JP3596874B2 - 偏心式無段変速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明は無段変速装置、即ち入力軸と出力軸を有し入力軸に入力された回転を無段階に変速して前記出力軸に出力する無段変速装置に関するものである。
【0002】
特に、入力軸からの回転力によって1次の回転軸の周りに回転する、直線状のカム溝の案内部を備えた入力側案内手段と、この案内部に係合し、2次の回転軸の周りに回転する一対のクランク部材を備え、各クランク部材の1次の回転軸と2次の回転軸の軸間距離を変えて、即ち入力側案内手段に対してクランク軸を偏心回転させて一対のクランク部材の回転軸に出力される高速回転と低速回転の変化を利用した新規な偏心式無段変速装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、無段変速機としては、Vベルト式あるいは摩擦車方式のものが多く知られている、また入力軸の偏心回転運動を往復運動に変え、この往復運動に振幅の変化を与え、一方クラッチを使用してこの振幅の変化を出力軸で回転運動に変換する方式の無段変速機も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Vベルト式あるいは摩擦車方式の無段変速機は、高負荷時に滑りが生じるという難点があり、また回転運動を往復運動に変換するものは、伝達効率が低く、エネルギー損失が大きいという問題がある。さらに回転運動を往復運動に変換するものにおいては出力側で回転運動に変換するときに脈動が生ずるという問題がある。
【0005】
また、カムや歯車を使用した無段変速機も従来から各種提案されているが、これらの変速機では、差動歯車装置や遊星歯車装置における回転制御部分で摩擦損失が多く、伝達効率が十分でないという欠点がある。従って、高負荷にも滑りを生ずることもなく安定して作動し、伝達効率が高く、エネルギー損失が低く、かつ脈動を生ずることもない無段変速機が要望されている。
【0006】
本発明は、前述の事情に鑑み、高負荷にも滑りを生ずることがなく、安定して作動し、伝達効率が高く、エネルギー損失が低く、かつ脈動を生ずることもなく等速回転で出力する無段変速装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
更に、本発明は、脈動の原因となる往復運動を用いることなく、回転運動のまま効率良く、しかも減速から増速まで、さらに順回転から逆回転まで広い範囲に亘って無段階に変速することを可能にした偏心式無段変速装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による偏心式無段変速装置は、入力軸と出力軸を有し、入力軸に入力された回転を無段階に変速して出力軸に出力する無段変速装置であって、入力軸からの回転力によって1次回転軸の周りに回転自在であり、1次回転軸に直角に直線状に延びた案内部を有する一対の案内手段と、1次回転軸と平行な2次回転軸の周りに回転自在であり、一対の案内手段の各案内部に1次回転軸を挟んで反対側に摺動可能に係合された一対の従動子を先端に有する一対のクランク部材2組と、この2組のクランク部材の回転出力を組み合わせて入力軸に入力された回転に対して変速された出力を取り出し、出力軸に伝達する出力機構と、1次回転軸に対して2次回転軸を偏心させ、両回転軸の軸間距離を変えることにより入力軸に入力された回転に対して出力軸に伝達される回転出力の変速比を変化させる変速比制御機構とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
一対の案内手段の各案内部の案内手段の回転方向における位相を互いに90°ずらせて、偏心回転から発生する脈動を等速回転に変換して出力することが好ましい。
【0010】
一対の案内手段は、例えば2枚の回転カム板とし、案内部をその回転カム板に形成された直線状のカム溝とすることができる。カム溝は回転板の中心を跨ぐように、即ち中心から放射状に直径に沿って延びており、例えば平行な2本の突条により形成されてもよいし、回転板の表面に掘られた溝により形成されてもよい。
【0011】
一対の案内手段の1次回転軸は、具体的には例えば互いに離れており、各案内手段の案内部に係合する各一対のクランク部材の2次回転軸同士も互いに離れているように構成することができる。
【0012】
また、一対の案内手段と、夫々の案内手段の案内部に係合された2組のクランク軸とからなるアセンブリを2個備え、合計4個の案内手段に対して、合計8個のクランクピン(従動子)が係合し、各アセンブリからの出力を組み合わせることもできる。また、出力機構は、2組のクランク部材の回転力を、タイミングカムとメッシュギアを使用して断続させて組み合わせたものとすることができる。
【0013】
2組のクランク部材の回転出力を組み合わせ、入力軸に入力された回転に対して変速された出力を取り出して出力軸に伝達する出力機構としては、タイミングカムとメッシュギアを使用することができる。即ち、クランク軸は、その回転軸の偏心により高速回転するときと低速回転するときがあるが、タイミングカムとメッシュギアを使用することにより、必要な回転速度のみを選択して組み合わせることができ、それにより、安定した定速の出力を取り出すことができる。
【0014】
前記一対のクランク部材の回転軸は、同軸すなわち共に前記2次の回転軸の周りに回転するが、その構造は、一方の軸が他方の軸の中に同軸に位置するように二重の軸とすることができる。すなわち、一方の軸を中空(パイプ)とし、他方の軸をその中に回転自在に設けることができる。詳細は図面を用いて後述する。
【0015】
1次回転軸に対して2次回転軸を偏心させて両回転軸の軸間距離を変えることにより、入力軸に入力された回転に対して出力軸に伝達される回転出力の変速比を変化させることができる。これは、その偏心の大きさにより、案内手段の回転からクランク軸の回転に伝達される回転比が変化するからであって、実際は一対のクランク軸の各々で回転角速度が異なり、かつ夫々変化するから、それらの回転を2組一対のクランク軸から取り出して組み合わせなければならない。その組み合わせにより、定速の出力が得られ、かつ偏心の大きさによりその速度を変えることができ、最終的に変速比を変えることができる。原理的に、後に説明する実施例では、変速比はマイナス1.5からプラス1.5までで、ゼロ即ち、回転の伝達をしない態様も含んで、正(順回転)から負(逆回転)に至る変速を可能にすることができる。
【0016】
一方のクランク部材には上記カム板の一方のカム溝に係合する、クランクピン(従動子)が固設され、他方のクランク部材には、上記カム板の他方のカム溝に係合する、クランクピン(従動子)が固設されて、上記カム板の回転に伴って上記一対のクランク二重軸(以下、クランク二重軸という)が互いに独立に回転駆動されるようになっている。
【0017】
2組一対のカム板のカム溝の方向は回転中でも常に互いに90°の位相差を有するように設定されている、そのため各カム板にそれぞれ連結された上記一対のクランク軸の回転軸心の偏心方向とは、一方のカム板のカム溝の延長方向と、このカム板に連結されている一対のクランク軸の回転軸心の偏心方向とのなす角度関係が、他方のカム板のカム溝の延長方向と、この他方のカム板に連結されている一対のクランク軸の回転軸心の偏心方向とのなす角度関係に対しても、常に互いに90°の位相差を有するように設定されている。
【0018】
また、一方のカム板に連結された一対のクランク部材には、高速側の回転速度を選択して駆動力が取り出される駆動用タイミングカムとメッシュギア機構が連結され、他方のカム板に連結された一対のクランク部材には、低速側の回転速度を選択して前記駆動力に対しリターン力を作用させるリターン用タイミングカムとメッシュギア機構が連結されている。
【0019】
更に、両一対のクランク部材の軸心の偏心距離(軸間距離)Dxを同時に同一量だけ増減して変速比を変更する変速比変更手段(変速比可変機構)が設けられている。上記駆動側およびリターン用メッシュギア機構は、それぞれ2個のメッシュギアを備えており、また、上記第1および第2の変速機構(以下、第1第2機構)のメッシュギア出力側には、夫々第1および第2の差動歯車装置(以下、第1、第2差動機構)が付設されていることが好ましい。
【0020】
上記変速比変更手段は、所定の回動軸心の周りで所定の角度範囲に亘って回動可能な支持箱を備え一対のカム板が、上記回動軸心の回りに互いに90°の角度で位相差を保ち、かつこの回動軸心から等距離の位置において、それらの軸心を上記回動軸心と平行に保った状態で上記支持箱の両側板面に回転自在に軸支させていることが好ましい。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、入力軸からの回転力によって1次回転軸の周りに回転自在であり、1次回転軸に直角に直線状に延びた案内部を有する一対の案内手段と、1次回転軸と平行な2次回転軸の周りに回転自在であり、一対の案内手段の各案内部に1次回転軸を挟んで反対側に摺動可能に係合された一対の従動子を先端に有する一対のクランク部材2組と、2組のクランク部材の回転出力を組み合わせて入力軸に入力された回転に対して変速された出力を取り出し、出力軸に伝達する出力機構と、1次回転軸に対して2次回転軸を偏心させ、両回転軸の軸間距離を変えることにより入力軸に入力された回転に対して出力軸に伝達される回転出力の変速比を変化させる変速比可変機構とを備えており、偏心回転を利用していても、入力側の回転運動を往復運動に変換せずに回転運動のまま等速回転運動に変換することが可能であるので、安定して作動し、伝達効率が高く、エネルギー損失が低く、かつ脈動を生じることもない無段変速装置が得られる。
【0022】
例えば、双方のカム板に連結された一対のクランク軸の偏心距離を同一方向に同一距離だけ変更することにより、入力軸の回転数に対する出力軸の回転数を、正逆回転ともゼロ倍から1.5倍程度にまで広範囲にかつ無段階に変速することが可能となる。
【0023】
一対の案内手段の各案内部の案内手段の回転方向における位相を、互いに90°ずらしている場合は、脈動の原因となる偏心回転を等速回転に変換し、しかも往復運動を用いることなく、回転運動のまま効率良く、減速から増速まで広い範囲に亘って無段階に変速することができる。一対の案内手段が、例えば、2枚の回転カム板とし、案内部をその回転カム板に形成された、直線状のカム溝とした場合には、案内手段の構成を簡単にできる。
【0024】
一対の案内手段の1次回転軸は、具体的には例えば互いに離れており、各案内手段の案内部に係合する各一対のクランク部材の2次回転軸同士も互いに離れている場合には、伝達効率が高く、エネルギー損失が低い無段変速装置が得られる。
【0025】
また、一対の案内手段と、それぞれの案内手段の案内部に係合された2組のクランクピンとからなるアセンブリを2個備えた場合は、合計4個の案内手段に対して、合計8個のクランクピンが係合することとなり、各アセンブリからの出力を組み合わせて、安定した出力を取り出すことができる。
【0026】
更に、出力機構が、2組のクランク部材の回転出力を、タイミングカムとメッシュギアを使用して断続させて組み合わせた場合は、2組のクランクが交互に作動するから、満遍なく無理もなく回転力を取り出することができる。
【0027】
更に、カム板のカム溝にクランクピンを係合させた構成は歯車の噛合関係に相当するので、滑りを生じたり、エネルギーが損失したりすることもなく高負荷に耐えることができる利点がある。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明による偏心式無段変速装置の好ましい実施の形態について詳細に説明する。最初に、本発明による偏心式無段変速装置の原理的な構成について説明する。
【0029】
図1は、本発明による偏心式無段変速装置が備えている基本的な部材の構成を概略的に示す分解斜視図である。これ等の部材は、本発明の偏心式無段変速装置の基本的な構成を形成する。この基本的な構成は、第1カム本体100Aと一対の1番クランク部材14Eおよび2番クランク部材14Fとの組合わせに加えて、それと同様の構成を有する第2カム本体100Bと、一対の3番クランク部材24Eおよび4番クランク部材24Fとの組合わせを備えている。この組合わせにより偏心式無段変速装置本来の機能を発揮することができる。
【0030】
その第1第2変速機構の2機構一組の組合わせに対し、第3第4の変速機構の2機構一組を加えて2機構二組にし、合計4機構になると連続回転をより円滑にしている。従って、第3カム本体は100C、第4カム本体は100D、クランク部材は5番6番が34E,34F、7番8番が44E,44Fとなる。
【0031】
前記のように追加の組合わせの各構成要素は、図1に示すように第1の各構成要素を示す符号の10番台を代表に10づつ加算して(第2〜第4を20番台から40番台)で示し、また、同じ番号を使用したときには末尾に、第1をAとして(第2〜第4はB,C,D)を付記している、なお、一対、または、ペア(それは、カム溝、クランクのストレート軸とパイプ軸、アーム、ピン、そしてクランク部材、メッシュギアの入力側と出力側、等)の装備には番号の末尾にEとFを付記している。カム軸心は第1を1から始めて(第2〜第4を3,5,7)の奇数で示し、クランク軸心は第1を2から始めて(第2〜第4を4,6,8)の偶数で示している、このように、全て括弧に入れて示し符号分けしている。
【0032】
図1(a)はカム本体100A(100B,100C,100D)を示し、図1(b)ではクランク本体の1番および3番クランク部材14E(24E,34E,44E)を示し、図1(c)ではクランク本体の2番および4番クランク部材14F(24F,34F,44F)を示す、図1(d)では1番クランク部材14Eと2番クランク部材14Fの両クランク部材を組み合わせた状態を示し、別途、クランクストレート(普通)軸15E(25E,35E,45E)にクランクパイプ(中空)軸15F(25F,35F,45F)を嵌合させて二重の軸にした一対の二重軸クランク本体は110A(110B,110C,110D)の符号で、そして、ストレート軸の15Eとパイプ軸の15Fを嵌合させた、クランク二重軸そのものには15EF(25EF,35EF,45EF)の符号を付けている。
【0033】
以下、第1カム本体100A、1番クランク部材14Eおよび2番クランク部材14Fを基本に説明する。図1(a)に示すように、第1カム本体100Aは第1カム軸(1次回転軸)12の先端に芯出し用の円板、即ち第1カム板(案内手段)11が固着されて構成される。第1カム軸12の軸心L1に対し、直角な第1カム板11の面上の略真中に直線状の畦102(第1〜第4全ての畦に共通の番号)が互いに離隔していて2本盛り上がり形成されている。その畦102と畦102の間には、第1カム板11の中心から両側に分かれて、放射状に直線で延びる第1カム溝(案内部)13E,13Fが形成されている。
【0034】
次に図1(b)に示すように、1番クランク部材14Eはストレート軸15Eと1番クランクアーム16Eを有する。1番クランクアーム16Eは、ストレート軸15Eの端部から鍵型に折れ、即ち、ストレート軸15Eと直角に形成されている。そしてアーム16Eには芯出し用の錘104(1番、3番、5番、7番の心出し錘に共通番号)が形成され、錘104と反対側のアーム16Eの先端に1番クランクピン(従動子)17Eがストレート軸15Eと平行且つ逆向きに突出している。これらが固着されて一体となりクランク部材14Eを構成している。
【0035】
次に、図1(c)を参照して2番クランク部材14Fについて説明する。説明に当って文面からは符号に囲った括弧を除去して示す。そして図2以後の符号でも、全て括弧を除去して各構成毎にA〜DやEとF、また、1〜8、それに10〜40の手法を用いて示す。
【0036】
2番クランク部材14Fのパイプ軸15Fから鍵型に折れて2番クランクアーム16Fが形成されており、このアーム16Fにも同様に、芯出し用の錘106(2番、4番、6番、8番の心出し錘に共通番号)が形成されている。ここでも同様に、錘106と反対側のアーム先端に2番クランクピン(従動子)17Fが突設され、それぞれが固着されて一体となり2番クランク部材14Fを構成している。
【0037】
次に、図1(d)を参照して一対の二重軸クランク本体について説明する。1番クランク部材14Eのストレート軸15Eに2番クランク部材14Fのパイプ軸15Fを嵌合させて二重軸が構成される。そして、クランク二重軸15EF(以下、クランク二重軸は、符号の末尾にEFを連記する)の軸心L2を中心として回転自在に組付けられている。こうして1番クランク部材14Eと2番クランク部材14Fとを組み合わせることにより一対の二重軸クランク本体(2次回転軸)110Aが構成される。
【0038】
1番クランク部材14Eと2番クランク部材14Fとで構成されたクランク二重軸15EFの軸心L2から、1番クランク部材14Eと2番クランク部材14Fの夫々のクランクピン17E,17Fのピン心までの距離をR1として一定にすれば、同じクランクピン心回転軌道(以下、ピン軌道という)Rx(図2〜図10)が描き出される。このピン軌道Rxについては、後述する。
【0039】
次に、第1二重軸クランク本体110Aと第1カム本体100Aとの係合関係について説明する。第1カム軸12の軸心L1とクランク二重軸15EFの軸心L2を、平行のまま互いに離隔するようにやや「ずらし」て、1番および2番のクランクピン17E,17Fと第1カム板11を向い合わせた状態とする。次に、第1カム溝13Eには1番クランクピン17Eを、第1カム溝13Fには2番クランクピン17Fを進入させて、2本のピン17E,17Fを第1カム溝13E,13Fに同時に係合させる。
【0040】
このことは、第1カム板11の第1カム溝13Eに1番クランクピン17Eが係合し、第1カム溝13Fにも2番クランクピン17Fが係合していて、回転力をストレート軸15Eとこの外側に位置するパイプ軸15Fからなるクランク二重軸15EFに、1番クランクピン17Eと2番クランクピン17Fを介して伝達することを示している。
【0041】
本発明の偏心式無段変速装置で無段階に変速を行うための基本的構成が、これら第1カム板11面上のカム溝13E,13Fと1番および2番のクランクピン17E,17Fの組合せである。また、カム板のカム溝にクランクピンを係合させた構成は歯車の噛合関係に相当するので、高負荷に耐えることができるという利点がある。
【0042】
一般に無段変速機ではカム板のようなものの円盤の平面に転がり車を圧着させて、中心付近と外側の円周差を利用し、摩擦力により回転させて無段変速を行うものが多い。
【0043】
本発明の第1カム板11は、芯出し用の円盤の役割をしており、第1カム溝13E,13Fからなる案内溝を備えている、そして、その溝に1番および2番のクランクピン17E,17Fが深く噛み合っているから滑りが生じない。また、第1カム溝13E,13Fが歯車の二枚歯に、1番および2番のクランクピン17E,17Fが一枚歯の歯車に相当するので、この噛み合いは、歯車の噛み合いと同様に高負荷に耐えられる。
【0044】
次に、図2を参照して変速の態様についてを説明する。図2は、本発明の偏心式無段変速装置に使用される第1および第2カム板の回転軸心に対するクランク軸心の偏心度合をピン軌道Rxとともに示す概略説明図であり、出力が正回転の場合を示す。具体的には、第1カム軸12の軸心L1と、1番クランク部材14Eのストレート軸15Eと、2番クランク部材14Fのパイプ軸15Fからなるクランク二重軸15EFの軸心L2との位置関係を示す平面図である。図2(a)は、第1カム軸12の軸心L1とクランク二重軸15EFの軸心L2が、重なっている、即ち偏心していない状態を示し、図2(b)は、第1カム軸12の軸心(以下、カム軸心)L1と、クランク二重軸15EFの軸心(以下、クランク軸心)L2が「ずれ」ている状態を示し、図2(c)はカム軸心L1とクランク軸心L2が(b)に示したものよりさらに「ずれ」ている状態を示し、図2(d)はカム軸心L1とクランク軸心L2が(c)に示したものよりさらに「ずれ」ている状態を示したものである。
【0045】
本発明の偏心式無段変速装置は無段階で変速するものであるから偏心も無段階で行なわれるが、その偏心範囲の中から、4位置を抽出して図解する。即ち図2(a),図3(a)の無偏心状態と、図2(b),図3(b)の八分の三半円、そして、図2(c),図3(c)の四半円と、図2(c),図3(c)の八分の一半円位置である。この理由は変速比に端数が出ず、計算上区切りが良いためである。図2,図3,図4と後述の図12,図13,図14,図15は、この4位置にのみ絞って説明するものである。
【0046】
まず、図2全体に示すように、外側の大きい円が第1カム板11で、内側の小さい円は1番クランクピン17Eと2番クランクピン17Fの、ピン軌道Rxを表している、そして外側の大きい円の中心はカム軸心L1で内側の小さい円の中心がクランク軸心L2を示している。そして、太い実線は、1番クランクアーム16E,2番クランクアーム16FでR1は長さを表している。3番、4番のクランクアーム26E,26Fも全て長さR1を同じにすることが無段階に偏心回転させる重要な条件である。そのため、ピン軌道Rxには一定の精度が要求される。
【0047】
なお、図2の中の各クランクアーム16E,16Fの先端に表示している、丸印が1番クランクピン17Eで、二重丸印が2番クランクピン17Fを示す。そして丸印と二重丸印を結んでいる、第1カム板11の直径上に示した2本の実線は第1カム溝13E,13Fを表している。図2(a)を参照すると、カム軸心L1に対してクランク軸心L2の位置が図のように合致している状態、即ち無偏心状態では、1番および2番のクランクアーム16E,16Fが水平線上になってクランクアーム16E,16Fの先端のクランクピン17E,17Fが第1カム溝13E,13Fに係合している。
【0048】
従って、第1カム板11を反時計方向に回転させた場合、第1カム溝13E,13Fも反時計方向に回転する。第1カム溝13E,13Fと係合した1番クランクピン17E,2番クランクピン17Fも同方向に回転しクランク二重軸15EFを構成するストレート軸15Eおよびパイプ軸15Fも同方向に同速度で回転することが明らかである。
【0049】
次に、図2(b)に示すように、カム軸心L1に対してクランク軸心L2の位置が「ずれ」ている場合、即ち偏心している場合について説明する。この場合、「ずれ」とはカム軸心L1と、クランク軸心L2が離隔した距離、即ち偏心距離Dxのことを言う。図2(b)においてDxは偏心位置を示す一つの例として、シェードの部分の円周がピン軌道Rxの円周の八分の五で、ピン軌道Rxの白無地部分の円周が八分の三になるように設定されている。
【0050】
このような偏心状態ではクランクアーム16E,16Fは、への字に曲がりカム軸心L1とクランク軸心L2が互いに平行のまま、カム溝13E,13Fに1番クランクピン17E,2番クランクピン17Fが、夫々係合した状態となっている。図2(b)においては、ピン軌道Rxに対してカム軸心L1とクランク軸心L2が互いに離(ずれ)れている距離、即ち偏心距離Dxは、Dx=R1 sin(π/8)となり八分の三半円の偏心状態となる。
【0051】
次に、回転の態様について説明する。図2(b)に示す状態から、第1カム板11を反時計方向に1/2回転させると、第1カム溝13Eに係合している1番クランクピン17Eは、ピン軌道Rx上の塗り潰してある八分の五半円側を通過するから大きな弧を描いて高速回転となる。その時、クランクピン17Eは、図2(b)に示すクランクピン17Fの位置に移動することになる。
【0052】
他方、第1カム溝13Fに係合している2番クランクピン17Fは、ピン軌道Rx上を白無地の八分の三半円側を通過するから、こちらでは小さな弧の短い距離を移動するだけですむので低速回転となる。その時、こちらでもクランクピン17Fは、図2(b)に示すクランクピン17Eの位置に移動する。
【0053】
更に1/2回転させるとクランクピン17Eは白無地で低速ピン軌道Rx上の八分の三半円側を通過し、クランクピン17Fが塗り潰してある高速ピン軌道Rx上の八分の五半円側を通過して、夫々の元の位置に復帰する。このように、第1カム板11を反時計方向に連続回転させると、1番クランクピン17E,と2番クランクピン17Fが1/2回転毎に高速側と低速側を交互に通過する動作を繰り返しながら、常に回転速度が変化する偏心回転となる。
【0054】
図2(c)では、偏心距離をさらに大きくした場合について説明する。四半円の偏心距離Dxの場合、図のように四半円、対、四分の三半円となる、この場合偏心距離Dxは、図2(b)の場合よりも大きいので、図(c)から判るように塗り潰した円弧部分の外周は、図2(b)の同様の円弧部分の外周より大きく、図(c)の白無地の円弧部分の外周は、図2(b)の同様の円弧部分の外周よりも小さい。従って、1番クランクピン17Eと2番クランクピン17Fの回転速度の差は(b)の場合よりも大きくなる。
【0055】
そして図2(d)では、八分の一半円の偏心距離Dxを示していて八分の一半円、対、八分の七半円となる、図2(b)、(c)、(d)を順次参照すると、偏心の度合いは偏心距離Dxの拡大と縮小により高速回転側と低速回転側の差が反比例していることが明らかである。
【0056】
本発明の偏心式無段変速装置での変速(偏心)方法はクランクピン軌道Rxという限られた円の中で、直径の方向に中心(カム軸心L1)の位置を移動(偏心)させるのだから、直径に対して直角の線(カム溝13E,13F)で分けた領域(半円面積)の奪い合いになり、当然、一方が拡大すれば他方は縮小し他方が拡大すれば一方が縮小(図2,図3を参照)する反比例状態になる。それが、本変速装置において幅広い変速比を得られる基になっている。
【0057】
次に、図3を参照して出力軸が逆回転する場合について説明する。図3は本発明の偏心式無段変速装置に使用される、カム軸心L1に対するクランク軸心L2の偏心度合を、ピン軌道Rxとともに示す概略説明図であり、出力が逆回転の場合を示している。
【0058】
図2(b)、(c)、(d)では、第1のカム溝13E,13Fと二重軸クランク本体110Aが反時計方向へ回転したときに出力軸が正回転の状態であるが、図3(b)、(c)、(d)では第1カム溝13E,13Fと軸心L2を有する二重軸クランク本体110Aが反時計方向へ回転したときに、出力軸が逆回転の偏心状態を図解している、それは、図2(a)、(b)、(c)、(d)、および、図3(a)、(b)、(c)、(d)を参照すれば判る通り、図2(a),図3(a)の無偏心位置を中心に図2(b)、(c)、(d)で示した通り、ピン軌道Rxが上へ偏心していて正回転の状態とし、ピン軌道Rxが下へ偏心すると逆回転の状態として図3(b)、(c)、(d)に示したものである。
【0059】
その正回転や逆回転になる理由を簡単に図2と図3をもとに説明すると、図2(b)、(c)、(d)は次の通りとなる。塗り潰し側の大きな円弧をクランクアーム16Eとピン17Eがピン軌道Rxに沿って通過すると高速の回転量を取り出すことができ、白無地側の小さな円弧をクランクアーム16Fとピン17Fがピン軌道Rxに沿って通過すると低速回転量だから、それを差引けば残りが出力で、そのまま正回転量となる。(図4で詳しく説明する)
次に図3(b)、(c)、(d)の逆回転では塗り潰し側が小さな円弧で低速回転し白無地側が大きな円弧で高速回転するように変わっている、従って図2(b)、(c)、(d)に較べて、全く逆の状態が明らかなように、塗り潰し側のクランクアーム16Eとピン17Eの低速回転量から、白無地側のクランクアーム16Fとピン17Fの高速回転量を差し引くことになるから、出力はマイナスの回転量となり、それが逆の回転量として出力される。そのため、図2(a)、図3(a)のように塗り潰し側と白無地側の円弧が半円で同じ場合は差引くとゼロ回転(図4(a)参照)となる。
【0060】
そして図2乃至図11まで、カム板かカム溝またはピン軌道内を塗り潰して、駆動用と称して専ら出力を取り出すことに用い、白無地(図のまま)側の方は、リターン用と称して専ら負荷により逃げてきた回転力を受け止めるようにして入力側に戻し(リターン)の役割を担っている。それは、差動歯車装置、または、遊星歯車装置を使用すると回転部分が3個所あって、2個所は入力側と出力側に使い、残りの1個所を戻しに使う、その戻し量を調節すれば変速することができる。従って、駆動用の回転量とリターン用の回転量が同じになった時、差引きゼロで出力は発生しない。なお、図3の偏心距離Dxについては図2(a)、(b)、(c)、(d)に準ずるので省略する。
【0061】
以上で簡単な理由の説明は終るが、駆動用の回転量からリターン用の回転量を何故、差し引くのかの原理と、また、マイナスの回転量が何故、逆回転なのかの原理を、後述の図9で詳しく解説する。
【0062】
但し、ここで注意したいことは、図2,図3の図面上では、恰も、二重軸クランク本体110A,110Bのクランク軸心L2,L4が、第1と第2カム本体100A,100Bのカム軸心L1,L3に対して可変しているように示されているが、実際は、二重軸クランク本体110A,110Bのクランク軸心L2,L4を固定して置き、第1と第2カム本体100A,100Bとカム軸心L1,L3が可変するように設定されている。それについての詳細は、図7,8,9,10,11を参照して後述する。
【0063】
次に、図4を参照して角度から割り出した変速比について説明する。第1第2のカム板11,21の回転(カム)軸心L1,L3に対する1番および2番のクランク軸心L2,L4の偏心度合をピン軌道Rxとともに角度的に表し、駆動用の回転角度からリターン用の角度を差し引いて、カム板11,21の回転角度との対比を示す解説図4である。そして、偏心位置は図2,図3の時と同様の4位置で解説する。
【0064】
駆動用の第1カム板11で、塗り潰してあるカム溝13E,13Fに対して、90°の位相差を有するリターン用の第2カム板21で白無地のカム溝23E,23Fを重ね合わせた図であって、図4(a)、(b)、(c)、(d)は、90°の位相差を保持したまま、駆動用の第1カム溝13E,13Fとリターン用の第2カム溝23E,23Fを同時に反時計方向に45°回転させた後の状態のものも重ね合わせている。そのため、4本の駆動用と4本のリターン用で合計8本のカム溝の符号は13Eが2個所、13Fが2個所、23Eも2個所、そして23Fも2個所の合計で8個所に表示が必要で、クランクピン17Eも2個所、ピン27Eも2個所の合計4個所にもなる、従って、合計12個所に符号の表示が必要となったため、全てを重ね合わせた後は複雑な図となっている。
【0065】
そこで理解を容易にするために、カム溝の符号とクランクピンの符号の後に回転角度を数値にして(例、13E0°カム溝スタート位置、13E45°カム溝回転後角度、17E0°クランクピンスタート位置、17E52.5°クランクピン回転後角度)表し、図4に記載している。
【0066】
図4(a)はカム軸心L1,L3とクランク軸心L2,L4が合致した半円の無偏心状態であり、図4(b)のカム軸心L1,L3とクランク軸心L2,L4が偏心距離Dxを八分の三半円の位置にした状態で、次に図4(c)のカム軸心L1,L3とクランク軸心L2,L4は偏心距離Dxを四半円の位置にした状態である、そして図4(d)のカム軸心L1,L3とクランク軸心L2,L4は、更に、偏心距離Dxを離して八分の一半円の位置にした状態を示す。
【0067】
図4を参照して具体的に説明すると、塗り潰してある駆動用の第1カム溝13E,13Fと白無地でリターン用の第2カム溝23E,23F、それに、駆動用の1番クランクピン17Eとリターン用の3番クランクピン27Eのみの符号を使って解説すると、図4の回転角度(a)、(b)、(c)、(d)のように僅か45°だが、その駆動角度からリターン角度を差し引いた変速比が示されている。
【0068】
先ず、図4(a)はカム軸心L1,L3とクランク軸心L2,L4の位置が合致して重なっている状態の無偏心位置だから、駆動用の第1カム溝を13E0°〜13E45°とリターン用の第2カム溝も23E0°〜23E45°回転させた時、係合している駆動用の1番クランクピンが17E0°〜17E45°に対し、リターン用の3番クランクピンも27E0°〜27E45°と、共にピン軌道Rxに沿って45°回転しているので45°−45°=0となり変速比は1:0である。
【0069】
次に、図4(b)はカム軸心L1,L3とクランク軸心L2,L4が偏心距離Dx分だけ離れた八分の三半円の位置なので、駆動用の第1カム溝が13E0°〜13E45°と、リターン用の第2カム溝も23E0°〜23E45°回転させた時に、係合している駆動用の1番クランクピンが17E0°〜17E52.5°回転する間に、リターン用の3番クランクピンは27E0°〜27E30°しか回転していない。従って、52.5°−30°=22.5°だから、45:22.5=1:0.5の変速比となる。
【0070】
同様に図4(c)の、四半円の偏心位置では図のように、駆動用の第1カム溝が13E0°〜13E45°と、リターン用の第2カム溝も23E0°〜23E45°回転させた時、係合している、駆動用の1番クランクピンが17E0°〜17E60°回転する間に、リターン用の3番クランクピンは27E0°〜27E15°しか回転していない。従って、60°−15°=45°だから、45:45=1:1の変速比となる。
【0071】
次も、図4(d)の八分の一半円の偏心位置では、やはり、図のように駆動用の第1カム溝が13E0°〜13E45°と、リターン用の第2カム溝も23E0°〜23E45°回転させた時、係合している、駆動用の1番クランクピンが17E0°〜17E72.5°回転する間に、リターン用の1番クランクピンは27E0°〜27E5°しか回転していない。従って72.5°−5°=67.5°だから45:67.5=1:1.5の変速比となる。なお、逆回転の場合でも、変速比の計数は正回転と同じで、ゼロ回転を中心に正逆回転とも1.5倍速が限度で設定することができる。
【0072】
次に、図5および図6を参照して本発明の実施形態を継続して説明する。この実施形態では、駆動用のカム溝に対し90°の位相差を付けて、リターン用のカム溝を組み合わせることにより、偏心回転の欠点でもある脈動回転を克服して等速回転に変換することができた最も重要な装備で、その過程を角度で表して解説する。
【0073】
初めに図5は、偏心距離が四半円位置で変速比が1:1のときのみを選定して第1と第2の駆動用カム板とカム溝および90°位相差を付けた第1と第2のリターン用カム板とカム溝を、クランクアームとピンと共に重ね合わせて示す説明図であり、図5(a)は第1カム溝13E,13Fと第1カム溝23E,23Fの回転が0°(スタート時)位置のときで、図5(b)は、第1カム溝13E,13Fと第1カム溝23E,23Fが45°回転したとき、図5(c)は90°回転したとき、図5(d)は、135°回転したときを夫々に示す。図6は図5から連載の同様な説明図であって、図6(e)は続けて第1カム溝13E,13Fと第1カム溝23E,23Fが180°回転のとき、図6(f)は270°回転のとき、図6(g)は360°回転したときで、その回転跡を順次埋めた模様を消すと、図6(h)になり再び0°に戻ってピン軌道上におけるピンの位置状態は、図5(a)と同じになったことを示す。
【0074】
それは図4同様に、図5(a)において駆動用の第1カム溝13E,13Fを水平方向とすると、リターン用の第2カム溝23E,23Fを垂直方向に90°の位相差を有するように位置付けられる。なお、回転中でも90°の位相差を保持できるように、第1カム軸(1次回転軸)12の軸心L1の線の延長と、第2カム軸(1次回転軸)22の軸心L3の線の延長が、互いに並行のまま並列に並べて、入力ギアGINと、カムギアG1,G2を組付け時に噛み合わせておく(図8参照)。この90°の位相差を付けることにより出力軸には脈動回転を機械的に制御して等速回転で伝達することができる、これらについては、図5,図6により角度で示し詳細に説明する。
【0075】
図5,図6では判り易くするため、正回転時に於いて、第1カム板11の第1カム溝13E,13Fを前述した通り、図4同様一定の幅にして塗り潰し駆動用としている。第2カム板21のカム溝23E,23Fも一定の幅にして2本の実線を引き中は白無地のままリターン用として表示し、駆動用とリターン用を区別している。
【0076】
そして図4同様に、図5,図6でも第1カム板11の第1カム溝13E,13Fと第2カム板21の第2カム溝23E,23Fを90°位相差のまま重ね合わせている。そして1番のクランクピン17Eを丸印に、2番のクランクピン17Fは二重丸印に、3番のクランクピン27Eを丸に菱形印と、4番のクランクピン27Fは丸に二重菱形印にして区別し、その各クランクピン(従動子)には、クランクアーム16E,16F.26E,26Fが一体になっているので、その各クランクアームも稼働中を太実線と空転中を太破線に区別して表示し、前記の(カム板、カム溝と、クランクアーム、ピン)全てを重ね合わせている。
【0077】
それを、図5(a)を参照して説明すると。1番クランクアーム16Eと3番クランクアーム26Eが稼働可能であることを太実線で表記し、1番クランクピン17Eと3番クランクピン27Eは第1と第2のカム溝13Eと23Eに係合していて回転力を次の機構に伝達できることを示している。そして、太破線で表記しているクランクアームとピン17F,27Fも丸印を破線にしたのは稼働してない空転状態であることを示している。
【0078】
前述の稼働と空転とは、例えば、クランクアーム16Eとピン17Eはクランク軸15Eと一体(図1参照)になっていて、その軸の先端はギアG11(図9参照)と噛合しているギアG12を経て、メッシュギア入力側軸62AとメッシュギアM1E(メッシュギアについては、図9および図11に示されている)が設置されている、そのメッシュギアM1Eには相手となるメッシュギアM1Fがあって(図9参照)タイミングカムTC1の作動で1/2回転毎にメッシュギアM1EとM1Fが接続されて(以下、M1EFが接続と表現できる)回転力を次の機構に伝達する、また、1/2回転毎にメッシュギアM1EとM1Fは離れ切断される(以下、M1EFが切断と表現できる)、これは空転状態で回転力の伝達が断ち切られている。
【0079】
このように、全クランク軸15E,15F.25E,25Fは、夫々のギアG11,G12,G13,G14とギアG21,G22,G23,G24を介して全メッシュギアM1EF,M2EF,M3EF,M4EF(図9参照)に回転力を伝達している。このように、1/2回転毎に断続を繰り返していることを踏まえて説明を続ける。
【0080】
先ず、図5(a)の状態を0°の回転開始位置とすると、駆動用の1番クランクアーム16Eの1番クランクピン17E(逆三角0°)は第1カム溝13Eに係合していて、なお、クランクストレート軸15EにギアG11,G12連結しているメッシュギアM1EFが接続しているので高速回転力を伝達できる状態にある。
【0081】
他方、リターン用の3番クランクアーム26Eの3番クランクピン27E(三角0°)も第2カム溝23Eに係合していて、なお、クランクストレート軸25EにギアG21,G22連結しているメッシュギアM3EFも接続しているので低速回転力を受け止めるように入力側に戻せる状態だから、この位置をスタート地点の0°とする。
【0082】
そして、前述のとおり破線で示した、2番クランクアーム16Fと2番クランクピン17F、また、4番クランクアーム26Fと4番クランクピン27FはメッシュギアM2EFとM4EFが切断されているので空転状態でスタートする。
【0083】
次は図5(a)の0°の位置から回転開始して、第1の駆動用カム溝13E,13Fと第2のリターン用カム溝23E,23Fを、90°位相差のまま反時計方向に45°回転すると、図5(b)の状態になる。
【0084】
この時、駆動用の1番クランクアーム16Eと1番クランクピン17Eは、既に60°(縦縞模様)回転しているが、リターン用の3番クランクアーム26Eと3番クランクピン27Eは15°(点模様)しか回転してない。その、リターン角度分を入力側に戻すから、駆動角度60°とリターン角度15°との差、即ち、60°(逆三角)−15°(三角)=45°が出力角度で回転したことになる。従って、第1と第2のカム溝13E,13F.23E,23Fの回転角度が45°に対し、出力角度も45°の等速回転であることが明らかである。
【0085】
一方、破線で示した、2番クランクピン17Fと4番クランクピン27Fは、メッシュギアM2EFとM4EFが切断されているので空転状態である。そして、ピン軌道Rx内を、回転した角度分づつ模様で埋めて行き、360°回転し終わると駆動側とリターン側に分かれて、全体が模様で埋め尽くされる。
【0086】
次に、図5(c)に示してあるように、第1と第2のカム溝13E,13F.23E,23Fが、更に45°(合計90°)回転すると駆動用ピン17Eの回転角度75°(横縞模様)+60°(縦縞模様)=135°と、リターン用ピン27Eの回転角度30°(網目模様)+15°(点模様)=45°との差、即ち135°(逆三角)−45°(三角)=90°が、出力角度で回転したことになる、従って、90°対90°の等速回転になる。
【0087】
一方、破線で示した、駆動用の2番クランクピン17FはメッシュギアM2EFが切断されているので空転状態であるが、リターン用は3番クランクピン27Eから4番クランクピン27Fへと交替直前にある。
【0088】
図5(d)に示すように、第1と第2のカム溝13E,13F.23E,23Fが、更に、45°(合計135°)回転すると、駆動用ピン17Eの回転角度75°(縦縞模様)+135°(横縞模様)=210°と、交替したばかりのリターン用の4番クランクピン27Fの回転角度30°(点模様)+45°(網目模様)=75°との差、即ち、210°(逆三角)−75°(三角)=135°が出力角度で回転したことになる。従ってここでも135°対135°と等速回転になる。
【0089】
一方、破線で示した、2番クランクピン17Fと3番クランクピン27EはメッシュギアM2EFとM3EFが切断されているので空転状態である。
【0090】
次に図6(e)に示すように、第1と第2のカム溝13E,13F.23E,23Fが、更に、45°(合計180°)回転すると、駆動用ピン17Eの回転角度60°(横縞模様)+210°(縦縞模様)=270°と、リターン用ピン27Fの回転角度75°(点模様)+15°(網目模様)=90°との差、即ち270°(逆三角)−90°(三角)=180°が出力角度で回転したことになる。従って、180°対180°と等速回転になる。
【0091】
一方、破線で示した、リターン用の3番クランクピン27EはメッシュギアM3EFが切断されているので空転状態であるが、駆動用の1番クランクピン17Eから2番クランクピン17Fへと交替直前にある。
【0092】
然し、次の図6(f)を説明する前に。駆動側のピン軌道Rxに沿って大きな円弧で270°回転し、リターン側もピン軌道Rxに沿って小さな円弧で90°回転したため、ピン回転跡の模様は合計で360°埋め尽くされてしまった、図6(f)に示すように、図面上、内側に仮の円を作図して図6(e)までの駆動側のピン回転跡の模様と、リターン側のピン回転跡の模様を表記した。以後、二重の円模様で埋めて示す。
【0093】
それでは、図6(f)を説明する、第1と第2のカム溝13E,13F.23E,23Fを一気に90°(合計270°)回転すると。交替したばかりの駆動用の2番クランクピン17Fの回転角度は135°(外側縦縞模様)+270°(内側横縞模様)=405°と、リターン用ピン27Fの回転角度45°(外側網目模様)+90°(内側点模様)=135°との差、即ち405°(逆三角)−135°(三角)=270°が出力角度で回転したことになる。従って同様に270°対270°で、等速回転となる。
【0094】
一方、破線で示した、駆動用の1番クランクピン17EはメッシュギアM1EFが切断されているので空転状態であるが、リターン用の4番クランクピン27Fから3番クランクピン27Eへと交替直前にある。
【0095】
最後は、図6(g)に示すように、第1と第2のカム溝13E,13F.23E,23Fを、更に90°回転すると合計360°回転したことになり。駆動用ピン17Fの回転角度135°(外側横縞模様)+405°(内外側縦縞模様)=540°と、交替したばかりのリターン用の3番クランクピン27Eの回転角度45°(外側点模様)+135°(内外側網目模様)=180°との差、即ち540°(逆三角)−180°(三角)=360°が出力角度で回転したことになる。従って、360°対360°となり、等速回転で1回転が終了したことになる。
【0096】
一方、破線で示した、リターン用の4番クランクピン27FはメッシュギアM4EFが切断されているので空転状態であるが、駆動用の2番クランクピン17Fから1番クランクピン17Eへと交替直前にある。
【0097】
以上、図6(h)で示したように、図6(g)の、ピン軌道Rx内と、その内側の円を埋めた全模様を削除すると、図5(a)と同じになり、スタート地点の0°に戻ったことになる、但し、図5の(a)から図6の(g)まで、何処の地点からスタートしても、出力側は等速回転であることが明らかである。
【0098】
これを連続運転すれば、前述した通り脈動回転が克服され等速回転に制御されたことになる、それは、駆動側に対し、リターン側が90°遅れるか、90°先行しながら回転することにより、駆動側の余剰回転量とリターン側の戻し量が合致するから等速回転になる。
【0099】
ここまでの図面、および、記述にあるように、偏心した状態でカム溝13E,13F.23E,23Fの中に係合している、クランクピン17E,17Fと、27E,27Fを回転させた時、対応するカム溝の中でクランクピンが外側または内側に向かって摺動しながら回転する。例えば、偏心距離Dxが最大の八分の一半円の位置では、1番クランクピン17Eは1回転ごとに第1カム溝13Eの略全域を往復摺動する。
【0100】
従って、各クランクピン17E,17F.27E,27F(37E,37F.47E,47F)にはラジアルボールベアリング112(図8参照、全ベアリング共通番号)が装着されていることが好ましい。
【0101】
次に、図7を参照して、カム軸位置可変機構を説明する。図7は、本発明による偏心式無段変速装置に使用される、カム軸位置可変機構の概略斜視図である。支持板51V,51Wの2枚があって、それを軸受に必要な間隔を持たせて、4個所に横板51Yを付け箱状にし支持箱51Zとする、横板51Yがない所は、カム板11,21等が、はみだしても良いように空けてある。そして、支持板51V,51Wの中央には入力軸受孔H5を、開けておき、入力軸受孔H5の中心から円周Cを描き、その円周C上にもカム軸受孔H1,H2とH3,H4の4個所を開けておく。
【0102】
続いて、図8(b)に、支持箱51Zに必要な機構を組付けた状態を示し、図8を参照して可変機能を説明する。図8(b)は、第1、第2変速機構を組み付けた、本発明による偏心式無段変速装置の、入力側から見た正面図である。
【0103】
支持箱51Zの中央にある軸受孔H5に入力ギアGINを入れ、入力軸1を貫通させる、そして、2個のカムギアG1,G2も支持箱51Zの中に入れて、図8(b)に示す通り、塗り潰してある、駆動用の第1カム溝13E,13Fの方向と、白無地のリターン用の第2カム溝23E,23Fの方向を、入力軸1の中心から見て、90°の位相差を持たせた状態で、入力ギアGINと、カムギアG1,G2を噛合せてから、円周C上の軸受孔H1,H2に第1カム軸12と第2カム軸22の2本も貫通させて支持箱51Zの中に90°の位相差の状態で組付けられる。
【0104】
その、第1カム軸12の先端には駆動用のカム板11が、そして、第2カム軸22の先端にもリターン用のカム板21が固設されているから、入力ギアGINを時計方向に速度V1 で回転させると、入力ギアGINと同径で歯数も同じ、駆動用の第1カムギアG1とリターン用の第2カムギアG2は駆動用のカム溝13E,13Fとリターン用のカム溝23E,23Fのカム溝方向が90°の位相差を保持したまま反時計方向に同一速度V1 で回転することが明らかである。そして各ギアの軸受を持つ支持箱51Zは入力軸1と一緒に本体ブロックにも軸受114(図9参照)があって支持され位置が固定しているから、支持箱51Zは入力軸心L5を中心に所定の角度範囲内で回動可能に設けられている。
【0105】
支持箱51Zの上部一隅には一片のウォームホイールギア52を取り付けてウォームギア55を噛合させてから、ウォームギア軸54を本体ブロックの軸受に支持させて、そのウォームギア軸54の一端に回転可能に設けられた操作ハンドル53を廻して支持箱51Zを回動すると、カム軸心L1,L3の円周Cが描かれる、その円周C上に、クランク二重軸15E,15Fの軸心L2とクランク二重軸25E,25Fの軸心L4を合わせて設置すれば、2本のカム軸12,22の位置を同時に自在に可変できる。これら、操作ハンドル53、ウォームギア55、ウォームホイールギア52等から構成される変速比を変えるための機構を、カム軸位置可変機構という。
【0106】
従って、第1カム軸12の軸心L1と二重軸クランク軸心L2が合致し、第2カム軸22の軸心L3もクランク二重軸心L4が合致し重なっている位置ならば無偏心で、出力はゼロ回転の状態になる、その無偏心の可変位置は、図8(b)のウォームホイールギア52とウォームギア55の中心に破線を引いて上部に0を記載して表示した。
【0107】
その、0位置の、無偏心状態を中心に、反時計方向に支持箱51Zを、無段階で位置を任意で選択しながら回動すれば、出力は正回転になり必要な回転速度を無段階で選べる。また、支持箱51Zを逆の時計方向に、無段階で位置を任意で選択しながら回動すれば、出力は逆回転となり、同様に、必要な回転速度を無段階で選べる。
【0108】
そして図8(b)に示すように、第1変速機構の駆動用クランク二重軸心L2に対し、駆動用カム軸心L1を円周C上で正回転方向(支持箱を反時計方向)に一定の間隔を開け、第2変速機構のリターン用クランク二重軸心L4に対し、リターン用カム軸心L3も円周C上で正回転方向(支持箱を反時計方向)に一定の間隔が開けてある、これが、偏心距離Dxである。
【0109】
この図8、および、図9から図11まで、四半円の偏心位置のものを作図していて、図8(a)は符号の末尾に上下左右を連記して次のよう示す、塗り潰してある第1機構の駆動用カム溝13E上,13F下で垂直方向に、白無地で第2機構のリターン用カム溝23E右,23F左で水平方向のように、カム溝のみの方向を表示している、図8(b)の塗り潰してある第1機構の駆動用カム溝方向を確認するのには、図8の紙面を略逆さまにして円周Cに沿って、カム軸心L1を上に、クランク軸心L2を下にして縦方向で見ると、カム溝13E上が正に上にきて垂直方向であることが判る。
【0110】
そして、白無地で第2機構のリターン用も同様に、円周Cに沿って、カム軸心L3を上に、クランク軸心L4を下にして縦方向で見ると、カム溝23E右が正に右きて、90°位相差を保ったままの水平方向を示している。目下回転中のこのカム溝の方向は、図5(c)の状態を掲載したものである。
【0111】
次の図9では、本発明の偏心式無段変速装置の入力から出力に至る作動原理を集約した概略図で、中心に位置するべき入力軸1を下部に表示してから、第1機構の駆動用を上部にして、中間には第2機構のリターン用を表示した側面展開図にしている。なお、図9を判り易く説明するために、右から三分割にして説明することにした。
【0112】
一分割目は右辺の入力軸1から始まり、カム軸位置可変機構と、第1機構と第2機構のカム本体100A,100Bまでとする。
【0113】
二分割目は中央の1番乃至4番クランク部材14E,14F,24E,24Fと、そして、1番乃至4番のタイミングカムTC1,TC2,TC3,TC4とメッシュギアM1EF,M2EF,M3EF,M4EFとメッシュギア出力側軸72A,73A,72B,73Bまでとする。そして、三分割目は左辺の、差動歯車装置(以下、差動機構)から出力軸2に至るまでとなる。
【0114】
先ず、図9の一分割目として右辺に示した、カム軸位置可変機構と第1と第2機構のカム本体100A,100Bの関係について説明する。図8の正面図では判りにくいカム軸位置可変機構の二重になっている軸受114と入力軸1の軸受が、図9では側面からなので、明瞭に示されている。
【0115】
2枚の支持板51V,51Wの間には、互いに一定の間隔が持たせてあって、各支持板51Vと51Wの軸受孔には、入力軸1とカム軸12,22が貫通してあり、夫々の貫通個所は軸受として形成されている。そして、横板51Yで部分的に囲い、支持箱51Zにしてあることは前述の通りである。その支持箱51Zの中には入力軸1に設置された入力ギアGINを中心に、第1の駆動用カムギアG1と第2のリターン用カムギアG2が囲んでいて、夫々、入力ギアGINと噛み合うように納められている。
【0116】
但し、この図9の概略図は側面図にするときに重複を避けるため、縦に展開させて作成した図で、入力軸1と入力ギアGINに近い第2機構のリターン用カム軸22とカムギアG2(正規のサイズ、図8参照)は小さく、入力軸1と入力ギアGINから遠い位置へ展開された第1機構の駆動用カム軸12とカムギアG1(倍のサイズに拡大)は大きくせざるを得なかった、そのため、入力ギアGINは大小で2枚を作図している、正しくは図8(図10)の通り、1枚の入力ギアGINを中心にギアG1,G2(G3,G4)が等間隔で囲むように配置されている、従って、直径および歯数が同じで噛み合っているのが正しい。
【0117】
そして、入力軸1は支持箱51Zの軸受孔の中を貫通していて、その軸受孔の管部外側は変速装置本体ブロック(以下、単に本体ブロックという)に固定している軸受114に二重で支持されているから、入力軸1を中心にして、正面から見て時計方向、または、反時計方向に廻ることも明確に図解されている。
【0118】
一分割目のカム軸位置可変機構の操作状況については、図8で既に説明済みなので重複するから省略し、次にカム本体100A、100Bの説明に入る。駆動用とリターン用のカム軸12,22の先端に第1および第2カム板11,21が固設されている、図に示した通り、カム板の部分が塗り潰してある、第1機構の駆動用カム板11のカム溝13E,13Fが垂直方向になっており、白無地で第2機構のリターン用カム板21のカム溝23E,23Fは水平方向になっている。
【0119】
これは前述した通り、入力ギアGINと第1の駆動用カムギアG1、そして第2のリターン用カムギアG2を噛み合わせて組付けた時点で、90°の位相差を付けていることによる。従って、カム本体100A、100Bの位置は図5(c)と同じ位置で四半円の偏心状態を示している。なお、出力が正回転になる方向に偏心されていて、第1の駆動用カム板11上部に、破線で示したのは中間116が無偏心位置で、上端118は出力が逆回転になる第1カム板11の偏心位置である。
【0120】
この状態で、入力ギアGINを時計方向に速度V1 で回転すると、入力ギアGINと同径で歯数も同じ、第1の駆動用カムギアG1と、第2のリターン用カムギアG2は90°の位相差を保持したまま反時計方向に同一速度V1 で回転する。
【0121】
カム軸心L1,L3に対し、駆動用とリターン用のクランク軸心L2,L4の位置は、図8で説明したように円周C線上に設置してるのだから本来ならば、この側面図では横一線であるべきだが、敢えて図9では、作動原理を優先し解説用として、前述した側面の展開図にしてあるため、カム軸心L1,L3に対し駆動用とリターン用のクランク軸心L2,L4を上に離し「ずれ」が判るようにしているので、第1および第2カム軸12,22の偏心状態が容易に理解できる。
【0122】
図9から明らかなように、図2乃至図4で示した偏心距離Dxで、第1の駆動用カム板11を回転させた時、第1カム溝13Eの外側に係合している駆動用の1番クランクピン17Eは高速で回転し、第1カム溝13Fの内側に係合している駆動用の2番クランクピン17Fは低速で回転しながら、1/2回転毎に交替する。
【0123】
次に、第2のリターン用カム板21の第2カム溝23E,23Fには、リターン用の3番クランクピン27Eと4番クランクピン27Fが係合していて、第2カム溝23E,23Fは丁度水平方向の位置なので、図5(c)で記述した通り3番クランクピン27Eから4番クランクピン27Fに交替する瞬間であることが明らかである、そして、この側面図では、3番および4番のクランクピン27E,27Fを二重に示している。
【0124】
第1の駆動用カム板11が反時計方向に回転すると、第1の駆動用カム溝13E,13Fに駆動用の1番および2番クランクピン17E,17Fが係合しているので、その回転力が一対の1番および2番クランクアーム16E,16Fと、二重軸クランク本体110Aを構成するストレート軸15Eおよびパイプ軸15Fに伝達される。
【0125】
そして、第2のリターン用カム板21が反時計方向に回転すると、第2カム溝23E,23Fに3番および4番のクランクピン27E,27Fが係合しているので、やはり、その回転力が一対の3番および4番クランクアーム26E,26Fと、二重軸クランク本体110Bを構成するストレート軸25Eおよびパイプ軸25Fに伝達される。
【0126】
次に、図9の二分割目として中央に示した、本変速装置の原点で偏心回転伝達機構とも言えるクランク本体そしてタイミングカムとメッシュギアについて説明する。メッシュギアMの部分に一方クラッチを使用しても良いが、その場合、タイミングカムTCを必要とせず構造が簡単になる反面、一方クラッチの爪の設定数や爪の強度により負荷の高低が決められる、そして、自動車等の交通車両のような惰力による、出力軸から加えられる回転力には対応できない。然し、本発明の偏心式無段変速装置に採用したタイミングカムTCとメッシュギアMとの組合わせならば、入力側からは当然、出力側からの回転力にも対応できるのと、メッシュギアMは歯車全面で噛み合うので高負荷に対応できる利点がある。
【0127】
その、入力側メッシュギアM1E,M2E(M3E,M4E)にはスライド自在なプランジャPの切り込みがメッシュギアMEが回転可能なように複数設定してあり、プランジャスプリングSを内臓していて伸縮の動作が、一方クラッチの爪が遊ぶときと同様に、タイミングカムTCの圧着が緩みバックスプリング76(全バックスプリングに共通の符号)の働きで接続を断ち切り始めて、メッシュギアMEの歯が完全に抜けていなくてもプランジャスプリングSが縮み、メッシュギアMEの歯が抜け出て遊び、メッシュギアMの破壊防止に役立っている。然し、メッシュギアMのEとFを接続するときはタイミングカムTCの接触部分にスラストベアリングSを備えていて、メッシュギアMEをメッシュギアMFに対し、抜けないように圧着して完全に接続することができる。そして、SPSの符号はスラストベアリングのSとプランジャのPにプランジャスプリングのSを総称したものである。
【0128】
本変速装置では、駆動用で1番クランク部材14Eのストレート軸15Eの突端にギアG12を固設して反時計方向で回転させるとギアG12にはギアG11が噛合していて、ギアG11に固設してある駆動用の1番メッシュギア入力側軸62Aと、1番入力側メッシュギアM1Eが時計方向に回転する。
【0129】
同じく、駆動用で2番クランク部材14Fのパイプ軸15Fの突端にもギアG13を固設して反時計方向で回転させると、ギアG13にはギアG14が噛合していて、ギアG14に固設してある駆動用の2番メッシュギア入力側軸63Aと2番入力側メッシュギアM2Eも、やはり時計方向に回転する。
【0130】
リターン用も同様に、3番クランク部材24Eのストレート軸25Eの突端にギアG22を固設して反時計方向で回転させると、ギアG22にはギアG21が噛合していて、ギアG21に固設してあるリターン用の3番メッシュギア入力側軸62Bと、3番入力側メッシュギアM3Eが時計方向に回転する。
【0131】
同じく、リターン用で4番クランク部材24Fのパイプ軸25Fの突端にもギアG23を固設して反時計方向に回転させると、ギアG23にはギアG24が噛合していて、ギアG24に固設してあるリターン用の4番メッシュギア入力側軸63Bと4番入力側メッシュギアM4Eも、やはり、時計方向に回転する。
【0132】
続いて、出力側メッシュギアからメッシュギア出力側軸へ、そして、差動機構への連結状態を説明する。駆動用の1番出力側メッシュギアM1Fには1番メッシュギア出力側軸72Aが設置してあり、その軸先端にギアG15が固設してある、2番出力側メッシュギアM2Fにも2番メッシュギア出力側軸73Aが設置してあり、その軸先端にもギアG17を固設して、ギアG17とギアG15の中間に位置するメッシュ纏めギアG16を噛合させている。
【0133】
リターン用でも同様に、3番出力側メッシュギアM3Fには3番メッシュギア出力側軸72Bが設置してあり、その軸先端にはギアG25を固設し4番出力側メッシュギアM4Fには4番メッシュギア出力側軸73Bが設置してある。その軸先端にもギアG27を固設して、こちらでも同様に、中間のメッシュ纏めギアG26を噛合させている。
【0134】
駆動用の入力側メッシュギアM1E(末尾のEが入力側)と、出力側メッシュギアM1F(末尾のFが出力側)とが接続している場合を(以下、メッシュギアM1EFの符号を使用する、それは、メッシュギアMのEとFが接続している、または、切断している、と言う意味になる)従って、その駆動用のメッシュギアM1EFが接続していると、正回転に於いて高速の回転力を伝達してギアG15と中間のギアG16を介してギアG17を時計方向に回転させることができる。
【0135】
一方、駆動用の入力側メッシュギアM2Eは、正回転に於いて低速回転していて、ギアG17とともに出力側メッシュギアM2Fが高速回転しているにもかかわらず、メッシュギアM2EFが切断されているから、駆動用の入力側メッシュギアM2Eは低速で空転することができる。
【0136】
前述のような状態から、1/2回転する毎に、駆動用のタイミングカムTC1とTC2の作動によりメッシュギアM1EFが接続状態から切断にと、メッシュギアM2EFは切断状態から接続へと瞬時に交替の動作を繰り返すと、出力側メッシュギアM1FとM2Fに固設してあるギアG15とギアG17では高速の回転力のみ選択されるから、中間に介在しているメッシュ纏めギアG16が第1差動機構入力側軸78Aを反時計方向で回転して、第1差動機構に高速の回転力を伝達することができる。
【0137】
リターン用でも同様に、タイミングカムTC3とTC4の作動によりメッシュギアM3EFとM4EFが瞬時に接続と切断の交替動作を繰り返すから、出力側メッシュギアM3F,M4Fに固設してあるギアG25とギアG27では低速の回転力のみ選択されて、中間に介在しているメッシュ纏めギアG26が第2差動機構入力側軸78Bを反時計方向で回転しながら、第2差動機構からの回転力を低速で受け止めるようにして入力軸1に戻すことができる。
【0138】
具体的に説明すると次のようになる、駆動用のタイミングカムTC1がメッシュギアM1EFを圧着させ完全に接続していると、高速の回転力をギアG15が噛合している、中間のメッシュ纏めギアG16を介して、反時計方向の高速回転力が第1差動機構に伝達しているのが、図9を参照すると明らかである。一方、駆動用の2番タイミングカムTC2が2番メッシュギアM2EFの圧着を緩め、バックスプリング76の働きで完全に切断されていると、ギアG17とともに2番出力側メッシュギアM2Fが高速回転しているにもかかわらず、2番入力側メッシュギアM2Eは時計方向の低速で空転しているのも、図9を参照すると明らかである。
【0139】
そして、リターン用のメッシュギアME,MFは、第2カム溝23E,23Fが水平方向なので、リターン用の3番メッシュギアM3EFからリターン用の4番メッシュギアM4EFへ断続の交替をする瞬間であることが、図9の側面図でも明らかである。この交替になる直前まではリターン用の3番メッシュギアM3EFが接続していて第2差動機構からの回転力を低速で受け止めていた、一方、リターン用の4番メッシュギアM4EFは、完全に切断され空転状態だったことが、図5(b)と図5(c)を参照すれば判る、それは図9の状態が図5(c)と同じ状態を示しているからである。
【0140】
こうして、駆動用の1番メッシュギアM1EFと、駆動用の2番メッシュギアM2EFの接続と切断のための交替は、タイミングカムTC1、TC2の作動により1/2回転毎に1番メッシュギアM1Eと2番メッシュギアM2Eが同じ回転速度になった瞬間に行われる。そして、リターン用も同様に、3番メッシュギアM3EFと、リターン用の4番メッシュギアM4EFの接続と切断のための交替も、同様に、タイミングカムTC3、TC4の作動により1/2回転毎に3番メッシュギアM3Eと4番メッシュギアM4Eが同じ回転速度になった瞬間に行われる。
【0141】
次に、図9に示すタイミングカムTCの作動を構造から説明する。最初に、各タイミングカムTCは、図9のように、凹部と凸部が180°相対していて、凹部が1/2回転毎に切断の動作を繰り返し、凸部が1/2回転毎に接続の動作を繰り返す形状になっている。そして、凹凸の方向は、カム溝13Eと13F,23Eと23Fの方向に対して、常に同じ方向を向くように組付けてあって、なお入力軸1の回転量に対し、1:1の回転比にしてある。
【0142】
図9で具体的にタイミングカムの動作を説明すると次のようになる。駆動用のカム溝13Eの方向に対し、タイミングカムTC1の凸部の中心がメッシュギアM1Eを圧着して接続できる出力側を向いているときは、タイミングカムTC2の凹部の中心が出力側方向でメッシュギアM2Eの方に向いているから、タイミングカムTC2とメッシュギアM2Eは接触していない遊びの状態であり、空転することができる。即ち、凸部の方向で見ると、タイミングカムTC1の凸部の中心が出力側を向いているのに対して、タイミングカムTC2の凸部の中心は、180°反対の入力側を向いている、これは、カム溝13Eと13Fの方向が中心から放射状に180°相対しているのと同じ方向である。
【0143】
リターン用もカム溝23Eの方向に対し、タイミングカムTC3の凸部の中心が上の方を向いていて、メッシュギアM3Eに接触している部分は、90°側面でメッシュギアM3EFは途中まで切断しかかっている状態である。タイミングカムTC4の凸部の中心は反対の下の方を向いているから、カム溝23Fの方向と同じになる。ここでも、メッシュギアM4Eに接触している部分は、90°側面でメッシュギアM4EFは途中まで圧着が始まり接続しかかっている状態なので、図9の展開側面図は、回転途中の図5(c)の正面からの重ね合わせ図と同じ位置を示したものだから、リターン用のカム溝23Eと23Fが、水平方向になっていて、メッシュギアM3EFからM4EFへ正に交替中の状態であることが明らかである。但し、現状の途中まで切断しかかって、まだメッシュギアM3EFはまだ僅かに噛み合っているが、プランジャスプリングSPS3が圧縮すれば噛み合わなくなる、従って、メッシュギアM4EFとM3EFが同時に噛み合うことはない。
【0144】
次に、タイミングカムTCの駆動系統を図9を参照して説明する。入力軸1を延長した突端に固設されたギアG51には、軸位置を迂回させるために設けられた迂回ギアG52が噛合している、迂回ギアG52には迂回軸90Eが備えてあり、その突端に軸方向を90°角度変換するべく設けた、べベルギアB91を固設して噛合させたべベルギアB92には、タイミングカム駆動軸90Fが連結している。
【0145】
その、タイミングカム駆動軸90Fには、夫々の、タイミングカムTCを駆動させる、タイミングカム駆動べベルギアB12,B22,B32,B42が固設してあって、図9のように、べベルギアB11,B21,B31,B41を噛合させて、入力側メッシュギア軸62A,63A,62B,63Bの軸方向に対して、図9に示すように、90°の屈折角度を付けて、タイミングカムTC1,TC2,TC3,TC4を配置し、1/2回転毎に凹凸部がメッシュギアMEを軸方向で容易に前後にスライドさせるようにしてある。
【0146】
もう一度、図5(c)と図9を見較べながら、タイミングカムの凹凸の方向を確認すると、駆動用の1番タイミングカムTC1は駆動用の第1カム溝13E専用で、偏心度合いに関係無く1/2回転のタイミングで断続の作動を繰り返せるよう凸部の方向が設定されている。従って、駆動用の2番タイミングカムTC2は駆動用の第1カム溝13F専用である、そして、リターン用の3番タイミングカムTC3はリターン用の第2カム溝23E専用で、リターン用の4番タイミングカムTC4もリターン用の第2カム溝23F専用となる。このことは、入力軸1とカム板11,21とも同じ1:1の回転比で、タイミングカムTC1,TC2,TC3,TC4を駆動するようにしているからである。
【0147】
また、タイミングカムTCの回転方向については、夫々のタイミングカムTCの周辺に円弧の太矢印で表示している。従って、図9に示された位置から、更に45°とか90°と回転させた時のタイミングカムTCの凹凸方向を、図9または図11を参照すれば想定することもできる。
【0148】
ここで大切なことは、図9が側面展開図なので、タイミングカムTC1,TC2,TC3,TC4とメッシュギアM1EF,M2EF,M3EF,M4EFが縦直列の配置で作図されている。実際には、夫々のタイミングカムTCとメッシュギアMは、図8に示した円周C線上で4個所に等間隔で分散して配置するのだから、タイミングカム駆動軸90Fは入力軸1を中心に放射状に4本必要となる代りに、迂回軸や迂回ギアは必要ない。ここ迄に記述した、タイミングカムTCにより断続するメッシュギアMの作動関係は、出力が正回転の状態を示したものである。
【0149】
次に、三分割目の差動機構と正逆の出力発生状態について、引き続き図9を参照して説明する。説明に先がけて、一般に差動歯車装置、または、遊星歯車装置を使用した変速機は数多くあるが、主にブレーキを駆けるものが多く摩擦損失を伴い、また、滑らかな変速をするのには多少困難がある。本発明の偏心式無段変速装置は、そのブレーキに相当する部分も偏心式にして入力側に戻すリターン方式を採用したので、無段階で任意の偏心位置を選び必要な回転量だけを戻せば良いから運転中でも滑らかな変速ができるのと、ブレーキを駆けないので摩擦損失もない。
【0150】
そして、一般的に無段変速機では遊星歯車装置を使用するとコンパクトに纏まることから主流になっているが、本発明の偏心式無段変速装置での図9と図11には差動歯車装置(差動機構)を採用したが、複雑な二重軸部分がないのと、入力側と出力側の回転比と伝達経路が容易に目視できるので、便宜上差動機構で図面を作成している。従って、差動歯車装置の使用を限定したものではない。
【0151】
次に図9に示した、差動機構(遊星歯車装置でも同じ)には一機構に対し3個所の回転部分があって、その差動機構を二機構使用しているため回転部分が6個所になる。この6個所の内、1個所でも遊ばせたら空転してしまうので、全てに何らかの役割を設定しなくてはならない。
【0152】
ここで、空転に深く関係している、歯車の自転と公転について説明する。一般に良く知られている遊星歯車装置(プラネタリウムギア装置)では中心に位置するのが太陽ギア(サンギア)で、外側に位置するのが惑星ギアである、太陽ギアと惑星ギアの間に噛み合わせた、複数の小型の歯車を遊星ギアと称しているのは既に一般に知られている。その遊星ギアは太陽ギアを回転させたとき、惑星ギアの歯に沿って転がりながら自転したり、また、太陽ギアの周りを(回る)公転したりする。この時、ただ太陽ギアに回転力を加えて、惑星ギアに負荷を駆けるだけでは、遊星ギアは自由に自転したり公転したりして遊んでしまうから、惑星ギアには回転力を伝達できない、そこで、遊星ギアに何らかの役割(ブレーキも含めて)を設定しなくてはならないことも良く知られている。
【0153】
これを、本発明の偏心式無段変速装置に於いて、図9の図面上採用した差動機構で見立てて具体的に説明すると、第1差動機構の入力側サイドギア83Aが太陽ギアで第1差動機構(以下、第1または第2と略す)の出力側サイドギア84Aが惑星ギアになる、そして、中間で噛み合っている、2個の第1ピニオンギア86A,87Aが遊星ギアであって、ただ2個の第1ピニオンギア86A,87A(遊星ギア)は第1差動機構のケーシング82A(以下、第1または第2ケーシング)に囲まれているので、2個の第1ピニオンギア86A,87Aは芯を中空にして通しシャフト85Aを貫通させる、その通しシャフト85Aの両端の軸受は第1ケーシング82Aにあって支持されているから、自転のとき2個の第1ピニオンギア86A,87Aは別々の方向に回転することができるのと、第1ケーシング82Aの回転量と2個の第1ピニオンギア86A,87Aの公転量は全く同じになる。
【0154】
具体例として先ず、第1ケーシング82Aの軸受ごと2個の第1ピニオンギア86A,87A(遊星ギア)をそのままの位置に停止させ(ブレーキを駆ける)ておき、第1入力側サイドギア83A(太陽ギア)を時計方向に回転させると、第1出力側サイドギア84A(惑星ギア)は反時計方向に回転する、この時、2個の第1ピニオンギア86A,87A(遊星ギア)は同じ位置に静止した(公転しない)ままギア自体が回転する、このことを差動機構での自転と言う。
【0155】
次に、第1入力側サイドギア83A(太陽ギア)を時計方向に回転させ、第1出力側サイドギア84A(惑星ギア)も太陽ギアと同一方向に同一速度で回転させると、第1ケーシング82Aの軸受ごと2個の第1ピニオンギア86A,87A(遊星ギア)は太陽ギアと惑星ギアに噛み合ったまま自転しないで同一方向に同一速度で一緒に太陽ギアの周りを回る、このことを差動機構での公転と言う。
【0156】
次は同様に、第1入力側サイドギア83A(太陽ギア)を時計方向に回転させたとき、第1出力側サイドギア84A(惑星ギア)を停止させる(ブレーキを駆ける)か、または、太陽ギアの回転速度より遅いか早い速度で同一方向に回転させると第1ケーシング82Aと2個の第1ピニオンギア86A,87A(遊星ギア)は、太陽ギア、または、惑星ギアの歯に沿って転がりながら、なお同時に、太陽ギアの周りを回る、このことを差動機構での自転しながら公転するという。
【0157】
そして必ず、太陽ギアと惑星ギアの回転速度を足して2で割った回転速度が遊星ギアとケーシングの公転速度となる。そして、本無段変速装置の第1差動機構と第2差動機構の間には、ケーシング連絡用ギアCG1を設けて、両差動機構の公転が全て同じになるようにしてある。そのことを次に説明する。
【0158】
第1差動機構の駆動用ケーシング82Aの回転は中間に設けた、ケーシング連絡用ギアCG1により、第2差動機構のリターン用ケーシング82Bを強制的に同一方向に同一速度で回転させている、本無段変速装置には、これも、欠かせない重要な装備の一つである。
【0159】
以上のことから、差動歯車装置、または、遊星歯車装置は必ず1個所ブレーキを駆けるか、減速装置に連動させないと、不安定で出力を取り出すことができない、このことを踏まえて図9の三分割目を説明する。入力軸1の時計方向回転に対して出力軸2も時計方向の正回転のときは、第1差動機構の駆動用サイドギア入力側軸78Aには、駆動用のメッシュ纏めギアG16が固設してあるから、メッシュギアM1EFとメッシュギアM2EFを交互に経由して、反時計方向に高速の回転力が伝達される。
【0160】
第2差動機構もリターン用サイドギア入力側軸78Bには、リターン用のメッシュ纏めギアG26が固設してあるから、同様に、メッシュギアM3EFとメッシュギアM4EFを交互に経由して、反時計方向で低速の回転力を受け止めることができる。
【0161】
先ず、第1差動機構の駆動用サイドギア出力側軸88Aを、本無段変速装置の本体ブロックBL1に固定(図9参照)すると、1個所ブレーキを駆けたことになる、この状態なら駆動用出力側サイドギア84Aとサイドギア出力側軸88Aは停止したままで回転することはない、一見無駄のようだが不安定な差動機構で発生しがちな逆転を防止している大切な装備である。
【0162】
第1差動機構の駆動用入力側サイドギア83Aに反時計方向で回転力が伝達されてくると、サイドギア83A,84Aの2枚に挟まれて噛合している、2個の第1ピニオンギア86A,87Aと第1ケーシング82Aは、駆動用出力側サイドギア84Aの停止している歯に沿って自転しながら、駆動用入力側サイドギア83Aの回転量1に対し、第1ケーシング82Aと2個の第1ピニオンギア86A,87Aは反時計方向に回転量1/2だけ公転する。
【0163】
この状態で図9を参照して、第1ケーシング82AにギアG18(以下、第1または第2ケーシングギア)を直付けしておき、第2ケーシング82BにもギアG28を直付けしたら、中間にケーシング連絡用ギアCG1を設けて噛合させれば、第1の駆動用ケーシング82Aと第2のリターン用ケーシング82Bは、前述したように、強制的に同一速度で同一の反時計方向に、やはり、公転と同様の回転量1/2になることが明らかである。
【0164】
そして、第2のリターン用ケーシング82Bに1/2の回転量を強制的に伝えると、第2ケーシング82Bに軸支されてる、2個の第2ピニオンギア86B,87Bが第2差動機構のリターン用入力側サイドギア83Bと出力側サイドギア84Bに反時計方向の回転力を及ぼすことになる。この時、第2差動機構のリターン用出力側サイドギア84Bには出力軸2からの負荷が駆かっているため、リターン用入力側サイドギア83Bに、その負荷を逃がそうとして、やはり、反時計方向に戻しの回転力が加わる。
【0165】
こうして、リターン用サイドギア入力側軸78Bに回転力が伝達され、メッシュ纏めギアG26が反時計方向に回転すると、ギアG25,G27は時計方向に回転する、やがて、出力側メッシュギアM3FとM4Fに回転力が伝達される。
【0166】
その時、タイミングカムTC3,TC4の作動が低速回転を選択するように合わせてあるから入力側メッシュギアM3EからM4Eへと、次はM4EからM3Eにと交互に交替しながら接続し低速で受け止めるように、リターン用のストレート軸25Eかパイプ軸25Fを交互に経由して、リターン用の3番か4番クランクピン27Eか27Fが係合している第2カム溝23E,23Fに交互に回転力が伝達されて入力軸1に戻す、所謂リターンとなる。そして、低速のリターン回転量より高速の駆動回転量の方が多ければ正回転の出力となる。
【0167】
更に、図4(a)、(b)、(c)、(d)と図9を照らし合わせて、回転量を数値(割合%)で示して説明する。併せて、図12,13,14,15も参照して説明する。
【0168】
最初に、第1の駆動用入力側サイドギア83Aの回転量を割合にして100%回転させると、それに対し、固定されて停止している第1差動機構の駆動用出力側サイドギア84Aの歯に沿って、2個の第1ピニオンギア86A,87Aが自転しながら1/2の50%の割合で公転する、と同時に、第1ケーシング82Aと第2ケーシング82Bが、やはり、1/2の50%の割合で回転するから、2個の第2ピニオンギア86B,87Bも1/2の50%の割合で公転する、この時、リターン用の第2入力側サイドギア83Bへの戻し回転量も100%と、同じ割合ならば(図4(a)参照)無偏心状態だから、100%−100%で出力は発生せずゼロ回転となる。
【0169】
以後、駆動用の100%とリターン用の100%を合計した、200%の範囲で駆動用とリターン用に分けることになる、従って、その偏心割合は反比例することになる。
【0170】
次は、偏心位置を変更し、第1の駆動用入力側サイドギア83Aの回転量を割合にして125%回転させたのに対し、同様に、ケーシングとともに2個の第1ピニオンギア86A,87Aと2個の第2ピニオンギア86B,87Bが1/2の62.5%の割合で公転しても、リターン用の第2入力側サイドギア83Bへの戻し回転量が3/5の75%の割合しかなければ、125%−75%=50%の出力量となり(図4(b)参照)八分の三半円の偏心位置と同じで1:0.5の変速比となる。
【0171】
次も、同様に偏心位置を変更して、駆動用の回転割合を150%にしたのに対し、ケーシングとともに2個の第1ピニオンギア86A,87Aと2個の第2ピニオンギア86B,87Bが1/2の75%の割合で公転しても、リターン用の第2入力側サイドギア83Bへの戻し回転量が1/3の50%の割合しかなければ、150%−50%=100%の出力量で(図4(c)参照)四半円の偏心位置と同じで1:1の変速比である。
【0172】
最後も、更に偏心位置を変更して、駆動用の回転割合を175%にしたのに対し、ケーシングとともに2個の第1ピニオンギア86A,87Aと2個の第2ピニオンギア86B,87Bが1/2の87.5%の割合で公転しても、リターン用の第2入力側サイドギア83Bへの戻し回転量が1/7の25%の割合しかなければ、175%−25%=150%出力量で(図4(d)参照)八分の一半円の偏心位置と同じで1:1.5の変速比となる。
【0173】
入力軸1を時計方向に回転させて、出力軸2を反時計方向に逆回転にする場合は、図7,8に示した、操作ハンドル53を廻して支持箱51Zを、0位置を過ぎて、なお時計方向に回動させれば良い。
【0174】
こうして、偏心位置が可変されるのは正回転のときと同様、図8,9で示しているように第1カム本体100Aと第2カム本体100BそしてカムギアG1,G2のみである。そして、二重軸クランク本体110A、110Bの位置やメッシュギアM1EF,M2EF,M3EF,M4EFの位置はそのまま変更しない。また、正回転と同様に第1差動機構のサイドギア出力側軸88Aと出力側サイドギア84Aは、本体ブロックBL1に固定していて停止したままである。
【0175】
そして何よりも、タイミングカムTC1,TC2,TC3,TC4の作動時期は正回転の時でも、逆回転の時でも同じ状態で作動している。そして図3(a)(b)(c)(d)で、既に記述した通り、塗り潰してある駆動側が小さな円弧で低速回転を選択するようになっても、停止している出力側サイドギア84Aの影響で回転方向と回転速度を決定していることに変りはない。そのため、白無地のままのリターン側は大きな円弧で高速回転を選択するようになるから、駆動用の低速回転にリターン用入力側サイドギア83Bが逆らって無理矢理高速回転すると、第2のリターン用出力側サイドギア84Bは逆回転してしまう、即ち、出力が逆回転になった状態である。
【0176】
次に、逆回転の場合を数値に表して詳しく説明すると、やはり、駆動用の低速回転量からリターン用の高速回転量を差し引くことになるから、出力はマイナス回転量で表示するようになる、それが逆回転である。
【0177】
そして、逆回転の時でも無偏心の出力は駆動量100%引くリターン量100%で正回転と同様にゼロ回転となる。続いてそこから逆位置に偏心して、塗り潰してある駆動用の第1入力側サイドギア83Aが、割合にして75%の回転量に対して、ケーシングとともに2個の第1ピニオンギア86A,87Aと2個の第2ピニオンギア86B,87Bが1/2の37.5%の割合でしか公転しないのに、白無地でリターン用の第2入力側サイドギア83Bの割合は5/3の125%もの回転量になるから、75%−125%=(−)50%のマイナスの割合で逆回転の出力となる。図3(b)に示した逆八分の三半円の偏心位置ではやはり、マイナスの1:(−)0.5の変速比となる。
【0178】
次も、同様に偏心位置を逆に可変し、塗り潰しで駆動用の回転量を割合で50%にしたのに対し、ケーシングとともに2個の第1ピニオンギア86A,87Aと2個の第2ピニオンギア86B,87Bが1/2の25%の割合でしか公転しないのに、白無地でリターン用の第2入力側サイドギア83Bでは割合が3/1の150%もの回転量になるから、50%−150%=(−)100%のマイナスの割合で逆回転の出力となる。図3(c)に示した逆四半円の偏心位置では、やはり、マイナスの1:(−)1の変速比となる。
【0179】
最後も、更に偏心位置を逆に可変して、塗り潰してある駆動用の回転量を割合で25%にしたのに対し、ケーシングとともに2個の第1ピニオンギア86A,87Aと2個の第2ピニオンギア86B,87Bが1/2の12.5%の割合でしか公転しないのに、白無地でリターン用の第2入力側サイドギア83Bでは割合が7/1の175%もの回転量になるから25%−175%=(−)150%のマイナスの割合で逆回転の出力となる。ここでも、図3(d)に示した逆八分の一半円の偏心位置では、マイナスの1:(−)1.5の変速比となる。
【0180】
正逆回転を整理して説明する。正回転の時、駆動用150%−リターン用50%=出力100%と、また、逆回転の時、駆動用50%−リターン用150%=出力(−)100%と説明してきた。正逆回転の時、実際は、本無段変速装置の特徴である、偏心回転の内から高速側の回転量(駆動力)から低速側の回転量(リターン)を差し引いた回転量を出力量にしていることに変りないが、この説明文の逆回転時でも、負荷の一部を駆動用が受け止めるようにして50%入力側に戻している。然し、符号や呼称をリターン用に変えるのは難しい。符号や呼称を逆に変更すると、「正回転のとき駆動用だった側がリターン用に変わって」等々になり、また、数値にすると駆動用150%−リターン用50%=出力100%のように正回転時と全く区別がつかなくなるのと、塗り潰し等のマーキングも変更すると正回転時と全く同じになってしまうので、図面のマーキングや文面での符号や呼称も変更するのは困難なことが明らかである。
【0181】
従って、第1差動機構がそのまま駆動用で低速回転を選択し、なお、戻しを受け持たせ、第2差動機構がそのままリターン用で高速回転を選択し、駆動力を伝達しているから、逆回転の出力はマイナス数値で表示される。
【0182】
次に図1から図9までの、本発明による偏心式無段変速装置の実施形態についての説明は、偏心度合いを応用した変速方法と作動原理を理論的に説明してきたが、再び、図8と図9を参照して、実用的な作動原理を説明する。
【0183】
先ず、図8(b)と図9に示した、第1機構で1番、2番の駆動用タイミングカムTC1,TC2の作動により断続する、第1機構で1番の駆動用メッシュギアM1EFから、第1機構で2番の駆動用メッシュギアM2EFへの交替時、そして、第2機構で3番、4番のリターン用タイミングカムTC3,TC4の作動により断続する、3番のリターン用メッシュギアM3EFから4番のリターン用メッシュギアM4EFへの交替時に衝撃が発生してしまう。謂わば、図1から図9まで、変速方法と作動原理の説明用に作成した図で、完成した変速装置を示したものではない。
【0184】
その衝撃発生の状態を具体的に説明すると、図9を参照して、タイミングカムTC1,TC2,TC3,TC4の凹凸の向きと回転方向を記した矢印で明らかなように、第2機構で3番のリターン用のメッシュギアM3EとM3Fは、既にメッシュギアの歯が半分抜けかかっていて切断動作が開始されているが、その交替相手の、第2機構で4番のリターン用メッシュギアM4EとM4Fは、既にメッシュギアの歯が半分噛み込んでいて接続動作が開始されている、この中途半端の状態の時でも、第1機構で1番の駆動用メッシュギアM1EFが接続中で回転力を伝達しているから、メッシュ纏めギアG26を介しギアG25とギアG27を経て、メッシュギアM3F,M4Fには戻しの負荷が駆かっているから、この瞬間に衝撃が発生して回転ムラは勿論、最悪の場合メッシュギアMEFそのものを破壊しかねない。
【0185】
それは、第1機構で1番の駆動用メッシュギアM1EとM1Fには、タイミングカムTC1が完全に圧着し接続しているから回転力を出力側に伝達している、また、第1機構で2番の駆動用メッシュギアM2EとM2Fの方は、タイミングカムTC2が完全に離れ切断されてるから空転することができる。然し、この状態は、第1機構で1番の駆動用メッシュギアM1EFが完全に接続していて稼働可能にも係わらず、肝心の稼働相手の、3番4番のリターン用メッシュギアM3EFとM4EFが、断続途中で回転力を入力軸に戻すことができないので、変速装置としての稼働は不可能である。要するに、第1機構で1番の駆動用メッシュギアM1EFは、相手が完全でない単独接続と言うことになる。
【0186】
そして、図9を見て判るように、第1機構で1番2番の駆動用も、図の場面から、90°回転するとタイミングカムTC1,TC2がリターン用の向きと同じになる、そして、90°回転毎に駆動用とリターン用が交互に交替時期を迎えるため、その都度衝撃を受けてしまう。これでは、本発明の偏心式無段変速装置として完成したことにはならない。
【0187】
そこで、完成した本偏心式無段変速装置を示している図10,図11と、原理のみの説明用にとどめた図8,図9を比較すると、図10(b)の左辺に、そして、図11の下部には、第4機構で駆動用の装置と、第3機構でリターン用の装置の、2機構一組を追加して設置しているものが示されている。
【0188】
それと、図10(b)の右辺に、そして、図11の上部に示した、第1変速機構で駆動用の装置と、第2変速機構でリターン用の装置の2機構一組は、既に、説明済みの図8(b)と図9で示した図と同じものである。従って、図10と図11に示すように、第1と第4の駆動用が2機構、第2と第3のリターン用が2機構の、合計で4機構二組を設置して、初めて、完成した本発明の偏心式無段変速装置の図になる。
【0189】
次に、図10,図11を参照して、更に本発明の実用的な変速方法と作動原理の実施形態について説明する。そして、図8,図9に示した、2機構一組の機能と、図10,図11の追加で設置した2機構一組の機能は、全く同等の機能を持っている、このことを踏まえて説明する。先ず、第3変速機構と第4変速機構の2機構一組を追加して設置する際の条件として、既に記述した、90°位相差を付けての組み合わせに加え、更に45°の位相差を付けなくてはならない、それを、図10(a)にカム溝のみを示し、簡単に図解してある。
【0190】
従って、図10(a)、(b)で、符号の末尾に上下左右が連記してあるから、照らし合わせてながら具体的に説明すると、塗り潰してある第1機構の駆動用カム溝13E上,13F下で垂直方向に対し、白無地で第2機構のリターン用カム溝23E右,23F左で水平方向の90°の位相差を付けて重ね合わせてあるところに、更に、白無地で第3機構のリターン用カム溝33E右上から33F左下にした斜め45°の方向に対し、塗り潰してある第4機構の駆動用カム溝43E左上から43F右下にした反対斜め45°の方向にして、ここでも90°の位相差を付けて重ねたものに、更に45°づつの位相差を付けて、四重に重ね合わせて判り易くしている。
【0191】
そして図10(b)に示したように、回転中でも四重で45°の位相差が保持できるように、入力ギアGINを中心にカムギアG1,G2,G3,G4が囲むように噛み合わせた状態で、組み付けていることが明らかである。
【0192】
そして、図10(b)で回転中のカム溝方向を確認するときは、図8の時と同様に、図面を回しながら円周Cの破線に沿って見て、なお、符号の末尾に連記した上下左右を図10(a)の符号と照らし合わせると判り易い。また、図10(a)(b),図11に掲げた、偏心位置は四半円で、カム溝方向は、第1第2の垂直と水平の方向が図5(c)と同じで、第3第4の45°斜め方向で交叉しているのは図5(d)と同じ回転中を示している。
【0193】
然し、図11を参照すると、タイミングカムの凹凸の方向は夫々が異なっているのが判るように、第1機構で駆動用のタイミングカムTC1,TC2が横方向で180°左右に相対している、第2機構でリターン用タイミングカムTC3,TC4が縦方向で180°上下に相対しているのに較べて、第4機構で駆動用のタイミングカムTC7,TC8は45°方向で180°斜めに相対している、第3機構でリターン用のタイミングカムTC5,TC6も45°方向に180°斜めに相対していて90°の位相差も確保している。
【0194】
従って、夫々のカム溝方向に連係して設置してあるから、図11に示した夫々のタイミングカムTCの凸部は45°の位相差で8方向に分かれていて、夫々のメッシュギアMEFの断続を45°回転毎に行わせる代わりに、必ず一組の、メッシュギアMEFが45°先行しているか、45°遅延して接続しているから、何れかのメッシュギアMEFから回転力が出力軸2に伝達していて、他のメッシュギアMEFが断続の交替中であっても衝撃を起こすことはない。
【0195】
その衝撃解消の状態を具体的に説明すると、図11を参照して、タイミングカムTC1,TC2,TC3,TC4,TC5,TC6,TC7,TC8の凹凸の向きと回転方向を記した矢印で明らかなように、図11の場面は、タイミングカムTC8の斜め凸部が第4機構で8番の駆動用メッシュギアM8Eを圧着していてM8Fが完全に接続している状態だから稼働中である、その稼働相手の、タイミングカムTC5も斜め凸部が第3機構で5番のリターン用メッシュギアM5Eを圧着していて、こちらのM5Fも完全に接続しているから負荷により逃げてきた余剰回転力を入力側へ戻している最中である。従って、駆動用メッシュギアM8EFとリターン用M5EFの組合わせにより変速された回転力が出力軸2に伝達されている。
【0196】
そして、第1機構で1番の駆動用メッシュギアM1EFが完全に接続中にもかかわらず、稼働相手の、第2機構で3番と4番のリターン用メッシュギアM3EFとM4EFは断続の交替中だから入力側へ戻しの動作はしていないが、出力側からの回転速度と入力側からの回転速度が一致した瞬間に、プランジャSPS3とSPS4のスプリングが作動して何の衝撃もなく、一方クラッチの爪が接続するのと同じようにスムーズに交替が行われる。
【0197】
そして、図11を見て判るように、図面の場面から、45°回転したタイミングカムTCの凹凸の方向を想定すると、メッシュギアM1EFが接続中になり稼働相手のメッシュギアM4EFも接続しているから稼働中となる、そして、今まで稼働中だった、メッシュギアM8EFからメッシュギアM7EFへ交替となり断続が行われる。従って、45°回転毎に駆動用とリターン用が交互に交替時期を迎えるが、同様に、45°回転毎に駆動用とリターン用の組合わせも成立するため稼働中が続行され連続回転が可能である。
【0198】
この、2機構二組で4機構の駆動用とリターン用のメッシュギアMの組合わせを表形式にして一括で記述すると、下記のように一覧することができる。
Figure 0003596874
上記表に示した番号は、メッシュギアMEFのみならず、クランク部材(1番〜8番)の一切(ピン、アーム、軸)とタイミングカムTCにプランジャSPSが(1番〜8番)で統一している。
【0199】
前述のように、第1機構から第4機構まで2機構二組で4機構を組み付けた、偏心式無段変速装置4連型が最小機種になる、2機構を三組備えた6連型、そして、2機構を五組備えた10連型のように高負荷に対応できる大型の機種も可能である。それは、出力回転が2機構一組毎に等速回転になって独立しているからである、従って、2機構一組を多数増やすことができる。
【0200】
さて、メッシュギアMの断続状態の説明が終了したところで、次の、第3変速機構と第4変速機構の作動原理を説明する。然し、第1第2変速機構と第3第4変速機構の作動原理は全く同等の機能を有していて、唯一違う所は、設置の時点に45°の位相差が付けてあることである。従って、説明は簡略的に行う。
【0201】
図10と図11を参照すると明らかなように、出力が正回転において第1機構のカム板11を塗り潰して駆動用の表示にしている、そして第1差動機構の出力側サイドギア軸88Aが本体ブロックBL1に固定していて回転方向と回転速度を決めている、と同時に、ケーシング連絡ギアCG1を経由して、第2差動機構の出力側サイドギア軸88Bを回転させて出力を取り出し、固定してあるギアG5と噛合しているギアGOTと出力軸2を回転させる。
【0202】
同様に、第4機構のカム板41を塗り潰して駆動用の表示にしている、そして、第4差動機構の出力側サイドギア軸88Dが本体ブロックBL2に固定していて回転方向と回転速度を決めている、と同時に、ケーシング連絡ギアCG2を経由して、第3差動機構の出力側サイドギア軸88Cを回転させて出力を取り出し、固設してあるギアG6と噛合しているギアGOTをギアG5と挟むようにしていて、ギアG5とギアG6は常に同一方向に同一速度で、然も、脈動することなく出力軸2を等速回転させる。
【0203】
次は、第2機構のカム板21は白無地のままでリターン用としている、そして第2差動機構の出力側から駆かる負荷を受け止めるようにして、第2差動機構の入力側サイドギア軸83Bを経由して入力側に回転力を戻している。と同様に、第3機構のカム板31は白無地のままでリターン用としている、そして、第3差動機構の出力側から駆かる負荷を受け止めるようにして、第3差動機構の入力側サイドギア軸83Cを経由して入力側に回転力を戻している。
【0204】
このように、駆動用の第1機構とリターン用の第2機構の組合わせは独立している、そして、駆動用の第4機構とリターン用の第3機構の組合わせも独立していて、夫々が同じ機能を発揮しながら、互いに干渉しない、それは、第1と第2差動機構の一組と、第3と第4差動機構の一組の、組と組の間には、図11に示しているように、一切連絡ギアを設置してないから干渉するものもない。
【0205】
これは、第2差動機構のサイドギア出力側軸88Bと、第3差動機構のサイドギア出力側軸88Cは、互いに、同一方向に、同一速度で、等速回転で一定しているが。第1のサイドギア入力側軸78Aと第2の78B、そして第3のサイドギア入力側軸78Cと第4の78Dでは、まだ偏心回転のままの状態で、夫々が別々の速度で回転している、そのため、ギアCG1で連絡している第1と第2差動機構ケーシング82Aと82Bの回転速度と、ギアCG2で連絡している第3と第4差動機構ケーシング82Cと82Dの回転速度とは、常に違っていて、互いに干渉していないにもかかわらず、最大の目的である45°の回転時差によりメッシュギアMEFの交替時のロスを、互いに補っている。
【0206】
また、第1第2機構と第3第4機構は符号が異なるので、図11を参照して、入力側から系統順に符号を列記して、簡単に説明する。先ず、出力が正回転に於いて、第4機構で駆動用の系統は、入力軸1と入力ギアGINが時計方向に回転するとギアG4が反時計方向に回転し、カム本体100Dのカム軸42、カム板41、カム溝43E,43Fも反時計回りする、そして8番7番のクランクピン47E,47Fクランクアーム46E,46Fと、8番クランクストレート軸45Eに7番クランク二重軸45Fと先端のギアG42,G43まで反時計方向で交互に高速回転する、噛合しているギアG41,G44から時計回りになり、連結しているメッシュギア入力側軸62D,63Dと断続可能な入力側メッシュギアM7E,M8Eと、受動側の出力側メッシュギアM7F,M8Fは交互に断続を繰り返す。
【0207】
そしてメッシュギア出力側軸72D,73Dと先端のギアG45,G47まで、時計方向で交互に高速回転する、ここで、メッシュ纏めギアG46が反時計方向に回転すると、サイドギア入力側軸78Dに入力側サイドギア83Dも反時計回りするが、サイドギア出力側軸88Dが本体ブロックBL2に固定していて、出力側サイドギア84Dが停止しているから2個のピニオンギア86D,87Dが自転したり公転したりする、その公転の時ケーシング82DとケーシングギアG48も反時計回りする、ケーシングギアG48に連結しているケーシング連絡ギアCG2が時計方向に回転して、第3のリターン用ケーシング82Cを回転させると、やがて出力に反映する。大雑把な説明であるが、符号が違うだけで、その他は第1機構の駆動用と全く同じである。
【0208】
次は、出力が正回転に於いて第3機構でリターン用の系統では、入力軸1と入力ギアGINが時計方向に回転すると、ギアG3が反時計方向に回転し、カム本体100Cのカム軸32、カム板31、カム溝33E,33Fも反時計回りする、そして、6番5番のクランクピン37E,37F、クランクアーム36E,36Fと、6番クランクストレート軸35Eに5番クランク二重軸35Fと先端のギアG32,G33まで、反時計方向で交互に低速回転を選択する。
【0209】
ここで、第4の駆動用からの回転力により、ケーシング連絡ギアCG2が時計方向に回転させられると、噛合しているケーシングギアG38とケーシング82Cが反時計回りする。そして、2個一対のピニオンギア86C,87Cを自転させたり公転させたりすると、入力側サイドギア83Cとサイドギア入力側軸78Cを介してメッシュ纏めギアG36が反時計回りする。その回転力が噛合しているギアG35,G37とメッシュギア出力側軸72C,73Cを経て、受動可能な出力側メッシュギアM5F,M6Fに伝達されると、入力側メッシュギアM5E,M6Eが交互に断続を繰り返す。
【0210】
そして、連結しているメッシュギア入力側軸62C,63Cと先端のギアG31,G34が時計回りして戻しの回転力が、噛合しているギアG32,G33に及ぶと、反時計方向の回転力が二重軸クランク本体110Cの5番6番を反時計方向で交互に低速回転させて受け止める。やがて、戻しの回転量を差し引いた回転力は出力側サイドギア84Cとサイドギア出力側軸88Cに反映してギアG6を反時計回りさせると噛合している、出力ギアGOTと出力軸2を回転させる。以上、概略説明したが、符号が違うだけで、第2機構のリターン用と全く同じである。
【0211】
次に、図12乃至図15を参照して、種々の変速比における駆動量とリターン量の割合について説明する。図12(a)は、変速比が1:0のときの駆動用機構とリターン用機構と出力の作動対比を、割合と角度で表した図であり、図12(b)は、その時の出力を表した図である。図12に示した、無偏心位置、即ち図12(a)に示す位置では駆動量、即ち駆動用クランク軸の回転量を+100%としたときに、リターン量、即ちリターン用クランク軸の回転量は−100%であるから、図12(b)に示すように出力は生じない。
【0212】
図13(a)は、変速比が1:0.5のときの駆動用機構とリターン用機構と出力の作動対比を割合と角度で表した図であり、図13(b)はその出力時の等速回転速度を表した図である。図13に示した、八分の三半円偏心位置、即ち図2(b),図3(b)に示す位置では、変速比1:0.5のグラフで駆動量+125%、リターン量−75%となり、出力は図13(b)に示すように50%回転となる。
【0213】
図14(a)は、変速比が1:1.0のときの駆動用機構とリターン用機構と出力の作動対比を割合と角度で表した図であり、図14(b)はその出力時の等速回転速度を表した図である。図14に示した四半円偏心位置、即ち図2(c)図3(c)、および図5,図6に示す位置では、変速比1:1のグラフで駆動量+150%リターン量−50%となり、出力は図14(b)に示すように100%回転となる。
【0214】
図15(a)は、変速比が1:1.5のときの駆動用機構とリターン用機構と出力の作動対比を割合と角度で表した図であり、図15(b)はその出力時の等速回転速度を表した図である。図15に示した、八分の一半円偏心位置、即ち図2(d),図3(d)、に示す位置では、変速比1:1.5のグラフで駆動量+175%、リターン量−25%となり、出力は図15(b)に示すように150%回転となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による偏心式無段変速装置が備えている基本的な部品の構成を概略的に示す分解斜視図
【図2】出力が正回転の場合の、本発明の偏心式無段変速装置に使用される第1および第2カム板の回転軸心に対するクランク軸心の偏心度合を、クランクピン心回転軌道とともに示す概略説明図であり、(a)は、第1および第2カム軸の軸心と二重軸クランクの軸心が偏心してない状態を示し、(b)は二重軸クランクの軸心が僅かに上方に偏心している状態を示し、(c)は(b)よりも偏心している状態を示し、(d)は(c)に示したものよりさらに偏心している状態を示す。
【図3】出力が逆回転の場合の、本発明の偏心式無段変速装置に使用される第1および第2カム板の回転軸心に対するクランク軸心の偏心度合を、クランクピン心回転軌道とともに示す概略説明図であり、(a)は、第1および第2カム軸の軸心と二重軸クランクの軸心が偏心してない状態を示し、(b)は二重軸クランクの軸心が僅かに下方に偏心している状態を示し、(c)は(b)よりも偏心している状態を示し、(d)は(c)に示したものよりさらに偏心している状態を示す。
【図4】第1および第2カム板の回転軸心に対する1番および2番クランク部材の軸心の偏心度合いをクランクピン心回転軌道とともに角度的に説明する説明図であり(a)は第1および第2カム本体の軸心と1番および2番クランク部材の軸心が偏心していない変速比が1:0の状態で、(b)は軸心が偏心していて変速比が1:0.5の状態、(c)は偏心が(b)の場合よりもなお偏心していて変速比が1:1の状態、および(d)は軸心が(c)の場合よりもさらに偏心していて変速比が1:1.5の状態を示す。
【図5】偏心距離が四半円位置で変速比が1:1のときの、駆動用のカム板とカム溝および90°位相がずれたリターン用のカム板とカム溝を、駆動用とリターン用のクランクアームとピンとともに重ね合わせて示す説明図であり、(a)はカム板と駆動用ピンとリターン用ピンも回転が0°のとき、(b)はカム板が45°で、駆動用ピンが60°で、リターン用ピンは15°回転したとき、(c)はカム板が90°で、駆動用ピンが135°で、リターン用ピンは45°回転したとき、(d)はカム板が135°で、駆動用ピンが210°で、リターン用ピンは75°回転したときを示す。
【図6】図5と同様の説明図であり、(e)はカム板が180°で駆動用ピンが270°で、リターン用ピンは90°回転したとき、(f)はカム板が270°で、駆動用ピンが405°で、リターン用ピンは135°回転したとき、(g)はカム板が360°で、駆動用ピンが540°で、リターン用ピンは180°回転したときで、(e)(f)(g)の駆動用ピンの回転角度からリターン用ピンの回転角度を差し引くと、やはり、カム板の回転角度と同じになり、1:1の変速比でなお差引き後が等速回転であることを示し、(h)は図5(a)同様の0°位置に戻ったことを示す。
【図7】本発明による偏心式無段変速装置に使用されるカム軸位置可変機構の概略斜視図
【図8】本発明の偏心式無段変速装置の、駆動用とリターン用の2機構一組を組み付けて、入力側から見た正面図
【図9】本発明の偏心式無段変速装置の、駆動用とリターン用の2機構一組を組み付け側面から見て、入力から出力に至る作動原理を集約した側面展開概略図
【図10】本発明による偏心式無段変速装置の完成した装置全体の実施形態を示す、駆動用とリターン用の2機構二組の4機構を組み付けて、入力側から見た偏心式無段変速装置の正面図
【図11】本発明による偏心式無段変速装置の完成した装置全体の実施形態を示す、駆動用とリターン用の2機構二組の4機構を組み付け側面から見て、入力から出力に至る作動原理を集約した偏心式無段変速装置の側面展開概略図
【図12】変速比1:0における駆動量とリターン量の割合を表した図であり、(a)はそのときの駆動用機構とリターン用機構と出力の作動対比を割合と角度で表した図であり、(b)はその時の出力を表した図
【図13】変速比1:0.5における駆動量とリターン量の割合を表した図であり(a)はそのときの駆動用機構とリターン用機構と出力の作動対比を割合と角度で表した図であり、(b)は出力時の等速回転速度を表した図
【図14】変速比1:1.0における駆動量とリターン量の割合を表した図であり(a)はそのときの駆動用機構とリターン用機構と出力の作動対比を割合と角度で表した図であり、(b)は出力時の等速回転速度を表した図
【図15】変速比1:1.5における駆動量とリターン量の割合を表した図であり(a)はそのときの駆動用機構とリターン用機構と出力の作動対比を割合と角度で表した図であり、(b)は出力時の等速回転速度を表した図
【符号の説明】
1 入力軸
2 出力軸
11、41 駆動用カム板(案内手段)
12、42 駆動用カム軸(1次回転軸)
13E、13F、43E、43F 駆動用カム溝(案内部)
14E、14F 駆動用クランク部材
15E、45E 駆動用クランクストレート軸
15F、45F 駆動用クランクパイプ軸
16E、16F 駆動用クランクアーム
17E、17F 駆動用クランクピン(従動子)
21、31 リターン用カム板(案内手段)
22、32 リターン用カム軸(1次回転軸)
23E、23F、33E、33F リターン用カム溝(案内部)
24E、24F リターン用クランク部材
25E、35E リターン用クランクストレート軸
25F、35F リターン用クランクパイプ軸
26E、26F リターン用クランクアーム
27E、27F リターン用クランクピン(従動子)
34E、34F リターン用クランク部材
36E、36F リターン用クランクアーム
37E、37F リターン用クランクピン(従動子)
44E、44F 駆動用クランク部材
46E、46F 駆動用クランクアーム
47E、47F 駆動用クランクピン(従動子)
110A、110D 駆動用クランク二重軸(2次回転軸)
110B、110C リターン用クランク二重軸(2次回転軸)
Dx 偏心距離(カムとクランクの軸間距離)
G1〜G4 カムギア
G5、G6 ギア
G11〜G18 ギア(第1)
G21〜G28 ギア(第2)
G31〜G38 ギア(第3)
G41〜G48 ギア(第4)
GIN 入力ギア
GOT 出力ギア
L1、L7 駆動用カム軸心
L2、L8 駆動用クランク二重軸の軸心
L3、L5 リターン用カム軸心
L4、L6 リターン用クランク二重軸の軸心
M1E〜M8E メッシュギア(入力側)
M1F〜M8F メッシュギア(出力側)
TC1〜TC8 タイミングカム

Claims (6)

  1. 入力軸と出力軸を有し、前記入力軸に入力された回転を無段階に変速して前記出力軸に出力する無段変速装置であって、
    前記入力軸からの回転力によって1次回転軸の周りに回転自在であり、該回転軸に直角に直線状に延びた案内部を有する一対の案内手段と、
    前記1次回転軸と平行な2次回転軸の周りに回転自在であり、前記一対の案内手段の各案内部に前記1次回転軸を挟んで反対側に摺動可能に係合された一対の従動子を先端に有する一対のクランク部材2組と、
    該2組のクランク部材の回転出力を組み合わせて前記入力軸に入力された回転に対して変速された出力を取り出し、前記出力軸に伝達する出力機構と、
    前記1次回転軸に対して前記2次回転軸を偏心させ、両回転軸の軸間距離を変えることにより前記入力軸に入力された回転に対して前記出力軸に伝達される回転出力の変速比を変化させる変速比制御機構とを備えたことを特徴とする偏心式無段変速装置。
  2. 前記一対の案内手段の前記各案内部の該案内手段の回転方向における位相が、互いに90°ずれていることを特徴とする請求項1記載の無段変速装置。
  3. 前記一対の案内手段が2枚の回転カム板であり、前記案内部が該回転カム板に形成された直線状のカム溝であることを特徴とする請求項1または2記載の無段変速装置。
  4. 前記一対の案内手段の前記1次回転軸が互いに離れており、各案内手段の案内部に係合する各一対のクランク部材の前記2次回転軸同士が互いに離れていることを特徴とする請求項1または2記載の無段変速装置。
  5. 前記一対の案内手段と、それぞれの案内手段の前記案内部に係合された前記2組のクランク軸とからなるアセンブリを2個備えたことを特徴とする請求項2から5いずれか1項記載の無段変速装置。
  6. 前記出力機構が、前記2組のクランク部材の回転出力を、タイミングカムとメッシュギアを使用し断続させて組み合わせたものであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の無段変速装置。
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