JP3592856B2 - 回転軸の支持軸受装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種ターボ機械の可変翼の支持軸等、片持ち状態にて軸受に支持される回転軸の支持軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種ターボ機械は、その運転条件により最適な運転点が異なることから、運転条件によって翼の角度を調整することにより、上記最適な運転点で運転ができるようになっている。
【0003】
図17にはかかる可変翼を備えたターボ機械の軸の支持軸受部の従来の1例が示されている。
【0004】
図17において、1は支持軸20を有する可変の翼、2は上記支持軸20を支承する軸受、3は可変翼駆動用のアーム、4は同アーム3の固定用ナット、5は上記軸受が固定されるケーシング、6,7はシールである。上記アーム3の一方の端は、上記ナット4により上記翼1の支持軸20に回転を阻止されて固定され、他方の端は、図示しないアクチュエータ,モータ等の駆動装置にリンクを介して連結されている。上記シール6および7は、ケーシング5の内部のガスの外部への漏洩を阻止するものである。
【0005】
上記従来のターボ機械において、アクチュエータ,モータ等の駆動装置によりアーム3が駆動されると、軸受2により支持された翼1の角度が変更され、この翼角はターボ機械の最適運転点となるように調節される。
【0006】
尚、上記軸受装置においては、翼1の支持軸20の外周,および軸受2の内周には固体潤滑剤のコーティングを付すことにより、支持軸20と軸受2との摩擦摩耗の低減をはかっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図17に示される従来のターボ機械における支持軸受装置において、上記機械の運転中は、翼1に対して流体の流れ方向に流体力,差圧力等が作用する。このため、翼1を支持軸20を介して支持する軸受2は、片持ちの状態となる。その結果、翼1の支持軸20の外周と軸受2の内周との間に図18のZ部に示されるような片当たりが発生し、特に軸受2の荷重作用側の縁の部分では点接触状態となり、これによって同部に大きな接触面圧が作用する恐れがある。このため上記従来の支持軸受装置にあっては、かかる大きな面圧の発生により、軸受端部での固体潤滑膜の剥離までの寿命が短くなって、軸受部の焼付きや過大摩耗の発生をみることとなり、これによって、機器の寿命が低下し信頼性が低下する。
【0008】
本発明の目的は、片持ち状態にて回転軸を支持する回転軸の支持軸受装置において、軸とこれを支持する軸受との接触部における片当りによる応力集中の発生を阻止して、軸受部の焼付きや過大摩耗の発生を防止し、長寿命で信頼性の高い支持軸受装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決するものでその要旨とする手段は、基部に軸受荷重の作用部である翼等の部材が取付けられた支持軸の軸端部を軸受にて片持ち状に支持してなる軸の支持軸受装置において、上記軸受を、上記支持軸の軸方向に複数個に分割してなる環状の軸受スリーブに構成し、同軸受スリーブのうち、少なくとも上記基部に近接した軸受スリーブの外周と、軸受を支持するケーシングの内周との間に、軸受支持部材を介装し、上記軸受スリーブを上記軸受支持部材を介して上記ケーシングに支承するように構成されたことを特徴とする回転軸の支持軸受装置にある。
【0010】
また、上記手段を具体化した第1の手段は、上記軸受支持部材をこれと上記軸受スリーブとの間の支持面積が、上記軸受スリーブの軸受投影面積よりも小さくなるような梁状体にて構成したことにある。
【0011】
また、第2の具体的手段は、上記軸受支持部材が、コイルばね、板ばね等のばねにより構成されてなることにある。
【0012】
第3の具体的手段は、上記軸受支持部材が、上記軸受スリーブよりも弾性率(E)の小さい材料からなることにある。
【0013】
さらに第4の具体的手段は、上記軸受支持部材とケーシングとの当接面を、上記軸受支持部材が上記支持軸の傾斜に応動して、上記ケーシングに対し摺動可能な球状面、円柱面等の曲面状に形成されてなることにある。
【0014】
かかる手段によれば、図15に示すように、軸受面上に偶力Mが作用するとき、軸受の傾斜θ=M/(E.I)(Eは軸受支持部材の弾性率,Iは断面2次モーメント)となり、上記Iは軸受支持部材の幅hの3乗に比例して小さくなることから、上記傾斜角θは幅hの3乗に反比例して大きくなるとともに、弾性率Eに反比例して大きくなる。
【0015】
従って、軸受を支持軸の撓み変形に追従容易なように軸方向に分割された環状軸受スリーブに構成した上で、上記第1,第2の具体的手段のように軸受スリーブとケーシングとの間に軟剛性の軸受支持部材を介装して軸受の支持部を変形容易とし、また上記第3の具体的手段のように軸受支持部材として弾性率が小さく変形し易い材料を用い、あるいは第4の具体的手段のように軸受支持部材とケーシングとの当接面を曲面状として軸受スリーブが軸の撓みに追従し易くする、等の手段することにより、軸受端部の上記軸基部近傍における片当りに起因する応力集中が緩和される。
【0016】
これにより軸受面及び支持軸の摩耗が低減されるとともに焼付きの発生も防止される。
【0017】
また軸受支持部材の挿設部に形成される隙間内に冷却空気を通流することが可能となるので、この冷却空気により軸受を冷却して軸受温度を低下し、耐久性を向上することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図1〜図16を参照して本発明の実施形態につき詳細に説明する。
【0019】
図1〜図2には本発明の実施の第1形態に係るターボ機械の可変翼軸の支持軸受装置が示され、図1はその軸心線に沿う断面図、図2は図1のA−A線断面図である。
【0020】
図1〜図2において、1は翼,20はこの翼1が一体に固着される支持軸,3は可変翼駆動用のアーム,4は同アーム3の固定用ナット,7はシール,8は軸受ケーシングである。9は反荷重側軸受スリーブ,10は荷重側軸受スリーブ,11は荷重側軸受支持部材の梁である。翼1と支持軸20と上記のように一体となっており、翼1の反対側の支持軸20端部には上記可変翼駆動用アーム3が固定用ナット4で締め付けられている。また上記翼1と可変翼駆動用アーム3との間には軸受ケーシング8があり、同ケーシングの内側に上記反荷重側軸受スリーブ9と荷重側軸受スリーブ10とが嵌め込まれ支持軸20を支えている。
【0021】
上記軸受スリーブ9,10は、支持軸20に摺接してこれを支持する環状の軸受スリーブを同支持軸20の長手方向に複数個に分割し(この実施形態では軸受スリーブ8,9の2個に分割)、支持軸20の撓みに沿って軸受スリーブ自体も変位可能としたものであり、翼1側のスリーブ即ち荷重側スリーブ10の方が翼1側加わる荷重が大きいので、このスリーブ10を支持軸20の変形(撓み)に追従し得るようにしている。
【0022】
そして上記荷重側軸受スリーブ10の外周と軸受ケーシング8の内周との間の荷重作用方向に、図2に示されるように、一定幅Sの四角片状の梁状の軸受支持部材11を介装している。上記軸受支持部材11は、上記軸受スリーブ9,10と同一材料が用いられ、これに当接される荷重側軸受スリーブ10よりも軟剛性とするため、その長さ及び幅を小さくして、軸受スリーブ10に対する支持面積を軸受スリーブ10の軸受投影面積よりも小さくしている。
【0023】
図3〜図4には本発明の実施の第2形態が示されている。この実施形態においては、上記第1形態と同形状の軸受支持部材11を荷重側軸受スリーブ10の軸方向に2個列設している。
【0024】
尚、上記軸受支持部材11は3個以上列設してもよい。
図5〜図6には本発明の実施の第3形態が、図7〜図8には第4形態が、図9〜図10には第5形態が夫々示されている。この実施形態においては、荷重側軸受スリーブ10の外周と軸受ケーシング8の内周との間にコイル状ばね13を介装している。
【0025】
図5〜図6に示す第3形態においては、上記コイルばね13を1個設け、図7〜図8に示す第4形態では上記コイル状ばね13を軸方向に2個(3個以上でもよい)直列に設け、また図9〜図10に示す第5形態では上記コイル状ばね13を円周方向に3個(2個以上であればよい)並設している。
【0026】
上記第1〜第5形態において、翼1に流体力や差圧力が作用すると、翼端の支持軸20の翼1寄りの側が主として変形するが、この支持軸20の弾性変形に伴ない荷重側の軸受支持部材11及びコイルばね13が変形し、荷重側軸受スリーブ10が軸1に追従して変位する。その結果、軸受端つまり、支持軸20の翼1側付け根部で生じていた応力集中が緩和され、軸受スリーブ10の端部と支持軸20との片当りの発生も回避される。
これにより、支持軸20及び軸受スリーブ10の摩耗が低減し、また両者の焼付きの発生も未然に防止される。
【0027】
尚、上記コイル状ばねに代えて、板ばねを用いてもよい。
また、上記実施形態のように構成すれば、軸受スリーブ10の外周と軸受ケーシング8の内周との間に軸受支持部材11やコイル状ばね13を挿入するための隙間14が形成されるので、この隙間14内に冷却空気を通流させることにより、軸受スリーブ10や軸受支持部材11及びコイル状ばねの冷却を行うことができる。
これにより、ガスタービン等において、軸受部の温度の上昇を抑制することにより、耐熱性を若干抑えた安価な材料を使用することができる。
【0028】
さらに上記軸受支持部材11及びコイル状ばね13は、上記実施形態のように荷重作用方向のみならず、荷重が加わらない部位に設けてもよい。
【0029】
図11〜図12には本発明の実施の第6形態に係るターボ機械の軸の支持軸受装置が示されている。
この実施形態においては、上記荷重側軸受スリーブ10の外周と軸受ケーシング8の内周との間に、低弾性率の材料からなる軸受支持部材16を介装している。上記低弾性率の材料としては、ゴム,樹脂,アルミニウム合金,アルミニウム合金をマトリックスとした複合材,銅合金,銅合金をマトリックスとした複合材,鋳鉄,高Ni−Fe系耐熱合金等があり、ターボ機械の温度条件によって使用材料を選択すればよい。
【0030】
また、この実施形態においても、軸受支持部材16を設けることによって形成される隙間14内に冷却空気を通流せしめて軸受部を冷却することができる。
【0031】
尚、上記低弾性率の材料からなる軸受支持部材16は、荷重作用方向のみならず、他の部位に、複数個設けることもできる。
【0032】
図13〜図14には本発明の実施の第7形態が示されている。
この実施形態においては、荷重側軸受スリーブ10と軸受ケーシング8との間に設けられる軸受支持部材17の外周と上記ケーシング8の内周との当接面18を球状面あるいは、軸方向に彎曲した円形状面に形成している。
【0033】
この実施形態における荷重の作用状況を図16に示す。
図16において、上記軸受支持部材17の球面状の当接面18の曲率半径をrとすると、
r<(h/2)×√μ2 /√(1+μ2 )
のとき、上記軸受支持部材17及び軸受スリーブ10は、同支持部材17とケーシング8との間の球状の当接面18にてスライドすることができる。
(ここで、hは球面状当接面18の軸方向の長さ、μは摩擦係数である)
従って、この実施形態においては上記当接面18においてスライドするので、上記軸受スリーブ10及び軸受支持部材17が支持軸20の変形に滑らかに追従して変位することができる。
【0034】
かかる実施形態の作用を、図15を参照してさらに詳しく説明すると、図15は上記第1形態における軸受支持部材11と軸受スリーブ10との間の支持状態を示し、図において、Mは軸受面上に作用する偶力、θは軸受スリーブ10の傾斜、Eは軸受支持部材11の弾性率、Iは断面2次モーメント、lは厚さ、hは幅である。
ここで傾斜角θ=M/E.Iであり、また断面2次モーメントIは幅hの3乗に比例して小さくなるので、上記θはhの3乗に反比例して大きくなる。
また、傾斜角θは弾性率Eに反比例して大きくなる。
【0035】
従って、上記第1〜第5形態のように、軸受スリーブ10の支持部を変形し易い構造とする、第6形態のように軸受支持部材11を弾性率Eの小さい材料で構成する、第7形態のように軸受の支持部を曲面状に形成して軸受スリーブ10が支持軸20の撓みに追従し易くする等の手段を用いることにより、軸受スリーブ10の端部での応力集中が緩和され、摩耗が減少し、また焼付きの発生が回避される。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されており、本発明によれば、軸受を支持軸の弾性変形に追従可能なように、軸受のケーシングへの支持部を弾性変形可能な構造あるいは、弾性率の低い変形容易な材料を用いて支持する構造としたことにより、軸受端部での接触応力の集中が緩和され、支持軸および軸受面の摩耗が低減されるとともに焼付きの発生が回避され、長期間低摩擦の状態が維持できる。その結果、長寿命で摩擦損失の少ない回転機械を提供することができ、機器の高効率化と耐久性の向上を実現することができる。
【0037】
また、軸受背部の冷却を行うことができ、これによって従来高温に適用できなかった材料を適用することができ、特に軸受材料の選択の幅が広がることにより、機器の高信頼性化,軽量化をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係るターボ機械の可変翼軸の支持軸受装置の軸心線に沿う断面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】本発明の実施の第2形態を示す図1応当図。
【図4】図3のB−B線断面図。
【図5】本発明の実施の第3形態を示す図1応当図。
【図6】図5のC−C線断面図。
【図7】本発明の実施の第4形態を示す図1応当図。
【図8】図7のD−D線断面図。
【図9】本発明の実施の第5形態を示す図1応当図。
【図10】図9のE−E線断面図。
【図11】本発明の実施の第6形態を示す図1応当図。
【図12】図11のF−F線断面図。
【図13】本発明の実施の第7形態を示す図1応当図。
【図14】図13のG−G断面図。
【図15】上記各実施形態における作用説明図。
【図16】上記第7形態における作用説明図。
【図17】従来例を示す図1応当図。
【図18】従来例の作用説明図。
【符号の説明】
1 翼
8 軸受ケーシング
9 反荷重側軸受スリーブ
10 荷重側軸受スリーブ
11,16,17 軸受支持部材
13 コイル状ばね
14 隙間
18 当接面
20 支持軸
【発明の属する技術分野】
本発明は各種ターボ機械の可変翼の支持軸等、片持ち状態にて軸受に支持される回転軸の支持軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種ターボ機械は、その運転条件により最適な運転点が異なることから、運転条件によって翼の角度を調整することにより、上記最適な運転点で運転ができるようになっている。
【0003】
図17にはかかる可変翼を備えたターボ機械の軸の支持軸受部の従来の1例が示されている。
【0004】
図17において、1は支持軸20を有する可変の翼、2は上記支持軸20を支承する軸受、3は可変翼駆動用のアーム、4は同アーム3の固定用ナット、5は上記軸受が固定されるケーシング、6,7はシールである。上記アーム3の一方の端は、上記ナット4により上記翼1の支持軸20に回転を阻止されて固定され、他方の端は、図示しないアクチュエータ,モータ等の駆動装置にリンクを介して連結されている。上記シール6および7は、ケーシング5の内部のガスの外部への漏洩を阻止するものである。
【0005】
上記従来のターボ機械において、アクチュエータ,モータ等の駆動装置によりアーム3が駆動されると、軸受2により支持された翼1の角度が変更され、この翼角はターボ機械の最適運転点となるように調節される。
【0006】
尚、上記軸受装置においては、翼1の支持軸20の外周,および軸受2の内周には固体潤滑剤のコーティングを付すことにより、支持軸20と軸受2との摩擦摩耗の低減をはかっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図17に示される従来のターボ機械における支持軸受装置において、上記機械の運転中は、翼1に対して流体の流れ方向に流体力,差圧力等が作用する。このため、翼1を支持軸20を介して支持する軸受2は、片持ちの状態となる。その結果、翼1の支持軸20の外周と軸受2の内周との間に図18のZ部に示されるような片当たりが発生し、特に軸受2の荷重作用側の縁の部分では点接触状態となり、これによって同部に大きな接触面圧が作用する恐れがある。このため上記従来の支持軸受装置にあっては、かかる大きな面圧の発生により、軸受端部での固体潤滑膜の剥離までの寿命が短くなって、軸受部の焼付きや過大摩耗の発生をみることとなり、これによって、機器の寿命が低下し信頼性が低下する。
【0008】
本発明の目的は、片持ち状態にて回転軸を支持する回転軸の支持軸受装置において、軸とこれを支持する軸受との接触部における片当りによる応力集中の発生を阻止して、軸受部の焼付きや過大摩耗の発生を防止し、長寿命で信頼性の高い支持軸受装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決するものでその要旨とする手段は、基部に軸受荷重の作用部である翼等の部材が取付けられた支持軸の軸端部を軸受にて片持ち状に支持してなる軸の支持軸受装置において、上記軸受を、上記支持軸の軸方向に複数個に分割してなる環状の軸受スリーブに構成し、同軸受スリーブのうち、少なくとも上記基部に近接した軸受スリーブの外周と、軸受を支持するケーシングの内周との間に、軸受支持部材を介装し、上記軸受スリーブを上記軸受支持部材を介して上記ケーシングに支承するように構成されたことを特徴とする回転軸の支持軸受装置にある。
【0010】
また、上記手段を具体化した第1の手段は、上記軸受支持部材をこれと上記軸受スリーブとの間の支持面積が、上記軸受スリーブの軸受投影面積よりも小さくなるような梁状体にて構成したことにある。
【0011】
また、第2の具体的手段は、上記軸受支持部材が、コイルばね、板ばね等のばねにより構成されてなることにある。
【0012】
第3の具体的手段は、上記軸受支持部材が、上記軸受スリーブよりも弾性率(E)の小さい材料からなることにある。
【0013】
さらに第4の具体的手段は、上記軸受支持部材とケーシングとの当接面を、上記軸受支持部材が上記支持軸の傾斜に応動して、上記ケーシングに対し摺動可能な球状面、円柱面等の曲面状に形成されてなることにある。
【0014】
かかる手段によれば、図15に示すように、軸受面上に偶力Mが作用するとき、軸受の傾斜θ=M/(E.I)(Eは軸受支持部材の弾性率,Iは断面2次モーメント)となり、上記Iは軸受支持部材の幅hの3乗に比例して小さくなることから、上記傾斜角θは幅hの3乗に反比例して大きくなるとともに、弾性率Eに反比例して大きくなる。
【0015】
従って、軸受を支持軸の撓み変形に追従容易なように軸方向に分割された環状軸受スリーブに構成した上で、上記第1,第2の具体的手段のように軸受スリーブとケーシングとの間に軟剛性の軸受支持部材を介装して軸受の支持部を変形容易とし、また上記第3の具体的手段のように軸受支持部材として弾性率が小さく変形し易い材料を用い、あるいは第4の具体的手段のように軸受支持部材とケーシングとの当接面を曲面状として軸受スリーブが軸の撓みに追従し易くする、等の手段することにより、軸受端部の上記軸基部近傍における片当りに起因する応力集中が緩和される。
【0016】
これにより軸受面及び支持軸の摩耗が低減されるとともに焼付きの発生も防止される。
【0017】
また軸受支持部材の挿設部に形成される隙間内に冷却空気を通流することが可能となるので、この冷却空気により軸受を冷却して軸受温度を低下し、耐久性を向上することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図1〜図16を参照して本発明の実施形態につき詳細に説明する。
【0019】
図1〜図2には本発明の実施の第1形態に係るターボ機械の可変翼軸の支持軸受装置が示され、図1はその軸心線に沿う断面図、図2は図1のA−A線断面図である。
【0020】
図1〜図2において、1は翼,20はこの翼1が一体に固着される支持軸,3は可変翼駆動用のアーム,4は同アーム3の固定用ナット,7はシール,8は軸受ケーシングである。9は反荷重側軸受スリーブ,10は荷重側軸受スリーブ,11は荷重側軸受支持部材の梁である。翼1と支持軸20と上記のように一体となっており、翼1の反対側の支持軸20端部には上記可変翼駆動用アーム3が固定用ナット4で締め付けられている。また上記翼1と可変翼駆動用アーム3との間には軸受ケーシング8があり、同ケーシングの内側に上記反荷重側軸受スリーブ9と荷重側軸受スリーブ10とが嵌め込まれ支持軸20を支えている。
【0021】
上記軸受スリーブ9,10は、支持軸20に摺接してこれを支持する環状の軸受スリーブを同支持軸20の長手方向に複数個に分割し(この実施形態では軸受スリーブ8,9の2個に分割)、支持軸20の撓みに沿って軸受スリーブ自体も変位可能としたものであり、翼1側のスリーブ即ち荷重側スリーブ10の方が翼1側加わる荷重が大きいので、このスリーブ10を支持軸20の変形(撓み)に追従し得るようにしている。
【0022】
そして上記荷重側軸受スリーブ10の外周と軸受ケーシング8の内周との間の荷重作用方向に、図2に示されるように、一定幅Sの四角片状の梁状の軸受支持部材11を介装している。上記軸受支持部材11は、上記軸受スリーブ9,10と同一材料が用いられ、これに当接される荷重側軸受スリーブ10よりも軟剛性とするため、その長さ及び幅を小さくして、軸受スリーブ10に対する支持面積を軸受スリーブ10の軸受投影面積よりも小さくしている。
【0023】
図3〜図4には本発明の実施の第2形態が示されている。この実施形態においては、上記第1形態と同形状の軸受支持部材11を荷重側軸受スリーブ10の軸方向に2個列設している。
【0024】
尚、上記軸受支持部材11は3個以上列設してもよい。
図5〜図6には本発明の実施の第3形態が、図7〜図8には第4形態が、図9〜図10には第5形態が夫々示されている。この実施形態においては、荷重側軸受スリーブ10の外周と軸受ケーシング8の内周との間にコイル状ばね13を介装している。
【0025】
図5〜図6に示す第3形態においては、上記コイルばね13を1個設け、図7〜図8に示す第4形態では上記コイル状ばね13を軸方向に2個(3個以上でもよい)直列に設け、また図9〜図10に示す第5形態では上記コイル状ばね13を円周方向に3個(2個以上であればよい)並設している。
【0026】
上記第1〜第5形態において、翼1に流体力や差圧力が作用すると、翼端の支持軸20の翼1寄りの側が主として変形するが、この支持軸20の弾性変形に伴ない荷重側の軸受支持部材11及びコイルばね13が変形し、荷重側軸受スリーブ10が軸1に追従して変位する。その結果、軸受端つまり、支持軸20の翼1側付け根部で生じていた応力集中が緩和され、軸受スリーブ10の端部と支持軸20との片当りの発生も回避される。
これにより、支持軸20及び軸受スリーブ10の摩耗が低減し、また両者の焼付きの発生も未然に防止される。
【0027】
尚、上記コイル状ばねに代えて、板ばねを用いてもよい。
また、上記実施形態のように構成すれば、軸受スリーブ10の外周と軸受ケーシング8の内周との間に軸受支持部材11やコイル状ばね13を挿入するための隙間14が形成されるので、この隙間14内に冷却空気を通流させることにより、軸受スリーブ10や軸受支持部材11及びコイル状ばねの冷却を行うことができる。
これにより、ガスタービン等において、軸受部の温度の上昇を抑制することにより、耐熱性を若干抑えた安価な材料を使用することができる。
【0028】
さらに上記軸受支持部材11及びコイル状ばね13は、上記実施形態のように荷重作用方向のみならず、荷重が加わらない部位に設けてもよい。
【0029】
図11〜図12には本発明の実施の第6形態に係るターボ機械の軸の支持軸受装置が示されている。
この実施形態においては、上記荷重側軸受スリーブ10の外周と軸受ケーシング8の内周との間に、低弾性率の材料からなる軸受支持部材16を介装している。上記低弾性率の材料としては、ゴム,樹脂,アルミニウム合金,アルミニウム合金をマトリックスとした複合材,銅合金,銅合金をマトリックスとした複合材,鋳鉄,高Ni−Fe系耐熱合金等があり、ターボ機械の温度条件によって使用材料を選択すればよい。
【0030】
また、この実施形態においても、軸受支持部材16を設けることによって形成される隙間14内に冷却空気を通流せしめて軸受部を冷却することができる。
【0031】
尚、上記低弾性率の材料からなる軸受支持部材16は、荷重作用方向のみならず、他の部位に、複数個設けることもできる。
【0032】
図13〜図14には本発明の実施の第7形態が示されている。
この実施形態においては、荷重側軸受スリーブ10と軸受ケーシング8との間に設けられる軸受支持部材17の外周と上記ケーシング8の内周との当接面18を球状面あるいは、軸方向に彎曲した円形状面に形成している。
【0033】
この実施形態における荷重の作用状況を図16に示す。
図16において、上記軸受支持部材17の球面状の当接面18の曲率半径をrとすると、
r<(h/2)×√μ2 /√(1+μ2 )
のとき、上記軸受支持部材17及び軸受スリーブ10は、同支持部材17とケーシング8との間の球状の当接面18にてスライドすることができる。
(ここで、hは球面状当接面18の軸方向の長さ、μは摩擦係数である)
従って、この実施形態においては上記当接面18においてスライドするので、上記軸受スリーブ10及び軸受支持部材17が支持軸20の変形に滑らかに追従して変位することができる。
【0034】
かかる実施形態の作用を、図15を参照してさらに詳しく説明すると、図15は上記第1形態における軸受支持部材11と軸受スリーブ10との間の支持状態を示し、図において、Mは軸受面上に作用する偶力、θは軸受スリーブ10の傾斜、Eは軸受支持部材11の弾性率、Iは断面2次モーメント、lは厚さ、hは幅である。
ここで傾斜角θ=M/E.Iであり、また断面2次モーメントIは幅hの3乗に比例して小さくなるので、上記θはhの3乗に反比例して大きくなる。
また、傾斜角θは弾性率Eに反比例して大きくなる。
【0035】
従って、上記第1〜第5形態のように、軸受スリーブ10の支持部を変形し易い構造とする、第6形態のように軸受支持部材11を弾性率Eの小さい材料で構成する、第7形態のように軸受の支持部を曲面状に形成して軸受スリーブ10が支持軸20の撓みに追従し易くする等の手段を用いることにより、軸受スリーブ10の端部での応力集中が緩和され、摩耗が減少し、また焼付きの発生が回避される。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されており、本発明によれば、軸受を支持軸の弾性変形に追従可能なように、軸受のケーシングへの支持部を弾性変形可能な構造あるいは、弾性率の低い変形容易な材料を用いて支持する構造としたことにより、軸受端部での接触応力の集中が緩和され、支持軸および軸受面の摩耗が低減されるとともに焼付きの発生が回避され、長期間低摩擦の状態が維持できる。その結果、長寿命で摩擦損失の少ない回転機械を提供することができ、機器の高効率化と耐久性の向上を実現することができる。
【0037】
また、軸受背部の冷却を行うことができ、これによって従来高温に適用できなかった材料を適用することができ、特に軸受材料の選択の幅が広がることにより、機器の高信頼性化,軽量化をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係るターボ機械の可変翼軸の支持軸受装置の軸心線に沿う断面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】本発明の実施の第2形態を示す図1応当図。
【図4】図3のB−B線断面図。
【図5】本発明の実施の第3形態を示す図1応当図。
【図6】図5のC−C線断面図。
【図7】本発明の実施の第4形態を示す図1応当図。
【図8】図7のD−D線断面図。
【図9】本発明の実施の第5形態を示す図1応当図。
【図10】図9のE−E線断面図。
【図11】本発明の実施の第6形態を示す図1応当図。
【図12】図11のF−F線断面図。
【図13】本発明の実施の第7形態を示す図1応当図。
【図14】図13のG−G断面図。
【図15】上記各実施形態における作用説明図。
【図16】上記第7形態における作用説明図。
【図17】従来例を示す図1応当図。
【図18】従来例の作用説明図。
【符号の説明】
1 翼
8 軸受ケーシング
9 反荷重側軸受スリーブ
10 荷重側軸受スリーブ
11,16,17 軸受支持部材
13 コイル状ばね
14 隙間
18 当接面
20 支持軸
Claims (5)
- 基部に軸受荷重の作用部である翼等の部材が取付けられた支持軸の軸端部を軸受にて片持ち状に支持してなる回転軸の支持軸受装置において、上記軸受を、上記支持軸の軸方向に複数個に分割してなる環状の軸受スリーブに構成し、同軸受スリーブのうち、少なくとも上記基部に近接した軸受スリーブの外周と、軸受を支持するケーシングの内周との間に、軸受支持部材を介装し、上記軸受スリーブを上記軸受支持部材を介して上記ケーシングに支承するように構成されたことを特徴とする回転軸の支持軸受装置。
- 上記軸受支持部材は、これと上記軸受スリーブとの間の支持面積が、上記軸受スリーブの軸受投影面積よりも小さくなるような梁状体にて構成されてなる請求項1に記載の回転軸の支持軸受装置。
- 上記軸受支持部材が、コイルばね、板ばね等のばねにより構成されてなる請求項1に記載の回転軸の支持軸受装置。
- 上記軸受支持部材が、上記軸受スリーブよりも弾性率(E)の小さい材料からなる請求項1又は2の何れかに記載の回転軸の支持軸受装置。
- 上記軸受支持部材とケーシングとの当接面を、上記軸受支持部材が上記支持軸の傾斜に応動して、上記ケーシングに対し摺動可能な球状面,円柱面等の曲面状に形成されてなる請求項1又は2又は4の何れかに記載の回転軸の支持軸受装置。
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-
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- 1996-10-16 JP JP27341896A patent/JP3592856B2/ja not_active Expired - Fee Related
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