JPH11266698A - しいたけ菌床の培養・栽培方法 - Google Patents

しいたけ菌床の培養・栽培方法

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JPH11266698A
JPH11266698A JP10092365A JP9236598A JPH11266698A JP H11266698 A JPH11266698 A JP H11266698A JP 10092365 A JP10092365 A JP 10092365A JP 9236598 A JP9236598 A JP 9236598A JP H11266698 A JPH11266698 A JP H11266698A
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water
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cultivating
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Abstract

(57)【要約】 【課題】しいたけ菌床の培養・栽培に於て、多段に並べ
られた菌床の表面をまんべんなく充分に洗浄し、しかも
菌床の表面の損傷や子実体の損傷を防止して雨子の発生
を抑えるしいたけ菌床の培養・栽培方法を提供するこ
と。 【解決手段】培養容器内で培養されたのち、容器から取
り出された容器培養菌糸塊に対して散水を施すに際し、
散水条件を、ノズル穴径φ0.2〜1.5mm,ノズル
からの水圧0〜1.0kgf/cm2 ,散水量30〜1
20l/m2 ・分,該菌糸塊に対する打力0.1〜0.
5g/cm2 とすることを特徴とするしいたけ菌床の培
養・栽培方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、培養容器から取り
出されたしいたけの菌糸塊を、さらに培養し、または栽
培するしいたけ菌床の培養・栽培方法及びそれに用いる
培養・栽培用散水装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】しいたけ菌床の培養における散水効果に
ついては既に本発明に先立ち、特開昭59−17302
0号で、栽培における散水効果は特開平6−7032号
で提案した。
【0003】すなわち、培養では、容器等から取り出
された菌糸塊(菌糸が蔓延した状態の培地を意味する。
以下同じ)を閉鎖空間内に入れて、その空間内の湿度を
飽和もしくは飽和近傍まで高めた状態で培養して菌糸塊
の表面に新たな菌糸層を形成させ、ついで、開放空間
においてこの菌糸塊に対して散水を施すと、の工程に
より菌糸塊の傷が治癒されると共に、の散水により、
しいたけ菌糸塊の表面が洗浄され害菌の付着が防止され
る様になり、更に菌糸塊の表皮が褐色化し、木質化して
菌糸の活性が高く、害菌抵抗性が増加した榾木化が達成
される。
【0004】また、栽培ではこの榾木化された菌床を、
栽培ハウスに並べ、ハウス内を昼間は20℃前後の温度
に、夜間は昼間よりも10〜15℃低い温度に設定する
と共にしいたけ菌床が乾燥しない程度に断続的に上記菌
床に対して散水することにより、安定してしいたけを発
茸させ、収穫することができた。
【0005】これらしいたけ菌床の培養・栽培を大規
模、集約的に工業レベルで行う場合、一定面積で生産性
を上げるには特開平1−285125号で提案したきの
この培養・栽培用コンテナ、パレットや実開平2−90
948号で提案した茸栽培用棚などを用いて、しいたけ
菌床を多段に積み重ね、培養・栽培を行う必要がある。
【0006】例えば、培養では図10に示す、上面開放
型で底面および側面に多数の通気孔25を有したコンテ
ナ3にしいたけ菌糸塊1を入れ、図11の様に、パレッ
ト26上に枠体27を用いて、上記菌糸塊を入れたコン
テナ3を多段に積み重ね、その上から散水ノズルを用い
て散水を行ったり、栽培では図12に示す栽培棚15に
図13の様に榾木化されたしいたけ菌床14を多段に並
べ、その上から散水することにより集約的に栽培を行っ
ている。
【0007】これらの場合、上下左右に並べられたしい
たけ菌床に均一に散水を行うことは難しく製品としての
品質(重量や木質化・樹皮化のでき具合など)にバラツ
キを生じるだけでなく、いたずらに洗浄効果のみを求め
て水圧を高めるとしいたけ菌糸塊や菌床の表皮を損傷し
たり、更に栽培では子実体の雨子の発生を促進すること
となる。
【0008】従って、これまでは散水を微細化し、少量
の水を長時間かけることで、しいたけ菌床の表皮を傷つ
けることなく均一散水することを目指して来た。
【0009】しかしながら、これらの散水手法では、図
1に示す様にしいたけ菌糸塊1の上に落ちた水滴は、少
量であるが故に菌糸塊表面の一部を伝わって流れ易い方
向を選んで流れ、継続する散水に対しても蛇行した水路
2を同じ様に伝わっているにすぎず、榾木全面を均一に
洗浄することができなかった。
【0010】従って、しいたけ菌床を長期間培養する中
でこれらの現象により、製品間の重量バラツキや大きな
品質のバラツキを生じていることが判明した。
【0011】この現象は最上段のしいたけ菌糸塊よりも
下部にあるものの方がより一層影響され、上から菌糸塊
天面に落下する水滴もある一部分に集中していた。
【0012】更に実際には菌糸塊1は前述の通気孔を有
したコンテナ3などにより支持されて多段に積載される
ため、蛇行した水路2の流れは限定される。
【0013】また、これらの状態は栽培棚に並べられた
しいたけ菌床の場合も全く同様であり、これが原因でし
いたけ発茸にもバラツキを生じていることが判った。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な事
情に鑑みなされたもので、しいたけ菌床の培養・栽培に
於て、多段に並べられた菌床の表面をまんべんなく充分
に洗浄し、しかも菌床の表面の損傷や子実体の損傷を防
止して雨子の発生を抑えるしいたけ菌床の培養・栽培方
法及び培養・栽培用の散水装置を提供することをその目
的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は、培養容器内
で培養されたのち、容器から取り出された容器培養菌糸
塊に対して散水を施すに際し、散水条件を、ノズル穴径
φ0.2〜1.5mm,ノズルからの水圧0〜1.0k
gf/cm2 ,散水量30〜120l/m2 ・分,該菌
糸塊に対する打力0.1〜0.5g/cm2 とすること
を特徴とするしいたけ菌床の培養・栽培方法,及び、散
水を、移動速度が0.2〜2.0m/分の移動式散水装
置を用いて行う該しいたけ菌床の培養・栽培方法によっ
て達成される。
【0016】尚、本発明でいう散水量及び打力とは散水
ノズルの噴出口より、重力方向へ50cm離れた位置で
の計測結果を示す。(以下同じ)
【0017】
【作用】上記手法で、多段に並べられたしいたけ菌床
(菌糸塊)を散水すると上下の別なく菌床表面を全て洗
浄することができ、しかも打力が0.1〜0.5g/c
2 であるため、菌床表面の損傷は全く無く、長期間の
培養・栽培でも、菌床(菌糸塊)の散水によるバラツキ
を最小限に抑えることができる。
【0018】また、洗浄効果の向上により散水時間を極
端に短縮することができるため、従来と同等以上の効果
を水を節約して達成することが可能となる。更に栽培で
は散水時間の短縮により、子実体の雨子の発生が抑えら
れる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施例に基づいて
詳しく説明する。
【0020】
【実施例】図2(A)は本発明に用いる散水ノズルの一
実施例で、散水ノズル4には、多数の穴5が設けられて
おり、家庭用の浴室シャワーと同様に広角に散水するこ
とができる。
【0021】図2(B)はこの散水ノズルの培養での使
用例で菌糸塊1は通気孔を有したコンテナ3に並べられ
多段に積載されており、その上部にある散水ノズル4よ
り散水が行なわれている。
【0022】この時、水圧は0〜1.0kgf/cm2
に抑えられており、散水ノズルからの噴出圧で、水筋は
広がるもののすぐに自然落下に近似した状態になり、し
いたけ菌糸塊の表面が損傷することは無い。
【0023】図3は、前述の散水ノズル4を栽培ハウス
6に応用したもので、ハウス中央にレール7があり、ハ
ンガー部分8には散水ノズル4が取り付けられている。
このハンガー部分8はレール7末端にある駆動部9によ
り、ワイヤー10を利用して移動することができる。散
水は水タンク11のポンプ12から、ホース13を通し
て供給され散水される。しいたけ菌床14は栽培棚15
に多段に並べられている。
【0024】散水は前述の様に大容量の水をソフトに集
中させてまくため、菌床への散水は極めて短時間で菌床
の洗浄、水分の補給が均一に行なわれるため、1日の中
で子実体が散水で濡れている時間が極端に短く子実体の
内部へ水が浸透することが少なくなり、残りの時間(散
水をしていない時間)で子実体を充分に乾かすことが出
来、雨子(水に濡れた状態の子実体)の発生を防止でき
る。
【0025】また、短時間集中型の散水のため、従来の
様に多数の散水ノズルを固定して設置する必要は無く、
図3の様な移動式散水装置にすれば、散水ノズル数を減
少させることが出来、しかも少数の同じ散水ノズルが移
動散水するため、散水ノズル間のバラツキによる散水バ
ラツキが軽減され、均一な品質が維持できる。
【0026】移動式散水装置は従来花卉園芸や野菜等の
植物のハウス栽培で農薬の散布や灌水に用いられ、自走
式灌水装置やモノレール散布装置と呼ばれているが、一
般的に植物は平面状に並べられており、上記目的のため
細霧散布を原則とし、ベット、ベンチ或いは鉢物の中の
土壌中に徐々に浸透したり、花葉表面に噴霧する形態を
とり、受け皿で保持して浸透させることを前提としてい
るため、必ずしも均一噴霧とは言い難い。
【0027】従って、これら装置を単純にしいたけ菌床
に用いることはできず、多段に積載されたしいたけ菌床
の表面を短時間に完全に洗浄し、しかも、菌床表面に見
られるビロード状のしいたけ菌膜を押し潰したり、損傷
を与えることなく、散水するためには、前述の散水条件
の実現を可能とする散水ノズルを備え、水の大量移送と
高湿度中での連続運転を可能とする移動式散水装置が必
要となる。
【0028】また、移動式散水装置は、移動速度が重要
であり、前述の散水条件で大容量のソフトな散水を行っ
ても、高速で移動すると例えば1.5〜6.0mの高さ
に及ぶ栽培棚やコンテナ・パレット積層品を、上から下
まで均一に洗い流すことが出来ず、散水が不充分で通り
過ぎる結果となり、上部の菌床の散水、洗浄は充分でも
下部は不充分で、上から垂れる水を不均一に受けること
となり、図1と同じ現象を生じ、均一な品質は得られな
い。従って、多段に並べられたしいたけ菌床を散水する
には、0.2m/分〜2.0m/分の低速度で移動散水
を行うことが肝要である。
【0029】図4は、散水口からの噴出圧(水圧)を0
kgf/cm2 に近づけるために、散水ノズル配管を2
重管構造にした例である。内側の管16は送水管で内部
は水で満たされており、外側の管17への給水のための
孔18が設けられており、水圧がかかっている。外側の
管17には散水のための孔19が設けられており、給水
孔18よりも散水孔19の方が多く設けられている。つ
まり穴孔面積の和が多くなる様に設定されている。ま
た、外側の管17には通気管20が設けられており、外
気と外側の管内部が連通している。この様な装置を用い
ると、(A)に示す様に内側の管16には水が満たさ
れ、内圧(水圧)がかかっているが、外側の管17内部
のドーナツ状の部分21には圧力はかからず、水自身の
重量でのみ落下するため、限りなく0kgf/cm2
近い水圧のソフトな散水をしいたけ菌床にかけることが
できる。
【0030】図5は上述の散水ノズルをしいたけの培養
に応用した例で、図3と同様に、移動散水装置としたも
のである。しいたけ菌糸塊1はコンテナ3に並べられて
おり、このコンテナを積載しパレット22を形成させ、
これを2段重ねとして並べたものであり、上部からは前
述の散水ノズルを用いて散水が行われている。また水移
送のホース13はハンガー8を挟んでレール7の両側に
伸びており、この様な散水装置を用いると大容量の水を
しいたけ菌糸塊に損傷を与えることなく、ソフトに洗浄
することができる。
【0031】また、水量については穴径と穴数によって
調整可能であるが、散水量30〜120l/m2 ・分の
水を0〜1.0kgf/cm2 で噴出するためには穴径
はφ0.2〜1.5mmが適当であり、これより細かく
(穴数を多く)しても散水ノズルの加工が面倒になるだ
けで、しいたけ菌床の洗浄効果が高まることはなく、逆
にノズルの目詰まりが多くなる。またこれより大きく
(穴数を少なく)すると低圧で水を均一に広げることが
難しくなり噴霧幅が狭くなる傾向が見られると共に、水
量も多くなり省資源の点で無駄水が多くなる。これは図
2の散水ノズルの場合も同様である。
【0032】図6は、図4の散水ノズルを2本並列に配
置したものであり、図7は水槽23に一定の水を溜める
構造になっており、フロート24を用いて水量を調整す
る。フロートの高さにより、微水圧の設定が可能で、フ
ロートの変わりに、レベルセンサーを用いて給水の入切
を制御しても良い。次に実際の効果についてしいたけ菌
床の培養・栽培での試験結果をもとに説明する。
【0033】本発明の培養,栽培に用いられる、培養容
器内で培養されたのち、容器から取り出された容器培養
菌糸塊とは、例えば以下の様にして製造することができ
る。
【0034】培養容器としては、ポリプロピレン,ポリ
エチレン,ナイロン,ポリエステル,アルミ,ガラスな
どの単品或いは組合せによる袋,瓶,ボトル等からなる
一般的な培養容器である。
【0035】培地成分としては、木片,オガ粉,米糠,
ふすま,おから,栄養剤,等が挙げられ、これにしいた
け菌を接種して培養する。
【0036】容器から取り出す時期は、菌糸の蔓延が完
了した直後でも、菌糸蔓延完了後、培養容器内で更に培
養し、菌糸塊表面に、凹凸や褐変化が見られる時期ま
で、追培養を行った場合でも良い。
【0037】但し、菌糸塊は菌糸同士の絡み合いや分泌
物で保形されてはいるものの、崩れやすく、また、子実
体の発生には菌糸塊表層が子実体原基の形成など重要な
役割を果たしているため、菌糸塊表面の散水は、これま
で述べてきた様に、単なる洗浄だけでなく、菌糸塊表面
に損傷を与えてはならない。
【0038】また、しいたけ菌糸塊や、菌床の培養環境
や栽培環境の温度・湿度,光等の諸条件に、適正値とす
ることが好ましいのと同様に、散水、散水温度について
も、適正な条件とすることが好ましい。
【0039】例えば、培養温度を15〜28℃,栽培温
度を5〜25℃に制御している場合は、散水温度もそれ
に準じていることが望ましい。但し、自然条件を利用し
ている場合には、必ずしも最適温度に環境が整っている
とは限らず、夏期の高温や冬期の低温など、むしろ不適
な条件の下におかれる時期もあり、散水は、高温すぎる
といわゆる「蒸れ」をおこし、低温すぎると冷害,凍結
等をより助長するため、散水温度は5〜28℃の範囲で
用いることが望ましい。
【0040】更に、散水に用いる水の水質は、子実体が
食用に供されることを考慮し、飲用水に準じることが望
ましく、例えば、有機質をあまり含まず、細菌の増殖が
少ない方が好ましい。
【0041】散水を施す培養条件として、雰囲気の炭酸
ガス濃度は、5,000ppm以下にし、菌糸塊に充分
な酸素が供給されることが好ましい。栽培条件として
は、更に、1,500ppm以下が好ましい。これらの
濃度がこの範囲であれば、培養が促進され、発茸したし
いたけの奇形化率も少ない。このような濃度環境を維持
するためには、散水する室内へ、適宜、換気扇等を用い
て、空気の流入を図れば良い。
【0042】また、同様に、光条件についても、散水を
施す培養条件としては、1,000ルクス以下が好まし
い。光条件がこの範囲であると、菌糸塊表面温度が適正
に保ち安く、また蒸れが防止でき、藻類の発生も最小限
に抑えることができる。栽培条件としては、散水量が低
く管理できることから、5,000ルクス以下で良い
が、50〜500ルクスでも充分である。しいたけの形
状を良くし、しかも光線による昇温を防止できる点で、
この範囲で散水することがが好ましい。
【0043】散水する環境湿度は、50〜100%RH
であり、ことに90%以上維持する時間が長く、装置に
も、防水,防湿処置することが好ましい。
【0044】また、これらの散水方法は、しいたけ菌糸
塊や菌床の例でこれまで述べてきたが、菌床だけでな
く、原木や短木,ベッド,バルク等の培養・栽培形態に
も利用でき、きのこの種類も、まんねんたけ,ひらた
け,まいたけ,マッシュルーム,ならたけ,アガリカ
ス,はたけしめじ,くりたけ,等、他のきのこ類におい
ても利用可能である。
【0045】
【表1】
【0046】表1はしいたけ菌床の培養工程での試験例
で、培養容器内で培養されたのち、容器から取り出され
た容器培養菌糸塊を、飽和湿度中で5日間培養し、その
後、表中の条件で15日間散水したものである。しいた
け菌糸塊はコンテナ中に12本(3×4)入れ、コンテ
ナ20個を井桁上に組んでパレットを形成し、図5に示
す様にパレットを2段重ねし、菌糸塊480本を多段に
並べたものを試験区とした。
【0047】散水ノズル仕様は、実施例1、比較例1〜
3は固定式、実施例2,3、比較例4は移動式とした。
【0048】表中の散水条件の内、散水量は図9(A)
の様に、散水ノズルの噴出口より、重力方向へ50cm
離れた位置での散水容量とし1m2 あたりに換算して示
した。
【0049】また打力は同じく50cm離れた位置で図
9(B)の様に15cm×15cmの上皿にかかる重量
を測定し、1cm2 あたりに換算した。
【0050】散水の分布パターンは50cm位置に図9
(C)に示す仕切り容器を置き、散水の分布を均等、山
形(中心部分の散水量が多い)、環状等にパターン分け
を行った。
【0051】また、散水時間については移動式の場合、
散水ノズルからの噴出時間(移動式装置の稼動時間)
と、実際にしいたけ菌糸塊に散水があたっている時間が
異なるため、後者を被散水時間として表中に記した。
【0052】尚、菌糸塊の重量の測定はパレット1/4
列の120本で行い、菌糸塊の損傷及び害菌付着の状態
は全数を評価した。結果を表1に示す。
【0053】実施例に示す、穴径0.2〜φ1.5m
m、水圧0〜1.0kgf/cm2 、散水量30〜12
0l/m2 ・分、打力0.1〜0.5g/cm2 の条件
を満たす散水は、比較例に比べて使用水量を減少させた
にもかかわらず、しいたけ菌糸塊の損傷や害菌の付着は
全くなく、菌糸塊の重量バラツキも少なかった。(標準
偏差値が小さい。)尚、実施例で水圧が低い場合でも打
力が発生するのは大量の水を散水するため水自体の自重
を含めて測定するためである。
【0054】比較例1では従来の微細・長時間散水の例
を示したが、しいたけ菌糸塊の損傷はないものの図1で
説明した水路が見られ、水のかかりが少ない部分は洗浄
効果が期待されず、菌糸塊表面に害菌が付着した。ま
た、散水のかかり具合に由来する菌糸塊の重量バラツキ
が多く重いものと軽いものが混在する形となった。
【0055】比較例2〜4は、水圧、散水量、打力を異
にするもので、比較例2は実施例1と同じ散水ノズルを
用いて水圧を上げ、散水量、打力を大きくしたものであ
る。
【0056】また、比較例3は全円スプレーノズル、比
較例4は平吹スプレーノズルで比較例1と使用水量が同
じになる様に1日あたりの被散水時間を調整してある。
【0057】結果から判る様に、比較例2〜4は、主に
最上段のしいたけ菌糸塊が、散水(スプレー)圧による
損傷を受け、細菌・カビ汚染を甚しく受け、下段の菌糸
塊に影響を与えると共に菌糸塊が散水による損傷部位や
細菌・カビによる汚染部位より、通常考えられる以上の
吸水をし、菌糸塊が重くなりバラツキを生じていること
が判る。
【0058】更に表中には記載していないが、実施例1
〜3は、培養容器から取り出された時、菌糸塊表面が白
色であったものが、散水により全て均一に褐色化して硬
い被膜が形成されていた。これに対し、比較例1は、散
水した水の菌床表面の流れに沿って褐色化している部分
と、白色のままの部分が存在し、まだらになっていた。
また、散水がかかりにくく、カビや細菌にスポット的に
汚染されている部位は、正常な褐色化では無く、腐った
黒い汁が流れて、黒い筋が見られるものも散見され、外
見的にも品質の異常やバラツキが認められた。
【0059】
【表2】
【0060】表2は表1と全く同じ散水ノズル仕様・条
件を用いて栽培での状態を評価したものである。図3の
栽培ハウスの中で図12に示す様な栽培棚に子実体の発
生が最盛期を迎えたしいたけ菌床を100本並べ表2の
条件で夕方散水を行い、翌朝子実体の状態を比較した。
結果は表から判る様に実施例4〜6の場合、表中の条件
でソフトに大量の散水を短時間で(従来法比較例5の4
0分の1)かけるため、しいたけ子実体の雨子の発生は
無く、子実体の損傷も全く無くて商品価値を高めること
ができた。
【0061】比較例5は従来法であるが、微細・長時間
散水であるため、子実体の損傷はないものの子実体に散
水が徐々に内部まで浸透してゆき、翌朝一部に雨子が残
った。
【0062】比較例6〜8は散水(スプレー)圧が高
く、直接散水があたる部分に位置する子実体は激しい損
傷を受け商品とならなかった。
【0063】以上の様に、散水を行う場合、散水の打力
が自然落下の自重を大きく越えると菌床(菌糸塊)の表
面や子実体を損傷することが判る。
【0064】
【発明の効果】これまで述べてきた様に、本発明によれ
ば、しいたけ菌床(菌糸塊)を培養・栽培する過程で散
水を行う場合、穴径0.2〜φ1.5mmの散水ノズル
より、水圧0〜1.0kgf/cm2 の低圧力で噴出さ
せ、散水ノズルの噴出口より重力方向へ50cm離れた
位置での散水量30〜120l/m2 ・分の大容量の水
を打力0.1〜0.5g/cm2 のソフトな力で与える
と、しいたけ菌床(菌糸塊)や子実体の損傷は全く無
く、細菌やカビなどの害菌の繁殖することがない様に洗
浄でき、しかも、専用のコンテナやパレット、栽培棚な
どを用いた多段・高密度の培養・栽培においても、菌床
(菌糸塊)の重量バラツキをはじめとする製品品質のバ
ラツキを最小限に抑え、高品質、高収量のしいたけ菌床
を得ることができる。
【0065】また、上記散水に移動式装置を用いて、こ
れまでにない新規な前述の散水方法と0.2〜2.0m
/分という低速度移動散水を組合せることにより、より
散水を均一にし省コスト、省水資源でしいたけ菌床(菌
糸塊)の培養・栽培を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来方法の説明図
【図2】本発明の一実施例を示す説明図
【図3】本発明の一実施例を示す説明図
【図4】本発明の一実施例を示す説明図
【図5】本発明の一実施例を示す説明図
【図6】本発明の一実施例を示す説明図
【図7】本発明の一実施例を示す説明図
【図8】比較例を示す図
【図9】本発明の測定方法を示す図
【図10】従来方法の説明図
【図11】従来方法の説明図
【図12】従来方法の説明図
【図13】従来方法の説明図
【符号の説明】
1 しいたけ菌糸塊 2 蛇行した水路 3 通気孔を有したコンテナ 4 散水ノズル 5 穴 6 栽培ハウス 7 レール 8 ハンガー 9 駆動部 10 ワイヤー 11 水タンク 12 ポンプ 13 ホース 14 しいたけ菌床 15 栽培棚 16 2重管構造の散水ノズル配管の内側の管 17 2重管構造の散水ノズル配管の外側の管 18 給水孔 19 散水孔 20 通気管 21 外側の管と内側の管に挟まれた空間(断面はドー
ナツ状) 22 パレット 23 水槽 24 フロート 25 通気孔 26 パレット 27 枠体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 培養容器内で培養されたのち、容器から
    取り出された容器培養菌糸塊に対して散水を施すに際
    し、散水条件を、ノズル穴径φ0.2〜1.5mm,ノ
    ズルからの水圧0〜1.0kgf/cm2 ,散水量30
    〜120l/m2 ・分,該菌糸塊に対する打力0.1〜
    0.5g/cm2 とすることを特徴とするしいたけ菌床
    の培養・栽培方法。
  2. 【請求項2】 容器培養菌糸塊に対する散水を、多段に
    並べた菌糸塊に対して、移動速度が0.2〜2.0m/
    分の移動式散水装置を用いて行うことを特徴とする請求
    項1記載のしいたけ菌床の培養・栽培方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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