JP3595693B2 - 自動車用シートバック - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用シートバック、特に自車が追突された時の乗員の頸椎を保護する自動車のシートバック構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のかかる自動車のシートバックとしては、国際特許98/09838号公報に示すように、シートバックフレーム(9)と、該シートバックフレーム(9)の上端部に前後に回転自在なるように支持されてなる支持手段(5)と、該支持手段(5)の上端部にステイ(27)を介して上下動自在に支持されてなるヘッドレスト(4)と、前記支持手段(5)の下端部に支持されてなると共に乗員の背中の圧力をパッドを介して受け得る受圧部材(10)と、前記シートバックフレーム(9)及び前記受圧部材(10)夫々に回転自在に軸支されてなる作動リンク(12)と、前記受圧部材(10)の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる。該パッドと受圧部材(10)との間には、粗毛布よりなる滑動手段が配設されている。
【0003】
このため、例えば自車が追突された時、シートバック(3)には前側に向けての衝撃的な荷重が作用し、乗員による反動荷重が後ろ側に向けて作用する。即ち、シートバックフレーム(9)間に架設されたバックエレメント(20)及び受圧部材(10)にパッド及び滑動手段を介して該荷重が作用する。その際、受圧部材(10)は、後ろ側且つ上側に移動することにより、支持手段(5)は、シートバックフレーム(9)の上辺部(24)を回動支点として回動すると共に上側に移動し、その上端部に支持されたヘッドレスト(4)は、前側且つ上側に移動するので、乗員の頭部に接近する方向に作動する。
【0004】
従って、自車が追突された時に、乗員の反動荷重でシートバック(3)が後ろ側に撓んでも、ヘッドレスト(4)が瞬時にして乗員の頭部に接近作動するので、乗員の頭部は、ヘッドレスト(4)に確実に受け止められ、乗員の頸部の保護が図られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、前記パッドと受圧部材(10)との間には、粗毛布よりなる滑動手段が配設されているものの、受圧部材(10)がパッドの中に食い込むおそれがあり、かかる場合、受圧部材(10)が後ろ側且つ上側に移動しないので、ヘッドレスト(4)が希望した作動を行わないおそれがある。また、パッド裏面と受圧部材(10)との摩擦抵抗により、受圧部材(10)が適宜回転せず、ヘッドレスト(4)が希望した作動を行わないおそれがある。つまり、前記説明のように、支持手段(5)が回転せず、ヘッドレスト(4)が乗員の頭部に接近作動を阻害するおそれがある。
【0006】
また、前記受圧部材(10)は、布製であるので、それ自体撓んでしまい、乗員の後ろ側への荷重が確実に伝達されないおそれがあり、ヘッドレスト(4)の移動が遅くなると共に作動量が少なくなる事になり、改善が求められている。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、受圧部材に乗員からの後ろ側方向の荷重が加わった時に、受圧部材がパッドに食い込まず、受圧部材のスムースな移動が可能なると共に、ヘッドレストの作動量を充分確保できる自動車用シートバックを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、シートバックフレームと、該シートバックフレームの上端部に前後に回転自在なると共に上下に移動自在に支持されてなる支持手段と、該支持手段の上端部に支持されてなるヘッドレストと、前記支持手段の下端部に支持されてなると共に乗員の背中の圧力を受け得る受圧部材と、前記受圧部材の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる。前記受圧部材は、剛体より構成されてなり、前記パッドの裏面には、該受圧部材が滑動し易い適宜の硬度を有する滑動手段が配設されてなる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動車用シートバックであって、前記滑動手段は、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の自動車用シートバックであって、前記滑動手段は、前記パッドの成形時に該パッドの原料が含浸可能な粗毛布と、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなる合成樹脂製の表面材との二層構造よりなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、FRを前側、RRを後ろ側、UPは上側、LWRは下側として説明する。
【0012】
図1乃至図4は、この発明の一実施形態を示すもので、符号1は自動車のシートバック、符号3はヘッドレストである。
【0013】
該シートバック1は、シートバックフレーム2と、該シートバックフレーム2の前後に配されてなるポリウレタンフォームなどより形成されてなるパッド32と、該パッド32を覆う図示しない布製などよりなる表皮とより少なくとも形成される。
【0014】
前記シートバックフレーム2は、逆U字状に形成されてなり且つ一方が長く他方が短く(図示しないエアバッグ装置の取付代確保のため)形成されてなるアッパフレーム2aと、該アッパフレーム2aの左右端部より垂下された位置に配設されてなる略左右対称形状のサイドフレーム2b、2b’と、該サイドフレーム2b、2b’の下端部間に架設されてなるアンダーフレーム2cとよりなる。
【0015】
前記サイドフレーム2b、2b’それぞれには、鉄板によりプレート状に形成されてなるブラケット5、5’が支持されている。該ブラケット5、5’それぞれには、作動リンク6、6’の一端部6a,6a’が、ボルト20、ブッシュ21により、前後FR,RR方向に回転自在なるように、それぞれ支持されている。該作動リンク6、6’それぞれの他端部6b,6b’間には、後述する受圧部材4の端部4a,4a’が、リベット22、ブッシュ21により回転自在に支持されている。
【0016】
前記サイドフレーム2b、2b’のスプリングフック23、23’と前記作動リンク6、6’それぞれとの間には、付勢手段としてのコイル状のスプリング18、18が配されてなり、前記作動リンク6の他端部6b,6b’側を前側FRに、常時付勢してなる。
【0017】
該受圧部材4は、鉄板等の剛体により左右に延在されて長方形に形成され、後述する支持手段としてのアーマチュアパイプ7の保持部8、8との間に位置する上辺には、後ろ側へ立ち上がる斜面部9が形成されてなる。
【0018】
該受圧部材4の裏面の中央部には、前記アーマチュアパイプ7の折り返し部10が前後に偏平状に形成されてガス溶接により支持されてなる。
【0019】
前記アッパフレーム2aの下側には、該アッパフレーム2aの肩部2aa,2aa’間に架設されたセカンドフレーム28が溶接により支持されている。該セカンドフレーム28の中央部には、ホルダーブラケット12が配されて、その両端部12a,12aが溶接により支持されてなる。該ホルダーブラケット12の中央部より左右に離間した位置に前側に迫り出して横断面でU字状に形成されてなる支持部12b,12bの内側には、合成樹脂製のアーマチュアホルダー11、11が配される。該アーマチュアホルダー11、11は、前記アーマチュアパイプ7の保持部8、8それぞれの上端部に支持されるので、前記ホルダーブラケット12の支持部12b,12bで、アーマチュアホルダー11、11を介して前記アーマチュアパイプ7の保持部8、8が、保持されることになる。
【0020】
前記アーマチュアパイプ7は、正面視で左右に並列されてなる垂直状の保持部8、8と、該保持部8、8の下端に形成されてなる折り返し部10とより略U字状に形成されてなる。
【0021】
前記保持部8、8は、正面視で、少なくともAF05%タイルマネキン(SAE)のショルダーポイントより中央側に配されてなる。AF05%タイルマネキン(SAE)のショルダーポイントより中央側に配されている、ということは、大人の体格のほとんどの乗員30のショルダーポイントより内側に保持部8、8が配されているということになるので、該乗員30が自車の追突により前記シートバックフレーム2の前側から荷重が加わっても、該乗員30のショルダーが干渉しないことになる。
【0022】
また、前記保持部8、8は、図1に示す側面視で、前記受圧部材4が保持部材8、8より前側に配されるように、前後に「く」の字状に形成されてなる。該折曲部8aは、前記ヘッドレスト3のステイ13の下端部に干渉しない近接した位置に形成され、内面は半径20ミリの曲面である。
【0023】
また、前記したように、該保持部8、8内には、合成樹脂製のアーマチュアホルダー11、11を介して前記ヘッドレスト3のステイ13、13が上下摺動自在に支持されてなる。前記保持部8、8の上端部には、該ステイ13、13の上下位置を制御可能なる合成樹脂製のヘッドレストホルダー14、14が保持されてなる。図示しない符号14aは、該ヘッドレストホルダー14、14の係合部であり、符号15は、ヘッドレスト3のフレームである。
【0024】
符号16は、前記サイドフレーム2b,2b’にフック17、17’を介して支持されてなるS字状のバネで、前記受圧部材4の下方の位置に配されてなる。
【0025】
前記パッド32は、前記S字状のバネ16と、図示しない表皮との間に介在され、アッパフレーム2aの上を巻き込むように配されている。
【0026】
符号38は、前記パッド32の裏面に配されてなる滑動手段としてのボードで、前記受圧部材4が滑動し易い適宜の硬度を有する。該ボード38は、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2で、3ミリの板厚である。該ボード38の合成樹脂の複合の割合は、これに限らず、同等のものであれば良い。
【0027】
前記保持部8の後面には、開口部19が形成されていて、該開口部19にねじ回しなどの工具を押し入れると、前記ヘッドレストホルダー14、14の開口部19に係合した図示しない係合部が押されて開口部19から離脱し、保持部8、8から抜くことが可能となる構造である。つまり、ヘッドレストホルダー14、14のロックオフが可能としている。
【0028】
符号24は、保持部8の後ろ側RRの位置のアッパフレーム2aに支持されて、保持部8の上端部が後ろ側RRへの回動をこの位置以上にいかないように阻止するラバー状の第1ストッパ、同25は、図示しないバックボードの引っ掛け用フレーム、同34は、保持部8の一方側に配されて、保持部8の上端部が前側FRへの回動をこの位置以上にいかないように阻止する針金状の第2ストッパである。
【0029】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0030】
図1に示すように、乗員30がシート26のシートクッション27に着座し、前記シートバック1に背中30aを凭れかけた通常の状態では、乗員30の頭部30bとヘッドレスト3とは若干の隙間Aがあり、乗員30の背中30aと受圧部材4とも若干の隙間Bが形成されている。尤も、該乗員30の背中30aと受圧部材4との間には、パッド32やボード38それに表皮が介在されているが、乗員30からの荷重が受圧部材4に加わらない状態にある。
【0031】
この状態で、自車が追突されて、着座した乗員30が二次衝突により後ろ側RRに押されてパッド32等が後ろ側RRに移動すると、該乗員30の背中30aによりパッド32等を介して受圧部材4が後ろ側RRに押される。乗員30による後ろ側RR方向への荷重によりパッド32等が後ろ側に移動しても、乗員30のショルダーポイントが少なくともAF05%タイルマネキンによるショルダーポイントであるから、パッド等がアーマチャパイプ7の保持部8に食い込むことはない。また、ボード38が受圧部材4の表面に滑動できるので、受圧部材4は容易に移動が可能であるため、保持部8の回転に伴う受圧部材4の上昇は妨げられず、十分ヘッドレスト3の作動量を確保することができる。
【0032】
また、前記受圧部材4は、鉄板等剛体より構成されてなるので、乗員30による後ろ側RR方向への荷重が確実に保持部8に伝達される。即ち、ヘッドレスト3の移動が、受圧部材4に荷重が加わると直ぐに移動するので、タイミングロスがない。また、受圧部材4の移動量が大きくなる。
【0033】
該受圧部材4を支持している作動リンク6が、ボルト20を中心に回転付勢され、作動リンク6の他端部6bが、図1に示す位置から図4に示す位置に移動されることで、該作動リンク6の他端部6bは、ボルト20を中心に上側UP及び後ろ側RR方向に回転される。
【0034】
こうして、作動リンク6の他端部6bが上側UP且つ後ろ側RRに回転すれば、アーマチュアパイプ7の下端部、つまり折り返し部10が上側UP且つ後ろ側RRに移動する。該移動に伴い、アーマチュアパイプ7の上端部、つまり保持部8、8の上端部8b、8bと共にヘッドレストホルダー14、14は、上側UP且つ前側FRに移動する。該移動により、前記ヘッドレスト3のスティ13も上側UP且つ前側FRに移動される。
【0035】
従って、保持部8、8、スティ13、13が、ホルダーブラケット12を中心に、共に移動する。該ステイ13、13に支持されたヘッドレスト3は、図4に示すように、乗員30の頭部30b(太い二点鎖線)に当接することになる。尚、図4では、ヘッドレスト3が乗員30の頭部30bに食い込んでいるように図示されているが、ヘッドレスト3は中央が凹んでおり、乗員30の頭部30bも周知のように横断面で略円柱状をなすので、食い込んでいる訳ではない。また、図4のヘッドレスト3に二点鎖線で示す符号3が示されているが、この二点鎖線で示すヘッドレスト3は、移動しない場合のヘッドレスト3の位置を示したもので、こうした場合、乗員30の頭部30bは、細い二点鎖線で示すように移動することを示すものである。
【0036】
こうして、乗員30の上半身が後ろ側RRに移動することで、残される挙動をする乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されることになる。この時、前記受圧部材4の上辺に、後ろ側RRへ立ち上がる斜面部9が形成されてなるので、ボード38の後面が受圧部材4の傾斜面9に沿ってよりスムースに移動できる。換言すると、パッド32に受圧部材4が食い込み難いことになる。
【0037】
この状態で、前記保持部8は、前記受圧部材4に対して前後に「く」の字状に形成されてなるので、受圧部材4が後ろ側RR且つ上側UPに移動した時に、図4に示すように、受圧部材4及び折り返し部10が後ろ側RRに出っ張らない。
【0038】
また、前記保持部8の後ろ側の開口部19に、ねじ回しなどの工具を押し入れると、前記ヘッドレストホルダー14、14の開口部19に係合した図示しない係合部が押されて開口部19から離脱し、保持部8、8から抜くことが可能となる。つまり、ヘッドレストホルダー14、14のロックオフが可能としている。
【0039】
また、前記ヘッドレストホルダー14、14に、前記ヘッドレスト3のステイ13、13が上下移動自在に支持されてなるので、乗員30の頭部30bの位置に適宜ヘッドレスト3を合致させることができる。
【0040】
また、前記作動リンク6と前記シートバックフレーム2のサイドフレーム2bとの間に、前記受圧部材4を前側FRに付勢してなるスプリング18が支持されてなるので、乗員30の背中30aによる後ろ側RRへの押す力が加えられない状態では、スプリング18により受圧部材4は前側FRにある。即ち、該受圧部材4を下端に支持したアーマチュアパイプ7の保持部8、8の上端に支持されたヘッドレスト3は、シーソの原理で後ろ側RRの位置に収まるので、乗員30の居住性を損なうことがない。
【0041】
図5は、この発明の他の実施形態を示すもので、前記一実施形態と主に異なる点は、滑動部材の構成である。図1乃至図4に示したものと同一のものは同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0042】
符号39は、この実施形態の滑動部材である一部39aで閉ループ状(二つ折り状)にされたフィルムで、該フィルム39は、ナイロンよりなる。パッド32の裏面に対して該一部39aで支持されている。
【0043】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0044】
図5に示す状態は、図1に示すように、乗員30からの荷重が受圧部材4に加わらない状態にあって、この状態で、自車が追突されて、着座した乗員30が二次衝突により後ろ側RRに押されてパッド32等が後ろ側RRに移動すると、該乗員30の背中30aによりパッド32等を介して受圧部材4が後ろ側RRに押される。フィルム39が、パッド32の裏面と受圧部材4の表面との間にあって二つ折りされているので、パッド32側のフィルム39と受圧部材4側のフィルム39とが自在に滑動できるので、受圧部材4は容易に移動が可能であるため、保持部8の回転に伴う受圧部材4の上昇は妨げられず、十分ヘッドレスト3の作動量を確保することができる。
【0045】
こうして、乗員30の上半身が後ろ側RRに移動することで、残される挙動をする乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されることになる。この時、前記受圧部材4の上辺に、後ろ側RRへ立ち上がる斜面部9が形成されてなるので、フィルム39の受圧部材4側の面が受圧部材4の傾斜面9に沿ってよりスムースに移動できる。換言すると、パッド32に受圧部材4が食い込み難いことになる。
【0046】
図6及び図7は、この発明の更に他の実施形態を示すもので、前記一実施形態と主に異なる点は、滑動部材の構成である。図1乃至図4に示したものと同一のものは同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0047】
符号40は、この実施形態の滑動部材である三つ折り状のフィルムで、該フィルム40は、ナイロンよりなる。該フィルム40の一方40aがパッド32の裏面に対して支持され、該フィルム40の他方40bが受圧部材4の表面に対して支持されている。
【0048】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0049】
図6に示す状態は、図1に示すように、乗員30からの荷重が受圧部材4に加わらない状態にあって、この状態で、自車が追突されて、着座した乗員30が二次衝突により後ろ側RRに押されてパッド32等が後ろ側RRに移動すると、該乗員30の背中30aによりパッド32等を介して受圧部材4が後ろ側RRに押される。フィルム40が、パッド32の裏面と受圧部材4の表面との間にあって三つ折りされているので、パッド32側のフィルム40と受圧部材4側のフィルム40とが自在に滑動できるので、受圧部材4は容易に移動が可能であるため、保持部8の回転に伴う受圧部材4の上昇は妨げられず、十分ヘッドレスト3の作動量を確保することができる。
【0050】
こうして、乗員30の上半身が後ろ側RRに移動することで、残される挙動をする乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されることになる。この時、前記受圧部材4の上辺に、後ろ側RRへ立ち上がる斜面部9が形成されてなるので、フィルム40の受圧部材4側の面が受圧部材4の傾斜面9に沿ってよりスムースに移動できる。換言すると、パッド32に受圧部材4が食い込み難いことになる。
【0051】
前記アーマチュアパイプ7は、保持部8、8と折り返し部10とによりU字状をなす実施形態に限らず、例えば、折り返し部10が存在せずに、保持部8、8の下端部がそのまま受圧部材4に溶接により支持されるものであっても良い。
【0052】
前記作動説明で、乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されるとしたが、ヘッドレスト3の移動と、シートバック1の移動とは、相対的なものであり、乗員30の背中30aによってシートバック1が後ろ側RRに移動しても、乗員30の頭部30bに対してヘッドレスト3が移動せず、その位置に保持されることで、乗員30の頭部30bが保護されるものと説明されるものも含むものである。
【0053】
また、前記ボード38は、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなるとして説明したが、これに限らず、前記パッド32の成形時に、該パッド32の原料が含浸可能な粗毛布と、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなる合成樹脂製の表面材とが同時に型内で成形される二層構造でも良い。
【0054】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、前記受圧部材は、剛体より構成されてなり、前記パッドの裏面には、該受圧部材が滑動し易い適宜の硬度を有する滑動手段が配設されてなるので、受圧部材に乗員からの後ろ側方向の荷重が加わった時に、受圧部材がパッドに食い込むことがない。また、受圧部材のスムースな移動が可能なると共に、ヘッドレストの作動量を充分確保できる。
【0055】
また、前記受圧部材が、剛体より構成されてなるので、乗員による後ろ側方向への荷重が支持手段の移動代となって確実に伝達される。即ち、受圧部材に荷重が加わると直ぐにヘッドレストが移動するので、タイミングロスがない。また、受圧部材の移動量が大きくなる。
【0056】
請求項2に記載の発明によれば、前記滑動手段は、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなるので、適宜の柔軟性と適宜の滑動性とを有し、受圧部材とパッドとが圧接されるときに摩擦抵抗とならない。
【0057】
請求項3に記載の発明によれば、前記滑動手段は、前記パッドの成形時に該パッドの原料が含浸可能な粗毛布と、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなる合成樹脂製の表面材との二層構造よりなるので、パッドの成形時に、同時に滑動手段が該パッドに支持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るシートバックを示す断面図。
【図2】図1の分解斜視図。
【図3】図1の要部を示す斜視図。
【図4】図1の作動実施形態を示す断面図。
【図5】この発明の他の実施形態に係るシートバックを示す断面図。
【図6】この発明の更に他の実施形態に係るシートバックを示す断面図。
【図7】図6の要部を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1 シートバック
2 シートバックフレーム
2a シートバックフレームのアッパフレーム
2b シートバックフレームのサイドフレーム
3 ヘッドレスト
4 受圧部材
6 作動リンク
6a 作動リンクの一端部
6b 作動リンクの他端部
7 支持手段としてのアーマチュアパイプ
8 アーマチュアパイプの保持部
13 ヘッドレストのステイ
30 乗員
30a 乗員の背中
30b 乗員の頭部
32 パッド
38 滑動部材であるボード
39、40 滑動部材であるフィルム
FR 前側
RR 後ろ側
UP 上側
LWR 下側
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用シートバック、特に自車が追突された時の乗員の頸椎を保護する自動車のシートバック構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のかかる自動車のシートバックとしては、国際特許98/09838号公報に示すように、シートバックフレーム(9)と、該シートバックフレーム(9)の上端部に前後に回転自在なるように支持されてなる支持手段(5)と、該支持手段(5)の上端部にステイ(27)を介して上下動自在に支持されてなるヘッドレスト(4)と、前記支持手段(5)の下端部に支持されてなると共に乗員の背中の圧力をパッドを介して受け得る受圧部材(10)と、前記シートバックフレーム(9)及び前記受圧部材(10)夫々に回転自在に軸支されてなる作動リンク(12)と、前記受圧部材(10)の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる。該パッドと受圧部材(10)との間には、粗毛布よりなる滑動手段が配設されている。
【0003】
このため、例えば自車が追突された時、シートバック(3)には前側に向けての衝撃的な荷重が作用し、乗員による反動荷重が後ろ側に向けて作用する。即ち、シートバックフレーム(9)間に架設されたバックエレメント(20)及び受圧部材(10)にパッド及び滑動手段を介して該荷重が作用する。その際、受圧部材(10)は、後ろ側且つ上側に移動することにより、支持手段(5)は、シートバックフレーム(9)の上辺部(24)を回動支点として回動すると共に上側に移動し、その上端部に支持されたヘッドレスト(4)は、前側且つ上側に移動するので、乗員の頭部に接近する方向に作動する。
【0004】
従って、自車が追突された時に、乗員の反動荷重でシートバック(3)が後ろ側に撓んでも、ヘッドレスト(4)が瞬時にして乗員の頭部に接近作動するので、乗員の頭部は、ヘッドレスト(4)に確実に受け止められ、乗員の頸部の保護が図られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、前記パッドと受圧部材(10)との間には、粗毛布よりなる滑動手段が配設されているものの、受圧部材(10)がパッドの中に食い込むおそれがあり、かかる場合、受圧部材(10)が後ろ側且つ上側に移動しないので、ヘッドレスト(4)が希望した作動を行わないおそれがある。また、パッド裏面と受圧部材(10)との摩擦抵抗により、受圧部材(10)が適宜回転せず、ヘッドレスト(4)が希望した作動を行わないおそれがある。つまり、前記説明のように、支持手段(5)が回転せず、ヘッドレスト(4)が乗員の頭部に接近作動を阻害するおそれがある。
【0006】
また、前記受圧部材(10)は、布製であるので、それ自体撓んでしまい、乗員の後ろ側への荷重が確実に伝達されないおそれがあり、ヘッドレスト(4)の移動が遅くなると共に作動量が少なくなる事になり、改善が求められている。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、受圧部材に乗員からの後ろ側方向の荷重が加わった時に、受圧部材がパッドに食い込まず、受圧部材のスムースな移動が可能なると共に、ヘッドレストの作動量を充分確保できる自動車用シートバックを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、シートバックフレームと、該シートバックフレームの上端部に前後に回転自在なると共に上下に移動自在に支持されてなる支持手段と、該支持手段の上端部に支持されてなるヘッドレストと、前記支持手段の下端部に支持されてなると共に乗員の背中の圧力を受け得る受圧部材と、前記受圧部材の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる。前記受圧部材は、剛体より構成されてなり、前記パッドの裏面には、該受圧部材が滑動し易い適宜の硬度を有する滑動手段が配設されてなる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動車用シートバックであって、前記滑動手段は、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の自動車用シートバックであって、前記滑動手段は、前記パッドの成形時に該パッドの原料が含浸可能な粗毛布と、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなる合成樹脂製の表面材との二層構造よりなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、FRを前側、RRを後ろ側、UPは上側、LWRは下側として説明する。
【0012】
図1乃至図4は、この発明の一実施形態を示すもので、符号1は自動車のシートバック、符号3はヘッドレストである。
【0013】
該シートバック1は、シートバックフレーム2と、該シートバックフレーム2の前後に配されてなるポリウレタンフォームなどより形成されてなるパッド32と、該パッド32を覆う図示しない布製などよりなる表皮とより少なくとも形成される。
【0014】
前記シートバックフレーム2は、逆U字状に形成されてなり且つ一方が長く他方が短く(図示しないエアバッグ装置の取付代確保のため)形成されてなるアッパフレーム2aと、該アッパフレーム2aの左右端部より垂下された位置に配設されてなる略左右対称形状のサイドフレーム2b、2b’と、該サイドフレーム2b、2b’の下端部間に架設されてなるアンダーフレーム2cとよりなる。
【0015】
前記サイドフレーム2b、2b’それぞれには、鉄板によりプレート状に形成されてなるブラケット5、5’が支持されている。該ブラケット5、5’それぞれには、作動リンク6、6’の一端部6a,6a’が、ボルト20、ブッシュ21により、前後FR,RR方向に回転自在なるように、それぞれ支持されている。該作動リンク6、6’それぞれの他端部6b,6b’間には、後述する受圧部材4の端部4a,4a’が、リベット22、ブッシュ21により回転自在に支持されている。
【0016】
前記サイドフレーム2b、2b’のスプリングフック23、23’と前記作動リンク6、6’それぞれとの間には、付勢手段としてのコイル状のスプリング18、18が配されてなり、前記作動リンク6の他端部6b,6b’側を前側FRに、常時付勢してなる。
【0017】
該受圧部材4は、鉄板等の剛体により左右に延在されて長方形に形成され、後述する支持手段としてのアーマチュアパイプ7の保持部8、8との間に位置する上辺には、後ろ側へ立ち上がる斜面部9が形成されてなる。
【0018】
該受圧部材4の裏面の中央部には、前記アーマチュアパイプ7の折り返し部10が前後に偏平状に形成されてガス溶接により支持されてなる。
【0019】
前記アッパフレーム2aの下側には、該アッパフレーム2aの肩部2aa,2aa’間に架設されたセカンドフレーム28が溶接により支持されている。該セカンドフレーム28の中央部には、ホルダーブラケット12が配されて、その両端部12a,12aが溶接により支持されてなる。該ホルダーブラケット12の中央部より左右に離間した位置に前側に迫り出して横断面でU字状に形成されてなる支持部12b,12bの内側には、合成樹脂製のアーマチュアホルダー11、11が配される。該アーマチュアホルダー11、11は、前記アーマチュアパイプ7の保持部8、8それぞれの上端部に支持されるので、前記ホルダーブラケット12の支持部12b,12bで、アーマチュアホルダー11、11を介して前記アーマチュアパイプ7の保持部8、8が、保持されることになる。
【0020】
前記アーマチュアパイプ7は、正面視で左右に並列されてなる垂直状の保持部8、8と、該保持部8、8の下端に形成されてなる折り返し部10とより略U字状に形成されてなる。
【0021】
前記保持部8、8は、正面視で、少なくともAF05%タイルマネキン(SAE)のショルダーポイントより中央側に配されてなる。AF05%タイルマネキン(SAE)のショルダーポイントより中央側に配されている、ということは、大人の体格のほとんどの乗員30のショルダーポイントより内側に保持部8、8が配されているということになるので、該乗員30が自車の追突により前記シートバックフレーム2の前側から荷重が加わっても、該乗員30のショルダーが干渉しないことになる。
【0022】
また、前記保持部8、8は、図1に示す側面視で、前記受圧部材4が保持部材8、8より前側に配されるように、前後に「く」の字状に形成されてなる。該折曲部8aは、前記ヘッドレスト3のステイ13の下端部に干渉しない近接した位置に形成され、内面は半径20ミリの曲面である。
【0023】
また、前記したように、該保持部8、8内には、合成樹脂製のアーマチュアホルダー11、11を介して前記ヘッドレスト3のステイ13、13が上下摺動自在に支持されてなる。前記保持部8、8の上端部には、該ステイ13、13の上下位置を制御可能なる合成樹脂製のヘッドレストホルダー14、14が保持されてなる。図示しない符号14aは、該ヘッドレストホルダー14、14の係合部であり、符号15は、ヘッドレスト3のフレームである。
【0024】
符号16は、前記サイドフレーム2b,2b’にフック17、17’を介して支持されてなるS字状のバネで、前記受圧部材4の下方の位置に配されてなる。
【0025】
前記パッド32は、前記S字状のバネ16と、図示しない表皮との間に介在され、アッパフレーム2aの上を巻き込むように配されている。
【0026】
符号38は、前記パッド32の裏面に配されてなる滑動手段としてのボードで、前記受圧部材4が滑動し易い適宜の硬度を有する。該ボード38は、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2で、3ミリの板厚である。該ボード38の合成樹脂の複合の割合は、これに限らず、同等のものであれば良い。
【0027】
前記保持部8の後面には、開口部19が形成されていて、該開口部19にねじ回しなどの工具を押し入れると、前記ヘッドレストホルダー14、14の開口部19に係合した図示しない係合部が押されて開口部19から離脱し、保持部8、8から抜くことが可能となる構造である。つまり、ヘッドレストホルダー14、14のロックオフが可能としている。
【0028】
符号24は、保持部8の後ろ側RRの位置のアッパフレーム2aに支持されて、保持部8の上端部が後ろ側RRへの回動をこの位置以上にいかないように阻止するラバー状の第1ストッパ、同25は、図示しないバックボードの引っ掛け用フレーム、同34は、保持部8の一方側に配されて、保持部8の上端部が前側FRへの回動をこの位置以上にいかないように阻止する針金状の第2ストッパである。
【0029】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0030】
図1に示すように、乗員30がシート26のシートクッション27に着座し、前記シートバック1に背中30aを凭れかけた通常の状態では、乗員30の頭部30bとヘッドレスト3とは若干の隙間Aがあり、乗員30の背中30aと受圧部材4とも若干の隙間Bが形成されている。尤も、該乗員30の背中30aと受圧部材4との間には、パッド32やボード38それに表皮が介在されているが、乗員30からの荷重が受圧部材4に加わらない状態にある。
【0031】
この状態で、自車が追突されて、着座した乗員30が二次衝突により後ろ側RRに押されてパッド32等が後ろ側RRに移動すると、該乗員30の背中30aによりパッド32等を介して受圧部材4が後ろ側RRに押される。乗員30による後ろ側RR方向への荷重によりパッド32等が後ろ側に移動しても、乗員30のショルダーポイントが少なくともAF05%タイルマネキンによるショルダーポイントであるから、パッド等がアーマチャパイプ7の保持部8に食い込むことはない。また、ボード38が受圧部材4の表面に滑動できるので、受圧部材4は容易に移動が可能であるため、保持部8の回転に伴う受圧部材4の上昇は妨げられず、十分ヘッドレスト3の作動量を確保することができる。
【0032】
また、前記受圧部材4は、鉄板等剛体より構成されてなるので、乗員30による後ろ側RR方向への荷重が確実に保持部8に伝達される。即ち、ヘッドレスト3の移動が、受圧部材4に荷重が加わると直ぐに移動するので、タイミングロスがない。また、受圧部材4の移動量が大きくなる。
【0033】
該受圧部材4を支持している作動リンク6が、ボルト20を中心に回転付勢され、作動リンク6の他端部6bが、図1に示す位置から図4に示す位置に移動されることで、該作動リンク6の他端部6bは、ボルト20を中心に上側UP及び後ろ側RR方向に回転される。
【0034】
こうして、作動リンク6の他端部6bが上側UP且つ後ろ側RRに回転すれば、アーマチュアパイプ7の下端部、つまり折り返し部10が上側UP且つ後ろ側RRに移動する。該移動に伴い、アーマチュアパイプ7の上端部、つまり保持部8、8の上端部8b、8bと共にヘッドレストホルダー14、14は、上側UP且つ前側FRに移動する。該移動により、前記ヘッドレスト3のスティ13も上側UP且つ前側FRに移動される。
【0035】
従って、保持部8、8、スティ13、13が、ホルダーブラケット12を中心に、共に移動する。該ステイ13、13に支持されたヘッドレスト3は、図4に示すように、乗員30の頭部30b(太い二点鎖線)に当接することになる。尚、図4では、ヘッドレスト3が乗員30の頭部30bに食い込んでいるように図示されているが、ヘッドレスト3は中央が凹んでおり、乗員30の頭部30bも周知のように横断面で略円柱状をなすので、食い込んでいる訳ではない。また、図4のヘッドレスト3に二点鎖線で示す符号3が示されているが、この二点鎖線で示すヘッドレスト3は、移動しない場合のヘッドレスト3の位置を示したもので、こうした場合、乗員30の頭部30bは、細い二点鎖線で示すように移動することを示すものである。
【0036】
こうして、乗員30の上半身が後ろ側RRに移動することで、残される挙動をする乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されることになる。この時、前記受圧部材4の上辺に、後ろ側RRへ立ち上がる斜面部9が形成されてなるので、ボード38の後面が受圧部材4の傾斜面9に沿ってよりスムースに移動できる。換言すると、パッド32に受圧部材4が食い込み難いことになる。
【0037】
この状態で、前記保持部8は、前記受圧部材4に対して前後に「く」の字状に形成されてなるので、受圧部材4が後ろ側RR且つ上側UPに移動した時に、図4に示すように、受圧部材4及び折り返し部10が後ろ側RRに出っ張らない。
【0038】
また、前記保持部8の後ろ側の開口部19に、ねじ回しなどの工具を押し入れると、前記ヘッドレストホルダー14、14の開口部19に係合した図示しない係合部が押されて開口部19から離脱し、保持部8、8から抜くことが可能となる。つまり、ヘッドレストホルダー14、14のロックオフが可能としている。
【0039】
また、前記ヘッドレストホルダー14、14に、前記ヘッドレスト3のステイ13、13が上下移動自在に支持されてなるので、乗員30の頭部30bの位置に適宜ヘッドレスト3を合致させることができる。
【0040】
また、前記作動リンク6と前記シートバックフレーム2のサイドフレーム2bとの間に、前記受圧部材4を前側FRに付勢してなるスプリング18が支持されてなるので、乗員30の背中30aによる後ろ側RRへの押す力が加えられない状態では、スプリング18により受圧部材4は前側FRにある。即ち、該受圧部材4を下端に支持したアーマチュアパイプ7の保持部8、8の上端に支持されたヘッドレスト3は、シーソの原理で後ろ側RRの位置に収まるので、乗員30の居住性を損なうことがない。
【0041】
図5は、この発明の他の実施形態を示すもので、前記一実施形態と主に異なる点は、滑動部材の構成である。図1乃至図4に示したものと同一のものは同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0042】
符号39は、この実施形態の滑動部材である一部39aで閉ループ状(二つ折り状)にされたフィルムで、該フィルム39は、ナイロンよりなる。パッド32の裏面に対して該一部39aで支持されている。
【0043】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0044】
図5に示す状態は、図1に示すように、乗員30からの荷重が受圧部材4に加わらない状態にあって、この状態で、自車が追突されて、着座した乗員30が二次衝突により後ろ側RRに押されてパッド32等が後ろ側RRに移動すると、該乗員30の背中30aによりパッド32等を介して受圧部材4が後ろ側RRに押される。フィルム39が、パッド32の裏面と受圧部材4の表面との間にあって二つ折りされているので、パッド32側のフィルム39と受圧部材4側のフィルム39とが自在に滑動できるので、受圧部材4は容易に移動が可能であるため、保持部8の回転に伴う受圧部材4の上昇は妨げられず、十分ヘッドレスト3の作動量を確保することができる。
【0045】
こうして、乗員30の上半身が後ろ側RRに移動することで、残される挙動をする乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されることになる。この時、前記受圧部材4の上辺に、後ろ側RRへ立ち上がる斜面部9が形成されてなるので、フィルム39の受圧部材4側の面が受圧部材4の傾斜面9に沿ってよりスムースに移動できる。換言すると、パッド32に受圧部材4が食い込み難いことになる。
【0046】
図6及び図7は、この発明の更に他の実施形態を示すもので、前記一実施形態と主に異なる点は、滑動部材の構成である。図1乃至図4に示したものと同一のものは同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0047】
符号40は、この実施形態の滑動部材である三つ折り状のフィルムで、該フィルム40は、ナイロンよりなる。該フィルム40の一方40aがパッド32の裏面に対して支持され、該フィルム40の他方40bが受圧部材4の表面に対して支持されている。
【0048】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0049】
図6に示す状態は、図1に示すように、乗員30からの荷重が受圧部材4に加わらない状態にあって、この状態で、自車が追突されて、着座した乗員30が二次衝突により後ろ側RRに押されてパッド32等が後ろ側RRに移動すると、該乗員30の背中30aによりパッド32等を介して受圧部材4が後ろ側RRに押される。フィルム40が、パッド32の裏面と受圧部材4の表面との間にあって三つ折りされているので、パッド32側のフィルム40と受圧部材4側のフィルム40とが自在に滑動できるので、受圧部材4は容易に移動が可能であるため、保持部8の回転に伴う受圧部材4の上昇は妨げられず、十分ヘッドレスト3の作動量を確保することができる。
【0050】
こうして、乗員30の上半身が後ろ側RRに移動することで、残される挙動をする乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されることになる。この時、前記受圧部材4の上辺に、後ろ側RRへ立ち上がる斜面部9が形成されてなるので、フィルム40の受圧部材4側の面が受圧部材4の傾斜面9に沿ってよりスムースに移動できる。換言すると、パッド32に受圧部材4が食い込み難いことになる。
【0051】
前記アーマチュアパイプ7は、保持部8、8と折り返し部10とによりU字状をなす実施形態に限らず、例えば、折り返し部10が存在せずに、保持部8、8の下端部がそのまま受圧部材4に溶接により支持されるものであっても良い。
【0052】
前記作動説明で、乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されるとしたが、ヘッドレスト3の移動と、シートバック1の移動とは、相対的なものであり、乗員30の背中30aによってシートバック1が後ろ側RRに移動しても、乗員30の頭部30bに対してヘッドレスト3が移動せず、その位置に保持されることで、乗員30の頭部30bが保護されるものと説明されるものも含むものである。
【0053】
また、前記ボード38は、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなるとして説明したが、これに限らず、前記パッド32の成形時に、該パッド32の原料が含浸可能な粗毛布と、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなる合成樹脂製の表面材とが同時に型内で成形される二層構造でも良い。
【0054】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、前記受圧部材は、剛体より構成されてなり、前記パッドの裏面には、該受圧部材が滑動し易い適宜の硬度を有する滑動手段が配設されてなるので、受圧部材に乗員からの後ろ側方向の荷重が加わった時に、受圧部材がパッドに食い込むことがない。また、受圧部材のスムースな移動が可能なると共に、ヘッドレストの作動量を充分確保できる。
【0055】
また、前記受圧部材が、剛体より構成されてなるので、乗員による後ろ側方向への荷重が支持手段の移動代となって確実に伝達される。即ち、受圧部材に荷重が加わると直ぐにヘッドレストが移動するので、タイミングロスがない。また、受圧部材の移動量が大きくなる。
【0056】
請求項2に記載の発明によれば、前記滑動手段は、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなるので、適宜の柔軟性と適宜の滑動性とを有し、受圧部材とパッドとが圧接されるときに摩擦抵抗とならない。
【0057】
請求項3に記載の発明によれば、前記滑動手段は、前記パッドの成形時に該パッドの原料が含浸可能な粗毛布と、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなる合成樹脂製の表面材との二層構造よりなるので、パッドの成形時に、同時に滑動手段が該パッドに支持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るシートバックを示す断面図。
【図2】図1の分解斜視図。
【図3】図1の要部を示す斜視図。
【図4】図1の作動実施形態を示す断面図。
【図5】この発明の他の実施形態に係るシートバックを示す断面図。
【図6】この発明の更に他の実施形態に係るシートバックを示す断面図。
【図7】図6の要部を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1 シートバック
2 シートバックフレーム
2a シートバックフレームのアッパフレーム
2b シートバックフレームのサイドフレーム
3 ヘッドレスト
4 受圧部材
6 作動リンク
6a 作動リンクの一端部
6b 作動リンクの他端部
7 支持手段としてのアーマチュアパイプ
8 アーマチュアパイプの保持部
13 ヘッドレストのステイ
30 乗員
30a 乗員の背中
30b 乗員の頭部
32 パッド
38 滑動部材であるボード
39、40 滑動部材であるフィルム
FR 前側
RR 後ろ側
UP 上側
LWR 下側
Claims (3)
- シートバックフレームと、該シートバックフレームの上端部に前後に回転自在なると共に上下に移動自在に支持されてなる支持手段と、該支持手段の上端部に支持されてなるヘッドレストと、前記支持手段の下端部に支持されてなると共に乗員の背中の圧力を受け得る受圧部材と、前記受圧部材の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる自動車用シートバックにおいて、
前記受圧部材は、剛体より構成されてなり、
前記パッドの裏面には、該受圧部材が滑動し易い適宜の硬度を有する滑動手段が配設されてなることを特徴とする自動車用シートバック。 - 請求項1に記載の自動車用シートバックであって、
前記滑動手段は、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなることを特徴とする自動車用シートバック。 - 請求項1に記載の自動車用シートバックであって、
前記滑動手段は、前記パッドの成形時に該パッドの原料が含浸可能な粗毛布と、ポリエステル系繊維を25〜45%、アクリル系繊維を20〜40%、ポリプロピレン系繊維を15〜35%を適宜混紡してなり、目付け量が約900g/mm2としてなる合成樹脂製の表面材との二層構造よりなることを特徴とする自動車用シートバック。
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