JP3587816B2 - 異形電子写真用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、異形化樹脂粒子からなる電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粒子表面の改質による樹脂粒子の異形化法として、主粒子表面に微粒子を付着させる表面改質法が知られている。その具体的な方法として、乾式では、ヘンシルミキサー、ハイブリダイザー、メカノフュージョンシステム等を用いる、機械的エネルギーを利用する方法(特開昭63−311264号、特開平1−18153号、特開平2−146056号等)、湿式では、静電的付着と加熱などにより融着固定化する方法(特開平1−300264、特開平2−880、特開平5−61245等)が知られている。
【0003】
しかし、これらの表面改質法では、微粒子の付着の不均一性、未付着微粒子の分離などが必要であり、また、これらの方法による表面改質粒子は、機械的ストレスによる外添微粒子の剥離など、耐久性の点で問題があった。
【0004】
特に、電子写真において静電荷像を現像するためのトナーでは、耐機械強度・耐固着性とともに低温定着性を両立させることを目的に、各種の表面改質法や表面改質トナーが提案されている。例えば、低温定着性のための低軟化点領域と機械的強度のための高軟化点領域層を形成したものとして、シード重合によるコア(核)・シェル(殻)トナー(特開平2−61651号等)、界面重合法、内部重合法、外部重合法等によるカプセルトナー(特開昭63−19661号等)、又は主粒子表面に添加した微粒子を軟化してコートしたトナー(特開平1−185650等)が知られている。しかし、これらの方法において、殻を構成する高軟化点樹脂は、機械強度を保つためにはある程度の厚さと堅さを要求され、定着時に殻の影響により高い定着温度が必要であるため、定着性を悪くするという問題点があった。
【0005】
また、乾式あるいは湿式により低軟化点を有する主粒子に高軟化点を有する微粒子を熱融着させたトナー(特開昭56−6856号、特開平3−170945号等)が知られているが、軟化点の異なる材料の接合する領域の接着はさらに弱くなり、機械的ストレスによる微粒子の剥離、微粉の発生など、トナーライフに問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子写真用トナーとして必要な耐機械強度、耐固着性とともに、主粒子の低温定着性を同時に兼ね備えた、表面改質による電子写真用トナーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、着色剤を含む主粒子の表面に、この主粒子の軟化点より高い軟化点を有し、断面が略三角形状の複数の重合体が重合により部分的に形成された異形樹脂粒子からなり、前記主粒子と前記異形樹脂粒子それぞれが持つ温度−複素粘弾率曲線が所定の温度以上において重なり、かつ複数の前記重合体の外形線を包絡する直線が、前記主粒子の外周と交わらないことを特徴とする異形電子写真用トナ−を提供する。
【0009】
本発明の異形樹脂粒子からかる異形電子写真用トナーは、水系において、主粒子、付加系重合性単量体、この付加系重合性単量体の骨格を有する疎水基を持つ分散剤、及び水溶性重合開始剤の存在下で、|(主粒子のゼータ電位)|≦20mVであり、かつ{|(分散剤のゼータ電位)|−|(主粒子のゼータ電位)|}≧10mVとなるようなpH領域において、前記主粒子表面に前記単量体を重合することにより得ることが出来る。
【0010】
或いは、本発明の異形樹脂粒子からかる異形電子写真用トナーは、水系において、主粒子、付加系重合性単量体、この付加系重合性単量体の骨格を有する疎水基を持つ分散剤、及び水溶性重合開始剤の存在下で、|(主粒子のゼータ電位)|≦20mVであり、かつ{|(分散剤のゼータ電位)|−|(主粒子のゼータ電位)|}≧10mVとなるようなpH領域において、前記主粒子表面に前記単量体を重合することにより得ることが出来る。この場合、前記分散剤と前記主粒子の水溶液中の安定極性とは同一である。
【0011】
【作用】
本発明において、水系で主粒子、分散剤、重合性単量体、及び水溶性重合開始剤の存在下で重合するため、通常は主粒子が重合性単量体で膨潤され、シード重合となるが、ここで、分散剤の疎水基が重合性単量体骨格を有すること、および、|(主粒子のゼータ電位)|≦20mVかつ{|(分散剤のゼータ電位)|−|(主粒子のゼータ電位)|}≧10mVとなるようなpH領域で重合することにより、シード重合は起こらず、微粒子外添構造に類似の表面改質により、樹脂粒子の異形化が生ずる。
【0012】
また、本発明において、主粒子表面の膨潤された分散剤を拠点として重合成長が起こるため、耐機械的強度に優れ、表面が均一に改質された粒子が得られる。もちろん、微粒子外添構造に類似の表面改質が起こるが、未外添子粒子を分離する必要はない。また、分散剤の水溶液中の安定極性と主粒子の安定極性は同じであっても異なっても、pHを調整することにより本発明の表面改質による樹脂粒子が得られる。
【0013】
なお、本発明の異形電子写真用トナーは、着色剤を含む主粒子表面上で重合性単量体から成長した重合体を主粒子表面に複数個有する表面改質による異形粒子とし、主粒子が低軟化点を有し、重合体が高軟化点の構造を有しており、かつ表面改質による異形粒子と主粒子の温度−複素粘弾率曲線が少なくとも一部重なるようなトナーであるので、表面被覆型の構造のものよりも低温定着性、機械強度、ライフに優れた低温定着トナーが得られる。また、重合体の形態として、断面三角形状、腫瘍状、樹状などが得られるが、耐機械強度と低温定着性を満たすためには、断面が略三角形状であることが望ましい。この複数の重合体の外周側の外形線を包絡する直線が、主粒子の外周と交わらないように、多数の重合体を存在せしめることにより、低軟化点の主粒子に外からのストレスがかからないようになり、耐固着性を向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0015】
本発明において、主粒子の表面改質のための重合に使用する重合性単量体としては、ビニル芳香族単量体、アクリル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、ジオレフィン系単量体、モノオレフィン系単量体等が挙げられる。
【0016】
これらの中で、モノビニル芳香族単量体としては、モノビニル芳香族炭化水素では、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−、m−、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、ジビニルベンゼンの単独または二種以上の組み合わせを挙げることが出来る。
【0017】
アクリル系単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル酸プロピル、δ−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒドロキシメタアクリル酸エチル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、テトラエチレングリコールジメタクリル酸エステル等を挙げることが出来る。
【0018】
ビニルエステル系単量体としては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を挙げることが出来る。また、ビニルエーテル系単量体としては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等を挙げることが出来る。ジオレフィン系単量体としては、たとえばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を挙げることが出来る。モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1等を挙げることが出来る。
【0019】
本発明の方法に使用する分散剤としては、上述した重合性単量体の骨格あるいは二種以上の共重合体骨格の繰り返し構造を有する疏水基を持つ分散剤であれば良い。その中で、弱酸、弱塩基の極性基を有するものとしては、例えば、アニオン性では脂肪酸塩型の−COONH4 等、硫酸エステル塩型の−OSO3NH4 等、燐酸エステル塩型の−OPO3 (NH4 )2 等が挙げられ、カチオン性ではアミン塩型の1,2,3級アルキルアミン類、1,2,3級エタノールアミン類、ポリエチレンポリアミン類等、また、水中で弱い水和により分極し、弱カチオン性を示すアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0020】
分散剤の具体的な例としては、スチレン誘導体構造を持つものとしてCH2 =(CH2 )n−CH−◎−COONH4 等、アクリル酸誘導体構造を有するものとしてCH2 =CR1 COO(CH2 )n−NR2 R3 等、更にスチレンアクリル酸共重合誘導体構造を有するものとしてCH2 =CR1 COO(CH2 )n CH2 =CH− ◎−OSO3 NH4 等が挙げられる。なお、式中、nは1〜10の整数、R1 ,R2 ,R3 は炭素数1〜6のアルキル基、◎はベンゼン環を示す。以下に示す式についても同様である。
【0021】
また、特に耐湿性、耐水性を考慮する場合は、中和にはアンモニアイオンあるいはアミンイオン等の揮発性の高いもの、及び弱酸である酢酸やギ酸を選択することが望ましい。本発明の方法に使用される分散剤は、以上に示したものに限定されるものではない。また、疎水基の分子量としては、通常の乳化剤のように会合ミセルを形成することがなく、自身でミセルとなるために重量平均分子量で数百〜数万のものが適当である。分散剤の使用量は、通常の乳化剤、界面活性剤、高分子電解質に比べて残留による耐湿性、耐水性の影響が少ないため、固形分の0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%である。
【0022】
本発明の方法に使用する重合開始剤としては、過酸化水素水、レドックス開始剤等を挙げることが出来る。また、反応性乳化剤、反応性界面活性剤として、分解切片がアニオン性である過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、カチオン性であるDEAM(N,N′−ジエチルアミノエチルメタクリレ−ト)、AIBN・2HC1(イソブチルアミドハイドロクロリック酸)等を挙げることが出来る。また、これら以外にも、ポリオキシエチレンメタクリレート、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチルメタクリレートの酢酸塩等を挙げることが出来る。重合開始剤の使用量は、重合性単量体が完全に重合するために、重合性単量体に対して0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0023】
本発明の方法に使用する主粒子は、各種ラテックス、粉砕トナー、重合トナー等を用いることが出来、これらは市販のものでも合成したものでも良い。主粒子の原料としては、少なくとも上述した本発明で使用する重合性単量体等を単独で、または二種以上組み合わせたもの等と着色剤を重合開始剤等の存在下で重合することにより製造したもの、又は、少なくとも本発明で使用する重合性単量体等の単独または二種以上組み合わせたバインダー等と着色剤を混練粉砕することによって製造したものである。
【0024】
具体的には、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド、パラフィン等を挙げることが出来る。
【0025】
主粒子を構成するポリマ−の分子量は、重量平均分子量で1万〜50万が好ましく、軟化点は60〜100度が好ましい。また、大きさは平均粒子径で1〜100μm、好ましくは2〜20μmである。
【0026】
本発明の方法に使用する着色剤の顔料としては、無機顔料(天然、クロム酸塩、フェロシアン化合物、酸化物、塩化物、硫酸塩、珪酸塩、金属粉等)、有機顔料(天然染料レーキ、ニトロソ系、アゾ系、フタロシアニン系、縮合多環系、塩基性染料レーキ、媒染染料系、建染染料系等)、染料では水溶性染料、油脂性染料等を挙げることが出来る。無機顔料の具体例としては、例えば、黄土色等の天然顔料、黄鉛、ジンクイエロー、バリウムイエロー、クロムオレンジ、モリブデンレッド、クロムグリーン等のクロム酸塩、紺青等のフェロシアン化合物、酸化チタン、チタンイエロー、チタン白、ベンガラ、黄色酸化鉄、亜鉛フェライト、亜鉛華、鉄黒、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン等の酸化物、カドミウムエイロー、カドミウムオレンジ、カドミウムレッド等の硫化物、硫酸バリウム等の硫酸塩、珪酸カルシウム、群青等の珪酸塩、ブロンズ、アルミニウム等の金属粉、カーボンブラック等を挙げることが出来る。
【0027】
有機顔料の具体例としては、例えば、マダレーキ等の天然レーキ、ナフトールグリーン、ナフトールオレンジ等のニトロソ系顔料、ベンジジンイエローG、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、バルカンオレンジ、レーキレッドR、レーキレッドC、レーキレッドD、ウオッチングレッド、ブリリアンカーミン6B、ピラロゾンオレンジ、ボルドー10G、(ボンマルーン)等の溶性アゾ系、ピラロゾンレッド、パラレッド、トルイジンレッド、ITRレッド、トルイジンレッド(レーキレッド4R)、トルイジンマルーン、ブリリアントファイストスカーレッド、レーキボルドー5B等の不溶性アゾ系、縮合アゾ系等のアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ブロム化フタロシアニングリーン、ファストスカイブルー等のフタロシアニン顔料、スレンブルー等のアントラキノン系、ペリレンマルーン等のペリレン系、ペリノンオレンジ等のペリノン系、キナクリドン、ジメチルキナクリドン等のキナクリドン系、ジオキサジンバイオレット等のジオキサジン系、イソインドリン系、キノフタロン系等の縮合多環系顔料、ローダミン6B、レーキ、ローダミンレーキB、マラカイトグリーン等の塩基性染料レーキ、アリザリンレーキ等の媒染染料系顔料、インダスレンブルー、インジゴブルー、アントアントロンオレンジ等の建染染料系顔料、蛍光顔料、アジン顔料(ダイヤモンドブラック)グリーンゴールド等を挙げることが出来る。
【0028】
水溶性染料の具体例としては、例えばローダミンB等の塩基性染料、酸性染料、蛍光染料等、油溶性染料の具体例としては、例えばファストオレンジR、オイルレッド、オイルイエロー等のモノアゾ染料、アントラキノンブルー、アントラキノンバイオレット等のアントラキノン系染料、ニグロシン、インジュリン等のアジン染料、塩基性、酸性、金属錯化合物系染料等を挙げることが出来る。
【0029】
本発明に係るトナーに使用するワックスとしては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、パラフィン等を挙げることが出来る。また、エマルジョンタイプのカルボキシル基変性ポリオレフィンとして、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1等のオレフィン単位を骨格としてカルボキシル基を有するように変性され、かつアンモニアまたはアミンでカルボキシル基の少なくとも一部が中和されたポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を使用することも可能である。ワックスの使用量は、通常0〜30重量%、好ましくは1〜30重量%である。
【0030】
また、帯電制御剤としては、負帯電制御剤としてニグロシン系染料、4級アンモニウム塩等の電子供与性物質、正帯電制御剤として、モノアゾ系染料の金属塩のような電子吸引性物質を挙げることが出来る。
【0031】
更に、トナーの流動性の向上、帯電量の環境安定性の向上、クリーニング性の向上、感光体上の堆積物の除去などのために、外添剤を使用するが、この例としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化セリウム等の金属酸化物のほか、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の脂肪酸金属塩、その他チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、塩基性酢酸ビスマス等の無機物、PMMA、スチレン−アクリル共重合体、フッ化ビニリデン、4フッ化エチレン等のフッ素樹脂等を挙げることが出来る。なお、本発明に係るトナーに外添剤を使用することにより、より一層、機械的強度、耐摩擦性を付与することができる。
【0032】
本発明の樹脂粒子の表面改質による異形化方法では、固形分仕込量は通常の範囲である1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%であり、表面改質される粒子としてのトナーの平均粒子径は、1〜100μm、好ましくは2〜20μmである。重合温度および時間は公知のそれでよく、一般に40〜100℃の温度で、1〜50時間の重合で十分であり、本発明の方法によると、新粒子の発生率がきわめて低いことが特徴である。
【0033】
本発明者らは、通常は主粒子が重合性単量体で膨潤され、シード重合となる方法において、分散剤として、その疎水基が重合性単量体骨格を有するものを使用し、かつ主粒子のゼータ電位が分散剤のそれよりも低い場合、重合性単量体は主粒子ではなく、分散剤の疎水基が重合性単量体で膨潤され、シード重合は起こらず、代わりに主粒子の表面で分散剤を拠点として重合性単量体が成長し、複数個の重合体で修飾された異形粒子が合成される現象を見出し、本発明に至った。
【0034】
図1に、本発明の表面改質による樹脂粒子の異形化方法のフローシ−ト図を示す。このフロ−シ−トに沿って説明すると、まず、主粒子と分散剤のゼータ電位を測定し、ゼータ電位とpHの関係を求める。この結果をもとにして、各分散系のpHを調整し、混合する。この操作は、シード重合とはならずに本発明の表面改質が実現する上で最も重要である。
【0035】
次いで、重合性単量体を添加し、重合直前に水溶性重合開始剤を添加し、表面改質重合により湿式表面改質粒子を得る。本発明の方法では、水系において、主粒子、分散剤、重合性単量体、及び水溶性重合開始剤の存在下で重合するため、通常は主粒子が重合性単量体で膨潤され、シード重合となるが、ここでは、分散剤の疎水基が重合性単量体骨格を有すること、および|(主粒子のゼータ電位)|≦20mVであり、かつ{|(分散剤のゼータ電位)|−|(主粒子のゼータ電位)|}≧10mVとなるpH領域において重合することにより、シード重合は起こらず、微粒子外添構造に似た表面改質重合が起こる。このことは、主粒子のゼータ電位が分散剤のそれよりも低い場合、重合性単量体は主粒子ではなく、疎水基が重合性単量体骨格を有するため膨潤され易い分散剤を膨潤し、シード重合は起こらないものと思われる。
【0036】
ここで、主粒子のゼータ電位が20mVを越えると、単独でも重合性単量体の主粒子への膨潤がみられ、シード重合が優先的に起こり、本発明の表面改質が不十分となる。また、分散剤のゼータ電位が主粒子単独より10mV以上高くない場合は、主粒子のゼータ電位が20mV以下でも重合性単量体が十分には分散剤の疎水基へ膨潤されなくなり、シード重合も同時に起こり、本発明の表面改質が不十分となることを意味する。よって、両条件を満たす領域のゼータ電位のpHにおいて初めて、重合性単量体は主粒子ではなく分散剤疎水基に選択的に膨潤され、シード重合でなく本発明の表面改質重合が実現する。
【0037】
次に、図2を用いて、主粒子と分散剤のゼータ電位を測定して得た結果から、いかにして重合における適性pH領域を決定するかについて説明する。図2(a)の曲線は、下記参考例1−1の例であるが、曲線301が主粒子1のゼータ電位曲線であり、曲線302が分散剤1のゼータ電位曲線であり、主粒子の極性と分散剤の安定極性が異なる例である。
【0038】
まず、主粒子のゼータ電位の絶対値が20mV以下であるpH領域を探す。この例では、pH10以下である。次に、分散剤1のゼータ電位302の絶対値から主粒子1のゼータ電位301の絶対値を差し引いた値が10mV以上であるpH領域を探すとpH6以下となる。この主粒子1と分散剤1の系では、両者の条件を満たすpH6以下がpH調整の適正領域となる。
【0039】
同様に、図2(b)の曲線は、参考例1−2の例であるが、曲線304は曲線301と同じ主粒子1のゼータ電位曲線であり、曲線305が分散剤2のゼータ電位曲線であり、主粒子と安定極性が同じ分散剤の例である。まず、主粒子のゼータ電位の絶対値が20mV以下であるpH領域を探す。この例では、pH10以下である。次に、分散剤2のデータ電位304の絶対値から主粒子1のゼータ電位305の絶対値を差し引いた値が10mV以上であるpH領域を探すと、pH3〜7となる。この主粒子1と分散剤2の系では、pH3〜7がpH調整の適正領域となる。
【0040】
図3に、本発明の表面改質による樹脂粒子の異形化によって得られる異形粒子と本発明2の電子写真用トナーの概念図を示す。図3(a)は、表面改質粒子401の断面の概要図であり、参照符号402は主粒子、403は重合性単量体から成長した重合体を示す。図3(a)から明らかなように、重合体403が主粒子402の表面で重合成長しているために、従来の乾式・湿式の微粒子外添に比べて、均一に主粒子402の表面改質ができ、耐機械強度、耐破砕性に優れ、未外添子粒子の分離工程が簡略化できる。
【0041】
図3(b)は、表面改質トナー404の断面の概要図であり、参照符号405は主粒子を示し、粉砕あるいは重合トナー等が利用できる。重合トナーとした場合、一連の操作を一貫して湿式で行うことが出来るという利点がでてくる。406は主粒子表面上で重合性単量体から成長した断面形状が略三角形状の重合体を示し、図3(a)と同様の理由で耐機械強度、耐破砕性に優れている。耐機械強度とともに、低温定着性を持たせるためには、主粒子405として低軟化点(60〜110度)のものを用い、成長重合体406は、高軟化点(110〜150度)のものを成長させることにより、コート状に高軟化点の殻で表面改質するものに比べて、優れた低温定着性を示す。
【0042】
また、407は主粒子表面の複数の重合体の外周側の外形線であり、この外形線が主粒子の外周と交わらないようにすることにより、低温定着トナーの設計において、主粒子405として低軟化点のものを用いたとしても、優れた耐固着性を示す。
【0043】
図3(c)は、本発明の方法により表面改質された樹脂粒子の他の例を示す。参照符号408は主粒子を示し、409は重合性単量体から樹状に成長した重合体を示す。このような形態は、分散剤としてアニオン性とカチオン性の両方を用いた場合に生じるが、重合体409は重合体406に比べて表面で長く成長し、この場合には均一で耐破砕性に優れたトナーは得難いが、主粒子表面での重合成長による微細な形態制御の可能性があり、興味深い結果と言える。
【0044】
図4に、本発明の樹脂粒子の異形化方法により製造された電子写真用トナーの電子顕微鏡写真を示す。図4(a)は、低温定着性、耐機械強度、耐固着性を兼ね備えたトナーを示す。図4(b)は、図3(c)に示す樹脂粒子を得る条件と同一の条件で得られたものであり、長く伸びた重合体が観察され、重合体が表面から重合成長してできた様子が伺える。
【0045】
図5に、本発明に係るトナーおよび従来の表面改質トナーの温度−複素粘弾性曲線を示す。図中、曲線aは主トナ−の温度−複素粘弾性特性、曲線bは後述する実施例1−1により得たトナ−の温度−複素粘弾性特性、曲線cは後述する比較例2−1により得たトナ−の温度−複素粘弾性をそれぞれ示す。なお、図5に示す特性は、装置としてMR−3ソリッドメ−タ(レオロジ社製)を用い、加熱速度2℃/minの条件で得られた。
【0046】
図5から明らかなように、実施例1−1では、主粒子の曲線aと表面改質粒子の曲線bが130℃あたりで重なっている。しかし、乾式あるいは、湿式での微粒子外添法やコアシュル法では、高軟化点領域と低軟化点領域が連続的でないため、比較例2−1では、曲線cは最後まで主粒子と重なることはなく、特に、コアシェル法では、それが顕著となり、粘弾性変化が緩慢となり、定着性に問題が生じて来ることがわかる。
【0047】
図6に、本発明の電子写真用トナーを使用するカラー画像形成装置について説明する。図6に示す装置では、感光体201、帯電装置202、レーザー露光装置203、現像装置200、転写装置209、ブレードクリーニング装置204、除電ランプ205が黒、イエロー、マゼンダ、シアンの4色について4セット配列されている。矢印の方向から紙やOHPシート等の転写材213が転写ベルト208上にのって搬送され、感光体202に接触する部分で転写ベルト208の下側から転写装置209によって転写電圧が印加され、感光体202上に現像されたトナーが転写材213に転写される。これが各色について順次行なわれ、転写材213上にトナー画像が重ね合わされる。転写装置109としては、弾性ローラにバイアス電圧を印加するものなどが用いられている。転写材213上に重ね合わされトナー画像は、定着装置210の中の加熱ローラ211、加圧ローラ212の間を通過することによりトナーに熱が加えられ、画像支持体上に定着される。このようにしてフルカラー画像が得られる。
【0048】
本発明に係るトナーは、表面温度128℃のヒートローラー熱定着器(ニップ幅7.5mm)とブレードクリーニング装置を有するプリンタの現像剤に使用し、プロセススピード105mm/secで文字、線、及び20mm角のべた黒、網点ハーフトーンのパッチの画像出力を行なった。また、平均粒径約60μmのフェライトキャリヤと重量比100:4で混合し、二成分現像器と表面温度128℃のヒートローラー熱定着器(ニップ幅7.5mm)とブレードクリーニング装置を有し、プロセススピード65mm/secのプリンタの現像剤のトナーとして使用し、上記と同様に画像出力をおこなった。得られた画像について、べた黒パッチの画像濃度をMACBETHR918反射濃度計により測定し、以下のような評価を行なった。
【0049】
1.耐機械強度・耐破砕性(微粉率)
印字率6%で一定枚数を印字した後、画像上に文字メモリーあるいはすじ状の不良画像の有無により判定した。3万枚の印字後、現像器内の現像剤粒径をパーティカルカウンター(CAPA−700、(株)堀場製)で測定し、現像ランニング前と比較して、2ミクロン以下の現像剤微粉の割合(微粉率)が5%以上増加した場合は×、5%未満の場合は○とした。
【0050】
2.現像器内固着(ランニング枚数)試験
現像ローラおよび帯電ブレード表面のSEM観察を行ない、帯電ブレードおよび現像ローラ上にトナー固着が発生しているかどうかで判断した。3万枚印字後にも全く現像器内への固着が見られなかったものは○、固着が見られ、画像の均一性も悪化したものは×とした。また、ここでのランニング枚数は、何枚現像したところで固着が発生したかを表す。
【0051】
3.粘弾性試験
主粒子と表面改質による異形粒子の温度に対する粘弾性の変化のシャープさを比較し、低温定着性の指標とした。得られた粒子と主粒子の動的粘弾性をMR−3ソリッドメータ(レオロジ社製)により測定し、得られた粒子と主粒子の粘弾性曲線において両曲線が少なくとも一部重なる場合を○、重ならない場合を×とした。
【0052】
4.定着性試験
トナー定着部を堅牢度試験器により布300回の条件で摩擦し、試験前後の画像濃度を反射濃度計で測定し、その比率で評価した。試験前後の画像濃度の比率が90%以上を○、90%未満を×とした。また、ここでの定着率は、画像濃度の比率とした。
【0053】
以下に、本発明の具体的な実施例、参考例および比較例を記載する。なお特に断りの無い限り、数量は重量で表示する。
【0054】
図1のフロー図に従い、上記の主粒子と分散剤のpHとゼータ電位の関係をPENKEM社MODEL501で測定した曲線が図2(a)である。適性PH領域はPH6以下であるので、主粒子と分散液を塩酸水溶液によりpH5に調節した、次に、この分散液2リットルを4つ口フラスコに移し、重合性単量体であるスチレンとアクリル酸nブチルを添加し、重合開始剤である過硫酸アンモニウムを添加し、80rpmで攪拌しながら、温度を70度に設定し、8時間重合を行なった。
【0055】
得られた表面改質粒子は、体積平均粒径10.1μmであった。表面の状態をTOPCON製ABT−32型SEMにより観察したところ、得られた粒子はシード重合による粒子のような真球形で表面がスムーズなものではなく、図4(a)に示すように、均一に微粒子をまぶしたように表面が改質されていることがわかった。
【0056】
この粒子をさらに、日立製H−600型TEMにより断面観察してみると、微粒子が付着しているのではなく、表面の微小な重合体と主粒子との界面が認められなかった。また、単独の微粒子や重合体は見られなかった。このことから、主粒子表面の重合活性なサイトから重合性単量体が成長重合することで微小な重合体ができたともの考えられる。このことから、得られた粒子の耐機械強度・耐破砕性が優れていることが期待できる。先に述べた方法により評価してみると、微粉率は1%以下と非常に優れた結果を得た。
【0057】
参考例1−2
カチオン性の分散剤(構造式CH2 =CR1 COO(CH2 )n −NHR2 R3 )の代わりに、極性基はアニオン性であるが疎水基は重合性単量体と同骨格のスチレン重合誘導体構造を持つ分散剤2としてCH2 =(CH2 )n −CH−◎−COONH4 を用いたことを除いて、参考例1−1と同様にして、体積平均粒径10.1μmの粒子を得た。{|(分散剤のゼータ電位)|−|(主粒子のゼータ電位)|}≧10mVであり、かつ|(主粒子のゼータ電位)|≦20mVを満たすようなpHの適性領域は、図2(b)に示すように、pH3〜7であり、従って、アンモニア水でpH7に調整して重合した。
【0058】
表面の状態をSEMにより観察したところ、主粒子表面の重合体は参考例1−1よりも多少大きめであったが、やはり図4(a)に示すように均一に微粒子をまぶしたような粒子が得られ、単独の重合体は見られなかった。TEM観察の結果、表面の微小な重合体の断面形状は、参考例1−1よりも丸みを帯びた略三角形状をしており、主粒子との界面は認められなかった。耐機械強度・耐破砕性試験を行なったところ、微粉率は1%以下と非常に優れた結果を得た。
【0059】
参考例1−3、4
pHの調整の際、pH5の代わりに同様に適性PH領域であるpH6およびpH2に各々アンモニア水および塩酸水溶液によりpHを調整することを除いて、参考例1−1と同様にして、平均粒径10.2μm、10.1μmの粒子を得た。図2(a)から,pH6では主粒子のゼータ電位の絶対値は20mVであり、かつ分散剤の絶対値と主粒子の絶対値の差が10mVであった。また、pH2では主粒子のゼータ電位の絶対値は0mVであり、かつ分散剤の絶対値と主粒子の絶対値の差が40mVであった。すなわち、{|(分散剤のゼータ電位)|−|(主粒子のゼータ電位)|}≧10mVであり、かつ|(主粒子のゼータ電位)|≦20mVである領域の範囲内において、pHを別の値に調整して重合したものである。
【0060】
得られた粒子の表面の状態をSEMにより観察したところ、やはり図4(a)に示すように、均一に微粒子をまぶしたような粒子が得られた。TEM観察の結果も同様であり、表面の微小な重合体は三角錘状をしており、主粒子との界面は認められず、単独の重合体も見られなかった。耐機械強度・耐破砕性試験を行なったところ、微粉率は2%と3%と、非常に優れた結果を得た。
【0061】
比較例1−1
参考例1−1において、主粒子に以下の微粒子を外添して乾式表面改質粒子を得た。
【0062】
ポリスチレンアクリレート微粒子の合成
スチレン 0.16重量部
アクリル酸nブチル 0.04重量部
過硫酸アンモニウム 0.006重量部
イオン交換水 200重量部
イオン交換水をアンモニア水でpH9.8に調整し、これを2リットル4つ口フラスコに移し、これにスチレンとアクリル酸nブチルを添加し、更に過硫酸アンモニウムを添加し、200rpmで攪拌しながら、温度を70度に設定し、8時間重合を行った。得られた粒子は体積平均粒径0.3μmであった。このポリスチレンアクリレート微粒子0.1重量部を参考例1−1の主粒子1重量部に添加し、ハイブリダイザーシステム(HYBRIDIZER NHS−0,NARAKIKAI社製)により回転速度1200rpmで10分間混合し、乾式表面改質粒子を得た。
【0063】
表面の状態をSEMにより観察したところ、微粒子の外添状態は不均一な粒子が多く得られた。また、ポリスチレンアクリレートのに外添粒子も観察された。TEM観察の結果、表面のポリスチレンは、主粒子に埋め込まれているものが多かったが、主粒子との界面が非連続的であるために、TEMの超薄切片作成時に主粒子からポリスチレン微粒子が脱離しているものが観察された。これらのことから、この方法では、未外添微粒子の分離回収が必要であり、また、耐機械強度・耐破砕性に問題があることが予想される。耐機械強度・耐破砕性試験では、微粉率は12%と非常に悪い結果を得た。
【0064】
比較例1−2
参考例1−1において、主粒子に以下の微粒子を湿式で外添して表面改質粒子を得た。
【0065】
まず、イオン交換水をアンモニア水でpH9.8に調整し、次いで、これを2リットル4つ口フラスコに移し、スチレンとアクリル酸nブチルを添加し、更にAIBN・2HC1を添加し、200rpmで攪拌しながら、温度を70℃に設定し、8時間重合を行った。得られた粒子の体積平均粒径、は0.2μmであった。
【0066】
参考例1−1の主粒子1重量部に、この正帯電性のポリスチレンアクリレート微粒子0.05重量部の分散液を添加し、超音波により混合し、主粒子に微粒子を付着させた後、98℃に加熱して融着させ、一般的な湿式外添により表面改質粒子を得た。
【0067】
表面の状態をSEMにより観察したところ、ポリスチレン微粒子の外添状態は不均一な粒子が多く得られた。また、ポリスチレンの未外添粒子も観察された。TEM観察の結果、表面の微粒子は、主粒子に埋め込まれているものが多かったが、主粒子との界面が断続的であるため、TEMの超薄切片作成時に主粒子からポリスチレンアクリレート微粒子が脱離しているものが観察された。これらのことから、この方法では、未外添微粒子の分離回収が必要であり、また、耐機械強度・耐破砕性に問題があることが予想される。耐機械強度・耐破砕性試験を行なったところ、微粉率10%と悪い結果を得た。
【0068】
比較例1−3
主粒子1および分散剤1の分散混合液のpHをアンモニア水によりpH11に調整したことを除いて、参考例1−1と同様にして、表面改質粒子を得た。図2(a)より、pH11では主粒子のゼータ電位の絶対値は25mVであり、分散剤の絶対値と主粒子の絶対値の差が10mVであった。すなわち、{|(分散剤のゼータ電位)|−|(主粒子のゼータ電位)|}≧10mVであり、この点は本発明の範囲内であるが、|(主粒子のゼータ電位)|>20mVであって、この点では本発明の範囲外である領域のpHに調整して重合したことになる。表面の状態をSEMにより観察したところ、通常のシード重合による表面がスムースな粒子が得られ、図4(a)に示すような本発明の粒子は得られなかった。
【0069】
比較例1−4
主粒子1および分散剤1の分散混合液のpHをアンモニア水によりpH8にしたことを除いて、参考例1−1と同様にして表面改質粒子を得た。pH8では、主粒子のゼータ電位の絶対値は18mVであり、分散剤の絶対値と主粒子の絶対値の差が7mVの場合であった。すなわち、|(主粒子のゼータ電位)|≦20mVであり、この点は本発明の範囲内であるが、{|(分散剤のゼータ電位)|−|(主粒子のゼータ電位)|}<10mVでであって、この点では本発明の範囲外である領域にpHを調整して重合したことになる。表面の状態をSEMにより観察したところ、通常のシード粒子よりは表面が幾らかラフであるが、図4(a)のようなはっきりとした表面改質された粒子は得られなかった。
【0070】
比較例1−4
アニオン性分散剤の代わりに、分散剤の疎水基が重合性単量体と同骨格を持たないドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用したことを除いて、参考例1−2と同様にして重合を行ったところ、凝集が起こり、粒子は得られなかった。この結果は、分散剤の疎水基が重合性単量体と同骨格を持たないために、膨潤能が低く、重合性単量体の分散安定性が得られなかったためと思われる。
【0071】
実施例1−1
主粒子(重合トナー)の合成
スチレンモノマー 50重量部
アクリル酸ブチル 30重量部
スチレン−アクリレート・ラテックス 12重量部
過硫酸アンモニウム 1重量部
アゾビスイソビチロニトリル 1重量部
カーボンブラック 4重量部
四級アンモニウム塩系負帯電電荷制御剤(CCA) 1重量部
ポリプロピレンワックス 1重量部
以上の原料を、ボールミル(HDポットミルtypeA−3 (株)ニツカー社製)により40時間分散し、これをT.K.AUTOホモミキサー(特殊機化工業社製)により15分間、回転数14000rpmで攪拌し、イオン交換水の入った2リットル4つ口フラスコに移し、更に1000rpmで2時間攪拌後、250rpmに落とし、温度を70℃に設定して、8時間重合を行い、体積平均粒径8.0μm、軟化点100℃の、真球形で表面はスムースな重合トナーを得た。
【0072】
図1のフロー図に従い、上記の主粒子と分散剤のpHとゼータ電位の関係をPENKEM社MODEL501で測定したところ、図2(a)で示したようなグラフが得られた。ここで、分散剤は同じものであり、主粒子はpH5からプラス側へ立ち上がり始めた。よって、適性pH領域は、pH5以下であり、塩酸水溶液によりpHを4に調整した。
【0073】
次に、この分散液2リットル4つ口フラスコに移し、スチレンとアクリル酸nブチルを添加し、過硫酸アンモニウムを添加し、80rpmで攪拌してから、温度を70℃に設定し、8時間重合を行なった。得られた表面改質粒子は、体積平均粒径8.2μmであった。表面の状態をTOPCON製ABT−32型SEMにより観察したところ、始めに主粒子は真球形で表面はスムースであったが、得られた粒子は、シード重合による粒子のようなスムーズな表面ではなく、図4のaに示す均一に微粒子をまぶしたように表面が改質されてた異形粒子であることがわかった。
【0074】
この粒子をさらに、日立製H−600型TEMにより断面を良く観察してみると、微粒子が付着しているのではなく、表面の微小な重合体の断面形状は略三角形状をしており、主粒子との界面が認められなかった。合成した表面改質による異形粒子と主粒子の温度−粘弾性試験で評価したところ、図5に示すように、合成した異形粒子は、主粒子とほぼ変わらぬシャープな溶融性を示し、130℃以上で両曲線が重なった。
【0075】
この結果から、構造のみならず粘弾性の連続性がうかがえた。このことから、得られた粒子は、耐機械強度・耐破砕性のみならず、主粒子と同様の低温定着性を示すことが期待される。また、主粒子表面の重合体の数は、重合体の外周側の外形線が主粒子の外周と交わることのないほど十分に存在しており、耐固着性も優れていることが期待できる。定着性、耐機械強度・耐破砕性、耐固着性試験を行なったところ、いずれも予想通り良好な成績であった。
【0076】
実施例1−2
カチオン性の分散剤(構造式CH2 =CR1 COO(CH2 )n −NHR2 R3 )の代わりに、極性基はアニオン性であるが疎水基は重合性単量体と同骨格のスチレン重合誘導体構造を持つ分散剤2としてCH2 =(CH2 )n −CH−◎−COONH4 を使用したことを除いて、実施例1−1と同様にして、体積平均粒径8.1μmの粒子を得た。
【0077】
図2(b)で主粒子がpH5からプラスへ立ち上がるため、適性pHは3〜6ぐらいとなり、アンモニア水でpH5に調整して重合した。表面の状態をSEMにより観察したところ、主粒子表面の重合体は実施例1−1よりも多少大きめであったが、やはり図4(a)のように均一に微粒子をまぶしたような粒子が得られ、単独の重合体は見られなかった。TEM観察の結果、表面の微小な重合体は、参考例1−1よりも丸みを帯びた三角錘状のものが多く、はっきりした三角錘状から球状の重合体まで観察された。また、いずれも主粒子との界面は認められなかった。
【0078】
合成した表面改質された異形粒子と主粒子の温度ー粘弾性試験を行ない、評価したところ、図5に示すように、合成した異形粒子は、主粒子とほぼ変わらぬシャープな溶融性を示し、130℃以上で両曲線が重なった。この結果から、構造のみならず粘弾性の連続性がうかがえた。このことから、得られた粒子は、耐機械強度・耐破砕性のみならず主粒子と同様の低温定着性を示すことが期待される。また、主粒子表面の重合体の数は、重合体の外周側の外形線が主粒子の外周と交わることのないほど十分に存在しており、耐固着性も優れていることが期待できる。定着性、耐機械強度・耐破砕性、耐固着性試験を行なったところ、実施例1−1と同様、良好な成績であった。
【0079】
比較例2−1
実施例2−1において、主粒子に以下の微粒子を外添して乾式表面改質粒子を得た。
【0080】
ポリスチレンアクリレート微粒子の合成
スチレン 0.16重量部
アクリル酸nブチル 0.04重量部
過硫酸アンモニウム 0.006重量部
イオン交換水 200重量部
イオン交換水をアンモニア水でpH9.8に調整し、次いで、これを2リットルの4つ口フラスコに移し、スチレンとアクリル酸nブチルを添加し、更に過硫酸アンモニウムを添加し、200rpmで攪拌しながら、温度を70℃に設定し、8時間重合を行った。得られた粒子は体積平均粒径0.3μmであった。
【0081】
このポリスチレンアクリレート微粒子0.1重量部を実施例1−1の主粒子1重量部に添加し、ハイブリダイザーシステム(HYBRIDIZER NHS−0,NARAKIKAI社製)で1200rpmで10分間混合し、乾式表面改質粒子を得た。表面の状態をSEMにより観察したところ、ポリスチレン微粒子の外添状態は均一な粒子よりも不均一な粒子が多く、主粒子が露出し、外形線は主粒子と交わることが多かった。
【0082】
TEM観察の結果、表面のポリスチレンアクリレート微粒子は、主粒子に埋め込まれているものが多かったが、主粒子との界面が断続的であるためにTEMの超薄切片作成時に主粒子から微粒子が脱離しているものが観察された。よって、この方法では未外添微粒子の分離回収が必要であり、耐機械強度・耐破砕性試験では、微粉率は12%と非常に悪い結果を得た。また、耐固着性試験では、500枚印刷後から固着の発生が観察された。粘弾性試験では、図5に示すように、主粒子の曲線は重なることはなかった。このことから定着温度が上がっていることが予想され、実際、定着試験の結果は75%で×であった。
【0083】
比較例2−2
実施例1−1において、主粒子に以下の微粒子を湿式で外添して表面改質粒子を得た。
【0084】
まず、イオン交換水をアンモニア水でPH9.8に調整し、次いで、これを2リットル4つ口フラスコに移し、スチレンとアクリル酸nブチルを添加し、更にAIBN・2HC1を添加し、200rpmで攪拌しながら、温度を70℃に設定し、8時間重合を行った。得られた粒子は体積平均粒径0.2μmであった。実施例1−1の主粒子1重量部にこの正帯電性のポリスチレンアクリレート微粒子0.05重量部の分散液を添加し、超音波により混合し、主粒子に微粒子を付着させた後、98℃に加熱して融着させ、一般的な湿式外添により表面改質粒子を得た。
【0085】
表面の状態をSEMにより観察したところ、ポリスチレン微粒子の外添状態は均一な粒子よりも不均一な粒子が多く、主粒子が露出し、外形線は主粒子と交わることが多かった。TEM観察の結果、表面のポリスチレンアクリレート微粒子は、主粒子に埋め込まれているものが多かったが、主粒子との界面が断続的であるため、TEMの超薄切片作成時に主粒子から微粒子が脱離しているものが観察された。これらのことから、この方法では、未外添微粒子の分離回収が必要であり、また、耐機械強度・耐破砕性、耐固着性に問題があることが予想される。耐機械強度・耐破砕性試験では、微粉率は10%と非常に悪い結果を得た。また、耐固着性試験では、800枚印刷後から固着の発生が観察された。粘弾性試験では主粒子の曲線と重ならず、定着試験は、比較例2−1同様に80%で×であった。
【0086】
比較例2−3
pHの調整の際、アンモニア水によりPH10.5にしたことを除いて実施例1−1と同様にして、粒径8.5μmの粒子を得た。表面の状態をSEMにより観察したところ、シード重合で得たように表面がスムースなコート状に表面改湿された粒子が得られた。耐機械強度・耐破砕性試験を行なったところ、微粉率は1%以下と非常に良好な結果を得た。また、耐固着性試験でも固着の発生はなかった。しかし、粘弾性試験では、主粒子の曲線と重ならず、定着試験の結果は65%で×であった。
【0087】
比較例2−4
分散剤(構造式CH2 =CR1 COO(CH2 )n −NHR2 R3 )0.006重量部の代わりに、同じ分散剤(構造式CH2 =CR1 COO(CH2 )n −NHR2 R3 )0.003重量部とスチレン重合誘導体構造を持つアニオン性分散剤としてCH2 =(CH2 )n −CH−◎−COONH4 を0.003重量部を用いたことを除いて、実施例1−1と同様にして、体積平均粒径8.5μmの粒子を得た。表面の状態をSEMにより観察したところ、図4(b)に示すような樹枝状の重合体が表面に見られた。
【0088】
TEM観察の結果、表面の重合体は、樹枝状に長く伸びているが、三角錘状のものと同様に主粒子との界面は認められなかったが、その外形線は明らかに主粒子と交わるものであった。定着性試験と粘弾性試験は良好であったが、重合体が長いために耐機械強度・耐破砕性試験は悪い結果となり、また重合体の付着数が少ないため、主粒子の露出部分が多く、外形線が主粒子と交わり、耐固着性試験も悪い結果を得た。よって、本発明の目的を果たすトナーは得られなかった。
【0089】
以上の実施例及び比較例の試験結果を以下にまとめる。
【0090】
【0091】
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、シード重合を起こさずに、主粒子の樹脂粒子の表面改質による異形化を行なうことが可能であり、それによって微粒子外添構造に類似の異形粒子が得られる。主粒子の表面は均一に改質され、未外添小粒子の分離操作がいらない異形粒子が得られる。その結果、一般的な乾式および湿式の外添法で製造したものと比べて機械的強度、耐久性に優れた異形粒子が提供できる。
【0093】
また、本発明によると、高軟化点の殻をつけることなく、耐機械強度・耐破砕性、耐固着性の優れたトナーを提供できる。このことにより、主粒子の軟化点を低くすることで低温定着性と耐固着性とを同時に満たす電子写真用トナーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面改質による樹脂粒子の異形化方法のフロー図。
【図2】本発明の方法におけるpH範囲を得るための、pH−ゼータ電位曲線を示す特性図。
【図3】本発明に係る異形粒子の概念図。
【図4】本発明に係るトナーの電子顕微鏡写真図。
【図5】本発明に係るトナーの温度−複素粘弾性曲線を示す特性図。
【図6】本発明に係るトナ−が使用されるカラープリンタの概略断面図。
【符号の説明】
301…主粒子1のゼータ電位曲線、200…現像装置、201…感光体、303…pH調整適正領域、202…帯電装置、203…レーザー露光装置、204…ブレードクリーニング装置、205…除電ランプ、209…転写装置、210…定着装置、211…加熱ローラー、212…加圧ローラー、213…画像支持体、302…分散剤1のゼータ電位曲線、304…主粒子1のゼータ電位曲線、305…分散剤2のゼータ電位曲線、306…pH調整適正領域、401…異形粒子断面、402…主粒子、403…重合成長した重合体で改質された表面、404…電子写真用トナーの断面、405…低軟化点主粒子、406…三角錘状重合体、407…外形線、408…主粒子、409…樹状重合体
Claims (1)
- 着色剤を含む主粒子の表面に、この主粒子の軟化点より高い軟化点を有し、断面が略三角形状の複数の重合体が重合により部分的に形成された異形樹脂粒子からなり、前記主粒子と前記異形樹脂粒子それぞれが持つ温度−複素粘弾率曲線が所定の温度以上において重なり、かつ複数の前記重合体の外形線を包絡する直線が、前記主粒子の外周と交わらないことを特徴とする異形電子写真用トナ−。
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