JP3596423B2 - 画像圧縮方法及び装置、記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データの圧縮技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、画像データの解像度はますます高くなり、画像を表示するためには、多階調を表すための多値データ分及びカラーを構成する原色データ数分の膨大な容量のフレームバッファメモリが必要となっている。しかも、データ転送速度を向上させるためにフレームバッファメモリをICに内蔵することもあり、コスト増加の原因となっている。一方、データ量を低減するため単純に重要度の低い下位ビットを切り捨てる方法を用いると画質が劣化する。
【0003】
そこで、本発明は、画質の劣化を防止しながら、圧縮率の向上を図ることのできる技術を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の画像圧縮方法によれば、多値の地図画像データを、地図画像データの空間周波数を高くしている原因となる色としての地図中の道路の色、地図画像データ中で相対的に多く使用されている色としての地図中の背景色の内から選択された少なくとも何れか1つの色の部分を周囲の色で補完した補完画像データと、選択された色の部分が存在する位置を示す位置データとに分離し、その分離された補完画像データと位置データとを、別々に圧縮する。
【0005】
補完画像データは、選択された色の部分を周囲の色と同じようにしたデータである。選択する色は、上述のように、地図図画像データの空間周波数を高くしている原因となる色としての地図中の道路の色、地図画像データ中で相対的に多く使用されている色としての地図中の背景色の内から選択された少なくとも何れか1つである。発明の効果に対する理解を容易にするため具体例で説明する。地図画像においては、細線で描かれる道路が多数存在する。その道路の色は背景色の連続性を頻繁に分断することとなり、例えばランレングス変換した際に同じデータが連続するのを妨げていることとなる。
【0006】
これに対して、この道路の色をその背景色と同じにすると、背景色の連続性が向上し、上述のランレングス変換した際に同じデータが連続する可能性が大きくなる。したがって、このように選択された色の部分を周囲の色と同じようにした補完画像データを圧縮すると、相対的に圧縮効率が向上することとなる。上述例で言えば、道路の多い画像データほど、逆に補完画像データの圧縮効率の向上は期待できると言える。そのため、選択された色の部分が存在する画像中の位置を示す位置データについては別に圧縮したとしても、トータルとしては、元の地図画像データをそのまま圧縮する場合に比べて圧縮効率が向上する可能性が大きくなると言える。そのため、従来手法と同じデータ量に圧縮することを考えた場合に、従来手法では非可逆圧縮をしなくてはならない状況であっても、本発明方法の場合には可逆圧縮でもよい可能性が高くなり、あるいは非可逆圧縮するにしても、切り捨てるデータ量が相対的に少なくて済み、画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0007】
なお、地図データに関して実際に圧縮効率が向上したことを本発明者らは確認している。もちろん、地図データ中の道路の量や配置などによって変わるが、圧縮効率の向上が期待できる。もちろん、選択色は任意であるので、例えば背景の色を選択してもよく、同様の効果が期待できる。背景色は地図画像中において相対的に多く使用されている色であり、この背景色を選択した場合には、上述したように可逆圧縮することで画質の劣化が防止でき、また別々に圧縮することによる圧縮率の向上を図ることもできることとなる
【0008】
そして、位置データについては非可逆には圧縮できないので、可逆的に圧縮される。したがって、その位置データに基づいて選択された色を戻せば、選択色は可逆的となる。例えば背景色を選択した場合には、その背景色が可逆的に処理されることとなり、色が変わることがなく画質向上に寄与する。なお、色を戻すためには選択色を示すデータも必要であるが、そのデータ量は圧縮対象のデータ量と比較ずれば無視できる程度の量であるため、全体として圧縮効率が向上することに何ら支障はない。
【0009】
上述した請求項1に示す方法では、選択色の部分を周囲の色で補完した補完画像データと位置データに分離したが、請求項2に示すように、選択色の部分のデータを間引いた後に残る残存画像データと位置データとに分離してもよい。これらの相違について説明する。分離することで全体としての圧縮効率が向上する点は同じであるが、周囲の色で補完した補完画像データの場合には、データサイズは変わらないが、伸張時にパラレルで処理が可能となる。それに対して、残存画像データの場合には、データサイズは相対的に小さくなるが、間引いたデータを位置データに従って順番に埋め込む作業が必要となり、伸張時にはシリアルでしか処理ができないため、時間がかかってしまう可能性がある。ただし、その時間が実用上問題ない程度であれば、より圧縮効率が向上するといえる。
【0010】
一方、請求項3に示す発明は、請求項1に示した画像処理方法を実現するための装置としての一例であり、請求項4に示す発明は、請求項2に示した画像処理方法を実現するための装置としての一例である。そして、これらの画像圧縮装置においても、それぞれ上述した場合と同様の効果を発揮できる。
【0015】
次に、位置データについて説明する。位置データは、請求項に示すように、1色毎に存在する位置を0,1で示す手法、つまり1色あたり1ビットで示すことが考えられる。この場合、色選択手段が複数の色を選択できるようにすると、n色を示すのにnビット必要となる。一方、請求項に示すように、nビットで2n−1 の色を示すような位置データに設定してもよい。例えば色として赤、緑、青の3色を選択した場合を想定すると、「00」がいずれの色も選択されていない状態を示し、「01」が赤を示し、「10」が緑を示し、「11」が青を示すようにすれば、2ビットで3色を示すことができる。つまり、この考え方であれば、nビットで2n−1 の色に対応できる。これら2つの手法については、位置データのデータ量自体で考えた場合、nビットで2n−1 の色を示す手法の方が小さなデータ量となり圧縮効率が向上する可能性がある。但し、1色あたり1ビットで示す手法、つまりn色に対してnビットで示す場合には、各色に対応する位置データにおける圧縮率が高くなるため、トータルとしての圧縮効率が向上する可能性がある。したがって、いずれの手法の方が必ず優位であるということは言えない。
【0016】
一方、本発明の主眼として、画像データから分離した補完画像データと位置データ、あるいは残存画像データと位置データとを別々に圧縮することが挙げられるが、この別々に圧縮する際には、もちろん複数系統のデータ圧縮手段を設けてパラレルに処理しても良いが、1つのデータ圧縮手段にて順番に複数回、圧縮処理しても実現できる(請求項参照)。リアルタイム性が要求されない場合が多いと考えられるので、現実的には1つのデータ圧縮手段で対応しても十分であると考えられる。
【0017】
そして、このデータ圧縮手段についてはどのような圧縮手法を用いてもよいが、例えば請求項に示すように、画像データをエントロピーを低減するように変換し、その変換されたデータに可変長符号を割り当て、その符号化された画像データのデータ量を制御することが考えられる。符号化に際しては、例えば請求項13に示すように、ハフマン符号化により可変長符号化することが考えられる。このようにすれば、データ変換手段で出力されるデータに対して効率的に符号を割り当てることが可能となる。
【0018】
そして請求項に示すように、データ変換に際して、位置データに対しては2値ランレングスで変換処理を施し、補完画像データ又は残存画像データに対しては多値ランレングスで変換処理を施すことが考えられる。位置データについては2値データで表せるため、2値ランレングスで十分であり、このようにデータの性質に応じたランレングスを用いることにより、全体として小さな回路で高速にデータを圧縮することが可能となる。
【0019】
また、請求項に示すように、位置データに対しては2値ランレングスで変換処理を施し、補完画像データ又は残存画像データについてはビットプレーンに分解し、各ビットプレーンのデータに対して順次シリアルに又はパラレルに2値ランレングスで変換処理を施すことも考えられる。
【0020】
補完画像データ又は残存画像データをビットプレーンに分解した場合には、上位のビットプレーンは相対的に重要なデータであり、下位のビットプレーンは相対的に重要でないデータである。上位ビットでは数値の大きな値が割り当てられており、下位ビットほど小さな値が割り当てられる。そのため、ある数値を示しているビットで大きな値を占める部分は上位ビットにある。具体的に、8ビットのデータで示すと、最下位ビット(LSB)を間違えれば(又は切り捨てれば)本来の値から「1」ずれる。最上位ビット(MSB)を間違えれば本来の値から「127」ずれる。例えば、8ビットで「10010101」は10進法の数値で「149」を示す。ここで、最下位ビットの「1」を「0」と間違えたとしても数値は「148」となるだけであるが、最上位ビットの「1」を「0」と間違えれば数値は「21」となり、本来の値から大きくずれることとなる。したがって、上位ビットほど重要となる。
【0021】
このように、選択されていない色に対応するデータについてはビットプレーンによる多精度表現をし、重要度に応じてプレーンに分けることで例えば非可逆圧縮をする際の処理が容易となる。例えば請求項11に示すように、符号量制御に際して、低次のビットプレーンから順番に切り捨てればよいからである。つまり、単純に下位ビットを切り捨てる方法を用いると画質が劣化するが、ビットプレーン単位で重要度が低いものから順番に切り捨てるので、非可逆圧縮によって符号量制御を行っても再現画像に対する影響が相対的に小さくなる。
【0022】
なお、ビットプレーンに分解することを前提としなくても、符号量制御に際しては、補完画像データ又は残存画像データについては非可逆的な圧縮を施し、相対的に高圧縮率での圧縮処理を行うことが考えられる。つまり、補完画像データ又は残存画像データについては非可逆圧縮が可能なので、圧縮データを格納しておくメモリ量が制限されている場合には、このようにして対応すればよい。選択されていない色に対しては可逆圧縮することで、データの符号量を一定にしながら、しかも選択された色は伸長時に完全に元の色となるため、画質向上にも寄与できる。
【0023】
また、補完画像データ又は残存画像データに対してデータ変換を施す際、ランレングス変換に代えてDCT(離散コサイン変換)を施してもよい(請求項12参照)。
なお、請求項14に示すように、画像圧縮装置の色選択手段、データ分離手段及びデータ圧縮手段をコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0025】
[第1実施例]
図1は第1実施例の画像圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。図1(a)に示すように、本画像圧縮装置は、色選択部10と、データ分離部20と、データ圧縮部30とを備えており、入力した多値の画像データに対して圧縮処理を施すことができるようにされている。データ圧縮部30は従来装置においても同様の構成が採用されていたが、特に色選択部10とデータ分離部20が特徴的な構成である。
【0026】
色選択部10は圧縮対象の画像データ中に含まれる色を選択してデータ分離部20へ指示し、その指示された色に応じてデータ分離部20が画像データを分離する。この色の選択及びデータ分離に関し、画像データとして図2(a)に示すような地図画像を例にとって説明する。
【0027】
本実施例では、色選択部10が地図画像の背景の色を選択する。この背景の色は、地図画像データ中で相対的に多く使用されている色の一例である。そして、データ分離部20では、データ補完部21によって、この選択された背景の部分を周囲の色と同じようにした補完画像データを作成する。この周囲の色は、図2(a)の地図画像では道路である。ここでは背景の色(クリーム色)の値を200、道路の色(茶色)の値を100とする。したがって、元々クリーム色であった背景の部分を道路の色である茶色で補完、つまり塗りつぶした補完画像データを得る(図2(b)参照)。それとともに、画像データ中で背景色が存在していた位置を示す位置データを得る。これらをそれぞれ補完色ファイル及び選択色フラグファイルと呼ぶ。
【0028】
これら補完色ファイル及び選択色フラグファイルと原画像(元ファイル)との関係を図2(c)に示した。つまり、原画像(元ファイル)が色の値の並びとして、255→200→200→100→200→200→200→100→…となっていた場合には、選択された色の値がこの場合は背景色の200であり、補完する色の値が道路色の100であるので、200を100で置換したものとなる。つまり、補完色ファイルは255→100→100→100→100→100→100→100→…となる。なお、これらの色の値については、説明を簡単にするために1つの値で示しているが、図3に例示するように、ダイレクトカラー(RGB)で表現すればそれぞれ3値の組となる。また、このように100で置換した位置を1、置換しない位置を0で示したフラグファイルは、0→1→1→0→1→1→1→0→…となる。つまり、1ビットのデータ列となる。
【0029】
そして、このように補完色ファイルと選択色フラグファイルとに分離された各々のデータは、データ圧縮部30にてデータ圧縮される。データ圧縮部30は、データ変換部31と、符号化部32と、符号量制御部33とを備えており、本実施例では、上述の補完色ファイルと選択色フラグファイルとを順番に、別々に圧縮する。
【0030】
まず、補完色ファイルに対する圧縮処理について説明する。データ変換部31では、図3にも例示したように、RGBデータを輝度成分(Y)、色差成分(Cb,Cr)に変換する。その後、Y,Cb,Crの各成分を多精度表現するためにビットプレーンに分解する。そして、各プレーン単位にランレングス変換を施してデータの偏りを大きくし、符号化部32へ送る。符号化部32では例えばハフマン符号化などを用いて可変長符号を割り当てる。その後、データ量を一定にするために、符号量制御部33にて発生する符号量の制御を行う。ここでは、重要度の低い下位のビットプレーンから順番に切り捨てていくことで符号量制御を行う。したがって、切り捨てた場合には非可逆的な圧縮となる。
【0031】
一方、選択色フラグファイルについては、補完色ファイルのような多精度表現する必要がないので、ビットプレーンに分解することなく、そのままランレングス変換を施して符号化部32へ送り、符号化部32にて可変長符号を割り当てた後、符号量制御部33にて符号量制御を行う。ただし、選択色フラグファイルについては、補完色ファイルのような切り捨ては行わない。したがって、可逆的な圧縮となる。なお、選択色フラグファイルに基づいて色を戻すためには選択色を示すデータも必要であるが、それは背景色を示す「200」というデータのみでよいため、そのデータ量は圧縮対象のデータ量と比較ずれば無視でき、全体として圧縮効率が向上することに何ら支障はない。
【0032】
このように、本実施例の画像圧縮装置によれば、多値の画像データを圧縮するに際して、画像データから、任意の色を選択して補完色ファイルと選択色フラグファイルとに分離し、それらを別々に圧縮する。本実施例の補完色ファイルは、背景部分を道路の色と同じようにしたデータであるが、選択された背景の色は、地図画像データ中で相対的に多く使用されている色である。さらに言えば、この場合は最も多く使用されている色である。そして、背景を道路と同じ色にした図2(b)の画像は、図2(a)の原画像に対して同じ色の連続性がかなり増していることが判る。したがって、データ変換部31にてランレングス変換した際に同じデータが連続する長さが相対的に長くなり、このような分離しない原画像(元ファイル)に対して圧縮効率が向上することとなる。これにより選択色フラグファイルについては別に圧縮したとしても、トータルとしては、元ファイルをそのまま圧縮する場合に比べて、圧縮効率が向上する(可能性が大きくなる)と言える。
【0033】
そのため、本実施例では符号量制御部33において補完色ファイルに対して下位ビットの切り捨てを実行可能にしているが、従来手法と同じデータ量に圧縮することを考えた場合に、従来手法では切り捨てて非可逆圧縮をしなくてはならない状況であっても、本方法の場合には切り捨てずに可逆圧縮で対応可能となる場合もある。あるいは切り捨てるにしても、切り捨てるデータ量が相対的に少なくて済み、画質の劣化を相対的に抑制できる。
【0034】
また、補完色ファイルについてはRGBそれぞれの値についてデータ圧縮を行うが、その場合でも選択色フラグファイルはRGB共通で1つで良いために、圧縮率の向上にさらに寄与することができる。なお、RGBではなく、輝度や色差(Y,Cb,Cr)を用いてもよい。
【0035】
また、色の選択に関しては、原画像の任意の色であればよく、上述した地図画像の場合には背景画像以外にも道路であってもよい。同じ結果となるからである。また、それ以外にも文字の場合も考えられる。なお、画像の圧縮効率の向上の観点からは、画像の空間周波数を高くしている原因となる色を選択することが好ましい。地図画像中の道路の色は背景色の連続性を頻繁に分断することとなり、ランレングス変換した際に同じデータが連続するのを妨げているため、「画像の空間周波数を高くしている原因となる色」の例として考えられ、この色を選択することで相対的に圧縮効率が向上すると考えられる。
【0036】
そして、色選択部10が色を選択する際には、その画像(本実施例の場合であれば地図画像)を用いて所定のアプリケーション処理を実行する外部装置から指示された色を選択することが考えられる。例えばナビゲーション装置などである。また、色選択部10にて自立的に判定してもよい。例えば、元ファイル中から色を1色ずつ選択し、その色を周囲の色で補完した状態で周波数変換し、空間周波数の低減する度合いを検出し、最も低減度合いの大きな色を選択するという手法も採用できる。
【0037】
[第2実施例]
図4(a)は第2実施例の画像圧縮装置の概略構成を示すブロック図であり、データ分離部120のみが、図1(a)に示した第1実施例の装置の構成と異なるだけであとは同じであるので、同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
【0038】
第1実施例の場合のデータ分離部20はデータ補完部21を備えていたが、第2実施例のデータ分離部20は備えていない。つまりデータ補完をしない。つまり、第1実施例では選択された色の値(200)を道路の色の値(100)で補完していたが、第2実施例では間引く(抜き去る)だけで何ら補完をしない。図2(c)に示した第1実施例の場合の補完色ファイルに代わりに、図4(b)に示す間引き後ファイルが作成される。つまり、原画像(元ファイル)が色の値の並びとして、255→200→200→100→200→200→200→100→…となっていた場合には、選択された色の値がこの場合は背景色の200であるため、その値200を取り去る。つまり間引き後ファイルは255→100→100→255→100→…となる。このように分離した後のデータ圧縮についての内容は第1実施例と同様である。
【0039】
第1実施例の補完色ファイルを用いた場合と、第2実施例の間引き後ファイルを用いた場合の相違について説明する。データ分離することで全体としての圧縮効率が向上する点は同じである。そして、補完色ファイルの場合には、元ファイルとデータサイズは変わらないが、伸張時にパラレルで処理が可能となる。それに対して、間引き後ファイルの場合には、第1実施例の補完色ファイルに対してデータサイズは相対的に小さくなるが、間引いたデータを位置データに従って順番に埋め込む作業が必要となり、伸張時にはシリアルでしか処理ができないため、時間がかかってしまう可能性がある。ただし、その時間が実用上問題ない程度であれば、間引き後ファイルのデータサイズの低減によって、圧縮効率をより向上させることができるといえる。
【0040】
なお、本発明はこのような実施例に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
(1)例えば、上記実施例では選択色が1色だけであったが、複数選択してもよい。その際、図2(c)や図4(b)において1ビットのデータ列として示した選択色フラグファイルについては、色数分だけ、つまりn色選択した場合はフラグファイルをnファイル準備すればよい。但し、次のようにしてもよい。つまり、nビットで2−1 の色の各々存在する位置を示す選択色フラグファイルを作成するのである。例えば色として赤、緑、青の3色を選択した場合、「00」がいずれの色も選択されていない状態を示し、「01」が赤を示し、「10」が緑を示し、「11」が青を示すようにすれば、2ビットで3色を示すことができる。つまり、この考え方であれば、nビットのデータ列からなる1つの選択色フラグファイルを準備すれば、2−1 の色に対応できる。これによって、選択色フラグファイル自体のデータ量が相対的に低減し、圧縮効率の向上にさらに寄与する可能性がある。但し、上記実施例のように、1色あたり1ビットで示す手法、つまりn色に対してnビットで示す場合には、各色に対応する位置データにおける圧縮率が高くなるため、トータルとしての圧縮効率が向上する可能性がある。したがって、いずれの手法の方が必ず優位であるということは言えない。
【0041】
(2)また、補完する際の色については、選択色がn色の場合に各選択色ごとに補完色を設定することもできるし、全て共通でどの選択色に対しても補完色を1色としても良い。例えば上記実施例では背景の色を道路の色で補完したが、背景及び文字の2つの色を選択し、それらを共に道路の色にて補完するようにしてもよい。
【0042】
(3)上記実施例では、データ圧縮部30においては、補完色ファイルと選択色フラグファイルとを順番に、別々に圧縮したが、データ変換部31と、符号化部32と、符号量制御部33と2組備え、パラレルに処理することもできる。但し、データ圧縮自体が特段リアルタイム性を要求されないのであれば、上記実施例のように1組の圧縮構成のみで対応しても十分である。
【0043】
(4)圧縮対象の画像データとして地図画像を例にとったが、これには限定されない。但し、地図画像の場合には、空間周波数を高くする原因となる部分として上述した道路が挙げられ、相対的に多く使用されている色として背景部分が挙げられるので、分離して別々に圧縮するという本案の圧縮手法が有効に適用できる。つまり、地図画像を圧縮する場合には、外部から背景の色や道路の色を指示すればよいからである。もちろん、上述したように、色選択部10にて自立的に判定できる構成を採用すれば、どのような画像であっても有効に適用できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の画像圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は原画像としての地図画像の例、(b)は背景部分を道路の色である茶色で補完した補完画像データの例、(c)は補完色ファイル及び選択色フラグファイルと原画像(元ファイル)との関係を示す説明図である。
【図3】地図画像を分離して圧縮する際の概要説明図である。
【図4】(a)は第2実施例の画像圧縮装置の概略構成を示すブロック図であり、(b)は間引き後ファイル及び選択色フラグファイルと原画像(元ファイル)との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
10…色選択部 20,120…データ分離部 30…データ圧縮部
31…データ変換部 32…符号化部 33…符号量制御部

Claims (14)

  1. 多値の地図画像データを圧縮する方法であって、
    前記地図画像データを、前記地図画像データの空間周波数を高くしている原因となる色としての地図中の道路の色、前記地図画像データ中で相対的に多く使用されている色としての地図中の背景色の内から選択された少なくとも何れか1つの色の部分を周囲の色で補完した補完画像データと、選択された色の部分が存在する位置を示す位置データとに分離し、
    分離された前記補完画像データと位置データとを、別々に圧縮すること
    を特徴とする画像圧縮方法。
  2. 多値の地図画像データを圧縮する方法であって、
    前記地図画像データを、前記地図画像データの空間周波数を高くしている原因となる色としての地図中の道路の色、前記地図画像データ中で相対的に多く使用されている色としての地図中の背景色の内から選択された少なくとも何れか1つの色の部分のデータを間引いた後に残る残存画像データと、選択された色の部分が存在する位置を示す位置データとに分離し、
    分離された前記残存画像データと位置データとを、別々に圧縮すること
    を特徴とする画像圧縮方法。
  3. 多値の地図画像データを圧縮する装置であって、
    前記地図画像データから、前記地図画像データの空間周波数を高くしている原因となる色としての地図中の道路の色、前記地図画像データ中で相対的に多く使用されている色としての地図中の背景色の少なくとも何れか1つを選択する色選択手段と、
    前記地図画像データを、該色選択手段によって選択された色の部分を周囲の色で補完した補完画像データと、前記色選択手段によって選択された色の部分が存在する位置を示す位置データとに分離するデータ分離手段と、
    前記データ分離手段によって分離された前記補完画像データと位置データとを、別々に圧縮するデータ圧縮手段と
    を備えたことを特徴とする画像圧縮装置。
  4. 多値の地図画像データを圧縮する装置であって、
    前記地図画像データから、前記地図画像データの空間周波数を高くしている原因となる色としての地図中の道路の色、前記地図画像データ中で相対的に多く使用されている色としての地図中の背景色の少なくとも何れか1つ選択する色選択手段と、
    前記地図画像データを、該色選択手段によって選択された色の部分のデータを間引いた後に残る残存画像データと、選択された色の部分が存在する位置を示す位置データとに分離するデータ分離手段と、
    前記データ分離手段によって分離された前記残存画像データと位置データとを、別々に圧縮するデータ圧縮手段と
    を備えたことを特徴とする画像圧縮装置。
  5. 請求項3又は4記載の画像圧縮装置において、
    前記色選択手段は、複数の色を選択可能であり、
    前記位置データは、前記複数色を各1ビットで示すように設定されていること
    を特徴とする画像圧縮装置。
  6. 請求項3又は4記載の画像圧縮装置において、
    前記色選択手段は、複数の色を選択可能であり、
    前記位置データは、nビットで2n−1の色を示すように設定されていること
    を特徴とする画像圧縮装置。
  7. 請求項3〜6のいずれか記載の画像圧縮装置において、
    前記データ圧縮手段は1つであり、前記補完画像データ又は残存画像データと位置データとを順番に圧縮することで前記別々の圧縮を実現すること
    を特徴とする画像圧縮装置。
  8. 請求項3〜7のいずれか記載の画像圧縮装置において、
    前記データ圧縮手段は、
    前記画像データをエントロピーを低減するように変換するデータ変換手段と、
    該データ変換手段によって変換されたデータに可変長符号を割り当てる符号化手段と、
    該符号化手段によって符号化された画像データのデータ量を制御する符号量制御手段とを備えており、
    前記データ変換手段は、前記位置データに対しては2値ランレングスで変換処理を施し、前記補完画像データ又は残存画像データに対しては多値ランレングスで変換処理を施すこと
    を特徴とする画像圧縮装置。
  9. 請求項3〜7のいずれか記載の画像圧縮装置において、
    前記データ圧縮手段は、
    前記画像データをエントロピーを低減するように変換するデータ変換手段と、
    該データ変換手段によって変換されたデータに可変長符号を割り当てる符号化手段と、
    該符号化手段によって符号化された画像データのデータ量を制御する符号量制御手段とを備えており、
    前記データ変換手段は、前記位置データに対しては2値ランレングスで変換処理を施し、前記補完画像データ又は残存画像データについてはビットプレーンに分解し、各ビットプレーンのデータに対して順次シリアルに又はパラレルに2値ランレングスで変換処理を施すこと
    を特徴とする画像圧縮装置。
  10. 請求項8又は9記載の画像圧縮装置において、
    前記符号量制御手段は、前記補完画像データ又は残存画像データについては非可逆的な圧縮を施し、相対的に高圧縮率での圧縮処理を行うこと
    を特徴とする画像圧縮装置。
  11. 請求項9記載の画像圧縮装置において、
    前記符号量制御手段は、前記符号化手段にて前記補完画像データ又は残存画像データを符号化した際に生じる符号量に対して、低次のビットプレーンから順番に切り捨てる非可逆圧縮をすることで符号量制御を行うこと
    を特徴とする画像圧縮装置。
  12. 請求項8〜11のいずれか記載の画像圧縮装置において、
    前記データ変換手段は、前記補完画像データ又は残存画像データに対し、前記ランレングス変換に代えてDCT処理を施すこと
    を特徴とする画像圧縮装置。
  13. 請求項8〜12のいずれか記載の画像圧縮装置において、
    前記符号化手段は、ハフマン符号化により可変長符号化することを特徴とする画像圧縮装置。
  14. 請求項3〜13のいずれか記載の画像圧縮装置の色選択手段、データ分離手段及びデータ圧縮手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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