JP3596479B2 - 光散乱法による表面の複合評価システム - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光散乱法による表面の複合評価システムに係わり、更に詳しくはシリコンウエハ等の超精密加工面の微粒子、スクラッチ、マイクロラフネスを同時に測定して評価することが可能な光散乱法による表面の複合評価システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超LSIにおける高集積化の進歩は著しく、半導体メモリーDRAMでは記憶容量が1〜4ギガビットのものが開発中で、そのためデザインルールも次世代の0.1μm幅に突入しようとしている。さて、デバイスウエハでは金属汚染物や異物(パーティクル)、及びスクラッチなどの微細欠陥がデバイス不良の要因とされている。即ち、半導体デバイスの欠陥のほとんどは、シリコン(Si)ウエハに付着した異物により生じるとされており、LSI製造での歩留りと信頼性を考慮すれば、大きさがパターン幅の1/5〜1/3程度の異物(パーティクル)が問題となる。そのため、清浄な環境に対する管理も、より厳しく要求され、パターン幅が0.1μmの場合、直径30nm〜50nm程度の微粒子の検出と除去が不可欠となる。
【0003】
しかし、散乱光を用いた粒径測定機(パーティクルカウンター)は種々あるが、何れも微粒子から生じた散乱光の絶対光量を検出するもので、ノイズ(迷光)の影響により、現在測定できる微粒子は粒径0.08μm程度であり、それ以下のものを計測できるものは見あたらない。更に、従来の光散乱法では、表面からのスペックルパターンの影響により、原理的にも検出可能な粒径は30nm程度とされている。粒径が0.8μm以下になると、検出散乱光は極微弱光となり、例えば粒径10nmでは粒子からの散乱光強度も1pW(10ー12W)程度の極微弱光となって、光電子パルス列として検出される。そのため、フォト・カウンティング法などによる極微弱光検出法もあるが、計測に膨大な時間を要する。また、迷光を10ー12W程度まで抑えることは非常に困難なため、直径がナノメータオーダの微粒子からの散乱光は常に迷光レベル以下となり、信号がその中に埋もれる状態となるため、測定が非常に困難となっていた。
【0004】
また、3次元表面構造解析顕微鏡である縞走査干渉顕微鏡(Zygo)によって、表面粗さ(ラフネス)を測定することはできるが、表面に付着した微粒子を計測することはできない。尚、表面の微視的観察には、走査型電子顕微鏡も使用されるが、一般的に電子顕微鏡は高価であるとともに、広い面積の表面を観察するには計測時間がかかり過ぎるといった問題がある。
【0005】
ところで、本発明者は、特許第2747921号公報に記載されるようなシリコンウエハ等の試料表面に付着したナノメータオーダの超微粒子の粒径を測定する光散乱法による超微粒子の粒径測定装置を既に提供している。つまり、この光散乱法による超微粒子の粒径測定装置は、レーザ光を所定スポット径に集光して試料表面に照射するレーザ光照射手段と、内面に形成された楕円面鏡の第一焦点と第二焦点を、周囲の稜線を結ぶ面より僅かに外方に位置するように設定するとともに、前記第一焦点を中心とした等角位置に、前記レーザ光を該第一焦点を含む近傍に照射すべく入出射口を開設してなる楕円集光器と、前記楕円集光器の第一焦点を含む近傍に試料表面を位置し且つ該試料を等速で移動し得る移動装置と、前記楕円集光器の第二焦点にその焦点を一致させた放物面鏡を内面に形成し、該焦点に集光された試料表面に付着した超微粒子からの散乱光を案内するパラボラ集光器と、前記パラボラ集光器の他端に配し、該パラボラ集光器により案内された極微弱な散乱光を単一光電子状態の離散パルス状信号として検出する光電子増倍管を内装し、該光電子増倍管を冷却し得る検出器と、該検出器により検出された散乱光の信号を積分して電圧に変換し、そのピーク値電圧から超微粒子の粒径を算出する信号処理手段とより構成されている。
【0006】
前述の公報記載の装置によって、シリコンウエハ等の試料表面に付着したナノメータオーダの超微粒子の粒径を測定することが可能となったが、シリコンウエハの表面にはダイシングやポリッシングによってできたスクラッチとポリッシングによっても除去することができない微細な凹凸が存在し、これらを同時に観察することができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、光散乱法によってシリコンウエハ等の超精密加工面のナノメータオーダの微粒子、スクラッチ、サブナノメータオーダのマイクロラフネスを同時に短時間で測定することが可能であり、また装置構造も比較的簡単で安価である光散乱法による表面の複合評価システムを提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題解決のために、レーザ光を所定スポット径に収束させ、試料表面に対して所定入射角度で照射させる収束光学系と、照射レーザ光に対して試料をY方向への一定走査間隔毎に相対的に一定速度でX方向へ走査する駆動制御系と、極微弱な全散乱光を集光する集光光学系と、集光した全散乱光を単一光電子状態の離散パルス状信号として検出し、その信号を積分して電圧に変換する光検出系と、該光検出系で得られた積分電圧波高値データとレーザ光の照射位置データを基に、試料表面の微粒子の粒径と位置、スクラッチの溝幅と長さと位置、マイクロラフネスの値と分布を、それぞれ試料表面に配した仮想微粒子からのレーリー散乱とする散乱モデルに対応させて演算して同定する演算処理系とを備えた光散乱法による表面の複合評価システムを構成した。
【0009】
ここで、本発明は、前記収束光学系で収束させたレーザ光を、前記駆動制御系によって一定走査速度で駆動された試料表面に対して照射するとともに、該試料表面からの正反射光を除去し、極微弱な散乱光を前記光検出系を構成する光電子増倍管で単一光電子状態の離散パルス状信号として検出することにより、外部光による迷光、ショットノイズやスペックルの影響を相殺し、最大検出感度を微粒子の粒径で6nm、スクラッチの溝幅で1nm、ラフネスの値で0.1nmを達成してなるものである。
【0010】
具体的には、前記積分電圧波高値データをレーザスポット径に相当する長波長成分とそれよりも十分に短い短波長成分とに分離し、長波長成分の積分電圧波高値データと照射位置データを基に、長波長成分の検出信号のY方向への不連続性を判断して、試料表面に直径が異なる仮想微粒子を離散状態で配した粒子散乱モデルに対応させて粒径を演算し、微粒子を測定するのである。
【0011】
また、前記積分電圧波高値データをレーザスポット径に相当する長波長成分とそれよりも十分に短い短波長成分とに分離し、長波長成分の積分電圧波高値データと照射位置データを基に、長波長成分の検出信号のY方向への連続性を判断して、試料表面に複数の仮想微粒子を略直線状に連続して配したスクラッチ散乱モデルに対応させて粒径を演算し、該粒径を溝幅に換算してスクラッチを測定するのである。
【0012】
そして、前記積分電圧波高値データをレーザスポット径に相当する長波長成分とそれよりも十分に短い短波長成分とに分離し、短波長成分の積分電圧波高値データと照射位置データを基に、試料表面に複数の仮想微粒子が敷き詰められ且つレーザ光のスポット内で前記仮想微粒子の粒径を均一としたラフネス散乱モデルに対応させて各スポット内の平均粒径を演算し、該粒径を平均粗さに換算してマイクロラフネスを測定するのである。
【0013】
更に、1以上の異なる走査方向毎に取得した積分電圧波高値データと照射位置データを基にスクラッチを測定し、各測定結果を合成してなることが好ましい。
【0014】
また、共通の積分電圧波高値データと照射位置データを基に、各散乱モデルによって測定した微粒子、スクラッチ、マイクロラフネスに関する測定結果を合成し、二次元又は三次元表示すれば、試料表面の測定範囲を視覚的に評価することができるので好ましい。
【0015】
更に、レーザ光の波長を変化させて試料表面を走査することにより、試料表面に対するレーザ光の侵入深さを変えることが可能であるので、試料表面からの所定深さの情報を得ることも好ましい。
【0016】
本発明は、試料表面に付着した微粒子、加工の際に表面に形成されたスクラッチ、表面のマイクロラフネスを同時に測定し、試料表面を複合的に評価するものであるが、その測定原理について簡単に説明する。本発明では、試料表面を一定走査速度で走査することにより、外部光が回り込んで集光光学系に入っても光う検出系で直流電圧成分として相殺し、取り除かれるので真の意味での迷光としてのノイズは存在しない。従って、得られた積分電圧波高値データには微粒子、スクラッチ、マイクロラフネス(微細凹凸)からの散乱光のみが反映されているので、ノイズに埋もれた微粒子からの散乱光を取り出す従来の方法とは異なり、粒径0.1μmの測定限界の壁を破ることができたのである。試料表面の微粒子の粒径、スクラッチの溝幅はレーザスポット径よりも小さく、レーザスポットが通過する間発生するので、微粒子やスクラッチに起因する散乱光の積分電圧波高値データの信号波形は、レーザスポット径に相当する裾幅を有するパルスとなる。スクラッチによる散乱光の積分電圧波高値データの信号波形は、微粒子によるものと同じ波形となるが、この信号波形がY方向へもレーザスポット径以上に連続している場合には、微粒子とは明らかに識別されてスクラッチによるものと判断できる。即ち、X方向走査で得られる信号波形が、一定ステップでY方向に走査していっても連続してレーザスポット径よりも長く続けば、スクラッチと見なすことができる。その最大波高値により溝幅を、またY方向に続く走査距離からスクラッチ長さを測定できる。
【0017】
また、微粒子やスクラッチの無い表面では、レーザスポット光内での面粗さによる凹凸の数が、スポット毎に異なると、走査方向(X方向)に従って散乱光強度が変化する。即ち、マイクロラフネスは、表面粗さに応じて検出信号の揺らぎ成分として検出される。これは、微粒子やスクラッチの測定にはノイズ成分となるが、この短波長成分はレーザスポット径内に相当する表面領域の平均粗さを示している。
【0018】
ここで、微粒子及びスクラッチと表面粗さによる散乱光からの検出電圧信号は、その波形に大きな違いがあり、前者は検出電圧信号の長波長成分、後者は短波長成分として反映されている。つまり、表面粗さの凹凸による信号波形では、一定間隔でレーザスポットを移動させるときの散乱光強度の変化として取り出されるので、微粒子及びスクラッチによる信号波形の波長の方が、表面粗さの凹凸による信号波形の波長より1オーダ以上長いものとして検出される。従って、試料表面からの散乱光の積分電圧波高値データの信号波形を、レーザスポット径と同程度の長波長成分とそれよりも十分に短い短波長成分とに分離してデータ処理する。ここで、積分電圧波高値データの信号波形を長波長成分と短波長成分とに分離する手段としては、ハード的にはローパスフィルタ回路、ハイパスフィルタ回路あるいはバンドパスフィルタ回路で達成できるが、同じ処理をソフト的なデータ処理でも行える。
【0019】
【発明の実施の形態】
先ず、図1に示した構成図に基づき本発明の光散乱法による表面の複合評価システムを説明する。基本構成は、本発明者による特許第2747921号公報に記載された装置と同様である。図中符号1はレーザ、2は収束光学系、3は駆動制御系、4は集光光学系、5は光検出系、6は演算処理系をそれぞれ示している。
【0020】
本発明に係る光散乱法による表面の複合評価システムを構成する測定装置は、レーザ1より発生させたレーザ光を所定スポット径に収束させ、試料表面Aに対して所定入射角度で照射させる収束光学系2と、照射レーザ光に対して試料AをY方向への一定走査間隔毎に相対的に一定速度でX方向へ走査する駆動制御系3と、極微弱な全散乱光を集光する集光光学系4と、集光した全散乱光を単一光電子状態の離散パルス状信号として検出し、その信号を積分して電圧に変換する光検出系5と、該光検出系5で得られた積分電圧波高値データとレーザ光の照射位置データを基に、試料表面の微粒子の粒径と位置、スクラッチの溝幅と長さと位置、マイクロラフネスの値と分布を、それぞれ試料表面に配した仮想微粒子からのレーリー散乱とする散乱モデルに対応させて演算して同定する演算処理系6とを備えている。
【0021】
前記駆動制御系3は、XYZ3軸にテーブル回転θ軸テーブルを加えた4軸駆動テーブルで構成している。また、前記集光光学系4は、楕円鏡7と放物面鏡8とで構成し、楕円鏡7の一方の焦点近傍に位置する試料表面Aにレーザスポットを設定し、楕円鏡7の他方の焦点近傍に放物面鏡8の焦点を位置させたものである。また、前記光検出系5は、放物面鏡8の開放端を塞ぐように配置させた光電子増倍管(PMT)9と、それに接続された検出回路で散乱光強度に比例した電圧信号に変換し、積分電圧波高値データを得る信号制御ユニット10とから構成されている。前記光検出系5で得られた積分電圧波高値データは、パーソナルコンピュータからなる演算処理系6でデータ処理される。また、前記駆動制御系3は、演算処理系6によりモータ制御ユニット11を介して駆動され、試料表面Aでのレーザスポットの照射位置データは演算処理系6に前記積分電圧波高値データとともに記憶される。更に、光学系におけるレーザスポットの位置や焦点調整などの設定用にCCDカメラ顕微鏡12を取付け、このCCDカメラ顕微鏡12は、CCDカメラ制御ユニット13を介して前記演算処理系6で制御されている。
【0022】
次に、本発明の光散乱法による表面の複合評価システムにおける微粒子の測定原理を説明する。本実施形態では、試料表面に照射するレーザ光として波長488nmのアルゴンレーザを用いた。この場合、試料表面に付着した微粒子からの散乱光、特に直径100nm以下の微粒子の場合の散乱光は、レーリー散乱光となり、その強度から粒径を計測するものである。また、本実施形態ではレーザスポット径は5μmであり、このスポット光を1μm間隔で走査している。
【0023】
一般的に、直線偏光レーザ光による球形粒子からの散乱光強度は、マクスウエルの電磁方程式より導いたベッセル関数と円筒関数を含むミー散乱式で求められる。更に、レーリー散乱光強度はミー散乱の近似解として求められる。微小球形粒子からのレーリー散乱光の全散乱光強度は、次の数1で表される。
【0024】
【数1】
Figure 0003596479
【0025】
ここで、λは入射レーザ光の波長、nは粒子と媒質の相対複素屈折率、Iはレーザ強度、またdを粒子の直径として、αは粒径パラメータとして、α=πd/λとして定義される。数1に示すように、全散乱光強度は粒径の6乗に比例するので、全散乱光強度を計測してそれから粒径を求めるのが、本発明の基本測定原理である。
【0026】
ナノメートル(nm)オーダの粒子による散乱光強度は、粒子をSiOとし、出力1W、波長が488nmのArレーザ光を5μmのスポット径に絞って照射しても、10−12W以下の極微弱光である。従って、極微弱光のため光電子増倍管(PMT)からの出力信号は光電子パルスが離散化された単一光電子状態(SPE)で取り出されることになり、通常の散乱光検出による微粒子計測法では、nmオーダの粒径検出は困難となる。そこで、本発明ではこの単一光電子パルスを、簡単なCR検出回路を通して積分電圧波形として検出し、微粒子の直径を計測するのである(前述の特許第2747921号公報を参照)。図2は、試料表面Aに付着した微粒子Pからの散乱光を検出する様子を示し、(a)はレーザ光Lと微粒子Pの関係、(b)はレーザスポットSを示し、(c)はレーザ光の強度分布を示し、(d)はPMTで検出される光電子パルスを示し、(e)はCR検出回路を通して得られた積分電圧波形を示している。
【0027】
微粒子からの極微弱な散乱光をPMTで検出する場合、図3に示すように、PMT光電面からの光電子の不規則放出によるショットノイズに伴い、その出力電流に揺らぎが生じる。図3中Vは検出電圧の波高値を示し、Vph(p−p)はショットノイズの揺らぎのピーク幅を示し、Vph(DC)はノイズの直流成分を示している。極微弱光を扱う本発明では、PMTのショットノイズが測定限界に大きく影響を与える。PMTにおける光電子流発生要因としては、(1)迷光(背景光)の光電面への入射、(2)粒子からの検出散乱光の光電面への入射、(3)光電面からの熱電子放出による暗電流の三つがあるが、本発明の測定限界は(3)の暗電流に依存する。暗電流のショットノイズによるS/Nを10とすれば、検出限界の微粒子の粒径は8.5nmとなり、S/Nを1とすれば、粒径6nm程度となり、これが本発明の理論的な検出限界である。
【0028】
本発明は、収束レーザ光を試料表面で走査させて、微粒子、スクラッチ及び表面の微細凹凸から生じる極微弱な散乱光の強度に比例した光電子増倍管からの積分電圧波高値を検出して、微粒子の粒径及びスクラッチも溝幅をナノメータオーダで計測するとともに、マイクロラフネスをサブミクロンオーダで同時に計測するものである。
【0029】
図4(a)に示すような表面状態の試料を、X方向へ走査して得られた散乱光の積分電圧波高値データを図4(b)に示している。図中符号pは大きな微粒子、pは小さな微粒子、Sはスクラッチを表している。図4(a)に示すように、試料表面に微粒子やスクラッチのない領域では、nmオーダの凹凸による面粗さ、即ちマイクロラフネスに応じて生じる散乱光に応じた電圧信号の揺らぎ成分として検出される。これは微粒子やスクラッチの検出感度に影響するS/Nのノイズ成分として、検出分解能低減の要因となる。即ち、表面のマイクロラフネスにより生じる散乱光強度は、レーザスポット光内に存在する全凹凸の個数に比例したものである。例えば、ラフネスが0.7nmで、粒径15nm程度の微粒子による散乱光と同程度となるが、このマイクロラフネスによる散乱光は、微粒子やスクラッチを測定する上では検出感度を示すS/Nのノイズ成分となり、これが微粒子やスクラッチ測定における検出分解能を決める重要な要素となる。しかし、微粒子やスクラッチの測定においてノイズとなる散乱光成分は、外部光が回り込むことにより生じる真の意味の迷光を除去できれば、試料表面のマイクロラフネスによるものと見なすことができ、これにより表面粗さを計測できる。
【0030】
図4(a)に示すように、試料表面に収束レーザ光を照射して一定速度で走査するとき、光電子増倍管(PMT)の検出回路において、図4(b)に示すような微粒子やスクラッチからの散乱光に応じた積分電圧波形として検出される。光学系への外部侵入光などの迷光がPMTに入るが、これらは直流電圧成分として取り出されるのでキャンセルでき、検出感度への影響は無視できる。しかし、表面の粗さ、即ち微細凹凸(マイクロラフネス)が場所に依存して異なれば、収束スポット光を走査すると、スポット光内の凹凸からの散乱光強度も位置により変動し、スポット光の走査間隔(シフトステップ)ごとの光強度変化として取り出される。即ち、図4(b)に示すように表面のマイクロラフネスの変化に応じた光強度に応じた検出電圧の揺らぎの形で検出される。前述のように、この散乱光強度は、スポット光内に存在する全凹凸の個数に比例したもので、ラフネスが0.7nmで、粒径15nm程度のパーティクルによる散乱光と同程度となり、本粒径測定法の検出限界となる。しかし、図4(b)に示すように、パーティクルからの検出信号波形の波長は、レーザスポット径(D)に相当するので、走査間隔に応じたマイクロラフネスによる揺らぎ信号の波長に比べて、1オーダ程度の相違がある。そのため、検出電圧信号波をローパスフィルタに通せば、図5(a)に示すように、微粒子とスクラッチの検出信号のみを分離することができる。逆に、ハイパスフィルタ回路を通すと、図5(b)に示すように、マイクロラフネスによる光強度変動信号を取り出すことができ、これより表面のマイクロラフネス、即ち平均表面粗さを検出することができる。
【0031】
また、図6に示すように、本発明では、XY2方向にレーザスポット光を走査しながら、面状態に応じて生じた散乱光から、その表面情報を取り込んでいる。即ち、Y方向の一定間隔ごとに得られるX方向への走査による検出信号成分の合成により、被測定面上の面情報が得られ、大きさがnmオーダの微粒子やスクラッチを測定することができる。更に、得られた検出信号の波長成分に対するフィルタリングによって、マイクロラフネスによる信号成分を取り出せば、これによりサブナノオーダの平均粗さを検出することができる。
【0032】
(微粒子の測定)
試料表面に付着した微粒子を測定することは、前述の特許第2747921号公報に記載されており、本発明においても同様である。微粒子を測定においては、粒径が既知の標準微粒子(ポリスチレンラテックス粒子:PSL)を用いて、本微粒子測定機の校正を図った。即ち、あらかじめ透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy:TEM)によるPSLの観測像から、目視で粒径を計測して平均粒子径及び標準偏差を算出し、これと同じPSLを散布したSiウエハ表面を本測定機で計測して、目視値と比較することで校正を行った。平均粒径が88nm、43nm、37nmの3種類のPSLを用いて校正を行った。Siウエハ表面に散布した平均粒径が37nmのPSLを本測定機で測定した場合、平均粒径は36nmで誤差は2.7%で、また標準偏差も3.2と精度良く、散布したPSLを計測できていることが確認できた。また、平均粒径が43nmと88nmのPSLについても、同程度の精度で計測できていることを確認している。
【0033】
本測定装置を用いて、パターン未形成の清浄なSiウエハ表面の微粒子計測を試みた。計測した結果を、図7(a)に粒子分布図として、また図7(b)に計測粒径のヒストグラムとして示す。図7(a)に示すように、パターン未形成の清浄なSiウエハでは、これまで報告のない直径24〜32nm程度の粒子が存在することを示すことができた。また、平均粒径が約28nm程度の粒子が、500μm四方に280個程度、100μm四方に10個程度存在することも示すことができた。ただし、この絶対数は、Siウエハの種類により異なるが、粒径は同じように正規分布を示している。
【0034】
(スクラッチの測定)
先ず、本実施形態では、試料表面Aに形成されたスクラッチSの形状を図8に示すように直線状であると仮定した。Siウエハの場合、表面にスクラッチが形成される原因が、ポリッシング等の表面研磨時の引っ掻き傷であり、測定範囲では直線と見なして良いことによる。また、本測定装置では、散乱光をCR積分回路により電圧に変換しており、凹凸の区別がつかないため、凸状の欠陥と凹状の欠陥は同様の散乱光強度と近似する。そこで、本発明では、スクラッチを、図9に示すように、スクラッチ幅と同様の直径の仮想微粒子pが試料表面に連続して並んで存在しているものとし、スクラッチの溝は近似した仮想微粒子の半円状であるものとする。
【0035】
従って、スクラッチの測定原理は、基本的には前述の微粒子測定原理と同様であり、これを応用したものである。従って、スクラッチを構成する各仮想微粒子からの全散乱光強度Iは前述の数1で表される。本実施形態では、仮想微粒子直径をdとするので、数1における粒径パラメータαがπd/λとなる以外は、前記同様である。ただし、数1はレーザスポット内の強度分布がガウシアン分布となっているので、レーザスポット中心(r=0)での全散乱光強度を示している。
【0036】
ここで、スクラッチは、仮想微粒子が直線で連続して並んでいるものと定義しているので、レーザスポットの中心における全散乱光強度がスクラッチの溝幅を粒径と仮定したときの大きさとなる。レーザスポット内に連続して存在する単一微粒子の数nは、D/dであり、またレーザスポット内の光強度が一定の場合に対するガウシアン分布状態である場合の光強度比をtとすれば、実際にスクラッチから発生する全散乱光強度Issは、数1にレーザスポット内に連続して存在する単一微粒子の数nと光強度比tを乗じたもので表され、次の数2となる。
【0037】
【数2】
Figure 0003596479
【0038】
従って、この散乱光強度を測定することにより、スクラッチの溝幅を推定することができる。本測定装置では、出力される結果は単一微粒子の粒径として示され、微粒子からの全散乱光強度から粒径に換算している。従って、スクラッチを測定した場合も、スクラッチからの全散乱光強度から粒径に換算された結果が出力される。そのため、スクラッチの溝幅を求める際、この粒径として出力された全散乱光強度よりスクラッチの溝幅を算出しなければならない。微粒子として出力されたスクラッチの溝幅をdp、実際のスクラッチの溝幅をdpとすればdpとdpの関係は次の数3で表される。
【0039】
【数3】
Figure 0003596479
【0040】
ここで、kとaは定数であり、k=0.119、a=1.20である。即ち、スポット径内に存在するD/d個の微粒子からの全散乱光強度から求められる粒子径dpを数3に代入すれば、スクラッチ幅dpを算出できる。この関係式より、dpとして本測定装置による微粒子の測定限界の6nmを選べばdpは約1nmとなる。
【0041】
本測定装置を用いて、Siウエハ面に対する凹状の細長い微細欠陥であるスクラッチの測定を試みた。本測定装置を用いて、パターン未形成のSiウエハ表面を計測して得たスクラッチ形状の測定結果を、図11に三次元的に表示して示す。測定は、2×2mm領域で行い、溝幅が6〜10nmのスクラッチが十本程度存在することも示している。
【0042】
(マイクロラフネスの測定)
図6はレーザスポット光を2次元的に走査して得られる検出電圧信号を示している。パーティクルや微細欠陥がない表面領域からの信号は、表面の凹凸、即ち粗さに応じた微弱散乱光によるものと見なすことができる。従って、この散乱光がスポット光内の凹凸から発生する散乱光の総和であるとすれば、求める表面粗さはスポット内の平均粗さとして考えられる。即ち、図4(a)に示したように、任意の粗さを構成する凹凸の一つを単一の微粒子として考え、この凸部がレーザスポット内全体に均一に存在すると仮定し、これら凹凸の大きさと数に比例した散乱光を発すると考える。更に、スポット光を走査すれば、面粗さに応じたスポット毎の凹凸数の相違により、散乱光強度が変化した検出電圧信号として取り出すことができ、この信号成分から表面のマイクロラフネス、即ち平均粗さを検出することができる。
【0043】
ただし、図4(a)と図4(b)に示したように、表面のうねりの波長lがレーザスポット径Dに対して非常に大きいと、このうねり成分の高低差hは無視され、レーザスポット内の微細な高低差、即ち平均粗さだけが検出される。つまり、マイクロラフネス測定原理は、レーザスポット径以上の波長をカットして粗さを測定するハイパスフィルタを備えた非常に微小な領域の表面形状をサブナノオーダで測定するものである。
【0044】
微小凹凸からの散乱光強度を求めるためのモデルを図12に示す。図12に示すように、直径Dのスポット内に高さがdの凹凸がn個詰まって並んで存在しているものとする。これらの凸部を粒径dの単一粒子とみなし、この単一粒子から生じる散乱光をIsrとすると、スポット内に存在するマイクロラフネスとみなす全粒子n個から生じる散乱光強度Ismは、次の数4で表される。
【0045】
【数4】
Figure 0003596479
【0046】
ただし、tは照射レーザスポット光内強度がガウシアン分布のときと均一分布の場合の比(散乱光強度比係数)であり、以下の数で表されるものである。
【0047】
【数5】
Figure 0003596479
【0048】
ここで、スポット内のマイクロラフネスと見なす単一粒子の数nは、レーザスポット径Dとその粒径dより、n=D/d で求められる。よって、レーザスポット内のマイクロラフネスからの散乱光強度Ismは、数4と数5より、次の数6として表される。
【0049】
【数6】
Figure 0003596479
【0050】
そこで、マイクロラフネスdにおける全散乱光強度Ismとその散乱光強度における粒径dとの関係を求めて図13に示す。また、マイクロラフネスは、図14(a)及び(b)に示すようにピークからピークの値であるが、微粒子の直径を測定するのはその中心(基準線)からの測定値より求める。尚、図14(b)は平滑処理後の検出信号を示している。よって、任意のマイクロラフネスの試料に対する測定可能粒径は、図13において縦軸の目盛を半分にした関係のようになる。従って、微粒子の測定限界を6nmとすれば、マイクロラフネスの測定限界は、約0.1nmとなる。
【0051】
次に、粗さの異なるSiウエハ表面を、本測定装置と縞走査干渉顕微鏡(Zygo)で計測して、本測定装置による粗さ測定法の実証を図った。その粗さ測定の結果を図15と図16に示した。図に示すように、粗さの絶対値には、相違はあるものの、本測定装置による表面粗さ値は、走査型白色干渉計の粗さ値と相関していることを示すことができ、本測定装置による粗さ測定法の有効性を実証することができた。
【0052】
また、前述のSiウエハとは異なる4枚のSiウエハに対して、本測定装置と走査型白色干渉計で測定し、その表面状態の3次元的表示を試みた。走査型白色干渉計で測定した結果を図17(a)〜(d)に示し、また本微粒子測定機で測定した結果を図18(a)〜(d)に示した。本発明では、レーザスポット径よりも十分に長い波長のうねり成分は無視されるので、図17と図18の結果にはうねり成分による明確な相違点が存在するが、それ以外のマイクロラフネスにおいては両者において十分な相関が認められた。
【0053】
最後に、図19に基づいて本発明に係る光散乱法による表面の複合評価システムのデータ処理の手順を説明する。先ず、X方向への走査により得られた検出電圧信号をフィルタ回路に通して、波長による選別を行う。長波長成分には微粒子とスクラッチに関する情報が含まれており、Y方向走査ごとに粒子に相当する波形の最大波高値が、レーザスポット径以上に連続しているか確認し、不連続であれば試料表面に付着した単一微粒子と推定し、その波高値データから微粒子の粒径を算出する。また、連続であれば試料表面に形成されたスクラッチであると推定し、波高値データの最大値が連続するY方向距離をスクラッチのY方向長さ、また波高値からスクラッチの溝幅を算出する。一方、検出電圧信号から抽出された短波長成分からマイクロラフネスを算出するのである。また、それぞれ得られた微粒子の粒径、スクラッチの長さ及び溝幅、マイクロラフネスの各測定結果には、試料表面における位置情報がそれぞれ対応づけられおり、分布として2次元的あるいは3次元的に測定結果を、図7(a)、図11、図18に示したように表示することができる。
【0054】
また、本発明ではレーザスポット径が5μm、走査間隔が1μmと、微粒子の粒径やスクラッチの溝幅、マイクロラフネスのオーダと比較して非常に大きなミクロンオーダであるにも係らず、微粒子の粒径で6nm、スクラッチの溝幅で1nm、マイクロラフネスの値で0.1nmの最大検出感度を達成することができるのである。しかも、それらを一つの測定したデータから同時に算出できるので、試料表面の複合的な評価ができるのである。
【0055】
更に、本実施形態では詳しく説明しなかったが、試料表面に照射されたレーザ光は、波長に応じて試料表面から所定深さ侵入するので、本発明で得られた測定結果はその侵入深さの情報が積分されたものと考えられる。従って、異なる波長のレーザ光を照射することによって、試料表面からの深さに対応した情報が得られることが予想され、それらを総合的に判断すれば、更に多くの有益な表面状態が観測できる可能性がある。
【0056】
【発明の効果】
以上にしてなる本発明に係る光散乱法による表面の複合評価システムによれば、
Siウエハなど超精密加工面上の単一微粒子の粒径とスクラッチをナノメータ(nm)オーダで計測でき、またマイクロラフネスをサブナノメータオーダで計測でき、しかもそれらを同時に大気中で計測できるので、試料表面の状態を複合的に評価することができる。尚、単一微粒子の検出感度は、現在19nmまで検出可能となっているが、原理的に6nmまで可能であり、スクラッチの溝幅の検出感度は1nm、マイクロラフネスの検出感度は0.1nmである。
【0057】
本発明は、収束レーザ光を試料表面上に照射して走査しながら微粒子からのレーリー散乱光を検出して、その粒径をナノメータオーダで計測する新しい測定法である。即ち、微粒子からの極微弱散乱光を光電子パルスの積分値として検出する新しい測定法で、検出器の光電子増倍管(PMT)でのショットノイズと検出信号の関係から、従来の光散乱法では不可能であった10nm以下の粒径を検出できることを理論的に実証し、更にパターン未形成の清浄なSiウエハ上に対して測定を行った結果、19nmの粒径に相当する信号を検出している。これは、従来の光散乱法を用いた計測器に比べて1オーダ以上検出感度が高いことを意味している。
【0058】
更に、粒径が既知の標準微粒子(ポリスチレンラテックス粒子:PSL)を付着させたSiウエハに対して本発明に係る測定装置によって粒径測定を行い、その校正を図ることにより、粒径100nm以下において直線性の良い特性を得ており、本発明に係る測定装置で標準微粒子の直径を比較的高い精度で検出していることを確認し、その有用性も実証した。本発明に係る測定装置によるマイクロラフネスの測定結果を、縞走査干渉顕微鏡(Zygo)による測定結果とを比較することにより、両者に相関が認められ、本発明のマイクロラフネスの測定に関しても比較的精度が高いことを確認し、その有用性も実証した。
【0059】
また、本発明に係る測定装置を用いて、パターン未形成の清浄なSiウエハに対して微粒子測定を試みた結果、これまで観測例のない直径が約24〜32nmに相当する微粒子を検出することができ、その表面における微粒子付着分布状態を示すことができた。
【0060】
更に、本発明に係る測定装置を用いて、Siウエハ表面の微細欠陥の検出を試み、幅10nm以下のスクラッチと0.5nm程度のマイクロラフネスを検出することができた。即ち、ナノメータオーダの微粒子計測は勿論、スクラッチのような細長い微細欠陥、及びサブナノオーダの表面粗さを含めた3種類の計測を同時に行うことができることを実証することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光散乱法による表面の複合評価システムに係る測定装置の概略図である。
【図2】試料表面上の微粒子にレーザ光を照射し場合の観測状態を示す説明図である。
【図3】PMT光電面からの光電子の不規則放出によるショットノイズと検出電圧の波高値との関係を示す説明図である。
【図4】(a)は試料表面の状態を示した簡略断面図、(b)はそれからの散乱光を計測した積分電圧波高値データを示すグラフである。
【図5】(a)は図4(b)のデータから長波長成分を抽出した検出信号、(b)は同じく図4(b)のデータから短波長成分を抽出した検出信号を示している。
【図6】試料表面をX方向とY方向に走査して得られた積分電圧波高値データを示す説明図である。
【図7】Siウエハ表面に付着させた微粒子を測定した結果を示し、(a)は検出微粒子の分布図、(b)は検出微粒子のヒストグラムを示している。
【図8】本発明において定義したスクラッチの形状を示す簡略斜視図である。
【図9】本発明におけるスクラッチの測定モデルを示す簡略斜視図である。
【図10】直線状に並んだ仮想微粒子とレーザスポットとの関係を示す説明図である。
【図11】Siウエハ表面のスクラッチ形状測定結果の3次元表示を示す。
【図12】本発明のマイクロラフネスの測定モデルを示す簡略断面図である。
【図13】マイクロラフネスの測定における表面粗さと仮想微粒子の粒径の関係を示すグラフである。
【図14】マイクロラフネスと微粒子の測定における相違を示す説明図であり、(a)は検出信号、(b)は平滑処理後の検出信号を示している。
【図15】Siウエハ表面のマイクロラフネスを、本発明に係る測定装置とZygoで測定した結果を示すグラフである。
【図16】図15のSiウエハと異なるSiウエハ表面のマイクロラフネスを、本発明に係る測定装置とZygoで測定した結果を示すグラフである。
【図17】4枚のSiウエハA、B、C、DのマイクロラフネスをZygoで測定した結果を3次元表示したグラフである。
【図18】図17と同じSiウエハA、B、C、Dのマイクロラフネスを本発明に係る測定装置で測定した結果を3次元表示したグラフである。
【図19】本発明におけるデータ処理の手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 レーザ
2 収束光学系
3 駆動制御系
4 集光光学系
5 光検出系
6 演算処理系
7 楕円鏡
8 放物面鏡
9 光電子増倍管
10 信号制御ユニット
11 モータ制御ユニット
12 CCDカメラ顕微鏡
13 CCDカメラ制御ユニット
A 試料表面
P、P、P 微粒子
仮想微粒子
S スクラッチ

Claims (8)

  1. レーザ光を所定スポット径に収束させ、試料表面に対して所定入射角度で照射させる収束光学系と、照射レーザ光に対して試料をY方向への一定走査間隔毎に相対的に一定速度でX方向へ走査する駆動制御系と、極微弱な全散乱光を集光する集光光学系と、集光した全散乱光を単一光電子状態の離散パルス状信号として検出し、その信号を積分して電圧に変換する光検出系と、該光検出系で得られた積分電圧波高値データとレーザ光の照射位置データを基に、試料表面の微粒子の粒径と位置、スクラッチの溝幅と長さと位置、マイクロラフネスの値と分布を、それぞれ試料表面に配した仮想微粒子からのレーリー散乱とする散乱モデルに対応させて演算して同定する演算処理系とを備えたことを特徴とする光散乱法による表面の複合評価システム。
  2. 前記収束光学系で収束させたレーザ光を、前記駆動制御系によって一定走査速度で駆動された試料表面に対して照射するとともに、該試料表面からの正反射光を除去し、極微弱な散乱光を前記光検出系を構成する光電子増倍管で単一光電子状態の離散パルス状信号として検出することにより、外部光による迷光、ショットノイズやスペックルの影響を相殺し、最大検出感度を微粒子の粒径で6nm、スクラッチの溝幅で1nm、マイクロラフネスの値で0.1nmを達成してなる請求項1記載の光散乱法による表面の複合評価システム。
  3. 前記積分電圧波高値データをレーザスポット径に相当する長波長成分とそれよりも十分に短い短波長成分とに分離し、長波長成分の積分電圧波高値データと照射位置データを基に、長波長成分の検出信号のY方向への不連続性を判断して、試料表面に直径が異なる仮想微粒子を離散状態で配した粒子散乱モデルに対応させて粒径を演算し、微粒子を測定してなる請求項1又は2記載の光散乱法による表面の複合評価システム。
  4. 前記積分電圧波高値データをレーザスポット径に相当する長波長成分とそれよりも十分に短い短波長成分とに分離し、長波長成分の積分電圧波高値データと照射位置データを基に、長波長成分の検出信号のY方向への連続性を判断して、試料表面に複数の仮想微粒子を略直線状に連続して配したスクラッチ散乱モデルに対応させて粒径を演算し、該粒径を溝幅に換算してスクラッチを測定してなる請求項1又は2記載の光散乱法による表面の複合評価システム。
  5. 前記積分電圧波高値データをレーザスポット径に相当する長波長成分とそれよりも十分に短い短波長成分とに分離し、短波長成分の積分電圧波高値データと照射位置データを基に、試料表面に複数の仮想微粒子が敷き詰められ且つレーザ光のスポット内で前記仮想微粒子の粒径を均一としたラフネス散乱モデルに対応させて各スポット内の平均粒径を演算し、該粒径を平均粗さに換算してマイクロラフネスを測定してなる請求項1又は2記載の光散乱法による表面の複合評価システム。
  6. 1以上の異なる走査方向毎に取得した積分電圧波高値データと照射位置データを基にスクラッチを測定し、各測定結果を合成してなる請求項4記載の光散乱法による表面の複合評価システム。
  7. 共通の積分電圧波高値データと照射位置データを基に、各散乱モデルによって測定した微粒子、スクラッチ、マイクロラフネスに関する測定結果を合成し、二次元又は三次元表示してなる請求項1〜6何れかに記載の光散乱法による表面の複合評価システム。
  8. レーザ光の波長を変化させて試料表面を走査してなる請求項1〜7何れかに記載の光散乱法による表面の複合評価システム。
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