JP3599217B2 - 粒子加速器用ビームチューブの製造方法 - Google Patents
粒子加速器用ビームチューブの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子加速器用ビームチューブおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粒子加速器、特にシンクロトロン放射光発生装置では、荷電子(電子または陽電子)の軌道を高真空に保つため、パイプ状の真空容器をもって形成したビームチューブ(蓄積粒子軌道部分)を使用する。この種のビームチューブでは、その内部を運動する粒子から発生する高エネルギー密度の放射光によってチューブ壁面の温度が上昇する。
【0003】
このため、図3および図4に示すように、荷電子が通るチューブ本体としてのビームチャンネルaの外周に、冷却水が通る冷却穴bを有する冷却チャンネルcを併設し、その冷却チャンネルcに形成した冷却穴bに冷却水を供給循環させることにより、発生した熱を放散させる技術が知られている(特開平1−320800号公報、特開平2−56900 号公報、特開平2−267898号公報等)。
【0004】
さて、上述のビームチューブは、多くの場合、アルミニウム系材料を押出し成型加工することによって製造する。アルミニウム系材料は、押出し加工性が良好なため、ビームチャンネルaと冷却チャンネルcとの間に溶接部dのない一体構造の複雑な断面形状を有するビームチューブを一括押出し成型加工できる他、熱伝導性が比較的良好であるため、ビームチューブに発生した熱を効率よく放散できる。しかし、アルミニウム系材料は、軟らかくて機械的強度が不十分であり、特に高温下での機械的強度が著しく小さい点で問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
熱伝導性および機械的強度の両方を満足させ得る金属材料としては、銅系材料がある。銅系材料は、アルミニウム系材料と比較し、熱伝導性および機械的強度がいずれも約2倍である点で優れているが、その反面、アルミニウム系材料ほどの良好な加工性を持っていないため、ビームチャンネルaと冷却チャンネルcとを一体とした一括押出し成型加工はできない。
【0006】
もっとも、銅系材料を使用する場合でも、例えば図3および図4に示すようにビームチャンネルaを構成する銅管と冷却チャンネルcを構成する銅管とを互いに溶接し溶接部dを介して接続してビームチューブとすることは可能であるが、この場合は、銅管相互間に溶接の鑞材が介在するため、一括押出し成型加工の場合と比較して熱抵抗がどうしても大きくなる。この他、銅系材料は、溶接の際、溶接部dが軟化して機械的強度が低下する点でも問題がある。
【0007】
本発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解消し、製造が比較的容易で熱伝導性および機械的強度が優れた粒子加速器用ビームチューブおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る粒子加速器用ビームチューブは、荷電粒子が通過する銅または銅合金製のチューブ本体と、該チューブ本体の外周にその長手方向に沿って一体的に形成された突出部と、該突出部内に形成され冷却用の流体を流すための冷却穴とを備えたものである。
【0009】
この構成によれば、荷電粒子が通過するチューブ本体と冷却穴が形成される突出部とが溶接不要の一体構造となっており、それらが銅または銅合金からなっているので、製造が比較的容易で熱伝導性および機械的強度が優れた粒子加速器用ビームチューブとなる。
【0010】
かかる粒子加速器用ビームチューブは、押出成型によって銅または銅合金製の管の外周にその長手方向に沿って凸部を一体的に成形した押出材を形成し、該押出材を引抜成型して上記管を略完成品のチューブ本体の形状とすると共に上記凸部を略完成品の突出部の形状にした引抜材を形成し、該引抜材の突出部に冷却用の流体を流す冷却穴を形成して製造される。
【0011】
また、押出成型によって銅または銅合金製の管の外周にその長手方向に沿って凸部を一体的に成形した押出材を形成し、該押出材の凸部にその長手方向に沿って穴を形成し、その押出材を引抜成型して上記管をチューブ本体の形状とすると共に上記凸部を突出部の形状にし且つ上記穴を引抜穴成型して冷却用の流体を流す冷却穴に形成して製造される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に本実施形態にかかる粒子加速器用ビームチューブの製造工程を示す。まず、図1(a) および図2(a) に示すように、押出成型によって銅または銅合金製の丸管1の外周にその長手方向に沿って凸部2を一体的に成形した押出材3を形成する。凸部2は、図1(a) のように丸管1の周方向に 180度間隔で2箇所でも、図2(a) のように1箇所でもよく、3箇所以上でもよい。この押出材3は、形状が比較的簡素であるため、素材にアルミニウム系材料に比較して機械的強度が大きい銅系材料を使用しても、押出加工によって十分成型できる。
【0014】
なお、最終的に荷電粒子が通過する真空容器(チューブ本体)となる丸管1の材質には、実用材料中で熱伝導度が最も優れ、機械的強度も十分である純銅を使用することが望ましい。殊に、純度が高くて真空中のガス放出の少ない無酸素銅(酸素濃度10重量ppm 以下の純銅)は、最も適合した材料である。また、無酸素銅に、銀、ジルコニウムまたはクロムの少なくとも1種を添加した銅合金や、無酸素銅に、アルミナジルコニウム等からなるセラミック微粒子を添加した分散強化型の銅合金を使用することも可能であり、この場合は銅管の熱伝導を殆ど犠牲にすることなく、その耐熱性(例えば設計上 200℃以上の高温下での機械的強度)を大幅に向上させることができる。
【0015】
次に、図1(b) および図2(b) に示すように、上記押出材3を引抜成型して丸管1を略完成品のチューブ本体4の形状とすると共に、凸部2を略完成品の突出部5の形状にした引抜材6を形成する。チューブ本体4は、その内部に荷電粒子を通過させるための真空空間を提供するものであり、本実施形態にあっては多角形状に形成したが、使用目的に応じて楕円形や円形など様々な形状または寸法に形成してもよい。また、突出部5は、引抜材6の凸部2の配置に合わせてチューブ本体4の外周に1箇所以上形成される。上記押出材3からこの引抜材6への形状変化はそれ程大きくないため、素材に銅系材料を使用しても、引抜加工によって十分成型できる。
【0016】
次に、図1(c) および図2(c) に示すように、引抜材6の各突出部5に冷却用の流体を流す冷却穴7をそれぞれ形成して粒子加速器用ビームチューブ8となる。冷却穴7は、突出部5内にその長手方向に機械加工(深穴明加工)して形成され、図1(c) のように1箇所でも、図2(c) のように2箇所でもよく、3箇所以上でもよい。なお、冷却穴7の成形は、上述のように引抜加工後に限られず、引抜加工前(押出後または引抜途中)でも可能である。例えば図1(a) の押出材3の凸部2に穴(最終的に冷却穴7となる)を機械加工により形成しておき、図1(b) への引抜成型と同時にその穴を引抜穴成型して冷却穴7に成型すれば、長尺品が得られると共に穴精度も向上する。
【0017】
かかる工程に製造された粒子加速器用ビームチューブ8は、荷電粒子が通過する銅または銅合金製のチューブ本体4と、チューブ本体4の外周にその長手方向に沿って一体的に形成された突出部5と、突出部5内に形成され冷却用の流体を流すための冷却穴7とから構成される。
【0018】
このような構造の粒子加速器用ビームチューブ8は、その製造に際して前述のように押出しや引抜き加工の他、穴明加工を利用できるため、アルミニウム系材料に比較して機械的強度の大きい銅系材料を使用することが可能となり、材料選択の自由度や形状設計の自由度が増加する。また、この粒子加速器用ビームチューブ8は、溶接部のない一体構造であるため、溶接の鑞材による熱抵抗の増大の問題が生じないばかりでなく、機械的強度が向上してビームチューブの信頼性も向上する。また溶接費用も低減できる。
【0019】
また、銅系材料は、アルミニウム系材料に比較して約2倍の熱伝導率と約2倍の機械的強度を有するため、同一の機械的強度を維持するのに半分の肉厚でよいことになり、この結果、熱伝導(冷却能力)が総合的に4倍良好となる。さらに、実際のビームチューブでは、冷却水による水冷の他、外表面に触れる大気の空冷効果が加わるため、材質の変更による冷却能力の差は、更に拡大する。
【0020】
また、アルミニウム系材料は、放射線を透過しやすいため、加速器の運転中に発生する放射線を遮断する目的で鉛シールドを設ける必要があったが、本実施形態では、放射線のシールド効果を有する銅系材料をチューブ本体4に使用していることから、ビームチューブ自身の薄肉化と併せて装置全体の軽量化および小型化を推進することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる粒子加速器用ビームチューブによれば、銅系材料を用いた溶接部のない一体構造であるため、製造が比較的容易で低コストで製造でき、熱伝導性および機械的強度が優れているため、装置全体の小型軽量化を推進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての粒子加速器用ビームチューブの製造工程を示す図である。
【図2】本発明の別の実施形態のとして粒子加速器用ビームチューブの製造工程を示す図である。
【図3】従来例を示す粒子加速器用ビームチューブの断面図である。
【図4】別の従来例を示す粒子加速器用ビームチューブの断面図である。
【符号の説明】
1 管(丸管)
2 凸部
3 押出材
4 チューブ本体
5 突出部
6 引抜材
7 冷却穴
8 粒子加速器用ビームチューブ
Claims (3)
- 押出成型によって銅または銅合金製の管の外周にその長手方向に沿って一体的に形成された突出部を有する押出材を形成する工程と、前記突出部にその長手方向に沿って穴を形成する工程と、前記押出材を所定の断面形状に引抜成型する工程とを含むことを特徴とする粒子加速器用ビームチューブの製造方法。
- 突出部に穴を形成する工程が押出材を引抜成型する工程の後である請求項1に記載の粒子加速器用ビームチューブの製造方法。
- 突出部に穴を形成する工程が押出材を引抜成型する工程の前であり、引抜成型と同時に前記突出部の穴を成型することを特徴とする粒子加速器用ビームチューブの製造方法。
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JP27021896A JP3599217B2 (ja) | 1996-10-11 | 1996-10-11 | 粒子加速器用ビームチューブの製造方法 |
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JPH10116699A JPH10116699A (ja) | 1998-05-06 |
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JP27021896A Expired - Fee Related JP3599217B2 (ja) | 1996-10-11 | 1996-10-11 | 粒子加速器用ビームチューブの製造方法 |
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JP (1) | JP3599217B2 (ja) |
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1996
- 1996-10-11 JP JP27021896A patent/JP3599217B2/ja not_active Expired - Fee Related
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