(所謂凸レンズ)から構成されている。
【0039】
以下に、本実施の形態のfθレンズ50の光学データを示す。なお、以下の数値は、焦点距離f=1(mm)として正規化したものである。また、単レンズの曲面は物点側(ポリゴンミラー側)を第1面としかつ像点側(感光ドラム側)を第2面とし、曲率半径rは曲面より像点側に曲率中心があるときを正符号で表記し、曲面より物点側に曲率中心があるときを負符号で表記し、略平面であるとき「∞」と表記した。
【0040】
なお、第1レンズG1と第2レンズG2との間の空間は真空または空気が充填されているものとする。また、第1レンズG1と第2レンズG2の組み合わせによる合成焦点を以下の説明では、合成焦点fとして表記することとする。
【0041】
ここで、本発明者は、走査結像レンズを偏向平面内で移動させた場合と、この走査結像レンズを光軸上で回転させた場合との像面傾きの変化量と走査倍率左右差の変化量が異なることに着目し、種々の検討を加えた結果、像面の傾きの変化量と走査倍率左右差の変化量とは走査結像レンズの移動や回転で独立して補正可能、すなわち、走査結像レンズから所定距離離間した位置を中心として回転させることにより像面傾きのみ、または走査倍率差のみを独立して補正することができるという知見を得た。
【0042】
そこで、本実施の形態では、像面の傾きまたは走査倍率を補正するために、上記構成のfθレンズ50の第2レンズG2を回転させるための補正レンズと設定している。すなわち、本実施の形態では、像面湾曲補正及びリニアリティ(fθ特性)補正の各々の補正について光軸LD上の所定位置に基準点を定め、その基準点を中心として第2レンズG2を回転させることによって、各補正を可能とした構成を提供するものである。
【0043】
図3では、像面湾曲補正のための基準点は$1、リニアリティ補正のための基準点は$2で示されている。本実施の形態では、像面湾曲補正のための基準点$1は、第2レンズG2の第1面R3から距離S1を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。この距離S1は、+1.18f(f:第1レンズG1と第2レンズG2の組み合わせによる合成焦点)で定めている。なお、この距離の符号は、物点側から像点側に向けて正符号とし、逆の場合を負符号とする。すなわち、「+1.18f」は、第2レンズG2の第1面R3から像点側へ向けた所定距離(1.18f)の位置を表すものである。第2レンズG2は、この基準点$1を中心として、半径Y1で所定方向(図3の矢印T1方向)に回転可能とされている(詳細は後述)。
【0044】
また、リニアリティ補正のための基準点$2は、第2レンズG2の第1面R3から距離S2を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。この距離S2は、−0.58fで定めている。第2レンズG2は、この基準点$2を中心として、半径Y2で所定方向(図3の矢印T2方向)に回転可能とされている(詳細は後述)。
【0045】
なお、これらの基準点$1,$2は、光軸上に定めた任意の点を中心として第2レンズG2を回転させたときの光線追跡等の光学計算を多数行うことにより、像面湾曲またはリニアリティのみが変化する位置を求めることができる。
【0046】
図4に示すように、走査結像レンズの第2レンズG2を2つの曲率半径(半径Y1と半径Y2)で回転させるために、第2レンズG2はベース基板60上に取り付けられた第1移動体62上の第2移動体64上に取り付けられている。ベース基板60には、光軸LD上の基準点$1から半径Y1の内周で所定幅でかつ所定深さの円弧状の溝66が設けられている。また、第1移動体62の下面62Aには、ベース基板60の溝66に当てはまるように、半径Y1の内周で所定幅でかつ所定高さの突起部が設けられている。これによって、第1移動体62はベース基板60に、半径Y1で回転可能に取り付けられる。
【0047】
第1移動体62の上面62Bには、光軸LD上の基準点$2から半径Y2の内周で所定幅でかつ所定高さの円弧状の突起部68が設けられている。また、第2移動体64の下面64Aには、第1移動体62の突起部68に当てはまるように、半径Y2の内周で所定幅でかつ所定幅の溝が設けられている。これによって、第2移動体64は第1移動体62に、半径Y2で回転可能に取り付けられる。
【0048】
この第2移動体64の上面に第2レンズG2が取り付けられることによって、第2レンズG2が異なる位置(基準点$1,$2)を中心とした2つの曲率半径(半径Y1と半径Y2)で回転可能になる。
【0049】
上記第1移動体62には長穴70が設けられ、その長穴70にネジ72を通してネジ止め(固定)可能とするために、ベース基板60にネジ穴(図示省略)が設けられている。また、第2移動体64には長穴74が設けられ、その長穴74にネジ72を通してネジ止め(固定)可能とするために、ベース基板60にネジ穴(図示省略)が設けられている。
【0050】
また、ベース基板60には、回転軸86を有する偏心カム84の回転軸86を回転可能に取り付けられるように、回転軸と略同径の穴が設けられている。この偏心カム84は、回転軸86を軸として回転させることで中心から外周までの距離が変化するものであり、その外周は第1移動体62の一方の側面62Wに接するようになっている。また、第1移動体62の他方の側面62Zには、ベース基板60上から突出された側面部90に取り付けられたバネ90の端部が反撥方向に(第1移動体62が偏心カム84へ向けた力が付与されるように)取り付けられている。これによって、偏心カム84を回転させることで、第1移動体62を回転移動可能(調整)とされ、調整の後、固定できる。
【0051】
また、第1移動体62の他方の側面62Zにはバネ92が取り付けられた突出板部62Rが設けられ、バネ92の端部は第2移動体64に反撥方向に(第2移動体64が偏心カム80へ向けた力が付与されるように)取り付けられている。これによって、偏心カム80を回転させることで、第2移動体64を回転移動可能(調整)とされ、調整の後、固定できる。
【0052】
図5には、本実施の形態において第2レンズG2を基準点$1を中心として回転したときの性能変化を示した。図5(1)は主走査方向の像面湾曲変化を示し、(2)はリニアリティ変化(fθ特性変化)を示し、(3)はローカルエラー変化を示したものである。図中、実線は本実施の形態における設計値を表し、破線は第2レンズG2を回転させたときの性能を示している。
【0053】
また、図6には、第2レンズG2を基準点$2を中心として回転させた時の性能変化を示した。図6(1)は主走査方向の像面湾曲変化を示し、(2)はリニアリティ変化を示し、(3)はローカルエラー変化を示したものである。図中、実線は本実施の形態における設計値を表し、破線は第2レンズG2を回転させたときの性能を示している。
【0054】
図5から理解されるように、第2レンズG2の第1面R3から+1.28×fmm離れた光軸上の点である基準点$1を中心として第2レンズG2を回転することにより、リニアリティ及びローカルエラーが略無変化で像面湾曲だけを変化(特性を傾斜)させることができる。すなわちリニアリティを変化させずに像面湾曲のみを補正して、種々の誤差からくる像面湾曲を補正することが可能となる。
【0055】
また、図6から理解されるように、第2レンズG2を第1面から−0.58×fmm離れた光軸上の基準点$2を中心として回転すると逆に像面湾曲が略無変化でリニアリティやローカルエラーを変化させることができる。これによって、基準点$2を回転中心として調整すれば像面湾曲を変化させることなくリニアリティを補正することが可能である。
【0056】
また、本実施の形態では、偏心カム84を回転することにより移動体62が基準点$1を中心とする円弧にそって移動することにより第2レンズG2が回転移動し、主走査方向の像面湾曲を変位させることができる。この場合、リニアリティは変化しないため像面湾曲のみが補正されることになる。また、偏心カム80を回転することにより移動体64上の第2レンズG2は、基準点$2を中心とした円弧にそって回転移動しリニアリティのみ変化する。この場合、像面湾曲は変化しないため偏心カム84を回転して得た像面湾曲を変化させずにリニアリティのみが補正されることになる。
【0057】
図7乃至図9には、組立て誤差が生じた第2レンズG2を、本実施の形態の調整機構により回転移動させた実験結果(実際の性能変化)を示した。図7乃至図9の(1)は主走査方向の像面湾曲変化を示し、(2)はリニアリティ変化を示し、(3)はローカルエラー変化を示したものである。
【0058】
図7は走査結像レンズ50に組立て誤差が生じたときの性能を示した。実線は設計値で破線は偏向面側のレンズすなわち第1レンズG1を偏向面内で光軸LDに垂直に移動させたときの性能である。設計値に対し最良像面とリニアリティの両方が傾斜していることが理解される。
【0059】
図8は偏心カム84を回転させることにより基準点$1を中心として第2レンズG2を回転させて調整したときの性能である。実線は設計値で破線は回転したときの性能である。図8から理解されるように、リニアリティは変化しない(図8(2)参照)が像面湾曲は略設計値と近似するように(図8(1)参照)補正されている。
【0060】
図9は偏心カム80を回転することにより基準点$2を中心とした円弧にそって第2レンズG2を回転することによりリニアリティのみを調整したときの性能を示している。像面湾曲は変化せずに(図9(1)参照)、リニアリティのみが変化(図9(2)参照)しており、結果として像面湾曲、リニアリティともに設計値に近似するように補正されることが理解される。
【0061】
以上の例に示したように、本実施の形態では、同一のレンズ(第2レンズG2)を2つの異なる位置を中心として回転することにより、部品加工誤差、および組立て誤差に起因するいかなる像面湾曲の傾き、リニアリティ変化も独立して補正することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、基準点$1,$2を、光線追跡等の光学計算を多数行うことで求めることで可能として上記の各基準点を定めたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基準点$1,$2は、上記の値に限定されるものではなく、所定傾向や許容範囲を有している。この所定傾向や許容範囲について説明する。
【0063】
像面湾曲やリニアリティ(fθ特性)を補正しようとした場合、用いるfθレンズの光学データ(パワー、配置、焦点距離、曲率半径等)によって変化の度合いがまちまちであり、一義的に規定することができない。そこで、本発明者は多数の実験を行った結果、補正に用いるレンズ(すなわち回転させるレンズ)の焦点距離と、fθレンズ50の主点位置(前側主点位置及び後側主点位置)との間に、関係を見いだした。
【0064】
本実施の形態では、負正2枚のレンズを組み合わせた一般的な組合せレンズによる走査結像レンズであるfθレンズ50の第2レンズG2(所謂、正レンズ)を、回転させるための補正レンズと設定している。この正レンズを補正レンズと設定し、像面湾曲補正を補正する場合には、焦点距離や曲率半径にかからわず、レンズ50の後側主点位置から所定距離を隔てた位置が、回転中心が集中する基準点に望ましい位置である、という結果を得た。すなわち、図26に示すように、fθレンズ50の後側主点位置$a、前側主点位置$b、後側主点位置$aからの距離Sa、前側主点位置$bからの距離Sbとした場合、後側主点位置$aから略1.77×f2(f2:第2レンズG2の焦点距離)の距離Saを隔てた位置に回転中心が集中する基準点に望ましい位置である、という結果を得た。そこで、レンズの後側主点位置$aから略1.77×f2の距離Saを隔てた位置を基準点$1と定めることが好ましい。
【0065】
また、正レンズである第2レンズG2を補正レンズと設定し、リニアリティ(fθ特性)補正する場合には、焦点距離や曲率半径にかからわず、図26に示すように、fθレンズ50の前側主点位置$bから略1.1×(−f2)〜1.3×(−f2)の範囲の間の距離を隔てた位置に回転中心が集中するので基準点に望ましい位置である。そこで、この前側主点位置$bから略1.1×(−f2)〜1.3×(−f2)の範囲の間の距離を隔てた位置を基準点$2と定めることが好ましい。
【0066】
次に、基準点の許容範囲について、本実施の形態の光学データのfθレンズ50を一例として説明する。
【0067】
まず、第1レンズG1(負レンズ)に光軸外れの誤差が生じた場合に、第2レンズG2(正レンズ)を回転させて補正(像面湾曲補正)する場合を説明する。ここでは、上記説明したように、像面湾曲補正のために、基準点$1(S1=+1.18×f)を中心として、第2レンズG2を回転させる。
【0068】
図27には、第2レンズG2を回転移動させた実験結果(リニアリティ(fθ特性))を示した。図27に示す曲線60は、fθレンズ50の設計値による理想的なfθ特性を表している。曲線64は、第1レンズG1による光軸外れ誤差でのfθ特性を表し、曲線65は色ずれ量の特性を表している。
【0069】
ここで、曲線64の誤差でのfθ特性であるfθレンズ50について、設計値±0.1mmの像面湾曲となるように、第2レンズG2を、基準点$1を中心に回転させたとき、回転角度は、−0.115度であった。このように、−0.115度だけ第2レンズG2を回転させると、fθ特性は曲線60(設計値による理想的なfθ特性)と略一致した。
【0070】
図27の曲線66には、fθレンズ50の焦点距離fを290mmとし、走査幅を297mm確保したと仮定し、上記基準点$1を中心として回転させたときの設計値からの色ズレ量の特性を示した。この場合、設計値からの色ズレ量は最大3.3μmであり、600dpi(dot per inch)の画像密度で換算すると、1/13dotである。
【0071】
一方、図27の曲線62は、移動させた基準点$1(S1=+1.0×f)を中心として設計値±0.1mmの像面湾曲となるように、第2レンズG2を回転させた場合のfθ特性を示した。また、この場合の色ズレ量の特性を曲線68に示した。従って、設計値からの色ズレ量は最大23.5μmであり、600dpiの画像密度で換算すると、略1/2dotである。
【0072】
この最大の色ズレ量23.5μmは、周知のように人間の眼の分解能未満である。このため、目視によって、色ずれが知覚されることがないので、色ズレ量23.5μmは許容範囲と想定できる。従って、基準点と補正に用いるレンズとの距離は、20%程度変化しても、色ずれが画像密度の半分程度であれば、許容範囲とすることができる。
【0073】
次に、fθ特性を調整したときの像面湾曲の許容量による基準点の許容範囲について説明する。
【0074】
まず、第2レンズG2(正レンズ)を回転させてリニアリティ(fθ特性)補正する場合、基準点$2(S2=−0.58×f)を中心として、第2レンズG2を回転させる。
【0075】
図28には、第2レンズG2を回転移動させた実験結果(像面湾曲の特性)を示した。曲線70は、fθレンズ50の設計値による理想的な像面湾曲の特性を示している。曲線74は、第1レンズG1で誤差が生じたときの像面湾曲の特性を表している。
【0076】
また、曲線76は、曲線74の誤差での像面湾曲であるfθレンズ50について、第2レンズG2を、基準点$2を中心に回転させて補正したときの、像面湾曲の特性を表している。一方、図28の曲線78は、移動させた基準点$2(S2=−0.34×f)を中心として第2レンズG2を回転させた場合の像面湾曲の特性を示した。
【0077】
ここで、設計値の像面湾曲が略±0.5mmであるのに対して、移動させた基準点$2(S2=−0.34×f)では、略±1mmの像面湾曲になる。通常、良好な画質を得るために、スポット径を画像密度程度(例えば、42.3μm)に小さくした場合、許容できるビーム径変動を10%程度まで許容すると、本実施の形態では、焦点深度±1mm程度である。従って、移動させた基準点$2’(S2’=−0.34×f)の位置であっても、許容範囲とすることができる。
【0078】
〔第2実施の形態〕
第1実施の形態では、像面の傾きまたは走査倍率を補正するために、上記構成のfθレンズ50の第2レンズG2を回転させる場合を説明したが、第2実施の形態は、第1実施の形態と同様の構成の走査結像レンズにおいて第1レンズG1を補正レンズに設定し、第1レンズG1を回転させて補正するものである。なお、本実施の形態は、上記実施の形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0079】
本実施の形態では、図10に示すように、上記構成のfθレンズ50の第1レンズG1を回転させるため、像面湾曲補正のための基準点を$3、リニアリティ補正のための基準点を$4に設定している。像面湾曲補正のための基準点$3は、第1レンズG1の第1面R1(光軸LD近傍の点)から距離S3を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。この距離S3は、+0.26fで定めている。第1レンズG1は、この基準点$3を中心として、半径Y3で所定方向(図10の矢印T3方向)に回転可能なように上記実施の形態と同様の構成にされている。
【0080】
また、リニアリティ補正のための基準点$4は、第1レンズG1の第1面R1から距離S4を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。この距離S4は、−0.72fと定めている。第1レンズG1は、この基準点$4を中心として、半径Y4で所定方向(図10の矢印T4方向)に回転可能とされている。
【0081】
図11には、本実施の形態の第1レンズG1を基準点$3を中心として回転させたときの実験結果を示し、図12には、基準点$4を中心として回転させたときの実験結果(実際の性能変化)を示した。なお、図11及び図12の(1)は主走査方向の像面湾曲変化を示し、(2)はリニアリティ変化を示し、(3)はローカルエラー変化を示したものである。
【0082】
図11から理解されるように、第1レンズG1を基準点$3を中心として回転させることにより、リニアリティは変化せず(図11(2)参照)に像面の傾きのみ変化(図11(1)参照)させることができる。また、図12に示すように第1レンズG1を基準点$4を中心として回転させることにより像面湾曲を変化させずに(図12(1)参照)リニアリティのみを変化させる(図12(2)参照)ことが可能である。これによって、第1レンズG1を補正対象としてのレンズに設定した場合であっても最良像面の傾きとリニアリティとを独立に調整することが可能となる。
【0083】
なお、本実施の形態の基準点$3,$4は上記に限定されるものではなく、第1実施の形態にも説明したが、所定傾向や許容範囲を有させることができる。
【0084】
本実施の形態では、fθレンズ50の第1レンズG1(所謂、負レンズ)を、回転させるための補正レンズと設定している。この負レンズを補正レンズと設定し、像面湾曲補正を補正する場合には、焦点距離や曲率半径にかからわず、レンズ50の後側主点位置から所定距離を隔てた位置が、回転中心が集中する基準点に望ましい位置である、という結果を得た。すなわち、図29に示すように、fθレンズ50の後側主点位置$a及び前側主点位置$b(第1実施の形態の図26と同一位置であるが、基準点$3に対して見やすくするために便宜上離して位置させた)、後側主点位置$aからの距離Sc、前側主点位置$bからの距離Sdとした場合、後側主点位置$aから略(−0.03)×f1(f1:第1レンズG1の焦点距離)〜0.1×f1の範囲の間の距離を隔てた位置に回転中心が集中するので基準点に望ましい位置である、という結果を得た。そこで、レンズの後側主点位置$aから(−0.03)×f1(f1:第1レンズG1の焦点距離)〜0.1×f1の範囲の間の距離Scを隔てた位置を基準点$3と定めることが好ましい。
【0085】
また、リニアリティ(fθ特性)補正する場合には、焦点距離や曲率半径にかからわず、図29に示すように、fθレンズ50の前側主点位置$bから略1.0×f1の距離を隔てた位置に回転中心が集中するので基準点に望ましい位置である。そこで、この前側主点位置$bから略1.0×f1の距離を隔てた位置を基準点$2と定めることが好ましい。
【0086】
〔第3実施の形態〕
第3実施の形態は、第1実施の形態と同様の構成であり、以下の光学データのみが異なるものである。
【0087】
なお、第1レンズG1と第2レンズG2との間の空間は真空または空気が充填されているものとする。
【0088】
本実施の形態では、像面湾曲補正のための基準点$1は、第2レンズG2の第1面R3から距離S1(=+1.08×f)を隔てた光軸LD上の位置に設定され,また、リニアリティ補正のための基準点$2は、第2レンズG2の第1面R3から距離S2(=−0.45×f)を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。
【0089】
図13には、本実施の形態において第2レンズG2を基準点$1を中心として回転したときの性能変化を示し、図14には、第2レンズG2を基準点$2を中心として回転させた時の性能変化を示した。図13及び図14では、(1)は主走査方向の像面湾曲変化を示し、(2)はリニアリティ変化を示し、(3)はローカルエラー変化を示したものである。図中、実線は本実施の形態における設計値を表し、破線は第2レンズG2を回転させたときの性能を示している。
【0090】
図13から理解されるように、第2レンズG2の第1面R3から+1.08×fmm離れた光軸上の点である基準点$1を中心として第2レンズG2を回転することにより、第1実施の形態と同様に、リニアリティ及びローカルエラーが略無変化で像面湾曲だけを変化(特性を傾斜)させることができる。すなわちリニアリティを変化させずに像面湾曲のみを補正して、種々の誤差からくる像面湾曲を補正することが可能となる。
【0091】
また、図14から理解されるように、第2レンズG2を第1面から−0.45×fmm離れた光軸上の基準点$2を中心として回転すると逆に像面湾曲が略無変化でリニアリティやローカルエラーを変化させることができる。これによって、基準点$2を回転中心として調整すれば像面湾曲を変化させることなくリニアリティを補正することが可能である。
【0092】
〔第4実施の形態〕
第4実施の形態は、第3実施の形態の光学データを用いた同様の構成であり、像面の傾きまたは走査倍率を補正するために、上記構成のfθレンズ50の第2レンズG2の回転に代えて、第2実施の形態と同様に、第1レンズG1を補正レンズに設定し、第1レンズG1を回転させて補正するものである。なお、本実施の形態は、上記第2実施の形態及び第3実施の形態と略同様の構成のため、詳細な説明は省略する。
【0093】
本実施の形態では、像面湾曲補正のための基準点$3は、第1レンズG1の第1面R3から距離S(=+0.3×f)を隔てた光軸LD上の位置に設定されており、また、リニアリティ補正のための基準点$4は、第2レンズG2の第1面R3から距離S2(=−0.65×f)を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。
【0094】
図15には、本実施の形態の第1レンズG1を基準点$3を中心として回転したときの性能変化を示し、図16には、第1レンズG1を基準点$4を中心として回転したときの性能変化を示した。なお、図15及び図16の(1)は主走査方向の像面湾曲変化を示し、(2)はリニアリティ変化を示し、(3)はローカルエラー変化を示したものである。
【0095】
図15から理解されるように、第1レンズG1を基準点$3を中心として回転させることにより、リニアリティは変化せず(図15(2)参照)に像面の傾きのみ変化(図15(1)参照)させることができる。また、図16に示すように第1レンズG1を基準点$4を中心として回転させることにより像面湾曲を変化させずに(図16(1)参照)リニアリティのみを変化させる(図16(2)参照)ことが可能である。これによって、第2実施の形態と同様に、第1レンズG1を補正対象としてのレンズに設定した場合であっても最良像面の傾きとリニアリティとを独立に調整することが可能となる。
【0096】
〔第5実施の形態〕
第5実施の形態は、正正2枚の単レンズを組み合わせた組合せレンズにより、走査結像レンズであるfθレンズ50を構成した場合に、本発明を適用したものである。
【0097】
図17に示すように、fθレンズ50は、正パワーの第1レンズG3、第2レンズG4(所謂凸レンズ)から構成されている。次に、本実施の形態のfθレンズ50の光学データを示す。
【0098】
なお、第1レンズG3と第2レンズG4との間の空間は真空または空気が充填されているものとする。
【0099】
本実施の形態では、像面湾曲補正のための基準点は$5、リニアリティ補正のための基準点は$6で示されている。像面湾曲補正のための基準点$5は、第2レンズG4の第1面R7から距離S5を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。この距離S5は、+1.74×fで定めている。第2レンズG4は、この基準点$5を中心として、半径Y5で所定方向(図17の矢印T5方向)に回転可能とされる。
【0100】
また、リニアリティ補正のための基準点$6は、第2レンズG4の第1面R7から距離S6を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。この距離S2は、−0.03×fで定めている。第2レンズG4は、この基準点$6を中心として、半径Y6で所定方向(図17の矢印T6方向)に回転可能とされる。
【0101】
図18には、本実施の形態において第2レンズG4を基準点$5を中心として回転したときの性能変化を示し、図19には、第2レンズG4を基準点$6を中心として回転させた時の性能変化を示した。図18及び図19では、(1)は主走査方向の像面湾曲変化を示し、(2)はリニアリティ変化を示し、(3)はローカルエラー変化を示したものである。図中、実線は本実施の形態における設計値を表し、破線は第2レンズG4を回転させたときの性能を示している。
【0102】
図18から理解されるように、第2レンズG4の第1面R7から+1.74×fmm離れた光軸上の点である基準点$5を中心として第2レンズG4を回転することにより、第1実施の形態と同様に、リニアリティ及びローカルエラーが略無変化で像面湾曲だけを変化(特性を傾斜)させることができる。すなわちリニアリティを変化させずに像面湾曲のみを補正して、種々の誤差からくる像面湾曲を補正することが可能となる。
【0103】
また、図19から理解されるように、第2レンズG4を第1面R7から−0.03×fmm離れた光軸上の基準点$6を中心として回転すると逆に像面湾曲が略無変化でリニアリティやローカルエラーを変化させることができる。これによって、基準点$6を回転中心として調整すれば像面湾曲を変化させることなくリニアリティを補正することが可能である。
【0104】
〔第6実施の形態〕
第5実施の形態では、正正2枚の単レンズを組み合わせた組合せレンズにより、走査結像レンズであるfθレンズ50の第2レンズG4を回転させる場合を説明したが、第6実施の形態は、第2実施の形態と同様に、第1レンズG3を補正レンズに設定し、第1レンズG3を回転させて補正するものである。なお、本実施の形態は、上記実施の形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0105】
本実施の形態では、図20に示すように、上記構成のfθレンズ50の第1レンズG3を回転させるため、像面湾曲補正のための基準点を$7、リニアリティ補正のための基準点を$8に設定している。像面湾曲補正のための基準点$7は、第1レンズG3の第1面R5(光軸LD近傍の点)から距離S7を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。この距離S7は、−0.33fで定めている。第1レンズG3は、この基準点$7を中心として、半径Y7で所定方向(図20の矢印T7方向)に回転可能なように上記と同様の構成になっている。
【0106】
また、リニアリティ補正のための基準点$8は、第1レンズG3の第1面R5から距離S8を隔てた光軸LD上の位置に設定されている。この距離S8は、−0.76fで定めている。第1レンズG3は、この基準点$8を中心として、半径Y8で所定方向(図20の矢印T8方向)に回転可能とされている。
【0107】
図21には、本実施の形態の第1レンズG3を基準点$7を中心として回転したときの性能変化を示し、図22には、第1レンズG3を基準点$8を中心として回転したときの性能変化を示した。なお、図21及び図22の(1)は主走査方向の像面湾曲変化を示し、(2)はリニアリティ変化を示し、(3)はローカルエラー変化を示したものである。
【0108】
図21から理解されるように、第1レンズG3を基準点$7を中心として回転させることにより、リニアリティは変化せず(図21(2)参照)に像面の傾きのみ変化(図21(1)参照)させることができる。また、図22に示すように第1レンズG3を基準点$8を中心として回転させることにより像面湾曲を変化させずに(図22(1)参照)リニアリティのみを変化させる(図22(2)参照)ことが可能である。これによって、第1レンズG3を補正対象としてのレンズに設定した場合であっても最良像面の傾きとリニアリティとを独立に調整することが可能となる。
【0109】
このように、上記各実施の形態では、走査結像光学系を構成するレンズの1部を所定距離離れた位置を中心として回転するように構成したことによりリニアリティを変化させることなく最良像面を被走査面と一致させることが可能であり、被走査領域全域に渡り均一なビーム径を得ることが可能であり、高解像度で良好な画質のプリントを得ることが可能となる。
【0110】
なお、上記各実施の形態は像面湾曲補正とリニアリティ補正を同時に行う必然性はなく、カラー画像形成装置の要求目標に応じて像面湾曲補正のみ、またはリニアリティ補正のみを実施することも技術範囲に含まれる。例えば、図4の別な変形として第1レンズG1を基準点$1に相当する位置を中心として回転し、第2レンズG2を基準点$2に相当する位置を中心として回転することにより各々像面湾曲補正、リニアリティ補正を独立に調整することができる。この場合、補正機構が複数必要になるが単純な機構ですみ、調整作業が単純になる。一方、第1レズG1を基準点$2、第2レンズG2を基準点$1に相当する位置で回転調整してもよい。
【0111】
また、本実施の形態の複数の走査露光装置を用いた画像形成装置においては、基準点$2に相当する位置を中心としてレンズを回転し、最良像面を変化させることなくリニアリティを補正することで、所定の走査露光装置のfθ特性に他の走査露光装置のfθ特性を一致させることができ、色ずれのないカラープリントを得ることができる。
【0112】
なお、上記実施の形態では、多色画像形成装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レーザ走査装置等の単色の装置に用いてもよい。
【0113】
このように、本実施の形態では、単純な構成で最良像面の傾きと走査倍率左右差による画像歪みを独立して補正することができる。すなわち、走査レンズを偏向平面内で移動したときと走査レンズを回転させたときの像面傾きの変化量と走査倍率左右差の変化量が異なるという観点から、走査レンズの1部をレンズから所定距離離間した位置を中心として回転させることにより像面傾きのみまたは走査倍率差のみを独立して補正できる。また、同一レンズを2つの異なる位置を中心に回転させることにより像面傾きと走査倍率左右差を個別に調整することができる。
【0114】
また、レーザ走査装置における主に部品精度あるいは組立て誤差に起因する最良像面の傾きを良好に補正することができ、走査領域前面に渡り均一なビーム径を得ることが可能である。また、本発明は走査倍率差の変動を生じさせることがないため、複数のレーザ走査装置を用いたカラー画像形成装置に用いて好適である。
【0115】
一方、走査倍率差に起因する画像の歪みを、像面湾曲を変化させずに補正することが可能なため、均一なビーム径を保ったまま画像歪み(複数走査装置を用いたカラー画像形成装置においては色ずれ)を補正し良好なプリントを得ることが可能である。
【0116】
さらに走査結像レンズの1部を用いて像面傾きと走査倍率差の両方を自由に補正することが可能であり、調整機構を簡略化でき安価な調整機構を提供可能である。
【0117】
なお、上記の実施の形態では、光ビームとしてレーザビームを用いた場合を説明したが、LED等の光ビームを用いてもよい。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明の光走査装置の調整方法によれば、基準点を中心として、走査結像光学系を構成するレンズの一部を回転させるので、光走査装置における主に部品精度や組立て誤差に起因する製造誤差による最良像面の傾きまたは走査倍率を良好に補正することができる、という効果がある。
【0119】
また、レンズの有効範囲が走査範囲を全て含む調整範囲内で回転させるので、走査領域内で均一なビーム径を得ることができる、という効果がある。
【0120】
請求項2に記載の発明によれば、第1基準点及び第2基準点の各々を中心としてレンズを回転させることができるので、像面傾き、及び走査倍率差を独立かつ同時に補正することができる、という効果がある。
【0121】
請求項3に記載の発明によれば、調整手段により、基準点を中心として、走査結像光学系を構成するレンズの一部を回転できるので、レンズの一部を用いて像面傾きと走査倍率差の双方を自由に補正することができ、調整機構を簡略化でき安価な調整機構を提供可能である、という効果がある。
【0122】
請求項4に記載の発明によれば、fθレンズの機能を有しているので、走査速度を考慮して像面傾き、及び走査倍率差を補正することができる、という効果がある。
【0123】
請求項5に記載の発明によれば、fθレンズの走査速度の補正特性が変化しない所定範囲内に基準点を定めるので、走査倍率差の変動を生じさせることがない、という効果がある。
【0124】
また、走査倍率差の変動を生じさせることがないので、走査結像光学系を有する複数の走査装置を備えた多色画像形成装置に適用し場合であっても、色ずれを生じさせることがない、という効果がある。
【0125】
請求項6に記載の発明によれば、走査結像光学系の最良像面位置が実質的に変化しない予め定めた許容範囲内に基準点を定めるので、走査倍率差に起因する画像の歪みを、像面湾曲を変化させずに補正することができ、均一なビーム径を維持しつつ画像歪みを補正できる、という効果がある。
【0126】
請求項7に記載の発明によれば、調整手段によって、第1基準点及び第2基準点の各々を中心としてレンズを回転させることができるので、像面傾き、及び走査倍率差を独立かつ同時に補正することができるので、レンズの一部を用いて像面傾きと走査倍率差の双方を自由に補正することができ、調整機構を簡略化でき安価な調整機構を提供できる、という効果がある。
【0127】
請求項8に記載の発明によれば、光走査装置の少なくとも1つが少なくとも1つの基準点を中心としてレンズの一部を回転させる調整手段と備えているので、さらに、走査倍率差に起因する画像の歪みを、像面湾曲を変化させずに補正することができ、均一なビーム径を維持しつつ画像歪みを補正し良好なプリントを得ることができる。また、走査倍率差に起因する画像の歪みを、像面湾曲を変化させずに補正することができるため、均一なビーム径を維持しつつ色ずれを補正でき、良好なプリントを得ることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能なカラー画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1のカラー画像形成装置に含まれたレーザ走査装置の概略構成図である。
【図3】第1実施の形態にかかり、レーザ走査装置のfθレンズの位置関係を示すブロック図である。
【図4】第1実施の形態にかかり、第2レンズを異なる2点で回転させるための構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施の形態にかかり、第2レンズG2を基準点$1を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図6】第1実施の形態にかかり、第2レンズG2を基準点$2を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図7】第1実施の形態にかかり、走査結像光学系に誤差がある場合の性能変化を示す特性図である。
【図8】第1実施の形態にかかり、第2レンズを基準点$1を中心として回転して像面湾曲を補正したときの性能変化を示す特性図である。
【図9】第1実施の形態にかかり、第2レンズを基準点$2を中心として回転してリニアリティ(fθ特性)を補正したときの性能変化を示す特性図である。
【図10】第2実施の形態にかかり、第1レンズを異なる2点で回転させるための構成を示すブロック図である。
【図11】第2実施の形態にかかり、第1レンズを基準点$3を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図12】第2実施の形態にかかり、第1レンズを基準点$4を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図13】第3実施の形態にかかり、第2レンズを基準点$1を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図14】第3実施の形態にかかり、第2レンズを基準点$2を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図15】第4実施の形態にかかり、第1レンズを基準点$3を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図16】第4実施の形態にかかり、第1レンズを基準点$4を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図17】第5実施の形態にかかり、第2レンズG4の回転及び回転中心位置を示す概念イメージ図である。
【図18】第5実施の形態にかかり、第2レンズG4を基準点$5を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図19】第5実施の形態にかかり、第2レンズG4を基準点$6を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図20】第6実施の形態にかかり、第1レンズG3の回転移動及び回転中心位置を示した概念イメージ図である。
【図21】第6実施の形態にかかり、第1レンズG3を基準点$7を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図22】第6実施の形態にかかり、第1レンズG3を基準点$8を中心として回転したときの性能変化を示す特性図である。
【図23】従来の光走査装置において走査結像レンズの1部の移動を示した概念イメージ図であり、(1)は偏向面内で光軸と垂直方向の移動を示し、(2)は偏向面内の回転移動を示している。
【図24】従来の光走査装置においてレンズを偏向面内で光軸と垂直に移動させたときの性能変化を示す特性図である。
【図25】従来の光走査装置においてレンズを偏向面内で回転移動させたときの性能変化を示す特性図である。
【図26】第2レンズを回転させるための基準点の所定傾向及び許容範囲を説明するためのレンズ周辺図である。
【図27】第2レンズG2を基準点$1及び$1’で回転移動させたときのfθ特性を示す線図である。
【図28】第2レンズG2を回転移動させたときの像面湾曲の特性を示す線図である。
【図29】第1レンズを回転させるための基準点の所定傾向を説明するためのレンズ周辺図である。
【符号の説明】
10 カラー画像形成装置
18 レーザ走査装置
50 fθレンズ
G1,G3 第1レンズ
G2,G4 第2レンズ
Claims (8)
- 被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備え、光ビームを所定方向へ走査する光走査装置の調整方法であって、
前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の所定位置を像面の傾き補正の基準点または走査倍率補正の基準点と定め、像面の傾きのみまたは走査倍率のみを補正するために、該当する前記基準点を中心として、前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転することにより調整する
ことを特徴とする光走査装置の調整方法。 - 被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備え、光ビームを所定方向へ走査する光走査装置の調整方法であって、
前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の異なる2つの所定位置を第1基準点及び第2基準点と定め、像面の傾きを補正するために、前記第1基準点を中心として前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転すると共に、走査倍率を補正するために、前記第2基準点を中心として前記レンズの1部を、前記調整範囲内で回転することにより調整する
ことを特徴とする光走査装置の調整方法。 - 被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備え、光ビームを所定方向へ走査する光走査装置において、
前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の所定位置であると共に像面の傾き補正の基準点または走査倍率補正の基準点として予め定めた基準点を中心として、像面の傾きのみまたは走査倍率のみを補正するために、前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転させる調整手段
を備えたことを特徴とする光走査装置。 - 前記走査結像光学系は、光ビームを所定方向へ走査するときの走査速度を補正するためのfθレンズの機能をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
- 前記基準点は、前記fθレンズの走査速度の補正特性が変化しない予め定めた所定範囲内に定めることを特徴する請求項4に記載の光走査装置。
- 前記基準点は、前記走査結像光学系の最良像面位置が実質的に変化しない予め定めた許容範囲内に定めることを特徴する請求項4に記載の光走査装置。
- 被照射体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備え、光ビームを所定方向へ走査する光走査装置において、
前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の異なる2つの予め定めた第1基準点及び第2基準点を中心として、像面の傾きを補正するために、前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転すると共に、走査倍率を補正するために、前記第2基準点を中心として前記レンズの1部を、前記調整範囲内で回転することにより調整する調整手段
を備えたことを特徴とする光走査装置。 - 感光体、光ビームを所定方向へ主走査しかつ該光ビームを前記感光体上へ光ビームを結像させるために複数のレンズを有する走査結像光学系を備えた光走査装置及び現像器を備えた色画像形成装置を複数備えると共に、前記主走査の方向と交差する方向に副走査する副走査装置を備え、前記主走査および副走査を行って同一の記録材料上に2次元の多色画像形成を行う多色画像形成装置であって、
前記光走査装置の少なくとも1つが、
前記走査結像光学系から予め定めた所定距離隔てた位置でかつ前記走査結像光学系の光軸上の所定位置であると共に像面の傾き補正の基準点または走査倍率補正の基準点として予め定めた基準点を中心として、像面の傾きのみまたは走査倍率のみを補正するために、前記走査結像光学系を構成するレンズの1部を、該レンズの有効範囲が前記走査の範囲を全て含む調整範囲内で回転させる調整手段
を備えたことを特徴とする多色画像形成装置。
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- 1997-11-14 JP JP31389097A patent/JP3601273B2/ja not_active Expired - Fee Related
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