JP3593810B2 - 半導電性ロール - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンタにおいて帯電ロール等として好適に用いられる半導電性ロールに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、電子写真方式の複写機やプリンタにおいては、帯電ロールや現像ロール等の半導電性ロールが、感光体ドラムに接して回転するように設けられており、それぞれのロールとしての機能を奏するようになっている。例えば、帯電ロールにあっては、それは、静電潜像の形成される感光体ドラムに対する帯電方式の一つであるロール帯電方式において用いられており、感光体ドラムの表面に、電圧印加した帯電ロールを押し当てて、接触せしめつつ、それら感光体ドラムと帯電ロールとが相互に回転するようにすることによって、感光体ドラム表面を帯電せしめるものであり、また、現像ロールは、その表面にトナー層を保持せしめて、静電潜像の形成された感光体ドラムに接触させて、相互に回転させることにより、静電潜像の現像を行なうようにしたものである。そして、それら帯電ロールや現像ロール等には、感光体ドラムに接して回転するものであるところから、低硬度乃至は柔軟性と共に、その帯電のために、適度な導電性を有していることが要求されているのである。
【0003】
一方、近年では、かかる複写機やプリンタにおいて、低速・低寿命から高速・高寿命化、更には高画質化や省エネルギー化の要求が高まり、例えば省エネルギー化においては、低消費電力とするために、低温定着方式が採用され、そのために、トナーの融点の低下が図られている。また、高画質化においては、トナーの粒径を小さくすることが行なわれている。
【0004】
しかしながら、そのような高画質化や省エネルギー化を図るためのトナーの融点低下や粒径の微細化の対策は、装置の中で必然的に熱を持つようになる前述した如き帯電ロールや現像ロール等の半導電性ロールに対して、トナーの付着が惹起され易い状況となっているのであり、そして、そのような半導電性ロールにトナーが付着し、固着したりすると、それによる画質劣化が問題となるのである。即ち、装置への通紙枚数の増大、換言すれば感光体ドラムにおける静電潜像の現像回数の増大に伴って、トナーの付着による帯電ロール等の半導電性ロールのロール全体としての抵抗が上昇するようになるのであり、またトナーの不均一付着による部分的な抵抗変化が惹起されるようになり、そして、それらに起因して、画質の劣化が生じるようになるのである。
【0005】
ところで、そのような画質劣化を防止するためには、単純に、トナーが帯電ロール等の半導電性ロールの表面に付着しないようにすればよい訳であるが、従来から採用されてきた、N−メトキシメチル化ナイロン等の親水性樹脂にて最外層が形成されてなるロールにあっては、高温・高湿下での抵抗の変動に加えて、そのようなトナーのロール表面への付着を有効に阻止し得ないものであったのである。また、そのようなナイロン樹脂に代えて、一般に離型性がよいと言われているフッ素樹脂を用いて、ロール最外層を形成した場合にあっても、トナーの付着は、ある程度は改善されるものの、未だトナーの離型性は不充分であって、通紙枚数の増大に伴ってトナーの付着が惹起され、半導電性ロールの長寿命化は、充分なものではなかったのである。
【0006】
【解決課題】
本発明は、このような事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、半導電性ロールにおいて、環境による抵抗値の変動を小さくすると共に、そのロール表面へのトナーの付着を防止して、それによる画質劣化の問題の解消を図り、以て製品耐久性の向上を図ることにある。
【0007】
【解決手段】
そして、本発明は、かかる技術的課題を解決するために、感光体ドラムに接して回転する半導電性ロールにおいて、その最外層を、フッ素変性アクリレート系樹脂を含む樹脂組成物を用いて形成したことを特徴とする半導電性ロールを、その要旨とするものである。
【0008】
また、本発明は、感光体ドラムに接して回転する半導電性ロールにおいて、その最外層を、フッ素変性アクリレート系樹脂と、フッ素化オレフィン系樹脂及び/又は非(フッ素変性)アクリレート系樹脂とを用いて形成したことを特徴とする半導電性ロールをも、その要旨とするものである。
【0009】
すなわち、このような本発明に従う半導電性ロールにあっては、その最外層を構成する成分であるフッ素変性アクリレート系樹脂のフッ素変性成分が、その疎水性の故に、抵抗の環境変動を小さく為し得ると共に、かかる最外層表面において、汚れの付着防止成分として機能し、以てトナーが付着するのを阻止するのであり、また、そのような特徴を有するフッ素変性アクリレート系樹脂に組み合わされる成分の一つたるフッ素化オレフィン系樹脂は、汚れの浸透防止成分として機能し、各種汚れの拭き取り性を改善して、トナーが最外層に付着しても除去され易くなるように為し、以てロール表面の清浄化に寄与するものであり、更に、かかるフッ素化オレフィン系樹脂と共に、或いはそれに代えて、組み合わされる非(フッ素変性)アクリレート系樹脂は、最外層の密着性成分として機能し、最外層の基材(ロール構成層)に対する密着性を向上せしめて、ロールの長寿命化に寄与するものである。
【0010】
なお、かかる本発明に従う半導電性ロールの好ましい態様によれば、軸体の外周面上に導電性の弾性体乃至は発泡体からなる柔軟性基層が設けられ、且つ該柔軟性基層の外周面上に抵抗調整層が設けられてなると共に、更に該抵抗調整層の外周面上に、最外層としての保護層が設けられてなるロール構造が採用され、また別の望ましい態様によれば、そのようなロール構造において、前記導電性の柔軟性基層と前記抵抗調整層との間に、所定の軟化剤移行防止層が設けられ、かかる導電性の柔軟性基層からのオイル等のブリードを抑制乃至は阻止するようになっている。
【0011】
さらに、本発明に従う半導電性ロールにあっては、有利には、その最外層が、106 〜1015Ω・cmの体積抵抗率を有しているように構成され、これによって半導電性ロール、特に帯電ロールとして効果的に機能せしめられるようになることとなるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
ところで、本発明に係る半導電性ロールである帯電ロールの代表的なロール構造の異なる例が、図1及び図2に、それぞれ、示されている。それらの図において、10は、金属製の導電性軸体(芯金)であり、該軸体10の外周面上に、導電性の弾性体乃至は発泡体からなる柔軟性基層12、軟化剤移行防止層14、及び抵抗調整層16が、所定厚さで順次積層形成されており、更に、該抵抗調整層16の外周面上には、最外層としての保護層18が所定厚さで積層形成されて、構成されている。そして、ここでは、図1における柔軟性基層12が導電性弾性体にて構成されており、また図2における柔軟性基層12が導電性発泡体にて構成されているのである。
【0013】
より具体的には、そのような柔軟性基層12は、公知の導電性弾性体材料若しくは導電性発泡体材料を用いて形成されており、以て半導電性ロールたる帯電ロールに本質的に要求される、例えば硬度が30°(Hs:JIS−A)程度にまで低く調整された低硬度乃至は柔軟性を実現している。なお、そのような導電性弾性体を与える弾性体材料としては、通常、従来から公知のEPDM、SBR、NR、ポリノルボルネンゴム等のゴム材料が用いられる。また、導電性発泡体を与える発泡体材料としては、ヘタリ等を防止して、半導電性ロールたる帯電ロールに求められる特性を満たすものであれば、その材質は特に限定されず、ゴム発泡体や樹脂発泡体を与える公知の各種発泡材料の何れもが用いられ得、例えばエピクロルヒドリンゴム、NBR、ウレタンゴム、水素添加NBR、EPDM等の材料が用いられ、そしてそれらが、アゾジカルボンアミド、4,4−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、NaHCO3 等の公知の発泡剤を用いて、発泡せしめられる。そして、そのような弾性体材料若しくは発泡体材料に、カーボンブラック、金属粉、第4級アンモニウム塩等の導電剤が配合されて、所定の体積抵抗率のものに調整され、また弾性体材料を用いる場合には、特に、プロセスオイルや液状ポリマー等の軟化剤が多量に配合されて、低硬度乃至は柔軟性が付与されることとなる。
【0014】
なお、かかる柔軟性基層12が、導電性弾性体材料にて構成される場合にあっては、その体積抵抗率は、一般に101 〜104 Ω・cm程度とされ、その厚みとしては1〜10mm、好ましくは2〜4mm程度とされる。また、導電性発泡体にて柔軟性基層12を構成した場合にあっては、その体積抵抗率は、103 〜106 Ω・cm程度とされ、そして、その厚みは2〜10mm程度、好適には3〜6mm程度とされることとなる。
【0015】
また、図1に示される如く、柔軟性基層12の上に形成される軟化剤移行防止層14は、従来と同様な材料を用いて形成され、例えばN−メトキシメチル化ナイロン等のナイロン系の材料に、カーボンブラックや金属粉等の導電剤が配合されて、その体積抵抗率が101 〜105 Ω・cm、望ましくは103 Ω・cm程度に調整された材料にて形成されることとなる。なお、そのような軟化剤移行防止層14の厚さは、通常、3〜20μm程度とされ、好適には4〜10μm程度とされることとなる。
【0016】
さらに、抵抗調整層16にあっても、それは、従来から用いられている材料にて形成されるものである。例えば、NBR、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム等に、第4級アンモニウム塩等の導電剤や帯電防止剤等が配合されて、体積抵抗率が108 〜1011Ω・cm程度(柔軟性基層12が導電性弾性体にて構成される場合)、又は105 〜109 Ω・cm程度(柔軟性基層12が導電性発泡体にて構成される場合)に調整された材料にて、50〜300μm程度の厚さにおいて形成されることとなる。そして、このような抵抗調整層16にて、半導電性ロールたる帯電ロールの電気抵抗を制御して、耐電圧性(耐リーク性)を高めることが出来るのである。
【0017】
ところで、図1や図2に示される半導電性ロールとしての帯電ロールにあっては、そのロールの最外層として、保護層18が、所定厚さにおいて設けられているのであるが、本発明にあっては、そのような保護層18を、ベース樹脂の必須の成分としてフッ素変性アクリレート系樹脂を用いて形成したところに、大きな特徴があり、そのような特定の樹脂材料の使用によって、トナーの付着による画質劣化の問題が、効果的に解消せしめられ得るのである。
【0018】
このような、本発明に従って保護層18を与えるフッ素変性アクリレート系樹脂は、特開平7−228820号公報にも明らかにされている如く、ポリマ側鎖として、炭素数が1〜20のパーフルオロアルキル基若しくは部分フッ素化アルキル基等のフッ素化有機基を、適当な有機連結基を介して若しくは介することなく、導入することによって、フッ素変性されたアクリレート系樹脂、換言すればアクリル系樹脂であって、例えばアクリル酸若しくはメタクリル酸の、パーフルオロアルキルエステル又は部分フッ素化アルキルエステル或いはそのようなフッ素化アルキル基を有機連結基で連結せしめた構造のエステル等からなるフッ素化(メタ)アクリレートと、それ以外の(メタ)アクリレート、換言すればフッ素変性されていない(メタ)アクリレートとを重合させて得られる重合体であり、そのような重合体には、また、必要に応じて、ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートの少量が共重合せしめられることとなる。このポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートの共重合によって、フッ素変性アクリレート系樹脂の防汚性を更に高めることが可能である。
【0019】
また、本発明にあっては、上記のフッ素変性アクリレート系樹脂に対して必要に応じて他の樹脂を組み合わせることが出来、特にフッ素化オレフィン系樹脂と非(フッ素変性)アクリレート系樹脂のうちの少なくとも何れか一つが、上記のフッ素変性アクリレート系樹脂と組み合わされ、その2成分樹脂組成物若しくは3成分樹脂組成物をベース樹脂として用いて、保護層18を形成することが、好適に採用されることとなる。けだし、フッ素化オレフィン系樹脂と組み合わせることにより、保護層18の表面にトナーが付着しても、その除去が容易に為され得る特性が付与され、また非(フッ素変性)アクリレート系樹脂との組合せによって、保護層18の抵抗調整層16に対する密着性が効果的に高められ得ることとなるからであり、更に、それら二つの樹脂成分を同時にフッ素変性アクリレート系樹脂に組み合わせれば、それぞれの成分に基づく機能を併せて発揮せしめることが出来、保護層18に、より有効な特性を付与せしめることが出来るのである。
【0020】
そして、このフッ素変性アクリレート系樹脂に組み合わされるフッ素化オレフィン系樹脂は、フッ素化オレフィンモノマ、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニルエーテル等を重合若しくは共重合して得られるものであるが、特に、ここでは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が、好適に用いられ得ることとなる。
【0021】
また、フッ素変性アクリレート系樹脂に組み合わされる他の成分たる非(フッ素変性)アクリレート系樹脂、即ちフッ素変性されていないアクリレート系樹脂は、フッ素変性されていないアクリレートを重合して得られるものであって、通常、アクリル系樹脂と称されるものである。具体的には、アクリル酸若しくはメタクリル酸のメチル、エチル、ブチル、オクチル、ドデシル等のアルキルエステル類;ヒドロキシエチル、ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキルエステル類;グリシジルエステル等の、通常のアクリレート系モノマの単独又は共重合体であり、好ましくはメチルメタクリレートの単独若しくはそれを主成分とする共重合体が、有利に用いられることとなる。
【0022】
なお、このようにフッ素変性アクリレート系樹脂に対して、フッ素化オレフィン系樹脂又は非(フッ素変性)アクリレート系樹脂を組み合わせる場合にあっては、フッ素化オレフィン系樹脂は、5〜95重量%、好ましくは20〜50重量%程度の含有割合となるように組み合わされ、また非(フッ素変性)アクリレート系樹脂は、30〜95重量%程度、好ましくは35〜65重量%程度の含有割合において組み合わされることとなる。更に、それら二つの樹脂成分が、共に、フッ素変性アクリレート系樹脂に組み合わされる場合にあっては、フッ素変性アクリレート系樹脂:0.5〜15重量%、フッ素化オレフィン系樹脂:15〜85重量%、非(フッ素変性)アクリレート系樹脂:10〜75重量%の割合において、それら三成分が組み合わされることとなる(但し、それら三成分の合計は、100重量%となる)。
【0023】
また、かかるフッ素変性アクリレート系樹脂等をベース樹脂として用いて形成される保護層18の厚さとしては、その用途に応じて適宜に決定されることとなるが、一般に1〜50μm、好ましくは3〜10μm程度の厚さにおいて形成されることとなる。更に、そのような保護層18には、ロールの帯電特性を充分に発揮させるべく、その体積抵抗率が106 〜1015Ω・cm程度に調整されていることが望ましい。そして、そのために、上記のフッ素変性アクリレート系樹脂等からなるベース樹脂には、必要に応じて公知の各種導電剤が配合され、充填されることとなる。具体的には、カーボンブラック、グラファイト、金属粉、導電性酸化チタンの如き導電性金属酸化物等の電子導電剤や、多価金属塩、第4級アンモニウム塩等のイオン導電剤が用いられる。
【0024】
ところで、それら図1や図2に示される半導電性ロール(帯電ロール)を作製するに際しては、上述した各形成材料を用いて、先ず、金型成形等の公知の成形手法によって、軸体10の外周面上に導電性弾性体若しくは導電性発泡体にて構成される柔軟性基層12を形成し、その後、該柔軟性基層12の外周面上に、ディッピング等の公知のコーティング手法により、軟化剤移行防止層14、抵抗調整層16、更には保護層18を、それぞれ、所定厚さにおいて順次積層形成するのであり、これによって、目的とする半導電性ロールが得られるのである。
【0025】
そして、このような構成を有する半導電性ロール(帯電ロール)にあっては、軸体10上に、柔軟性基層12、軟化剤移行防止層14、抵抗調整層16、保護層18が順次設けられた構成により、該柔軟性基層12にて低硬度乃至は柔軟性と良好な導電性とが付与されることとなり、また、軟化剤移行防止層14にて、柔軟性基層12からのオイル等の軟化剤のブリード現象が、より効果的に防止されることとなるのであり、更には抵抗調整層16にて、優れた耐電圧性(耐リーク性)を備えたものとなっているのである。しかも、保護層18が、フッ素変性アクリレート系樹脂をベース樹脂の一つとしているところから、かかるフッ素変性アクリレート系樹脂の有する汚れの付着防止機能にて、表面にトナーが付着して、固着するのを、効果的に阻止乃至は抑制せしめ得ることとなったのであり、またベース樹脂の他の一つの成分として、フッ素化オレフィン系樹脂を用いることによって、それの汚れ浸透防止機能にて、各種汚れの拭き取り性を改善し、以てトナーが表面に付着しても、それが除去され易くして、ロール表面の清浄化が有利に達成され得るのであり、更にはベース樹脂の他の一成分として、非(フッ素変性)アクリレート系樹脂を用いることによって、そのような保護層18の抵抗調整層16に対する密着性を有利に改善せしめて、ロールの耐久性を向上せしめ得るのである。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0027】
先ず、図1に示されるロール構成の半導電性ロールを得るべく、下記の配合に従って、導電性弾性体からなる柔軟性基層(12)形成材料、軟化剤移行防止層(14)形成材料、抵抗調整層(16)形成材料を、それぞれ、調製した。また、軟化剤移行防止層形成材料、抵抗調整層形成材料については、メチルエチルケトンに溶解して、それぞれ、所定粘度のコーティング液とした。
【0028】
柔軟性基層(12)形成材料の配合組成
ポリノルボルネンゴム 100重量部
ケッチェンブラック 50重量部
ナフテン系オイル 400重量部
【0029】
軟化剤移行防止層(14)形成材料の配合組成
N−メトキシメチル化ナイロン 100重量部
カーボンブラック 15重量部
【0030】
抵抗調整層(16)形成材料の配合組成
エピクロルヒドリンゴム 100重量部
第4級アンモニウム塩
(テトラメチルアンモニウムパークロレート) 1重量部
【0031】
そして、上記の各形成材料を用いて、先ず、金型成形により、芯金(直径:8mm)の外周面上に、3.5mm厚さの柔軟性基層12を形成した後、通常のディッピング手法により、厚さ:8μmの軟化剤移行防止層14を形成し、更に厚さ:100μmの抵抗調整層16を形成して、供試ロールを作製した。
【0032】
次いで、フッ素変性アクリレート系樹脂(A成分)、フッ素化オレフィン系樹脂(B成分)、及び非(フッ素変性)アクリレート系樹脂(C成分)を、下記表1に示される割合において、種々組み合わせ、更に必要に応じて、導電性酸化チタンの100重量部を配合せしめた後、メチルエチルケトンに溶解して、保護層(18)形成用の各種コーティング液を調製した。なお、ここでは、フッ素変性アクリレート系樹脂(A成分)としては、アクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルとメチルメタクリレートとを主成分とする共重合体を用い、またフッ素化オレフィン系樹脂(B成分)としては、フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン共重合体を用い、更に非(フッ素変性)アクリレート系樹脂(C成分)としては、ポリメチルメタクリレートを用いた。
【0033】
また、比較例として、上記のフッ素化オレフィン系樹脂及び非(フッ素変性)アクリレート系樹脂の単独使用の場合及び併用の場合、更に従来のベース樹脂たるN−メトキシメチル化ナイロンを用いた場合についても、同様に、メチルエチルケトンに溶解して、保護層形成用のコーティング液を調製した。なお、この比較例において、ベース樹脂としてN−メトキシメチル化ナイロンを用いた場合にあっては、充填剤としてカーボンブラックと金属酸化物の組合せを使用した。
【0034】
そして、このようにして得られた各々のコーティング液を用いて、前記供試ロールの外周面上に、換言すれば抵抗調整層16の外表面上に、それぞれ、下記の表1、表2に示される如き厚さの保護層18を形成し、目的とする半導電性ロールを得た。
【0035】
かくして得られた各種半導電性ロールについて、その保護層のみの電気抵抗、更にはロールとしての電気抵抗を、それぞれ、測定した。なお、ロールの電気抵抗は、ロール表面に形成した1cm2 電極と芯金間の電気抵抗で示されている。また、トナー付着性については、それぞれの半導電性ロールを帯電ロールとして用い、市販のレーザービーム・プリンタ〔レーザージェット4プラス:ヒューレット・パッカード社製〕に取り付け、23℃×53%RHの環境下で、所定の画像を、それぞれ、1000枚、連続的にプリントアウトした後、各帯電ロール上に付着しているトナーをテープ(3M社製、スコッチ・メンディングテープ)にて除去し、そして、そのテープに転写された付着トナーの濃度を、X−RITE社製の反射濃度計を用いて、測定した。なお、この反射濃度計を用いた測定においては、その測定の数値が大なる程、トナー付着濃度が高いことを示している。更に、上述の如く、市販のレーザービームプリンタに帯電ロールとして適用した場合における、15℃×10%RH環境下での1000枚プリントアウト(通紙)後、及び5000枚プリントアウト(通紙)後の耐久画像特性について調べ、その画像が良好なものを○、画像が不良であって、実用に供し難いものを×として、評価した。そして、それらの結果を、下記表1、表2に併せて示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
かかる表1、表2の結果より明らかなように、本発明に従う実施例1〜11の半導電性ロール(帯電ロール)にあっては、トナーの付着量が少なく、それ故に耐久画像特性においても優れていることが認められる。これに対して、表2に示される比較例1〜3の如く、保護層のベース樹脂としてフッ素変性アクリレート系樹脂を用いず、単にフッ素化オレフィン系樹脂及び/又は非(フッ素変性)アクリレート系樹脂を用いただけの場合にあっては、ロール表面におけるトナー付着量が多く、また耐久画像特性においても、プリントアウトの枚数が増加するにつれて、実用に供し難くなるのであり、更に従来のN−メトキシメチル化ナイロンにて保護層を形成した場合(比較例4)にあっても、トナーの付着量が著しく多く、耐久画像特性に劣るものとなることが認められる。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従う半導電性ロールにあっては、その感光体ドラムに接する最外層が、フッ素変性アクリレート系樹脂をベース樹脂の一成分として用いて形成されているところから、かかるフッ素変性アクリレート系樹脂の優れた汚れ付着防止機能を発揮せしめることによって、ロール表面におけるトナーの付着(固着)が効果的に防止乃至は抑制され得、以て画質劣化を効果的に阻止せしめ得て、製品耐久性の向上(換言すればロールの長寿命化)を有利に達成し得たのであり、また、そのようなフッ素変性アクリレート系樹脂に対するフッ素化オレフィン系樹脂の更なる配合によって、かかるフッ素化オレフィン系樹脂の汚れ浸透防止機能を巧みに利用してロール表面の清浄化の容易性を高めて、トナーの付着防止に効果的に寄与せしめ得ることとなったのであり、更には非(フッ素変性)アクリレート系樹脂の配合によって、かかる最外層の密着性を高めて、その耐久性の向上にも寄与せしめ得たのであり、そこに、本発明の大きな技術的意義が存するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う半導電性ロールである帯電ロールの一例を示す横断面説明図である。
【図2】本発明に従う半導電性ロールである帯電ロールの異なる例を示す横断面説明図である。
【符号の説明】
10 軸体
12 柔軟性基層
14 軟化剤移行防止層
16 抵抗調整層
18 保護層
Claims (5)
- 感光体ドラムに接して回転する半導電性ロールにおいて、その最外層を、フッ素変性アクリレート系樹脂と、フッ素化オレフィン系樹脂と、ポリメチルメタクリレートとの樹脂組成物を用いて、形成したことを特徴とする半導電性ロール。
- 前記半導電性ロールが、軸体の外周面上に導電性の弾性体乃至は発泡体からなる柔軟性基層が設けられ、且つ該柔軟性基層の外周面上に抵抗調整層が設けられてなると共に、更に該抵抗調整層の外周面上に、前記最外層としての保護層が設けられてなるロール構造を有していることを特徴とする請求項1記載の半導電性ロール。
- 前記柔軟性基層と前記抵抗調整層との間に、軟化剤移行防止層が設けられている請求項2記載の半導電性ロール。
- 前記最外層が、106 〜1015Ω・cmの体積抵抗率を有している請求項1乃至請求項3の何れかに記載の半導電性ロール。
- 前記樹脂組成物が、フッ素変性アクリレート系樹脂:0.5〜15重量%、フッ素化オレフィン系樹脂:15〜85重量%、ポリメチルメタクリレート:10〜75重量%の割合において、それら3成分の合計量が100重量%となるように配合せしめられたものである請求項1乃至請求項4の何れかに記載の半導電性ロール。
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JP (1) | JP3593810B2 (ja) |
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1996
- 1996-09-10 JP JP23957096A patent/JP3593810B2/ja not_active Expired - Lifetime
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