JP3598909B2 - Synchronous motor control device, electric vehicle control device, and synchronous motor control method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は同期モータの制御装置および制御方法あるいはそれらを用いた電気車制御装置に関する。なお本発明では同期モータはリラクタンスモータをも含んでいる。
【0002】
【従来の技術】
同期モータの速度やトルクを制御するためには、磁極位置を検出あるいは推定することが必要である。検出した磁極位置に基づいて電流制御あるいは電圧制御を行うことで、同期モータのトルクや速度を制御できる。
【0003】
以前は位置検出器で上記磁極位置を検出していた。しかし近年磁極位置検出器で磁極位置を検出する方式とは異なる、磁極位置を推定して同期モータを制御する方式、すなわち磁極位置センサレス制御方式が提案されている。
【0004】
例えば、電気学会論文集Vol.117−D,No.1,1997に記載されている「速度起電力推定に基づくセンサレス突極形ブラシレスDCモータ制御」(竹下,市川他)には、モータモデルを用いて速度起電力を推定しながら、速度制御を行う方法が提案されている。
【0005】
また、特開平8−205578 号公報には、パルス幅制御(PWM制御)により同期モータに印加する電圧のベクトルとそれに対するモータ電流のベクトルのリプル成分の相関関係から同期モータの突極性を検出する方法が記載されている。
【0006】
前記論文に記載の技術は制御モデルで演算される電流と実際に流れているモータ電流の差から磁極位置を推定する方法であり、コントローラの制御演算だけで制御系を構成できる特徴がある。
【0007】
また、特開平8−205578 号公報に記載の技術は同期モータの電圧を制御する一般的なPWM信号を利用しているため、検出のための追加信号を付加する必要がないという利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
制御モデルで演算される電流と実際に流れているモータ電流の差から磁極位置を推定する方式では、何らかの原因で同期モータが脱調した場合には制御不能となってしまうという課題を解決しなければならない。
【0009】
それに対して、特開平8−205578 号公報に記載の技術は常に同期モータの磁極位置を突極性で検出できるため、制御不能状態に陥ることはない。
【0010】
しかし、同期モータの磁極位置を突極性で検出する方式では、PWM信号が変化する毎にモータ電流の状態と印加電圧の相関関係を検出する必要がある。
【0011】
つまり、搬送波の1周期に対して、少なくとも6回、モータ電流の状態を検出すること、印加電圧の状態を把握することが必要となる。このため高性能のコントローラを用いなければ演算スピードが追いつかないという問題点がある。
【0012】
本発明の第1の目的は低コストの同期モータ制御装置を提供することである。
本発明の第2の目的は信頼性の高い制御システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決手段の一つは、同期モータが短絡状態のときのモータ電流の変化量、または変化方向に基づいて前記同期モータの磁極位置を演算すなわち推定し、上記演算した磁極位置に基づいて前記同期モータを制御することである。
【0014】
他の解決手段は、発明の実施の形態の記載で説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図1により説明する。
【0016】
図1は円筒形同期モータ1をバッテリー2の直流エネルギーで駆動するモータの制御装置の構成図である。バッテリー2の直流電圧はインバータ3により3相の交流電圧に変換され、円筒形同期モータ1に印加される。インバータ3はコントローラ4の出力に基づき制御される。
【0017】
コントローラ4の出力は次のような演算の結果に基づいて決定される。ここでコントローラ4は機能ブロック図で構成されているが、これらはハードウエアで実現するのみならずソフトウエアで実現できる。以下に説明する電流微分回路12および電流検出部10、またPWM信号発生部9はコンピュータの入出力回路を一部使用する。例えば入出力回路とはアナログ・ディジタル変換機やパルス出力回路であり、これらを使用することでプログラムですべて処理できる。
【0018】
まず、電流指令値発生部6では、モータが発生すべきトルク指令値τrに対してd軸電流指令値idrやq軸電流指令値iqrを決定する。なおトルク指令値τrはコントローラ4の上位の制御装置あるいは制御プログラムから電流指令値発生部6に対して指令が出る。
【0019】
d軸は磁極位置(磁束)の方向、q軸は電気的にd軸に直交する方向を示しており、d−q軸座標系を構成する。磁石を有する回転子が回転すると、d−q軸座標系も回転するので、静止座標系(α−β軸座標系)からの位相をθとする。つまり、本実施例は磁極の位相θ(以下、磁極位置θとよぶことにする。)を電流から検出することが目的である。
【0020】
図17に座標系及び電流の関係の一例を示すベクトル図を示す。d軸電流とq軸電流を指令値どおりに制御できれば、同期モータ1はトルク指令値τrと一致したトルクを発生することができる。なお、トルク指令値τrは直接その値を指示される場合も、図示していない速度制御演算回路から指令される場合もある。また、電流センサ5a,5bからu相電流iu,v相電流ivの値を示す信号が電流検出部10に送られ、この電流検出部10において後述する検出用パルスP1のタイミングにより検出される。検出された電流値はそれぞれ座標変換部11でd−q軸座標系のd軸電流id,q軸電流iqに変換される。
【0021】
この実施例では、電流検出部10で検出する電流はU相とV相の2つの相電流iu,ivであるが、W相電流iwはiu,ivから求めることができるので、W相電流iwの検出を省略している。当然、3相電流をすべて検出するものでも良い。
【0022】
電流制御部7では、d軸電流指令値idrとd軸電流idのd軸電流偏差,q軸電流指令値iqrとq軸電流iqのq軸電流偏差を演算し、それぞれの電流偏差に対して比例・積分制御演算によってd軸電圧指令値Vdr,q軸電圧指令値Vqrを得る。
【0023】
d軸電圧指令値Vdr,q軸電圧指令値Vqrを入力する座標変換部8では、磁極位置θにより静止座標系の3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを演算し、PWM信号発生部9に出力している。
【0024】
PWM信号発生部9における演算により、3相のPWMパルスPup,Pvp,Pwp,Pun,Pvn,Pwnをインバータ3に出力する。
【0025】
インバータ3の結線方法とPWMパルスの関係を図2に示す。例えば、Pupがhighの場合にはスイッチング素子Supがオン、Pupがlow の場合にはスイッチング素子Supがオフとなる。
【0026】
また、PWMパルスPupとPunは基本的にはhigh,low が反対する関係にある。ただし、電源短絡を防止するために、PWMパルスが反転するとき、どちらもlow 状態とする短絡防止期間を設けている。
【0027】
PWM信号発生部9の処理内容を図3に示すタイミングチャートで説明する。三角波状の搬送波に対して、各相の電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの波形を比較することにより、3相のPWMパルスPup,Pvp,Pwpを得ることができる。なお、上述した短絡防止期間については、説明を簡単にするために省略している。
【0028】
つまり、図3において、PWMパルスPup,Pvp,Pwpがhighの場合には図2の上アームのスイッチング素子Sup,Svp,Swpがそれぞれオン状態、下アームのスイッチング素子Sun,Svn,Swnがそれぞれオフ状態となる。PWMパルスPup,Pvp,Pwpがlow の場合にはスイッチング素子Sun,Svn,Swnがそれぞれオン状態、スイッチング素子Sup,Svp,Swpがそれぞれオフ状態となる。
【0029】
図3からわかるように、各相の電圧指令値が搬送波の最小値と最大値を含む所定の範囲内のときには、上アーム、あるいは、下アームが3相短絡状態になっている期間がある。ここで、検出用パルスP1を搬送波の最大値、及び、最小値のときに発生するように処理を行うと、同期モータが3相短絡状態になっているときに検出用パルスP1が発生することになる。
【0030】
なお、電流検出部10において、パルスP1が発生するときに各相の電流を検出すると、その電流の瞬時値はほぼその相の電流の平均値になることが知られている。なお同期モータの相巻線が短絡状態は図3に示す搬送波の最小値と最大値の瞬間だけでなくこれを含む所定の範囲である。この所定の範囲とはPWMパルスPup,Pvp,Pwpの内の幅が最も狭いパルスの範囲、および最も広いパルスの隣パルスとの間の時間である。時刻t1ではPvpのパルス幅の範囲、時刻t2ではPupと次のPupとの間、時刻t3ではPvpのパルス幅の範囲、時刻t4ではPupと次のPupとの間、時刻t5ではPwpのパルス幅の範囲、時刻t6ではPupと次のPupとの間である。また上記t1からt5は上記搬送波の最小値と最大値の瞬間を示す。上記の如く各最小値と最大値の瞬間を含む所定の期間、相巻線の短絡状態が生じ、これが繰り返される。相巻線の短絡状態での巻線の電流を取り込むため、パルスP1が作られる。このパルスP1は上記所定の期間内に発生すれば良い。この実施例の如く搬送波の最小値と最大値で発生させる方法は、パルスを作り易い、あるいは短絡状態の略中央であり誤動作の可能性が少ないなどの利点がある。
【0031】
次に、図1の実施例の特徴を説明する。
【0032】
電流微分回路12にはU相電流iuやV相電流ivを表わす信号が入力され、それら電流値の微分(あるいは疑似微分)値を表わす信号である電流微分値piuやpivが出力される。
【0033】
それらの値piuやpivは検出部13に入力され、検出用パルスP1が発生するときに保持されて出力される。すなわちパルスP1のタイミングで電流微分値piuやpivが検出される。つまり演算部14に取り込まれる。
【0034】
演算部14は磁極位置を演算する磁極位置演算部14で、図4に示したフローチャートの処理を行うことで、磁極位置θを算出している。
【0035】
まず、ステップ101において、3相短絡時の電流微分値piu,pivを入力として演算部14に取り込む。
【0036】
ステップ102では、3相短絡時の電流微分ベクトルpisの位相γを求める演算を行う。
【0037】
図17に電流微分ベクトルpisの位相関係を示している。3相短絡時の電流微分値piu,pivから、α軸電流微分値piα,β軸電流微分値piβを求めることができる。
【0038】
U相軸がα軸と一致している場合には、次式で得られる。
【0039】
【数1】
piα=(√3/2)piu …(1)
【0040】
【数2】
piβ=(1/√2)(piu−2piv) …(2)
次に、図17の関係を用いて、piα,piβから位相γを演算する。
【0041】
ステップ103では、磁極位置θを次式により求める。
【0042】
【数3】
θ=γ+π/2 …(3)
磁極位置θと3相短絡電流の位相γの関係が近似的に式(3)で表されることを新たに見い出した点が、本実施例の特徴である。その理由を以下に説明する。同期モータの基本式はd−q軸座標系では次の式で表すことができる。ここで、p=d/dtである。また、ωはモータの回転速度である。
【0043】
【数4】
Vd=(R+pLd)id−ωLq iq …(4)
【0044】
【数5】
Vq=(R+pLq)iq+ω(Ld id+Φ) …(5)
同期モータを3相短絡状態にすると、同期モータの印加電圧はVd=Vq=0となるので、3相短絡状態の方程式は次のようになる。
【0045】
【数6】
pid=(ωLq iq−R id)/Ld …(6)
【0046】
【数7】
piq=−{ω(Ld id+Φ)+R iq}/Lq …(7)
静止座標系のα−β軸座標系における電流微分ベクトルはd−q軸座標系の電流微分ベクトルとd−q軸座標系が速度ωで回転することにより発生する電流微分ベクトルとの和である。そのため、α−β軸座標系で見たd軸電流微分値pids,q軸電流微分値piqsはそれぞれ
【0047】
【数8】
pids={ω(Lq−Ld)iq−R id}/Ld …(8)
【0048】
【数9】
piqs=−{ω(Ld−Lq)id+Φ)+R iq}/Lq …(9)
となる。従って、d軸、つまり、磁極位置θに対して、3相短絡電流微分ベクトルの位相δは次式で得られる。
【0049】
【数10】
tan(δ)≡piqs/pids
=−Ld[ω{(Ld−Lq)id+Φ}+R iq]
/[Lq{ω(Lq−Ld)iq− R id}] …(10)
本実施例の場合、円筒形同期モータなので、Ld=Lqという条件が与えられるので、
【0050】
【数11】
tan(δ)=Ld(ωΦ+R iq)/(Lq R id) …(11)
となる。ここで、id<0であれば、位相δは次式で近似される。
【0051】
【数12】
δ≒−π/2 …(12)
このため、ステップ103の演算内容は式(3)となる。
【0052】
モータ速度ωが低いときには、式(12)の誤差が大きくなるため、式(11)により漸近的に求めることもできる。この手法は後述する他の実施例で説明する。
【0053】
このように、図1の演算部14では、簡単な演算により磁極位置θを求めることができる。この磁極位置θを用いて、座標変換部8,11の座標変換を行えば、モータが要求されているトルク指令値どおりのトルクを発生するように制御することができる。
【0054】
従って、本実施例を用いると、円筒形同期モータに対して、レゾルバやエンコーダなどの機械的な回転位置を直接計測するような磁極位置センサを用いることなく、電流センサだけで比較的容易な演算により磁極位置を検出できる特徴を持っている。このため制御装置が安価である。
【0055】
また同期モータが何らかの理由により脱調した場合にも磁極位置を検出できるので、無制御状態に陥ることはない。
【0056】
しかも、通常のPWM制御を行いながら、そのPWM制御を実施するときに得られる情報だけでセンサレス制御システムを構成できるので、検出用付加信号を加えて磁極位置を検出する方法よりも騒音やトルク脈動が少なくできる特徴を持っている。
【0057】
図5は他の実施の形態、すなわち電流微分回路を用いないで磁極位置を検出することができる円筒形同期モータのための制御装置である。この実施例も図1と同じく、電気回路のみならずプログラムでも実現できる。
【0058】
図1に示す実施の形態と異なる主な点は電流微分回路12を用いないこと、検出用パルスP2により電流検出のタイミングを変えたこと、演算部15の処理内容が図1の演算部14と異なることである。この実施例は、3相短絡電流を直接検出しない点が重要である。
【0059】
まず、電流検出部10の検出のタイミングを制御する検出用パルスP2について図6を用いて説明する。図6は図3のPWM信号と同じ状態を示したものであるが、図3の検出用パルスP1に対して、図6の検出用パルスP2は次の点が異なる。
【0060】
図2に示す180度通電形3相インバータの各相は通常、上アームのスイッチング素子、あるいは、下アームのスイッチング素子のいずれか一方がオン状態,他方がオフ状態になっている。そのため、3相のうち、少なくとも2つの相は常に短絡状態になっている。
【0061】
図6はその区間を示している。例えば、時刻t(n−2)から時刻t(n−1)までの区間はV相とW相の下アームのスイッチング素子Svn,Swnがオン状態となって、同期モータ1のV相とW相を短絡状態としている。
【0062】
また、時刻t(n−1)から時刻t(n)までの区間はU相とV相の上アームが短絡状態になっていることを示している。
【0063】
このように、180度通電形のインバータにおいては、搬送波1周期の間に2つのモードの2相短絡状態が存在する。
【0064】
図6に示すように、検出用パルスP2はこの2相短絡状態のモードが切り替わるときに発生する。
【0065】
PWM信号発生部9において、3つの相電圧指令値のうち、2番目に大きな値、つまり中間の値(継続時間すなわちパルス幅)を持つ電圧指令値の相が発生するPWM信号の変化に同期して検出用パルスP2を生成する処理を行う。
【0066】
電流検出部10では、検出用パルスP2が発生する毎に電流センサ5aと5bが出力する2相の電流値、例えばU相電流iuとV相電流ivの値を示す信号iuとivを取り込む。
【0067】
このタイミングで得られたU相,V相電流を電流検出部10から演算部15に入力し、演算部15では図7に示すような処理を行っている。ここで演算で選られたU相電流の平均値iuaとV相電流の平均値ivaは演算部15から座標変換部11に入力される。また演算された磁極位置θは座標変換部8と11に演算部15からそれぞれ入力される。図5の座標変換部8と11は図1のそれらと同じ動作を行っている。
【0068】
演算部15で行う処理内容を示した図7のフローチャートについて説明する。ステップ111で検出用パルスP2に基づいて電流センサ5aと5bから電流検出部10に入力した時刻t(n)のU相電流iu(n)とV相電流iv(n)を用いて、U相平均値iua(n),V相電流平均値iva(n)をステップ112で算出する。時刻t(n−1)のU相電流iu(n−1)と時刻t(n)のU相電流 iu(n)の平均を計算すれば、図3の時刻t5のU相電流iuとほぼ同じ値になる。検出用パルスP1が発生するときのU相電流がほぼその平均値であるので、ステップ112の処理を行っている。
【0069】
次のステップ113では、時刻t(n−1)と時刻t(n)の各相の電流の差分値すなわち微分値を計算する。
【0070】
ステップ114は時刻t(n−1)から時刻t(n)までの区間においてどの相が2相短絡状態にあるかの2相短絡モードMscを判断する。この場合、図6から上アームのU相とV相であることがわかるが、これをステップ114で判断し、2相短絡モードMsc(n)は「U−V相短絡」とする。なお、前回の時刻 t(n−2)から時刻t(n−1)までの区間の2相短絡モードMsc(n−1)は「V−W相短絡」である。
【0071】
ステップ115においては、図8の表に示す演算式を用いて短絡電流差分値演算を行い、短絡軸の短絡電流差分値piscを求める。
【0072】
短絡軸の短絡電流差分値piscについて説明する。図18において、短絡軸とは、V−W相短絡のときのβ軸,W−U相短絡のときのβ′軸,U−V相短絡のときのβ″軸のことをそれぞれいう。
【0073】
例えば、3相電圧をα−β軸座標系(α軸をU相軸と一致させる)に変換するとき、β軸電圧Vβは次式で表される。
【0074】
【数13】
Vβ=(Vv−Vw)/(√2) …(13)
ここで、V−W相短絡状態であれば、Vv=Vwなので、Vβ=0となる。つまり、β軸が短絡状態であるといえるので、この軸を短絡軸と称する。同様に、W−U相短絡のとき、β軸から120度回転したβ′軸が、U−V相短絡のとき、β軸から240度回転したβ″軸がそれぞれ短絡軸となるわけである。
【0075】
円筒形同期モータの場合、この短絡軸の短絡電流差分値piscは3相短絡電流微分ベクトルpisの短絡軸成分と一致する。このベクトル図の関係を図18に示している。
【0076】
なぜ、図18のベクトル図が成り立つかについて式(4)および式(5)を展開することで説明する。
【0077】
α軸電流微分値piα,β軸電流微分値piβは式(4),(5)から次式となる。
【0078】
【数14】
【0079】
【数15】
ただし、L0=(Ld+Lq)/2,L1=(Ld−Lq)/2,k1(θ),k2(θ),k3(θ),k4(θ),k5(θ),k6(θ)はそれぞれθに関する関数となっている。
【0080】
円筒形同期モータの場合には、L1=0なので、β軸電流微分値piβはα軸電圧Vαには影響しないことがわかる。
【0081】
V−W相短絡状態のとき、α軸電圧VαだけがU相電圧Vuの状態により印加されていることになるが、β軸電流微分値piβはVα=0のときと変わらない。しかも、V−W相短絡状態なので、Vβ=0となっているので、3相短絡状態のときのβ軸電流微分値piβと一致することを意味している。以上のことから、図18が成り立つことがわかる。
【0082】
また、W−U相短絡のときも同様に、β′軸電流微分値piβ′は3相短絡電流微分ベクトルpisのβ′軸成分と同じになる。従って、2相短絡状態の短絡軸の電流微分値(差分値)を検出すると、3相短絡電流微分ベクトルの位相γを図18のベクトル図を計算することにより算出することができる。
【0083】
今回の2相短絡モードMsc(n)と前回の2相短絡モードMsc(n−1)から、3相短絡電流微分ベクトルの位相γを求める場合、その短絡モードの組合わせにより、演算方法が異なる。
【0084】
そのため、ステップ116では、図8のようなモードに分けた演算式を用いて3相短絡電流微分ベクトルの位相γを求めている。
【0085】
ステップ117については、図4のステップ103と同様にして磁極位置θを得ることができる。
【0086】
以上のように、本実施例を用いれば、比較的継続時間の長い2相短絡状態の電流の変化量すなわち差分値から3相短絡状態の電流微分ベクトルの方向を決定すなわち演算できるので、高精度の磁極位置検出を少ない電流の取り込みにより得られる効果がある。
【0087】
また、この実施例の方式は微分回路を用いないので、ノイズに強く、比較的安価なコントローラで実現できる有利点も持っている。
【0088】
図9の実施例は突極形同期モータ16に本発明を適用したときの制御装置の構成図である。コントローラ4は先の実施例と同じく電気回路でもまたソフトウエアででも実現できる。図1の実施例に対して、図9の実施例は2相スイッチング演算部18を用いること、PWM信号発生部9からの検出用パルスP3とP4を使用すること,演算部17の処理方法が異なる。
【0089】
2相スイッチング演算部18の処理内容について、図10のタイムチャートを用いて説明する。
【0090】
2相スイッチングとは3相のPWM信号のうち、1相のスイッチングを停止しながら3相スイッチングと同じ正弦波電流を流す手法をいう。
【0091】
図10において例えばU相のスイッチングを停止しながら3相スイッチングと同じ正弦波電流を流す手法を説明する。U相以外のV相またはW相も同じ考え方でスイッチングを停止する相とすることができる。U相電圧指令値Vurを常に搬送波の最大値と同じ値になるように付加電圧V0を強制的に加算している。これにより、U相PWM信号Pupは常にhigh状態になるので、スイッチング素子Supがオン状態となっている。
【0092】
V相電圧指令値Vvr,W相電圧指令値Vwrには、通常の指令値に付加電圧V0をそれぞれ加算した値を演算し、それによりPWM信号Pvp,Pwpを発生している。
【0093】
すべての相に同一の電圧を加算しても線間電圧には影響しないので、同期モータ16を流れる電流は付加電圧V0を加えないときの電流と同じになる。これが2相スイッチングであり、よく知られている方法である。この方法を用いると、図10に示す1回あたりの3相短絡状態は図3の場合よりも長く継続していることがわかる。
【0094】
PWM信号発生部9から発生する検出用パルスP3,P4も図10に示す。
【0095】
検出用パルスP3は搬送波の最大値に同期して発生するようになっており、図9の電流検出部10で各相の電流平均値iua,ivaを得るために用いている。
【0096】
また、電流検出用パルスP4は延長された3相短絡状態の開始時と終了時に発生するようになっている。図9の電流検出部27では、電流検出用パルスP4によりU相電流iu,V相電流ivを入力している。
【0097】
これらの電流値は演算部17に入力され、図11のフローチャートに示す処理を行って磁極位置θを演算する。
【0098】
図11の処理方法は次のようにして行われる。ステップ121において、3相短絡状態の開始時刻t(n−1)のU相電流iu(n−1),V相電流iv(n−1)と、終了時刻t(n)のU相電流iu(n),V相電流iv(n)を用いて、各相の電流差分値piu,piv,piwを演算する。その処理方法は図7のステップ113と同じである。
【0099】
次のステップ122では、電流差分値piu,piv,piwを用いて、3相短絡電流の微分ベクトルの位相γを演算する。この処理は図4のステップ102と同様である。
【0100】
以下の手法では、コントローラ4内でその時点で制御に用いている磁極位置をθ′、同期モータ16の実際の磁極位置をθとする。また、コントローラ4内の磁極位置θ′により演算されたd軸電流,q軸電流をid′,iq′、同期モータ16の実際のd軸電流,q軸電流をそれぞれid,iqとして説明する。
【0101】
ステップ123では、磁極位置θ′と電流検出部10から入力した電流平均値iua,ivaを用いて、d軸電流id′,q軸電流iq′を算出する。
【0102】
ステップ124では、id,iqの代わりに、id′,iq′を用いて、式 (10)の演算を行い、磁極位置(d軸)から3相短絡電流微分ベクトルまでの位相δを求める。
【0103】
モータ速度ωが所定値以上の場合には次の近似式により求めてもよい。
【0104】
【数16】
tan(δ)≒−Ld{(Ld−Lq)id+Φ}/{Lq(Lq−Ld)iq}…(16)
ステップ125では、ステップ122で得られた位相γを用いて、磁極位置θを次式で求める。
【0105】
【数17】
θ=γ−δ …(17)
この関係は図17のベクトル図に示している。
【0106】
ステップ126では、ステップ125で求めた磁極位置θがステップ123のid′,iq′を求めるときの磁極位置θ′とほぼ一致しているかを判断する。一致していない場合には、再びステップ123からステップ125までの処理を行い、磁極位置θを算出する。
【0107】
実際の磁極位置θとコントローラ内の磁極位置θ′とが異なると、id′,iq′がid,iqと一致しないため、位相δには誤差が生じる。しかし、その誤差はステップ123からステップ125までの処理を行う毎に減少していき、コントローラ内の磁極位置θ′は真の磁極位置θに収束する。これをステップ126で判断し、ほぼ磁極位置θの演算が収束したとき、演算を終了する。
【0108】
また、この演算は2,3回で数度以内に収束することが見込まれるため、収束の判断を磁極位置θの演算結果でなく、演算回数で例えば2回の演算で終了するようにしてもよい。
【0109】
さらに、磁極位置を検出するサンプリング時間とモータ速度との関係によっては、ステップ126を省略して、数回のサンプリングで磁極位置を検出する方法を採用することもできる。
【0110】
このように、突極形同期モータの磁極位置を検出する場合には、誤差を含んだd軸電流id′,q軸電流iq′を用いて演算する必要があるが、これを収束できるようにしたアルゴリズムを設けた点に本実施例の特徴がある。そのため、3相短絡状態の電流の変化を利用して突極形同期モータのセンサレス制御システムを構築できる利点がある。
【0111】
本システムでは、2相スイッチング方式のように3相短絡時間を延長する方式を併用することにより、3相短絡期間における電流の変化幅を大きくできる。そのため、微分回路を用いることなく、3相短絡電流微分ベクトルを直接計測でき、ノイズに強い磁極位置検出方式を簡単なソフトウエア処理により実現できる。図12は2相短絡状態から磁極位置を検出する突極形同期モータの実施例で、電気自動車に適用するための高信頼化システムの構成を示している。この実施例でコントローラ4は電気回路ばかりでなくソフトウエアによっても実現できる。先の実施例と同様、コントローラ4の各ブロックはソフトウエアの処理機能を表わしている。
【0112】
図5の円筒形同期モータの場合と比べて、図12の異なる点は、演算部20の処理内容が異なる点、突極形同期モータ16で電気自動車のタイヤ24,25を駆動する機構になっている点、電気自動車の信頼性を向上する目的でモータ16の磁極位置を機械的に直接に検出する磁極位置センサ23を備えている点である。
【0113】
まず、演算部20の処理内容を説明する。この処理内容のフローチャートを図13に示す。
【0114】
ステップ131からステップ134までの処理は図7のステップ111からステップ114までの処理と同じである。
【0115】
ステップ135の突極性補正位相εは同期モータ16の突極性の影響を考慮するために必要な補正量である。
【0116】
式(15)で示したように、突極形同期モータ16の場合、L1≠0なので、β軸電流微分値piβはα軸電圧Vαにより変化する。そのため、3相短絡電流微分ベクトルのβ軸成分とは異なる値になる。
【0117】
図19はα軸電圧Vαにより発生するα軸電流微分値piα1,β軸電流微分値piβ1、及び、その合成である電流微分ベクトルpi1を示している。
【0118】
電流微分ベクトルpi1と一致した方向の軸をx軸、それに直交する軸をy軸とすると、電流微分ベクトルpi1のy軸成分はα軸電圧Vαによらず常に0であることがわかる。そのため、pi1のy軸成分は3相短絡電流微分ベクトル
pisのy軸成分と一致する。これを突極性補正位相εとよぶ。
【0119】
そこで、突極形同期モータの場合、β軸でなく、突極性補正位相εだけ進んだy軸の電流微分値(差分値)を検出する。
【0120】
実際には3つの2相短絡状態があるので、V−W相短絡,W−U相短絡,U−V相短絡の場合の突極性補正位相をそれぞれε1,ε2,ε3とし、その方向の軸をy′軸,y″軸とする。
【0121】
突極性補正位相ε1,ε2,ε3は式(14)および式(15)からそれぞれ次式となる。
【0122】
【数18】
tan(ε1)=−(L1sin2θ)/(L0−L1cos2θ) …(18)
【0123】
【数19】
【0124】
【数20】
以上のことから、ステップ135では、2相短絡状態に応じて式(18),式(19)、および式(20)のいずれかの演算を行い、突極性補正位相を求めている。
【0125】
これらの演算で用いる磁極位置θはコントローラ4での値であり、誤差を含んでいるが、図11のように収束させながら正確な磁極位置を求めていくこともできる。
【0126】
ステップ136においては、電流差分値piu(n),piv(n)から図13の表を用いて補正した短絡軸(y軸,y′軸,y″軸のいずれか)の短絡電流差分値演算を行い、短絡軸の短絡電流差分値piscを算出する。
【0127】
短絡軸とは既に説明したように、α軸電圧により電流微分値(差分値)に影響を受けない方向の軸をいう。
【0128】
次のステップ137では、図14に示したように、今回と前回の2相短絡状態により計算するモードを変更し、図14の演算式を用いて3相短絡電流微分ベクトルの位相γを得る。
【0129】
このときのベクトル図の一例を図20に示すが、この関係を図14の演算式により求めていることになる。
【0130】
ステップ138からステップ140までの処理は図11のステップ123からステップ125までの処理と同じで、突極形同期モータ16における磁極位置から電流微分ベクトルまでの位相を考慮したものである。
【0131】
以上のように、演算部20を用いれば、突極形同期モータ16に対しても、2相短絡状態の電流を検出するだけで磁極位置を検出することができる。
【0132】
図12の電気自動車駆動システムでは、磁極位置センサ23からの信号を磁極位置検出部21に入力して、磁極位置θ1を検出している。
【0133】
磁極位置異常検出部22では、磁極位置検出部21からの磁極位置θ1と演算部20からの磁極位置θを入力し、図15に示す処理を行っている。
【0134】
ステップ141で入力した磁極位置θとθ1を比較し、その差が予め決められた正常範囲内にあるかをステップ142で判断する。
【0135】
正常と判断した場合には、ステップ143で磁極位置θ1を出力用磁極位置θ2にストアし、ステップ144でθ2を座標変換部8,11に出力している。ステップ142において、2つの磁極位置を比較して正常範囲にないと判断したときには、ステップ145で電気自動車を一旦停止する処理を行う。
【0136】
ステップ146は同期モータ16の回転が停止したか否かを判断する。停止したと判断した場合に、ステップ147で正常な磁極位置を用いて安全速度内で走行が行えるように処理する。安全速度内で走行とは自動車の車速の上限を時速40kmあるいは50kmに制限し、この速度以下で走行するように図示しない制御装置で制御し、この制御のもとで走行することである。
【0137】
このように、本実施例を用いれば、通常の磁極位置センサ23を設けることで、磁極位置センサ23の出力に基づき磁極位置を求めると共にこれとは別にモータ電流から演算処理により磁極位置を求めているので、信頼性の高い電気自動車を提供できる効果がある。
【0138】
特に、リラクタンストルクを用いてモータの小型化,電気自動車の軽量化を図るためには、本実施例は適している。
【0139】
図16は電流センサだけで磁極位置を検出し、しかも、その特性に異常がないかを自己診断する機能を有した磁極位置センサレスの制御システムの実施例を示す。
【0140】
図12の実施例に対して、自己診断部26を設けた点が図16の実施例の特徴である。
【0141】
演算部20では、図13の処理に加え、モータ速度ωを検出するための演算を行う。
【0142】
前述した実施例では、電流微分ベクトルについては、その位相γを検出することで磁極位置θを得る方式であるため、電流微分ベクトルの大きさに関する情報を無視している。
【0143】
そこで、式(6),式(7)から逆にモータ速度ωを求めることにする。つまり、
【0144】
【数21】
ω=(Ld pid+R id)/Lq iq …(21)
【0145】
【数22】
ω=−(Lqpiq+R iq)/(Ld id+Φ) …(22)
の一方、あるいは、両方の式を用いて、モータ速度ωを演算する。
【0146】
なお、式(21),式(22)において、抵抗Rを無視する簡易式を用いてもよい。このモータ速度ωを自己診断部26に出力する。
【0147】
また、図13のステップ140で得られた磁極位置θも自己診断部26に出力する。
【0148】
自己診断部26では、磁極位置θの変化状態とモータ速度ωを比較することにより、何らかの異常がないか否かを判断する。
【0149】
もし、異常があると判断した場合には、異常診断信号Seを出力し、センサレス制御システムを停止するようにシステム的な処理を行う。
【0150】
このように電流微分ベクトルの独立した変数を複数用いてモータ速度を推定することで、他のセンサを用いることなく、自己診断機能を持たせることができる。
【0151】
以上が、電流センサだけを用いて同期モータの磁極位置を検出する実施例である。
【0152】
同期モータの他に、リラクタンスモータでも突極性を利用して本発明を適用することができる。
【0153】
また、本実施例では、説明が複雑になるために省略したが、モータの回転子がサンプリング時間中に回転することによる影響を考慮して磁極位置を演算するようにしても、本実施例を適用できることはいうまでもない。
【0154】
ここでは電気自動車の例を述べたが、現在120度通電方式のインバータ制御を用いてセンサレス制御している磁石モータに対しても、本実施例を用いることにより、180度通電方式のインバータ制御によりトルク脈動と低騒音のセンサレスシステムを提供できる。
【0155】
図1から図20を用いて説明した実施の形態は、モータ1が所定回転速度以上で回転している状態での制御に最適である。ここで所定回転速度以上とは例えば800回転/分以上である。モータが停止状態を含む低速状態では後で説明する理由で磁極位置の検知を更に高精度に行う必要性がある場合が考えられる。モータの停止状態を含む低速状態の磁極位置を高精度に行える実施例を図21を用いて説明する。図1と図21との大きな相違点は、停止状態を含むモータの低速回転時の磁極位置を検知する演算部52を設けたことである。なおコントローラ4は他の実施例と同様、電気回路ばかりでなくソフトウエアによっても実現できる。ソフトウエアで実現する場合、コントローラ4の各ブロックはソフトウエアの処理機能を表わしている。
【0156】
演算部14で磁極位置を検出する処理は図1で説明した通りである。また電流指令値発生部6や電流制御部7,座標変換部8,PWM信号発生部9,電流検出部10,座標変換部11,インバータ3の動作は図1と基本的に同じである。上で同期モータが3相短絡状態のときのモータ電流の変化量、または、変化方向に基づいてモータの磁極位置を演算する処理方法について説明したが再度説明する。
【0157】
この磁極位置の演算方法では、インバータからの印加電圧の影響を受けない3相短絡状態でのモータ電流の変化量または変化方向に基づいて演算し、磁極位置を求める。上記3相短絡状態でのモータ電流の変化量または変化方向を検出するため、図3で説明の通り、この3相短絡状態でタイミングを制御するためにパルスP1を発生する。その代表例として図3に示す搬送波の最高値あるいは最低値あるいはその両方でパルスP1を発生し、このパルスP1に同期して電流値あるいは電流値の微分値を検出する。すなわちPWM信号発生部9でパルスP1発生し、パルスP1をモータの3相短絡状態を表わす信号とし、このパルスP1をトリガとしてモータ電流の変化量を検出する。このときに検出される3相短絡時のモータ電流変化量のベクトル、すなわち、微分ベクトルの関係は先に説明した図17の通りである。
【0158】
図17において、検出すべき磁極位置は静止座標α軸と回転座標d軸との間の位相θであり、先の式(17)で表すことができる。
【0159】
【数17】
θ=γ−δ …(17)
ここで、γは3相短絡時のモータ電流微分ベクトルpIsのα軸に対する位相であり、δはモータ電流微分ベクトルpIsのd軸に対する位相である。上記位相γについては、まず、図1に示す電流微分回路12においてモータ電流iuとivを微分し、さらに電流微分値検出部13において、モータ短絡状態の検出用パルスP1に同期して短絡時のモータ電流の微分値piu,pivを取り込む。さらに、この短絡時のモータ電流の微分値piu,pivを式(1)と式(2)に従いα−β軸の電流微分値piαとpiβを算出し、式(23)に基づき位相γを算出する。
【0160】
【数1】
piα=(√3/2)piu …(1)
【0161】
【数2】
piβ=(1/√2)(piu+2piv) …(2)
【0162】
【数23】
γ=tan−1(piβ/piα) …(23)
なお、ここではpiα,piβを求めるのにpiu,pivの2相分を用いているが、piu,piv,piwの3相電流の微分値を用いても演算可能である。さらに、3相短絡時の電流微分値を演算するために微分回路を用いているが、微分回路の構成が不可能な場合には電流微分値の代わりに3相短絡区間での電流変化量を演算し、電流変化量を短絡時間で割ることによって求められる電流変化率を用いても実現可能である。加えて、短絡区間が非常に短く、3相短絡区間の電流変化率の演算が不可能な場合には、3相短絡区間より確実に短絡区間が長い2相短絡区間を用いても3相短絡区間の電流変化率を演算することは可能である。詳細は上で述べた通りである。
【0163】
以上のようにして、3相短絡時のモータ電流微分ベクトルpIsのα軸に対する位相γは求められる。次にモータ電流微分ベクトルpIsのd軸に対する位相δは以下のようにして求める。まず、回転座標d−q軸での同期モータの基本式は次の式で表すことができる。なおこれらの式は先に説明の通りである。
【0164】
【数4】
Vd=(R+pLd)id−ωLq iq …(4)
【0165】
【数5】
Vq=(R+pLq)iq+ω(Ld id+Φ) …(5)
ここで、Vd,Vqはd−q軸電圧、Ld,Lqはd−q軸のインダクタンス、Rは巻線抵抗、ωはモータ角速度、φは界磁主磁束、pはd/dtである。上記基本式において、3相短絡時はd−q軸での印加電圧は0となるので、3相短絡状態での基本式は以下のようになる。
【0166】
【数6】
pid=(ωLq iq−R id)/Ld …(6)
【0167】
【数7】
piq=−{ω(Ld id+Φ)+R iq}/Lq …(7)
静止座標α−β軸における電流微分ベクトルは、式(6)と式(7)で表される回転座標d−q軸の電流微分ベクトルとd−q軸がモータ角速度ωで回転することにより発生する電流微分ベクトルの和で表される。よって、α−β軸で見たd−q軸の電流微分値は以下のようになる。
【0168】
【数8】
pids={ω(Lq−Ld)iq−R id}/Ld …(8)
【0169】
【数9】
piqs=−{ω(Ld−Lq)id+Φ)+R iq}/Lq …(9)
従って、モータ電流微分ベクトルpIs のd軸に対する位相δは式(24)で表される。
【0170】
【数24】
よって、上記式(17)と式(23)と式(24)により磁極位置を求めることができる。ここで、式(24)に含まれるωは位相推定値の変化量より求められる角速度の推定値を用いることになる。また、角速度が十分大きく、R成分を無視できる領域であればωの影響はなくなる。
【0171】
以上が同期モータ3相短絡時のモータ電流の変化量、または、変化方向に基づいて同期モータの磁極位置を検出する位置検出方式の概要である。この方式は突極型の同期モータのみならず、円筒型の同期モータにも適用可能である。
【0172】
上記位置検出方式では、通常のPWM動作時に発生するモータ短絡状態の電流変化量を用いるため、特別な推定信号を印加することなく高速領域まで磁極位置の推定が可能となる。
【0173】
しかし、以下の動作範囲においては、この検出方式だけでは位置検出精度が低下する可能性がある。図22にその動作範囲を示す。速度が零すなわちモータ1が回転を停止している状態はモータ1のトルクも零である。モータの回転停止状態例えばモータを起動しようとする状態ではモータ電流がまだ流れていないために、PWM制御を行おうとしても短絡時の電流の変化量を検出することができない。さらに起動後であっても回転速度が低くトルクの小さいときは電流値が小さく、上記測定が難しい。磁極位置の検出精度が低下する。さらには速度ゼロ付近で電流が流れている領域においては、短絡時の電流の変化量により磁束の方向は検出できるものの誘起電圧の影響が非常に小さいために、検出した方向がN極か,S極か、すなわち極性を判別することができない。
【0174】
上記のような動作範囲例えば800rpm(回転/分)においては、本実施例は検出部52を新たに設けることにより、磁極位置の検出制度を向上することができる。検出部52を図23により説明する。検出部52は基本的には磁石位置の推定用信号を発生する信号発生部54と極性判別部56を有している。
【0175】
磁石位置の推定用信号を発生する信号発生部54は、電流が流れていない領域あるいは電流値が小さい領域で磁極位置を検出する場合、例えばモータ1の起動時に、モータ短絡電流の変化量が検出できる程度の電流が流れるように位置検出用の電流指令値idhrを発生し、電流指令値発生部6に電流指令値idhrを与える。
【0176】
電流指令値発生部6の構成を図24に示す。図1から図20の実施例および図21の制御系では、コントローラ4の上位の制御部より電流指令値発生部6にトルク指令Trが入力される。電流指令値発生部6は、トルク制御部63を有しており、同期モータ1が指令通りのトルクを発生するようにd−q軸の電流指令idr,iqrを演算する。通常は、トルク指令とモータ速度(図24には図示せず)を入力として、現動作点において最高効率となるようなidrとiqrをマップ検索等を使用して演算する。ここで通常とは例えば同期モータ1がある決められた回転速度である800回転/分より早い速度で回転している状態である。
【0177】
上記で説明したように、同期モータの起動時などの800回転/分以下の低速回転時に磁極位置を検出するための電流指令idhrが信号発生部54から出力され、加算器65に印加される。この電流指令idhrは加算器65でd軸方向の電流指令idr1に加算され、加算結果がd軸電流指令idrとして、電流指令値発生部6から電流制御部7に加えられる。本実施例では磁極位置を検出するための電流指令idhrはd軸方向の電流指令に印加している。これは、idhrの印加による余計なトルク発生を防ぐためである。すなわちq軸方向の電流が零ならば基本的にはd軸に電流を印加してもトルクの発生はない。しかし、q軸方向にidhrを印加した場合でも、もしくはd、q軸双方に印加した場合でも磁極位置の検出は可能である。従ってトルクの発生が制御全体において許容できるものであれば、磁石位置の検出のためにq軸方向の電流指令に加算することができる。さらに測定に対応した短い時間のみ加えるようにしても良い。
【0178】
さらに、印加する位置推定用の電流指令idhrは交流信号でも直流信号でも位置検出は可能である。このうち電流指令idhrが交流信号である場合は、推定動作初期に生じる位置検出値とモータの磁極位置との間にずれによる発生トルクの平均値は零となる。従ってトルク変動の影響を抑えられる。
【0179】
以上のようにして、モータの速度が零で、電流が流れていないような動作点、例えば停止状態から回転を開始する起動時、においては、位置推定用の信号を印加することにより、モータ短絡時の電流変化量を用いた位置検出が可能となる。しかし、検出された位置は磁束方向ではあるが、それがN極方向であるか、もしくはS極方向であるかは不明である。それはモータの角速度ωが零であるために、誘起電圧の影響を受けないためである。
【0180】
この課題を解決するために図23に示す実施例では、極性判別部56を設けて、演算された位置がN極であるか、S極であるかすなわち磁極の極性を判別する。この極性判別部56において用いられる判別方法は特に限定されるものではないが、モータの磁気飽和特性を用いる方法が有効である。以下に極性判別方法の一例として磁気飽和特性を用いる方法を説明する。
【0181】
同期モータの磁気特性は回転子が永久磁石による磁束を有しているため、図25に示すように磁束軸であるd軸の電流idが零のときでも磁束が存在する。この磁気特性により、d軸インダクタンスLdの特性は図26のようになる。図26からd軸の電流idの正負の違いによりインダクタンスLdの大きさが異なる領域、図26中斜線の領域、が存在することがわかる。よって、図26の斜線領域でidが流れるようなバイアス成分をもつ交流信号をd軸に印加すれば、インダクタンスLdの大きさにより電流制御系の応答が変化するために、N極,S極の極性の違いがモータ電流の振幅の違いに現れ、モータ電流の振幅の大きさを計測することにより磁極の極性を判別することが可能となる。以上が極性判別方法の一例である。
【0182】
さらに、この極性判別方法の手順を図23を用いて表すと次のようになる。まず、磁極位置を検出するための信号を発生する信号発生部54より直流のバイアス成分を有する交流信号をd軸電流指令に印加する。次に検出されたd軸電流idを極性判別部56に入力し、極性判別部56においてidの交流成分の振幅値を計測し、現在の位置設定値θ^の極性を判別する。
【0183】
もし、判別された結果がN極であったならば、そのまま制御系の位置設定値θ^を制御に用いる。それに対して判別された結果がS極であったならば、位置設定値θ^に180°加えまたは減じ、位置設定値θ^をN極に補正する。また、この極性判別方式では、モータに磁気飽和が生じる程度までd軸方向に電流を流すことになるので、位置設定値θ^に少しでも誤差が生じていたならば、モータに一定方向のトルクが生じる。そこで、起動時の磁極位置検出動作は、このトルクによってモータの軸が回転しないようにモータの回転軸やロータの回転を機械的に一時的に阻止するロック機構を設けておき、回転軸の回転が阻止されている状態において起動するようにしておけば良い。例えば図21でモータ1のロータ70あるいは回転軸72の回転を阻止するロック機構74を設ける。このロック機構74は通常のブレーキ機構と同じ機構であり、検出部52からの信号で一時的に回転を阻止する。なおこの機構が働くのはモータの回転開始時であり、トルクが小さいので簡単な機構であっても目的を達することが可能である。回転を開始するための磁極位置や極性の検知が終わればこのロック機構は検出部52からの信号で回転の阻止を解除する。
【0184】
以上が、極性判別方式の一例の説明である。
【0185】
次に、これまで説明してきた零速度における磁極位置の検出部によるモータ起動時の処理手順を図27のフローチャートにより説明する。図27で文字Sはステップすなわち手順を意味する。まず図27のステップ30において、モータの回転軸の回転がロック機構により阻止されている状態かを判定する。その結果、回転軸の回転が阻止されているならば、ステップ31において磁石位置の検出用の信号idhrを極性判別部56から出力し、電流指令値発生部6の電流指令idrlと加算演算するために加算器65に印加する。
【0186】
以上の説明はモータの起動時すなわち回転開始時にモータ回転を阻止するロック機構がある場合であり、そのような機構がない場合はステップ30は不要である。ロック機構がある場合でそのロック機構が動作していない場合は、ステップ30でロック機構を動作させる指示を出すか、他の制御部からの指示で動作するのを待つ。そしてロック機構が動作した状態でステップ31へ処理が移る。
【0187】
ステップ32ではPWM制御中に発生する短絡電流を検出し、先で説明した短絡電流の変化量による磁極位置検出方法によって検出値θ^の演算を行う。さらにステップ33において、ステップ32で得られた磁極位置の検出値θ^がN極方向であるか、もしくはS極方向であるかを判定する。この判定の結果、N極であると判定された場合にはステップ34において検出値θ^が現在の磁極位置とされる。それに対して、ステップ33でS極であると判定された場合には、ステップ35において検出値θ^は180°加算あるいは減算の補正がなされて、現在の磁極位置が求められる。次にステップ36において、得られた磁極位置の検出値を用いてモータの駆動制御が開始される。
【0188】
以上が、モータ回転が零速度の磁極位置の検出方式を用いたモータ起動時の処理手順である。モータの短絡電流の変化量による磁極位置検出方式のみでは検出精度が低い場合は、上記処理を行うことで高精度に磁極位置を検出することが可能となる。なお本実施例では、磁極位置の検出動作の開始の条件としてモータの回転軸がロックされていることとしたが、上述の如く回転軸がロックされていなくても磁極位置の検出は可能である。
【0189】
モータの回転速度が零で、かつモータ電流が流れているような場合での演算部52の動作を説明する。このような動作環境は、回転停止時において負荷トルクすなわちモータにより駆動される装置の駆動に必要なモータのトルクがモータの発生しているトルクより大きく、さらにノイズ等の影響によりコントローラ内の磁極位置の設定値が消去された(正確でなくなった)場合等である。このような場合、モータ電流が流れているので、先で説明したモータ短絡電流の変化量による磁極位置の検出が可能である。しかし、モータ速度が零なので、極性判別を行う必要がある。ここでの極性判別はモータの回転軸はロックされておらずモータ駆動中なので、先で説明した磁気飽和特性を利用した極性判別方式より次に説明する方式の方が望ましい場合が多い。
【0190】
ここで説明する方式は、モータトルクの発生方向とモータ軸の回転方向とから判別する方式である。この判別方式の動作すなわち処理内容を図28のフローチャートを用いて説明する。まずステップ40において、モータの短絡電流の変化量によって得られた検出値θ^を磁極位置の設定値として所望のトルクを発生させる。その後、ステップ41においてモータ軸の回転方向と発生させたトルクの方向とを参照し、両者の方向が一致しているならば、ステップ42において、磁極位置の設定値を現在の磁極位置とする。それに対してステップ41において、モータ軸の回転方向と発生させたトルクの方向とが一致していない場合には極性が反対であると判断し、ステップ43において設定値を180°補正し現在の磁極位置とする。さらに、ステップ44でトルク指令を増加させる。以上の動作を所定回数繰り返し、設定回数以上連続で、モータ軸の回転方向と発生させたトルクの方向とが一致したときに極性判別を終了させる。以上がトルクの発生方向とモータの回転軸の回転方向とから磁極位置の設定値の極性を判別する方式の処理手順である。この方式では特別な極性判別用の信号の印加は不要である。
【0191】
以上、モータの短絡電流の変化量を用いる磁極位置検出方式を用いた、モータ速度が零である場合の磁極位置検出方法について述べたが、本方式は誘起電圧が非常に小さいような極低速時にも適用できる。例えば800回転/分以下の回転で効果が大きい。
【0192】
さらには、本方式は電気自動車やモータとエンジンの両方を有するハイブリッド車をはじめとする電気車の駆動装置にそのまま適用できる。電気自動車やハイブリッド車の駆動装置においては、位置検出用の信号を印加して検出を行う場合や磁気飽和特性を利用した極性判別方式を用いる場合には、ブレーキが掛けられた状態、もしくは動作レンジがパーキングレンジに入っている状態で行えば、不要なトルク発生による車両の振動や移動が避けられる。
【0193】
上述の実施例によれば、印加電圧の状態に影響されることなく、かつ安価なコントローラで通常のPWM制御を行いながら、同期モータの全動作範囲において磁極位置検出が可能となる。
【0194】
さらに図21から図28の実施例によれば、モータの停止時から正確な制御が可能である。
【0195】
さらに図1から図28に記載の実施例において、モータ電流の変化量、または変化方向から同期モータの磁極位置を求めるので、位置検出器を設けることなく、通常のPWM制御を行いながら磁極位置を検出することができる。
【0196】
また、磁極検出器を備え、磁極検出器で検出した磁極位置と、モータ電流から求めた磁極位置とを比較することにより、通常のPWM制御を行いながら磁極位置検出器の異常を検知することができる。
【0197】
【発明の効果】
本発明によれば、制御性の優れた同期モータの駆動システムを低コストで提供できる。
【0198】
また、通常の磁極位置センサを用いる場合には、そのセンサの異常を検出できるので、信頼性の高い同期モータ駆動システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電流微分回路を用いて円筒形同期モータの磁極位置を検出する本発明を適用したときの一実施例を示す構成図である。
【図2】図1のインバータ3の結線方法を示す構成図である。
【図3】搬送波信号と3相の電圧指令値、PWM信号との関係を示すとともに、電流の取り込みタイミングを示したタイムチャートである。
【図4】図1の構成方法のときの磁極位置を検出するためのフローチャートである。
【図5】円筒形同期モータの2相短絡状態のときの電流を検出して磁極位置を演算するための実施例を示す構成図である。
【図6】3相のPWM信号と図5の電流の検出タイミングを示すタイムチャートである。
【図7】図5の構成方法のときの磁極位置を検出するためのフローチャートである。
【図8】図7の2相短絡電流差分値、及び、3相短絡電流微分ベクトルの位相を演算するための演算式の一覧表である。
【図9】3相短絡時間を延長しながら電流の差分を用いて突極形同期モータの磁極位置を検出する他の実施例を示す構成図である。
【図10】3相のPWM信号と図9の電流の検出タイミングを示すタイムチャートである。
【図11】図9の構成方法において、磁極位置を高精度に検出するためのフローチャートである。
【図12】第1の磁極位置検出器を用いて突極形同期モータを制御する電気自動車において、2相短絡状態の電流で磁極位置を検出する第2の磁極位置検出器を有する他の実施例を示す構成図である。
【図13】図12の構成方法において、突極形同期モータの磁極位置を2相短絡状態の電流を用いて検出するためのフローチャートである。
【図14】図13の2相短絡電流差分値、及び、3相短絡電流微分ベクトルの位相を演算するための演算式の一覧表である。
【図15】図12の磁極位置の異常判断を行うためのフローチャートである。
【図16】2相短絡状態の電流で磁極位置を検出する磁極位置検出器を有する突極形同期モータにおいて、磁極位置検出の故障を自己診断するための他の実施例を示す構成図である。
【図17】同期モータの電流ベクトル,電流微分ベクトル,磁極位置(d軸)の関係の一例を示すベクトル図である。
【図18】図9の円筒形同期モータにおいて2相短絡時の電流微分ベクトルと3相短絡時の電流微分ベクトルの関係を示すベクトル図である。
【図19】突極形同期モータのα軸に印加した電圧により発生する電流微分ベクトルの関係を示すベクトル図である。
【図20】図16の突極形同期モータにおいて2相短絡時の電流微分ベクトルと3相短絡時の電流微分ベクトルの関係を示すベクトル図である。
【図21】本発明の他の実施例を示すモータ制御システムの構成図である。
【図22】磁石位置の検出が低下する可能性がある領域を示す図である。
【図23】演算部52の構成を示す図である。
【図24】電流指令値発生部6の構成を示す図である。
【図25】同期モータの磁気特性を示す図である。
【図26】d軸インダクタンスの特性を示す図である。
【図27】モータの起動時の磁極位置を検出する処理手順を示す図である。
【図28】トルクの発生方向とモータの回転軸の回転方向とから極性を判別する処理手順を示す図である。
【符号の説明】
1…円筒形同期モータ、2…バッテリー、3…インバータ、4…コントローラ、5a,5b…電流センサ、6…電流指令値発生部、7…電流制御部、8,11…座標変換部、9…PWM信号発生部、10,27…電流検出部、12…電流微分回路、13…電流微分検出部、14,15,17,20,52…演算部、16…突極形同期モータ、18…2相スイッチング演算部、19…磁極位置・電流演算部、21…磁極位置検出部、22…磁極位置異常検出部、23…磁極位置センサ、24,25…タイヤ、26…自己診断部、54…信号発生部、56…極性判別部、65…加算器。70…ロータ、72…回転軸、74…ロック機構。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a control device and a control method for a synchronous motor or an electric vehicle control device using them. In the present invention, the synchronous motor includes a reluctance motor.
[0002]
[Prior art]
In order to control the speed and torque of the synchronous motor, it is necessary to detect or estimate the magnetic pole position. By performing current control or voltage control based on the detected magnetic pole position, the torque and speed of the synchronous motor can be controlled.
[0003]
Previously, the magnetic pole position was detected by a position detector. However, in recent years, a method of controlling a synchronous motor by estimating a magnetic pole position, which is different from a method of detecting a magnetic pole position with a magnetic pole position detector, that is, a magnetic pole position sensorless control method has been proposed.
[0004]
For example, IEICE Transactions Vol. 117-D, no. No. 1,1997, “Sensorless salient-pole brushless DC motor control based on speed electromotive force estimation” (Takeshita, Ichikawa et al.) Performs speed control while estimating speed electromotive force using a motor model. A method has been proposed.
[0005]
Japanese Patent Application Laid-Open No. Hei 8-205578 discloses that the saliency of a synchronous motor is detected from a correlation between a voltage vector applied to the synchronous motor by pulse width control (PWM control) and a ripple component of a motor current vector corresponding thereto. A method is described.
[0006]
The technique described in the above paper is a method of estimating a magnetic pole position from a difference between a current calculated by a control model and an actually flowing motor current, and has a feature that a control system can be configured only by control calculation of a controller.
[0007]
Further, the technique described in Japanese Patent Application Laid-Open No. Hei 8-205578 has an advantage that it is not necessary to add an additional signal for detection since a general PWM signal for controlling the voltage of the synchronous motor is used.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
In the method of estimating the magnetic pole position from the difference between the current calculated by the control model and the actual flowing motor current, it is necessary to solve the problem that if the synchronous motor loses synchronization for some reason, control becomes impossible. Must.
[0009]
On the other hand, the technique disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 8-205578 can always detect the magnetic pole position of the synchronous motor with saliency, so that the control cannot be disabled.
[0010]
However, in the method of detecting the magnetic pole position of the synchronous motor with saliency, it is necessary to detect the correlation between the state of the motor current and the applied voltage every time the PWM signal changes.
[0011]
That is, it is necessary to detect the state of the motor current at least six times in one cycle of the carrier wave and to grasp the state of the applied voltage. Therefore, there is a problem that the operation speed cannot keep up unless a high-performance controller is used.
[0012]
A first object of the present invention is to provide a low-cost synchronous motor control device.
A second object of the present invention is to provide a highly reliable control system.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
One of the solving means of the present invention is to calculate or estimate the magnetic pole position of the synchronous motor based on a change amount or a change direction of the motor current when the synchronous motor is in a short circuit state, and based on the calculated magnetic pole position. And controlling the synchronous motor.
[0014]
Other solutions will be described in the description of the embodiments of the invention.
[0015]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, an embodiment of the present invention will be described with reference to FIG.
[0016]
FIG. 1 is a configuration diagram of a motor control device that drives a cylindrical
[0017]
The output of the
[0018]
First, the current
[0019]
The d-axis indicates the direction of the magnetic pole position (magnetic flux), and the q-axis indicates the direction electrically orthogonal to the d-axis, forming a dq-axis coordinate system. When the rotor having the magnet rotates, the dq axis coordinate system also rotates. Therefore, the phase from the stationary coordinate system (α-β axis coordinate system) is set to θ. That is, the purpose of this embodiment is to detect the phase θ of the magnetic pole (hereinafter, referred to as the magnetic pole position θ) from the current.
[0020]
FIG. 17 is a vector diagram showing an example of the relationship between the coordinate system and the current. If the d-axis current and the q-axis current can be controlled according to the command values, the
[0021]
In this embodiment, the currents detected by the
[0022]
The
[0023]
The coordinate
[0024]
The
[0025]
FIG. 2 shows the relationship between the connection method of the
[0026]
In addition, the PWM pulses Pup and Pun basically have a relationship in which high and low are opposite to each other. However, in order to prevent a power supply short-circuit, a short-circuit prevention period is provided in which both of the PWM pulses are in a low state when the PWM pulse is inverted.
[0027]
The processing content of the
[0028]
That is, in FIG. 3, when the PWM pulses Pup, Pvp, and Pwp are high, the switching elements Sup, Svp, and Swp of the upper arm in FIG. 2 are turned on, and the switching elements Sun, Svn, and Swn of the lower arm are turned off. State. When the PWM pulses Pup, Pvp, Pwp are low, the switching elements Sun, Svn, Swn are turned on, and the switching elements Sup, Svp, Swp are turned off.
[0029]
As can be seen from FIG. 3, when the voltage command value of each phase is within a predetermined range including the minimum value and the maximum value of the carrier, there is a period in which the upper arm or the lower arm is in a three-phase short-circuit state. Here, if the processing is performed so that the detection pulse P1 is generated when the carrier wave has the maximum value and the minimum value, the detection pulse P1 is generated when the synchronous motor is in the three-phase short-circuit state. become.
[0030]
It is known that, when the
[0031]
Next, features of the embodiment of FIG. 1 will be described.
[0032]
Signals representing the U-phase current iu and the V-phase current iv are input to the current differentiating
[0033]
The values piu and piv are input to the
[0034]
The
[0035]
First, in
[0036]
In
[0037]
FIG. 17 shows the phase relationship of the current differential vector pi. The α-axis current differential value piα and the β-axis current differential value piβ can be obtained from the current differential values piu and piv when the three phases are short-circuited.
[0038]
When the U-phase axis coincides with the α-axis, it is obtained by the following equation.
[0039]
(Equation 1)
piα = (√3 / 2) piu (1)
[0040]
(Equation 2)
piβ = (1 / √2) (piu−2piv) (2)
Next, the phase γ is calculated from piα and piβ using the relationship shown in FIG.
[0041]
In
[0042]
[Equation 3]
θ = γ + π / 2 (3)
The feature of the present embodiment is that it has been newly found that the relationship between the magnetic pole position θ and the phase γ of the three-phase short-circuit current is approximately expressed by Expression (3). The reason will be described below. The basic equation of the synchronous motor can be expressed by the following equation in the dq axis coordinate system. Here, p = d / dt. Ω is the rotation speed of the motor.
[0043]
(Equation 4)
Vd = (R + pLd) id−ωLq iq (4)
[0044]
(Equation 5)
Vq = (R + pLq) iq + ω (Ld id + Φ) (5)
When the synchronous motor is brought into the three-phase short-circuit state, the applied voltage of the synchronous motor becomes Vd = Vq = 0, so the equation for the three-phase short-circuit state is as follows.
[0045]
(Equation 6)
pid = (ωLq iq−R id) / Ld (6)
[0046]
(Equation 7)
piq = − {ω (Ld id + Φ) + R iq} / Lq (7)
The current differential vector in the α-β axis coordinate system in the stationary coordinate system is the sum of the current differential vector in the dq axis coordinate system and the current differential vector generated when the dq axis coordinate system rotates at a speed ω. . Therefore, the d-axis current differential value pids and the q-axis current differential value piqs viewed in the α-β axis coordinate system are respectively
[0047]
(Equation 8)
pids = {ω (Lq−Ld) iq−R id} / Ld (8)
[0048]
(Equation 9)
piqs = − {ω (Ld−Lq) id + Φ) + R iq} / Lq (9)
It becomes. Accordingly, the phase δ of the three-phase short-circuit current differential vector with respect to the d-axis, that is, the magnetic pole position θ is obtained by the following equation.
[0049]
(Equation 10)
tan (δ) ≡piqs / pids
= −Ld [ω {(Ld−Lq) id + Φ} + R iq]
/ [Lq {ω (Lq-Ld) iq-Rid}] (10)
In the case of the present embodiment, since the condition is Ld = Lq because of the cylindrical synchronous motor,
[0050]
(Equation 11)
tan (δ) = Ld (ωΦ + R iq) / (Lq R id) (11)
It becomes. Here, if id <0, the phase δ is approximated by the following equation.
[0051]
(Equation 12)
δ ≒ −π / 2 (12)
For this reason, the content of the calculation in
[0052]
When the motor speed ω is low, the error of the equation (12) becomes large, so that it can be asymptotically obtained by the equation (11). This method will be described in another embodiment described later.
[0053]
As described above, the
[0054]
Therefore, according to this embodiment, relatively simple calculation can be performed only with the current sensor without using a magnetic pole position sensor for directly measuring a mechanical rotation position such as a resolver or an encoder for the cylindrical synchronous motor. It has the characteristic that the magnetic pole position can be detected by using. Therefore, the control device is inexpensive.
[0055]
Further, even when the synchronous motor loses synchronism for some reason, the magnetic pole position can be detected, so that the motor does not fall into the uncontrolled state.
[0056]
Moreover, since the sensorless control system can be configured only with information obtained when performing the PWM control while performing the normal PWM control, noise and torque pulsation can be reduced as compared with the method of detecting the magnetic pole position by adding a detection additional signal. It has a feature that can be reduced.
[0057]
FIG. 5 shows a control device for another embodiment, that is, a cylindrical synchronous motor capable of detecting a magnetic pole position without using a current differentiating circuit. This embodiment can be realized not only by an electric circuit but also by a program as in FIG.
[0058]
The main differences from the embodiment shown in FIG. 1 are that the current differentiating
[0059]
First, the detection pulse P2 for controlling the detection timing of the
[0060]
Normally, in each phase of the 180-degree conducting three-phase inverter shown in FIG. 2, one of the upper-arm switching element and the lower-arm switching element is in an on state and the other is in an off state. Therefore, at least two of the three phases are always in a short-circuit state.
[0061]
FIG. 6 shows the section. For example, in a section from time t (n-2) to time t (n-1), the switching elements Svn and Swn of the V-phase and W-phase lower arms are turned on, and the V-phase and W-phase of the
[0062]
The section from time t (n-1) to time t (n) indicates that the upper arms of the U-phase and V-phase are in a short-circuit state.
[0063]
As described above, in the 180-degree conduction type inverter, there are two-phase two-phase short-circuit states in one cycle of the carrier wave.
[0064]
As shown in FIG. 6, the detection pulse P2 is generated when the mode in the two-phase short-circuit state is switched.
[0065]
The
[0066]
The
[0067]
The U-phase and V-phase currents obtained at this timing are input from the
[0068]
A flowchart of FIG. 7 showing the processing performed by the
[0069]
In the
[0070]
Step 114 determines the two-phase short-circuit mode Msc indicating which phase is in the two-phase short-circuit state in the section from time t (n-1) to time t (n). In this case, it can be seen from FIG. 6 that the U-phase and the V-phase of the upper arm are determined. The two-phase short-circuit mode Msc (n-1) in the section from the previous time t (n-2) to the time t (n-1) is "V-W phase short-circuit".
[0071]
In
[0072]
The short-circuit current difference value picc of the short-circuit axis will be described. In FIG. 18, the short-circuit axis refers to the β-axis when the VW phase is short-circuited, the β ′ axis when the WU phase is short-circuited, and the β ″ axis when the UV-phase short-circuited.
[0073]
For example, when converting a three-phase voltage to an α-β axis coordinate system (α axis coincides with U-phase axis), β-axis voltage Vβ is expressed by the following equation.
[0074]
(Equation 13)
Vβ = (Vv−Vw) / (√2) (13)
Here, in the case of the VW phase short-circuit state, since Vv = Vw, Vβ = 0. That is, it can be said that the β axis is in a short-circuit state, and this axis is referred to as a short-circuit axis. Similarly, in the case of the WU phase short-circuit, the β 'axis rotated by 120 degrees from the β-axis becomes the short-circuit axis, and in the case of the UV phase short-circuit, the β ″ axis rotated by 240 degrees from the β axis becomes the short-circuit axis. .
[0075]
In the case of a cylindrical synchronous motor, the short-circuit current difference value picc of this short-circuit axis matches the short-circuit axis component of the three-phase short-circuit current differential vector pi. FIG. 18 shows the relationship between the vector diagrams.
[0076]
The reason why the vector diagram of FIG. 18 is established will be described by expanding Expressions (4) and (5).
[0077]
The α-axis current differential value piα and the β-axis current differential value piβ are given by the following expressions from Expressions (4) and (5).
[0078]
[Equation 14]
[0079]
(Equation 15)
However, L0 = (Ld + Lq) / 2, L1 = (Ld−Lq) / 2, k1 (θ), k2 (θ), k3 (θ), k4 (θ), k5 (θ), k6 (θ) are Each is a function related to θ.
[0080]
In the case of the cylindrical synchronous motor, since L1 = 0, it can be seen that the β-axis current differential value piβ does not affect the α-axis voltage Vα.
[0081]
In the VW phase short-circuit state, only the α-axis voltage Vα is applied depending on the state of the U-phase voltage Vu, but the β-axis current differential value piβ is the same as when Vα = 0. Further, since Vβ = 0 since the VW phase is short-circuited, it means that the β-axis current differential value piβ in the three-phase short-circuit state coincides. From the above, it can be seen that FIG. 18 holds.
[0082]
Similarly, when the WU phase is short-circuited, the β′-axis current differential value piβ ′ is the same as the β′-axis component of the three-phase short-circuit current differential vector pi. Therefore, when the current differential value (difference value) of the short-circuit axis in the two-phase short-circuit state is detected, the phase γ of the three-phase short-circuit current differential vector can be calculated by calculating the vector diagram of FIG.
[0083]
When the phase γ of the three-phase short-circuit current differential vector is obtained from the current two-phase short-circuit mode Msc (n) and the previous two-phase short-circuit mode Msc (n−1), the calculation method differs depending on the combination of the short-circuit modes. .
[0084]
Therefore, in
[0085]
In
[0086]
As described above, according to the present embodiment, the direction of the current differential vector in the three-phase short-circuit state can be determined or calculated from the amount of change in the current in the two-phase short-circuit state having a relatively long duration, that is, the difference value. Is obtained by taking in a small amount of current.
[0087]
Further, since the system of this embodiment does not use a differentiating circuit, it has an advantage that it is resistant to noise and can be realized by a relatively inexpensive controller.
[0088]
The embodiment of FIG. 9 is a configuration diagram of a control device when the present invention is applied to the salient-pole
[0089]
The processing contents of the two-phase
[0090]
Two-phase switching refers to a method of flowing the same sine wave current as in three-phase switching while stopping one-phase switching among three-phase PWM signals.
[0091]
In FIG. 10, a method of flowing the same sine wave current as in the three-phase switching while stopping the U-phase switching will be described. The V-phase or W-phase other than the U-phase can be a phase for stopping the switching based on the same concept. The additional voltage V0 is forcibly added so that the U-phase voltage command value Vur always becomes the same value as the maximum value of the carrier wave. As a result, the U-phase PWM signal Pup is always in the high state, and the switching element Sup is in the on state.
[0092]
For the V-phase voltage command value Vvr and the W-phase voltage command value Vwr, values obtained by adding an additional voltage V0 to a normal command value are calculated, thereby generating PWM signals Pvp and Pwp.
[0093]
Even if the same voltage is added to all phases, the line voltage is not affected, so that the current flowing through the
[0094]
FIG. 10 also shows detection pulses P3 and P4 generated from the
[0095]
The detection pulse P3 is generated in synchronization with the maximum value of the carrier wave, and is used by the
[0096]
The current detection pulse P4 is generated at the start and end of the extended three-phase short-circuit state. 9, the U-phase current iu and the V-phase current iv are input by the current detection pulse P4.
[0097]
These current values are input to the
[0098]
The processing method of FIG. 11 is performed as follows. In
[0099]
In the
[0100]
In the following method, the magnetic pole position used for control in the
[0101]
In
[0102]
In
[0103]
When the motor speed ω is equal to or higher than a predetermined value, the motor speed ω may be obtained by the following approximate expression.
[0104]
(Equation 16)
tan (δ) ≒ −Ld {(Ld−Lq) id + Φ} / {Lq (Lq−Ld) iq} (16)
In
[0105]
[Equation 17]
θ = γ−δ (17)
This relationship is shown in the vector diagram of FIG.
[0106]
In
[0107]
If the actual magnetic pole position θ is different from the magnetic pole position θ ′ in the controller, id ′ and iq ′ do not match id and iq, so that an error occurs in the phase δ. However, the error decreases each time the processing from
[0108]
In addition, since this calculation is expected to converge within a few degrees in a few times, the convergence determination may be completed not by the calculation result of the magnetic pole position θ but by, for example, two calculations. Good.
[0109]
Further, depending on the relationship between the sampling time for detecting the magnetic pole position and the motor speed,
[0110]
As described above, when detecting the magnetic pole position of the salient-pole synchronous motor, it is necessary to calculate using the d-axis current id 'and the q-axis current iq' including errors. The feature of the present embodiment lies in that the algorithm described above is provided. Therefore, there is an advantage that a sensorless control system for a salient-pole synchronous motor can be constructed by utilizing a change in current in a three-phase short-circuit state.
[0111]
In the present system, by using together a method of extending the three-phase short-circuit time, such as a two-phase switching method, the range of change in current during the three-phase short-circuit period can be increased. Therefore, the three-phase short-circuit current differential vector can be directly measured without using a differentiating circuit, and a magnetic pole position detection method that is resistant to noise can be realized by simple software processing. FIG. 12 shows an embodiment of a salient pole type synchronous motor for detecting a magnetic pole position from a two-phase short-circuit state, and shows a configuration of a high reliability system applied to an electric vehicle. In this embodiment, the
[0112]
12 is different from the case of the cylindrical synchronous motor of FIG. 5 in that the processing contents of the
[0113]
First, the processing contents of the
[0114]
The processing from
[0115]
The saliency correction phase ε in
[0116]
As shown in equation (15), in the case of the salient pole type
[0117]
FIG. 19 shows an α-axis current differential value piα1 generated by the α-axis voltage Vα, a β-axis current differential value piβ1, and a current differential vector pi1 that is a combination thereof.
[0118]
Assuming that the axis in the direction coincident with the current differential vector pi1 is the x-axis and the axis orthogonal thereto is the y-axis, the y-axis component of the current differential vector pi1 is always 0 regardless of the α-axis voltage Vα. Therefore, the y-axis component of pi1 is a three-phase short-circuit current differential vector
It matches the y-axis component of pis. This is called a saliency correction phase ε.
[0119]
Therefore, in the case of the salient-pole synchronous motor, the current differential value (difference value) of the y-axis advanced not by the β-axis but by the salient polarity correction phase ε is detected.
[0120]
Actually, since there are three two-phase short-circuit states, the saliency correction phases in the case of the VW-phase short-circuit, the WU-phase short-circuit, and the U-V-phase short-circuit are ε1, ε2, ε3, respectively, and the axis in that direction is Are the y ′ axis and the y ″ axis.
[0121]
The saliency correction phases ε1, ε2, ε3 are given by the following equations from equations (14) and (15).
[0122]
(Equation 18)
tan (ε1) = − (L1 sin2θ) / (L0−L1cos2θ) (18)
[0123]
[Equation 19]
[0124]
(Equation 20)
As described above, in
[0125]
The magnetic pole position θ used in these calculations is a value in the
[0126]
In
[0127]
As described above, the short-circuit axis refers to an axis in a direction that is not affected by the current differential value (difference value) due to the α-axis voltage.
[0128]
In the
[0129]
An example of the vector diagram at this time is shown in FIG. 20, and this relationship is obtained by the operation formula in FIG.
[0130]
The processing from
[0131]
As described above, if the
[0132]
In the electric vehicle drive system of FIG. 12, a signal from the magnetic
[0133]
The magnetic pole position
[0134]
At
[0135]
If it is determined to be normal, the magnetic pole position θ1 is stored in the output magnetic pole position θ2 in
[0136]
Step 146 determines whether or not the rotation of the
[0137]
As described above, according to this embodiment, by providing the normal magnetic
[0138]
This embodiment is particularly suitable for reducing the size of the motor and the weight of the electric vehicle by using the reluctance torque.
[0139]
FIG. 16 shows an embodiment of a control system without a magnetic pole position sensor, which has a function of detecting the magnetic pole position only by the current sensor and self-diagnosing whether there is any abnormality in the characteristics.
[0140]
A feature of the embodiment of FIG. 16 is that a self-
[0141]
The
[0142]
In the above-described embodiment, since the magnetic pole position θ is obtained by detecting the phase γ of the current differential vector, information on the magnitude of the current differential vector is ignored.
[0143]
Therefore, the motor speed ω is determined in reverse from the equations (6) and (7). That is,
[0144]
(Equation 21)
ω = (Ld pid + R id) / Lq iq (21)
[0145]
(Equation 22)
ω = − (Lqpiq + R iq) / (Ld id + Φ) (22)
The motor speed ω is calculated using one or both formulas.
[0146]
Note that in Expressions (21) and (22), a simplified expression that ignores the resistance R may be used. The motor speed ω is output to the self-
[0147]
Further, the magnetic pole position θ obtained in
[0148]
The self-
[0149]
If it is determined that there is an abnormality, an abnormality diagnosis signal Se is output, and systematic processing is performed to stop the sensorless control system.
[0150]
By estimating the motor speed using a plurality of independent variables of the current differential vector in this manner, a self-diagnosis function can be provided without using another sensor.
[0151]
The above is the embodiment in which the magnetic pole position of the synchronous motor is detected using only the current sensor.
[0152]
In addition to the synchronous motor, the present invention can be applied to a reluctance motor using saliency.
[0153]
In the present embodiment, the description is omitted because the description is complicated.However, the magnetic pole position may be calculated in consideration of the influence of the rotation of the motor rotor during the sampling time. It goes without saying that it can be applied.
[0154]
Although the example of the electric vehicle has been described here, the present embodiment is also used for the magnet motor that is currently subjected to sensorless control using the 120-degree conduction type inverter control, by using the 180-degree conduction type inverter control. A sensorless system with low torque pulsation and low noise can be provided.
[0155]
The embodiment described with reference to FIGS. 1 to 20 is most suitable for control in a state where the
[0156]
The processing of detecting the magnetic pole position by the
[0157]
In this magnetic pole position calculation method, the magnetic pole position is calculated based on the change amount or change direction of the motor current in a three-phase short-circuit state that is not affected by the voltage applied from the inverter. In order to detect the amount or direction of change of the motor current in the three-phase short-circuit state, a pulse P1 is generated to control the timing in the three-phase short-circuit state as described with reference to FIG. As a typical example, the pulse P1 is generated at the highest value and / or the lowest value of the carrier wave shown in FIG. 3, and a current value or a differential value of the current value is detected in synchronization with the pulse P1. That is, the pulse P1 is generated by the PWM
[0158]
In FIG. 17, the magnetic pole position to be detected is the phase θ between the stationary coordinate α axis and the rotating coordinate d axis, and can be expressed by the above equation (17).
[0159]
[Equation 17]
θ = γ−δ (17)
Here, γ is the phase of the motor current differential vector pIs with respect to the α-axis when the three phases are short-circuited, and δ is the phase of the motor current differential vector pIs with respect to the d-axis. For the phase γ, first, the motor currents iu and iv are differentiated by the current differentiating
[0160]
(Equation 1)
piα = (√3 / 2) piu (1)
[0161]
(Equation 2)
piβ = (1 / √2) (piu + 2piv) (2)
[0162]
(Equation 23)
γ = tan -1 (Piβ / piα) (23)
Here, two phases of piu and piv are used to obtain piα and piβ, but the calculation can also be performed using differential values of three-phase currents of piu, piv, and piw. Furthermore, although a differentiating circuit is used to calculate the current differential value at the time of the three-phase short circuit, if the configuration of the differentiating circuit is not possible, instead of the current differential value, the amount of current change in the three-phase short circuit section is calculated. It can also be realized by using a current change rate obtained by calculating and dividing a current change amount by a short-circuit time. In addition, when the short-circuit section is very short and the calculation of the current change rate in the three-phase short-circuit section cannot be performed, the three-phase short-circuit section can be used even if the two-phase short-circuit section is surely longer than the three-phase short-circuit section. It is possible to calculate the current change rate in the section. Details are as described above.
[0163]
As described above, the phase γ of the motor current differential vector pIs at the time of the three-phase short circuit with respect to the α-axis is obtained. Next, the phase δ of the motor current differential vector pIs with respect to the d-axis is obtained as follows. First, the basic equation of the synchronous motor on the d-q rotation coordinates can be represented by the following equation. Note that these equations are as described above.
[0164]
(Equation 4)
Vd = (R + pLd) id−ωLq iq (4)
[0165]
(Equation 5)
Vq = (R + pLq) iq + ω (Ld id + Φ) (5)
Here, Vd and Vq are dq axis voltages, Ld and Lq are dq axis inductances, R is winding resistance, ω is motor angular velocity, φ is field magnetic flux, and p is d / dt. In the above basic formula, when a three-phase short circuit occurs, the applied voltage on the dq axis is 0, so the basic formula in a three-phase short circuit state is as follows.
[0166]
(Equation 6)
pid = (ωLq iq−R id) / Ld (6)
[0167]
(Equation 7)
piq = − {ω (Ld id + Φ) + R iq} / Lq (7)
The current differential vector on the stationary coordinate α-β axis is generated by rotating the current differential vector on the rotating coordinate dq axis and the dq axis expressed by the equations (6) and (7) at the motor angular velocity ω. The current differential vector is expressed as Therefore, the current differential value of the dq axis viewed on the α-β axis is as follows.
[0168]
(Equation 8)
pids = {ω (Lq−Ld) iq−R id} / Ld (8)
[0169]
(Equation 9)
piqs = − {ω (Ld−Lq) id + Φ) + R iq} / Lq (9)
Therefore, the phase δ of the motor current differential vector pIs with respect to the d-axis is represented by Expression (24).
[0170]
(Equation 24)
Therefore, the magnetic pole position can be obtained from the above equations (17), (23) and (24). Here, ω included in the equation (24) uses an estimated value of the angular velocity obtained from the change amount of the phase estimated value. Further, in a region where the angular velocity is sufficiently large and the R component can be ignored, the influence of ω is eliminated.
[0171]
The above is the outline of the position detection method for detecting the magnetic pole position of the synchronous motor based on the amount of change or the direction of change of the motor current when the synchronous motor is short-circuited in three phases. This method is applicable not only to salient pole type synchronous motors but also to cylindrical type synchronous motors.
[0172]
In the above-described position detection method, since the amount of current change in the motor short-circuit state that occurs during normal PWM operation is used, the magnetic pole position can be estimated up to a high-speed region without applying a special estimation signal.
[0173]
However, in the following operation range, there is a possibility that the position detection accuracy is reduced only by this detection method. FIG. 22 shows the operation range. When the speed is zero, that is, when the
[0174]
In the above-described operating range, for example, 800 rpm (rotation / minute), the present embodiment can improve the detection accuracy of the magnetic pole position by newly providing the
[0175]
When detecting the magnetic pole position in an area where no current flows or an area where the current value is small, for example, when the
[0176]
FIG. 24 shows the configuration of the current
[0177]
As described above, the current command idhr for detecting the magnetic pole position at the time of low-speed rotation of 800 revolutions / minute or less, such as when the synchronous motor is started, is output from the
[0178]
Further, the position can be detected by using an AC signal or a DC signal as the applied position estimation current command idhr. When the current command idhr is an AC signal, the average value of the torque generated due to the deviation between the position detection value generated at the initial stage of the estimation operation and the magnetic pole position of the motor is zero. Therefore, the influence of torque fluctuation can be suppressed.
[0179]
As described above, at the operating point where the motor speed is zero and no current is flowing, for example, at the time of start-up when starting rotation from a stopped state, the motor is short-circuited by applying a position estimation signal. Position detection using the current change amount at the time becomes possible. However, although the detected position is in the magnetic flux direction, it is unknown whether it is in the N-pole direction or the S-pole direction. This is because the motor is not affected by the induced voltage because the angular velocity ω is zero.
[0180]
In order to solve this problem, in the embodiment shown in FIG. 23, a
[0181]
In the magnetic characteristics of the synchronous motor, since the rotor has a magnetic flux generated by the permanent magnet, a magnetic flux exists even when the current id of the d-axis, which is the magnetic flux axis, is zero as shown in FIG. Due to this magnetic characteristic, the characteristic of the d-axis inductance Ld is as shown in FIG. From FIG. 26, it can be seen that there is a region where the magnitude of the inductance Ld is different depending on the difference between the positive and negative of the current id on the d-axis, and a region hatched in FIG. Therefore, if an AC signal having a bias component such that id flows in the shaded area in FIG. 26 is applied to the d-axis, the response of the current control system changes depending on the magnitude of the inductance Ld. The difference in the polarity appears in the difference in the amplitude of the motor current, and the polarity of the magnetic pole can be determined by measuring the magnitude of the amplitude of the motor current. The above is an example of the polarity determination method.
[0182]
Further, the procedure of this polarity discrimination method is represented as follows using FIG. First, an AC signal having a DC bias component is applied to a d-axis current command from a
[0183]
If the determined result is the N pole, the position set value θ ^ of the control system is used for control as it is. On the other hand, if the determined result is the S pole, the position setting value θ ^ is added or subtracted by 180 ° to correct the position setting value θ ^ to the N pole. Also, in this polarity discrimination method, current flows in the d-axis direction to the extent that magnetic saturation occurs in the motor. Therefore, if there is any error in the position set value θ ^, torque in a certain direction is applied to the motor. Occurs. Therefore, the magnetic pole position detecting operation at the time of starting is provided with a lock mechanism that mechanically temporarily prevents the rotation of the rotating shaft of the motor or the rotor so that the shaft of the motor is not rotated by this torque, and the rotation of the rotating shaft is provided. May be started in a state where is blocked. For example, in FIG. 21, a
[0184]
The above is an example of the polarity discrimination method.
[0185]
Next, the processing procedure at the time of starting the motor by the magnetic pole position detection unit at zero speed described above will be described with reference to the flowchart of FIG. In FIG. 27, the letter S means a step, that is, a procedure. First, in
[0186]
The above description is for the case where there is a lock mechanism for preventing the rotation of the motor when the motor is started, that is, when the motor starts rotating. If there is no such mechanism,
[0187]
In step 32, the short circuit current generated during the PWM control is detected, and the detection value θ ^ is calculated by the magnetic pole position detection method based on the change amount of the short circuit current described above. Further, in
[0188]
The above is the processing procedure at the time of starting the motor using the detection method of the magnetic pole position where the motor rotation is zero speed. If the detection accuracy is low only by the magnetic pole position detection method based on the change amount of the short-circuit current of the motor, the above processing can be performed to detect the magnetic pole position with high accuracy. In this embodiment, the rotation axis of the motor is locked as a condition for starting the magnetic pole position detection operation. However, the magnetic pole position can be detected even when the rotation axis is not locked as described above. .
[0189]
The operation of the
[0190]
The method described here is a method of determining from the direction in which the motor torque is generated and the rotation direction of the motor shaft. The operation of this determination method, that is, the processing content will be described with reference to the flowchart of FIG. First, in
[0191]
As described above, the magnetic pole position detection method using the magnetic pole position detection method using the change amount of the short-circuit current of the motor and the magnetic pole position detection method when the motor speed is zero have been described. Is also applicable. For example, the effect is large at a rotation of 800 revolutions / minute or less.
[0192]
Further, the present method can be directly applied to a drive device of an electric vehicle such as an electric vehicle or a hybrid vehicle having both a motor and an engine. In an electric vehicle or hybrid vehicle drive device, when a signal for position detection is applied to perform detection or when a polarity discrimination method using magnetic saturation characteristics is used, a brake is applied or an operating range is applied. If the vehicle is in the parking range, vibration and movement of the vehicle due to unnecessary torque generation can be avoided.
[0193]
According to the above-described embodiment, the magnetic pole position can be detected in the entire operation range of the synchronous motor without being affected by the state of the applied voltage and while performing ordinary PWM control with an inexpensive controller.
[0194]
Further, according to the embodiment of FIGS. 21 to 28, accurate control can be performed from the time when the motor is stopped.
[0195]
Further, in the embodiment shown in FIGS. 1 to 28, the magnetic pole position of the synchronous motor is obtained from the change amount or the change direction of the motor current, so that the magnetic pole position can be determined while performing the normal PWM control without providing a position detector. Can be detected.
[0196]
Further, a magnetic pole detector is provided, and by comparing the magnetic pole position detected by the magnetic pole detector with the magnetic pole position obtained from the motor current, it is possible to detect abnormality of the magnetic pole position detector while performing normal PWM control. it can.
[0197]
【The invention's effect】
ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, the drive system of the synchronous motor excellent in controllability can be provided at low cost.
[0198]
Further, when a normal magnetic pole position sensor is used, an abnormality of the sensor can be detected, so that a highly reliable synchronous motor drive system can be provided.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a configuration diagram showing an embodiment when the present invention for detecting a magnetic pole position of a cylindrical synchronous motor using a current differentiating circuit is applied.
FIG. 2 is a configuration diagram showing a method of connecting an
FIG. 3 is a time chart showing a relationship between a carrier signal, a three-phase voltage command value, and a PWM signal, and showing a timing at which a current is taken.
FIG. 4 is a flowchart for detecting a magnetic pole position in the configuration method of FIG. 1;
FIG. 5 is a block diagram showing an embodiment for calculating a magnetic pole position by detecting a current in a two-phase short-circuit state of the cylindrical synchronous motor.
6 is a time chart showing detection timings of a three-phase PWM signal and the current shown in FIG. 5;
FIG. 7 is a flowchart for detecting a magnetic pole position in the configuration method of FIG. 5;
8 is a list of arithmetic expressions for calculating the phase of a two-phase short-circuit current differential value and the three-phase short-circuit current differential vector of FIG. 7;
FIG. 9 is a configuration diagram showing another embodiment for detecting the magnetic pole position of the salient-pole synchronous motor by using the current difference while extending the three-phase short-circuit time.
10 is a time chart showing detection timings of a three-phase PWM signal and the current shown in FIG. 9;
FIG. 11 is a flowchart for detecting a magnetic pole position with high accuracy in the configuration method of FIG. 9;
FIG. 12 is an electric vehicle in which a salient-pole synchronous motor is controlled using a first magnetic pole position detector, in which another embodiment having a second magnetic pole position detector for detecting a magnetic pole position with a current in a two-phase short-circuit state; It is a block diagram showing an example.
FIG. 13 is a flowchart for detecting the magnetic pole position of the salient pole type synchronous motor using the current in a two-phase short-circuit state in the configuration method of FIG. 12;
14 is a list of arithmetic expressions for calculating the two-phase short-circuit current difference value and the phase of the three-phase short-circuit current differential vector in FIG.
FIG. 15 is a flowchart for performing abnormality determination of a magnetic pole position in FIG. 12;
FIG. 16 is a configuration diagram showing another embodiment for self-diagnosing a failure in magnetic pole position detection in a salient pole synchronous motor having a magnetic pole position detector that detects a magnetic pole position with a current in a two-phase short-circuit state. .
FIG. 17 is a vector diagram showing an example of a relationship among a current vector, a current differential vector, and a magnetic pole position (d-axis) of the synchronous motor.
18 is a vector diagram showing a relationship between a current differential vector at the time of two-phase short-circuit and a current differential vector at the time of three-phase short-circuit in the cylindrical synchronous motor of FIG. 9;
FIG. 19 is a vector diagram showing a relation of a current differential vector generated by a voltage applied to the α-axis of the salient-pole synchronous motor.
20 is a vector diagram showing a relationship between a current differential vector at the time of two-phase short-circuit and a current differential vector at the time of three-phase short-circuit in the salient-pole synchronous motor of FIG. 16;
FIG. 21 is a configuration diagram of a motor control system showing another embodiment of the present invention.
FIG. 22 is a diagram illustrating an area where detection of a magnet position may be reduced.
FIG. 23 is a diagram illustrating a configuration of a
FIG. 24 is a diagram showing a configuration of a current
FIG. 25 is a diagram showing magnetic characteristics of the synchronous motor.
FIG. 26 is a diagram showing characteristics of d-axis inductance.
FIG. 27 is a diagram showing a processing procedure for detecting a magnetic pole position at the time of starting the motor.
FIG. 28 is a diagram illustrating a processing procedure for determining polarity from a torque generation direction and a rotation direction of a rotating shaft of a motor.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (28)
前記コントローラは、前記同期モータが短絡状態のときのモータ電流の変化方向を検出し、磁束方向をd軸,d軸と直交する方向をq軸とするd−q軸座標系を設定し、設定したd−q軸座標系上のd軸電流及びq軸電流を検出し、検出した前記変化方向,前記d軸電流、及びq軸電流に基づいて前記同期モータの磁極位置を演算し、前記磁極位置により前記制御信号を発生することを特徴とする同期モータ制御装置。A synchronous motor control device including a synchronous motor, an inverter that drives the synchronous motor, and a controller that generates a control signal, wherein the inverter drives the synchronous motor based on a control signal generated by the controller. ,
The controller detects a change direction of the motor current when the synchronous motor is in a short-circuit state, and sets a dq-axis coordinate system in which a magnetic flux direction is a d-axis and a direction orthogonal to the d-axis is a q-axis. The d-axis current and the q-axis current on the dq-axis coordinate system, and calculates the magnetic pole position of the synchronous motor based on the detected change direction, the d-axis current, and the q-axis current. A synchronous motor control device for generating the control signal according to a position.
前記コントローラは、前記3相電圧指令値のうち中間の値を指令する相のPWM信号に同期して電流を検出し、その電流により前記同期モータの磁極位置を検出し、検出した前記磁極位置に基づき前記3相電圧指令値を決定することを特徴とする同期モータ制御装置。A three-phase synchronous motor, a controller that generates a PWM signal based on a three-phase voltage command value, and an inverter that drives the synchronous motor based on the PWM signal;
The controller detects a current in synchronization with a PWM signal of a phase that commands an intermediate value among the three-phase voltage command values, detects a magnetic pole position of the synchronous motor based on the current, and detects the magnetic pole position based on the detected magnetic pole position. A synchronous motor control device, wherein the three-phase voltage command value is determined based on the value.
前記コントローラは、前記同期モータが短絡状態のときのモータ電流の変化量または変化方向に基づいて前記同期モータの磁極位置を検出する第1の検出部と、検出した磁極位置に基づき前記出力を発生する制御部とを備え、
更に、前記同期モータの速度が回転停止状態を含む低速での磁極位置を検出する第2の検出部を備え、前記同期モータの速度が回転停止状態を含む低速では前記第2の検出部の出力に基づいてモータを制御し、上記低速より回転速度の大きい領域では第1の検出部の出力に基づいてモータを制御することを特徴とする同期モータの制御装置。A synchronous motor, a controller, and an inverter that drives the synchronous motor based on an output of the controller,
A controller configured to detect a magnetic pole position of the synchronous motor based on a change amount or a change direction of the motor current when the synchronous motor is in a short-circuit state; and to generate the output based on the detected magnetic pole position. And a control unit that performs
Furthermore, a second detector is provided for detecting the magnetic pole position at a low speed including the rotation stop state when the speed of the synchronous motor is low, and an output of the second detection unit is provided at a low speed including the rotation stop state when the synchronous motor speed is low. And controlling the motor based on the output of the first detection unit in a region where the rotation speed is higher than the low speed.
前記第2の検出部は、磁極位置を演算するのに使用する電流を検出するために信号を発生する信号発生手段と、演算された磁極位置がN極方向かあるいはS極方向かを判別する極性判別部と、から構成されることを特徴とする同期モータの制御装置。The control device according to claim 20, wherein
The second detection unit generates a signal for detecting a current used to calculate a magnetic pole position, and determines whether the calculated magnetic pole position is in the N-pole direction or the S-pole direction. A control device for a synchronous motor, comprising: a polarity determination unit.
前記信号発生手段の出力に基づいて前記モータに電流が流れるように前記コントローラから前記インバータにPWMパルスが送られ、上記信号発生手段の出力に基づくモータの電流を検知して磁極位置を演算し、モータを制御することを特徴とする同期モータの制御装置。The control device according to claim 21,
A PWM pulse is sent from the controller to the inverter so that a current flows through the motor based on an output of the signal generation unit, and a magnetic pole position is calculated by detecting a motor current based on an output of the signal generation unit, A synchronous motor control device for controlling a motor.
前記極性判別部は、前記電流制御部のd軸方向に極性判別のための電流指令を印加し、前記同期モータの応答特性の相違に基づいて磁極の極性を判別することを特徴とする同期モータの制御装置。The control device according to claim 21, wherein the control device has a current control unit that controls a torque of the motor,
Wherein the polarity discriminating unit applies a current command for polarity discrimination in the d-axis direction of the current control unit, and discriminates the polarity of a magnetic pole based on a difference in response characteristics of the synchronous motor. Control device.
前記極性判別部は、演算された磁極位置に基づいて得られた磁極位置によって発生される同期モータのトルクと、前記同期モータの回転軸の回転方向と、に基づいて極性を判別することを特徴とする同期モータの制御装置。The control device according to claim 21,
The polarity determining unit may determine a polarity based on a torque of a synchronous motor generated by a magnetic pole position obtained based on the calculated magnetic pole position and a rotation direction of a rotation shaft of the synchronous motor. A synchronous motor control device.
前記第2の検出部の出力信号に基づく電流がモータに供給されることを特徴とする同期モータの制御装置。21. The control device according to claim 20, further comprising: a mechanism for preventing rotation of the synchronous motor, wherein the rotation of the synchronous motor is prevented.
A control device for a synchronous motor, wherein a current based on an output signal of the second detection unit is supplied to the motor.
前記第2の検出部の出力に基づくモータへの電流供給の開始時は、車のブレーキが動作している状態を含む前記電気車の駆動輪の回転が阻止された状態で行われることを特徴とする電気車用制御装置。The control device for an electric vehicle according to claim 26,
When the current supply to the motor based on the output of the second detection unit is started, the current supply is performed in a state in which the rotation of the drive wheels of the electric vehicle is stopped, including a state in which the brake of the vehicle is operating. Control device for electric vehicles.
前記第2の検出部の出力に基づくモータへの電流供給の開始時は、前記電気車の動作レンジがパーキングレンジである状態において行われることを特徴とする電気車用制御装置。The control device for an electric vehicle according to claim 26,
A control device for an electric vehicle, characterized in that at the start of current supply to the motor based on the output of the second detection unit, the operation is performed in a state where the operating range of the electric vehicle is a parking range.
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