JP3596918B2 - 防爆機能付き電池 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は防爆機能付き電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ノート型パソコン、ビデオカメラ、移動式電話などの携帯用電子機器の需要が増加している。これらの携帯用電子機器の電源としては、ニッケルカドミウム二次電池やニッケル水素二次電池などのアルカリ二次電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル亜鉛二次電池、アルカリ電池、リチウム電池が用いられている。
【0003】
しかしながら、前記二次電池の場合には過充電により、また、前記一次電池の場合には過放電や誤充電により電池内部にガスが発生し、これにより電池内圧が上昇するため、封口板が吹き飛ぶ、つまり破裂を生じるという問題点があった。
【0004】
このようなことからこれらの電池には、ガス発生により電池内圧が上昇した際にガスを外部に放出させるための安全弁が設けられている。
前記安全弁を備えた電池としては、例えば図4に示す構造を有するものが知られている。正極21は、負極22との間にセパレータ23を介在してスパイラル状に捲回され、有底円筒状の容器24内に収納されている。電解液は、前記容器24内に収容されている。防爆機能及び正極端子を兼ねる封口部材25は、前記容器24の上部開口部に配置されている。前記封口部材25は中央に円形のガス抜き孔26を有する円形の封口板27と、安全弁としての弾性材料からなる弾性弁体28と、ガス抜き孔29が開口された帽子形状の端子キャップ30とから構成されている。前記弾性弁体28は前記封口板27の上面にそのガス抜き孔26を覆うように載置されている。前記端子キャップ30は前記弾性弁体28を包囲するように配置され、溶接により前記封口板27の上面に固定されている。リング状の絶縁性ガスケット31は、前記封口板27の周縁と前記容器24の上部開口部内面の間に配置され、前記上部開口部を内側に縮径するカシメ加工により前記容器24に前記封口部材25を気密に固定している。リードタブのリード(図示しない)は前記正極21に取り付けられている。前記リードタブのタブ32は前記封口板27の下面に取付けられ、かつ中央付近が前記ガス抜き孔26の下方を通過する。前記リードタブは例えばニッケルから形成されている。
【0005】
このような構成の電池において、前記電池内にガスが発生し、ガス圧力が前記封口板27の前記ガス抜き孔26を通して前記弾性弁体28に加わると、前記弾性弁体28は変形して持ち上げられるため、前記封口板27との間に隙間が生じる。その結果、前記ガスが前記隙間及び前記ガス抜き孔29から外部へ逃散するため、破裂を防止することができる。
【0006】
ところで、前述した安全弁を備えた電池は前記リードタブで前記正極21と前記封口部材25との導通を確保することにより前記封口部材25を正極端子として用いる構造になっている。前記タブ32の幅が狭すぎると導通が低下して電池性能が劣るため、前記タブ32の幅は前記封口板27の前記ガス抜き孔26の径よりも大きくなっている。しかしながら、ユーザが前記電池を誤って火中に投入することにより前記電池内の温度が極めて高温になり、前記電池内にガスが発生し、ガス圧力が急激に上昇すると、前記ガス圧力により前記タブ32が前記封口板27の下面に押し付けられて前記ガス抜き孔26を塞ぐため、前記安全弁が作動せず、破裂を生じるという問題点があった。また、ユーザが前記電池を誤って落下させ、この時に前記電極群が前記封口板27に向かって移動されて前記電極群により前記タブ32が前記封口板27に押付けられると、前記タブ32の前記ガス抜き孔26と対向する箇所が折れ曲がって前記封口板27の前記ガス抜き孔26に挿入されるため、前記ガス抜き孔26が塞がれる。このような状態の電池において例えば過充電、過放電等によりガスが発生すると、破裂を生じるという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ユーザの誤使用による破裂が防止された防爆機能付き電池を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる防爆機能付き電池は、容器内に収納され、かつ正極と負極との間にセパレータを介装して作製された電極群と、
前記容器の開口部に取付けられたガス抜き孔を有する封口板と、
前記封口板の外側の面に前記ガス抜き孔を囲むように取付けられた端子と、
前記封口板と前記端子との間に前記ガス抜き孔を塞ぐように配置された弾性弁体からなる復帰式安全弁と、
一端が前記正極もしくは前記負極に取付けられ、かつ他端が前記電極群と対向する前記封口板面に取付けられた帯状のリードとを備えた防爆機能付き電池において、
前記封口板の前記リードの他端が取付けられた面における前記ガス抜き孔の周縁に複数の突起が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
前記複数の突起は、前記電池内が極めて高温になり、これにより前記電池内にガスが発生した際に熱及びガス圧力により変形せず、かつ電解液と反応しない材料から形成されることが好ましい。このような材料としては、ニッケル、ニッケルメッキが施された鋼板を挙げることができる。
前記帯状リードは、例えばニッケルや、ニッケルメッキ鋼板から形成することができる。
【0010】
【作用】
本発明の防爆機能付き電池によれば、ユーザが誤って火中に投入する等により容器内の温度が極めて高温になると、前記容器内にガスが発生してガス圧力が急激に上昇する。このガス圧力により帯状リードが封口板に向かう方向に押し上げられた際に、前記封口板は前記電極群と対向すると共に前記ガス抜き孔の周縁に位置する複数の突起を有するため、押し上げられた帯状リードは前記複数の突起の下端に当接する。従って、前記複数の突起が前記帯状リードの上方への移動を規制するストッパとして機能するため、前記帯状リードにより前記ガス抜き孔が塞がれるのを防止することができる。その結果、前記容器内のガスは前記封口板と前記突起及び前記帯状リードで区画された空間と、前記封口板の前記ガス抜き孔とを通して安全弁に圧力を加えてこれを作動させるため、前記ガスは外部へ逃散することができ、破裂を防止することができる。
【0011】
また、ユーザが前記電池を誤って落下させ、これにより電極群が前記封口板に向かって移動されると、前記電極群により前記帯状リードが前記封口板に向かう方向に移動されて前記複数の突起の下端に当接する。その結果、前記帯状リードがこれらの突起により支持されるため、前記帯状リードの前記ガス抜き孔と対向する箇所が折れ曲がって前記ガス抜き孔に挿入されるのを防止することができ、前記ガス抜き孔が塞がれるのを回避することができる。従って、前記電池において例えば過充電、過放電等によりガスが発生した際に、破裂を生じるのを防止することができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
実施例
図1は本発明に係る防爆機能付き電池を示す断面図である。
【0013】
正極1は、負極2との間にセパレータ3を介在してスパイラル状に捲回されて有底円筒状の容器4内に収納されている。前記負極2は作製された電極群の最外周に配置されて前記容器4と電気的に接触している。電解液は、前記容器4内に収容されている。防爆機能及び端子(例えば正極端子)を兼ねる封口部材5は、前記容器4の上部開口部に配置されている。前記封口部材5は、円形の封口板6と、安全弁としての例えば合成ゴムからなる弾性弁体7と、ガス抜き孔8が開口された帽子形状の端子キャップ9とから構成されている。前記封口板6は、例えば図2に示すように中央に直径が3mmの円形のガス抜き孔10が開口されており、下面の前記ガス抜き孔10の周縁に例えばニッケルからなる3個の円柱形突起11が点対称に形成されている。前記各突起11の半径は、例えば1mmである。前記弾性弁体7は前記封口板6の上面にそのガス抜き孔10を覆うように載置されている。前記端子キャップ9は前記弾性弁体7を包囲するように配置され、溶接により前記封口板6の上面に固定されている。リング状の絶縁性ガスケット12は、前記封口板6の周縁と前記容器4の上部開口部内面の間に配置され、前記上部開口部を内側に縮径するカシメ加工により前記容器4に前記封口部材5を気密に固定している。帯状リードとしてのリードタブ13のタブ14は例えば長さが15mmで、幅が4mmのニッケル板から形成されている。前記タブ14は前記封口板6の下面に取付けられ、中央付近が前記ガス抜き孔10の下方を通過する。前記リードタブ13のリード15は、例えばニッケルから形成され、図3に示すように前記正極1の長手方向に沿う一方側の端部に取付けられている。
【0014】
このような構成の防爆機能付き電池によれば、ユーザが誤って火中に投入する等により電池内の温度が極めて高温になると、前記電池内にガスが発生してガス圧力が急激に上昇する。このガス圧力によりリードタブ13のタブ14が封口板6に向かう方向に押し上げられた際に、前記封口板6は前記電極群と対向すると共に前記ガス抜き孔10の周縁に位置する複数の突起11を有するため、押し上げられたタブ14は前記複数の突起11の下端に当接する。従って、前記複数の突起11が前記タブ14の上方への移動を規制するストッパとして機能するため、前記タブ14により前記ガス抜き孔10が塞がれるのを防止することができる。その結果、前記電池内のガスは前記封口板6と前記突起11及び前記タブ14で区画された空間と、前記封口板6の前記ガス抜き孔10とを通して弾性弁体7に圧力を加えるため、前記弾性弁体7が変形して持ち上げられ、前記封口板6との間に隙間が生じる。このため、前記ガスは前記隙間及び端子キャップ9のガス抜き孔8から外部へ逃散し、破裂を防止することができる。
【0015】
また、ユーザが前記電池を誤って落下させ、これにより電極群が前記封口板6に向かって移動されると、前記電極群により前記タブ14が前記封口板6に向かう方向に移動されて前記複数の突起11の下端に当接する。その結果、前記タブ14がこれらの突起11により支持されるため、前記タブ14の前記ガス抜き孔10と対向する箇所が折れ曲がって前記ガス抜き孔10に挿入されるのを防止することができ、前記ガス抜き孔10が塞がれるのを回避することができる。従って、前記電池において例えば過充電、過放電等によりガスが発生した際に、破裂を生じるのを防止することができる。
【0016】
本発明に係わる防爆機能付き電池の優れた特性は以下に示す実験により確認された。
まず、下記構成の正極1、負極2、ポリアミド繊維製不織布からなるセパレータ3、7規定のKOH及び1規定のLiOHからなるアルカリ電解液を用いて前述した図1に示す構造を有するAAサイズのニッケルカドミウム二次電池を組み立てた。前記正極1は、活物質としての水酸化ニッケル粉末と、酸化コバルトと、高分子結着剤とを含むペーストを調製し、これを帯状のフェルト状金属繊維多孔体にその長手方向に沿う一方側の端部のリード溶接箇所を除いて充填し、乾燥した後、ローラプレスで圧延することにより作製された。なお、前記リードタブ14の前記リード15は前記正極1の長手方向に沿う一方側の端部に溶接されている。一方、前記負極2は、活物質としての酸化カドミウムと、ニッケル粉末と、高分子結着剤とを含むペーストを調製し、前記ペーストをパンチドメタルに塗布し、これを乾燥させた後、ローラプレスで圧延することにより作製された。
【0017】
また、比較例として突起が設けられていない封口板を用いた以外、実施例と同様なAAサイズのニッケルカドミウム二次電池を用意した。
得られた実施例及び比較例の二次電池それぞれ50個について火中に投入した際の破裂の有無を調べ、その結果を下記表1に示す。
【0018】
表1から明らかなように、前記電極群と対向すると共に前記ガス抜き孔の周縁に位置する複数の突起を有する封口板を備えた実施例の電池は、火中に投入された際の破裂が皆無であることがわかる。これに対し、突起が設けられていない封口板を備えた比較例の電池は、火中に投入された際に破裂を生じることがわかる。
【0019】
なお、前記実施例では、円柱形の突起を有する封口板を用いたが、例えば角柱形、氷柱形の突起を用いても良い。
前記実施例では、突起の数を3個にしたが、前記突起の数は、ガス圧力、あるいは前記電極群によって前記帯状リードが前記封口板に向かう方向に移動された際にこの帯状リードの移動を規制することができ、かつ前記帯状リードが前記突起の下端に当接された状態の時に前記封口板と前記突起及び前記帯状リードで区画される空間を通過したガスが前記弾性弁体を持ち上げることが可能であれば何個でも良い。
【0020】
前記実施例では、封口板のガス抜き孔の周縁に3個の突起を互いに等間隔を隔て配置したが、前記突起の配置は、ガス圧力、あるいは前記電極群によって前記帯状リードが前記封口板に向かう方向に移動された際にこの帯状リードの移動を規制することが可能であれば、点対称にしなくても良い。
【0021】
前記実施例では安全弁として前述した図1に示す弾性弁体からなり、弁作動後に再び封口板のガス抜き孔を密閉する復帰式のものを用いたが、安全弁としては前記封口板と前記端子キャップとの間に前記封口板のガス抜き孔を覆うように介装された弁膜(例えば可撓性薄膜から形成される)からなる非復帰式のものを用いることができる。前記非復帰式の安全弁を備えた電池では、前記電池内のガスが前記封口板の前記ガス抜き孔を通して前記弁膜に圧力を加え、これを破断する。従って、前記ガスは前記弁膜の破断箇所及び前記端子キャップの前記ガス抜き孔から外部に逃散し、前記電池の破裂が防止される。
【0022】
前記実施例では、円筒形のニッケルカドミウム二次電池に適用した例を説明したが、角形のニッケルカドミウム二次電池にも同様に適用することができる。
前記実施例では、ニッケルカドミウム二次電池に適用した例を説明したが、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム電池にも同様に適用することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の防爆機能付き電池によれば、火中に投入される等により電池内のガス圧力が急激に上昇した際の破裂を防止することができると共に落下により折れ曲がった帯状リードが封口板のガス抜き孔に挿入され、この状態においてガスが発生した際の破裂を防止することができ、安全性及び信頼性を向上できるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる防爆機能付き電池を示す部分断面図。
【図2】本発明に係わる防爆機能付き電池に組み込まれる封口板とリードタブのタブを示す平面図。
【図3】本発明に係わる防爆機能付き電池に組み込まれるリードタブが取付けられた正極を示す斜視図。
【図4】従来の防爆機能付き電池を示す部分断面図。
【符号の説明】
1…正極、2…負極、3…セパレータ、4…容器、10…ガス抜き孔、6…封口板、7…弾性弁体、9…端子キャップ、12…絶縁ガスケット、13…リードタブ、14…タブ。
Claims (1)
- 容器内に収納され、かつ正極と負極との間にセパレータを介装して作製された電極群と、
前記容器の開口部に取付けられたガス抜き孔を有する封口板と、
前記封口板の外側の面に前記ガス抜き孔を囲むように取付けられた端子と、
前記封口板と前記端子との間に前記ガス抜き孔を塞ぐように配置された弾性弁体からなる復帰式安全弁と、
一端が前記正極もしくは前記負極に取付けられ、かつ他端が前記電極群と対向する前記封口板面に取付けられた帯状のリードとを備えた防爆機能付き電池において、
前記封口板の前記リードの他端が取付けられた面における前記ガス抜き孔の周縁に複数の突起が形成されていることを特徴とする防爆機能付き電池。
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JP29254994A Expired - Fee Related JP3596918B2 (ja) | 1994-11-28 | 1994-11-28 | 防爆機能付き電池 |
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1994
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