JP3595883B2 - 流体駆動装置、化学分析装置および流体駆動方法 - Google Patents

流体駆動装置、化学分析装置および流体駆動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、流体に一定の流れや旋回流を生じさせるための流体駆動装置および流体駆動方法に関する。
また、本発明は前記流体駆動装置を利用した化学分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の流体駆動装置、例えば槽内に対流を発生させるような装置では、流体中に置かれた撹拌ヘラを回転させて流体を撹拌・混合させたり、スクリューを用いて流体に対流を起こさせたり、あるいは槽壁を一方向に回転させて流体に旋回流を起こさせたりしていた。
【0003】
また、文献”R. M. Moroney, R. M. White and R. T. Howe,”Ultrasonically Induced Microtransport”, Proc. of MEMS ’90, pp 277−282, 1990 Nara, Japan”(以下、従来例1という)には、槽低部壁面に圧電薄膜を設け、それに横波の進行波を発生させて、壁面近くの流体を横波の進行方向に駆動するようにした流体駆動装置が記載されている。この流体駆動装置の動作原理は超音波モータなどで用いられているが、上記文献にも記載されているように、流体の到達速度はせいぜい100μm/s以下である。
【0004】
また流体駆動装置の具体例として遠心ポンプがある。従来の遠心ポンプは、円盤状のロータあるいはそれに準ずる形状のロータと、それを被うケーシング(ステータ)などいくつかのパーツより成っている。ケーシングには、円盤中央の位置に入口、円盤周囲の一箇所に出口が設けられ、円盤を回転させて壁面摩擦力によって円盤上の流体に遠心力を作用させることにより、流体を円盤の径方向に流し後、その流体をケーシングで集めて出口より吐出させる構成となっている。
【0005】
さらに流体駆動装置の他の具体例としてしごきポンプがある。従来のしごきポンプは、チューブを複数のローラでしごくことによって流体を管路軸方向に送るよう構成されている。なお、文献”T. S. J. Lammerink, Miko Elwenspoek, and J. H. J. Fluitman,”Integrated Micro−Liquid Dosing System”, Proc. of MEMS ’93 , 1993 Frorida”(以下、従来例2という)に記載されているように、空気室の熱膨張・収縮の繰返しと、それに連動した弁動作によって流体を送液する装置も知られている。
【0006】
また、化学分析装置としては、例えば合衆国パテントである US 4,451,433号の”Automatic Chemical Analyzer”がある。この化学分析装置は、多数の反応槽と、それにサンプル、試薬を供給するための自動ピペッティング機構、反応槽内のサンプル・試薬を撹拌するための自動撹拌機構、反応中あるいは反応が終了したサンプルの物性を計測するための計測器、計測の終了したサンプルを吸引・排出し、反応槽を洗浄するための自動洗浄機構、これらの機器類の動作をコントロールする制御部などから成っている。そして前記自動撹拌機構は、反応槽内の液面下まで降下して旋回流れを起こすためのヘラと、そのヘラの根元に接続されヘラを回転駆動するモータと、ヘラを洗浄するための洗浄槽と、ヘラを洗浄槽と反応槽間で行き来させるための駆動機構とを備えている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
化学・医用分析の分野では、測定項目の増大によって単項目に割くことのできるサンプル量が微量になって来たことや、試薬の使用量を少なくしてランニングコストを低減したいというニーズ、さらに免疫分析のようにサンプル自体が貴重で多量に用意できない場合などの事情から、現在では使用液の微量化が切望されている。また薬品製造やバイオテクノロジーの分野においても微量試薬の調合、微量物質による試料作成などが盛んに行われるようになっている。
【0008】
しかしながら、上記従来技術で述べたヘラやスクリューを用いて微量液の混合を行う場合、第1に液が微量化すると槽自体も小形し、それによって壁面の摩擦力が相対的に増大し、まんべんな混合が期待できないこと、第2にヘラやスクリューに液が付着して持ち去られることによる微量流体の決定的な減少、第3にそれらの駆動手段を介して行われる相互汚染などが分析結果や製造物の組成に重大な影響を及ぼすなどの理由から、容易には微量化が図れない。
【0009】
特に微量液の混合に限定しなくても、流体が反応性の液体の場合は、それと不活性の材質のヘラ、スクリューを使う必要があり厄介である。従来例1に記載の流体駆動装置は非侵襲に流体を駆動できるが、駆動力が小さく、壁面近くを数百μm/s程度で流体を動作させる程度であり、実用に供するレベルに達していないという問題がある。
【0010】
また、医療用あるいは生体用に用いられるポンプでは、血液のように懸濁粒子を豊富に含んだスラリー状の液体や、粘着性の強い液体を低い流量で流す場合が多い。そのため液が滞留しにくく、メンテナンス性のよい構造が望まれている。また分析機器分野においては、分析の高精度化に伴って微量液を無脈動に送液するために小形のポンプの利用が期待されている。これに対して、遠心ポンプは、脈流が少なく一定流量で送液が可能であるが、液がロータとケーシングの隙間に浸透したり、詰まったりして、ポンプを汚す他、ひどい場合は回転動作を制止するなどの問題点を持っている。さらに低い流量でも吐出可能とするために小形化を目指した場合、ロータを支持するためのベアリングの小型化や、微小領域でのシール性の向上などが技術上の課題となる。
【0011】
しごきポンプでは流体が通過する部分は一本のチューブのため、流体が滞る部分はないが、チューブの弾性変形を利用してしごくために、劣化が激しく、定期的なチューブ交換が必要である。また従来例2に記載の送液ポンプは微量液の送液に適しているが、構造が複雑で壊れ易く、長時間の送液に耐え得るだけの十分な信頼性が得られていないという問題点がある。
【0012】
さらに、化学分析装置においては、近年では試薬・サンプルの微量化が重要な課題になりつつある。これは、ひとつには測定項目が増大したことにより、一つの測定項目に割りふることのできるサンプル量が減少していること、また近年、免疫検査のルーチン化に伴い、高価な試薬が頻繁に使われるようになってきたが、ランニングコストの低減を求めて試薬使用量を抑えようとするニーズが強くなってきたことによる。さらに近年の環境問題のクローズアップに伴い、これら分析装置の廃液量を抑えて環境汚染に配慮するよう求められるようになってきた。
【0013】
しかしながら従来の化学分析装置ではこの微量化には限界があった。すなわち、上記の自動撹拌機構にあるヘラによる撹拌では、一定量の持ち去りが生じて液の致命的な減少を生じてしまうこと、さらに持ち去った液が、洗浄してもヘラ周辺に残り、それが次の反応槽へ持ち越される(キャリーオーバとよぶ)ことによる相互汚染、従来なら全体量に対して無視できるほどのキャリーオーバが、全体の微量化によって無視できなくなるなどの問題点があり、微量化には限界があった。そこで、これらの問題を解決して微量化を図る技術として、液中に撹拌手段を入れずに流体を撹拌する装置、すなわち非侵襲撹拌機構を備えた化学分析装置が望まれている。
【0014】
本発明の第1の目的は、槽内の流体中になんら外部から物体を挿入することなしに、その流体に流れを発生せしめるための流体駆動装置および流体駆動方法を提供することである。
【0015】
本発明の第2の目的は、流体を送液・輸送する装置であって、小形化が容易でかつ信頼性の高い流体駆動装置を提供することである。
【0016】
本発明の第3の目的は、キャリーオーバがなく、サンプル・試薬などの使用液の微量化が容易な化学分析装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明の流体駆動装置は、流体に接する壁面を有する部材と、前記部材を往動と復動で速さを変えて振動させ、部材の振動方向に流体の流れ又は壁面の振動方向を含む面内の旋回流を誘起させる振動駆動手段と、を備えたものである。
【0018】
また、上記第1の目的を達成するために、本発明の流体駆動方法は、流体に接する壁面を振動させ、かつその振動の速さを往動と復動で変更することにより、前記壁面の振動方向に流体の流れを誘起させることである。
【0019】
上記第2の目的を達成するために、本発明の流体駆動装置は、回転自在な円盤と、該円盤が収納され、円盤の少なくとも一方の面との間に流路を形成するケーシングと、前記円盤を往動と復動で速さを変えて周方向に振動させ、その振動方向を含む面内の旋回流を前記流路内の流体に誘起させる振動駆動手段とを備え、前記旋回流を誘起させることにより、前記ケーシングの外部から円盤の回転中心部に流体を吸引するとともに、その吸引した流体を円盤の周縁部から接線方向に吐出するようにしたものである。
【0020】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明の他の流体駆動装置は、軸方向に移動自在な管路と、該管路の両端に接合部材を介して取り付けられた静止管路と、前記管路の少なくとも1つの壁面を往動と復動で速さを変えて振動させ、その振動方向に流体の流れを誘起させる振動駆動手段とを備え、前記流体の流れを誘起させることにより、前記管路の一側から流体を吸引するとともに、その吸引した流体を管路の他側から吐出するようにしたものである。
【0021】
次に上記第3の目的を達成するために、本発明は、複数の反応槽と、それにサンプル・試薬を供給するためのピペッティング手段と、前記反応槽内のサンプル・試薬を撹拌する撹拌手段と、反応中あるいは反応が終了したサンプルの物性を計測する計測手段と、計測の終了したサンプルを前記反応槽から吸引して排出した後、洗浄液を注入して反応槽を洗浄する洗浄手段と、前記ピペッティング手段、撹拌手段、計測手段および洗浄手段の動作をコントロールする制御手段と、を備えた化学分析装置において、前記撹拌手段および洗浄手段の少なくとも一方に、往動と復動で速さを違えて振動する振動駆動手段を取り付け、該振動駆動手段で前記反応槽の少なくとも1つの壁面を振動させることにより、壁面の振動方向を含む面内の旋回流を前記サンプル・試薬または洗浄液に誘起させるようにしたものである。
【0022】
【作用】
上記構成の流体駆動装置は以下のように動作する。すなわち、流体が入った槽または流路においては、振動駆動手段は槽または流路の壁面の一部あるいは全部を流体と接する面内とほぼ平行に振動させる。その際、この振動駆動手段は、振れの行きと戻りで速さが異なるように壁面の一部あるいは全部を振動させる。これによって壁面の移動に引かれて生じるRayleighの流れの影響が、壁面からある程度離れた位置では行きの場合に強く、往復振動を繰り返すことで、一方向に顕著な流れが誘起され成長していく。したがって槽内または流路内の流体に外部から、なんら物体を挿入することなしに、その流体に流れを発生させることができる。
【0023】
また本発明の他の流体駆動装置では、振動駆動手段は流体と接した円盤をその中心軸周りに旋回振動させる。その際、振動駆動手段は振れの行きと戻りで角速度が異なるように円盤を振動させる。これによって壁面の移動に引きずられて誘起されるRayleighの流れの主流に対する影響が行きと戻りで異なるため、往復振動を繰り返すことで、壁面からある程度離れた位置では周方向に顕著な流れが誘起され成長していく。そして、周方向へ流れる流体には遠心力が働き、径方向に流れ出す。ケーシングはこれらの流体を集めて一箇所より吐出させる。また平板の回転中心にあるケーシングの入口から随時流体が吸引され、径方向に加速されて出口より吐出される。
【0024】
さらに、本発明の更に他の流体駆動装置では、振動駆動手段は管路を流路方向に沿って振動させる。その際、振動駆動手段は振れの行きと戻りで振動する速さを変更するように制御する。これによって壁面の移動に引っ張られて誘起されるRayleighの流れの強さが行きと戻りで異なるため、往復振動を繰り返すことで、壁面からある程度離れた位置では一方向に顕著な流れが誘起され成長していく。この流れによって流体は管路の一側から吸引され、他側から吐出される。
【0025】
次に、本発明の化学分析装置は以下のように動作する。ピペッティング手段は、複数の反応槽に順次、サンプル・試薬を供給する。その後、撹拌手段が動作して、反応槽内のサンプル・試薬を撹拌する。この際、撹拌手段は振動駆動手段によって駆動されて振れの行きと戻りで速さが異なるように振動し、反応槽内のサンプル・試薬を撹拌する。計測手段は反応中あるいは反応が終了したサンプルの物性を計測する。その後、洗浄手段が動作して、反応槽内の液を吸引・排出して、洗浄液などを加えて洗浄を行う。この際も、洗浄手段は、撹拌手段の場合と同様に振動駆動手段によって駆動され、振れの行きと戻りで速さが異なるように振動する。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
(第1実施例)
図1は本発明の第1実施例を示しており、本発明を流体駆動装置として用いた場合の例である。平板10と平板11との間には流体12が収められ、平板10は静止台13に設けられた複数の支柱14上に載せられている。平板10の底面には駆動板15が、静止台13には固定板16がそれぞれ固定され、駆動板15と固定板16の間には圧電素子17が設けられている。そして、圧電素子17の一端は駆動板15に、他端は固定板16にそれぞれ固定され、圧電素子17はその伸縮方向が平板10の平面方向と合致するように配置されている。またドライバ18は圧電素子17を駆動するためのものである。本実施例では、駆動板15、固定板16、圧電素子17およびドライバ18は振動駆動手段を構成している。
【0027】
上記構成の流体駆動装置において、ドライバ18は図2に示すノコギリ状の電圧を圧電素子17に印加すると、圧電素子17は印加電圧に応じて急激な伸びと緩慢な収縮を繰り返す。このとき、圧電素子17の両端は駆動板15と固定板16に固定され、さらに静止板13に固定された固定板16は移動することがないので、圧電素子17の伸縮によって駆動板15は大きさが異なる速度ベクトル20,21で振動する。
【0028】
駆動板15の振動により、平板10は平板10の平面方向に急激な往動、緩慢な復動を繰り返す。そして、平板10の動きに応じて流体12には平板10の壁面から摩擦力が働く。この際、急激な動きをした場合は、流体12に働く摩擦力は大きく、壁から離れた領域22の流体まで引きずるが、緩慢な動きの場合は、流体に働く摩擦力が小さいため、壁から離れた領域22の流体に対してはほとんど作用しない。壁から離れた領域22の流体は緩慢な復動中も慣性によって一方向に流速を維持し続けるため、平板が急激な往動を繰り返すうちに、壁から離れた領域22では一方向に加速されていく。最終的に誘起される流速は、壁面の往動速度に近付いていくため、目に見えないほどの微小振動であっても往動速度が速ければ、流体12を十分に加速することができる。
【0029】
図3は、振動駆動手段の変形例を示したもので、圧電素子の代わりに歯車24とバネ25が設けられている。歯車24が図の反時計方向に回転すると、歯車は駆動板15に係合し駆動板15は左へ徐々に押しやられるが、歯車24の先端が駆動板15の最下端にきて係合が外れた瞬間に、バネ25の力で駆動板15は右側へ急激に押し戻される。このような動作により、図1の場合と同様に、平板10には往動と復動で大きさが異なる速度ベクトルを作用させることができる。
【0030】
また、同様の往復動作を発生させるために、圧電素子の代わりに磁界の変化によって伸縮する磁歪素子を用いてもよい。また磁場駆動あるいは静電駆動によるリニアモータを用いてもよい。なお、バネ25の代わりにゴムを用いてもよい。
【0031】
図1および図3では平板10を振動させるようにしたが、平板10と11の間、すなわち流体12が流れる流路内に平板を設け、この平板を振動させるようにしても同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
(第2実施例)
図4〜図6は本発明の第2実施例を示しており、本発明を槽内対流発生装置に適用した例である。本実施例の槽内対流発生装置は、流体30を入れる槽31と、槽31の上端を静止固定するための固定部32と、槽31の鉛直軸周りにねじり振動を発生させるように槽31の下端に水平方向に固定されている圧電素子33と、圧電素子33を固定する固定板34と、圧電素子33を駆動させるためのドライバ(図示せず)を備えている。
【0033】
圧電素子33は、図1に示した圧電素子と同様に、大きさが異なる速度ベクトル35,36で振動する。その結果、槽31の下部は図5に示すように捻れ振動する。図5において、二点鎖線は圧電素子33が伸びたとき、実線は圧電素子33が縮んだときを示している。槽31下部の捻れ振動によって、周4つの壁面は第1実施例と同様の往復振動37,38を起こすため、内部の流体30には水平面内の旋回流39が生じる。
【0034】
また、圧電素子33を図6のように槽31の下端に垂直方向に固定すると、内部の流体30には垂直面内の旋回流39を生じさせることができる。なお、圧電素子33を槽31の下端に水平方向と垂直方向の両方向に固定してもよい。
【0035】
本実施例によれば、特に槽31の内部になんら外部から物体を挿入することなしに、流体30に流れを発生させることができる。
【0036】
(第3実施例)
次に本発明を遠心ポンプに適用した例について図7を用いて説明する。本実施例の遠心ポンプは、液体を駆動するための円盤50と、円盤50を中心軸周りに回転可能なように固定し、かつそれをつつむ流路を形成させるケーシング51と、円盤50とケーシング51の隙間にある弾性シールリング52と、円盤50の周方向に取り付けられている振動板53と、振動板53に取り付けられているアクチュエータ54と、アクチュエータ54のもう一端を静止固定するための静止固定部55とを備えている。またケーシング51には円盤50中央の対向位置に流体入口56と、円盤50の円周接線方向に流体出口57とが設けられている。
【0037】
上記遠心ポンプは以下のように動作する。まずアクチュエータ54が第1実施例と同様に大きさが異なる速度ベクトル58,59で振動すると、振動板53を介して振動が円盤50に伝達され、円盤50はその中心周りに回転振動する。円盤50は、アクチュエータ54の往復動作58、59に応じて、反時計周りには急速に回転し、時計周りには緩慢に戻る。これによって円盤50上の流体には反時計周りの流れが誘起される。そして、円盤50上を回転する流体には遠心力が働くため、流体は矢印60で示すように流れ始め、やがて出口57から吐出する。それにともなって円盤50の中央部分は圧力が下がり、入口56より流体を矢印61のように吸引する。
【0038】
円盤50に誘起される流れは、第1実施例のときと同様に、円盤50の往動時の周速度に近付くため、微小振動であっても十分な角速度があれば、流体を駆動することができる。微小振動であるため、円盤50の周囲とケーシング51の相対位置ずれは小さく、弾性シールリング52の変形で吸収される。したがって、遠心ポンプ内を流れる流体は、洩れたり、隙間に詰まったりすることはない。また簡素な機構のため、容易に小形化が図れる。
【0039】
(第4実施例)
次に本発明を軸流ポンプに適用した例について図8を用いて説明する。本実施例の軸流ポンプは、静止管路70と、振動管路71と、静止管路70と駆動管路71の間をシールするための弾性シールリング72と、振動管路71に振動板73を介して接続されているアクチュエータ74と、アクチュエータ74のもう一端を静止固定するための静止板75と、静止板75を支持する支持基板76と、支持基板76と静止管路70を連結する連結部77とを備えている。
【0040】
上記軸流ポンプは以下のように動作する。まずアクチュエータ74が第1実施例と同様に大きさが異なる速度ベクトル78,79で振動すると、振動板73を介して振動が振動管路71に伝達され、振動管路71内の流体には符号80で示すような流れが誘起される。振動管路71と静止管路70は弾性シールリング72でシールされているため、流体が洩れることはない。
【0041】
本実施例によれば、特に管路(静止管路70および振動管路71)を大きく変形することなく、簡素な構造で流体の送液が可能であるため、生体液やスラリーなどの汚れ易い流体を流すような場合に対しても耐久性の高い軸流ポンプを得ることができる。
【0042】
(第5実施例)
次に、本発明の化学分析装置の実施例について図9を用いて説明する。本実施例の化学分析装置には、複数の反応槽100が槽固定円盤101の円周上に固定され、この槽固定円盤101は円盤駆動部102によって周方向に回転できるようになっている。槽固定円盤101の周囲には、反応槽100にサンプルを供給するためのサンプル自動ピペッティング機構103、および試薬を供給するための試薬自動ピペッティング機構104が配置されている。
【0043】
サンプル自動ピペッティング機構103にサンプルを次々と供給できるように、複数のサンプルカップ105がサンプル固定円盤106に固定されている。サンプル固定円盤106は円盤駆動部107に接続され、円盤駆動部107によって周方向に回転できるようになっている。また試薬自動ピペッティング機構104に異なる試薬を順次供給できるように、複数種類の試薬を入れたボトル108が試薬固定円盤109の周囲に配置されている。試薬固定円盤109は円盤駆動部111に接続され、円盤駆動部111によって周方向に回転できるようになっている。
【0044】
試薬自動ピペッティング機構104が反応槽100内に試薬を吐出する位置には第2実施例で説明した槽内対流発生装置112およびドライバ113が設けられており、その位置に来た反応槽100内の流体を撹拌する。また槽固定円盤101の周囲には、反応槽100内の反応液の物性を光で計測するための計測部114が設けられている。さらに槽固定円盤101の周囲には、反応槽100内の反応液を吸引したり反応槽100内に洗浄液を吐出したりして、反応槽100を洗浄する洗浄機構115が設けられている。また洗浄機構115が設けられた位置と同じ位置には、対流によって反応槽100内の洗浄液を撹拌し、洗浄効果を高めるための槽内対流発生装置116およびドライバ117が設けられている。
【0045】
円盤駆動部102,107,111、サンプル自動ピペッティング機構103、試薬自動ピペッティング機構104、槽内対流発生装置用ドライバ113,117および洗浄機構115はコントロール用信号線を介してそれぞれ制御部118に接続されている。
【0046】
以上の構成において、各要素は制御部118により制御され以下のように動作する。まずサンプル固定円盤が回転してサンプルの入ったサンプルカップ105を所定位置に移動させる。サンプル自動ピペッティング機構103はサンプルカップ105からサンプルを吸引し、反応槽100へ所定量吐出する。円盤駆動部102が動作して、反応槽100を試薬自動ピペッティング機構104の吐出位置まで回転させる。試薬自動ピペッティング機構104は、測定項目に合致した試薬をボトル109から吸引し、前記反応槽100内へ所定量吐出する。この際、槽内対流発生装置112の加振部が反応槽100に接続し、試薬吐出と同時に反応槽100内のサンプルと試薬を混合させる。以上の動作が次々のサンプルについて繰り返される。さらに槽固定円盤101が回転して反応槽100は計測部114の位置に移動する。計測部114は反応槽100内のサンプルの物性を光計測する。その後反応槽100は洗浄機構115の位置で洗浄される。洗浄機構115は反応済みのサンプルを吸引した後、洗浄液を反応槽100内に吐出するが、その際、槽内対流発生装置116の加振部が反応槽100と接続して、洗浄液を反応槽100内にまんべんなく対流させて洗浄を促進させる。
【0047】
(第6実施例)
次に、本発明を混合反応装置に適用した実施例について図10および図11を用いて説明する。本実施例の混合反応装置は混合反応用の槽120、それをセットするための駆動部121、および混合時の温度、混合時間、撹拌の強さなどの条件を設定するためのパネル部122からなる。駆動部121は、槽120を固定するためのチャック123、槽120に捻り振動を発生させるためのアクチュエータ124、上下振動を発生させるためのアクチュエータ125から成っている。
【0048】
上記の構成において、まず混合反応装置の駆動部12に槽120をセットする。その後、ピペッタ126などで槽120内に所定の液を添加する。混合条件をパネル部122で設定したのち開始ボタンを押すと、チャック123が動作して、槽120を固定し、その後、アクチュエータ1234,125が振動して、第2実施例の槽内対流発生装置と同じ動作原理で槽120内の液を混合させる。
【0049】
本実施例の化学分析装置では、非侵襲にサンプル・試薬を混合させるため、従来の分析装置に用いられていたヘラのように液の持ち去りや、キャリーオーバの心配がない。したがってサンプル・試薬の微量化を進めるのが容易である。またこの化学分析装置では、試薬を吐出する位置で同時にサンプル・試薬を撹拌することができるため、撹拌のための余分なロスタイムを除くことができる。さらに反応槽の洗浄においても槽内対流発生装置を用いて洗浄を行うため、従来に比べて、反応槽の清浄度を上げることができる。
【0050】
また、本実施例の混合反応装置によると、槽内の液に接触することなく、液を混合反応させることができる。特に微量の試薬を混合する場合や、貴重なサンプルの場合、あるいはヘラなどを介して不純物で汚染されるのを避けたい場合に適している。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、槽内の流体中になんら外部から物体を挿入することなしに、その流体に流れを発生させることができる。
【0052】
また、流体が通過する部分が最小限のパーツで構成されていつので、小形化が容易であるとともに、流体を駆動させる部分の動作が小さいために信頼性の高い流体送液・輸送手段を得ることができる。
【0053】
本発明の化学分析装置によれば、反応槽内のサンプル・試薬を撹拌する際に、外部から特に物体を挿入する必要がないため、液の持ち去りやキャリーオーバの心配がなく、サンプル・試薬などが微量であっても容易に撹拌を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による流体駆動装置の概略構成図である。
【図2】圧電素子に印加する電圧波形を示した図である。
【図3】図1の流体駆動装置の変形例を示した図である。
【図4】本発明の第2実施例による流体駆動装置の概略構成図である。
【図5】図4の流体駆動装置の動作説明図である。
【図6】図4の流体駆動装置の変形例を示した図である。
【図7】本発明の第3実施例による流体駆動装置の概略構成図である。
【図8】本発明の第4実施例による流体駆動装置の概略構成図である。
【図9】本発明の第5実施例による化学分析装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第6実施例による混合反応装置の概略構成図である。
【図11】図10の混合反応装置に設置された駆動部の構成図である。
【符号の説明】
10,11 平板
15 駆動板
16,34 固定板
17,33 圧電素子
18 ドライバ
24 歯車
25 バネ
31 槽
32 固定部
50 円盤
51 ケーシング
52,72 弾性シーリング
53,73 振動板
54,74,124,125 アクチュエータ
55 静止固定部
70 静止管路
71 振動管路
75 静止板
100 反応槽
101 槽固定円盤
103 サンプル自動ピペッティング機構
104 試薬自動ピペッティング機構
112,116 槽内対流発生装置
114 計測部
115 洗浄機構
118 制御部
120 槽
121 駆動部
123 チャック

Claims (14)

  1. 流体に接する壁面を有する部材と、前記部材を往動と復動で速さを変えて振動させ、部材の振動方向に流体の流れを誘起させる振動駆動手段と、を備えた流体駆動装置。
  2. 請求項1に記載の流体駆動装置において、前記部材は、流体が収納される槽の内部または流体が流れる流路の内部に設けられていることを特徴とする流体駆動装置。
  3. 流体が収納される槽と、前記槽の少なくとも1つの壁面を往動と復動で速さを変えて振動させ、壁面の振動方向を含む面内の旋回流を流体に誘起させる振動駆動手段と、を備えた流体駆動装置。
  4. 流体が流れる流路と、前記流路の少なくとも1つの壁面を往動と復動で速さを変えて振動させ、壁面の振動方向に流体の流れを誘起させる振動駆動手段と、を備えた流体駆動装置。
  5. 請求項1,3又は4に記載の流体駆動装置において、前記振動駆動手段は、圧電素子と、該圧電素子にノコギリ波状の電圧を印加する手段とを備えていることを特徴とする流体駆動装置。
  6. 請求項1,3又は4に記載の流体駆動装置において、前記振動駆動手段は、磁歪素子と、該磁歪素子にノコギリ波状の磁界を印加する手段とを備えていることを特徴とする流体駆動装置。
  7. 請求項1,3又は4に記載の流体駆動装置において、前記振動駆動手段は、電磁力によって作動するリニアモータを備えていることを特徴とする流体駆動装置。
  8. 請求項1,3又は4に記載の流体駆動装置において、前記振動駆動手段は、静電力によって作動するリニアモータを備えていることを特徴とする流体駆動装置。
  9. 請求項1,3又は4に記載の流体駆動装置において、前記振動駆動手段は、前記壁面に突出して設けられた駆動板と、一定回転速度で回転し、歯先が前記駆動板に係合することにより駆動板を一定速度で一方向に移動させる歯車と、前記歯車の係合が外れたとき前記駆動板を前記一定速度よりも速い速度で前記一定方向と反対方向に移動させる弾性部材とを備えていることを特徴とする流体駆動装置。
  10. 回転自在な円盤と、該円盤が収納され、円盤の少なくとも一方の面との間に流路を形成するケーシングと、前記円盤を往動と復動で速さを変えて周方向に振動させ、その振動方向を含む面内の旋回流を前記流路内の流体に誘起させる振動駆動手段とを備え、前記旋回流を誘起させることにより、前記ケーシングの外部から円盤の回転中心部に流体を吸引するとともに、その吸引した流体を円盤の周縁部から接線方向に吐出する流体駆動装置。
  11. 軸方向に移動自在な管路と、該管路の両端に接合部材を介して取り付けられた静止管路と、前記管路の少なくとも1つの壁面を往動と復動で速さを変えて振動させ、その振動方向に流体の流れを誘起させる振動駆動手段とを備え、前記流体の流れを誘起させることにより、前記管路の一側から流体を吸引するとともに、その吸引した流体を管路の他側から吐出する流体駆動装置。
  12. 請求項11記載の流体駆動装置において、前記接合部材は前記管路の振動を吸収することを特徴とする流体駆動装置。
  13. 複数の反応槽と、それにサンプル・試薬を供給するためのピペッティング手段と、前記反応槽内のサンプル・試薬を撹拌する撹拌手段と、反応中あるいは反応が終了したサンプルの物性を計測する計測手段と、計測の終了したサンプルを前記反応槽から吸引して排出した後、洗浄液を注入して反応槽を洗浄する洗浄手段と、前記ピペッティング手段、撹拌手段、計測手段および洗浄手段の動作をコントロールする制御手段と、を備えた化学分析装置において、前記撹拌手段および洗浄手段の少なくとも一方に、往動と復動で速さを違えて振動する振動駆動手段を取り付け、該振動駆動手段で前記反応槽の少なくとも1つの壁面を振動させることにより、壁面の振動方向を含む面内の旋回流を前記サンプル・試薬または洗浄液に誘起させることを特徴とする化学分析装置。
  14. 流体に接する壁面を振動させ、かつその振動の速さを往動と復動で変更することにより、前記壁面の振動方向に流体の流れを誘起させる流体駆動方法。
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