JP3597048B2 - フラーレン脂質コンポジットマテリアル - Google Patents

フラーレン脂質コンポジットマテリアル Download PDF

Info

Publication number
JP3597048B2
JP3597048B2 JP18539098A JP18539098A JP3597048B2 JP 3597048 B2 JP3597048 B2 JP 3597048B2 JP 18539098 A JP18539098 A JP 18539098A JP 18539098 A JP18539098 A JP 18539098A JP 3597048 B2 JP3597048 B2 JP 3597048B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fullerene
composite material
range
fullerenes
degree
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18539098A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000016974A (ja
Inventor
道也 藤木
直敏 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP18539098A priority Critical patent/JP3597048B2/ja
Publication of JP2000016974A publication Critical patent/JP2000016974A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3597048B2 publication Critical patent/JP3597048B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラーレン脂質コンポジットマテリアルに関し、さらに詳しくは、フラーレン類と合成脂質との複合構造をあらかじめ形成することによって、水中において極めて安定にフラーレン類の多価アニオン、ラジカルアニオン状態を保持することを可能にするフラーレン脂質コンポジットマテリアルに関する。
【0002】
【従来の技術】
1990年にC60フラーレンの大量合成法が報告されて以来、フラーレン類については多様な機能を発現する新しいカーボンナノクラスターとして基礎物性と実用的見地にたった応用研究が急速に発展している。また近年フラーレンの化学修飾として、フラーレン骨格のエキソヘドラル部に官能基や他の化学結合を組み込むハイブリッドフラーレン分子の研究が盛んになされている。これらのフラーレン類(C60,C70,C82,C86など)とその誘電体における特徴の一つは、他の化学物質群には例を見ないレドックス特性にある。例えば、1,2−ジクロロベンゼン中、テトラ−n−ブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートを支持電解質、フェロセン/フェロセニウム対を参照電極にした条件で、第一酸化電位(oxE1)、第一還元電位(redE1)はそれぞれ、C60で+1.21V、−1.12V、C70で+1.19V、−1.09V、C82で+0.72V、−0.69V、C86で+0.73V、−0.58Vである。また、理論計算によれば、C60のエキソヘドラル部に他の化学構造を結合させることによって、第一還元電位(redE1)に相当する第1LUMOは−1.09Vから−1.28Vまで大きく変化し、第二還元電位(redE2)に相当する第2LUMOも並行して−1.49Vから−1.68Vまで変化する(総説として例えば、鈴木敏泰、DENKIKAGAKU、第64巻、第2ページ(1996年))。1,2−ジクロロベンゼン中における、C60とC60誘導体のサイクリックボルタグラム(CV)測定ならびに微分パルスボルタグラム(DPV)測定から、第一、第二、第三、第四還元状態までは可逆的に観測され、第一、第二酸化状態は非可逆的にしか観測されない。このように、C60,C70,C82,C86などのフラーレン類およびエキソヘドラル誘導体の多価アニオン、ラジカルアニオン状態は、非水性有機溶媒中でのみしか安定に存在することができないため、実用的見地に立てば、非常に限定された利用方法となる。もし、このようなフラーレン類およびエキソヘドラル誘導体の持つ優れた酸化還元能力を、水溶液中においても発現させることができれば、(電気化学的)触媒酸化還元、生理活性、光導電性、磁性など、材料としての機能や特性を飛躍的に向上させることが可能となるため、水中でもフラーレン類の多価アニオン、ラジカルアニオン状態を極めて安定に保持できるフラーレン脂質コンポシットマテリアルの開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フラーレン類と疎水性合成脂質とのコンプレックスをあらかじめ形成することによって、水中においてもフラーレン類の多価アニオン、ラジカルアニオン状態を極めて安定に保持することを可能にするフラーレン脂質コンポジットマテリアルを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、フラーレン類と、下記一般式(I)
【0005】
【化15】
Figure 0003597048
【0006】
(式中、R ,R ,R ,R はそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、重合度nは10〜10,000の範囲である)で表されるポリ(スチレンスルホネート)テトラアルキルアンモニウム塩とからなることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、下記一般式(II)
【0008】
【化16】
Figure 0003597048
【0009】
(式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、ポリ(スチレンスルホネート)テトラアルキルアンモニウム塩の重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R ,R ,R ,R はそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成xは0.01〜0.99の範囲である)で表されることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、フラーレン類と、ポリ(L−グルタメート)と、下記一般式(III )
【0011】
【化17】
Figure 0003597048
【0012】
(式中、R ,R ,R ,R はそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基である)で表されるテトラアルキルアンモニウムとからなり、ポリ(L−グルタメート)の重合度nが10〜10000までの範囲にあることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、下記一般式(IV)
【0014】
【化18】
Figure 0003597048
【0015】
(式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、ポリ(L−グルタメート)の重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R ,R ,R ,R はそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成x、y、zはそれぞれ0.01〜0.99の範囲である。ただし、x+y+z=1である。)で表されることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、フラーレン類と、アルギン酸ナトリウムと、下記一般式(V )
【0017】
【化19】
Figure 0003597048
【0018】
(式中、R ,R ,R ,R はアルキル基であり、それらのいずれか二つが炭素数8以上である)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩とからなり、アルギン酸の重合度nは10〜10000の範囲であることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、下記一般式(VI)
【0020】
【化20】
Figure 0003597048
【0021】
(式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、アルギン酸ナトリウムの重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R ,R ,R ,R はそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成x、y、zはそれぞれ0.01〜0.99の範囲である。ただし、x+y+z=1である。)で表されることを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、フラーレン類と、ヘパリン酸ナトリウムと、下記一般式(VII )
【0023】
【化21】
Figure 0003597048
【0024】
(式中、R ,R ,R ,R はアルキル基であり、それらのいずれか二つが炭素数8以上である)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩とからなり、ヘパリン酸の重合度nは10〜10000の範囲であることを特徴とする。
【0025】
請求項8記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、下記一般式(VIII)
【0026】
【化22】
Figure 0003597048
【0027】
(式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、ヘパリン酸ナトリウムの重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R ,R ,R ,R はそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成x、y、zはそれぞれ0.01〜0.99の範囲である。ただし、x+y+z=1である。)で表されることを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、フラーレン類と、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、下記一般式(IX):
【0029】
【化23】
Figure 0003597048
【0030】
(式中、R ,R ,R ,R はアルキル基であり、それらのいずれか二つが炭素数8以上を有するアルキル基である)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩であり、カルボキシメチルセルロースナトリウムの重合度nが10〜10000までの範囲にあることを特徴とする。
【0031】
請求項10記載の発明に係るフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、下記一般式(X)
【0032】
【化24】
Figure 0003597048
【0033】
(式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、カルボキシメチルセルロースナトリウムの重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R ,R ,R ,R はそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成xはそれぞれ0.01〜0.99の範囲である。ただし、x+y+z=1である。)で表されることを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0047】
本発明のフラーレン脂質コンポジットマテリアルはフラーレン類と、アニオン性ポリマー、すなわち疎水性合成脂質と、四級アルキルアンモニウム塩とからなるコンポジットマテリアル(複合材料)である。あるいは、本発明のフラーレン脂質コンポジットマテリアルは、フラーレン類と四級アルキルアンモニウム塩またはホスホニウム塩とからなる複合材料である。
【0048】
本発明で使用し得るフラーレン類としては、C60,C70,C82,C86などのフラーレンが挙げられる。本発明で使用したフラーレン類はバッキーUSA社から高純度品を試薬として入手できる。
【0049】
本発明で使用する合成脂質(アニオン性ポリマー)としては、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS−と略称する)、ポリ(L−グルタメート)、アルギン酸ナトリウム、ヘパリンナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。これらのアニオン性ポリマーの重合度nは10〜10000が好ましい。
【0050】
アルキルアンモニウムとしては、フラーレン脂質コンポジットマテリアルがアニオン性ポリマーを含むときは、一般式(III )
【0051】
【化29】
Figure 0003597048
【0052】
(式中、R,R,R,Rは上記と同じ意味を持つ)で表されるもの(例えば、ジドデシルジメチルアンモニウム(2C12と略称する)、ジメチルジテトラデシルアンモニウム(2C14と略称する)、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム(2C16と略称する)、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(2C18と略称する)、ジエイコシルジメチルアンモニウム(2C20と略称する)、ジドコシルジメチルアンモニウム(2C22と略称する)、など)を使用することができる。
【0058】
また、ポリイオンコンプレックスであるポリ(スチレンスルホネート)−アルキルアンモニウム塩(アルキルアンモニウム−PSS 塩)やポリ(スチレンスルホネート)−アルキルホスホニウム塩(アルキルホスホニウム−PSS 塩)は、N.ナカシマら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、第B101巻、第215頁(1997年)の方法に従って合成される。一例を挙げれば、ジ−n−テトラデシルジメチルアンモニウム−ポリ(スチレンスルホネート)(2N14 PSS と略称する)は次式に従って合成される。
【0059】
【化32】
Figure 0003597048
【0060】
2C14 PSS の元素分析値を以下に示す。実測値:炭素69.87%、水素11.20%、窒素2.12%、硫黄4.82%、計算値(C3871103 ・1.75H O):炭素69.83%、水素11.49%、窒素2.14%、硫黄4.91%である。
【0061】
本発明のフラーレン脂質コンポジットマテリアルはキャストにより成膜することができる。すなわち、フラーレン/合成脂質有機溶媒溶液、例えばベンゼン溶液をキャストし、風乾し、例えば55℃程度の温度で約30分間アニーリングすることによりフィルムを得ることができる。
【0062】
【実施例】
本発明で使用するフラーレン脂質コンポジットマテリアルの評価はすべてベーサルプレーングラファイト(BPG)電極上のキャスト膜として行った。BPG電極は、まず1500番のエメリー紙で研磨後、粘着テープでピールオフ処理し、その上にフラーレン脂質コンポジットマテリアルのベンゼン溶液を10μlキャストし、室温で10分間風乾した。CV測定はフラーレン脂質コンポジットマテリアル/BPGを作用極、Ag/AgCl(飽和KCl)を参照極、Ptを対極として用いた。測定溶液は0.5Mテトラエチルアンモニウムクロリド(Et Cl )水溶液をAr脱気し溶存酸素を除去した。測定温度は25℃である。
【0063】
本発明のフラーレン脂質コンポジットマテリアルの具体例のレドックス特性を下記実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はフラーレンの化学構造、アルキル鎖構造、重合度、フラーレン/PSS比などについてこれら実施例になんら限定されない。
【0064】
(実施例1)
フラーレン脂質コンポジットマテリアルとして、0.8mMC60/15.2mM2C14 PSS (組成比は1/19、PSS の重合度n=1000)を用いた事例を示す。図1はC60/2C14 PSS /BPG電極のCV特性(CVスキャン速度100mV/秒、測定溶液のpHは5.3)である。−300mV付近にC60/C60 −・、−900mV付近にC60 −・/C60 2−の電極反応に基づく2対の酸化還元波が観測された。このCVを25回以上繰り返すことによって、CV特性が安定化した。同様の測定をpH10.0のアルカリ条件下でも行ったが、結果は同一であった。図2に第一酸化還元波対のピーク電流値とCVスキャン速度の平方根をプロットした。両者はきれいな直線関係にあった。図3に第一酸化還元ピーク電位とCVスキャン速度の対数値をプロットした。CVスキャン速度が0.5V/秒以下の時拡散過程のみがピーク電流に寄与し、0.5V/秒を越えるときはさらに電子移動過程もピーク電流に寄与していることが示された。ここで注目すべき点は、CVスキャン速度が0.5V/秒以下のとき、第一酸化還元ピーク電位間のセパレーションは60mVという理想的な拡散律速の極限値(56mV)にほぼ等しいことである。なお、CVのピーク面積から算出した電気化学的に活性なC60の量は、キャストした全C60の約5%であった。
【0065】
水溶液との接触下、フラーレン脂質コンポジットマテリアル中におけるC60 −・の安定性を調べるため、C60/2C14 PSS /BPG電極を一定時間−600mVに電位を保持し、C60 −・種を発生させた後、再度CV測定を行った。図4に、電位補遺時時間ゼロと90分の時のCVデータを比較した。両者にはほとんど違いが見られず、C60 −・状態がフラーレン脂質コンポジットマテリアル中においていかに安定であるかが証明された。このようなことは従来水中のフラーレン単独膜では達成できなかった。一方、C60 2−状態は−1150mVに電位を保持し安定度を調べたところ数分間も安定であった。このようにフラーレン脂質コンポジットマテリアル中においては、C60のアニオンラジカル、ジアニオン状態が極めて安定であることが実証された。
【0066】
(実施例2)
実施例1で2C14 の代わりに2C12 、2C16 、2C18 、2C20 、2C22 を使用したところ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0067】
(実施例3)
実施例でPSS の代わりに、ポリグルタメート(重合度n=1000)、アルギン酸ナトリウム(重合度n=1000)、ヘパリン酸ナトリウム(重合度n=1000)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(重合度n=1000)を使用したところ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0068】
(実施例4)
フラーレン脂質コンポジットマテリアルとして、0.8mMC70/15.2mM2C14 PSS (組成比は1/19,PSS の重合度n=1000)を用いた特性を示す。図5にC70/2C14 PSS /BPG電極のCV特性(CVスキャン速度100mV/秒、測定溶液のpHは5.3)である。−300mV付近にC70/C70 −・、−900mV付近にC70 −・/C70 2−の電極反応に基づく2対の酸化還元波が観測された。このCVを25回以上繰り返すことによって、CV特性が安定化した。図6に第一酸化還元波対のピーク電流値とCVスキャン速度の平方根をプロットした。CVスキャン速度が0.005V/秒以下の時、両者はきれいな直線関係にあり拡散過程のみがピーク電流に寄与していることが示された。またCVスキャン速度が0.005/秒以下のとき、第一酸化還元ピーク電位間のセパレーションが60mVという理想的な拡散律速の値にほぼ等しい。なお、CVのピーク面積から算出した電気化学的に活性なC70の量は、キャストした全C60の約5%であった。
【0069】
水溶液との接触下、フラーレン脂質コンポジットマテリアル中におけるC70 −・、C70 2−状態の安定性はC60 −・、C70 2−種の状況とほとんど同一であり、C70 −・状態は90分以上、C70 2−状態は数分安定であった。
【0070】
(実施例5)
実施例4で2C14 の代わりに2C12 、2C16 、2C18 、2C20 、2C22 を使用したところ、実施例4と同様の結果が得られた。
【0071】
(実施例6)
実施例4でPSS の代わりに、ポリグルタメート(重合度n=1000)、アルギン酸ナトリウム(重合度n=1000)、ヘパリン酸ナトリウム(重合度n=1000)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(重合度n=1000)を使用したところ、実施例4と同様の結果が得られた。
【0073】
水溶液との接触下、フラーレン脂質コンポジットマテリアル中におけるC60 −・の安定性を調べるため、C60/3C12 /BPG電極を一定時間−500mVに電位を保持し、C60 −・種を発生させた後、電位保持時間ゼロと30分の時のCVデータを比較したが両者にはほとんど違いが見られず、C60 −・状態がフラーレン脂質コンポジットマテリアル中において非常に安定であることが示された。
【0077】
【発明の効果】
本発明で示したように、フラーレン類と疎水性合成脂質との複合構造をあらかじめ形成することによって、フラーレン類の多価アニオン、ラジカルアニオン状態を水中においても極めて安定に保持することが可能になった。このような特性を利用し、フラーレン類が本来有している強力な電子・正孔授受反応に関与した電気化学的な触媒酸化還元、生理活性、光導電性、導電性などの様々な機能性の付与ならびにその特性の飛躍的な向上が期待できる。さらに、フラーレン自身は分子性結晶であるが、PSS のようなアニオン性ポリマー自身がバインダー高分子として薄膜、厚膜、繊維などとして優れた加工性を有しているため、大面積でフレキシブルなあるいはファイバーとして優れたフラーレン類含有の機能性素材として利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたC60/2C14 PSS /BPG電極のCV特性(CVスキャン速度100mV/秒、測定溶液のpHは5.3)を表す図である。
【図2】実施例1で得られたC60/2C14 PSS /BPG電極の第一酸化還元波対のピーク電流値とCVスキャン速度の平方根をプロットした図である。
【図3】実施例1で得られたC60/2C14 PSS /BPG電極の第一酸化還元ピーク電位とCVスキャン速度の対数値をプロットした図である。
【図4】実施例1で得られたC60/2C14 PSS /BPGの電極の電位保持時間ゼロと90分の時のCVデータを比較した図である。
【図5】実施例4で得られたC70/2C14 PSS /BPG電極のCV特性(CVスキャン速度100mV/秒、測定溶液のpHは5.3)を表す図である。
【図6】実施例4で得られたC70/2C14 PSS /BPGの第一の酸化還元波対のピーク電流値とCVスキャン速度の平方根をプロットした図である。

Claims (10)

  1. フラーレン類と、下記一般式(I)
    Figure 0003597048
    (式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、重合度nは10〜10,000の範囲である)で表されるポリ(スチレンスルホネート)テトラアルキルアンモニウム塩とからなることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
  2. 下記一般式(II)
    Figure 0003597048
    (式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、ポリ(スチレンスルホネート)テトラアルキルアンモニウム塩の重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R,R,R,Rはそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成xは0.01〜0.99の範囲である)で表されることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
  3. フラーレン類と、ポリ(L−グルタメート)と、下記一般式(III)
    Figure 0003597048
    (式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基である)で表されるテトラアルキルアンモニウムとからなり、ポリ(L−グルタメート)の重合度nが10〜10000までの範囲にあることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
  4. 下記一般式(IV)
    Figure 0003597048
    (式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、ポリ(L−グルタメート)の重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R,R,R,Rはそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成x、y、zはそれぞれ0.01〜0.99の範囲である。ただし、x+y+z=1である。)で表されることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
  5. フラーレン類と、アルギン酸ナトリウムと、下記一般式(V)
    Figure 0003597048
    (式中、R,R,R,Rはアルキル基であり、それらのいずれか二つが炭素数8以上である)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩とからなり、アルギン酸の重合度nは10〜10000の範囲であることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
  6. 下記一般式(VI)
    Figure 0003597048
    (式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、アルギン酸ナトリウムの重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R,R,R,Rはそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成x、y、zはそれぞれ0.01〜0.99の範囲である。ただし、x+y+z=1である。)で表されることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
  7. フラーレン類と、ヘパリン酸ナトリウムと、下記一般式(VII)
    Figure 0003597048
    (式中、R,R,R,Rはアルキル基であり、それらのいずれか二つが炭素数8以上である)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩とからなり、ヘパリン酸の重合度nは10〜10000の範囲であることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
  8. 下記一般式(VIII)
    Figure 0003597048
    (式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、ヘパリン酸ナトリウムの重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R,R,R,Rはそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成x、y、zはそれぞれ0.01〜0.99の範囲である。ただし、x+y+z=1である。)で表されることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
  9. フラーレン類と、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、下記一般式(IX):
    Figure 0003597048
    (式中、R ,R ,R ,R はアルキル基であり、それらのいずれか二つが炭素数8以上を有するアルキル基である)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩であり、カルボキシメチルセルロースナトリウムの重合度nが10〜10000までの範囲にあることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
  10. 下記一般式(X)
    Figure 0003597048
    (式中、フラーレン類はC60,C70,C82,C86のいずれかを示し、カルボキシメチルセルロースナトリウムの重合度nが10〜10000までの範囲にあり、R,R,R,Rはそれぞれ独立にアルキル基であり、それらのいずれか2つが炭素数8以上を有するアルキル基であり、組成xはそれぞれ0.01〜0.99の範囲である。ただし、x+y+z=1である。)で表されることを特徴とするフラーレン脂質コンポジットマテリアル。
JP18539098A 1998-06-30 1998-06-30 フラーレン脂質コンポジットマテリアル Expired - Fee Related JP3597048B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18539098A JP3597048B2 (ja) 1998-06-30 1998-06-30 フラーレン脂質コンポジットマテリアル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18539098A JP3597048B2 (ja) 1998-06-30 1998-06-30 フラーレン脂質コンポジットマテリアル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000016974A JP2000016974A (ja) 2000-01-18
JP3597048B2 true JP3597048B2 (ja) 2004-12-02

Family

ID=16169982

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18539098A Expired - Fee Related JP3597048B2 (ja) 1998-06-30 1998-06-30 フラーレン脂質コンポジットマテリアル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3597048B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006131517A (ja) * 2004-11-04 2006-05-25 Sony Corp イオン解離性機能分子の製造方法
CN102060290B (zh) * 2010-12-02 2012-09-26 中国科学院理化技术研究所 一种利用生物质燃烧法生产富勒烯的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000016974A (ja) 2000-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Liu et al. Ionic liquids in surface electrochemistry
Wu et al. Platinum nanoparticle modified polyaniline-functionalized boron nitride nanotubes for amperometric glucose enzyme biosensor
Oyama et al. Electrochemical responses of multiply-charged transition metal complexes bound electrostatically to graphite electrode surfaces coated with polyelectrolytes
Nossol et al. Carbon nanotube/Prussian blue thin films as cathodes for flexible, transparent and ITO-free potassium secondary battery
Liu et al. Facile fabrication of conductive polyaniline nanoflower modified electrode and its application for microbial energy harvesting
Barisci et al. Electrochemical quartz crystal microbalance studies of single-wall carbon nanotubes in aqueous and non-aqueous solutions
Gao et al. Electro-oxidative polymerization of phenothiazine dyes into a multilayer-containing carbon nanotube on a glassy carbon electrode for the sensitive and low-potential detection of NADH
Zhao et al. Core-shell self-doped polyaniline coated metal-organic-framework (SPAN@ UIO-66-NH2) screen printed electrochemical sensor for Cd2+ ions
Lakshmi et al. Mesoporous polyaniline nanofiber decorated graphene micro-flowers for enzyme-less cholesterol biosensors
JP2011514439A (ja) カーボンナノチューブと該カーボンナノチューブを分散させるための電解重合可能な界面活性剤とを含む水性組成物
Zhai et al. Electropolymerized toluidine blue O functionalized ordered mesoporous carbon-ionic liquid gel-modified electrode and its low-potential detection of NADH
Yazdi et al. PANI-CNT nanocomposites
Fayemi et al. Electrochemical detection of phenanthrene using nickel oxide doped PANI nanofiber based modified electrodes
CN113410063A (zh) 一种碳纳米管复合电极材料及其制备方法
Ismail et al. Effect of graphene oxide and temperature on electrochemical polymerization of pyrrole and its stability performance in a novel eutectic solvent (choline chloride–phenol) for supercapacitor applications
Yao et al. Amino acid-based imidazole ionic liquid: a novel soft matrix for electrochemical biosensing applications
Martel et al. Electrochemical study of multilayer films built on glassy carbon electrode with polyoxometalate anions and two multi-charged molecular cationic species
Liang et al. Electropolymerisation of brilliant cresyl blue and neutral red on carbon-nanotube modified electrodes in binary and ternary deep eutectic solvents
Elliott et al. Electrochemical characterization of a templated insulating polymer-modified electrode
JP3597048B2 (ja) フラーレン脂質コンポジットマテリアル
US20140212947A1 (en) Electrode including a self-assembling polymer having an organometal, and method for manufacturing same
Kawai et al. Influence of surface termination groups on electrochemical charge storage of MXene electrodes
RU2637258C2 (ru) Электроактивный полимер, электроактивный гибридный наноматериал, гибридный электрод для суперконденсатора и способы их получения
Ueda et al. Dependence of the electrochemical redox properties of fullerenes on ionic liquids
Melato et al. Influence of the electropolymerisation mode on PEDOTh films morphology and redox behaviour—an AFM investigation

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040608

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040831

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040907

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080917

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080917

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090917

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090917

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100917

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees