JP3588417B2 - 二酸化炭素の希釈放流装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回収した二酸化炭素を海中に放流して海水に溶し込む二酸化炭素の希釈放流装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、地球温暖化が大きな問題となっており、これに伴い地球規模での気候変動を引き起こす可能性があると指摘される温室効果をもった二酸化炭素(CO2 )の大気中における濃度の上昇を抑えることが特に重要となってきている。そして、この対策のひとつとして火力発電所などで排出される燃焼排ガス中の二酸化炭素を回収して海洋へ送り込むことによって、長期に亘って二酸化炭素を大気から隔離する構想が提案されているが、その成立にあたっては二酸化炭素を送り込む海洋において新たな環境影響を引き起こさないようにすることが必要となっている。
【0003】
二酸化炭素送り込みによる海洋環境への影響を小さくするシステムとして、次に述べる2種類のシステムが提案されている。その一つは貯蓄型と称されるもので、二酸化炭素を深海底のくぼみのような場所に集中して溜めることにより影響範囲を特定の場所に限定して局所化しようとする方法である。
【0004】
もう一つのシステムは、溶解拡散型と称されるもので、二酸化炭素を海水中に溶し込んで薄く希釈し広く拡散させて海水中の二酸化炭素の濃度の上昇を抑制しようとする方法であり、本来海水中に溶解している二酸化炭素の濃度がある程度上昇するにとどまるという考え方に基くものである。
【0005】
この溶解拡散型における具体的な方法として、船舶により二酸化炭素の放流点を移動させて海中の中層にて二酸化炭素を放流する中層希釈放流方式が挙げられている。この方式について図8ないし図10を参照して説明する。図8は中層希釈放流方式のシステムを模式的に示す説明図、図9(a)は同方式において放流管から二酸化炭素を海中へ放流拡散する状態を模式的に示す説明図、図9(b)は図9(a)のZ部を拡大して示す図、図10は二酸化炭素を放流管から放流して形成された液滴の状態を示す説明図である。
【0006】
この中層希釈放流方式は、陸上プラント1で燃焼排ガスから分離、回収した二酸化炭素を液化し、その液化ガスを貯溜タンク2aに充填して液化ガス運搬船2にて所定の海域まで海上輸送し、そこで貯溜タンク2aの内部の液体二酸化炭素を作業船3に搭載した貯溜タンク3aに移し替える。液体二酸化炭素は例えば圧力が6atm、温度が−55℃とする。図11は二酸化炭素の相状態を示す線図であるが、この線図で判るように前記圧力6atm、温度−55℃は液体二酸化炭素を経済的に得ることができる条件である。作業船3は深さ2000mないし2500mの海中に吊り下げる大変長い鋼管などからなる放流管4を備え、この放流管4は下端面が閉塞されるとともに下端部の周壁には複数の放流孔5が上下方向に間隔を存して同列に並べて形成されている。そして、液体二酸化炭素を貯溜タンク3aから放流管4に送り込んで放流管4の下端部に上下方向に並んで形成した複数個の放流孔5から海中に放流する。作業船3は放流管4の孔5から液体二酸化炭素を海中に放流しつつ前進することにより、液体二酸化炭素の放流点を局所に限定せず移動させて二酸化炭素の希釈を増進させている。なお、運搬船2と作業船3とは別なものであっても、また両者が兼用するものであっても良い。SLは海面である。
【0007】
放流管4から放流された液体二酸化炭素の状態は、現状の知見から次のように想定される。放流管4の孔5から海中へ放流された液体二酸化炭素6はすぐに海水に溶け込まないで、放流管4が後流に生成して残して行く渦8による変動流場9の中で多数の液滴7となって分散してほぼ均一に海水と混合される。放流管4は作業船3の航走により海水の抵抗を受けて海流との相対的な流速によって船航走方向に向かって後側へ傾斜し、その背後に軸線とほぼ平行な回転軸をもつ後流渦を連続的に生成しながら進んでいく。渦8のパターンは放流管の形状、表面の状態および寸法や移動速度などの条件によって異なるが、外径数10cmの管が数ノットの速度で進む場合には、通常進行方向に向かって管左右両側から入れ替わり渦が発生して変動流場9を後に残していき、その中で液体二酸化炭素と海水とが混合すると考えられる。
【0008】
そして、液体二酸化炭素の液滴7は放流管4の後流からさらに周辺の海水に溶け込みながら緩やかに海水中を上昇していく。すなわち、液体二酸化炭素の液滴7は海水中を上昇しながら海水に溶け込んでいくことによって直径が小さくなっていく。そして、液滴7がある高さまで上昇する過程で液体二酸化炭素は全て海水中に溶け込んでしまい液滴7が消滅する。
【0009】
中層希釈放流方式は、海面から約2000mないし2500mの深さ(中層)の海中で液体二酸化炭素の放流を行うものである。すなわち、2000mより上層の海中で液体二酸化炭素の放流を行うと、放流された液体二酸化炭素が全て海水に溶け込まない内に液滴が海面に達する可能性があり、約2000mないし2500mの深さの海中で液体二酸化炭素の放流を行なうと液滴が海面に達する前に全ての二酸化炭素を海水に溶け込ませることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように中層希釈放流方式を採用した放流装置は、二酸化炭素を海洋へ放流して隔離する上で大変有望な装置と考えられているが、この放流装置には次に述べる問題がある。
【0011】
すなわち、中層希釈放流方式では、海中に放流した液体二酸化炭素が海水に溶け込むと海洋生物への影響が生じる可能性があるので、このような影響を極小に抑えるためには海中に放流した二酸化炭素をできるだけ希釈して海水における二酸化炭素の濃度の増大を抑制することが重要である。前述したように前進移動する放流管の放流孔から海水中に放流された液体二酸化炭素は、液滴となって放流管の後流の幅で上昇しながら海水中に溶け込んでいき、最終的に液滴が消滅して全て海水中に溶け込む。このため、海水中に放流された液体二酸化炭素は、船の航走速度(放流管の移動速度)と、放流管後流の幅と、液滴の上昇高さで囲まれる体積の海水中に溶け込んで希釈されることになる。
【0012】
ところで、現在提案されている放流装置において、放流管から海中へ液体二酸化炭素を放流するための構成としては、船から海中に吊り下げられた放流管の周壁に複数の放流孔を上下方向、すなわち管軸方向に沿って並べて形成するものである。しかし、この構成によると、放流管4が後流に生成して残して行く渦8による変動流場9の幅は、放流管4の直径の大きさに規制されてせいぜい放流管4の直径(幅)の3倍から4倍程度であり余り広くないために、海中に放流された液体二酸化炭素が溶け込んで希釈される(放流管の移動距離と放流管後流の幅と液滴の上昇高さとで囲まれる)海水中の体積の大きさに限界がある。このため、海中に放流した二酸化炭素を希釈する度合に限界があった。
【0013】
本発明は前記事情に基いてなされたもので、放流管から海中へ放流された液体二酸化炭素が溶け込んで希釈される海水中の体積を増大して希釈率の増大を図った二酸化炭素の希釈放流装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の二酸化炭素の希釈放流装置は、放流管を海中に吊り下げた船を海上に航走させて前記放流管を曳航しながら、液体二酸化炭素を前記放流管に送り込んで前記放流管に形成した放流孔から海中へ放流する放流装置において、前記放流管は、前記放流孔形成部をそれより上部の部分に対して回転自在に連結し、且つ前記放流孔形成部には、放流管曳航時に前記放流孔形成部を前記回転連結部を中心として曳航方向に対して交差する方向に変位させる力を作用させる案内部材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1に記載の二酸化炭素の希釈放流装置において、前記放流孔形成部に設ける案内部材は、前記放流管の両側に位置して前記曳航方向に対して交差する方向に突出し海水の流れに対する迎角が互いに逆向きとなる一対の翼であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態について図1および図2を参照して説明する。
【0018】
図1はこの実施の形態にかかわる放流装置を模式的に示す図、図2はこの放流装置における放流管の液体二酸化炭素放流部を示す拡大断面図である。本発明は、前述した図8ないし図10にて示す液体二酸化炭素を中層希釈放流方式により海洋へ放流する装置を対象としており、図1において図9(a)と同じ部分は同じ符号を付して示している。すなわち、図中3は作業船、3aは作業船3に搭載された液体二酸化炭素を貯溜するタンク、4は作業船3に取付けられて海中に吊り下げられタンク3aに貯溜された液体二酸化炭素を上端から送り込んで流して海中へ放出する放流管である。
【0019】
この実施の形態では、放流管4の下端部に液体二酸化炭素を放出するために次に述べる構成を採用している。放流管4は断面円形をなすとともに、作業船3から深さ2000mないし2500mの海中に吊り下げられて作業船3の航走により曳航されることが可能な長さを有している。この放流管4の下端には作業船3の航走方向(作業船3の航走により放流管5が曳航される方向、換言すれば放流管4の管軸線方向)に対して交差する方向に沿って延びる断面円形の管からなる側方放流管11が設けられている。この側方放流管11は、放流管4を中心としてその左右両側に向けて船航走方向に対して直角に交差する方向(放流管4直径方向)に沿って等しい長さで延び出ている。側方放流管11の長さ方向中心部は放流管4の下端に接続されて側方延出部11の内部と放流管4の内部とが互いに連通している。側方放流管11は放流管4に適宜な方法により一体に固定され、あるいは一体に形成されており、側方放流管11の管軸方向の両端の端面は閉塞されている。側方放流管11の周壁には、複数個の放流孔12が側方放流管11の軸線方向に沿って一列に並べて形成されている。この放流孔12の列は、放流管4が海中を曳航される時に側方放流管11が様々な状態になることを想定し、また液体二酸化炭素の放流量などを考慮して側方放流管11の周壁における円周方向に間隔を存した複数箇所に形成する。
【0020】
ここで、側方放流管11の直径および全長は液体二酸化炭素の放流量などの条件を考慮して設定する。例えば側方放流管11の長さは放流管4の直径の複数倍、例えば10〜数10倍に設定する。また、放流孔12の直径、一列における放流孔12の数および間隔、放流孔12の列の数および位置などは液体二酸化炭素の放流量などの条件を考慮して設定する。
【0021】
このように構成した放流装置は、作業船3を航走すると放流管4が曳航されて移動する。側方放流管11は放流管4とともに移動する。そして、作業船3に搭載した貯溜タンク3aに貯溜された液体二酸化炭素を放流管4を通して海中に放流する。この場合、液体二酸化炭素を放流管4の上端からその内部へ送り込むと、液体二酸化炭素は放流管4の内部を下降して流れて放流管4の下端に到達する。そして、液体二酸化炭素は放流管4の下端に設けた側方放流管11の内部に流入して流れ、さらに側方放流管11に軸線方向に沿って形成された複数列の放流孔12から夫々船航走方向(放流管進行方向後側)に向けて海中へ放流される。
【0022】
ここで、側方放流管11は船航走方向(放流管進行方向)に対して直角に交差する方向に沿って放流管4の直径に対して複数倍の長さをもって設けられ、複数の放流孔12も同じ方向に沿って並ぶために、複数の放流孔12から放流された液体二酸化炭素は船航走方向(放流管進行方向)に対して直角に交差する方向に帯状に広がる。放流管11の放流孔12から海中へ放流された二酸化炭素6はすぐに海水に溶け込まないで、側方放流管11が後流に生成して残して行く渦8による変動流場9の中で多数の液滴7となって分散してほぼ均一に海水と混合される。側方放流管11は作業船3の航走により海水の抵抗を受けるが水平の姿勢を維持し、その背後に軸線とほぼ平行な回転軸をもつ後流渦8を連続的に生成しながら進んでいく。側方放流管11の進行とともに変動流場9を後に残していき、その中で二酸化炭素と海水とが混合する。この変動流場9の幅は側方放流管11の放流孔12が並ぶ列の方向と長さに対応するために、従来の放流孔12が上下方向に並ぶ場合の変動流場9の幅の複数倍となり、放流管4の直径の10倍ないし数10倍となる。そして、二酸化炭素の液滴7は放流管4の後流からさらに周辺の海水に溶け込みながら緩やかに海水中を上昇しながら海水に溶け込んでいくことによって直径が小さくなっていく。
【0023】
このようにして海中に放流された液体二酸化炭素が溶け込んで希釈される(放流管4の移動距離と放流管後流の幅と液滴の上昇高さとで囲まれる)海水中の体積は側方放流管11により放流管後流の幅が拡大する分だけ増大して従来に比較して複数倍に増大し、これに伴って海中における液体二酸化炭素の希釈率も大幅に増大する。
【0024】
作業船3の航走方向に対して交差する方向に沿う管は、前述した実施の形態に限定されず種々変形して実施できる。図3に示す形態は、山形をなす側方放流管13を用いてその頂部を放流管4の下端に接続したものである。図4に示す形態は、放流管4の下端から二股に別れる上下方向に沿う分岐管14を接続し、この分岐管14の間に例えば2本の側方放流管15を上下側に配置して分岐管14に接続したものである。図5に示す形態は、作業船から2本の放流管4を海中に吊り下げ、この2本の放流管4に例えば2本の側方放流管15を上下側に配置して放流管4に接続したものである。図4および図5における側方放流管14、15は作業船3の航走方向に対して直角に交差する方向に沿って配置される。なお、図3ないし図5において図2と同じ部分は同じ符号を付して示している。
【0025】
第2の実施の形態について図6および図7を参照して説明する。
【0026】
図6(a)はこの実施の形態にかかわる放流装置を模式的に示す図、図6(b)は図6(a)における放流管の要部を拡大して示す図、図7(a)はこの実施の形態の放流装置において放流管曳航時の状態を模式的に示す図、図7(b)は図7(a)における放流管の要部を拡大して示す図である。
【0027】
この実施の形態も、前述した図8ないし図10にて示す液体二酸化炭素を中層希釈放流方式により海洋へ放流する装置を対象としており、図6および図7において図9と同じ部分は同じ符号を付して示している。すなわち、図中3は作業船、3aは作業船3に搭載された液体二酸化炭素を貯溜するタンク、4は作業船3に取付けられて海中に吊り下げられタンク3aに貯溜された液体二酸化炭素を上端から送り込んで流して海中へ放出する放流管である。
【0028】
この実施の形態では放流管4の下端部に液体二酸化炭素を放出するために次に述べる構成を採用している。放流管4は断面円形をなすとともに、作業船3から深さ2000mないし2500mの海中に吊り下げられて作業船3の航走により曳航されることが可能な長さを有している。この放流管4の下端部は放流孔を形成する放流孔形成部4aとしてそれより上部の放流管4の本体部4bとは分離して構成されており、この放流孔形成部4aは多数の放流孔5を管軸方向に並べて形成するに必要な長さ(放流孔形成部4aの直径の複数倍の長さ、例えば数10メートル)を有する断面円形の管をなしている。この放流孔形成部4aは下端が閉塞されているとともに上端が開放されており、周壁には管軸方向全体にわたり多数の放流孔5が並べて形成されている。放流孔形成部4aは上端が放流管4の本体部4bの下端に回転自在に連結され、この回転連結部を中心として上下方向および左右方向のほぼ全方向にわたって回転できるようになっている。本体部4bと放流孔形成部4aとは回転連結部を介して連通している。放流孔形成部4aと本体部4bとを回転自在に連結する部材としては、回転自在継手や可撓性管などが挙げられるが、ここで構成が簡素で経済性が高い可撓性管21を用いている。
【0029】
そして、放流孔形成部4aの下端には流線形部材31が適宜な手段により固定され、あるいは一体に形成されて設けられている。図6に示すようにこの流線形部材31は、その先端が放流管曳航方向A前側に向くように向きを設定して、その軸線を放流管4の管軸線に対して直角な方向、すなわち放流管曳航方向Aと平行な方向に沿うように配置されている。また、流線形部材31の幅方向(放流管軸方向の直径方向)の左右両側部には夫々翼32、33が設けられ、この翼32、33は流線形部材31の軸線方向に対して直角な方向、すなわち放流管曳航方向Aに対して直角な方向に沿って外側に向けて突出するように適宜な手段により固定され、あるいは一体に形成されて設けられている。この一対の翼32、33は、幅および長さは夫々同じ大きさであるが、仰角の向きが逆向きになるように設定されている。例えば一方の翼32は放流管曳航方向前側縁が下向きになるように傾斜しているのに対して、他方の翼33は放流管曳航方向後側縁が低くなるよう傾斜している。これにより例えば一方の翼32には下向きの揚力が発生し、他方の翼33には上向きの揚力が発生するになっている。すなわち、一対の翼32、33は、放流孔形成部4aを放流管曳航時に回転連結部を中心として曳航方向に対して交差する方向に変位させる力を作用させる案内部材の一例である。なお、一対の翼32、33を設ける部分を流線形部材31としたのは、放流管曳航時における海水の抵抗をできるだけ小さくするためである。
【0030】
このように構成した放流装置の作動について説明する。図7に示すように作業船3を航走すると海中に吊り下げられた放流管4は海水の抵抗を受けて後側へ傾斜した状態で曳航されて移動する。ここで、放流管4の下端部を構成する放流孔形成部4aの下端に設けた一対の翼32、33は海水の抵抗を受ける。放流孔形成部4aにおける一側に位置して放流管曳航方向前側縁が下向きになるように傾斜する一方の翼32には下向きの揚力が発生し、他側に位置して放流管曳航方向後側縁が低くなるよう傾斜する他方の翼33には上向きの揚力が発生する。このように放流管4の放流孔形成部4aの下端(先端)における左右両側に上下逆向きの揚力が発生すると、放流孔形成部4aの先端に回転連結部、すなわち放流管4の本体部4bの管軸線を中心として放流孔形成部4aを回転させようとするモーメントが発生する。そうすると放流孔形成部4aは回転連結部を中心として放流管曳航方向Aに対して交差する方向に回動して傾斜した状態になる。
【0031】
そして、作業船3に搭載した貯溜タンク3aに貯溜された液体二酸化炭素を放流管4の本体部4bに送り込む。送り込まれた液体二酸化炭素は本体部4bの上端から下端まで流れ、さらに回転連結体である可撓性管21を通り放流孔形成部4aに流入して放流孔形成部4aの管軸方向に並ぶ多数の放流孔5から海中に放流される。
【0032】
ここで、放流孔形成部4aは放流管曳航方向Aに対して交差する方向に沿って傾斜するので、放流孔形成部4aに管軸方向に並ぶ複数の放流孔5から放流された液体二酸化炭素は放流管曳航方向Aに対して直角に交差する方向に帯状に広がる。放流孔形成部4aの放流孔5から海中へ放流された二酸化炭素6はすぐに海水に溶け込まないで、放流孔形成部4aが後流に生成して残して行く渦8による変動流場9の中で多数の液滴7となって分散してほぼ均一に海水と混合される。放流管4の放流孔形成部4aは背後に軸線とほぼ平行な回転軸をもつ後流渦8を連続的に生成しながら進んでいく。放流孔形成部4aの進行とともに入れ替わり渦が発生して変動流場9を後に残してゆき、その中で二酸化炭素と海水とが混合する。この変動流場9の幅は放流孔形成部4aの放流孔5が並ぶ列の方向と長さに対応するために、従来の放流孔5が上下方向に並ぶ場合の変動流場9の幅の複数倍となり、放流管4の直径の10数倍から数10倍となる。そして、二酸化炭素の液滴7は放流管4の後流からさらに周辺の海水に溶け込みながら緩やかに海水中を上昇しながら海水に溶け込んでいくことによって直径が小さくなっていく。
【0033】
このようにして海中に放流された液体二酸化炭素が溶け込んで希釈される(放流管4の移動距離と放流管4後流の幅と液滴7の上昇高さとで囲まれる)海水中の体積は放流孔形成部4aにより放流管4後流の幅が拡大する分だけ増大して従来に比較して複数倍に増大し、これに伴って海中における液体二酸化炭素6の希釈率も大幅に増大する。また、この実施の形態においては、放流孔形成部に設ける案内部材は、放流管の両側に位置して曳航方向に対して交差する方向に突出し海水の流れに対する迎角が互いに逆向きとなる一対の翼により適切な構成として構成されている。
【0034】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、種々変形して実施することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の二酸化炭素の希釈放流装置によれば、船の航走方向に対して交差する方向に沿う管に形成した複数の放流孔から液体二酸化炭素を海中へ放流して、放流管が生成して残して行く渦による変動流場の幅を従来に比較して大幅に拡大して、放流管から海中へ放流された液体二酸化炭素が溶け込んで希釈される海水中の体積を従来に比較して大幅に増大することにより、これにより海水中における液体二酸化炭素の希釈率を大幅に増大することができる。
【0036】
また、本発明の二酸化炭素の希釈放流装置によれば、放流管における放流孔形成部をそれより上部の部分に対して回転自在に連結し、船の航走により放流管を曳航して放流孔形成部に形成した放流管から液体二酸化炭素を海中へ放流する際に、放流孔形成部に設けた案内部材で放流孔形成部を回転連結部を中心として曳航方向に対して交差する方向に変位させるために、放流管が生成して残して行く渦による変動流場の幅を従来に比較して大幅に拡大する。従って、放流管から海中へ放流された液体二酸化炭素が溶け込んで希釈される海水中の体積を従来に比較して大幅に増大することにより海水中における液体二酸化炭素の希釈率を大幅に増大することができる。さらに,放流孔形成部に設けた案内部材を一対の翼として適切に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかわる放流装置を模式的に示す図。
【図2】同実施の形態における放流装置に設ける放流管の放流部を示す図。
【図3】放流装置に設ける放流管の放流部の他の形態を示す図。
【図4】放流装置に設ける放流管の放流部の他の形態を示す図。
【図5】放流装置に設ける放流管の放流部の他の形態を示す図。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかわる放流装置を模式的に示す図。
【図7】同実施の形態の放流装置における放流管曳航状態を模式的に示す図。
【図8】二酸化炭素の海洋への放流システムを示す図。
【図9】二酸化炭素の海洋への放流装置を模式的に示す図。
【図10】放流装置により海中に放流された液体二酸化炭素の状態を模式的に示す図。
【図11】二酸化炭素の相状態を示す線図。
【符号の説明】
3…作業船、
4…放流管、
4a…放流孔形成部
4b…本体部、
6…液体二酸化炭素、
11…側方放流管、
12…放流孔、
21…可撓性管(回転連結体)、
31…流線形部材、
32…翼(案内部材)、
33…翼(案内部材)。
Claims (2)
- 放流管を海中に吊り下げた船を海上を航走させて前記放流管を曳航しながら、液体二酸化炭素を前記放流管に送り込んで前記放流管に形成した放流孔から海中へ放流する放流装置において、
前記放流管は、前記放流孔形成部をそれより上部の部分に対して回転自在に連結し、且つ前記放流孔形成部には、放流管曳航時に前記放流孔形成部を前記回転連結部を中心として曳航方向に対して交差する方向に変位させる力を作用させる案内部材が設けられていることを特徴とする二酸化酸素の希釈放流装置。 - 前記放流孔形成部に設ける案内部材は、前記放流管の両側に位置して前記曳航方向に対して交差する方向に突出し海水の流れに対する迎角が互いに逆向きとなる一対の翼であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素の希釈放流装置。
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1998
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