JP3587105B2 - 図形データ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Zバッファ法により陰面消去を行って3次元図形を2次元表示するために図形データを処理する図形データ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータグラフィックス(CG)の一般的な図形データ処理装置は、物体を3次元空間に配置した複数のポリゴンと呼ばれる多角形によって表現し、3次元空間における視点位置、光源位置を決め、視点から見た画像を生成する。
【0003】
図2は、従来の図形データ処理装置の一実施例を示す構成図である。従来の図形データ処理装置は、モデリング・視野変換部10、Z面クリッピング部12、頂点輝度計算部14、透視変換部16、XY面クリッピング部18、ビューポート変換部20、頂点輝度・Z値内挿部22、Z値比較部24、Zバッファ26、フレームバッファ28、出力部30により構成されている。
【0004】
まず、物体を表現した多角形の頂点座標や物体の色、視点座標、視線の向き、光源座標、光線の向き、光源の種類(平行光源、点光源)、光源の色などの生成したい画像の基本的なデータとなるシーンデータをモデリング・視野変換部10に入力する。モデリング・視野変換部10において、多角形、光源、視点の位置を定義した3次元座標を、視点を原点としZ軸が視線の向きと平行な3次元座標に変換する。変換後の3次元座標系を視点座標系と呼ぶ。
【0005】
Z面クリッピング部12において、視点座標系のZ軸に垂直なスクリーンを定義する。視点から見てスクリーンを含む平面の手前に多角形全体が出ている場合、その多角形を破棄し、多角形の一部が出ている場合、出ている部分のみを破棄する。頂点輝度計算部14において、光源座標、光線の向き、光源の種類、光源の色、多角形の頂点座標、多角形の法線ベクトル、多角形が表現している物体の色などのシーンデータから、多角形の頂点における輝度を計算する。
【0006】
図3は座標変換の説明図である。透視変換部16において、視点座標系を透視座標系に変換する。透視座標系は視点から見てスクリーンを透視した空間を、スクリーンの横をX=−1からX=1の範囲、スクリーンの縦をY=−1からY=1の範囲、Z軸とスクリーンの交点を原点、Z軸方向に無限大の位置をZ=1と定める座標系である。斜線部がスクリーンに投影され表示される空間である。XY面クリッピング部18において、透視座標系のXY座標であるX=−1からX=1の範囲、Y=−1からY=1の範囲の外側に多角形全体が出ている場合、その多角形を破棄し、多角形の一部が出ている場合、出ている部分のみを破棄する。
【0007】
ビューポート変換部20において、透視座標系からスクリーン座標系への変換を行う。スクリーン座標系はスクリーンのピクセル数を考慮して、XY座標をスクリーンのピクセル数に合わせ、Z軸方向をZ=0からZ=232−1の範囲の整数値となるように定める座標系である。透視座標系においてX=−1からX=1の範囲、Y=−1からY=1の範囲で表されたスクリーンを、X=0からX={横のピクセル数−1}の範囲、Y={縦のピクセル数−1}からY=0の範囲に変換する。また、透視座標系においてZ=0からZ=1の範囲で表された奥行きを、Z=0からZ=232−1の範囲の整数値となるように変換する。232は一般にZバッファのビット数が4バイト=32ビットであることによるものである。
【0008】
頂点輝度・Z値内挿部22において、頂点輝度計算部14で求めた多角形頂点の輝度及び多角形の頂点のZ軸方向の座標値を内挿して、多角形の内部の点での輝度とZ軸方向の座標値を算出する。このZ軸方向の座標値をZ値と呼ぶ。Z値比較部24において、頂点輝度・Z値内挿部22で求めたスクリーン上のピクセルに対応したZ値とZバッファ26に記憶されているZ値とを比較する。頂点輝度・Z値内挿部22で求めたZ値の方が小さい場合には、Zバッファ26に内挿で求めたZ値を記憶させ、フレームバッファ28に内挿で求めた輝度を記憶させる。頂点輝度・Z値内挿部22で求めたZ値の方が大きい場合は、Zバッファ26、フレームバッファ28への記憶は行わない。なお、Zバッファ26、フレームバッファ28はシーンデータをモデリング・視野変換部10に入力する前にあらかじめ初期化されている。
【0009】
このようにZバッファに最新のZ値を記憶させて、そのZ値を用いて陰面消去を行う。すべての多角形に関して、Z値を算出しZバッファ26に記憶されているZ値と比較する処理が終了したら、フレームバッファ28から出力部30を通じて、スクリーン上の各ピクセルに対応した輝度を表示データとして出力する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
Zバッファやフレームバッファは画像化しようとする画面全体のZ値や輝度を記憶しなければならず、多角形単位で並列処理することはできない。したがって、Z値比較部において、スクリーン上のピクセルに対応したZ値とZバッファに記憶されているZ値とを比較する処理も、多角形単位で並列化することができない。このため、Z値を記憶するZバッファやフレームバッファには大容量のメモリが必要であった。
【0011】
本発明は、Zバッファ法により陰面消去を行って画像を表示するために、図形データを処理する処理能力の高い図形データ処理装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記従来の問題を鑑み、スクリーンを分割して分割スクリーンごとに処理を行うようにデータ処理部を並列化する。各分割スクリーンに対応したデータ処理部ごとにクリッピングを行って、Zバッファ法によりスクリーン上のピクセルに対応したZ値とZバッファに記憶されているZ値との比較を行う。
【0013】
すなわち本発明によれば、3次元空間に配置された物体を近似する多角形を、視点を原点とする視点座標系に設定するモデリング・視野変換部と、
前記視点座標系のZ軸に垂直な方向にスクリーンを定め、前記スクリーンより前記視点に近い側に存在する前記多角形のデータを破棄するZ面クリッピング部と、
前記多角形の頂点の輝度を算出する頂点輝度計算部と、
前記視点座標系を透視座標系に変換する透視変換部と、
前記スクリーンが分割された複数の分割スクリーンのそれぞれに対応し、前記分割スクリーンごとに並列処理を行えるように並列に設けられた複数のデータ処理部と、
前記複数のデータ処理部により算出されたデータを選択し出力する出力セレクタとを、
有するものであって、
前記複数のデータ処理部の各々が、
前記透視変換部によって前記透視座標系に変換された前記多角形のデータに関して、前記分割スクリーンの前記透視座標系におけるX座標及びY座標の範囲の外にある前記多角形のデータを破棄するXY面クリッピング部と、
前記透視座標系からスクリーン座標系への変換を行うビューポート変換部と、
前記頂点輝度計算部で求めた前記輝度及び前記スクリーン座標系上での前記多角形の頂点のZ軸方向の座標値を内挿して、前記多角形の内部の点の輝度及び前記多角形の内部の点のZ軸方向の座標値を算出する頂点輝度・Z値内挿部と、
あらかじめZ値が記憶されているZバッファと、
前記多角形の内部の点のZ軸方向の座標値と前記Z値の大きさとを比較するZ値比較部と、
前記Z値比較部での比較結果に応じて、前記頂点輝度・Z値内挿部で求めた前記多角形の内部の点の輝度を記憶するフレームバッファとにより構成され、
前記各Z値比較部での比較の結果、前記多角形の内部の点のZ軸方向の座標値が前記Zバッファに記憶されているZ値より小さい場合、前記多角形の内部の点の輝度を前記フレームバッファに記憶し、前記多角形の内部の点のZ軸方向の座標値を前記Z値として前記Zバッファに記憶するよう構成された図形データ処理装置が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の図形データ処理装置に係る一実施形態を示す構成図である。本発明の図形データ処理装置は、モデリング・視野変換部10、Z面クリッピング部12、頂点輝度計算部14、透視変換部16、出力セレクタ34と複数のデータ処理部32により構成されている。各データ処理部32は、XY面クリッピング部18、ビューポート変換部20、頂点輝度・Z値内挿部22、Z値比較部24、Zバッファ26、フレームバッファ28により構成されている。データ処理部32は画像の分割数だけ必要となる。すなわち、画像をn分割する場合はデータ処理部もn個必要となる。本実施例では、画像を横に2分割し、2つのデータ処理部32A、データ処理部32Bを設ける場合を説明する。
【0015】
モデリング・視野変換部10から透視変換部16までの処理過程は従来と同様である。透視変換部16から出力されたデータは、データ処理部32A及びデータ処理部32BのXY面クリッピング部18に送られる。透視変換部16から出力されたデータは、後述の処理により分割スクリーンごとにデータが分けられ、並列処理される。
【0016】
図4(a)は、横に2分割されたスクリーンの模式図である。図4(b)は縦に2分割されたスクリーンの模式図である。図4(a)に示すようにスクリーンを横に2分割する場合を説明する。データ処理部32A、32Bは、図4(a)の分割スクリーンA、Bに対応している。データ処理部32AのXY面クリッピング部18において、透視座標系のXY座標であるX=−1からX=1の範囲、Y=−1からY=0の範囲の外側に多角形全体が出ている場合、その多角形を破棄し、多角形の一部が出ている場合、出ている部分のみを破棄する。
【0017】
また、データ処理部32BのXY面クリッピング部18において、透視座標系のXY座標であるX=−1からX=1の範囲、Y=0からY=1の範囲の外側に多角形全体が出ている場合、その多角形を破棄し、多角形の一部が出ている場合、出ている部分のみを破棄する。
【0018】
データ処理部32Aのビューポート変換部20は、透視座標系においてX=−1からX=1の範囲、Y=−1からY=0の範囲で表されたスクリーンを、X=0からX={横のピクセル数−1}の範囲、Y={縦のピクセル数/2−1}からY=0の範囲に、透視座標系においてZ=0からZ=1の範囲で表された奥行きを、Z=0からZ=232−1の範囲の整数値に変換する。
【0019】
データ処理部32Bのビューポート変換部20は、透視座標系においてX=−1からX=1の範囲、Y=0からY=1の範囲で表されたスクリーンを、X=0からX={横のピクセル数−1}の範囲、Y={縦のピクセル数/2−1}からY=0の範囲に、透視座標系においてZ=0からZ=1の範囲で表された奥行きを、Z=0から232−1の範囲の整数値に変換する。
【0020】
データ処理部中の頂点輝度・Z値内挿部22での処理からフレームバッファ28への書き込みまでは従来と同様である。このようにして、各分割スクリーンに対応して、各データ処理部単位で各分割スクリーンのピクセルに対して並列処理を行う。すべてのシーンデータの処理が終了したら、出力セレクタ34を通じて、2つのフレームバッファ28から各分割スクリーンの表示データを出力する。
【0021】
次に、図4(b)に示すようにスクリーンを縦に2分割する場合を説明する。スクリーンを横に2分割した場合と同様、各データ処理部32A、32Bは図4(b)の分割スクリーンA、Bに対応している。XY面クリッピング部18で多角形を破棄する範囲、ビューポート変換部20で変換する座標系が、スクリーンを横に2分割した場合と異なっている。
【0022】
スクリーンを縦に2分割する場合、データ処理部32AのXY面クリッピング部18において、透視座標系のXY座標であるX=−1からX=0の範囲、Y=−1からY=1の範囲の外側に多角形全体が出ている場合、その多角形を破棄し、多角形の一部が出ている場合、出ている部分のみを破棄する。
【0023】
また、データ処理部32BのXY面クリッピング部18において、透視座標系のXY座標であるX=0からX=1の範囲、Y=−1からY=1の範囲の外側に多角形全体が出ている場合、その多角形を破棄し、多角形の一部が出ている場合、出ている部分のみを破棄する。
【0024】
データ処理部32Aのビューポート変換部20において、透視座標系からスクリーン座標系への変換を行う場合、透視座標系においてX=−1からX=0の範囲、Y=−1からY=1の範囲で表されたスクリーンを、X=0からX={横のピクセル数/2−1}の範囲、Y={縦のピクセル数/2−1}からY=0の範囲に変換する。また、透視座標系においてZ=0からZ=1の範囲で表された奥行きを、Z=0からZ=232−1の範囲の整数値となるように変換する。
【0025】
また、データ処理部32Bのビューポート変換部20において、透視座標系からスクリーン座標系への変換を行う場合、透視座標系においてX=0からX=1の範囲、Y=−1からY=1の範囲で表されたスクリーンを、X=0からX={横のピクセル数/2−1}、Y={縦のピクセル数−1}からY=0の範囲に変換する。また、透視座標系においてZ=0からZ=1の範囲で表された奥行きを、Z=0からZ=232−1の範囲の整数値となるように変換する。
【0026】
上記のように横又は縦にスクリーンを2分割した場合、データ処理部の有するXY面クリッピング部18、ビューポート変換部20、頂点輝度・Z値内挿部22、Z値比較部24、Zバッファ26、フレームバッファ28の容量が従来の1/2の容量であっても、従来と同程度の画像処理能力を有する。
【0027】
図5は4分割されたスクリーンの模式図である。上記の実施例では、画像を2分割しているので2つのデータ処理部32A、32Bを使用しているが、図5に示すように画像を4分割することも可能である。この場合も4つのデータ処理部を使用して、各分割スクリーンのデータを並列処理する。このスクリーン分割は縦分割又は横分割のどちらも可能であり、その分割パターンは図5(a)、図5(b)、図5(c)に示すパターンのいずれも可能である。
【0028】
また、スクリーンをN分割して、各分割スクリーンのデータをN個のデータ処理部で並列処理することも可能である。この場合、データ処理部の有するXY面クリッピング部18、ビューポート変換部20、頂点輝度・Z値内挿部22、Z値比較部24、Zバッファ26、フレームバッファ28の容量が従来の1/Nの容量であっても、従来と同程度の画像処理能力を有し、特にZバッファ26、フレームバッファ28の容量が小さい場合に効果を奏する。
【0029】
【発明の効果】
本発明では、スクリーンを分割して分割スクリーンごとに処理を行うようにデータ処理部を並列化し、各分割スクリーンに対応したデータ処理部ごとにクリッピングを行うので、スクリーン上のピクセルに対応したZ値とZバッファに記憶されているZ値との比較を分割スクリーンごとに行うことができる。分割スクリーンごとに並列処理を行うことによって、従来よりも処理能力の高い図形データ処理装置を実現することができる。また、分割スクリーンごとにZバッファやフレームバッファが存在するので、1つのZバッファ、1つのフレームバッファに対して大きな容量を必要としないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の図形データ処理装置に係る一実施形態を示す構成図である。
【図2】従来の図形データ処理装置の一実施形態を示す構成図である。
【図3】座標変換の説明図である。
【図4】横又は縦に2分割されたスクリーンの模式図である。
【図5】4分割されたスクリーンの模式図である。
【符号の説明】
10 モデリング・視野変換部
12 Z面クリッピング部
14 頂点輝度計算部
16 透視変換部
18 XY面クリッピング部
20 ビューポート変換部
22 頂点輝度・Z値内挿部
24 Z値比較部
26 Zバッファ
28 フレームバッファ
30 出力部
32 データ処理部
34 出力セレクタ
Claims (1)
- 3次元空間に配置された物体を近似する多角形を、視点を原点とする視点座標系に設定するモデリング・視野変換部と、
前記視点座標系のZ軸に垂直な方向にスクリーンを定め、前記スクリーンより前記視点に近い側に存在する前記多角形のデータを破棄するZ面クリッピング部と、
前記多角形の頂点の輝度を算出する頂点輝度計算部と、
前記視点座標系を透視座標系に変換する透視変換部と、
前記スクリーンが分割された複数の分割スクリーンのそれぞれに対応し、前記分割スクリーンごとに並列処理を行えるように並列に設けられた複数のデータ処理部と、
前記複数のデータ処理部により算出されたデータを選択し出力する出力セレクタとを、
有するものであって、
前記複数のデータ処理部の各々が、
前記透視変換部によって前記透視座標系に変換された前記多角形のデータに関して、前記分割スクリーンの前記透視座標系におけるX座標及びY座標の範囲の外にある前記多角形のデータを破棄するXY面クリッピング部と、
前記透視座標系からスクリーン座標系への変換を行うビューポート変換部と、
前記頂点輝度計算部で求めた前記輝度及び前記スクリーン座標系上での前記多角形の頂点のZ軸方向の座標値を内挿して、前記多角形の内部の点の輝度及び前記多角形の内部の点のZ軸方向の座標値を算出する頂点輝度・Z値内挿部と、
あらかじめZ値が記憶されているZバッファと、
前記多角形の内部の点のZ軸方向の座標値と前記Z値の大きさとを比較するZ値比較部と、
前記Z値比較部での比較結果に応じて、前記頂点輝度・Z値内挿部で求めた前記多角形の内部の点の輝度を記憶するフレームバッファとにより構成され、
前記各Z値比較部での比較の結果、前記多角形の内部の点のZ軸方向の座標値が前記Zバッファに記憶されているZ値より小さい場合、前記多角形の内部の点の輝度を前記フレームバッファに記憶し、前記多角形の内部の点のZ軸方向の座標値を前記Z値として前記Zバッファに記憶するよう構成された図形データ処理装置。
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