JP3588522B2 - リアルタイムデータ用情報中継システムおよびリアルタイムデータ伝送用情報提供システム - Google Patents

リアルタイムデータ用情報中継システムおよびリアルタイムデータ伝送用情報提供システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はVOD(Video on Demand )サービスのような蓄積されたメディアをネットワークを介してリアルタイムで再生するサービスを実現するシステムであり、特にネットワークの種々のサービスクラスをその特性にあったサービスごとに使い分けるシステムに関する。
【0002】
また、本発明は、VOD(Video on Demand )サービスやMOD(Multimedia on Demand)サービスのように、サーバに蓄積されたメディア情報を、ユーザからの要求に応じて、ネットワークを介してリアルタイムでユーザに提供するサービスを実現するシステムに関する。
【0003】
特に本発明で対象としているのは、データが時系列的に順序管理されているようなデータ、あるいはより限定して言えばそのデータの利用がタイムスタンプなどの時間情報によって管理されているような性質のデータに関する装置及びシステムであり、本発明ではこれらのデータを総括してリアルタイムデータと称している。
【0004】
【従来の技術】
近年、ネットワークの高速広帯域化とディジタル映像技術の進展により、インタラクティブなビデオサービスの実用化が始まろうとしている。このようなサービスの典型的な例の一つにVODサービスがある。VODサービスとは、ビデオソースを蓄えたビデオサーバが基本的にクライアントと1対1の回線接続を行い、クライアントの通常再生、サーチ、特殊再生などの要求に応じてビデオサーバからビデオソースの出力を行うサービスである。これらVODサービスの多くは、少なくともネットワークの基幹部分においては非同期転送モード(以下、ATMという)を利用することが想定されている。
【0005】
なお、本発明で言うところのビデオサーバには、あるユーザに対して提供中のビデオ情報を伝送するために設定された通信回線の途中またはその近傍において、そのビデオを蓄積しておき、他のユーザからの同一のビデオへの要求に対して、これを再利用する、いわゆるキャッシュノード、あるいはネットワークキャッシュなどと呼ばれる一時記憶型のサーバをも包含するものとする。
【0006】
ATMではいくつかクラスが提供される。たとえば、ATMの業界標準設定組織であるATMフォーラムでは以下の5つのクラスが標準化される。すなわち、固定ビットレート(以下、CBR−Constant Bit Rate −という)、リアルタイム可変ビットレート(以下、RT−VBR−RealTime Variable Bit Rate−という)、非実時間可変ビットレート(以下、NRT−VBR−Non−RealTime Variable Bit Rate−という)、有効ビットレート(以下、ABR−Available Bit Rate−という)、非特定ビットレート(以下、UBR−Unspecified Bit Rate−という)の5つである。これらのうち、上述したようなビデオの伝送サービスはリアルタイムサービスであるため、現状ではCBRのサービスクラスが使われるのが普通である。
【0007】
上述した5つのサービスクラスについて考える。実時間性という見地からは、ギャランティクラスであるCBR、RT−VBRの2クラスが品質保証される。また、CBRはセル廃棄確率が極めて低く、高品質であるが、ATMで特に帯域の有効利用方法として有効であると言われている統計多重効果を用いないのでコストは高い。RT−VBRは、セル廃棄特性はCBRほどよくないが統計多重効果を用いるのでCBRよりも安価である。一方、NRT−VBR、ABR、UBRは実時間性は保証されないが、空き帯域の有効利用を図るベストエフォートサービスであるため、通信コストの大幅な低下が期待できる。
【0008】
上述のような従来の画像配送方式では、伝送品質はCBRで一定である。たとえば、VODで2時間のビデオを観る状況を考えてみる。一般的にVODでは通信呼への要求品質としては、以下のような事項が考えられる。即時提供のための実時間性、画像、あるいは音声の品質確保のための低いセル廃棄率、ビデオサービスの低コスト化を実現するための低コスト通信などである。実時間性、セル廃棄特性保証の点から、CBRが前提となっている。
【0009】
一般に、CBRは呼接続手続きにおいて帯域がピークセルレートで割り付けられ、この帯域は呼が設定されている間は恒常的に設定されたままである。CBRは帯域を十分に確保して通信するから品質が良い反面、多重効果を使わない方式であり、したがって、通信コストとしては高価である。たとえば、上記VODを考えてみる。観ている間は呼を設定している必要がある。155Mbpsの通信回線上に6MbpsのMPEG(Moving Picture Experts Group)方式で画像を配送することを考えると同時に提供できる画像は25本である。その条件のもとで通信コストが設定される。もちろん、総コストの中にはソフト的なコストも含まれてくるから、通信コストを削減することは低コスト化の点からも重要である。従来方式では、この低コスト化という点で問題があった。
【0010】
また、従来も前のクライアントのために蓄えられたビデオを別のクラアイントがアクセスする場合に再利用することが行われていたが、データ蓄積装置の蓄積容量が有限であるため、アクセス頻度の低いビデオは順次消去する必要がある。この場合、ビデオの消去はビデオソース単位で行うしかなかったので、消去された直後に別のクライアントがアクセスした場合には、再度上記CBRによる伝送を行う必要があり、上記問題点をさらに増幅するという不具合があった。
【0011】
次に、VODサービスにおけるサーバの配置について説明する。VODサービスにおいて提供すべきビデオソースとしては、映画館で上映された映画にとどまらず、テレビ用に製作されたテレビ映画やドラマ、記録映画など、そのジャンルは多岐にわたり、しかも映画が発明されて以来、現在までに製作されてきた全ての作品が対象となるため、その数は極めて膨大である。一方、このようなビデオソースを蓄えるビデオサーバの持つ記録容量は有限であり、一つのビデオサーバに全てのビデオソースを蓄えておくことは不可能である。しかも、一つのビデオサーバから同時に読み出すことのできる情報量も有限であるため、一般にアクセス頻度が高いと予想されるビデオソースを蓄積するビデオサーバは、ユーザに近いところに地域ごとに配置し、アクセス頻度が低いと予想されるビデオソースを蓄積するビデオサーバは、ユーザから遠いセンターに設置するという2階層構成、あるいはアクセス頻度に応じてさらに多階層の構成をとることが考えられている。
【0012】
このように提供すべきビデオソースを蓄積しているビデオサーバが、ネットワーク上に分散的に配置されている場合、ユーザの要求に従って要求されたビデオソースを蓄積しているビデオサーバのうち、ユーザに最も近いサーバとユーザとの間に通信回線を設定し、その通信回線を通じてビデオ伝送を行うことが通信コストの観点から必要である。従来は、ユーザが予め配布されたビデオリストなどによって見たいビデオを決定し、そのビデオを直接指定していたため、ユーザがビデオを指定してから、そのビデオを提供すべき最適なビデオサーバを決定し、通信回線の設定を行えば良かった。
【0013】
ところが、今後はユーザが、例えば最も末端のビデオサーバとの間に通信回線を設定し、画面に表示されたビデオリストやプレビュー用に用意されたビデオソースの一部、またはハイライトシーンを集めたプロモーションビデオなどインタラクティブにアクセスしながら、最終的に見たいビデオを決定するようになることが考えられる。このとき、ユーザの操作に対する応答性および通信コストの観点から、末端のビデオサーバにビデオリストまたはプレビュー用のビデオ情報を蓄積しておくことが好ましいが、その場合、ユーザが見たいビデオを決定してから、実際にそのビデオソースが蓄積されているサーバとの間に通信回線を設定しようとすると、通信ネットワークの幅輳があった場合には通信回線が設定できず、そのビデオをユーザに提供できない。また、そのビデオソースが蓄積されているサーバの同時サービス数がサーバの性能限界に達している場合には、通信回線の設定が可能であってもそのビデオを提供することはできない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の画像配送方式で即時の画像提供を実現するためには、セル廃棄率の低いサービスを実現することが必要であったが、画像伝送サービスの低コスト化の点、また通信資源の有効利用の点から問題があった。
【0015】
また、上述のようにサーバがネットワークに対して階層的に配置された場合、ユーザが見たいビデオを決定してから通信網資源やサーバ資源を確保しようとすると、見たいビデオを決定するために費やした時間が無駄になる場合があり、ユーザにとって極めて不都合である。
【0016】
本発明においては通信の効率を向上させ、サービスコストの低減を図り、通信資源を有効利用することが可能なリアルタイムデータ用情報中継システムおよびリアルタイムデータ伝送用情報提供システムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の基本構成に係るリアルタイムデータ用情報中継システムは、時系列的に順序管理された複数の部分情報からなりその利用がタイムスタンプにより管理されている情報であるリアルタイムデータが順方向に入力される第1の入力部と、前記リアルタイムデータの前記部分情報が逆方向に入力される第2の入力部と、前記第2の入力部から入力される前記部分情報を入力された順に蓄積する蓄積部と、前記第1の入力部に入力された部分情報と前記蓄積部に蓄積された部分情報のそれぞれのタイムスタンプを比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づき前記第1の入力部からの部分情報の出力を停止すると共に前記蓄積部に蓄積された部分情報を出力する切替え手段と、を備えて情報を中継することを特徴とする。
また、本発明の第2の基本構成に係るリアルタイムデータ用情報中継システムは、時系列的に順序管理されてその利用がタイムスタンプにより管理されているデータであるリアルタイムデータを入力する入力ポートと、前記リアルタイムデータを出力する出力ポートと、前記入力ポートから入力する前記リアルタイムデータの時間的に先行する部分を蓄積する蓄積部と、前記入力ポートから入力した前記リアルタイムデータを前記出力ポートへ出力すると共にこのリアルタイムデータのタイムスタンプを監視し、前記出力ポートから出力する情報と同じ情報を前記蓄積部から送信できると判断した場合に、前記出力ポートから出力する情報を前記入力ポートから入力した情報から前記蓄積部に蓄積している情報へと切替える切替え手段とを具備して情報を中継することを特徴とする。
また、本発明の第3の基本構成に係るリアルタイムデータ伝送用情報提供システムは時系列的に順序管理されてその利用がタイムスタンプにより管理されているデータであるリアルタイムデータの伝送に必要な品質が保証される第1の通信手段と、前記第1の通信手段とは別の第2の通信手段と、蓄積されたリアルタイムデータを前記第1の通信手段を利用して送信すると共に、前記第1の通信手段により伝送されるリアルタイムデータより時間的に先行するリアルタイムデータを前記第2の通信手段を利用して送信する送信手段と、少なくとも前記第2の通信手段により送られてきたデータを蓄積する蓄積手段と、前記第1の通信手段から送られるリアルタイムデータ及び前記蓄積手段に蓄積されたリアルタイムデータのそれぞれのタイムスタンプを監視し、前記蓄積手段に蓄積された前記第2の通信手段から送られたリアルタイムデータの再生時刻になったら、出力を前記第1の通信手段からのリアルタイムデータから前記蓄積手段からのリアルタイムデータへ切替える切替え手段と、前記切替え手段からの出力を受信して前記リアルタイムデータを再生する再生手段と、を有し、前記第2の通信手段に必ずしもリアルタイムデータの送に必要な品質を保証しないサービスクラスを用いることにより、効率の良い通信を実現しコストの削減を図ろうとするものである。
【0018】
また、最低限のデータ伝送レートが保証される通信手段と、蓄積されたリアルタイムデータを上記通信手段を利用して再生伝送レートが上記保証される最低限のデータ伝送レート以下になるように送信する手段と、上記送信されたリアルタイムデータを入力し、上記再生伝送レートで出力する蓄積手段(FIFO)と、上記蓄積手段からの出力を受信して上記リアルタイムデータを再生する再生手段とを有し、同じく効率の良い通信を実現しコストの削減を図ろうとするものである。
【0019】
上記の方法は、特に、VODのような蓄積型のデータを実時間でサービスする場合に通信コストを低減する方法として有効である。画像提供の要求を受けたサーバシステムは、1本の映画など情報源の初めから順方向に実時間で要求を出した受信装置に情報提供を始める。その場合の品質としては実時間性、低セル廃棄特性が必要であるから、CBRのような品質保証が十分なされるクラスを用いている。一方、その呼の提供と同時に、非実時間ではあるが、安価なベストエフォート通信クラス、たとえば、ABR、あるいは、UBRなどを第2の通信路としてもちいて、実時間提供の必要の無い情報、例えば、その情報源の最後尾部から時間を遡る方向に情報を同じ受信装置に配送する。受信装置としては、CBRを介して転送されてきた実時間情報はそのまま、さらに下流に転送する。一方、ベストエフォートで転送された非実時間情報は、蓄積装置に蓄えていって、実時間情報と同じ情報まで至った時点で、実時間用の高品質クラスの呼を解放する。その時点以降の情報は既に蓄積装置に蓄えられているからCBRでの転送の必要はない。
【0020】
つまり、1つの情報源の転送としてみると、高品質クラスの呼確保を要求する時間としては、第2のクラスの通信路によって転送される情報分は不要になり、その分は低い通信コストで転送される。
【0021】
特に、第2の情報路をベストエフォートクラスとすれば、転送が極めて効率よく行える。すなわち、上記の6MbpsのMPEG情報通信で考えてみると、実時間情報通信路は伝送路の帯域にかかわらず、6Mbpsで転送されなければならない。しかし、非実時間情報側が使用するベストエフォートクラスでは、ギャランティクラス以外の空いた帯域を無駄なく使用して情報転送するから、もしも他のユーザからの情報提供要求がなければ、155Mbps−6Mbps=149Mbps分はベストエフォートクラスが使用できる。したがって、実時間情報側よりも、20倍以上の帯域で転送することができ、情報の大部分をベストエフォートクラスで転送することと等価になる。もちろん、他のユーザが同時に情報提供を要求している場合はこれほどの効率はでない。一般的には、通信路設計では、大群化効果等、呼の非同期性など前提に帯域設計を行うが、そこで、帯域にある一定基準で余裕をもたせている。これが、セルレベルでの帯域使用効率という点からATMの運用上でみると現実的には空き帯域がかなりあると期待できる。たとえば、セルレベルでの帯域使用効率を50%でネットワーク設計すれば、残りの50%はベストエフォートクラスで使用することができ、CBRで情報転送するコストと比較するとその半分はベストエフォートクラスのコストで安価に転送できることになる。
【0022】
また、こういう品質の異なる複数クラスを用いた多重伝送方式は、特に、ユーザ要求が多重されるサーバ装置に近い大容量伝送路を用いるコアネットワークで有効であり、個々の家庭へのアクセスネットワークの伝送路では、必ずしも必要ないかもしれない。そういう場合は、上記の複数クラスを受信し非実時間情報蓄積する装置自体は、各家庭、あるいはユーザではなく、コアネットワークとアクセスネットワークとの間に置かれるヘッドエンドなどの中間装置にもつ機能として提供することにより、ネットワーク全体のコストパフォーマンスのよいシステムが提供できる。
【0023】
さらに、上記リアルタイムデータを蓄積する手段は、リアルタイムデータを複数のデータセグメントに分割して管理し、その蓄積容量が飽和状態になったと見なした場合に、蓄積されているリアルタイムデータの最終アクセス時刻からの経過時間と、リアルタイムデータの先頭から各データセグメントの最後までの所用再生時間とから、各データセグメントの消去順序を決定するので、上記リアルタイムデータを蓄積する手段の蓄積容量が飽和状態になって、アクセス頻度の低いビデオソースを消去する必要が生じても、ビデオ単位で消去するのではなく、ベストエフォートクラスで伝送するのに適するビデオソースの先頭から遠い部分から消去し、再度アクセスがあった場合に上記CBR伝送する必要の生じる確率を低くすることができる。
【0024】
上述の課題を解決するために、本発明においては、時系列的に順序管理されたリアルタイムデータを蓄積する複数のデータ蓄積手段と、該リアルタイムデータを伝送する通信手段と、該リアルタイムデータを受信して再生する再生手段と、該通信手段の通信資源を管理し、該データ蓄積手段と再生手段との間に通信路を設定する通信網資源管理制御手段と、該データ蓄積手段が蓄積しているリアルタイムデータの種類を管理するとともに、該データ蓄積手段が同時に送信可能なリアルタイムデータの数を管理し、要求されたリアルタイムデータを送信すべきデータ蓄積手段を決定する蓄積資源管理制御手段と、ユーザからのサービス要求を受け付け、該通信網資源管理制御手段と該蓄積資源管理制御手段とから得た資源状態に基づき、通信網資源管理制御手段および蓄積資源管理制御手段に対して資源の予約を指示し、選択された場合に即座に提供可能なリアルタイムデータのみを選択候補としてユーザに通知するサービス制御手段とを有し、即座に提供することを保証できるリアルタイムデータをあらかじめユーザに通知し、その中から選択させることにより、必要とするリアルタイムデータをインタラクティブに選択するためにユーザが費やした時間と労力が無駄になるのを防止し、ユーザの利便性の向上を図るものである。
【0025】
また、上記サービス制御手段は、資源の予約が選択されたとしても十分な資源の予約が成立していないリアルタイムデータについては、即座に提供することを保証しない選択候補としてユーザに通知するように構成してもよい。このように構成することにより、各リアルタイムデータを即座に提供することを保証するか否かをあらかじめユーザに通知し、必要とするリアルタイムデータをインタラクティブに選択するためにユーザが費やした時間と労力が無駄になるリスクを犯すか否かの判断をユーザの判断に委ねることにより、ユーザの利便性の向上を図るものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明は、特にVODのような蓄積型のデータを実時間でサービスする場合に通信コストを低減する方法として有効である。画像提供の要求を受けたサーバシステムは、1本の映画など情報源の初めから順方向に実時間で要求を出した受信装置に情報提供を始める。その場合の品質としては、実時間性、低セル廃棄特性が必要であるから、CBRのような品質保証が十分なされるクラスを用いる。一方、その呼の提供と同時に、非実時間ではあるが、安価なベストエフォート通信クラス、例えば、ABR或いはUBRなどを第2の通信路として用いて、実時間提供の必要の無い情報、例えば、その情報源の最後尾部から時間を遡る方向に情報を同じ受信装置に配送する。
【0027】
受信装置としては、CBRを介して転送されてきた実時間情報はそのまま、さらに下流に転送する。一方、ベストエフォートで転送された非実時間情報は、蓄積装置に蓄えていって、実時間情報と同じ情報まで至った時点で、実時間用の高品質クラスの呼を解放する。その時点以降の情報は既に蓄積装置に蓄えられているからCBRでの転送の必要はない。
【0028】
つまり、1つの情報源の転送としてみると、高品質クラスの呼確保を要求する時間としては、第2のクラスの通信路によって転送される情報分は不要になり、その分は低い通信コストで転送される。特に、第2の情報路をベストエフォートクラスとすれば、転送が極めて効率よく行える。
【0029】
すなわち、上記の6MbpsのMPEG情報通信で考えてみると、実時間情報通信路は伝送路の帯域にかかわらず、6Mbpsで転送されなければならない。しかし、非実時間情報側が使用するベストエフォートクラスでは、ギャランティクラス以外の空いた帯域を無駄なく使用して情報転送するから、もしも、他のユーザからの情報提供要求がなければ、155Mbps−6Mbps=149Mbps分はベストエフォートクラスが使用できる。
【0030】
したがって、実時間情報側よりも20倍以上の帯域で転送することができ、情報の大部分をベストエフォートクラスで転送することと等しいことになる。もちろん、他のユーザが同時に情報提供を要求している場合にはこれほどの効率で転送することはできない。一般的には、通信路設計では、大群化効果等の呼の非同期性などを前提に帯域設計を行なうが、そこで、帯域にある一定基準で余裕をもたせている。これが、セルレベルでの帯域使用効率という点からATMの運用上でみると現実的には空き帯域がかなりあると期待できる。たとえば、セルレベルでの帯域使用効率を50%でネットワーク設計すれば、残りの50%はベストエフォートクラスで使用することができ、CBRで情報転送するコストと比較するとその半分はベストエフォートクラスのコストで安価に転送できることになる。
【0031】
またこういう品質の異なる複数クラスを用いた多重伝送方式は、特にユーザ要求が多重されるサーバ装置に近い大容量伝送路を用いるコアネットワークで有効であり、個々の家庭へのアクセスネットワークの伝送路では、必ずしも必要ないかもしれない。そういう場合は、上記の複数クラスを受信し非実時間情報蓄積する装置自体は、各家庭、あるいはユーザではなく、コアネットワークとアクセスネットワークとの間に置かれるヘッドエンドなどの中間装置にもつ機能として提供することにより、ネットワーク全体のコストパフォーマンスのよいシステムが提供できる。
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明は全て動画像データの伝送に関して行なうが、伝送されるデータは必ずしも動画像に限る必要はなく一般的なリアルタイムデータであれば動画像以外のデータ(例えばオーディオデータなど)であってもよい。
【0033】
ここで本発明で対象としているのは、データが時系列的に順序管理されているようなデータ、あるいはより限定していえばそのデータの利用がタイムスタンプなどの時間情報によって管理されているような性質のデータに関する装置及びシステムであり、本発明ではこれらのデータを総括してリアルタイムデータと称している。
【0034】
なお、一般にリアルタイムデータの伝送についてはMPEG System規格に代表されるような多重化伝送フォーマットにおいてタイムスタンプがつけられ、時間管理されている場合が多い。本発明においてもこのような場合を想定する。
【0035】
図2は、VODシステムの一般的な構成を示す図である。システムは図に示すように大きく分けてサーバー101、ネットワーク、セットトップユニット(STU:受信端末)104の3つからなる。ネットワークはさらにコアネットワーク102とアクセスネットワーク103に分かれる。
【0036】
図1は本発明に係る情報提供システムの第1の実施の形態としての動画像伝送システムの構成を示す図である。図で、コアネットワークとアクセスネットワークの間には、例えばCATVシステムでいうヘッドエンドと呼ばれる施設があるような場合を想定している。この場合、ヘッドエンドから先はアクセスネットワーク(CATV−CAble TeleVision−網)でSTUまでつながれている。
【0037】
図1において、201はビデオソースを蓄えた蓄積装置で、ビデオソースの先頭から出力するポート201aとビデオソースの最後尾から出力するポート201bの2つのポートを有している。各ポートに接続されている符号202、203はネットワーク終端装置であり、ネットワーク終端装置202はCBRまたはVBRのように通信品質が保証されたサービスを用いて通信を行なう。ネットワーク終端装置203はABRまたはUBRのような通信品質を必ずしも保証しないサービスクラスを用いて通信を行なう。これらはコアネットワーク204を介してヘッドエンド212に接続している。ヘッドエンド212のコアネットワーク側のネットワーク終端装置が205及び206である。
【0038】
蓄積装置201は1クライアントに対して論理的に少なくとも2つのポートを提供でき、1つのリアルタイムデータストリームに時間的に2点以上からアクセスすることのできる蓄積装置である(図1ではポート、ネットワーク終端装置、回線が各々2つ書かれているが、これは論理的に2つであることを示すものであって、物理的にはむしろ1つであることも多い。また、時間的に異なる2点以上からのアクセスはマルチクライアントをサポートするサーバーシステムでは通常サポートされている仕様であり、多くは時分割によるアクセスによって実現される)。
【0039】
蓄積装置201はポート201aを使ってリアルタイムの動画像データを回線213に流す。回線213を流れるサービスはCBRまたはVBRであるので、ビットレート、遅延に対してサービス品質が保証されている。このデータはネットワーク終端装置205を通してスイッチ209に送られると同時に、ネットワーク終端装置205においてタイムスタンプが検知され、検知されたタイムスタンプはストリーム制御回路208に送られる。スイッチ209は2入力のうち一方をアクセスネットワークに乗せ換え、STUにサービスが行なわれる。
【0040】
一方、品質を保証しないサービスを用いる回線214では、送れるビットレート、誤り率などが必ずしも保証されない(ベストエフォート)、蓄積装置201は回線を使ってビデオソースの最後尾からビデオデータを送る。最後尾から送られたビデオデータはネットワーク終端装置206で必要に応じて誤り訂正または再送要求を行うなどして誤りのないデータとして蓄積装置207に送られ蓄積される。この際、ネットワーク終端装置206では送られたデータのタイムスタンプを見てその値をストリーム制御回路208に通知する。ここで、回線214より送られるデータは最後尾より時間をさかのぼる方向に送られてくるので、タイムスタンプの値も減少する方向に検知されるはずである。
【0041】
ストリーム制御回路208はネットワーク終端装置205、206より送られてくるタイムスタンプを常に監視している。ストリーム制御回路208はスイッチ209に対して、常に時間的に早いタイムスタンプがついている方のストリームを出力するように制御信号を送る。言い換えると、ネットワーク終端装置205からのタイムスタンプがネットワーク終端装置206からのタイムスタンプよりも小さい値である場合ネットワーク終端装置205からの出力がアクセスネットを通してSTUに送られるように、逆の場合蓄積装置207からの出力がアクセスネットを通してSTUに送られるように制御信号を送り制御する。並行して、両者の関係が初めて逆転すると同時に、蓄積装置207に制御信号を送ってネットワークからのデータの蓄積を停止するとともに蓄積したデータをタイムスタンプの小さな値が付いた方から再生するように要求する。この時点でアクセスネットを介してSTUに送られる画像データはコアネットワーク経由から蓄積装置207経由に切り替えられる。切り替えを確認後ストリーム制御回路208はネットワーク終端装置205、206に対してサーバー側とのコネクションを切断するよう要求を出す。これ以降コアネットワークはこのサービスに関しては使用する必要が無くなるので、ネットワーク資源を別のサービスに振り向けることができるようになる。
【0042】
図3は全体のビデオソースに対する伝送の様子を示した図である。図3(a)に示したように出力ポート201aからは長さTのストリームの先頭から、ポート201bからは最後尾から出力する。図3(b)は同じストリームをネットワーク終端装置205からくるストリームと207からくるストリームに分けたものである。図でタイムスタンプ値がT0の時に両者のタイムスタンプ値の大小関係が逆転し、スイッチ209からの出力が切り替わる。但しこの場合、図に示したように、切り替えを完全にT0の時点で行なうのではなく少しマージンを持たせた方がよい(図の重なりの部分)。この場合、T0からしばらくの間は両方のストリームが同方向に再生されるが、この両者が完全に同期したことを確認した時点でスイッチを切り替えるように制御すれば、切り替えによる不連続が生じることなく自然にストリームの切り替えが行なわれる。
【0043】
また、上述の説明における最後尾からのアクセスとは、必ずしもビットごとの逆転を意味するものではなく、何らかの単位ごとに最後尾からデータを取ってくることを意味するものである。蓄積した後に逆順で読み出しを行なうので、蓄積装置207において逆順の読み出しを行なったときにもとのデータを順方向から読み出したのと同じようにビットが並ぶようにする必要があり、これを実現するのが容易な単位は蓄積媒体の種類に依存する。例えば、蓄積装置にハードディスクを使用している場合、アクセスの単位はトラックになるので、この単位で後ろから読み出してきて伝送することなどが考えられる。
【0044】
以上の説明ではポート201bから伝送するソースは最後尾からとして説明したが、長いソースの場合必ずしも最後尾でなくてもよく、全体を何分割かして各分割に対して上記のような処理を行なってもよい。この場合、上記で説明したストリームの切り替え、コネクションの設定、切断が分割の回数だけ繰り返されることになる。
【0045】
また、以上の説明は蓄積装置に蓄えられるデータは実時間で再生されるデータと同時に送信される実施例であったが、ここに蓄えられるデータは必ずしも同時に送信されるのではなくあらかじめ蓄えられている場合も考えられる。これは例えば蓄積装置を複数のクライアントで共有する場合であって、別のクライアントが既に見た番組をアクセスする場合に前のクライアントのために蓄えられたデータが既に蓄積装置内にあり、再利用できるような場合などである。
【0046】
また、以上の説明ではヘッドエンドに蓄積装置を配置した第1の実施の形態につき説明したが、図4に示す第2の実施の形態のように図1の構成要素205〜209の構成をそのままSTUに配置しても同じ主旨の発明を実施することが可能である(動作の説明は図1の第1の実施例の場合と同様のため省略する)。この場合、STUを使用するクライアントがビデオソースよりも短い時間でコネクションを切断できることになり、CBRのコネクションよりもABRのコネクションの方が伝送単価が安い場合、サービスを受けるユーザのコストを下げることができる。
【0047】
構成のみを簡単に説明すると、図4に示す、第2の実施の形態に係る情報提供システムは、動画像データを蓄積しているサーバ400と、コアネットワーク404と、アクセスネットワーク410と、セットトップユニット(STU)411と、を備えている。前記サーバ400は、ポート401a及び401bを有する蓄積装置401と、ポート401aと回線413との間に設けられるネットワーク終端装置402と、ポート401bと回線414との間に設けられるネットワーク終端装置403と、を備えている。前記セットトップユニット(STU)411は、回線413及び414にそれぞれ接続されるネットワーク終端装置405及び406と、ネットワーク終端装置406を介して供給される動画像データを蓄積する蓄積装置407と、回線413及び414を介して供給されるデータのタイムスタンプ(T・S)をそれぞれ検知して時間的に早いタイムスタンプ(T・S)のついている方のデータストリームを出力するようにスイッチ409に切換信号を出力すると共に蓄積装置407に蓄積を停止する制御信号を出力するストリーム制御回路408と、ネットワーク終端装置405からのデータと蓄積装置407からのデータとをストリーム制御回路408の切換信号により切換えるスイッチ409と、そして、スイッチ409により切換えられて順次供給されるデータを復号するデコーダ412と、を備えている。
【0048】
また、以上の説明においては、クライアントが特殊再生を要求した場合についての対応が説明されていなかったが、特殊再生のうち早送り、スロー再生、ポーズについては従来の場合と同様問題なく対応できる。問題となる可能性のあるのは出力が蓄積装置に切り替わった後の逆転再生(高速、スローを含む)とランダムアクセスである。これに対応する方法としては、(1)上記の要求が出た時点で品質が保証されているサービス側の回線を再発呼し、サーバーからのサービスを再スタートする。(2)実時間再生している方のデータも蓄積装置に蓄積し、ここに蓄積されたデータで対応する等が考えられる。
【0049】
また、別の適用環境として、サーバーとヘッドエンド間のコアネットワークに通信品質が保証された回線が専用線のように永続的に設定されている場合にも本発明は有効に作用する。例えば、コアネットワークに複数のCBR回線(またはVBR回線)を(半)永続的に設定し、それを複数のビデオデータが共用して使用する構成を考える。本発明では、サーバーからコアネットワークにて転送されるビデオデータは、ヘッドエンドを経由してSTUへそのまま再生する即時データと、ヘッドエンドの蓄積装置に一時的に蓄積される一時記憶データの2種類がある。一時記憶データは、例えばビデオデータの最後尾部から時間を遡る方向に転送されるデータである。従来は複数のCBR回線を即時データのみが共用していた。このときビデオデータ転送要求の発生に対して十分高い確率で空きCBR回線を得るために、複数のCBR回線の利用率をある程度低くしておく必要があった。これではCBR回線の本来の転送能力を十分に生かしているとはいえなかった。
【0050】
本発明では、ビデオデータの時間的に先行する部分を一時記憶データとして従来使用していなかった空きCBR回線を利用してヘッドエンドに転送するという使用法に適用することも可能である。すなわち、ヘッドエンドの蓄積装置はそのビデオデータを一時的に蓄積する。即時データとしてSTUへ転送しているビデオデータと同じものを蓄積装置が再生できるとわかったら、即時データが使用しているCBR回線を空きに戻し、STUには蓄積装置から再生したビデオデータを伝送する。この様に本発明は即時データがCBR回線を使用する割合を低下させることができるわけである。この場合、一時記憶データよりも即時データのCBR回線使用の優先度を高く設定するとより効果が得られる。新たなビデオデータ転送の要求があった時、空きCBR回線が無ければ一時記憶データが使用しているCBR回線の利用を中断し、代わりに即時データがその回線を使用するわけである。このようにしてもSTUにて再生されるビデオデータの品質が悪化することはなく(一時的に即時データで転送するビデオデータの割合が高くなるだけである)、再び空きCBR回線が発生した場合に一時記憶データの転送を再開すれば良い。
【0051】
次に、図5により蓄積手段207の読み出しレートにつき説明する。ここでは前述したようにAV多重方式としてMPEGシステムを想定しているが、MPEGシステムで多重されたビットストリームには、符号化ソースが持つクロックを使ってクロック参照情報が書き込まれている。理想的には符号化ソースが想定している伝送ビットレートで蓄積手段207を読み出すべきである。これを実現するために通常は図5のような構成でローカルに符号化ソースのクロックを再生し、そのクロックを元に読み出しを行う。図5で、501は物理媒体としての蓄積手段である。ここに蓄積されたデータを読み出してクロック参照情報読み出し手段502でMPEGシステムの解読を一部行いクロック参照情報読み出す。クロック参照情報はソースクロックで動作するカウンタ値をサンプルとしたものである。この情報はカウンタ504と電圧制御発振器(以下、VCO−Voltage Controlled Oscilator−という)503、低域通過フィルタ505、減算器506よりなるフェーズロックループ(以下、PLL−Phase Locked Loop −という)に送られる。動作開始時にまずカウンタにクロック参照情報がカウンタの初期値としてセットされる。カウンタ504はVOC503のクロックで動作するカウンタで、その出力はクロック参照情報が読み出される度に減算器506でクロック参照情報との差分がとられ差分は低域通過フィルタ505を経てVCO503に入力される。この動作によりVCOは符号化ソースのクロックにロックして安定したときに差分が0となるようになる。このようにして符号化ソースのクロックがローカルに回復され、このクロックに基づいて蓄積手段501のデータが読み出される。ちなみに蓄積装置201のポート201a側の読み出しも基本的にはこれと同じ動作である。読み出されたデータはスイッチ209、図示されていないアクセスネットワーク側のインタフェースを経て伝送されるが、アクセスネットワーク側の伝送クロックはスイッチ209の切り替えによっても不変であり、更に一般にこのクロックは符号化ソースが持つクロックとは独立のクロックである。図4の第2の実施の形態では同様の動作でもよいし、蓄積装置407はローカルであり読み出しレートはデコーダ412にとって制御可能であるので、スイッチ409を蓄積装置407に切り替えた後はローカルなデコーダのクロック(スイッチ切り替え前は上述の方法で符号化ソースのクロックに同期していたもの)が自走して動作するようにしても特に問題はない。
【0052】
次に図6により本発明において更に機能を追加した場合の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態も図2、図4のように蓄積手段が存在する位置で2つのバリエーションがあり得るが、簡単のためここでは図4と同じ蓄積装置がSTU側にある場合の構成についてのみ説明する。基本的な動作は図4の実施の形態と同様なので、動作が同じ部分の説明は省略する。
【0053】
蓄積装置601は、ビデオソースの先頭から出力するポート601aとビデオソースの最後尾から出力するポート601bの2つのポートを持っている。この実施例ではネットワーク終端装置602はCBR、603はUBR(またはより一般的にはインターネットのようなベストエフォートサービスを行う独立した回線などでもよい。)を使って通信すると想定している。
【0054】
通信開始時にSTU側の通信制御手段621はサーバー側の通信制御手段617に対して蓄積装置607の使える容量を申告する。実際にネットワーク終端装置603側を通って伝送されるデータの量はデータ量カウント手段615でカウントされ、この値が申告された値と等しくなったら、蓄積手段607はいっぱいであると判断して、データ量カウント手段615は出力ポート603からの先行データの伝送を停止するように蓄積手段601、ネットワーク終端装置603に制御信号を送る。
【0055】
これとは別に、通信開始時にSTU側は通信モードとして出力ポート601aのみを使った通信と出力ポート601a及び601bを使った通信のどちらかを選択できる。これは、コンテンツの内容によって先送りが有効な場合とそうでない場合があるからである。例えば、映画のように継続時間が長く最初から最後まで見られる可能性の高いコンテンツの場合先送りは有効であるが、スポーツの結果、とりわけ相撲などのように短い時間ごとに独立した内容が数多く集まって全体を形成しているようなコンテンツの場合、先送りをした部分が見られず捨てられてしまうかもしれず先送りがかえってコスト高になる可能性もある。このようなコンテンツに対してはCBRの伝送のみにすることができるように、通信開始時(コンテンツ選択時)に通信制御手段621と617の間でその選択信号をやりとりする。あるいはサーバー側でコンテンツとモードの対応をあらかじめ設定するようにしてもよい。
【0056】
さて、UBRあるいはより一般的なインターネットのような回線では、誤りに対する保証がない。そこでこのサービスを利用する回線ではサーバー側の誤り検出符号化手段616で誤り検出符号を付加し、STU側の誤り検出手段620で誤りを検出、誤りが検出された伝送単位については通信制御手段621を介して再送を要求するようにすることも有効である。図2、図4の実施例ではそのようなことは行っていないので、誤りはデコーダでコンシールされることが想定されている。ビデオのデコーダはデコーダレベルで存在し得ないビットの並びなどの誤りを検出すると前のフレームの画像を出力するなど誤りを隠すように動作するものがあるため、誤りがあるままでも動作が大きく破綻することはないが、再送により誤りを正しておいた方が品質は向上する。オーディオについては誤りの影響はいっそう顕著である。誤り検出の代わりに誤り訂正を行ってもよいが、UBRで伝送するデータは実時間では再生しないので、検出と再送とを行なうのみで十分である。
【0057】
本実施の形態ではSTUの中に蓄積装置607があり、伝送されたリアルタイムデータの一部が蓄積装置に残って後からでもアクセス可能になる点が著作権の関連で好ましくないこともあり得る。このため、蓄積手段607はコンテンツの終わりを表す符号を検出する手段622を具備し、この符号を検出した後自動的に蓄積内容を消去するようにしてもよい。
【0058】
また、別の実現形態では、画像提供の要求を受けたサーバシステムは、1本の映画などを、必ずしも実時間性は保証されないが最低データ伝送レート、低セル廃棄特性が保証されるABRの通信路をもちいて情報源の初めから順方向に伝送する。この際、最低限保証されるデータ伝送レートを映画などをリアルタイムで再生するのに十分な再生伝送レートになるようにして伝送する。これにより再生伝送レートを最低限確保し、帯域に余裕があれば更にそれ以上の伝送レートで伝送することが可能になる。帯域の余裕により先行して伝送されたリアルタイムデータは、送信手段と再生手段の間にあるFIFOに滞留し、再生に必要になる時点で引き抜かれる。これはFIFOからの出力を再生伝送レートと一致させることにより実現される。この場合、転送に使われる通信路は全体がベストエフォートクラスであり、全体をCBRで伝送するのと比較して低い通信コストで実現される。
【0059】
次に図7を用いて本発明に係る第4の実施の形態を説明する。本実施の形態も図2、図4のように蓄積手段が存在する位置で2つのバリエーションがあり得るが、簡単のためここでは図4と同じ蓄積装置がSTU側にある場合の構成についてのみ説明する。本件も図4の実施例と同様の動作をする部分の説明については省略する。
【0060】
本実施の形態ではABRのサービスクラスを提供する回線713一本のみでリアルタイムデータを伝送する。ABRでは最低限保証される伝送レート(MinRと表す)とピークレート(PeakRと表す)等のパラメータを申告して通信を行う。すなわちMinRの帯域を最低限確保した上で帯域に余裕があれば最大PeakRまでの伝送レートが得られる。そこで今送ろうとするリアルタイムデータをリアルタイムで再生するための伝送レートをRrとすると、Rr≦MinRとなるように申告して伝送すれば受信側にデータが必要な時刻よりも遅れて到着することは起こらない。この方法で図の先入れ先出し情報蓄積手段(以下、FIFO−First‐in First‐out−という)707の入り口までリアルタイムデータを伝送する。FIFO707の出力の読み出しレートは図5で説明した原理により決定し、Rrの速度で読み出してデコーダ712に入力し、リアルタイムで再生される。FIFO707には実際の伝送レート「−Rr」の積分値が蓄積されていく。最終的に送信側でデータを全部送り終わった時点で残っているこの積分値のデータは、ネットワーク帯域の余裕により送ることができた分であり、本質的にこの分をCBRで伝送するのに比べて安い伝送コストで送ることができる。FIFO707に蓄積されたデータ量は蓄積データ量監視手段722により監視されており、この蓄積データ量を基に通信制御手段718,717を介した制御信号により送信側のMinRを越える伝送レートの範囲について制御される。これは、FIFO707の容量が有限で送信されるリアルタイムデータの最大値全部を蓄積する容量(=T(1−MinR/PeakR)、T:全データ量)に満たない場合に、FIFO707がオーバーフローしないようにするためである。一番簡単な方法は、FIFO707がある値Th1になった時点以降は送信側の伝送レートをMinRとするように制御するものである。この様子を図8に示す。Th1は以下の関係から求められる。
【0061】
F=N/MinR*(MinR−Rr)+Th1
N=T−Rr*t−Th1
ただし、F:FIFOの容量
t:今までの再生時間
N:送信側に残っているデータ量
また、ABRは必ずしも遅延に対する保証をしてくれないので、遅延に対するモデル化を行うなどにより確率的に発生しても許容される遅延量Dを求め、Th2=D*RrだけFIFO707にデータがたまった後FIFO707以降の部分の動作を開始するようにしてFIFO707のアンダーフローの確率を許容範囲内におさえることが有効である。
【0062】
また、オーバーフローについては、現状ではサポートされていないが将来シグナリングにより呼を接続したまま帯域を変更することができるようになれば、その機能を利用することも有効である。
【0063】
以下、図面を参照して本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0064】
以上説明した種々のバリエーションのうち特にネットワーク内に蓄積手段を有する図2などの情報提供システムにおいては、上記ビデオデータの蓄積装置の持つ蓄積容量は有限であるため、蓄積容量が飽和状態に達した場合には、新たなビデオデータを蓄積するために古いビデオデータを消去する必要が生じる。この場合、各ビデオデータを複数のセグメントに分割して管理しておき、各ビデオデータの最終アクセス時刻からの経過時間と各セグメントのビデオデータの先頭からの所用再生時間とから、各セグメントの消去順序を決定し、上記ベストエフォートクラスでの伝送に適するセグメントから優先的に消去することによって、再度同じビデオソースへのアクセスがあった場合に、上記CBR回線による伝送の必要性を低下させ、通信リソースのさらなる有効利用が図れる。この場合、ベストエフォートクラスでの伝送に適するセグメントを優先する消去順序の決め方は、例えば以下のようにすれば良い。
【0065】
今、ビデオソースiの最終アクセス終了時刻からの経過時間をtiとし、ビデオソースiの先頭からj番目のセグメントの最後までの所要の再生時間をTijとする。このとき、ビデオソースiのセグメントjの優先度Pijを
Pij=ti×Tij
で与え、Pijの値の大きい順に消去する。図9はこの様子を示したもので、縦軸は最終アクセス終了時刻からの経過時間、横軸はビデオソースの先頭からセグメントの最後までの所用再生時間を表し、4つのビデオソースが蓄えられている場合を示している。各ビデオソースは複数のセグメントに分割されており、その長さは必ずしも等しくはない。図9では1つのビデオソースに含まれるセグメントの長さは等しく描かれているが、必ずしも等しい必要はない。各セグメントの中に示された数字はPijの値を表し、各セグメントの上に括弧付きで示された数字は消去順序を表している。即ち、最終アクセス終了時刻からの経過時間の長いビデオソースほど、また各ビデオソースの先頭から遠いセグメントほど、優先的に消去されることが分かる。図9では、同じPijの値を持つセグメントがあった場合、先頭からの所用再生時間の大きいセグメントが優先されているが、これは一例であって最終アクセス終了時刻からの経過時間の大きいセグメントを優先しても構わない。上記のように各セグメントの消去順序を決めることにより、消去され始めたビデオソースが再度アクセスされた場合でも、CBR回線を使用することなく、ベストエフォートクラスのみで消去されたセグメントの再送を行えば良いので、通信コストの低減が図れる。
【0066】
また、上記ビデオソースiのセグメントjの優先度Pijの計算は、消去を行う必要が起きる度に行う必要があり、計算にはある程度の時間を必要とするので、蓄積容量の空きがある値以下になった場合にPijを計算しセグメントの消去を行って、ある値以上の空き容量を常に確保しておくことが望ましい。
【0067】
図10は、VODシステムの一般的な構成を示す図である。このシステムは、図に示すように大きく分けてサーバ、ネットワーク、セットトップ(STU:受信端末)の3つからなる。サーバはさらにセンターサーバ901とローカルサーバ903及び904とに分かれ、ネットワークはさらにコアネットワーク902とアクセスネットワーク905及び906とに分かれる。アクセスネットワーク905及び906は、例えば一定数の加入者のいる地域ごとに設けられる加入者収容のための網であり、コアネットワーク902は、複数のアクセスネットワーク905及び906を相互接続する広域ネットワークである。また、一般にローカルサーバ903及び904はアクセス頻度が高いと予想されるビデオソースを蓄積し、一定の加入者のいる地域ごとに配置され、センターサーバ901はアクセス頻度が低いと予想されるビデオソースを蓄積し、ユーザから比較的遠いセンターに配置され、高速広帯域のコアネットワーク902を経由してアクセスされる。HFC(Hybrid Fiber Coax)と呼ばれるCATVシステムを例にとって言えば、STU907ないし910とツリー状に繋がった同軸ケーブルによるCATV網がアクセスネットワークを構成し、光ファイバー網で構成されるコアネットワーク902とアクセスネットワーク905及び906との接続点に設置されたヘッドエンド(HE)を少なくとも一つ包含する地域毎にローカルサーバ903及び904を配置し、光ファイバー網の比較的遠方にセンターサーバが配置される。
【0068】
図11は、本発明に係るVODシステムの第5の実施の形態の構成を示す図である。図11で、1001は比較的アクセス頻度の低いビデオソースを蓄えたセンターサーバ、1005、1006は比較的アクセス頻度の高いビデオソースを蓄えたローカルサーバで、コアネットワーク1002に通信路1014、1015、1016により、サーバリソース管理制御装置1003へ各サーバのリソース状態を通知するとともに、サーバリソース管理制御装置1003の指示によって通信路1019を介してユーザ端末の接続されたSTU1010へのビデオ送信を行う。各サーバのリソース状態には、各サーバの蓄えているビデオソースの種類、各ビデオソースへの同時アクセス数、各サーバのサービス中のユーザ数などが含まれる。同一のビデオソースへの同時アクセス数やサーバごとの同時サービス可能なユーザ数には上限が存在するので、既にこの上限に達している場合には新たなサービス要求を受け付けることはできない。サーバリソース管理制御装置1003は、サーバリソース状態を通信路1017を介してサービス制御装置1007に通知する。通信路1019はネットワークリソース管理制御装置1004により設定される。ネットワークリソース管理制御装置1004は、コアネットワーク1002に含まれる伝送路の帯域や交換ノードのバッファ量などの通信網資源を管理、制御している。伝送路の帯域や交換ノードのバッファ量には上限が存在するので、既にこの上限に達している場合には新たな通信路を設定することはできない。前記ネットワークリソース管理制御装置1004は、ネットワークリソース状態を通信路1018を介してサービス制御装置1007に通知する。
【0069】
新たにVODサービスを受けようとするユーザ1010は、シグナリング手段を用いてネットワーク管理制御装置1004に要求を出し、サービス制御装置1007との間に通信路1020を設定してもらい、サービス制御装置1007に対して、新たなVODサービスの開始を要求する。サービス制御装置1007は、ローカルサーバ1005、1006、センターサーバ1001のそれぞれとユーザ1010との間にビデオ伝送のための通信路を設定可能か否かを判断し、設定可能なサーバとの間の帯域予約を通信路1018を介してネットワーク管理制御装置1007に対して行う。この場合、ビデオ伝送のために必要な帯域としては、サーバ上に等しいビット速度で符号化されたビデオソースのみが蓄積されている場合はそのビット速度に相当する帯域を、サーバ上に異なるビット速度で符号化されたビデオソースが混在して蓄積されている場合は最低速度に相当する帯域以上最高速度に相当する帯域以下で、最も大きい帯域を確保する。異なるビット速度のビデオソースが混在し、最高速度に相当する帯域まで帯域が確保できなかった場合は、確保できた帯域を超えるビットレートのビデオリソースは提供不可能となる。サービス制御装置1007は、さらに帯域予約ができたサーバのリソース状態から、ユーザからの要求があれば即座に提供可能なビデオソースを選択し、サーバリソース予約を通信路1017を介してサーバリソース管理制御装置1003に対して行う。
【0070】
サービス制御装置1007は、ネットワークリソースとサーバリソースの両方が確保できたビデオソースについては即座に提供可能として、ネットワークリソースかサーバリソースかの少なくとも一方が確保できないビデオソースについては提供不可能として、リソース予約処理途中のビデオソースについては即座に提供可能か否か保証できないビデオソースとしてそれぞれ識別し、それに基づいて選択候補をユーザ1010に通信路1020を介して通知する。この場合の通知方法としては、文字によるビデオタイトル一覧であっても、ビデオ内容を示すグラフィック表示やアイコン表示、あるいはそれらの組み合わせであってもよく、その形式には全く依存しない。ユーザ1010は、サービス管理制御装置1007から通知された選択候補から希望のビデオソースを選択し、通信路1020を介してサービス制御装置1007に通知する。サービス制御装置1007は、ユーザの選択したビデオソースを提供すべきサーバ(例えばローカルサーバ1005)を決定し、ローカルサーバ1005とユーザ1010との間にビデオ伝送のための通信路1019の設定を、通信路1018を介してネットワークリソース管理制御装置1009に指示する。ネットワークリソース管理制御装置1004が通信路1019の設定完了を通信路1018を介して通知してくると、サービス制御装置1007はローカルサーバ1005の通信路1019によるユーザ1010へのビデオ伝送開始を、サーバリソース管理制御装置1003に通信路1017を介して指示する。サーバリソース管理制御装置1003は、ローカルサーバ1005に対して通信路1019によるユーザ1010へのビデオ伝送開始を指示し、ローカルサーバ1005がビデオの伝送を開始する。ビデオ送信中の巻き戻し、早送り、あるいは一時停止などの特殊再生は、通信路1019を介してユーザ1010とローカルサーバ1006との間で直接やりとりされ、制御される。
【0071】
ここで、サービス制御装置1007がユーザ1010に対して、ネットワークリソースとサーバリソースの両方の予約のできたビデオソースを即座に提供可能な選択候補として通信路1020を介してユーザ1010に通知する場合には、それらの選択候補のいずれをユーザが選択したとしても即座に提供可能であるため、ユーザが選択してから拒絶される可能性がなく、ユーザは確実なサービスを受けることが可能となる。
【0072】
また、サービス制御装置1007がユーザ1010に対して、リソース予約の処理途中のビテオソースを即座に提供可能か否かを保証しない条件付き選択候補としてユーザ1010に通知する場合には、これらの条件付き選択候補をユーザが選択したとすると、リソースが確保できずにサービスを拒絶される可能性があるが、ユーザにとっては選択肢の数が増えるメリットがあり、しかもサービス拒絶のリスクをあらかじめ知ることができるので、万一拒絶された場合にも納得性が高い。
【0073】
また、サービス制御装置1007がユーザ1010に対して、現在提供不可能なビデオソースを選択不可能な選択候補として通知する場合には、ユーザにとっては見たいビデオソースがサービスメニューに存在することを認識でき、暫く待つなどの判断基準を得られるというメリットがある。
【0074】
また、サービス制御装置1007が予約したリソースの内、ユーザの選択したビデオソースを提供するために必要なリソースのみを確保し、不要となったリソースを解放する場合には、実際のビデオ伝送には不要な帯域を別のユーザへのサービスに再利用可能となり、ネットワークリソースの有効利用を図ることが可能となる。この場合、ユーザが選択したビデオソースの一部、あるいは選択したビデオソースのハイライトシーンを集めたプロモーションビデオなどのプレビューを行うときには、通信路の予約されたネットワークリソースを使用して通信路の設定は行うが、ユーザがそのビデオソースを見ることを確定するまでは、残りのネットワークリーソスを解放は行わないようにする。ユーザがプレビューしたビデオソースを見ることを決定し、例えば課金の開始を承諾する操作を行った場合にはじめて残りのネットワークリソースを解放する。もし、ユーザがプレビューしたビデオソースが気に入らなかった場合には、設定された通信路を解放するものの、帯域の予約はもとの状態に戻す。
【0075】
また、ユーザが即座に提供することを保証できないビデオソースを選択した場合に、サービス制御装置1007が要求されたビデオソース提供に必要なビデオリソースとネットワークリソースの確保を行い、それらリソースの確保ができた場合には不要となった残りのリソースを解放し、それらリソースの確保ができなかった場合にはそのビデオソース提供の拒絶を通知することで、ユーザ自身のリスクで選択の幅を広げることが可能となる。
【0076】
一方、サービス制御装置1007がアクセスしているユーザ数よりも少ない人数分だけのリソースを、リソース不足の起こる確率がある値以下になるように予約することによって、リソースの利用効率の向上を図ることができる。1人のユーザは最終的には1つのビデオソースを選択するので、残りのリソースは最終的には使われないことになる。今104人のユーザが同時にアクセスしている場合を考える。ローカルサーバにはアクセス頻度の高いビデオソースを置くと考えられるので、各ユーザがローカルサーバ上にあるビデオソースを選択する確率が仮に80%とすると、アクセスしている104人全員がこのローカルサーバのビデオソースを選択する確率は約8.3×10−11 となる。従って、例えば103人分のリソースしか予約しなくても、リソースが不足する確率は10−10 以下となる。同様に、アクセス頻度の低いビデオソースを蓄積しているセンターサーバ上のビデオソースが選択される確率を20%とすると、15人のユーザに対して14人分のリソースを確保すれば、リソースが不足する確率を10−10 以下にすることができる。これは大群化効果と呼ばれる現象で、多くの人がランダムに選択する場合に、人数よりも少ないリソースを予約するだけで、リソース不足が起こる確率をある値以下にすることができ、リソースの効率的運用が可能となる。特に、アクセス頻度の低いセンターサーバに対するリソース確保において、大幅な効率向上が期待できる。
【0077】
次に、サービス制御装置1007がユーザ1010に対して、ネットワークリソースとサーバリソースの両方について、リソース不足の起こる確率がある値以下になるように予約したビデオソースを、即座に提供可能な選択候補として通信路1020を介してユーザ1010に通知する場合には、それらの選択候補のいずれをユーザが選択したとしても即座に提供不可能な確率はある値以下であるため、ユーザが選択してから拒絶される可能性が低く、ユーザは確実なサービスを受けることが可能となる。
【0078】
一方、サービス制御装置1007がユーザ1010に対して、リソース予約の処理途中のビデオソースを即座に提供可能か否かを保証しない条件付き選択候補としてユーザ1010に通知する場合には、それらの条件付き選択候補をユーザが選択すると、リソースが確保できずにサービスを拒絶される可能性がある。しかし、ユーザにとっては選択肢の数が増えるメリットがあり、しかもサービス拒絶のリスクをあらかじめ知ることができるので、万一拒絶された場合にもユーザはサービスが拒絶されたことを納得する可能性が高い。
【0079】
また、サービス制御装置1007がユーザ1010に対して、現在提供不可能なビデオソースを選択不可能な選択候補として通知する場合には、ユーザにとっては見たいビデオソースがサービスメニューに存在することを認識でき、暫く待つなどの判断基準を得られるというメリットがある。
【0080】
以上、本発明について具体的な例をあげて説明してきたが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、サーバはセンターサーバ、ローカルサーバの2階層構成で説明したが、3階層以上の多階層構成であってもよい。また、センターサーバ、ローカルサーバ、サーバリソース管理制御装置、ネットワークリソース管理制御装置、サービス制御装置、ヘッドエンドがそれぞれ別々にコアネットワークに収容されている例で説明したが、これらの装置のうちの2つ以上の組み合わせが物理的に一つの装置としてコアネットワークに接続され、通信路を介さずに互いに通信し合える構成であっても構わない。さらに、上記説明ではビデオの伝送に必要な帯域が、ビデオソースによらず等しい場合について説明したが、ビデオソースごとに伝送に必要な帯域が異なっていても構わないことは言うまでもない。
【0081】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明によればリアルタイムデータの伝送にあまり適さないベストエフォートサービスクラスをリアルタイムデータの伝送に有効に利用することができるようになり、通信の効率を向上させ、サービス実現のためのコストを低減することができるようになる。
【0082】
また、本発明によれば、即座に提供することを保証できるリアルタイムデータのみをあらかじめユーザに通知し、あるいは、各リアルタイムデータを即座に提供することを保証するか否かをあらかじめユーザに通知し、必要とするリアルタイムデータをインタラクティブに選択するためにユーザが費やした時間と労力が無駄になるのを防止することにより、あるいは、そのリスクを犯すか否かの判断をユーザの判断に委ねることにより、ユーザの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報提供装置を説明するブロック図である。
【図2】一般的なVODシステムの構成例を説明する図である。
【図3】情報ストリームと時間の関係を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る情報提供装置を示すブロック図である。
【図5】蓄積手段からの読み出しビットレートの決定につき説明する図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る情報提供装置を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る情報提供装置を示すブロック図である。
【図8】図7の第4の実施の形態の蓄積容量と制御につき説明する図である。
【図9】本発明の第1ないし第4の実施の形態においてデータ蓄積手段での消去順序の決め方を説明する図である。
【図10】一般的なVODシステムの構成例を説明する図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態を説明する図である。
【符号の説明】
101、200、400、600、700、901、903、904、1001、1005、1006 サーバ
102、204、404、604、704、902、1002 コアネットワーク
103、210、410、610、710、905、906、1008、1009 アクセスネットワーク
104、211、411、611、711、907〜910、1010〜1013 セットートップユニット(STU)
207、407、607、707 蓄積装置

Claims (9)

  1. 時系列的に順序管理された複数の部分情報からなりその利用がタイムスタンプにより管理されている情報であるリアルタイムデータが順方向に入力される第1の入力部と、前記リアルタイムデータの前記部分情報が逆方向に入力される第2の入力部と、前記第2の入力部から入力される前記部分情報を入力された順に蓄積する蓄積部と、前記第1の入力部に入力された部分情報と前記蓄積部に蓄積された部分情報のそれぞれのタイムスタンプを比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づき前記第1の入力部からの部分情報の出力を停止すると共に前記蓄積部に蓄積された部分情報を出力する切替え手段と、を備えて情報を中継することを特徴とするリアルタイムデータ用情報中継システム。
  2. 時系列的に順序管理されてその利用がタイムスタンプにより管理されているデータであるリアルタイムデータを入力する入力ポートと、前記リアルタイムデータを出力する出力ポートと、前記入力ポートから入力する前記リアルタイムデータの時間的に先行する部分を蓄積する蓄積部と、前記入力ポートから入力した前記リアルタイムデータを前記出力ポートへ出力するとともにこのリアルタイムデータのタイムスタンプを監視し、前記出力ポートから出力する情報と同じ情報を前記蓄積部から送信できると判断した場合に、前記出力ポートから出力する情報を前記入力ポートから入力した情報から前記蓄積部に蓄積している情報へと切替える切替え手段とを具備して情報を中継することを特徴とするリアルタイムデータ用情報中継システム。
  3. 時系列的に順序管理されてその利用がタイムスタンプにより管理されているデータであるリアルタイムデータの伝送に必要な品質が保証される第1の通信手段と、前記第1の通信手段とは異なる第2の通信手段と、蓄積されたリアルタイムデータを前記第1の通信手段を利用して送信するとともに、前記第1の通信手段により伝送されるリアルタイムデータより時間的に先行するリアルタイムデータを前記第2の通信手段を利用して送信する手段と、少なくとも前記第2の通信手段により送られてきた情報を蓄積する蓄積手段と、前記第1の通信手段から送られる前記リアルタイムデータ及び前記蓄積手段に蓄積されたリアルタイムデータのそれぞれのタイムスタンプを監視し、前記蓄積手段に蓄積された前記第2の通信手段から送られた前記リアルタイムデータの再生時刻になったら、出力を前記第1の通信手段からのリアルタイムデータから前記蓄積手段からのリアルタイムデータへ切替える切替え手段と、を具備することを特徴とするリアルタイムデータ伝送用情報提供システム。
  4. 前記第2の通信手段により送られる情報はリアルタイムデータのタイムスタンプの時刻をさかのぼるように送られることを特徴とする請求項3に記載のリアルタイムデータ伝送用情報提供システム。
  5. 前記リアルタイムデータを送信する手段は、前記第2の通信手段を用いて伝送され前記蓄積手段に蓄積されている情報を前記第1の通信手段により送信しないことを特徴とする請求項3に記載のリアルタイムデータ伝送用情報提供システム。
  6. 時系列的に順序管理されてその利用がタイムスタンプにより管理されているデータであるリアルタイムデータの伝送に必要な品質が保証される第1の通信手段と、
    前記第1の通信手段とは別の第2の通信手段と、
    蓄積されたリアルタイムデータを前記第1の通信手段を利用して送信するとともに、前記第1の通信手段により伝送されるリアルタイムデータより時間的に先行するリアルタイムデータを前記第2の通信手段を利用して送信する送信手段と、
    少なくとも前記第2の通信手段により送られてきたデータを蓄積する蓄積手段と、
    前記第1の通信手段から送られるリアルタイムデータ及び前記蓄積手段に蓄積されたリアルタイムデータのそれぞれのタイムスタンプを監視し、前記蓄積手段に蓄積された前記第2の通信手段から送られたリアルタイムデータの再生時刻になったら、出力を前記第1の通信手段からのリアルタイムデータから前記蓄積手段からのリアルタイムデータへ切替える切替え手段と、
    前記切替え手段からの出力を受信して前記リアルタイムデータを再生する再生手段とを具備することを特徴とするリアルタイムデータ伝送用情報提供システム。
  7. 前記第1の通信手段と前記第2の通信手段を使用した前記リアルタイムデータの伝送と、前記第1の通信手段のみを使用した前記リアルタイムデータの伝送とを前記送信手段側または前記再生手段側で選択することができることを特徴とする請求項6に記載のリアルタイムデータ伝送用情報提供システム。
  8. 前記蓄積手段は、前記第2の通信手段を使用して伝送されたリアルタイムデータの誤りを検出する手段と、この誤りを検出されたデータの再送を要求する再送要求手段とを具備し、前記送信手段は前記再送要求手段からの再送要求に基づき誤ったデータの再送を行うことを特徴とする請求項6に記載のリアルタイムデータ伝送用情報提供システム。
  9. 前記蓄積手段は通信開始時に使用可能なメモリ量を前記送信手段に申告し、前記送信手段は前記第2の通信手段を使用して申告されたメモリ量分のリアルタイムデータを伝送した時点で、前記第2の通信手段を使用したリアルタイムデータの伝送を停止することを特徴とする請求項6に記載のリアルタイムデータ伝送用情報提供システム。
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