JP3594821B2 - 走査光学系 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被走査面に複数の光ビームを並列的に照射して走査する走査光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ビームを被走査面に照射して画像を記録する走査光学系として従来から偏向器を用いて光ビームを振ることにより主走査を行うものが知られている。そのうち、偏向器としてポリゴンミラーを用いた走査光学系では、ポリゴンミラーの中心軸のブレにより、そのミラー面が傾く、いわゆる「面倒れ」が生じ、それにより走査線が変動するという問題がある。
【0003】
そのため、ポリゴンミラーと被走査面との間に面倒れ補正レンズとしてシリンドリカルレンズを備え、それによりポリゴンミラーのミラー面と被走査面とを少なくとも主走査方向と垂直な方向(副走査方向)について光学的に共役にして、面倒れの影響を抑えるものが一般的に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図5はシリンドリカルレンズ90の円筒面90aへの光ビームLBの入射角βを示す図である。図示のように、上記のような走査光学系においては、光ビームLBが、偏向されることによって、シリンドリカルレンズ90の円筒面90aへの入射角βも変化することになる。そして、円筒面90aに対する入射角βが変化することによって、円筒面90aが光ビームLBになす作用も変化する。曲率半径r0を持つ円筒面90aを入射角βの角度で切った場合の断面の形状は、光ビームLBが進む方向に長軸を持ち、その直交方向(X方向)に短軸(長さ2・r0)を持つ楕円(の半分)で表すことができる。
【0005】
この楕円断面は入射角βに応じてその長軸の長さが異なり、β=0°、すなわち、円筒面90aに垂直に光ビームが入射する状態では長軸の長さも2・r0(真円)となり、入射角βが大きくなるにつれて長軸の長い楕円になっていく。これにより、シリンドリカルレンズ90の副走査方向における実効的な焦点距離は入射角βが変わるにつれて変化していくので、ポリゴンミラーのミラー面に対する像面(被走査面)の結像倍率も入射角βに応じて変化していくことになる。
【0006】
ところで、光ビームが光軸上の1本の場合は、物高が「0」なので像高も「0」になり結像倍率の変化に関係無くシリンドリカルレンズ90の母線上を走査することができる。しかし、走査光学系における物高h0と像高hとの関係を示す図6から分かるように、複数の光ビームを副走査方向(X軸方向)に配列して照射する、いわゆるマルチビーム型の走査光学系では、上述の入射角βに応じて倍率が異なるという事情から、走査のために光軸LAから、ある高さh0でポリゴンミラー91に入射する光ビームLBでは像面(被走査面)での結像位置(像高h)も入射角βに応じて異なる値になる。すなわち、マルチビーム型の走査光学系による走査線の例を示す図7から分かるように、光軸を通過する光ビームによる走査線L0は直線状であるのに対し、それ以外の光ビームによる走査線L1は直線状にならず、中央から離れるほど像高hの低くなった走査線曲がりが生じることになる。
【0007】
この発明は、従来技術における上述の問題の克服を意図しており、複数の光ビームによる走査線の曲がりを抑えることができる走査光学系を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明の請求項1の走査光学系は、被走査面に複数の光ビームを並列的に照射して主走査を行いつつ、それと垂直な方向に副走査を行う走査光学系であって、複数の光ビームを発する光源と、前記複数の光ビームを偏向させて主走査を行う偏向手段と、前記光源と前記偏向手段との間に設けられ、前記複数の光ビームを前記偏向手段に導く前段光学系と、前記偏向手段により偏向された複数の光ビームを前記被走査面に導く走査レンズと、前記偏向手段と前記被走査面との間に設けられ、少なくとも副走査方向にパワーを有する面倒れ補正レンズと、を備え、前記面倒れ補正レンズの副走査方向の焦点距離が、当該面倒れ補正レンズに対する入射角に応じて異なり、前記面倒れ補正レンズにおける、前記焦点距離をf、前記入射角をβとし、β=0゜での焦点距離fをf 0 とするとき、前記面倒れ補正レンズが、
f=f 0 (1/cosβ) m
ただし、1≦m≦2.3
の特性を有することを特徴とする。
【0010】
また、この発明の請求項2の走査光学系は、請求項1に記載の走査光学系であって、前記面倒れ補正レンズが、
1.5≦m≦1.8
の特性を有することを特徴とする。
【0011】
また、この発明の請求項3の走査光学系は、請求項2に記載の走査光学系であって、前記面倒れ補正レンズが、
m=1.64
の特性を有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[1.実施の形態の装置構成および原理]
図1はこの発明の実施の形態の走査光学系の全体構成を示す斜視図である。各図においては、水平面をY−Z面とし、鉛直方向をX軸方向とする3次元座標系X−Y−Zが定義されている。以下、図1を用いてこの発明の実施の形態の走査光学系の全体構成を説明していく。
【0014】
この発明の第1の実施の形態の走査光学系は図示のように光源である半導体レーザ10a,10b、10c、前段光学系20、偏向手段であるポリゴンミラー30、走査レンズ40、面倒れ補正レンズであるシリンドリカルレンズ50等の構成部材から構成されており、3本の光ビームLBをポリゴンミラー30によって、偏向して被走査面SSにY軸方向に振る(偏向の角度を変化させる)ことによって主走査しつつ、被走査面SSを図示しない移動機構によってX軸方向の負の方向に移動させることによって副走査を行い、それによって被走査面SSに描画する装置である。
【0015】
この走査光学系による描画時の上記の各部の機能は以下のようになっている。まず、光源は3個の半導体レーザ10a,10b、10cからなっており、それぞれが図示しない制御部からの制御信号で直接変調駆動され、その制御信号に基づいて光ビームLBを発する。なお、半導体レーザ10bによる光ビームLBが以下に示す各光学系(シリンドリカルレンズ50を含む)の光軸を通過している。
【0016】
そして、発せられた光ビームLBは前段光学系20を構成するレンズ21,22で整形され、シリンドリカルレンズ23によりポリゴンミラー30のミラー面に集光するよう入射する。そして、図1に示すように、ポリゴンミラー30によって反射された光ビームLBはポリゴンミラー30のX軸方向を中心軸とした回転によりY−Z面(以下、主走査面という)内で振られながら走査レンズ40に入射する。
【0017】
走査レンズ40(例えば、fθレンズ)は、4枚のレンズ40a〜40dからなっており、入射した光ビームLBを被走査面SSに結像させる。また、走査レンズ40とほぼ副走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズ50との協働によって副走査方向(X方向)において、ポリゴンミラー30のミラー面と被走査面SSとが光学的にほぼ共役とされる。これによって、ポリゴンミラー30の中心軸のブレによるミラー面の面倒れが補正されて、被走査面SSにおける走査線の歪みが補正される。このようにして被走査面SSに結像する光ビームLBの結像点はポリゴンミラー30の回転によってY軸方向への移動を繰り返して、主走査が繰り返し行われるとともに、被走査面SSの副走査方向と反対の方向(X軸の負方向)の移動によって副走査が行われる。
【0018】
つぎに、この実施の形態の主要部について説明する。
【0019】
図3はシリンドリカルレンズ50への光ビームLBの入射角βを示す図である。図示のように主走査面内での光ビームLBのシリンドリカルレンズ50への入射角をZ軸とのなす角として表わしたのが入射角βである。
【0020】
前述のように、通常のシリンドリカルレンズ50では入射角βによってその入射面の光ビームLBの通過経路における実効的な曲率半径が異なるが、シリンドリカルレンズ50の入射面のうち、実際に光ビームLBが通る部分は、被走査面SSにおけるビーム径を最も小さく収束させる場合でも20μm程度と仮定すると、FナンバーはF20程度までであるから、入射面ISのうち、光軸の近傍付近のみの性質を考えればよいことになる。
【0021】
そして、このような光軸近傍における光ビームLBの通過断面(シリンドリカルレンズ50を入射角βで切断した断面)における入射面の実効的な曲率半径reは、
re=r0・(cosβ)m
で近似できることが確かめられた。
【0022】
そのため、この実施の形態のシリンドリカルレンズ50は主走査方向の走査範囲内のいずれの位置(いずれの入射角β)においても、上記実効的な曲率半径reの変化を相殺して、副走査方向における実効的な焦点距離を一定に保つために、副走査方向における(X−Z面での)焦点距離fが入射角βに応じて次式で表されるものとなっている。
【0023】
f=f0・(1/cosβ)m ・・・式1
ただし、1≦m≦2.3、
また、f0は、β=0°での副走査方向における焦点距離。
【0024】
ここで、mは最適値として1.64程度の値をとり、その場合にはマルチビームにおける各光ビームLBのいずれにおいても、ほぼ直線状の走査線を得ることができることが確かめられた(後に詳述)。しかし、実際にはある程度の走査線の曲がりは許容されていて、典型的には走査高さ(副走査方向での光軸からの高さ)の4%程度が許容されており、上記mの数値の範囲はこれに対応したものとなっている。以下、mの範囲の導出について説明する。
【0025】
発明が解決しようとする課題の欄で述べたように、入射角βが大きいほど走査線の曲がりが大きくなるので、まず、考慮すべき入射角βの範囲を決める必要があるが、入射角βはすなわち走査レンズ40の最大出射角であり、通常、β=±18゜程度が最大である。また、前述のように入射角βの絶対値が大きくなる程(すなわち、走査レンズ40の中心から遠ざかる程)光ビームLBの通過する部分での曲率は大きくなるため、当然、入射角βの絶対値が大きくなるほど、β=0゜における走査線の高さとの差が大きくなる。そこで、この走査線の曲がりの許容範囲としてβ=±18゜におけるβ=0゜との走査高さの差、すなわち、副走査方向の結像倍率の差を4%以内とする。
【0026】
副走査方向の結像倍率は走査レンズ40とシリンドリカルレンズ50の合成により決まっているが、走査レンズ40の焦点距離は一定であることから、結像倍率の変化は、ほぼシリンドリカルレンズ50の焦点距離の変化に一致する。前述のように焦点距離fのf0からの変化量の許容値を4%程度とすると、
(1/cos18゜)1.64=1.0858
であるから、その±4%の数値範囲は1.044〜1.129であり、これは、ほぼ(1/cos18゜)1.0〜(1/cos18゜)2.3の範囲である。したがって、m=1〜2.3の範囲が許容されることになる。
【0027】
なお、ここではβ=±18゜についてのみmの範囲を求めたが、図6および7を用いて既述のように、走査線の高さの変化(曲がり)は入射角βの絶対値について単調増加となるため、β=±18゜での条件が最も厳しい(mの範囲が狭い)条件である。例えば、β=0゜ではcosβ=1となりmには依存しなくなり(すなわち、mの許容範囲としては「0」〜無限大となる)、また、cosθの関数形から、当然、上述のβ=±18゜でのmの範囲が最も厳しい条件であることが分かる。
【0028】
そして、以下に示すように、第1および第2の実施の形態では、シリンドリカルレンズ50の曲率半径および屈折率をそれぞれ入射角βに応じて変化させることによって式1の焦点距離fの関係を実現している。
【0029】
このような構成により、この実施の形態によれば、実効的な焦点距離を入射角βに関係なく一定に保つことができ、ポリゴンミラー30のミラー面に対する被走査面SSでの結像倍率を一定にできるため、マルチビームによる走査を行っても、光軸上以外の走査線の曲がりが、入射角βの範囲が−18゜〜18゜程度と大きい場合でも、走査範囲の両端でも走査高さの±4%以内にすることができ、高精度な走査を行うことができる。
【0030】
<1−1.第1の実施の形態>
図2は第1の実施の形態におけるシリンドリカルレンズ50の入射角βの位置での断面図である。図2に示すように第1の実施の形態におけるシリンドリカルレンズ50は被走査面SS側の面(出射面OS)が平面となっており、その反対側の面(入射面IS)は主走査方向の位置(したがって入射角β)によって曲率半径が変化している。すなわち、シリンドリカルレンズ50は中央(入射角β=0°)での入射面IS1が曲率半径r0の断面を有するのに対して、図示のように、入射角βの位置における入射面IS2に垂直な断面での入射面IS2の曲率半径rが、
r=r0・(1/cosβ)m ・・・式2
ただし、1≦m≦2.3、
となっている。これにより、焦点距離fは式1の関係を満たすこととなり、前述のように、マルチビームによる走査においても、走査線の曲がりを抑え、高精度に走査することができる。
【0031】
以下、実施例により具体的に説明する。
【0032】
<<1−1−1.第1実施例>>
第1実施例ではシリンドリカルレンズ50の入射面の曲率半径rを式2において前述の最適値m=1.64とするものである。ただし、第1実施例ではr0=25mmとし、光軸における厚さは5mmで、その素材は屈折率n=1.511176のガラスである。
【0033】
図3および図4はそれぞれ第1の実施の形態の走査光学系のポリゴンミラー30、走査レンズ40およびシリンドリカルレンズ50の位置関係を示す平面図および側面図である。図3に示すように、走査レンズ40の最終面からシリンドリカルレンズ50の入射面ISまでを449mm、シリンドリカルレンズ50の出射面(平面)から被走査面SSまでを49.735mmとすることにより、図3に示すようにポリゴンミラー30面と被走査面SSとを倍率1/7の共役な関係としている。
【0034】
なお、ポリゴンミラー30へは、波長780nmの3本の光ビームLBが副走査方向の入射高さ0μmおよび±700μmの3つの位置に集束して入射するよう導かれている。
【0035】
走査レンズ40は焦点距離=400mm、バックフォーカス(被走査面側焦点位置)=500mm(図4参照)、フロントフォーカス(ポリゴンミラー30側焦点位置)=240mmで、ポリゴンミラー30から走査レンズ40の第1面までは50mmである。
【0036】
ポリゴンミラー30が走査レンズ40のフロントフォーカス位置よりもレンズ側に位置しているため、走査レンズ40から出射する光ビームLBの主光線は、主走査面内において前述のシリンドリカルレンズ50への入射角βを持つことになる。
【0037】
この走査光学系で、ポリゴンミラー30を15.717゜回転させ(このときのβ=18゜)220mm走査したときに、ポリゴンミラー30に副走査方向の高さ=700μmで入射している光ビームLBが描く軌跡をコンピュータ・シミュレーションした結果を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
ただし、各符号は、以下の通りである。
【0040】
θ;ポリゴンミラー30の回転角
β;シリンドリカルレンズ50の入射面ISへの主走査面内での入射角
r;シリンドリカルレンズ50の入射面ISの副走査方向の曲率半径
f;シリンドリカルレンズ50の入射面ISの副走査方向の焦点距離
X;被走査面SSでの光ビームLBの副走査方向の位置
Y;被走査面SSでの光ビームLBの主走査方向の位置
この結果において、入射角β=0.00°における副走査方向の位置X=100.00μmに対して、入射角β=18.00°では位置X=99.88となっており、位置Xの変化(走査線の最大曲がり)が0.15μm以内であるので、入射角β=18.00°での走査線の最大曲がりは4%以内に抑えられているのみならず、マルチビームによる走査においても、ほぼ理想的な直線の走査線が得られることが分かる。
【0041】
<<1−1−2.第2実施例>>
第2実施例はシリンドリカルレンズ50の入射面ISの曲率半径rを式2においてm=1とするものである。また、この場合はシリンドリカルレンズ50の実効的な焦点距離が変化して行くことにより生じる像面湾曲を補正するため、主走査面内においても9000mm(光軸から離れる程、被走査面に近づいていく方向)の曲率を持っている。なお、第2実施例におけるシリンドリカルレンズ50は第1実施例と同様に屈折率n=1.511176のガラス製である。この場合のコンピュータ・シミュレーションの結果を示す。
【0042】
【表2】
【0043】
この結果において、入射角β=0.00°における副走査方向の位置X=100.00μmに対して、入射角β=18.00°では位置X=95.80となっていることから、入射角β=18.00°での走査線の最大曲がりはほぼ4.2μmと4%程度に抑えられていることが分かる。すなわち、許容範囲の限界を示す例である。
【0044】
<<1−1−3.第3実施例>>
第3実施例はシリンドリカルレンズ50の入射面の曲率半径rを式2においてm=2.3とするものである。また、この場合もシリンドリカルレンズ50の実効的な焦点距離が変化することにより生じる像面湾曲を補正するため、主走査面内においても9000mm(光軸から離れる程、被走査面から遠ざかる方向の曲率)の曲率を持っている。なお、第3実施例におけるシリンドリカルレンズ50は第1実施例と同様に屈折率n=1.511176のガラス製である。この場合のコンピュータ・シミュレーションの結果を示す。
【0045】
【表3】
【0046】
この結果において、入射角β=0.00°における副走査方向の位置X=100.00μmに対して、入射角β=18.00°では位置X=104.03となっていることから、入射角β=18.00°での走査線の最大曲がりはほぼ4.0μmと4%程度に抑えられていることが分かる。すなわち、許容範囲のほぼ限界を示す例である。
【0047】
<<1−1−4.第4実施例>>
第4実施例はシリンドリカルレンズ50の入射面の曲率半径rを式2においてm=1.5とするものである。また、第4実施例では第1実施例と同様にシリンドリカルレンズ50は主走査面内では平面であるが、像面湾曲は焦点深度内である。なお、第4実施例におけるシリンドリカルレンズ50は第1実施例と同様に屈折率n=1.511176のガラス製である。この場合のコンピュータ・シミュレーションの結果を示す。
【0048】
【表4】
【0049】
この結果において、入射角β=0.00°における副走査方向の位置X=100.00μmに対して、入射角β=18.00°では位置X=98.51となっていることから、入射角β=18.00°での走査線の最大曲がりはほぼ1.5μmと4%以内に抑えられているのみならず、直線に近い走査線が得られることが分かる。
【0050】
<<1−1−5.第5実施例>>
第5実施例はシリンドリカルレンズ50の入射面の曲率半径rを式2においてm=1.8とするものである。また、第5実施例でも第1実施例と同様にシリンドリカルレンズ50は主走査面内では平面であるが、像面湾曲は焦点深度内である。なお、第5実施例におけるシリンドリカルレンズ50は第1実施例と同様に屈折率n=1.511176のガラス製である。この場合のコンピュータ・シミュレーションの結果を示す。
【0051】
【表5】
【0052】
この結果において、入射角β=0.00°における副走査方向の位置X=100.00μmに対して、入射角β=18.00°では位置X=101.66となっていることから、入射角β=18.00°での走査線の最大曲がりはほぼ1.7μmと4%以内に抑えられているのみならず、直線に近い走査線が得られることが分かる。
【0053】
以上、第1〜第5実施例から明らかなように、最適な条件は式2においてm=1.64とする場合であり、許容範囲としては1≦m≦2.3、望ましくは1.5≦m≦1.8となっている。
【0054】
<1−2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態はシリンドリカルレンズ50の入射面ISを、曲率半径rが入射角βに関わらずr=25mmの一定値である入射面IS(図5のような通常のシリンドリカルレンズ50と同形状)とする代わりに、入射角βに応じて屈折率nを変化させたものである。すなわち、焦点距離fと屈折率nとの関係式
f=r/(n−1) ・・・式3
を用いて、焦点距離fが式1を満たすように屈折率nを入射角βに伴って変化させるというものである。
【0055】
このような構成により第2の実施の形態においても、マルチビームによる走査においても、走査線の曲がりを抑え、高精度に走査することができる。
【0056】
以下、具体的実施例により説明する。
【0057】
<<1−2−1.実施例>>
なお、第2の実施の形態の実施例でも第1の実施の形態と同様に、ポリゴンミラー30を15.717゜回転させ(このときのβ=18゜)220mm走査したときに、ポリゴンミラー30に副走査方向の高さ=700μmで入射している光ビームLBが描く軌跡をコンピュータ・シミュレーションした結果を以下に示す。ただし、各記号は第1の実施の形態と同様であり、さらに、nはシリンドリカルレンズ50の屈折率を表わしている。また、式1におけるmの値は最適値1.64である。
【0058】
【表6】
【0059】
この結果において、入射角β=0.00°における副走査方向の位置X=100.00μmに対して、入射角β=18.00°では位置X=100.37となっていることから、入射角β=18.00°での走査線の最大曲がりは0.37μmと4%以内に抑えられているのみならず、マルチビームによる走査においても、ほぼ理想的な直線の走査線が得られることが分かる。
【0060】
[2.変形例]
上記第1および第2の実施の形態において走査光学系の一例を示したが、この発明はこれに限られるものではない。
【0061】
例えば、上記第1および第2の実施の形態では、シリンドリカルレンズ50の円筒面の曲率半径や屈折率を変化させるものとしたが、面倒れ補正レンズとして両面に曲率を持つレンズを用いる場合は、そのレンズの面厚さを入射角βに応じて変化させるものとしてもよい。
【0062】
さらに、上記第1および第2の実施の形態では、シリンドリカルレンズ50の円筒面全体の曲率や屈折率を入射角βに応じて変化させるものとしたが、シリンドリカルレンズのうち、光ビームに作用を及ぼす限られた範囲内のみの曲率や屈折率を変化させるものとしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項3の発明によれば、偏向手段によって複数の光ビームを偏向させて被走査面を走査する走査光学系において、面倒れ補正レンズの副走査方向の焦点距離が当該面倒れ補正レンズに対する入射角に応じて異なるため、複数の光ビームによる走査線の曲がりを抑え、高精度に走査することができる。
【0064】
また、特に請求項1の発明によれば、面倒れ補正レンズが、
f=f0(1/cosβ)m
ただし、1≦m≦2.3
の特性を有するため、複数の光ビームによる走査線の曲がりを4%程度以内に抑えることができ、精度よく走査を行うことができる。
【0065】
また、特に請求項2の発明によれば、面倒れ補正レンズが、
1.5≦m≦1.8
の特性を有するため、複数の光ビームによる走査線として直線に近い走査線が得られ、比較的、高精度な走査を行うことができる。
【0066】
また、特に請求項3の発明によれば、面倒れ補正レンズが、
m=1.64
の特性を有するため、複数の光ビームによる走査線として理想的な直線状の走査線が得られ、高精度の走査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の光ビーム走査装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態におけるシリンドリカルレンズの入射角βの位置での断面図である。
【図3】光ビーム走査装置のポリゴンミラーのミラー面、走査レンズおよびシリンドリカルレンズの位置関係を示す平面図である。
【図4】光ビーム走査装置のポリゴンミラーのミラー面、走査レンズおよびシリンドリカルレンズの位置関係を示す側面図である。
【図5】シリンドリカルレンズの円筒面への光ビームの入射角を示す図である。
【図6】従来の走査光学系における物高h0と像高hとの関係を示す図である。
【図7】従来のマルチビーム型の走査光学系による走査線の例を示す図である。
【符号の説明】
10a,10b、10c 半導体レーザ(光源)
20 前段光学系
30 ポリゴンミラー(偏向手段)
40 走査レンズ
50 シリンドリカルレンズ(面倒れ補正レンズ)
IS,IS1,IS2 入射面
OS 出射面
LB 光ビーム
SS 被走査面
f,f0 シリンドリカルレンズ50の焦点距離
n シリンドリカルレンズ50の屈折率
r,r0 シリンドリカルレンズ50の曲率半径
β 入射角
Claims (3)
- 被走査面に複数の光ビームを並列的に照射して主走査を行いつつ、それと垂直な方向に副走査を行う走査光学系であって、
複数の光ビームを発する光源と、
前記複数の光ビームを偏向させて主走査を行う偏向手段と、
前記光源と前記偏向手段との間に設けられ、前記複数の光ビームを前記偏向手段に導く前段光学系と、
前記偏向手段により偏向された複数の光ビームを前記被走査面に導く走査レンズと、
前記偏向手段と前記被走査面との間に設けられ、少なくとも副走査方向にパワーを有する面倒れ補正レンズと、
を備え、
前記面倒れ補正レンズの副走査方向の焦点距離が、当該面倒れ補正レンズに対する入射角に応じて異なり、
前記面倒れ補正レンズにおける、前記焦点距離をf、前記入射角をβとし、β=0゜での焦点距離fをf 0 とするとき、前記面倒れ補正レンズが、
f=f 0 (1/cosβ) m
ただし、1≦m≦2.3
の特性を有することを特徴とする走査光学系。 - 請求項1に記載の走査光学系であって、
前記面倒れ補正レンズが、
1.5≦m≦1.8
の特性を有することを特徴とする走査光学系。 - 請求項2に記載の走査光学系であって、
前記面倒れ補正レンズが、
m=1.64
の特性を有することを特徴とする走査光学系。
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