JP3587598B2 - 圧裂引張試験装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、岩盤等の供試体に圧縮力を加えて圧裂させることにより、該供試体の引張強度を測定する圧裂引張試験を行うのに都合のよい圧裂引張試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の方法で圧裂引張試験を行っている様子を示した図、
図5(a)〜(d)は、圧裂した状態における供試体の円形端面を示した図である。
【0003】
従来、円柱形状(例えば直径と厚さが約2:1)で採取された岩盤等の供試体に対して圧裂引張試験が行われている。
例えば従来の圧裂引張試験では、図4に示すように、互いに上下方向に対向配置された下載荷盤50及び上載荷盤51の間に円柱状の供試体60を、該供試体60の円形端面61aが水平方向を向く形で設置し、次いで図示しない油圧アクチェータ(或いはジャッキ)等を介して前記下載荷盤50及び上載荷盤51に、これら下載荷盤50及び上載荷盤51が互いに接近する方向(即ち上下方向)で押圧力を加える。従って供試体60には、これら下載荷盤50及び上載荷盤51を介して上下方向の荷重、即ち軸荷重が圧縮力として作用する。
【0004】
ところで、上下方向の圧縮力が供試体60に作用すると、該供試体60は上下方向に圧縮変形されるので、この変形により供試体60内では水平方向である図4の矢印A、B方向に引張応力が生じ、従って供試体60は矢印A、B方向に引張変形される。次いで、前記軸荷重を更に強くして、供試体60に更に強い圧縮力を作用させて、該供試体60に作用する矢印A、B方向の引張応力を更に強くすることにより、該供試体60を圧裂させる。即ち、供試体60は、例えば図5(a)に示すように、該供試体60の円形端面61aに上下方向の1筋の亀裂K1が形成される形で、矢印A側及び矢印B側の2つの部分に分離され圧裂する。なお、供試体60が受ける圧縮力、即ち軸荷重は、図示しない前記油圧アクチェータ等による押圧力を計測することにより計測されており、該供試体60が圧裂する直前の軸荷重である最大荷重が計測される。
【0005】
前記計測された最大荷重をP、供試体60の直径をD、供試体60の厚さをLとすると、求めるべき供試体60の引張強度Stは下記の数式(1)で演算されることが知られている。即ち;
St=2P/πDL……(1)
よって、この数式(1)により供試体60の引張強度Stを演算して求めて供試体60に対する圧裂引張試験が完了する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の圧裂引張試験では、軸荷重による供試体60の変形が急激に生じるなどの理由から、供試体60の圧裂が、該供試体60の円形端面61aに図5(a)に示すような1筋の亀裂K1を形成する形でなく、例えば図5(b)に示すように上下の載荷点部60a、60b付近にくさび状の割れW1、W1を発生させたり、或いは図5(c)に示すように複数の亀裂K2、K2を発生させたり、或いは図5(d)に示すように上下の載荷点部60a、60付近が押し潰されたりする形で行われることがある。供試体60の圧裂が、上述した図5(b)〜(d)に示すように行われる場合には、上述した数式(1)が適用できず、正確な引張強度Stを求めることが困難であった。
【0007】
そこで本発明は上記事情に鑑み、供試体に対して圧裂引張試験を行い、正確な引張強度を容易に求めることのできる圧裂引張試験装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明のうち第一の発明は、円柱形の供試体(60)に対して、該供試体(60)の中心軸(Q1)と垂直な荷重負荷方向(KH)に圧縮力を加えて、該供試体(60)を圧裂させるようにして行う圧裂引張試験を行う際に使用する圧裂引張試験装置(1)において、互いに対向して配置され、前記荷重負荷方向(KH)において相対的に接近・後退移動自在な第1及び第2の押圧部材(3、5)を有し、前記第1の押圧部材(3)に第1の供試体押圧部(3a)を、前記第2の押圧部材(5)に第2の供試体押圧部(5a)を、これら第1及び第2の供試体押圧部(3a、5a)が前記荷重負荷方向(KH)に対向する形で形成し、前記第1及び第2の押圧部材(3、5)の第1及び第2の供試体押圧部(3a、5a)間に、前記荷重負荷方向(KH)の圧縮力を作用させ得る試験荷重負荷駆動手段(2A、2B)を設け、2つの設置部(7、7)を有し、これら設置部(7、7)間の距離(D)の変位量(DH)を計測し得る所定の変位計測手段
(6、17)を、これら設置部(7、7)が、前記第1及び第2の供試体押圧部(3a、5a)の間に設置される供試体(60)の端面(61a)にそれぞれ設置自在となる形で設け、前記変位計測手段(6、17)から出力される出力(DH)に基づいて、前記試験荷重負荷駆動手段(2A、2B)の駆動により、前記第1及び第2の押圧部材(3、5)間に加わる圧縮力を制御する圧縮力制御部
(25、26、37)を設けて構成される。
【0009】
また本発明のうち第二の発明は、第一の発明による圧裂引張試験装置(1)において、前記圧縮力制御部(25、26、37)は、前記変位計測手段(6、17)から出力される出力(DH)に基づいて、前記変位計測手段(6、17)の2つの設置部(7、7)間の距離(D)の変位量(DH)の変化速度(SH)を演算する変化速度演算部(25)と、該演算された変化速度(SH)に基づいて、前記試験荷重負荷手段(2A、2B)の駆動を制御する駆動制御部(37、26)からなる。
【0010】
また本発明のうち第三の発明は、第一の発明による圧裂引張試験装置(1)において、前記第1及び第2の供試体押圧部(3a、5a)の間に設置される供試体(60)の端面(61b)を画像撮影し得る画像撮影手段(12、33)を設け、前記供試体(60)の圧裂時に、前記画像撮影手段(12、33)により撮影された画像(GZ)を格納する画像メモリ(27)を有し、前記画像メモリ(27)に格納された前記供試体(60)の圧裂時の画像(GZ)から、該供試体(60)の圧裂状態の適否を判定出力する圧裂状態判定出力部(32、36)を設けて構成される。
【0011】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。以下の
「作用」の欄についても同様である。
【0012】
【作用】
上記した構成により本発明のうち第一の発明では、第1及び第2の供試体押圧部(3a、5a)の間に供試体(60)を設置し、試験荷重負荷駆動手段(2A、2B)により第1及び第2の押圧部材(3、5)を介して前記供試体(60)に荷重負荷方向(KH)の圧縮力を作用させる。また、該供試体(60)に圧縮力を加えることにより、該供試体(60)は、その内部で作用する引張応力により荷重負荷方向(KH)とは垂直な方向に引張変形される。この供試体(60)の引張変形に伴なって、該供試体(60)の端面(61a)に設置された2つの設置部(7、7)間の距離(D)が長くなる形で変位し、この変位量(DH)は変位計測手段(6、17)に計測され、圧縮力制御部(25、26、37)では、該変位計測手段(6、17)から出力される出力に基づいて、前記供試体
(60)に加わる圧縮力を、該供試体(60)の引張変形が不適切に生じないように、即ち前記2つの設置部(7、7)間の距離(D)の変位が不適切に生じないように、試験荷重負荷駆動手段(2A、2B)を制御する。
【0013】
また本発明のうち第二の発明では、試験荷重負荷駆動手段(2A、2B)の制御は、前記2つの設置部(7、7)間の距離(D)の変位量(DH)の変化速度(SH)に基づいてなされる。
【0014】
また本発明のうち第三の発明では、供試体(60)の引張変形が不適切に生じて、供試体(60)の圧裂時に、例えば該供試体(60)の端面(61a)にくさび状の割れ(W1、W1)が発生したり、或いは複数の亀裂(K2、K2)が発生したり、或いは上下の載荷点部(60a、60)が押し潰されるようなことが起こった場合、供試体(60)の圧裂状態の適否が判定出力される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、本発明による圧裂引張試験装置の一例である引張強度測定装置を示した模式図、
図2は、図1に示した引張強度測定装置の制御装置を示したブロック図、
図3(a)〜(d)は、圧裂した状態における供試体の画像を示した図である。
【0016】
引張強度測定装置1は、図1に示すように、図示しない設置フレームに固定された2つの油圧アクチェータ2A、2Bを有している。油圧アクチェータ2Aは、そのラム2Aaの先端を、前記図示しない設置フレームに対して上方に向かって突出後退駆動させ得るように配置されており、油圧アクチェータ2Bは、そのラム2Baの先端を、前記図示しない設置フレームに対して下方に向かって突出後退駆動させ得るように配置されている。なお、ラム2Aaの先端とラム2Baの先端は、図1に示すように上下方向に対向している。
ラム2Aaの先端側には下載荷盤5が、ラム2Baの先端側には上載荷盤3がそれぞれ固定して設けられており、これら下載荷盤5と上載荷盤3は、互いに上下方向、即ち荷重負荷方向KHに対向して配置されている。また、上述した油圧アクチェータ2A、2Bのラム2Aa、2Baの移動により、これら下載荷盤5と上載荷盤3は、荷重負荷方向KHにおいて相対的に接近・後退し得るようになっている。更に、前記下載荷盤5の上面側には、U字状に窪んだ設置部5aが形成されており、前記上載荷盤3の下面側にも、逆U字状に窪んだ設置部3aが形成されている。これら設置部3a、5aは上下方向である前記荷重負荷方向KHに対向している。
従って、上述した油圧アクチェータ2A、2Bは、これらの駆動により、前記下載荷盤5と上載荷盤3の間に、前記荷重負荷方向KHの圧縮力を作用させ得るようになっている。
なお、油圧アクチェータ2Bには、該油圧アクチェータ2Bのラム2Baが上方向に受けている荷重KJを計測し得る荷重計20が設けられている。
【0017】
一方、下載荷盤5及び上載荷盤3の間には、設置部5a、3aの間において供試体60が挟まれた形で設置されている(但し、供試体60は引張強度測定装置1の構成要素ではない。)。この供試体60は、円柱形状(例えば直径と厚さが約2:1)で採取された岩盤等であり、該供試体60の円形端面61a、61bが水平方向である図1の矢印C、D方向を向く形で、従って該供試体60の中心軸Q1が該矢印C、D方向(即ち前記荷重負荷方向KHと垂直な方向)に伸延する形で配置されている。
この供試体60の一方の円形端面61a(図1に示す紙面手前側の端面)には、図1に示すように変位計6が設けられている。変位計6は、円形端面61aに固定設置された2つの接触部7、7を有しており、各接触部7は例えば水平方向(矢印C、D方向)に伸延したサラネジで、このサラネジの頭部が円形端面61aに接着固定された状態となっている。また、これら接触部7、7はともに円形端面61aの中心軸Q1と略等しい高さレベルで、前記矢印C、D方向とは垂直な水平方向である図1の矢印A、B方向に並んだ形で配置されており、しかも接触部7、7は中心軸Q1に対して矢印A、B方向に互いに対称位置に配置されている。各接触部7のうち円形端面61aとは反対側には上下方向に伸延した変位検知棒9がそれぞれ接続して設けられており、これら変位検知棒9、9の下端側には変位計ケーシング10が設けられている。変位計ケーシング10の内部には所定の変位計測機構11が内蔵されている。即ち、接触部7、7間の水平方向の距離Dの変位量DHは、変位検知棒9、9間の水平方向の距離Dの変位量DHとして変位計測機構11に伝達されるようになっており、変位計測機構11は伝達されたこれら変位検知棒9、9間の距離Dの変位量DH、従って接触部7、7間の距離Dの変位量DHを随時計測し得るようになっている。変位計測機構11としては、例えば公知のひずみゲージタイプの変位計測機構を採用するとよい
(なお本発明においては、変位計測機構11としては、公知のひずみゲージタイプのもの以外にも、公知の差動変圧器タイプのもの等多種多様の変位計測機構を採用することができる。)。
【0018】
更に、引張強度測定装置1は、図1に示すように画像撮影し得るカメラユニット等の撮影機ユニット12を有しており、撮影機ユニット12は、前記下載荷盤5及び上載荷盤3の間に設置された供試体60の円形端面61b(即ち、円形端面61aとは反対側の端面)を画像撮影し得るように配置されている。
また、引張強度測定装置1は、図1及び図2に示すように制御装置13を有しており、制御装置13は主制御部15を有している。主制御部15にはバス線を介して入力部16、変位計制御部17、変位速度算出部25、アクチェータ制御部26、画像メモリ27、荷重計制御部29、荷重変化検出部30、引張強度演算部31、出力部32、撮影機制御部33、ディスプレイ35、画像比較判定部36、変位速度判定部37が接続されている。そして、変位計制御部17には、前記変位計6が、該変位計6によって計測された変位量DHを受取り自在に接続されており、アクチェータ制御部26には、前記油圧アクチェータ2A、2Bがこれら油圧アクチェータ2A、2Bを駆動自在に接続されている。また、荷重計制御部29には前記荷重計20が、該荷重計20により計測された荷重を受取自在に接続されており、撮影機制御部33には、前記撮影機ユニット12が、該撮影機ユニット12により撮影された画像を受取自在に接続されている。
【0019】
引張強度測定装置1等は以上のように構成されているので、該引張強度測定装置1により圧裂引張試験を行うには、まず下載荷盤5及び上載荷盤3の設置部5a、3a間に、図1に示すように、供試体60を設置し、変位計6を、その接触部7、7を供試体60の円形端面61aの所定の位置にそれぞれ設置する形で設置した後、制御装置13の入力部16を介して試験開始の命令を入力する。入力部16を介して入力された該命令は、主制御部15に伝送され、該命令を受けた主制御部13は、アクチェータ制御部26に油圧アクチェータ2A、2Bの駆動命令を与える。該駆動命令を受けたアクチェータ制御部26は油圧アクチェータ2A、2Bを所定の出力で駆動させる。即ち、油圧アクチェータ2A、2Bの駆動により、前記下載荷盤5及び上載荷盤3の設置部5a、3a間に設置された供試体60には、前記荷重負荷方向KHの圧縮力が作用する。
【0020】
ところで、供試体60に荷重負荷方向KHの圧縮力が作用することにより、該供試体60の内部では矢印A、B方向の引張応力が作用し、該供試体60がこの矢印A、B方向に引張変形される。また、この供試体60の引張変形に伴なって、該供試体60の円形端面61aに設置された変位計6では、その接触部7、7間の距離Dが矢印AB方向に長くなる形で変位する。該変位計6では、この距離Dの変位量DHを随時計測し、計測した変位量DHを制御装置13の変位計制御部17にその都度伝送する。
変位計制御部17は受け取った変位量DHを変位速度算出部25にその都度伝送し、変位速度算出部25では、順次受け取った変位量DHに基づいて、該変位量DHの時間変化、即ち接触部7、7間の距離Dの変位量DHの変化速度SHを順次演算算出する。演算算出された変化速度SHは、変位速度判定部37に順次伝送され、変位速度判定部37は、受け取った変化速度SHが、予め定められた値αよりも大きいか否かを判定し、変化速度SHが前記値αよりも大きい場合には、アクチェータ制御部26に、油圧アクチェータ2A、2Bの駆動出力を所定の割合で減少させる命令を伝送し、変化速度SHが前記値α以下の場合には、アクチェータ制御部26に、油圧アクチェータ2A、2Bの駆動出力をそのまま維持させる命令を伝送する。従って、アクチェータ制御部26は、変化速度SHが前記値αよりも大きい場合には、油圧アクチェータ2A、2Bの駆動出力を所定の割合で減少させ、変化速度SHが前記値α以下の場合には、油圧アクチェータ2A、2Bの駆動出力をそのまま維持させる。
ところで、接触部7、7間の距離Dの変位量DHの変化速度SHは、上述したように供試体60の円形端面61aにおける矢印A、B方向の引張変形の変位速度である。従って、油圧アクチェータ2A、2Bの駆動出力を減少させれば、供試体60の引張変形の変位速度も減少する。つまり、供試体60の引張変形は、円形端面61aにおける矢印A、B方向の引張変形の変位速度SHが前記値αを超えないように制御される。つまり、荷重負荷方向KHにおける圧縮力(即ち軸荷重)による供試体60の変形が急激に生じることが防止され、後に生じる供試体60の圧裂(後述)が適切になされる。
【0021】
続いて油圧アクチェータ2A、2Bの駆動を(これら油圧アクチェータ2A、2Bの駆動出力を減少させる形で、或いは駆動出力を維持する形で)行い、供試体60に作用する圧縮力を徐々に増加させることにより、該供試体60を圧裂させる。
ところで、荷重計20では、油圧アクチェータ2Bのラム2Baに作用する上方向の荷重KJを随時計測しており、計測した荷重KJは制御装置13の荷重計制御部29に順次伝送される。荷重計制御部29に順次伝送された荷重KJは、荷重変化検出部30に順次伝送され、荷重変化検出部30では順次伝送されてくる荷重KJに基づいて、該荷重KJの時間変化を演算検出し、検出した時間変化が負の値になる際の直前の荷重KJを最大荷重SJとして検出する。検出された最大荷重SJは引張強度演算部31に伝送される。即ち、荷重KJの時間変化が負の値になるということは、供試体60が圧裂したということであるから、最大荷重SJは、供試体60が圧裂する直前の荷重である。なお、油圧アクチェータ2Bのラム2Baに作用する上方向の荷重KJは、下載荷盤5と上載荷盤3の間の供試体60に作用する荷重負荷方向KHの圧縮力に等しいから、前記最大荷重SJは、圧裂する直前の供試体60に作用していた最大の圧縮力に等しい。
次いで、引張強度演算部31では、該最大荷重SJに基づいて従来の演算方法により供試体60の引張強度を演算する。
即ち、前記最大荷重SJをP、供試体60の直径をD、供試体60の厚さをLとすると、求めるべき供試体60の引張強度Stは、St=2P/πDL、により演算される。演算された引張強度Stは出力部32に伝送され、出力部32は該引張強度Stを外部に出力する(例えば数値を画像表示する形で出力する。)。なお、上述したように供試体60の圧裂は適切になされているので、出力された引張強度Stは正確な値である。
【0022】
一方、荷重変化検出部30で検出した時間変化が負の値となった際、即ち供試体60が圧裂した際に、該荷重変化検出部30は撮影機制御部33に撮影実行の命令を与える。該命令を受けて撮影機制御部33は撮影機ユニット12に撮影を実行させる。即ち、撮影機ユニット12は圧裂した状態の供試体60の円形端面61bを撮影する。撮影された画像GZは撮影機制御部33を介して画像メモリ27に伝送され格納される。次いで、画像メモリ27に格納された画像GZは、ディスプレイ35及び画像比較判定部36に伝送される。即ち、ディスプレイ35では伝送された画像GZが図3(a)〜(d)等に示すように画像表示される。
ところで、画像比較判定部36には、例えば図3(a)と略同様の画像である、適切に圧裂された供試体の円形端面のモデル画像MGが予め入力されており、画像比較判定部36では、このモデル画像MGと、画像メモリ27から伝送されてきた画像GZとを比較して、その比較結果を出力部32に伝送する。即ち、出力部32は、前記比較結果が、モデル画像MGと画像GZとを比較して両者が異なるという結果である場合には「圧裂不適切」の表示を出力し、前記比較結果が、モデル画像MGと画像GZとを比較して両者が一致するという結果である場合には「圧裂適切」の表示を出力する。つまり、モデル画像MGと画像GZとを比較して両者が異なるというのは、例えば画像GZが図3(b)〜(d)のような場合であり、モデル画像MGと画像GZとを比較して両者が一致するというのは、例えば画像GZが図3(a)のような場合である。
つまり、変位計6の故障などによる不測の理由により、供試体60の変形を制御できず、該供試体60の変形が急激に生じてしまい、供試体60の圧裂が、該供試体60の円形端面61bに図3(a)に示す画像GZのように1筋の亀裂K1を形成する形でなく、図3(b)に示す画像GZのように上下の載荷点部60a、60b付近にくさび状の割れW1、W1を発生させたり、或いは図3(c)に示す画像GZのように複数の亀裂K2、K2を発生させたり、或いは図3
(d)に示す画像GZのように上下の載荷点部60a、60付近が押し潰されたりする形で行われてしまった場合、従って前記出力部32より出力されたれた引張強度Stが不正確である場合、該出力部32より「圧裂不適切」の表示が出力されるので、この不正確な引張強度Stを試験結果として誤って採用してしまうことを防止できる。
【0023】
なお、上述した実施例においては、試験荷重負荷駆動手段として油圧アクチェータ2A、2Bを採用したが、試験荷重負荷駆動手段としてしては、電動ジャッキなどその他の手段を採用してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のうち第一の発明は、円柱形の供試体60等の供試体に対して、該供試体の中心軸Q1等の中心軸と垂直な荷重負荷方向KH等の荷重負荷方向に圧縮力を加えて、該供試体を圧裂させるようにして行う圧裂引張試験を行う際に使用する圧裂引張試験装置において、互いに対向して配置され、前記荷重負荷方向において相対的に接近・後退移動自在な上載荷盤3、下載荷盤5等の第1及び第2の押圧部材を有し、前記第1の押圧部材に設置部3a等の第1の供試体押圧部を、前記第2の押圧部材に設置部5a等の第2の供試体押圧部を、これら第1及び第2の供試体押圧部が前記荷重負荷方向に対向する形で形成し、前記第1及び第2の押圧部材の第1及び第2の供試体押圧部間に、前記荷重負荷方向の圧縮力を作用させ得る油圧アクチェータ2A、2B等の試験荷重負荷駆動手段を設け、接触部7、7等の2つの設置部を有し、これら設置部間の距離D等の距離の変位量DH等の変位量を計測し得る変位計6、変位計制御部17等の所定の変位計測手段を、これら設置部が、前記第1及び第2の供試体押圧部の間に設置される供試体の円形端面61a等の端面にそれぞれ設置自在となる形で設け、前記変位計測手段から出力される変位量DH等の出力に基づいて、前記試験荷重負荷駆動手段の駆動により、前記第1及び第2の押圧部材間に加わる圧縮力を制御する変位速度算出部25、アクチェータ制御部26、変位速度判定部37等の圧縮力制御部を設けて構成されるので、本発明による圧裂引張試験装置により圧裂引張試験を行うには、第1及び第2の供試体押圧部の間に供試体を設置し、試験荷重負荷駆動手段により第1及び第2の押圧部材の第1及び第2の供試体押圧部間に荷重負荷方向の圧縮力を作用させることにより、該供試体に荷重負荷方向の圧縮力を加え圧裂させるようにする。供試体に荷重負荷方向の圧縮力を加えることにより、該供試体は、その内部で作用する引張応力により荷重負荷方向とは垂直な方向に引張変形される。この供試体の引張変形に伴なって、該供試体の端面に設置された2つの設置部間の距離は長くなる形で変位する。この変位量は変位計測手段に計測され、圧縮力制御部では、該変位計測手段から出力される出力に基づいて、前記供試体に加わる圧縮力を、該供試体の引張変形が不適切に生じないように、即ち前記2つの設置部間の距離の変位が不適切に生じないように(例えば、前記変位量の変化速度が所定の値よりも大きくならないように、或いは前記変位量の変化速度が一定値を保つように、或いはある大きさの変位量を超えた後には前記変位量の変化速度を所定の値に保つように)、試験荷重負荷駆動手段を、例えばその駆動出力を減少させる形で制御する。よって供試体の引張変形が、急激に生じるなどのように、不適切に生じることは極力防止され、供試体の圧裂時は、例えば該供試体の端面に1筋の亀裂K1が形成される形で極力適切になされる。よって、本発明によると、供試体を適切に圧裂させることが容易になるので、圧裂引張試験において正確な引張強度を容易に求めることができる。
【0025】
また本発明のうち第二の発明は、第一の発明による圧裂引張試験装置において、前記圧縮力制御部は、前記変位計測手段から出力される出力に基づいて、前記変位計測手段の2つの設置部間の距離の変位量の変化速度SH等の変化速度を演算する変位速度算出部25等の変化速度演算部と、該演算された変化速度に基づいて、前記試験荷重負荷手段の駆動を制御するアクチェータ制御部26、変位速度判定部37等の駆動制御部からなるので、試験荷重負荷駆動手段の制御は、前記2つの設置部間の距離の変位量の変化速度が、例えば所定の値よりも大きくならないように、或いは一定値を保つようになされるので、供試体の引張変形が急激に生じるなどのように、不適切に生じることはより確実に防止される。よって、第一の発明による効果に加えて、圧裂引張試験において正確な引張強度をより確実に求めることができる。
【0026】
また本発明のうち第三の発明は、第一の発明による圧裂引張試験装置において、前記第1及び第2の供試体押圧部の間に設置される供試体の円形端面61b等の端面を画像撮影し得る撮影機ユニット12、撮影機制御部33等の画像撮影手段を設け、前記供試体の圧裂時に、前記画像撮影手段により撮影された画像GZ等の画像を格納する画像メモリ27等の画像メモリを有し、前記画像メモリに格納された前記供試体の圧裂時の画像から、該供試体の圧裂状態の適否を判定出力する出力部32、画像比較判定部36等の圧裂状態判定出力部を設けて構成されるので、供試体の引張変形が不適切に生じて、供試体の圧裂時に、例えば該供試体の端面にくさび状の割れW1、W1が発生したり、或いは複数の亀裂K2、K2が発生したり、或いは上下の載荷点部60a、60が押し潰されるようなことが起こった場合にも、供試体の圧裂状態の適否が判定出力されるので、この試験により得られる不正確な試験結果を誤って採用してしまうことを防止することができる。よって、第一の発明による効果に加えて、圧裂引張試験において信頼性の高い試験結果を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による圧裂引張試験装置の一例である引張強度測定装置を示した模式図である。
【図2】図2は、図1に示した引張強度測定装置の制御装置を示したブロック図である。
【図3】図3(a)〜(d)は、圧裂した状態における供試体の画像を示した図である。
【図4】図4は、従来の方法で圧裂引張試験を行っている様子を示した図である。
【図5】図5(a)〜(d)は、圧裂した状態における供試体の円形端面を示した図である。
【符号の説明】
1……圧裂引張試験装置(引張強度測定装置)
2A……試験荷重負荷駆動手段(油圧アクチェータ)
2B……試験荷重負荷駆動手段(油圧アクチェータ)
3……第1の押圧部材(上載荷盤)
3a……第1の供試体押圧部(設置部)
5……第2の押圧部材(下載荷盤)
5a……第2の供試体押圧部(設置部)
6……変位計測手段(変位計)
7……設置部(接触部)
12……画像撮影手段(撮影機ユニット)
17……変位計測手段(変位計制御部)
25……圧縮力制御部、変位速度算出部(変位速度算出部)
26……圧縮力制御部、駆動制御部(アクチェータ制御部)
27……画像メモリ
32……圧裂状態判定出力部(出力部)
33……画像撮影手段(撮影機制御部)
36……圧裂状態判定出力部(画像比較判定部)
37……圧縮力制御部、駆動制御部(変位速度判定部)
60……供試体
61a……端面(円形端面)
61b……端面(円形端面)
D……距離
DH……変位量、出力(変位量)
GZ……画像
KH……荷重負荷方向
Q1……中心軸
SH……変化速度

Claims (3)

  1. 円柱形の供試体に対して、該供試体の中心軸と垂直な荷重負荷方向に圧縮力を加えて、該供試体を圧裂させるようにして行う圧裂引張試験を行う際に使用する圧裂引張試験装置において、
    互いに対向して配置され、前記荷重負荷方向において相対的に接近・後退移動自在な第1及び第2の押圧部材を有し、
    前記第1の押圧部材に第1の供試体押圧部を、前記第2の押圧部材に第2の供試体押圧部を、これら第1及び第2の供試体押圧部が前記荷重負荷方向に対向する形で形成し、
    前記第1及び第2の押圧部材の第1及び第2の供試体押圧部間に、前記荷重負荷方向の圧縮力を作用させ得る試験荷重負荷駆動手段を設け、
    2つの設置部を有し、これら設置部間の距離の変位量を計測し得る所定の変位計測手段を、これら設置部が、前記第1及び第2の供試体押圧部の間に設置される供試体の端面にそれぞれ設置自在となる形で設け、
    前記変位計測手段から出力される出力に基づいて、前記試験荷重負荷駆動手段の駆動により、前記第1及び第2の押圧部材間に加わる圧縮力を制御する圧縮力制御部を設けて構成した圧裂引張試験装置。
  2. 前記圧縮力制御部は、前記変位計測手段から出力される出力に基づいて、前記変位計測手段の2つの設置部間の距離の変位量の変化速度を演算する変化速度演算部と、該演算された変化速度に基づいて、前記試験荷重負荷手段の駆動を制御する駆動制御部からなることを特徴とする請求項1記載の圧裂引張試験装置。
  3. 前記第1及び第2の供試体押圧部の間に設置される供試体の端面を画像撮影し得る画像撮影手段を設け、
    前記供試体の圧裂時に、前記画像撮影手段により撮影された画像を格納する画像メモリを有し、
    前記画像メモリに格納された前記供試体の圧裂時の画像から、該供試体の圧裂状態の適否を判定出力する圧裂状態判定出力部を設けて構成した請求項1記載の圧裂引張試験装置。
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