JP3589313B2 - 牛乳の評価方法及び評価用キット - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、牛乳の熱履歴または製造後経過日数を判定するための評価方法に関するものであり、さらには、このような評価方法を簡便に実施するための評価用キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
牛乳の製造プロセスにおいては、生乳の殺菌処理工程が不可欠であり、製品の品質を維持する上で厳しい工程管理が要求される。
【0003】
例えば、加熱温度や加熱時間が適正なものであったか否か、常に熱処理工程の程度、すなわち熱履歴を的確に把握しておく必要がある。
【0004】
一方、製造後においては、例えば貯蔵温度等によって牛乳のシェルフライフが変わってくることが予想され、製造後結果日数(残存品質保持期間)を判定することは、製品管理上、極めて有効である。特に、常温保存が可能な、いわゆるロングライフ牛乳においては、賞味期間が60日以上にも及ぶことから、製品の製造後経過日数を正確に判定することが非常に重要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであって、牛乳の熱履歴を的確に把握することが可能な、あるいは牛乳の製造後経過日数を判定することが可能な評価方法を提供することを目的とし、さらには、このような評価を簡便に実施することができ、しかも経済性にも優れた評価用キットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、加熱処理に伴い牛乳中に生成する還元物質の検出に適したテトラゾリウム塩の検索を行い、その最適反応条件を検索した。
【0007】
その結果、還元型のホルマザンが水可溶性というユニークな特徴を有するテトラゾリウム塩、3´−{1−[フェニルアミノ−カルボニル]−3,4−テトラゾリウム}−ビス(4−メトキシ−6−ニトロ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下、XTTと呼ぶ。)が前記還元物質の還元性を極めて鋭敏に検出し得ること、さらには、バッチ法やマイクロプレートを利用した経済的アッセイ法の構築が可能であることを見い出した。
【0008】
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の評価方法は、XTTを含む発色液を牛乳と混合、反応させ、その発色度を測定することにより、牛乳の熱履歴または製造後経過日数を判定することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の評価用キットは、XTTを含む発色試薬と、マイクロプレートと、マイクロピペットとを備えてなることを特徴とするものである。
【0010】
上述のXTTは、通常、メディエータと共に用いられ、例えばメディエータとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン(ビタミンK3)が添加されて発色液とされる。
【0011】
測定は、マイクロプレートを用いた場合には、波長492nmにおける吸光度 変化を測定する。バッチ法の場合には、発色反応前後の色調変化を色彩色差計を用いてa値の変化として測定する。
【0012】
【作用】
本発明者は、これまでの研究により、加熱処理に伴い、生乳中にテトラゾリウム塩還元性の物質が生成することを明らかとした。また、カゼインとラクトースのみから成るモデル系にオートクレーブ処理を施した場合にも、生乳と同様、テトラゾリウム塩還元性物質が生成することを観察した他、その還元力はモデル系に添加したラクトース、カゼイン濃度に依存することを認めた。ラクトース、カゼイン単独をそれぞれ加熱処理した場合には、還元性物質の生成は認められなかったことから、このテトラゾリウム塩還元性物質は、カゼインとラクトースのメイラード反応で生じる物質であると推定される。
【0013】
XTTは、このテトラゾリウム還元性物質の還元性を最も鋭敏に検出し得る物質であり、したがって、牛乳と混合、反応させた後、その発色度を測定することで、その熱履歴が的確に判定される。
【0014】
また、前記テトラゾリウム塩還元性物質は、貯蔵の間にその還元力を失っていく。したがって、前記発色度を測定し、還元力の減少を把握することで、加熱牛乳の製造後経過日数も推定される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を適用した実施例について、具体的な実験結果に基づいて詳細に説明する。
【0016】
実験方法
1.試薬
XTT(水和物)にはポリサイエンス社製の試薬を、またビタミンK3には和光純薬社製の試薬を用いた。その他の試薬は全て市販の特級試薬をそのまま用いた。また、本実験で使用した水は、全て蒸留水を、ミリポア社製の商品名Mill−Q Jr.で処理した超純水である。
【0017】
2.試料
同一原乳で、130℃、2秒の条件で殺菌処理されたもの(試料A)と、140℃、3秒の条件で殺菌処理されたもの(試料B)を、加熱製造された翌日(この日を貯蔵0日とした。)から、5℃、30℃、40℃または室温(25℃)にて貯蔵した。なお、試料は、各測定毎に新たな紙パックを使用することとし、測定直前に水浴で室温に戻した後、内容物を均一とするためよく振ってから開封した。
【0018】
3.XTTとの発色反応
(1)バッチ法での測定
ビタミンK3を0.2Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に加え、15分程度攪拌した。これをろ過することにより、ビタミンK3飽和溶液を得た。
【0019】
次いで、XTTを0.5mM濃度でこのビタミンK3飽和溶液に溶解し、XTT発色液を調製した。XTTは常温では溶け難いため、高周波加熱装置で約40℃に加熱して溶かした。得られたXTT発色液は、室温、暗所にて保存した。
【0020】
測定は次の手順で行った。すなわち、直径4cmのガラスシャーレに試料を1ml加え、これにXTT発色液1mlを添加して軽く攪拌後、色彩色差計(ミノルタ社製、商品名CR−200)でa値を測定した。室温にて20分経過後、再びa値を測定し、その差を各試料の発色度とした。
【0021】
(2)マイクロプレート法による測定
バッチ法と同様の原理で、マイクロプレートの各ウェルにそれぞれ牛乳試料40μlとXTT発色液60μlを注入した。マイクロプレートは、酵素免疫測定法あるいは組織培養に用いられている市販の96穴のものを使用した。
【0022】
各ウェルへのXTT発色液の添加には、8チャンネルのマイクロピペッターを使用し、添加時間の差が最小になるようにした。
【0023】
XTT発色液を添加した後、マイクロプレートシェーカー(IKA社製)で700分−1、5秒間振とうし、室温にて放置した。
【0024】
XTT発色液を添加していないビタミンK3飽和溶液に牛乳試料を添加したウェルを同時に調製し、このウェルの492nmの吸光度をブランクとして各試料の20分後の吸光度の差を求めた。測定に際しては、マイクロプレートリーダー(東ソー社製、商品名MPR A4i)を用いて492nmの吸光度変化として記録した。
【0025】
実験結果並びに考察
(1)加熱直後のXTT還元力
図1及び図2は、製造翌日の130℃、2秒殺菌乳(試料A)と140℃、3秒殺菌乳(試料B)のバッチ法(図1)、並びにマイクロプレート法(図2)でのXTT還元力を示したものである。
【0026】
この結果より明らかなように、加熱温度及び加熱時間の程度が過酷な試料Bにおいて高い還元力が観察された。
【0027】
また、各試料において、バッチ法とマイクロプレート法との間で顕著な実験結果の差が認められなかったことから、両法共に加熱処理乳のXTT還元力測定に利用できることが示された。
【0028】
本XTT還元力試験は、熱処理工程の程度を推定するのに有用である。
【0029】
(2)XTT還元力の貯蔵における変化
先の実験で使用したものと同一のロットで製造された試料を異なる温度で貯蔵し、その貯蔵期間中のXTT還元力の変化を調べた。
【0030】
図3及び図4は、試料A(130℃殺菌乳)を6日間貯蔵した場合のXTT還元力の変化を貯蔵温度別にプロットしたものである。(なお、図3はバッチ法による測定結果を、図4はマイクロプレート法による測定結果をそれぞれ示している。)
両法共に、XTT還元力が貯蔵温度が高くなるに従い急速に減少することを示している。
【0031】
図5及び図6は、試料B(140℃殺菌乳)を種々の温度で保存した場合のXTT還元力の変化を示したものである。(なお、図5はバッチ法による測定結果を、図6はマイクロプレート法による測定結果をそれぞれ示している。)
試料Aの場合と同様、XTT還元力は貯蔵温度が低いほど保存されることが明らかとなった。
【0032】
試料Bは、常温保存が可能で、その賞味期間が60日とされている。(ロングライフ牛乳)
本実験で常温で64日間保存された試料は、XTT還元力がほぼ消失していた。したがって、この残存還元力を指標とすることにより、その製品の製造後経過日数の推定を行うことが可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、加熱処理に伴い生乳中に生成する還元性の物質を鋭敏に検出することができ、例えば牛乳の熱履歴を的確に把握することができる。したがって、本発明方法は、生乳の殺菌処理の工程管理法として有用であり、さらに貯蔵牛乳の製造後経過日数の推定に極めて実用的に利用することができる。
【0034】
また、本発明の評価用キットによれば、前述の牛乳の評価を簡便に実施することができ、また経済的観点からも実用性は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造翌日の130℃、2秒殺菌乳と140℃、3秒殺菌乳をバッチ法により測定したときのa値の相違を示す特性図である。
【図2】製造翌日の130℃、2秒殺菌乳と140℃、3秒殺菌乳をマイクロプレート法により測定したときのa値の相違を示す特性図である。
【図3】130℃殺菌乳を6日間貯蔵した場合のa値の変化を貯蔵温度別にプロットした特性図である。
【図4】130℃殺菌乳を6日間貯蔵した場合の492nmにおける吸光度の変化を貯蔵温度別にプロットした特性図である。
【図5】140℃殺菌乳を種々の温度で貯蔵した場合のa値の変化を貯蔵温度別にプロットした特性図である。
【図6】140℃殺菌乳を種々の温度で貯蔵した場合の492nmにおける吸光度の変化を貯蔵温度別にプロットした特性図である。
【産業上の利用分野】
本発明は、牛乳の熱履歴または製造後経過日数を判定するための評価方法に関するものであり、さらには、このような評価方法を簡便に実施するための評価用キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
牛乳の製造プロセスにおいては、生乳の殺菌処理工程が不可欠であり、製品の品質を維持する上で厳しい工程管理が要求される。
【0003】
例えば、加熱温度や加熱時間が適正なものであったか否か、常に熱処理工程の程度、すなわち熱履歴を的確に把握しておく必要がある。
【0004】
一方、製造後においては、例えば貯蔵温度等によって牛乳のシェルフライフが変わってくることが予想され、製造後結果日数(残存品質保持期間)を判定することは、製品管理上、極めて有効である。特に、常温保存が可能な、いわゆるロングライフ牛乳においては、賞味期間が60日以上にも及ぶことから、製品の製造後経過日数を正確に判定することが非常に重要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであって、牛乳の熱履歴を的確に把握することが可能な、あるいは牛乳の製造後経過日数を判定することが可能な評価方法を提供することを目的とし、さらには、このような評価を簡便に実施することができ、しかも経済性にも優れた評価用キットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、加熱処理に伴い牛乳中に生成する還元物質の検出に適したテトラゾリウム塩の検索を行い、その最適反応条件を検索した。
【0007】
その結果、還元型のホルマザンが水可溶性というユニークな特徴を有するテトラゾリウム塩、3´−{1−[フェニルアミノ−カルボニル]−3,4−テトラゾリウム}−ビス(4−メトキシ−6−ニトロ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下、XTTと呼ぶ。)が前記還元物質の還元性を極めて鋭敏に検出し得ること、さらには、バッチ法やマイクロプレートを利用した経済的アッセイ法の構築が可能であることを見い出した。
【0008】
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の評価方法は、XTTを含む発色液を牛乳と混合、反応させ、その発色度を測定することにより、牛乳の熱履歴または製造後経過日数を判定することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の評価用キットは、XTTを含む発色試薬と、マイクロプレートと、マイクロピペットとを備えてなることを特徴とするものである。
【0010】
上述のXTTは、通常、メディエータと共に用いられ、例えばメディエータとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン(ビタミンK3)が添加されて発色液とされる。
【0011】
測定は、マイクロプレートを用いた場合には、波長492nmにおける吸光度 変化を測定する。バッチ法の場合には、発色反応前後の色調変化を色彩色差計を用いてa値の変化として測定する。
【0012】
【作用】
本発明者は、これまでの研究により、加熱処理に伴い、生乳中にテトラゾリウム塩還元性の物質が生成することを明らかとした。また、カゼインとラクトースのみから成るモデル系にオートクレーブ処理を施した場合にも、生乳と同様、テトラゾリウム塩還元性物質が生成することを観察した他、その還元力はモデル系に添加したラクトース、カゼイン濃度に依存することを認めた。ラクトース、カゼイン単独をそれぞれ加熱処理した場合には、還元性物質の生成は認められなかったことから、このテトラゾリウム塩還元性物質は、カゼインとラクトースのメイラード反応で生じる物質であると推定される。
【0013】
XTTは、このテトラゾリウム還元性物質の還元性を最も鋭敏に検出し得る物質であり、したがって、牛乳と混合、反応させた後、その発色度を測定することで、その熱履歴が的確に判定される。
【0014】
また、前記テトラゾリウム塩還元性物質は、貯蔵の間にその還元力を失っていく。したがって、前記発色度を測定し、還元力の減少を把握することで、加熱牛乳の製造後経過日数も推定される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を適用した実施例について、具体的な実験結果に基づいて詳細に説明する。
【0016】
実験方法
1.試薬
XTT(水和物)にはポリサイエンス社製の試薬を、またビタミンK3には和光純薬社製の試薬を用いた。その他の試薬は全て市販の特級試薬をそのまま用いた。また、本実験で使用した水は、全て蒸留水を、ミリポア社製の商品名Mill−Q Jr.で処理した超純水である。
【0017】
2.試料
同一原乳で、130℃、2秒の条件で殺菌処理されたもの(試料A)と、140℃、3秒の条件で殺菌処理されたもの(試料B)を、加熱製造された翌日(この日を貯蔵0日とした。)から、5℃、30℃、40℃または室温(25℃)にて貯蔵した。なお、試料は、各測定毎に新たな紙パックを使用することとし、測定直前に水浴で室温に戻した後、内容物を均一とするためよく振ってから開封した。
【0018】
3.XTTとの発色反応
(1)バッチ法での測定
ビタミンK3を0.2Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に加え、15分程度攪拌した。これをろ過することにより、ビタミンK3飽和溶液を得た。
【0019】
次いで、XTTを0.5mM濃度でこのビタミンK3飽和溶液に溶解し、XTT発色液を調製した。XTTは常温では溶け難いため、高周波加熱装置で約40℃に加熱して溶かした。得られたXTT発色液は、室温、暗所にて保存した。
【0020】
測定は次の手順で行った。すなわち、直径4cmのガラスシャーレに試料を1ml加え、これにXTT発色液1mlを添加して軽く攪拌後、色彩色差計(ミノルタ社製、商品名CR−200)でa値を測定した。室温にて20分経過後、再びa値を測定し、その差を各試料の発色度とした。
【0021】
(2)マイクロプレート法による測定
バッチ法と同様の原理で、マイクロプレートの各ウェルにそれぞれ牛乳試料40μlとXTT発色液60μlを注入した。マイクロプレートは、酵素免疫測定法あるいは組織培養に用いられている市販の96穴のものを使用した。
【0022】
各ウェルへのXTT発色液の添加には、8チャンネルのマイクロピペッターを使用し、添加時間の差が最小になるようにした。
【0023】
XTT発色液を添加した後、マイクロプレートシェーカー(IKA社製)で700分−1、5秒間振とうし、室温にて放置した。
【0024】
XTT発色液を添加していないビタミンK3飽和溶液に牛乳試料を添加したウェルを同時に調製し、このウェルの492nmの吸光度をブランクとして各試料の20分後の吸光度の差を求めた。測定に際しては、マイクロプレートリーダー(東ソー社製、商品名MPR A4i)を用いて492nmの吸光度変化として記録した。
【0025】
実験結果並びに考察
(1)加熱直後のXTT還元力
図1及び図2は、製造翌日の130℃、2秒殺菌乳(試料A)と140℃、3秒殺菌乳(試料B)のバッチ法(図1)、並びにマイクロプレート法(図2)でのXTT還元力を示したものである。
【0026】
この結果より明らかなように、加熱温度及び加熱時間の程度が過酷な試料Bにおいて高い還元力が観察された。
【0027】
また、各試料において、バッチ法とマイクロプレート法との間で顕著な実験結果の差が認められなかったことから、両法共に加熱処理乳のXTT還元力測定に利用できることが示された。
【0028】
本XTT還元力試験は、熱処理工程の程度を推定するのに有用である。
【0029】
(2)XTT還元力の貯蔵における変化
先の実験で使用したものと同一のロットで製造された試料を異なる温度で貯蔵し、その貯蔵期間中のXTT還元力の変化を調べた。
【0030】
図3及び図4は、試料A(130℃殺菌乳)を6日間貯蔵した場合のXTT還元力の変化を貯蔵温度別にプロットしたものである。(なお、図3はバッチ法による測定結果を、図4はマイクロプレート法による測定結果をそれぞれ示している。)
両法共に、XTT還元力が貯蔵温度が高くなるに従い急速に減少することを示している。
【0031】
図5及び図6は、試料B(140℃殺菌乳)を種々の温度で保存した場合のXTT還元力の変化を示したものである。(なお、図5はバッチ法による測定結果を、図6はマイクロプレート法による測定結果をそれぞれ示している。)
試料Aの場合と同様、XTT還元力は貯蔵温度が低いほど保存されることが明らかとなった。
【0032】
試料Bは、常温保存が可能で、その賞味期間が60日とされている。(ロングライフ牛乳)
本実験で常温で64日間保存された試料は、XTT還元力がほぼ消失していた。したがって、この残存還元力を指標とすることにより、その製品の製造後経過日数の推定を行うことが可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、加熱処理に伴い生乳中に生成する還元性の物質を鋭敏に検出することができ、例えば牛乳の熱履歴を的確に把握することができる。したがって、本発明方法は、生乳の殺菌処理の工程管理法として有用であり、さらに貯蔵牛乳の製造後経過日数の推定に極めて実用的に利用することができる。
【0034】
また、本発明の評価用キットによれば、前述の牛乳の評価を簡便に実施することができ、また経済的観点からも実用性は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造翌日の130℃、2秒殺菌乳と140℃、3秒殺菌乳をバッチ法により測定したときのa値の相違を示す特性図である。
【図2】製造翌日の130℃、2秒殺菌乳と140℃、3秒殺菌乳をマイクロプレート法により測定したときのa値の相違を示す特性図である。
【図3】130℃殺菌乳を6日間貯蔵した場合のa値の変化を貯蔵温度別にプロットした特性図である。
【図4】130℃殺菌乳を6日間貯蔵した場合の492nmにおける吸光度の変化を貯蔵温度別にプロットした特性図である。
【図5】140℃殺菌乳を種々の温度で貯蔵した場合のa値の変化を貯蔵温度別にプロットした特性図である。
【図6】140℃殺菌乳を種々の温度で貯蔵した場合の492nmにおける吸光度の変化を貯蔵温度別にプロットした特性図である。
Claims (5)
- 3´−{1−[フェニルアミノ−カルボニル]−3,4−テトラゾリウム}−ビス(4−メトキシ−6−ニトロ)ベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む発色液を牛乳と混合、反応させ、その発色度を測定することにより、牛乳の熱履歴または製造後経過日数を判定することを特徴とする牛乳の評価方法。
- 発色液にメディエータとして2−メチル−1,4−ナフトキノンが添加されていることを特徴とする請求項1記載の牛乳の評価方法。
- 波長492nmにおける吸光度変化を測定することを特徴とする請求項1又は2記載の牛乳の評価方法。
- 発色反応前後の色調変化を色彩色差計を用いてa値の変化として測定することを特徴とする請求項1又は2記載の牛乳の評価方法。
- 3´−{1−[フェニルアミノ−カルボニル]−3,4−テトラゾリウム}−ビス(4−メトキシ−6−ニトロ)ベンゼンスルホン酸ナトリウムと2−メチル−1,4−ナフトキノンを含む発色試薬と、マイクロプレートと、マイクロピペットとを備えてなる牛乳の評価用キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29448894A JP3589313B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 牛乳の評価方法及び評価用キット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29448894A JP3589313B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 牛乳の評価方法及び評価用キット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08152410A JPH08152410A (ja) | 1996-06-11 |
JP3589313B2 true JP3589313B2 (ja) | 2004-11-17 |
Family
ID=17808419
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29448894A Expired - Fee Related JP3589313B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 牛乳の評価方法及び評価用キット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3589313B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5126275A (en) * | 1990-09-19 | 1992-06-30 | Miles Inc. | Analytical method using tetrazolium salt indicators having a reflectance plateau |
-
1994
- 1994-11-29 JP JP29448894A patent/JP3589313B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08152410A (ja) | 1996-06-11 |
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