JP3594223B2 - 筒状セラミックス体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両端が開放された筒状セラミックス体の泥漿鋳込み成形による製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックスのスリップキャスト成形、いわゆる鋳込み成形は、セラミック原料粉末と水等の溶媒から成る泥漿に、必要に応じ焼結助剤、成形助剤、分散剤等の添加剤を添加し、石膏型等の吸水性鋳型に流し込み、所定形状の成形体を得る方法である。
【0003】
上記泥漿鋳込み成形は、食器類、衛生陶器等の陶磁器の製造分野、いわゆるオールドセラミックス分野では、古くから採用されている手法である。上記泥漿鋳込み成形は、製品を高歩留まりで量産的に生産できる。
【0004】
近年、進展の著しいファインセラミックス分野においても、泥漿鋳込み成形は、各種ファインセラミックス成形体の成形に多用されている。
【0005】
泥漿鋳込み成形は、金型成形や冷間静水圧成形(CIP)に比し、成形に際し、特に顆粒を形成する必要がなく、泥漿から直接成形体を成形する。このため、均質な成形体を得ることができる。
【0006】
また、泥漿鋳込み成形は、複雑形状の成形体も容易に成形できる。
【0007】
通常、半導体の熱処理に用いられるチューブは、泥漿鋳込み成形やラバープレス成形によって得られたSiC多孔体の成形体に、Siを注入することによって得られる。チューブの大きさは、熱処理を行う半導体ウェーハの大きさによって異なる。8インチの半導体ウェーハの場合、チューブの大きさは外形300mm以上もの大きさとなる。12インチの半導体ウェーハの場合、チューブの大きさは外形400mm以上もの大きさとなる。
【0008】
これらの半導体熱処理に用いられるチューブには、厳しい形状精度が要求される。特に、チューブの肉厚には、外形のつぶれなどよりも厳しい精度が要求される。これは、熱処理時にウェーハに及ぶ影響を考慮する必要があるからである。最近では、肉厚4mmに対し、公差+0.5、−0といった厳しい要求もある。
【0009】
泥漿鋳込み成形法により半導体熱処理に用いられるチューブを成形する場合、吸水性の型(主に石膏型)の一端部から泥漿を投入し、型内を泥漿で満たす。その後、任意の時間だけ保持し、型内に残っている泥漿を排泥する。このような方法で鋳込むと、成形されたチューブは、一端部が薄く、他端部が厚くなる。つまり、成形されたチューブの一端部と他端部の間に、肉厚差が生じる。これは、泥漿が石膏型内を満たすのに時間がかかるためである。
【0010】
一端部と他端部の間に肉厚差を有するチューブでは、均一な条件でウェーハを熱処理することができない。
【0011】
一端部と他端部との肉厚差が大きいチューブから、一端部と他端部との肉厚差が小さいチューブを得るためには、チューブの内周や外周を加工することが効果的である。
【0012】
しかし、チューブの外周にテーパーがついている場合、外周加工によって一端部と他端部との肉厚差が小さいチューブを得ることは、極めて困難である。また、内周加工はチューブの外形にもよるが、長さ約500mmまでの加工が限界である。これは、実用的な方法ではない。
【0013】
これらのことから、泥漿鋳込み成形によって一端部と他端部との肉厚差が小さいチューブを製造できるようにすることが望まれていた。
【0014】
一方、半導体熱処理に用いられるチューブは、LP−CVD工程や拡散工程で使用されている。LP−CVD工程では、半導体にSiN、poly−Si、SiOなどがコーティングされる。LP−CVD工程でチューブに付着した堆積物は、一定期間で洗浄によって除去する。チューブに付着した堆積物を除去しないと、チューブとの熱膨張差等の原因によって、堆積物がチューブからはがれる。その結果、ダストが発生し、半導体に悪影響を与える。
【0015】
しかしながら、実際の作業においては、処理能力を向上するために上述の洗浄回数をできるだけ少なくすることが重要である。LP−CVD工程においてチューブの洗浄回数を減らすには、チューブの内面を粗くする。チューブの内面を粗くすると、チューブの内面の表面積が大きくなる。チューブの内面の表面積が大きいと、堆積物が粗い内面に強固に付着し、膜の堆積量を増やすことができる。つまり、チューブの内面を粗くすると、堆積物がチューブからはがれにくくなる。その結果、上述の洗浄回数を減らすことができる。
【0016】
チューブの内面を粗くするには、泥漿に粗い粒子を入れて成形することが望ましい。しかし、チューブの外面は堆積物の付着がチューブの内面に比べて少ないため、ガスの整流を考慮してできるだけ荒れていない状態が望ましい。
【0017】
これらのことから、内面と外面で異なる表面粗さを有するチューブを泥漿鋳込み成形によって容易に製造できるようにすることが望まれていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の1つの目的は、一端部と他端部との肉厚差が小さいか、ほぼ同一の筒状セラミックス体の製造方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、一端部と他端部との肉厚差が小さく、内表面と外表面が異なった状態になっている筒状セラミックス体の製造方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの解決手段は、両端が開放された筒状セラミックス体の製造方法において、成形型に対し第1回の泥漿鋳込み成形を行った後、前記成形型の向きを反転させて第2回の泥漿鋳込み成形を行うことを特徴とする筒状セラミックス体の製造方法である。
【0022】
好ましくは、第1回及び第2回の泥漿鋳込み成形を行うごとに、異なる粒度配合の泥漿を用いる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明は、一端部と他端部との肉厚差が小さい筒状セラミックス体とその製造方法、一端部と他端部との肉厚差が小さく、内表面と外表面の状態が異なる筒状セラミックス体とその製造方法に関する。
【0026】
本発明の典型例は、両端が開放された筒状セラミックス体の製造方法において、第1回の泥漿鋳込み成形を行った後、成形型の向きを反転させて、同一の成形型に対し第2回の泥漿鋳込み成形を行うことを特徴とする筒状セラミックス体の製造方法である。
【0027】
成形型としては、石膏型を用いるのが好ましい。
【0028】
好ましくは、1回目の成形による成形体の薄肉部に、2回目の成形による成形体の厚肉部を対応させる。1回目の成形による成形体の厚肉部に、2回目の成形による筒状成形層の薄肉部を対応させる。上述のようにして、筒状セラミックス体を得ることが好ましい。
【0029】
さらに、複数回の泥漿鋳込み成形ごとに、異なる配合の泥漿を用いることも好ましい。
【0030】
なお、筒状セラミックス体は、両端が開放されているセラミックス体であればどのようなものでもよい。したがって、一端が細くなっているものや両端が細くなっているもの、一端が広くなっているものや両端が広くなっているもの等でもよい。また、開放端の形状は、円形のものに限らず様々な形状にすることができる。
【0031】
筒状セラミックス体は、たとえば、半導体製造用の均熱管(ライナーチューブ)、反応管あるいはインナーチューブ等として構成することができる。通常は、これらの用途の場合、筒状セラミックス体の内表面にCVD(−SiC)被膜が行われる。インナーチューブの場合には、外表面にもCVD(−SiC)被膜が行われる。
【0032】
筒状セラミックス体の材質は、たとえば炭化珪素、アルミナ、窒化珪素等にすることができる。
【0033】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施例について説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施例で用いる石膏型を示す概略縦断面図である。
【0035】
石膏型12は、両端が開放された円筒である。
【0036】
まず、1回目の鋳込み作業を行う。石膏型12の他端12b 側の開放端を塞いで、石膏型の一端12a 側から例えば適宜粒度配合されたSiC(炭化珪素)等のセラミックス粉末を溶媒中に分散させた泥漿を投入する。任意の時間だけ保持した後、石膏型12から泥漿を排泥する。その結果、石膏型12の内面に、図2に示す多孔体の第1筒状成形層14ができる。
【0037】
図2は、第1の実施例における石膏型12及びこれに対し、1回目の鋳込み終了後の成形体を示す第1筒状成形層の概略縦断面図である。第1筒状成形層は、両端が開放された筒型である。第1筒状成形層14の肉厚は、一端部14a が薄く他端部14b が厚くなる。これは、泥漿投入開始から石膏型がいっぱいになるまでに、タイムラグがあるからである。また、泥漿中の粉末分の沈降によってもその傾向は生じ易い。
【0038】
次に、2回目の鋳込み作業を行う。石膏型12からの脱型を行わずに、石膏型12の一端12a と他端12b を反転させる。下側に位置する石膏型の一端12a 側の開放端を塞いで、石膏型の他端12b 側から上記第1筒状成形層の内側に対し、第1回目と同質の泥漿を投入する。任意の時間だけ保持した後、石膏型12から泥漿を排泥する。その結果、図3に示すように、第1筒状成形層14の内面に多孔体の第2筒状成形層16ができる。
【0039】
図3は、第1の実施例における石膏型12及び2回目の泥漿鋳込み成形終了後の筒状セラミックス体18を示す概略縦断面図である。第1筒状成形層14の内面に多孔体の第2筒状成形層16が成形されて、多孔体の筒状セラミックス体18を構成している。筒状セラミックス体18は、両端が開放された筒型である。
【0040】
第2筒状成形層16も、両端が開放された筒型である。第2筒状成形層16の肉厚は、一端部16a が薄く他端部16b が厚くなる。これは、泥漿投入開始から石膏型がいっぱいになるまでに、タイムラグがあるからである。また、泥漿中の粉末分の沈降によってもその傾向は生じ易い。
【0041】
このようにして、2回目の鋳込み作業終了時には、多孔体である筒状のセラミックス体18を得ることができる。
【0042】
この方法においては、1回目の鋳込み作業終了時の成形体である第1筒状成形層14は、一端部14a と他端部14b との肉厚差が大きいままである。しかし、2回目の鋳込み作業終了時には、肉厚の厚い第1 筒状成形層の他端部14b に肉厚の薄い第2筒状成形層の一端部16a が対応して、第2筒状成形層16ができる。肉厚の薄い第1筒状成形層の一端部14a には肉厚の厚い第2筒状成形層の他端部16b が対応して、第2筒状成形層16ができる。また、1回目と2回目の肉厚を合計した分が筒状セラミックス体18の肉厚になる。したがって、最終的に、一端部18a と他端部18b との肉厚差が通常の鋳込み方に比べて小さい筒状セラミックス体18を成形することができる。
【0043】
必要であれば、さらに石膏型の一端と他端を反転させて、さらに鋳込み作業を行ってもよい。
【0044】
また、泥漿鋳込み成形を行う回数は、2回に限定されない。複数回の泥漿鋳込み成形を行うことができる。複数回の泥漿鋳込み成形において、任意の回数だけ型の一端と他端を反転させることもできる。そのようにして、最終的に、一端部と他端部との肉厚差が小さい筒状セラミックス体が得られれば、本発明の目的を達成できる。
【0045】
このようにして得られた多孔質の筒状セラミックス体がSiCの場合には、これにSi含浸を行うことができる。
【0046】
第1の実施例の詳細な製造条件
Si含浸SiC(反応焼結炭化珪素)製のライナーチューブを製造するのに必要な泥漿を表1に準じて秤量した。
【0047】
【表1】
Figure 0003594223
ポリポットにて10時間以上混合した後、泡を除去し、石膏型に投入する。
【0048】
実験例1
直径300mm×長さ1200mmのライナーチューブを得るために、図4に示す石膏型20を用意し、2回泥漿鋳込み成形を行った。石膏型20は、以下の寸法を持つ。
【0049】
石膏型の一端部20a の内径(製品の外形に相当):300mm
石膏型の他端部20b の内径(製品の外形に相当):301mm
全長:1250mm
1回目の成形:石膏型の一端部側の泥漿出入口24から泥漿を投入し、石膏型20と中子22の隙間を満たした。泥漿を投入し始めてから30分で、石膏型の他端部側の泥漿出入口26から排泥を行った。
【0050】
2回目の成形:石膏型20の一端と他端を反転させ、石膏型の他端部側の泥漿出入口26から泥漿を投入した。1回目の成形と同様に、石膏型20と中子22の隙間を泥漿で満たした。40分後、排泥を行った。
【0051】
2回目の成形が終わった後、成形体と石膏型20を24時間乾燥させた。その後、成形体を石膏型20から脱型し、多孔質のSiC製筒状セラミックス体を得た。
【0052】
このSiC製筒状セラミックス体について、溶融Siの含浸を行い、Si含浸SiC製ライナーチューブを製造した。その後、ライナーチューブの肉厚寸法を測定した。その結果、表2に示すように、ライナーチューブの一端部と他端部との肉厚差は0.2mmであった。
【0053】
【表2】
Figure 0003594223
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
【0054】
第2の実施例においては、第1の実施例と同様に図1に示す石膏型を用いることができる。
【0055】
まず、1回目の鋳込み作業を行う。石膏型12の他端12b 側の開放端を塞いで、石膏型の一端12a 側から例えば適宜粒度配合されたSiC(炭化珪素)等のセラミックス粉末を溶媒中に分散させた泥漿を投入する。任意の時間だけ保持した後、石膏型12から泥漿を排泥する。その結果、石膏型12の内面に、図5に示す多孔体の第1筒状成形層114 ができる。
【0056】
図5は、第2の実施例における石膏型12及びこの内表面に形成された第1筒状成形層の概略縦断面図である。第1筒状成形層114 は、両端が開放された筒型である。第1筒状成形層114 の肉厚は、一端部114aが薄く他端部114bが厚い。
【0057】
次に、2回目の鋳込み作業を行う。石膏型12からの脱型を行わずに、石膏型12の一端12a と他端12b を反転させる。下側に位置する石膏型の一端12a 側の開放端を塞いで、石膏型の他端12b 側から粗粒子の入った泥漿を投入する。任意の時間だけ保持した後、石膏型12から上記第1筒状成形層114の内側に対し、第1回 目の泥漿よりも粗い粒度(配合)のセラミックス粉末で作成した泥漿を排泥する。その結果、図6に示すように、第1筒状成形層114 の内面に多孔体の第2筒状成形層116 ができる。
【0058】
図6は、第2の実施例における石膏型12及び2回目の泥漿鋳込み成形終了後の成形体を示す概略縦断面図である。第2筒状成形層の肉厚は、一端部116aが薄く、他端部116bは厚い。この第2の実施例における第2筒状成形層116 は、粗い粒子の入った泥漿で成形しているため表面を粗くすることができる。
【0059】
この方法を用いることで、2回目の鋳込み作業終了時には、外表面はなめらかで内表面が粗い、多孔体である筒型の筒状セラミックス体118 を泥漿鋳込み成形によって得ることができる。
【0060】
このようにして得られた多孔質の筒状セラミックス体118 が、SiCの場合には、これにSi含浸を行うことができる。
【0061】
ここで、筒状セラミックス体118 は、たとえば半導体の熱処理に用いられるチューブとして利用することができる。チューブは、熱処理の際の半導体シリコンウェーハへの熱的影響を均一にするために、肉厚が一定であることが望ましい。このため、2回目の鋳込み作業の際には、石膏型12の一端12a と他端12b を反転させている。2回目の鋳込み作業の際に石膏型12の一端12a と他端12b を反転させると、第1の実施例と同様に一端部118aと他端部118bとの肉厚差が小さい筒状セラミックス体を得ることができる。しかし、第2の実施例において、肉厚の均一性をあまり重視せず、内外表面の表面粗さの調整を重視する場合においては、2回目の成形時において石膏型の一端と他端を反転させることは必須のことではない。第2の実施例においては、2回目の鋳込み作業で用いる泥漿が異なる配合であればよい。石膏型の一端と他端を反転させない場合は、一端が開放されていない型を用いることもできる。
【0062】
泥漿鋳込み成形を行う回数は、2回に限定されない。複数回の泥漿鋳込み成形を行うことができる。
【0063】
また、複数回の泥漿鋳込み成形において、泥漿鋳込み成形ごとに異なる配合の泥漿を用いることができる。この場合、複数の筒状成形層が組み合わされ、しかも、複数の筒状成形層の成分が互いに異なっている筒状セラミックス体を得ることができる。
【0064】
第2の実施例の詳細な製造条件
表3に示す材料をポリポットにて混合し、Si含浸SiC製のチューブを製造するのに必要な2種の泥漿を得た。
【0065】
【表3】
Figure 0003594223
実験例2
実験例2においては、実験例1と同様の石膏型を用いることができる。
【0066】
φ300×1200Lのチューブを得るために、図4に示す石膏型20を用意し、上記2種の泥漿を用いて2回泥漿鋳込み成形を行った。石膏型20は、以下の寸法を持つ。
【0067】
石膏型の一端部20a の内径(製品の外形に相当):300mm
石膏型の他端部20b の内径(製品の外形に相当):301mm
全長:1250mm
1回目の成形:石膏型の一端部側の泥漿出入口24から表3に示す配合Bの泥漿を投入して、石膏型20と中子22の隙間を満たした。配合Bの泥漿を投入し始めてから30分で、石膏型の他端部側の泥漿出入口26から排泥を行った。
【0068】
2回目の成形:石膏型20の一端と他端を反転させ、石膏型の他端部側の泥漿出入口26から配合Aの泥漿を投入する。1回目の成形と同様に、石膏型20と中子22の隙間を配合Bの泥漿で満たし15分後排泥を行った。
【0069】
2回目の成形が終わった後、成形体と石膏型20を24時間乾燥させた。その後、成形体を石膏型20から脱型し、多孔質のSiC製筒状セラミックス体を得た。
【0070】
この多孔質のSiC製筒状セラミックス体について、溶融Siの含浸を行い、Si含浸SiC製チューブを製造した。その後、チューブの内表面と外表面の表面粗さを測定した。その結果、内表面はRa=5〜7μm、外表面はRa=0.7〜1.3μmであった。
【0071】
また、表4に示すように、チューブの一端部と他端部との肉厚差は0.2mmであった。
【0072】
【表4】
Figure 0003594223
比較例1
実験例2で使用した石膏型と配合Aの泥漿を用いて、1回泥漿鋳込み成形を行った。
【0073】
1回目の成形:石膏型の一端部側の泥漿出入口24から配合Aの泥漿を投入し、石膏型20と中子22の隙間を満たした。配合Aの泥漿を投入し始めてから65分で、石膏型の他端部側の泥漿出入口26から排泥を行った。
【0074】
この1回目の成形が終わった後、成形体と石膏型を乾燥させた。その後、成形体を石膏型から脱型し、多孔質の筒状成形品を得た。
【0075】
この多孔質の筒状成形品について、Si含浸を行った。その後、筒状成形品の内表面と外表面の表面粗さを測定した。その結果、筒状成形品の内表面と外表面の表面粗さは、どちらも5〜7μmであった。
【0076】
また、表5に示すように、筒状成形品の一端部と他端部との肉厚差は、1.4mm以上となった。
【0077】
【表5】
Figure 0003594223
本発明は、以上の実施例に限定されるものではない。
【0078】
本発明の前述の実施例においては泥漿の材料にSiCを用いているが、他の材料を用いることもできる。たとえば、Alである。
【0079】
このAlを用いた泥漿は、次のようにして得ることができる。セラッミックス原料粉末として平均粒径1μmのAl200gに対し、バインダーとして2液混合タイプのウレタン樹脂の主剤87g、硬化剤113gをそれぞれ秤量し、硬化剤にAlを加えて攪拌混合する。次に、約1〜2torrに減圧した真空中型装置内に、上記主剤及びAlを分散させた硬化材を静置して予備脱泡する。その後、主剤とAlを分散させた硬化材とを同様に真空中型装置内で攪拌混合して、脱泡セラミックス原料粉末泥漿を得ることができる。
【0080】
このようなAlを用いた泥漿で前述の実施例における泥漿鋳込み成形を行っても、本発明の効果を奏することができる。
【0081】
また、泥漿鋳込み成形に用いる型は、石膏型に限定されない。泥漿鋳込み成形に用いる型は、吸水性の型ならどのようなものでもよい。
【0082】
本発明の実施例においては、筒状セラミックス体を型の内面に形成している。しかし、次のようにして石膏型の外面に筒状セラミックス体を形成することもできる。
【0083】
まず、両端が開放された筒状の石膏型を筒状容器の中に配置する。その際、石膏型の一端は筒状容器の上端側に位置させる。石膏型の他端は、筒状容器の底面に接するようにする。次に、石膏型の外面と筒状容器の間に泥漿を満たす。その後、一定時間保持して泥漿を排泥する。次に、石膏型の向きを反転させて、石膏型を円筒容器の中に配置する。その際、石膏型の前記他端は筒状容器の上端側に位置させる。石膏型の前記一端は、筒状容器の底面に接するようにする。さらに、石膏型と筒状容器の間に泥漿を満たす。その後、一定時間保持して泥漿を排泥する。このようにして、石膏型の外面に一端部と他端部との肉厚差が小さい筒状セラミックス体を成形することができる。石膏型の外面に、表面の特徴が異なる筒状セラミックス体を成形することができる。
【0084】
第2の実施例においては、2回目の泥漿鋳込み成形の際に粗い粒子の入った泥漿を用いている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、複数回の泥漿鋳込み成形において、泥漿鋳込み成形ごとに異なる配合の泥漿が用いられていればよい。したがって、内面が粗く外面が滑らかな筒状セラミックス体を得るだけでなく、内面が滑らかで外面が粗い筒状セラミックス体や内面が外面より少し粗い筒状セラミックス体等、適宜必要に応じた内面と外面を有する筒状セラミックス体を泥漿鋳込み成形によって容易に得ることができる。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、一端部と他端部との肉厚差が小さい筒状セラミックス体を、泥漿鋳込み成形によって容易に得ることができる。全体的に厚みがほぼ同一である筒状セラミックス体が、泥漿鋳込み成形によって容易に得ることができる。
【0086】
本発明によれば、一端部と他端部との肉厚差が小さく、内表面と外表面の特徴が異なる筒状セラミックス体を、泥漿鋳込み成形によって容易に得ることができる。しかも、全体的に厚みがほぼ同一であり、内表面と外表面の状態が異なる筒状セラミックス体を、泥漿鋳込み成形によって容易に得ることができる。
【0087】
本発明によれば、内表面と外表面の状態が異なる筒状セラミックス体を、泥漿鋳込み成形によって容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いる石膏型を示す概略縦断面図。
【図2】第1の実施例における石膏型及びこの内表面に形成された、1回目の泥漿鋳込み成形終了後の第1筒状成形層を示す概略縦断面図。
【図3】第1の実施例における石膏型及びこの内表面に形成された、2 回目の泥漿鋳込み成形終了後の成形体を示す概略縦断面図。
【図4】本発明の実験例で用いる石膏型を示す概略縦断面図。
【図5】第2の実施例における石膏型及びこの内表面に形成された、1回目の泥漿鋳込み成形終了後の第1筒状成形層を示す概略縦断面図。
【図6】第2の実施例における石膏型及びこの内表面に形成された、2回目の泥漿鋳込み成形終了後の成形体を示す概略縦断面図。
【符号の説明】
12 石膏型
12a 石膏型の一端
12b 石膏型の他端
14、114 第1筒状成形層
14a 、114a 第1筒状成形層の一端部
14b 、114b 第1筒状成形層の他端部
16、116 第2筒状成形層
16a 、116a 第2筒状成形層の一端部
16b 、116b 第2筒状成形層の他端部
18、118 筒状セラミックス体
20 石膏型
20a 石膏型の一端部
20b 石膏型の他端部
22 中子
24、26 泥漿出入口

Claims (2)

  1. 両端が開放された筒状セラミックス体の製造方法において、成形型に対し第1回の泥漿鋳込み成形を行った後、前記成形型の向きを反転させて第2回の泥漿鋳込み成形を行い、しかも、第1回の泥漿鋳込み成形で成形型の一端部側から泥漿を投入し、第2回の泥漿鋳込み成形で成形型の他端部側から泥漿を投入することを特徴とする筒状セラミックス体の製造方法。
  2. 第1回及び第2回の泥漿鋳込み成形を行うごとに、異なる粒度配合の泥漿を用いることを特徴とする請求項1に記載の筒状セラミックス体の製造方法。
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