JP3592517B2 - しいたけ菌床の培養・栽培方法 - Google Patents

しいたけ菌床の培養・栽培方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、培養容器から取り出されたしいたけの菌糸塊を、さらに培養し、または栽培するしいたけ菌床の培養・栽培方法及びそれに用いる培養・栽培用散水装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
しいたけ菌床の培養における散水効果については既に本発明に先立ち、特開昭59−173020号で、栽培における散水効果は特開平6−7032号で提案した。
【0003】
すなわち、培養では、▲1▼容器等から取り出された菌糸塊(菌糸が蔓延した状態の培地を意味する。以下同じ)を閉鎖空間内に入れて、その空間内の湿度を飽和もしくは飽和近傍まで高めた状態で培養して菌糸塊の表面に新たな菌糸層を形成させ、ついで、▲2▼開放空間においてこの菌糸塊に対して散水を施すと、▲1▼の工程により菌糸塊の傷が治癒されると共に、▲2▼の散水により、しいたけ菌糸塊の表面が洗浄され害菌の付着が防止される様になり、更に菌糸塊の表皮が褐色化し、木質化して菌糸の活性が高く、害菌抵抗性が増加した榾木化が達成される。
【0004】
また、栽培ではこの榾木化された菌床を、栽培ハウスに並べ、ハウス内を昼間は20℃前後の温度に、夜間は昼間よりも10〜15℃低い温度に設定すると共にしいたけ菌床が乾燥しない程度に断続的に上記菌床に対して散水することにより、安定してしいたけを発茸させ、収穫することができた。
【0005】
これらしいたけ菌床の培養・栽培を大規模、集約的に工業レベルで行う場合、一定面積で生産性を上げるには特開平1−285125号で提案したきのこの培養・栽培用コンテナ、パレットや実開平2−90948号で提案した茸栽培用棚などを用いて、しいたけ菌床を多段に積み重ね、培養・栽培を行う必要がある。
【0006】
例えば、培養では図10に示す、上面開放型で底面および側面に多数の通気孔25を有したコンテナ3にしいたけ菌糸塊1を入れ、図11の様に、パレット26上に枠体27を用いて、上記菌糸塊を入れたコンテナ3を多段に積み重ね、その上から散水ノズルを用いて散水を行ったり、栽培では図12に示す栽培棚15に図13の様に榾木化されたしいたけ菌床14を多段に並べ、その上から散水することにより集約的に栽培を行っている。
【0007】
これらの場合、上下左右に並べられたしいたけ菌床に均一に散水を行うことは難しく製品としての品質(重量や木質化・樹皮化のでき具合など)にバラツキを生じるだけでなく、いたずらに洗浄効果のみを求めて水圧を高めるとしいたけ菌糸塊や菌床の表皮を損傷したり、更に栽培では子実体の雨子の発生を促進することとなる。
【0008】
従って、これまでは散水を微細化し、少量の水を長時間かけることで、しいたけ菌床の表皮を傷つけることなく均一散水することを目指して来た。
【0009】
しかしながら、これらの散水手法では、図1に示す様にしいたけ菌糸塊1の上に落ちた水滴は、少量であるが故に菌糸塊表面の一部を伝わって流れ易い方向を選んで流れ、継続する散水に対しても蛇行した水路2を同じ様に伝わっているにすぎず、榾木全面を均一に洗浄することができなかった。
【0010】
従って、しいたけ菌床を長期間培養する中でこれらの現象により、製品間の重量バラツキや大きな品質のバラツキを生じていることが判明した。
【0011】
この現象は最上段のしいたけ菌糸塊よりも下部にあるものの方がより一層影響され、上から菌糸塊天面に落下する水滴もある一部分に集中していた。
【0012】
更に実際には菌糸塊1は前述の通気孔を有したコンテナ3などにより支持されて多段に積載されるため、蛇行した水路2の流れは限定される。
【0013】
また、これらの状態は栽培棚に並べられたしいたけ菌床の場合も全く同様であり、これが原因でしいたけ発茸にもバラツキを生じていることが判った。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な事情に鑑みなされたもので、しいたけ菌床の培養・栽培に於て、多段に並べられた菌床の表面をまんべんなく充分に洗浄し、しかも菌床の表面の損傷や子実体の損傷を防止して雨子の発生を抑えるしいたけ菌床の培養・栽培方法及び培養・栽培用の散水装置を提供することをその目的とする。
【0015】
【発明を解決するための手段】
上記目的は、培養容器内で培養されたのち、容器から取り出された容器培養菌糸塊に対して散水を施すに際し、散水条件を、ノズル穴径φ0.2〜1.5mm,ノズルからの水圧0〜1.0kgf/cm2,散水量30〜120l/m2・分,該菌糸塊に対する打力0.1〜0.5g/cm2 ,菌糸塊の被散水時間を培養時40分以内、子実体発生時5分以内とすることを特徴とするしいたけ菌床の培養・栽培方法,及び、散水を、移動速度が0.2〜2.0m/分の移動式散水装置を用いて行う該しいたけ菌床の培養・栽培方法によって達成される。
【0016】
尚、本発明でいう散水量及び打力とは散水ノズルの噴出口より、重力方向へ50cm離れた位置での計測結果を示す。(以下同じ)
【0017】
【作用】
上記手法で、多段に並べられたしいたけ菌床(菌糸塊)を散水すると上下の別なく菌床表面を全て洗浄することができ、しかも打力が0.1〜0.5g/cmであるため、菌床表面の損傷は全く無く、長期間の培養・栽培でも、菌床(菌糸塊)の散水によるバラツキを最小限に抑えることができる。
【0018】
また、洗浄効果の向上により散水時間を極端に短縮することができるため、従来と同等以上の効果を水を節約して達成することが可能となる。更に栽培では散水時間の短縮により、子実体の雨子の発生が抑えられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例に基づいて詳しく説明する。
【0020】
【実施例】
図2(A)は本発明に用いる散水ノズルの一実施例で、散水ノズル4には、多数の穴5が設けられており、家庭用の浴室シャワーと同様に広角に散水することができる。
【0021】
図2(B)はこの散水ノズルの培養での使用例で菌糸塊1は通気孔を有したコンテナ3に並べられ多段に積載されており、その上部にある散水ノズル4より散水が行なわれている。
【0022】
この時、水圧は0〜1.0kgf/cmに抑えられており、散水ノズルからの噴出圧で、水筋は広がるもののすぐに自然落下に近似した状態になり、しいたけ菌糸塊の表面が損傷することは無い。
【0023】
図3は、前述の散水ノズル4を栽培ハウス6に応用したもので、ハウス中央にレール7があり、ハンガー部分8には散水ノズル4が取り付けられている。このハンガー部分8はレール7末端にある駆動部9により、ワイヤー10を利用して移動することができる。散水は水タンク11のポンプ12から、ホース13を通して供給され散水される。しいたけ菌床14は栽培棚15に多段に並べられている。
【0024】
散水は前述の様に大容量の水をソフトに集中させてまくため、菌床への散水は極めて短時間で菌床の洗浄、水分の補給が均一に行なわれるため、1日の中で子実体が散水で濡れている時間が極端に短く子実体の内部へ水が浸透することが少なくなり、残りの時間(散水をしていない時間)で子実体を充分に乾かすことが出来、雨子(水に濡れた状態の子実体)の発生を防止できる。
【0025】
また、短時間集中型の散水のため、従来の様に多数の散水ノズルを固定して設置する必要は無く、図3の様な移動式散水装置にすれば、散水ノズル数を減少させることが出来、しかも少数の同じ散水ノズルが移動散水するため、散水ノズル間のバラツキによる散水バラツキが軽減され、均一な品質が維持できる。
【0026】
移動式散水装置は従来花卉園芸や野菜等の植物のハウス栽培で農薬の散布や灌水に用いられ、自走式灌水装置やモノレール散布装置と呼ばれているが、一般的に植物は平面状に並べられており、上記目的のため細霧散布を原則とし、ベット、ベンチ或いは鉢物の中の土壌中に徐々に浸透したり、花葉表面に噴霧する形態をとり、受け皿で保持して浸透させることを前提としているため、必ずしも均一噴霧とは言い難い。
【0027】
従って、これら装置を単純にしいたけ菌床に用いることはできず、多段に積載されたしいたけ菌床の表面を短時間に完全に洗浄し、しかも、菌床表面に見られるビロード状のしいたけ菌膜を押し潰したり、損傷を与えることなく、散水するためには、前述の散水条件の実現を可能とする散水ノズルを備え、水の大量移送と高湿度中での連続運転を可能とする移動式散水装置が必要となる。
【0028】
また、移動式散水装置は、移動速度が重要であり、前述の散水条件で大容量のソフトな散水を行っても、高速で移動すると例えば1.5〜6.0mの高さに及ぶ栽培棚やコンテナ・パレット積層品を、上から下まで均一に洗い流すことが出来ず、散水が不充分で通り過ぎる結果となり、上部の菌床の散水、洗浄は充分でも下部は不充分で、上から垂れる水を不均一に受けることとなり、図1と同じ現象を生じ、均一な品質は得られない。従って、多段に並べられたしいたけ菌床を散水するには、0.2m/分〜2.0m/分の低速度で移動散水を行うことが肝要である。
【0029】
図4は、散水口からの噴出圧(水圧)を0kgf/cmに近づけるために、散水ノズル配管を2重管構造にした例である。
内側の管16は送水管で内部は水で満たされており、外側の管17への給水のための孔18が設けられており、水圧がかかっている。外側の管17には散水のための孔19が設けられており、給水孔18よりも散水孔19の方が多く設けられている。つまり穴孔面積の和が多くなる様に設定されている。
また、外側の管17には通気管20が設けられており、外気と外側の管内部が連通している。この様な装置を用いると、(A)に示す様に内側の管16には水が満たされ、内圧(水圧)がかかっているが、外側の管17内部のドーナツ状の部分21には圧力はかからず、水自身の重量でのみ落下するため、限りなく0kgf/cmに近い水圧のソフトな散水をしいたけ菌床にかけることができる。
【0030】
図5は上述の散水ノズルをしいたけの培養に応用した例で、図3と同様に、移動散水装置としたものである。しいたけ菌糸塊1はコンテナ3に並べられており、このコンテナを積載しパレット22を形成させ、これを2段重ねとして並べたものであり、上部からは前述の散水ノズルを用いて散水が行われている。また水移送のホース13はハンガー8を挟んでレール7の両側に伸びており、この様な散水装置を用いると大容量の水をしいたけ菌糸塊に損傷を与えることなく、ソフトに洗浄することができる。
【0031】
また、水量については穴径と穴数によって調整可能であるが、散水量30〜120l/m・分の水を0〜1.0kgf/cmで噴出するためには穴径はφ0.2〜1.5mmが適当であり、これより細かく(穴数を多く)しても散水ノズルの加工が面倒になるだけで、しいたけ菌床の洗浄効果が高まることはなく、逆にノズルの目詰まりが多くなる。またこれより大きく(穴数を少なく)すると低圧で水を均一に広げることが難しくなり噴霧幅が狭くなる傾向が見られると共に、水量も多くなり省資源の点で無駄水が多くなる。これは図2の散水ノズルの場合も同様である。
【0032】
図6は、図4の散水ノズルを2本並列に配置したものであり、図7は水槽23に一定の水を溜める構造になっており、フロート24を用いて水量を調整する。フロートの高さにより、微水圧の設定が可能で、フロートの変わりに、レベルセンサーを用いて給水の入切を制御しても良い。
次に実際の効果についてしいたけ菌床の培養・栽培での試験結果をもとに説明する。
【0033】
本発明の培養,栽培に用いられる、培養容器内で培養されたのち、容器から取り出された容器培養菌糸塊とは、例えば以下の様にして製造することができる。
【0034】
培養容器としては、ポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロン,ポリエステル,アルミ,ガラスなどの単品或いは組合せによる袋,瓶,ボトル等からなる一般的な培養容器である。
【0035】
培地成分としては、木片,オガ粉,米糠,ふすま,おから,栄養剤,等が挙げられ、これにしいたけ菌を接種して培養する。
【0036】
容器から取り出す時期は、菌糸の蔓延が完了した直後でも、菌糸蔓延完了後、培養容器内で更に培養し、菌糸塊表面に、凹凸や褐変化が見られる時期まで、追培養を行った場合でも良い。
【0037】
但し、菌糸塊は菌糸同士の絡み合いや分泌物で保形されてはいるものの、崩れやすく、また、子実体の発生には菌糸塊表層が子実体原基の形成など重要な役割を果たしているため、菌糸塊表面の散水は、これまで述べてきた様に、単なる洗浄だけでなく、菌糸塊表面に損傷を与えてはならない。
【0038】
また、しいたけ菌糸塊や、菌床の培養環境や栽培環境の温度・湿度,光等の諸条件に、適正値とすることが好ましいのと同様に、散水、散水温度についても、適正な条件とすることが好ましい。
【0039】
例えば、培養温度を15〜28℃,栽培温度を5〜25℃に制御している場合は、散水温度もそれに準じていることが望ましい。但し、自然条件を利用している場合には、必ずしも最適温度に環境が整っているとは限らず、夏期の高温や冬期の低温など、むしろ不適な条件の下におかれる時期もあり、散水は、高温すぎるといわゆる「蒸れ」をおこし、低温すぎると冷害,凍結等をより助長するため、散水温度は5〜28℃の範囲で用いることが望ましい。
【0040】
更に、散水に用いる水の水質は、子実体が食用に供されることを考慮し、飲用水に準じることが望ましく、例えば、有機質をあまり含まず、細菌の増殖が少ない方が好ましい。
【0041】
散水を施す培養条件として、雰囲気の炭酸ガス濃度は、5,000ppm以下にし、菌糸塊に充分な酸素が供給されることが好ましい。栽培条件としては、更に、1,500ppm以下が好ましい。これらの濃度がこの範囲であれば、培養が促進され、発茸したしいたけの奇形化率も少ない。このような濃度環境を維持するためには、散水する室内へ、適宜、換気扇等を用いて、空気の流入を図れば良い。
【0042】
また、同様に、光条件についても、散水を施す培養条件としては、1,000ルクス以下が好ましい。光条件がこの範囲であると、菌糸塊表面温度が適正に保ちく、また蒸れが防止でき、藻類の発生も最小限に抑えることができる。栽培条件としては、散水量が低く管理できることから、5,000ルクス以下で良いが、50〜500ルクスでも充分である。しいたけの形状を良くし、しかも光線による昇温を防止できる点で、この範囲で散水することが好ましい。
【0043】
散水する環境湿度は、50〜100%RHであり、ことに90%以上維持する時間が長く、装置にも、防水,防湿処置することが好ましい。
【0044】
また、これらの散水方法は、しいたけ菌糸塊や菌床の例でこれまで述べてきたが、菌床だけでなく、原木や短木,ベッド,バルク等の培養・栽培形態にも利用でき、きのこの種類も、まんねんたけ,ひらたけ,まいたけ,マッシュルーム,ならたけ,アガリカス,はたけしめじ,くりたけ,等、他のきのこ類においても利用可能である。
【0045】
【表1】
Figure 0003592517
【0046】
表1はしいたけ菌床の培養工程での試験例で、培養容器内で培養されたのち、容器から取り出された容器培養菌糸塊を、飽和湿度中で5日間培養し、その後、表中の条件で15日間散水したものである。しいたけ菌糸塊はコンテナ中に12本(3×4)入れ、コンテナ20個を井桁上に組んでパレットを形成し、図5に示す様にパレットを2段重ねし、菌糸塊480本を多段に並べたものを試験区とした。
【0047】
散水ノズル仕様は、実施例1、比較例1〜3は固定式、実施例2,3、比較例4は移動式とした。
【0048】
表中の散水条件の内、散水量は図9(A)の様に、散水ノズルの噴出口より、重力方向へ50cm離れた位置での散水容量とし1mあたりに換算して示した。
【0049】
また打力は同じく50cm離れた位置で図9(B)の様に15cm×15cmの上皿にかかる重量を測定し、1cmあたりに換算した。
【0050】
散水の分布パターンは50cm位置に図9(C)に示す仕切り容器を置き、散水の分布を均等、山形(中心部分の散水量が多い)、環状等にパターン分けを行った。
【0051】
また、散水時間については移動式の場合、散水ノズルからの噴出時間(移動式装置の稼動時間)と、実際にしいたけ菌糸塊に散水があたっている時間が異なるため、後者を被散水時間として表中に記した。
【0052】
尚、菌糸塊の重量の測定はパレット1/4列の120本で行い、菌糸塊の損傷及び害菌付着の状態は全数を評価した。結果を表1に示す。
【0053】
実施例に示す、穴径0.2〜φ1.5mm、水圧0〜1.0kgf/cm、散水量30〜120l/m・分、打力0.1〜0.5g/cmの条件を満たす散水は、比較例に比べて使用水量を減少させたにもかかわらず、しいたけ菌糸塊の損傷や害菌の付着は全くなく、菌糸塊の重量バラツキも少なかった。(標準偏差値が小さい。)尚、実施例で水圧が低い場合でも打力が発生するのは大量の水を散水するため水自体の自重を含めて測定するためである。
【0054】
比較例1では従来の微細・長時間散水の例を示したが、しいたけ菌糸塊の損傷はないものの図1で説明した水路が見られ、水のかかりが少ない部分は洗浄効果が期待されず、菌糸塊表面に害菌が付着した。
また、散水のかかり具合に由来する菌糸塊の重量バラツキが多く重いものと軽いものが混在する形となった。
【0055】
比較例2〜4は、水圧、散水量、打力を異にするもので、比較例2は実施例1と同じ散水ノズルを用いて水圧を上げ、散水量、打力を大きくしたものである。
【0056】
また、比較例3は全円スプレーノズル、比較例4は平吹スプレーノズルで比較例1と使用水量が同じになる様に1日あたりの被散水時間を調整してある。
【0057】
結果から判る様に、比較例2〜4は、主に最上段のしいたけ菌糸塊が、散水(スプレー)圧による損傷を受け、細菌・カビ汚染を甚しく受け、下段の菌糸塊に影響を与えると共に菌糸塊が散水による損傷部位や細菌・カビによる汚染部位より、通常考えられる以上の吸水をし、菌糸塊が重くなりバラツキを生じていることが判る。
【0058】
更に表中には記載していないが、実施例1〜3は、培養容器から取り出された時、菌糸塊表面が白色であったものが、散水により全て均一に褐色化して硬い被膜が形成されていた。これに対し、比較例1は、散水した水の菌床表面の流れに沿って褐色化している部分と、白色のままの部分が存在し、まだらになっていた。また、散水がかかりにくく、カビや細菌にスポット的に汚染されている部位は、正常な褐色化では無く、腐った黒い汁が流れて、黒い筋が見られるものも散見され、外見的にも品質の異常やバラツキが認められた。
【0059】
【表2】
Figure 0003592517
【0060】
表2は表1と全く同じ散水ノズル仕様・条件を用いて栽培での状態を評価したものである。図3の栽培ハウスの中で図12に示す様な栽培棚に子実体の発生が最盛期を迎えたしいたけ菌床を100本並べ表2の条件で夕方散水を行い、翌朝子実体の状態を比較した。結果は表から判る様に実施例4〜6の場合、表中の条件でソフトに大量の散水を短時間で(従来法比較例5の40分の1)かけるため、しいたけ子実体の雨子の発生は無く、子実体の損傷も全く無くて商品価値を高めることができた。
【0061】
比較例5は従来法であるが、微細・長時間散水であるため、子実体の損傷はないものの子実体に散水が徐々に内部まで浸透してゆき、翌朝一部に雨子が残った。
【0062】
比較例6〜8は散水(スプレー)圧が高く、直接散水があたる部分に位置する子実体は激しい損傷を受け商品とならなかった。
【0063】
以上の様に、散水を行う場合、散水の打力が自然落下の自重を大きく越えると菌床(菌糸塊)の表面や子実体を損傷することが判る。
【0064】
【発明の効果】
これまで述べてきた様に、本発明によれば、しいたけ菌床(菌糸塊)を培養・栽培する過程で散水を行う場合、穴径φ0.2〜1.5mmの散水ノズルより、水圧0〜1.0kgf/cm2の低圧力で噴出させ、散水ノズルの噴出口より重力方向へ50cm離れた位置での散水量30〜120l/m2・分の大容量の水を打力0.1〜0.5g/cm2のソフトな力で、菌糸塊の被散水時間を培養時40分以内、子実体発生時5分以内の短時間で与えると、しいたけ菌床(菌糸塊)や子実体の損傷は全く無く、細菌やカビなどの害菌の繁殖することがない様に洗浄でき、しかも、専用のコンテナやパレット、栽培棚などを用いた多段・高密度の培養・栽培においても、菌床(菌糸塊)の重量バラツキをはじめとする製品品質のバラツキを最小限に抑え、高品質、高収量のしいたけ菌床を得ることができる。
【0065】
また、上記散水に移動式装置を用いて、これまでにない新規な前述の散水方法と0.2〜2.0m/分という低速度移動散水を組合せることにより、より散水を均一にし省コスト、省水資源でしいたけ菌床(菌糸塊)の培養・栽培を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来方法の説明図
【図2】本発明の一実施例を示す説明図
【図3】本発明の一実施例を示す説明図
【図4】本発明の一実施例を示す説明図
【図5】本発明の一実施例を示す説明図
【図6】本発明の一実施例を示す説明図
【図7】本発明の一実施例を示す説明図
【図8】比較例を示す図
【図9】本発明の測定方法を示す図
【図10】従来方法の説明図
【図11】従来方法の説明図
【図12】従来方法の説明図
【図13】従来方法の説明図
【符号の説明】
1 しいたけ菌糸塊
2 蛇行した水路
3 通気孔を有したコンテナ
4 散水ノズル
5 穴
6 栽培ハウス
7 レール
8 ハンガー
9 駆動部
10 ワイヤー
11 水タンク
12 ポンプ
13 ホース
14 しいたけ菌床
15 栽培棚
16 2重管構造の散水ノズル配管の内側の管
17 2重管構造の散水ノズル配管の外側の管
18 給水孔
19 散水孔
20 通気管
21 外側の管と内側の管に挟まれた空間(断面はドーナツ状)
22 パレット
23 水槽
24 フロート
25 通気孔
26 パレット
27 枠体

Claims (2)

  1. 培養容器内で培養されたのち、容器から取り出された容器培養菌糸塊に対して散水を施すに際し、散水条件を、ノズル穴径φ0.2〜1.5mm,ノズルからの水圧0〜1.0kgf/cm2,散水量30〜120l/m2・分,該菌糸塊に対する打力0.1〜0.5g/cm2 ,菌糸塊の被散水時間を培養時40分以内、子実体発生時5分以内とすることを特徴とするしいたけ菌床の培養・栽培方法。
  2. 容器培養菌糸塊に対する散水を、多段に並べた菌糸塊に対して、移動速度が0.2〜2.0m/分の移動式散水装置を用いて行うことを特徴とする請求項1記載のしいたけ菌床の培養・栽培方法。
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