JP3583104B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関し、特に、いわゆるタンデム型の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、マゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各単色画像を形成するための4つの画像形成部を1列に整列して配置した、いわゆるタンデム型のカラー画像形成装置が知られている。各画像形成部には、その表面にトナー像が形成される感光体が含まれる。
各感光体は、例えばメインチャージャの放電によって一様に帯電された後、LEDプリントヘッドから照射された光によって露光される。これにより、感光体表面には、いわゆる静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体の表面には、現像装置によりトナーが付着され、トナー像が形成される。
【0003】
各感光体には、用紙を搬送するための無端状の搬送ベルトが下方から当接されている。搬送ベルトには帯電ローラが当接されていて、この帯電ローラの働きにより帯電された搬送ベルトに用紙が張り付いた状態で搬送されるようになっている。
このタンデム型カラー画像形成装置では、用紙が搬送ベルトにより搬送されていく過程で、各感光体の表面に形成された各色トナー像が用紙に順次転写されていき、4色目のトナー像の転写後に用紙上のトナーが定着装置で定着処理されることにより、用紙にフルカラー画像が記録されるようになっている。
【0004】
この種の画像形成装置では、搬送ベルトによる用紙搬送時にジャム(用紙詰まり)が生じた場合に、搬送ベルトに感光体のトナーが付着する場合がある。また、画像形成装置の中には、搬送ベルトに直接トナーを付着させてそのトナーの濃度を判定し、その判定結果に基づいてトナーの濃度を補正(濃度補正)することができるようになっているものがあり、この濃度補正を行う際にも搬送ベルトにトナーが付着する。このようにして搬送ベルトに付着したトナーを除去するために、ベルトクリーニング装置を備えた画像形成装置がある。
【0005】
ベルトクリーニング装置には、例えば搬送ベルトの表面に当接されたブレードが含まれる。このブレードは、下方から搬送ベルトの表面に当接していて、搬送ベルトが回転するのに伴ってブレードが搬送ベルトの表面に摺接することにより、搬送ベルトの表面に付着したトナーがブレードにより掏り取られるようになっている。
搬送ベルトは、例えば画像形成装置から略水平方向に引き出し可能なベルト保持部材により保持されている。このベルト保持部材を画像形成装置から引き出すことにより、搬送ベルトが引き出され、画像形成部近傍でジャムした用紙を取り除くためのスペースが形成されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
感光体と搬送ベルトとが当接した状態でベルト保持部材を引き出すと、感光体と搬送ベルトとが擦れて、それぞれの表面に傷が生じるおそれがある。
感光体の表面に傷が生じた場合、その表面に現像装置からのトナーが付着しにくくなったり、メインチャージャによる帯電が正常に行われなくなったりする場合がある。
【0007】
また、搬送ベルトの表面に傷が生じた場合、帯電ローラによる帯電が正常に行われなくなる場合がある。
そこで、この種の画像形成装置の中には、ベルト保持部材が、略水平方向に引き出される過程で例えば下方に1段階だけ変位し、搬送ベルトが感光体表面から離間するようになっているものがある。この構成によれば、ベルト保持部材を画像形成装置から引き出す過程で感光体と搬送ベルトとが擦れて傷つくのを防止できる。
【0008】
上記構成においては、ベルト保持部材が引き出される過程で下方に変位する際の変位量が大きいほど、感光体と搬送ベルトとの間のスペースが広くなるので、画像形成部近傍でジャムした用紙をより容易に取り除くことができる。
しかしながら、上記変位量が大きいと、下方から搬送ベルトに当接しているブレードの搬送ベルトに対する押圧力が大きくなり、その状態でベルト保持部材を引き出すと、搬送ベルトとブレードとが擦れて、ブレードが破損するおそれがある。
【0009】
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、ベルト保持部材を引き出す過程で感光体、搬送ベルトおよびブレードが傷つくのを防止でき、画像形成部近傍でジャムした用紙をより容易に取り除くことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、感光体(4M、4C、4Y、4B)の表面に形成されたトナー像を記録シート(用紙)に転写することにより画像形成を行う画像形成装置(1)において、上記感光体の表面に当接された無端状のベルトであって、所定方向に回転されることによりその表面で記録シートを搬送し、上記感光体との間に記録シートを通して当該感光体の表面に形成されたトナー像を転写させる搬送ベルト(12)と、上記搬送ベルトの表面に上記感光体と反対側から当接され、当該搬送ベルトの表面に付着したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置(26)と、上記感光体とベルトクリーニング装置とが並ぶ方向に対して交差する方向(例えば略水平方向)に上記搬送ベルトを引き出し可能に保持する部材であって、上記搬送ベルトを上記画像形成装置から引き出すことにより、装置内に詰まった記録シートを取り除くことが可能となるベルト保持部材(29)とを含み、上記ベルト保持部材は、上記画像形成装置から上記搬送ベルトを引き出す過程で、上記搬送ベルトが上記感光体から離間する方向に少なくとも2段階変位するものであって、上記画像形成装置から上記搬送ベルトを引き出す過程で、上記搬送ベルトと感光体とが離間する位置まで1段階変位した後、所定距離(L2)だけ上記搬送ベルトを引き出すと、再び上記感光体から離間する方向に1段階変位するようになっており、上記ベルトクリーニング装置は、上記搬送ベルトを上記所定距離だけ引き出す過程で上記搬送ベルトから離間し、その後に上記ベルト保持部材が上記感光体から離間する方向に変位しても上記搬送ベルトに当接しないようになっていることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
上記画像形成装置は、いわゆるタンデム型の画像形成装置であって、例えばマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各単色画像を形成するための4つの画像形成部が1列に整列して配置されている。上記感光体は各画像形成部に備えられていて、その表面に各単色トナー像が形成される。上記搬送ベルトは、例えばその表面がこれらの感光体表面に下方から当接するように配置されている。
【0012】
上記ベルトクリーニング装置には、例えば搬送ベルトの表面に当接されたブレードが含まれる。このブレードは、例えば下方から搬送ベルトの表面に当接していて、搬送ベルトが回転するのに伴ってブレードが搬送ベルトの表面に摺接することにより、搬送ベルトの表面に付着したトナーがブレードにより掏り取られるようになっている。
本発明の構成によれば、ベルト保持部材は、(例えば略水平方向に)画像形成装置から搬送ベルトを引き出す過程で、搬送ベルトが感光体から離間する方向(例えば下方向)、すなわちベルトクリーニング装置側に少なくとも2段階変位する。これにより、例えば1段階目の下方への変位により、ブレードが破損しない程度に搬送ベルトと感光体とを離間させ、その後ベルト保持部材を引き出す過程でブレードと搬送ベルトとを離間させ、2段階目以降の下方への変位により、搬送ベルトをさらに感光体から離間させることにより、画像形成部近傍でジャムした用紙を取り除くのに十分なスペースを形成することができる。
【0013】
したがって、ベルト保持部材を引き出す過程で感光体、搬送ベルトおよびブレードが傷つくのを防止でき、画像形成部近傍でジャムした用紙をより容易に取り除くことができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、上記ベルト保持部材(29)は、上記搬送ベルトを引き出す方向(例えば略水平方向)に延びる少なくとも3つの段差面(371〜373)と、隣接する段差面を接続する少なくとも2つの接続面(381、382)とを含むカム(36)を介して、上記画像形成装置に引き出し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
この構成によれば、例えばベルト保持部材にカムを形成し、このカムに沿って転がる従動ローラを画像形成装置内に配置することにより、ベルト保持部材を画像形成装置から引き出す過程で、搬送ベルトが感光体から離間する方向に少なくとも2段階変位するような機構を簡単な構成で実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンタ1の内部構成を示す概略断面図である。図1を参照して、このカラープリンタ1は、マゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各単色画像を形成するための4つの画像形成部2M、2C、2Y、2Bが、用紙を搬送するための用紙搬送機構3が形成する直線搬送路に沿って、用紙搬送方向A上流側(図1における右側)からこの順序で1列に整列して配置された、いわゆるタンデム型の構造を有している。
【0016】
4つの画像形成部2M、2C、2Y、2Bは、それぞれ図1における時計回りに回転する例えば円筒状の感光体4M、4C、4Y、4Bを備えており、これらの感光体4M、4C、4Y、4Bは、各軸線が用紙搬送方向Aに直交する水平方向に延びた状態で互いに平行に配置されている。
各感光体4M、4C、4Y、4Bは、メインチャージャ5M、5C、5Y、5Bの放電によって一様に帯電された後、当該カラープリンタ1に接続された例えばマイクロコンピュータなどの外部機器(図示せず)から入力された画像データのマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色成分のカラー画像データに基づいてLEDプリントヘッド6M、6C、6Y、6Bから照射された光によって露光される。これにより、各感光体4M、4C、4Y、4Bの表面には、いわゆる静電潜像が形成される。
【0017】
静電潜像が形成された感光体4M、4C、4Y、4Bの表面には、現像装置7M、7C、7Y、7Bによりトナーが付着され、トナー像が形成される。各現像装置7M、7C、7Y、7Bの上方には、マゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各色トナーを収容するトナーホッパ8M、8C、8Y、8Bが配置されていて、各色トナーが対応する現像装置7M、7C、7Y、7Bに随時供給されるようになっている。
【0018】
感光体4M、4C、4Y、4Bがさらに回転されると、各表面に形成されたトナー像が用紙搬送機構3に対向する位置にくる。マゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各色トナー像は、用紙搬送機構3が用紙搬送方向Aに沿って図1における右側から左側へと用紙を搬送していく過程で、用紙搬送機構3と感光体4M、4C、4Y、4Bとの間を通過する用紙の表面に順次重ねて転写される。トナー像転写後に各感光体4M、4C、4Y、4Bの表面に残留しているトナーは、感光体クリーニング装置9M、9C、9Y、9Bにより回収される。
【0019】
用紙搬送機構3には、画像形成部2Bの感光体4Bよりも用紙搬送方向A下流側(左側)に配置された駆動ローラ10と、画像形成部2Mの感光体4Mよりも用紙搬送方向A上流側(右側)に配置された従動ローラ11と、駆動ローラ10および従動ローラ11に掛け回された無端状の搬送ベルト12と、搬送ベルト12に張力を与えるための例えば2つのテンションローラ131、132とが含まれる。
【0020】
駆動ローラ10には、図示しないモータの駆動力が与えられるようになっていて、このモータにより駆動ローラ10が回転駆動されることにより、搬送ベルト12が図1における反時計回りに回転するようになっている。従動ローラ11の上方には、搬送ベルト12に静電気を付与するための帯電ローラ14が、搬送ベルト12を挟んで配置されている。各画像形成部2M、2C、2Y、2Bでトナー像が転写されるべき用紙は、帯電ローラ14により帯電された搬送ベルト12の表面に張り付いた状態で、搬送ベルト12の回転に伴って用紙搬送方向Aに沿って搬送される。
【0021】
各感光体4M、4C、4Y、4Bの下方には、転写ローラ15M、15C、15Y、15Bが搬送ベルト12を挟んで配置されている。各転写ローラ15M、15C、15Y、15Bには、所定の転写電圧が印加されていて、各感光体4M、4C、4Y、4Bの表面に形成されたトナー像は、用紙搬送機構3に対向する位置にきたときに対応する転写ローラ15M、15C、15Y、15B側に引き寄せられ、用紙に転写されるようになっている。
【0022】
このカラープリンタ1の下部には、複数枚の用紙を収容可能な用紙収容部16が配置されている。用紙収容部16には、収容された用紙を1枚ずつ用紙搬送路17側へ送り出すためのピックアップローラ18が備えられている。ピックアップローラ18により送り出された用紙は、給紙ローラ19を介して用紙搬送路17へと導かれ、搬送ローラ20により用紙搬送路17の終端部に配置されたレジストローラ21へ向けて上方に搬送される。
【0023】
レジストローラ21は、用紙搬送機構3に対して用紙搬送方向A上流側(右側)に配置されており、用紙収容部16から用紙搬送路17を通って搬送されてきた用紙は、その先端部がレジストローラ21に到達した時点で一旦搬送が停止される。そして、各感光体4M、4C、4Y、4Bの表面に形成されたトナー像が転写ローラ15M、15C、15Y、15Bに対向する位置にくるタイミングに合わせて用紙が各画像形成部2M、2C、2Y、2Bに到達するように、レジストローラ21の回転が開始されるようになっている。
【0024】
用紙搬送機構3に向けて送り出された用紙は、搬送ベルト12により搬送されていく過程で、各画像形成部2M、2C、2Y、2Bにより各色トナー像が重ねて転写された後、定着装置22へと導かれ、この定着装置22に含まれる1対の定着ローラ221の間を通過することにより定着処理がなされる。定着処理された用紙は、搬送ローラ23により上方へと導かれ、排出ローラ24により装置外部の排出トレイ25に排出される。
【0025】
用紙搬送機構3による用紙搬送時にジャム(用紙詰まり)が生じた場合、搬送ベルト12に感光体4M、4C、4Y、4Bのトナーが付着する場合がある。また、本実施形態に係るカラープリンタ1は、例えば搬送ベルト12に直接トナーを付着させてそのトナーの濃度を判定し、その判定結果に基づいてトナーの濃度を補正(濃度補正)することができるようになっていて、この濃度補正を行う際にも搬送ベルト12にトナーが付着する。このようにして搬送ベルト12に付着したトナーを除去するために、搬送ベルト12の左側下方には、ベルトクリーニング装置26が配置されている。
【0026】
ベルトクリーニング装置26には、左側のテンションローラ131近傍の搬送ベルト12に下側から摺接し、搬送ベルト12の表面に付着したトナーを掏り取るためのブレード27と、ブレード27により掏り取られたトナーを回収するための回収タンク28とが含まれる。ブレード27は、図示しないばねにより上方に付勢されていて、その先端が搬送ベルト12に対して適当な押圧力で押圧されている。
【0027】
本実施形態に係るカラープリンタ1では、用紙搬送機構3の前後両端部がベルト保持部材29により保持されている。すなわち、搬送ベルト12が掛け回された各ローラ10、11、131、132、15M、15C、15Y、15Bの回転軸の両端部が2つのベルト保持部材29により回転可能に保持されることで、搬送ベルト12が両ベルト保持部材29に挟まれた状態で保持されている。
各ベルト保持部材29の右端部は、このカラープリンタ1の外形を区画する外装カバーの一部を構成する引出部30に連結されている。この引出部30に形成された把持部(図示せず)を掴んで略水平方向(右側)に引き出して、ベルト保持部材29により保持された用紙搬送機構3を右側に変位させることにより、画像形成部2M、2C、2Y、2B近傍でジャムした用紙を取り除くためのスペースが形成されるようになっている。
【0028】
用紙搬送機構3、ベルト保持部材29および引出部30は、一体的なベルトユニット31を構成している。このベルトユニット31には、例えばレジストローラ21、搬送ローラ20および帯電ローラ14も含まれる。ベルトクリーニング装置26は、カラープリンタ1本体に固定されていて、ベルトユニット31を引き出しても変位しないようになっている。
各感光体4M、4C、4Y、4Bおよびそれらに対応するメインチャージャ5M、5C、5Y、5B、LEDプリントヘッド6M、6C、6Y、6B、現像装置7M、7C、7Y、7B、トナーホッパ8M、8C、8Y、8B、クリーニング装置9M、9C、9Y、9Bは、それぞれ別々の感光体保持部材32M、32C、32Y、32Bにより保持され、それらが一体的になった画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bをそれぞれ構成している。各感光体4M、4C、4Y、4Bは、各画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bを引き出すことにより手前側に引き出し可能となっていて、各画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bを引き出して、トナーホッパ8M、8C、8Y、8Bにトナーを補給したり、画像形成ユニット33M、33C、33Y、33B自体を交換したりすることができるようになっている。
【0029】
図2および図3は、ベルトユニット31の取付構造について説明するための模式図であって、図2は側方から見た図、図3は上方から見た図をそれぞれ示している。ただし、図2および図3では、用紙搬送機構3を省略して示している。
両ベルト保持部材29は、例えばそれぞれの両端部を2本の連結部材34により連結されていて、ベルトユニット31をカラープリンタ1の所定位置に差し込むことにより、各ベルト保持部材29がカラープリンタ1内部の本体側板35に沿って変位するようになっている(図3参照)。各ベルト保持部材29の本体側板35に対する取付構造は同様の構造を有しているので、以下では、一方(後側のベルト保持部材29)の取付構造についてのみ説明する。
【0030】
図2および図3を参照して、ベルト保持部材29には、同一の構成よりなる3つのカム36が形成されている。具体的には、各カム36は、それぞれ異なる高さで左右方向に延びる例えば3つの段差面371、372、373と、上下方向に対して一定の傾斜角で延び、隣接する段差面を接続する傾斜面381、382とにより構成されている。各段差面371、372、373は、右から順に第1段差面371、第2段差面372、第3段差面373とし、各傾斜面381、382は、右から順に第1傾斜面381、第2傾斜面382とする。
【0031】
図4は、カム36の構成を説明するための図である。図4に示すように、各段差面371、372、373の左右方向の長さは、例えば第1段差面371がL1=4mm、第2段差面372がL2=100mm、第3段差面373がL3=50mmとなっている。一方、各傾斜面381、382の高さは、例えば第1傾斜面381がH1=2mm、第2傾斜面382がH2=8mmとなっている。ただし、カム36は、この形状および寸法に限られるものではない。
【0032】
再び図2および図3を参照して、本体側板35には、各カム36に対応する3つの従動ローラ39が、回転軸40を介して回転自在に保持されている。各従動ローラ39は、左右に並べて配置されていて、左右方向に変位するベルト保持部材29の各カム36の軌跡が互いに重ならないように、前後方向(図3における上下方向)にずらして配置されている。これにより、各カム36は、対応する従動ローラ39にのみ係合し、他の従動ローラ39には係合しないようになっている。
【0033】
上述ような取付構造により、ベルトユニット31をカラープリンタ1本体に対して左右方向に変位させることで、各従動ローラ39が対応するカム36に沿って転がるようになっている。ベルトユニット31を閉じた状態、すなわちベルトユニット31が最も左側にある状態では、従動ローラ39が第1段差面371の右端部に当接した状態となっている。
ベルトユニット31をカラープリンタ1本体から引き出す過程において、ベルトユニット31を閉じた状態から4mm引き出すと、従動ローラ39は第1段差面371から第1傾斜面381に到達し、この第1傾斜面381に沿って転がることによりベルトユニット31が2mmだけ下方に変位して、従動ローラ39が第2段差面372に到達する。
【0034】
ベルト保持部材29の左端面には、係合ピン41が左側に突出するように形成されている。この係合ピン41は、ベルトユニット31を閉じた状態で、カラープリンタ1本体内に形成された位置決めボス(図示せず)に係合して、ベルトユニット31を閉じた状態で維持するためのものである。係合ピン41は、その長さが例えば4mmに形成されていて、第1段差面371の左右方向の長さL1と一致している。これにより、ベルトユニット31を引き出す過程で、従動ローラ39が第1段差面371から第1傾斜面381に到達すると、係合ピン41が位置決めボスから外れて、ベルトユニット31が上下方向に変位可能となる。
【0035】
ベルトユニット31をさらに100mm引き出すと、従動ローラ39は第2段差面372から第2傾斜面382に到達し、この第2傾斜面382に沿って転がることによりベルトユニット31がさらに8mmだけ下方に変位して、従動ローラ39が第3段差面373に到達する。第3段差面373の終端にはストッパ(図示せず)が形成されていて、従動ローラ39は第3段差面373に沿って50mm転がった後、ストッパに受け止められて、それ以上ベルトユニット31を引き出すことができないようになっている。
【0036】
第1傾斜面381の高さH1に対応するベルトユニット31の下方向への変位量(2mm)は、搬送ベルト12と感光体4M、4C、4Y、4Bとを離間させるための距離である。ベルトユニット31が下方に変位すると、ベルトクリーニング装置26のブレード27の搬送ベルト12に対する押圧力が高くなるが、2mm程度の変位量であれば、押圧力はブレード27を上方に付勢するばねに吸収されてそれほど高くならず、その後従動ローラ39が第2段差面372に沿って転がることによりベルトユニット31が100mm引き出されても、ブレード27が破損するといったことはない。
【0037】
第2段差面372の左右方向の長さL2に対応するベルトユニット31の右方向への変位量(100mm)は、搬送ベルト12の左端部、すなわち駆動ローラ10に掛け回された部分が、ベルトクリーニング装置26のブレード27の先端よりも右側にくるようにするための距離であって、この位置までベルトユニット31を変位させれば、その後従動ローラ39が第2傾斜面382に沿って転がることによりベルトユニット31が8mm下方に変位しても、ブレード27の先端が搬送ベルト12に当接することがない。ベルトユニット31が8mm下方に変位した状態から、従動ローラ39を第3段差面373に沿って転がしてベルトユニット31を50mm引き出すことにより、ブレード27の先端と搬送ベルト12とを離間させたまま、ベルトユニット31を開いた状態、すなわちベルトユニット31が最も右側にある状態まで変位させることができる。
【0038】
本実施形態では、第1傾斜面381に対応する1段階目の下方への変位により、ブレード27が破損しない程度に搬送ベルト12と感光体4M、4C、4Y、4Bとを離間させ、その後ベルト保持部材29を引き出す過程でブレード27と搬送ベルト12とを離間させ、第2傾斜面382に対応する2段階目の下方への変位により、搬送ベルト12をさらに感光体4M、4C、4Y、4Bから離間させることにより、画像形成部2M、2C、2Y、2B近傍でジャムした用紙を取り除くのに十分なスペースを形成することができる。
【0039】
したがって、ベルト保持部材29を引き出す過程で感光体4M、4C、4Y、4B、搬送ベルト12およびブレード27が傷つくのを防止でき、画像形成部2M、2C、2Y、2B近傍でジャムした用紙をより容易に取り除くことができる。
また、本実施形態では、ベルト保持部材29にカム36を形成し、このカム36に沿って転がる従動ローラ39を本体側板35に配置することにより、ベルト保持部材29を引き出す過程で、搬送ベルト12が感光体4M、4C、4Y、4Bから離間する方向に2段階変位するような機構を簡単な構成で実現できる。
【0040】
図5は、ベルトユニット31および画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bを右側方から見た模式図であって、図5(a)はベルトユニット31を閉じた状態、図5(b)はベルトユニット31を開いた状態を示している。なお、図5では、左側を前方、右側を後方として示している。
図5を参照して、各感光体保持部材32M、32C、32Y、32Bの後端縁には、下方に突出した当接部42が形成されている。図5(a)に示すように、ベルトユニット31を閉じた状態では、当接部42の先端が後側のベルト保持部材29の上端よりも下方に位置していて、画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bを手前側(図5における左側)に引き出そうとしても、当接部42が後側のベルト保持部材29に当接して引き出せないようになっている。各ベルト保持部材29は、例えばその上端が搬送ベルト12の上面よりも上方に若干張り出した状態となっている。
【0041】
ベルトユニット31を閉じた状態では、各画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bの感光体4M、4C、4Y、4Bは、各感光体保持部材32M、32C、32Y、32Bの下面から下方に張り出して搬送ベルト12の表面に当接している。感光体4M、4C、4Y、4Bと搬送ベルト12とが当接した状態で画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bを引き出すと、感光体4M、4C、4Y、4Bと搬送ベルト12とが擦れて、それぞれの表面に傷が生じるおそれがある。感光体4M、4C、4Y、4Bの表面に傷が生じた場合、その表面に現像装置7M、7C、7Y、7Bからのトナーが付着しにくくなったり、メインチャージャ5M、5C、5Y、5Bによる帯電が正常に行われなくなったりする場合がある。また、搬送ベルト12の表面に傷が生じた場合、帯電ローラ14による帯電が正常に行われなくなる場合がある。
【0042】
本実施形態では、ベルトユニット31を引き出す過程で、従動ローラ39が傾斜面381、382に沿って転がり当該ベルトユニット31が下方に変位することにより、画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bの当接部42のベルト保持部材29に対する規制が解除され、画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bを手前側に引き出すことができるようになる(図5(b)参照)。これにより、感光体4M、4C、4Y、4Bと搬送ベルト12とが離間した状態で画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bが引き出されるので、画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bを引き出す際に感光体4M、4C、4Y、4Bと搬送ベルト12とが擦れることがなく、それぞれの表面に傷が生じるのを防止できる。
【0043】
また、本実施形態では、感光体保持部材32M、32C、32Y、32Bに当接部42を設けることにより、ベルト保持部材29が引き出されて搬送ベルト12と感光体4M、4C、4Y、4Bとが離間した状態で画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bが引き出し可能となるような機構を簡単な構成で実現できる。
本実施形態の場合、ベルトユニット31を閉じた状態における当接部42のベルト保持部材29に対する当接面の上下方向の長さL4は、10mm未満でなければならず、8mm以上であることが好ましい。というのは、10mm以上であれば、従動ローラ39が第3段差面373に到達しても当接部42のベルト保持部材29に対する規制が解除されないので、画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bを引き出すことができず、8mm以上であれば、従動ローラ39が第2傾斜面382に沿って転がっている間に当接部42のベルト保持部材29に対する規制が解除され、その後従動ローラ39が第3段差面373に到達して、感光体4M、4C、4Y、4Bと搬送ベルト12とが十分に離間した状態で画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bを引き出すことが可能となるからである。
【0044】
本発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、カム36がベルト保持部材29に、このカム36に対応する従動ローラ39が本体側板35に設けられた構成について説明したが、カムが本体側板35に、従動ローラがベルト保持部材29に設けられた構成であってもよい。
【0045】
各カムおよび各カムに対応する従動ローラ39の構成は、上記構成に限らず、例えば各カムを互いに重ならないように左右方向に一直線上に形成すれば、各カムに対応する従動ローラを前後方向にずらして配置する必要がない。
搬送ベルト12を引き出す過程でベルト保持部材29が下方に変位する段階数は、2段階に限らず、3段階以上であってもよい。
ベルト保持部材29を閉じた状態で画像形成ユニット33M、33C、33Y、33Bの変位を規制する手段は、感光体保持部材32M、32C、32Y、32Bの後端縁から下方に突出した当接部42に限らず、例えば感光体保持部材32M、32C、32Y、32Bの前端縁から下方に突出し、手前側のベルト保持部材29と当接する当接部が設けられた構成であってもよいし、ベルト保持部材29から上方に突出した当接部が設けられた構成であってもよい。
【0046】
また、本発明の一実施形態としてカラープリンタ1について説明したが、本発明は、カラープリンタに限らず、複写機やファクシミリなどの他の画像形成装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの内部構成を示す概略断面図である。
【図2】ベルトユニットの取付構造について説明するための模式図である。
【図3】ベルトユニットの取付構造について説明するための模式図である。
【図4】カムの構成を説明するための図である。
【図5】ベルトユニットおよび画像形成ユニットを右側方から見た模式図である。
【符号の説明】
1 カラープリンタ
4M、4C、4Y、4B 感光体
12 搬送ベルト
26 ベルトクリーニング装置
29 ベルト保持部材
36 カム
371〜373 段差面
381、382 傾斜面
L2 第2段差面の左右方向の長さ
Claims (2)
- 感光体の表面に形成されたトナー像を記録シートに転写することにより画像形成を行う画像形成装置において、
上記感光体の表面に当接された無端状のベルトであって、所定方向に回転されることによりその表面で記録シートを搬送し、上記感光体との間に記録シートを通して当該感光体の表面に形成されたトナー像を転写させる搬送ベルトと、
上記搬送ベルトの表面に上記感光体と反対側から当接され、当該搬送ベルトの表面に付着したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置と、
上記感光体とベルトクリーニング装置とが並ぶ方向に対して交差する方向に上記搬送ベルトを引き出し可能に保持する部材であって、上記搬送ベルトを上記画像形成装置から引き出すことにより、装置内に詰まった記録シートを取り除くことが可能となるベルト保持部材とを含み、
上記ベルト保持部材は、上記画像形成装置から上記搬送ベルトを引き出す過程で、上記搬送ベルトが上記感光体から離間する方向に少なくとも2段階変位するものであって、上記画像形成装置から上記搬送ベルトを引き出す過程で、上記搬送ベルトと感光体とが離間する位置まで1段階変位した後、所定距離だけ上記搬送ベルトを引き出すと、再び上記感光体から離間する方向に1段階変位するようになっており、
上記ベルトクリーニング装置は、上記搬送ベルトを上記所定距離だけ引き出す過程で上記搬送ベルトから離間し、その後に上記ベルト保持部材が上記感光体から離間する方向に変位しても上記搬送ベルトに当接しないようになっていることを特徴とする画像形成装置。 - 上記ベルト保持部材は、上記搬送ベルトを引き出す方向に延びる少なくとも3つの段差面と、隣接する段差面を接続する少なくとも2つの接続面とを含むカムを介して、上記画像形成装置に引き出し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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